| タイトル: | 公開特許公報(A)_疎水化処理酸化亜鉛粉末の製造方法 |
| 出願番号: | 2004042225 |
| 年次: | 2005 |
| IPC分類: | 7,C09C1/04,C09C3/08,C09C3/10,A61K7/02,A61K7/42 |
金丸 哲也 白尾 雅之 黒沢 卓文 塩 庄一郎 城市 京子 野上 信弘 JP 2005232279 公開特許公報(A) 20050902 2004042225 20040219 疎水化処理酸化亜鉛粉末の製造方法 株式会社資生堂 000001959 大東化成工業株式会社 391015373 ▲高▼野 俊彦 100094570 金丸 哲也 白尾 雅之 黒沢 卓文 塩 庄一郎 城市 京子 野上 信弘 7C09C1/04C09C3/08C09C3/10A61K7/02A61K7/42 JPC09C1/04C09C3/08C09C3/10A61K7/02 PA61K7/42 6 OL 12 4C083 4J037 4C083AB211 4C083BB23 4C083BB25 4C083CC19 4C083DD32 4C083EE01 4C083EE07 4C083EE17 4J037AA11 4J037CB22 4J037CC16 4J037CC28 4J037DD05 4J037DD07 4J037DD17 4J037EE02 4J037EE28 4J037EE29 4J037EE35 4J037EE43 4J037EE48 4J037FF15 本発明は疎水化処理酸化亜鉛粉末の製造方法に関する。さらに詳しくは、吸油量及び見掛けの比容積が低い特質を有する微粒子酸化亜鉛粉末の製造方法に関する。 本発明により得られる微粒子酸化亜鉛粉末は、低吸油量、見掛けの比容積が低いという顕著な効果を有するので、化粧料配合粉末として極めて有用であり、化粧料に安定配合することが可能である。 太陽光線の紫外線のうち、中波長紫外部の波長280〜320nmは、皮膚にサンバーンと呼ばれる紅班を引き起こし、ひどい場合は、火傷と同様の水泡を起こす。また、長波長紫外部の波長320〜400nmは、皮膚の黒化をもたらし、いずれの波長も長期に渡って繰り返し作用すると皮膚の老化を促進することが知られている。 紫外線による肌への悪影響を防御するためには、紫外線吸収剤や紫外線防御粉体を配合した日焼け止め化粧料が使用されている。 このうち、長波長紫外部領域を効果的に防御し、かつ可視部の透明性が高い素材として微粒子酸化亜鉛粉末が使用されている。また、耐汗性の点で、W/O型乳化組成物が良好であることが知られている。 W/O型乳化組成物に、微粒子酸化亜鉛を配合する場合、製剤の安定性の観点から表面処理が必要である。しかしながら、表面処理が不均一であると亜鉛イオンが溶出して系の安定性を害することがあり、微粒子酸化亜鉛は、表面処理方法及びW/O型乳化組成物への安定配合が極めて困難な粉末であった。 一方、メイクアップ化粧料においては、化粧崩れを防止する目的で顔料表面を撥水処理または撥水・撥油処理することによって、顔料に耐皮脂性を与える技術が知られている。例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物にて表面処理に関する技術が特許文献1〜4に記載されている。また、特許文献5には、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体で表面被覆された粉体を配合した化粧料が記載され、肌への付着性、使用性を改良している。 そして、上記技術をさらに改良したものとして、特許文献6には、本発明に使用する一般式(1)のリン酸エステルと一般式(2)のエステルとで、化粧料用顔料粉末を表面処理して疎水化する技術が開発されている。 特許文献6に示された疎水化処理顔料は、化粧料中に容易に分散させることができ、しっとりとした使用感触を与えるとの効果を解決すべき課題とするものである。そして、その段落「0019」には、表面被覆される各種の化粧料用顔料として、多くの無機顔料、有機顔料および樹脂粉体顔料が例示されており、また、その実施例には、具体的に、酸化チタン、セリサイト、マイカ、タルク、黄酸化鉄、ベンガラ、黒色酸化鉄の顔料を疎水化処理した顔料粉末を配合した化粧料が開示されている。 しかしながら、特許文献6には、一般的に顔料粉末とは異なり透明性が高く、長波長紫外線の散乱剤である微粒子酸化亜鉛粉末の表面処理する方法については一切記載されておらず、また、本願発明によって達成される微粒子酸化亜鉛粉末の低吸油量化及び見掛けの比容積を低くする新たな課題及びその顕著な効果についても一切示唆されてはいない。特許第2724257号公報特許第2672913号公報特公平5−86984号公報特開平3−246210号公報特開平5−339125号公報特開2001−302455号公報 発明者らは上述の観点に鑑み、透明性の高い紫外線散乱剤として有用な微粒子酸化亜鉛粉末に着目し、撥水性・撥油性に優れ、かつ、W/O型乳化型日焼け止め化粧料に安定配合し易い表面処理方法を鋭意研究した結果、特許文献6に記載されている特定のリン酸エステルと共重合体エステルとで同時処理する表面処理方法において、1次粒子径1μm以下の微粒子酸化亜鉛粉末を使用し、溶媒の使用量を該酸化亜鉛粉末に対して50〜90質量%の範囲で行うと、低吸油量かつ見掛けの比容積が低いという顕著な効果を発揮する微粒子酸化亜鉛粉末が効率的に製造出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。 本発明により得られる微粒子酸化亜鉛粉末は、低吸油量、見掛けの比容積が低いという優れた効果を有すると同時に、撥水性・撥油性に優れ、かつ製剤に安定配合可能なものであり、紫外線散乱効果にも優れた疎水化処理粉末である。 すなわち、本発明は、酸化亜鉛粉末を溶媒中に分散させて、一般式(1)で示されるパーフルオロアルキルを有するリン酸エステルと、一般式(2)で示される、分子量が30,000〜300,000のアクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルの共重合体とメチルポリシロキサンのメチル基の一部をヒドロキシプロピル基で置換したものとのエステルとにより表面処理を行って疎水化処理酸化亜鉛粉末を製造する方法において、1次粒子径1μm以下の微粒子酸化亜鉛粉末を使用し、溶媒の使用量を該酸化亜鉛粉末に対して50〜90質量%の範囲で行うことを特徴とする疎水化処理酸化亜鉛粉末の製造方法を提供するものである。さらに好ましくは、60〜80質量%である。 (式中、Rfは炭素数3〜21のパーフルオロアルキル基または、パーフルオロオキシアルキル基を示し、直鎖状あるいは分岐状であって、単一鎖長のものであっても複合鎖長のものであってもよい。nは1〜12の整数を示し、yは1〜3の数を示す。) また、本発明は、前記微粒子酸化亜鉛粉末の比表面積がX(m2/g)の場合、前記一般式(1)のリン酸エステルと一般式(2)のエステルとの使用量の和が、該酸化亜鉛粉末に対してX/10〜X/5質量%の範囲で行うことを特徴とする上記の疎水化処理酸化亜鉛粉末の製造方法を提供するものである。 さらに、本発明は、前記一般式(1)のリン酸エステルと前記一般式(2)のエステルとの使用量の質量比が、一般式(1)のリン酸エステル/一般式(2)のエステル=1〜5で行うことを特徴とする上記の疎水化処理酸化亜鉛粉末の製造方法を提供するものである。 また、本発明は、上記の表面処理方法にて製造され、得られた疎水化処理酸化亜鉛粉末の吸油量が15〜40mL/100gであることを特徴とする1次粒子径1μm以下の微粒子疎水化処理酸化亜鉛粉末を提供するものである。 本発明に製造方法によれば、低吸油量かつ見掛けの比容積が低いという顕著な効果を発揮する微粒子酸化亜鉛粉末が製造出来る。 本発明により得られる微粒子酸化亜鉛粉末は低吸油量でありながら、比表面積が比較的高いことから、緩やかに凝集した処理粉体と考えられる。これにより、一般的なW/O型製剤の連続相に配合しても製剤として低粘度のものが得られやすく、また、比表面積が維持されていることから、肌に塗布した時のシェアでほぐれて白浮きせずに効果的に長波長紫外線を防御することが可能となる。 また本発明により得られる微粒子酸化亜鉛粉末は、見掛けの比容積が低いため油分に分散させ易く、化粧料等の製造において特に好適である。もちろん、撥水性・撥油性に優れ、かつ製剤に安定配合可能との効果も格別である。 以下、本発明について詳述する。 本発明は、特許文献6に記載された方法において、表面処理される化粧料顔料の代りに、1次粒子径1μm以下の微粒子酸化亜鉛粉末を表面処理することにより製造される。好ましくは0.1μm以下の微粒子酸化亜鉛粉末が使用される。なお、1次粒子径とは1次粒子の平均粒子径のことである。 1次粒子径1μm以下の微粒子酸化亜鉛としては、例えば堺化学(株)製のFINEX−50、住友大阪セメント(株)製のZnO−350、石原産業(株)製の酸化亜鉛FZO−50、あるいはテイカ(株)製の微粒子酸化亜鉛MZ−500等を使用できる。また、WO99/25654号公報(特願平11−525984号)記載の微粒子酸化亜鉛粉末(カーネーションの花びら状の外観を有するもの)を使用できる。 一般式(1)で示されるパーフルオロアルキル基を有するリン酸エステルとしては、例えば、旭硝子(株)からAG−530の名称で市販されている水分散エマルジョンの固形分であるパーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩、またはこれと同じ分子構造を持つが塩の形が異なるパーフルオロアルキルリン酸エステルナトリウム塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルカリウム塩、パーフルオロアルキルリン酸アンモニウム塩等を酸を用いてアミン塩、アンモニウム塩、アルカリ金属塩を除去したものを用いることができる。 一般式(2)で示されるエステル(以下「アクリルシリコーン共重合物」と称する場合がある)としては、例えば、信越化学工業(株)からKP−541、KP−543、KP−545の名称で市販されているイソプロピルアルコール、酢酸ブチル、揮発性シリコーンに溶解された共重合物、あるいはKP−544と称するアクリルシリコーン共重合物をその他の有機溶媒に溶解したものが挙げられる。 一般式(1)及び(2)にて示されるパーフルオロアルキルリン酸エステルとアクリルシリコーン共重合物の総被覆量は、微粒子酸化亜鉛粉末の比表面積をXm2/gとすると、X/5〜X/10重量%に調整することにより、十分な撥水性と撥油性が得られる。この範囲外の量で被覆すると、一般式(1)のリン酸エステルが粉体表面以外で自らが粉末状に析出し粉末中に共存するようになり、また粉末同士の過剰な凝集が無視できなくなって長波長紫外部の防御能が低下する恐れがあり、あるいは撥水性・撥油性が不足する可能性がある。 したがって、本発明においては、表面処理される微粒子酸化亜鉛粉末の比表面積がX(m2/g)の場合、一般式(1)のリン酸エステルと一般式(2)のエステルとの使用量の和は、該酸化亜鉛粉末に対してX/10〜X/5質量%の範囲で行われることが好ましい。 また、一般式(1)のリン酸エステルと前記一般式(2)のエステルとの使用量の質量比が、一般式(1)のリン酸エステル/一般式(2)のエステル=1〜5で行うことが好ましく、さらに好ましくは、2〜4である。この範囲外であると、得られる粉末は、一般的に用いられる化粧料油分との親和性が低下したり、あるいは製剤として肌に塗布した時の耐水性(撥油性)が不足したりする場合がある。 本発明は、溶媒の量が酸化亜鉛粉末に対して50〜90質量%の範囲であることを特徴とする。表面処理剤の一般式(1)のリン酸エステルと一般式(2)のエステルを用いて、常法に従って表面処理を行うと、驚くべきことに、低吸油量、見掛けの比容積が低く撥水性・撥油性に優れた疎水化処理微粒子酸化亜鉛粉末が製造される。この溶媒の量は、粉末が分散する系内に存在するすべての溶媒の量であり、一般式(1)と(2)の化合物を除いたすべての溶液のことである。なお、粉末は予め溶媒に分散させて処理容器内に添加する必要はない。処理容器に、最初に粉末を添加し、次に一般式(1)と(2)の処理剤溶液(溶液)を添加し、最後に溶媒を添加して攪拌処理する方法が好ましい。 溶媒は、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒、揮発性シリコーン、アセトン等の有機溶媒である。イソプロピルアルコール(以下、IPAと記載)が好ましく用いられる。なお、本発明において、酸化亜鉛粉末に対して50〜90質量%用いる溶媒は、表面処理剤を予め溶解させる場合に用いる溶媒を含む、全溶媒量である。 本発明の製造方法のフローシートを「図1」に示す。(1)まず、処理容器に、1次粒子径1μm以下の微粒子酸化亜鉛粉末、表面処理剤の一般式(1)のリン酸エステルと一般式(2)のエステル、溶媒とを添加する。添加の順は特に問われないが、粉末、処理剤(溶液)、溶媒の順で添加することが好ましい。 表面処理剤は、そのまま添加しても、予め溶媒に溶かした状態で添加しても良いが、製造効率上、予め溶媒に溶かした状態で添加することが好ましい。 表面処理剤を溶解する溶媒は制限されない。通常はイソプロピルアルコールなどの溶媒に30〜70%程度に溶解させた状態で添加するのが扱いやすい。 さらに加える溶媒量としては、処理剤を予め溶かすための溶媒との合計量が、被処理粉末量に対して50〜90質量%であることが好ましく、さらに好ましくは60〜80質量%である。50質量%未満では溶媒中に粉末が十分に分散しきれず凝集したまま被覆される(不完全な表面処理の)割合が高くなる。一方、90質量%より多い量では粉末は十分に分散されるものの、見掛けの比容積が下がりにくく、また被覆そのものは溶媒がほとんど除去されるタイミングで行われるため、その領域に達するまでの溶媒除去時間が長くなる。即ち溶媒が過剰で、かつ非効率的でもあるので好ましくない。 粉末を混合(分散)させる方法は特に限定されないが、通常は適当な混合(分散)機、例えば回転ボールミル、振動式ボールミル、遊星型ボールミル、サンドミル、アトライター、バグミル、ポニミキサー、プラネタリーミキサー、らいかい機、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ニーダー、媒体撹拌ミル(ビーズミル)等を用いて行う。 混合時間は制限されないが、通常0.1〜2hで行なう。(2)次に溶媒除去を行う。溶媒除去は分散液を撹拌及び場合により適当に加熱をしながら行う。さらに効率的にはトラップを備えた真空ポンプで減圧状態を保つことで行うことができる。(3)次に粉砕を行う。粉砕方法は特に限定されないが、高速回転粉砕機(ハンマーミル、ケージミル、ピンミル、ディスインテグレータ、スクリーンミル、ターボ型ミル、遠心分級ミル等)、ボールミル(転動ミル、振動ボールミル、遊星ミル)、撹拌ミル(タワーミル、撹拌槽型ミル、流通管型ミル、アニュラーミル)、ラボミル、ジェットミル、剪断ミル、圧縮摩粋型粉砕機、コロイドミル等により行う。(4)最後に乾燥する。 乾燥は電熱式タイプの加熱乾燥機、あるいは加熱した気体を供給して行う乾燥機等を用いて行う。 乾燥時間は、特に限定されないが、1h〜250h、乾燥温度は50〜150℃の範囲で行うことが望ましい。これ以外で行うと、十分な乾燥が行われないか、あるいは処理剤の劣化が起こる恐れがある。 上記により得られる微粒子酸化亜鉛粉末は、低吸油量、見掛けの比容積が低いという顕著な効果を有する。 本発明による微粒子酸化亜鉛粉末の好ましい吸油量は15〜40mL/100gである。 この吸油量は、JISK5101 21.に準じた方法、あるいは市販の吸油量測定機器を用いて測定される数値である。 また、本発明による微粒子酸化亜鉛粉末の好ましい見掛けの比容積は0.5〜0.9mL/gである。 この見掛けの比容積は、JISK5101 20.2記載のタップ法に準じて測定される1g当たりの容積(mL)を表す数値(mL/g)である。 本発明により得られる微粒子酸化亜鉛粉末は、低吸油量、見掛けの比容積が低いという優れた効果を有すると同時に、撥水性・撥油性に優れ、かつ製剤に安定配合可能なものであり、紫外線散乱効果にも優れた疎水化処理粉末である。化粧料に配合する場合の配合量は、化粧料の種類、剤型により適宜決定される。通常、0.1質量%以上で目的に応じた量が配合され得る。一般に0.1〜60質量%、好ましくは0.1〜40質量%程度が望ましい。 配合可能は化粧料としては、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、スティック状、軟膏状、液体状、乳化状等の任意の形態である。また、化粧料の種類は、化粧水、乳液、クリーム等のフェイシャル化粧料;ファンデーション、口紅、アイシャドウ、頬紅、アイライナー、ネイルエナメル、マスカラ等のメーキャップ化粧料;ヘアトリートメント、ヘアリキッド、セットローション等の毛髪化粧料、日焼け止め化粧料等がある。 本発明を実施例により詳細に説明する。本発明の技術範囲はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。なお、配合量については特記しない限り、質量%で示す。「実施例1」 炭素数12の一般式(1)のパーフルオロアルキルリン酸エステル(Rf:炭素数10,n=2,1≦y≦2)を300g、及び一般式(2)のエステル(アクリルシリコーン共重合体:信越化学工業社製KP-544:一般式(2)で示される、分子量が30,000〜300,000のアクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルの共重合体とメチルポリシロキサンのメチル基の一部をヒドロキシプロピル基で置換したものとのエステル)100g、IPA(溶媒)を3.5kg用意した。これらを用い、上記一般式(1)のリン酸エステルの50質量%溶液と上記一般式(2)のエステルの60質量%溶液を調製した。 20Lの高速撹拌混合機に、WO99/25654号公報(特願平11−525984号)記載の微粒子酸化亜鉛粉末(カーネーションの花びら状の外観を有するもの,比表面積(X)=60m2/g)5kgを入れ、上記一般式(1)のリン酸エステルの溶液と、上記一般式(2)のエステルの溶液入れた。さらに残りのIPAを入れ、全溶媒量となるトータルのIPA量を3.5kgとした。その後、60℃で1時間撹拌した後、120℃に加温し高速撹拌混合機内を減圧にして約2時間保ち、溶媒であるIPAを完全に除去した。 次に、混合機内から払い出した後、2mmスクリーンを備えたハンマーミルで粉砕し、130℃で24h加熱することにより、炭素数が12のパーフルオロアルキルリン酸エステル6%と、アクリルシリコーン共重合体2%で表面被覆した微粒子酸化亜鉛を得た。 粉末の吸油量は、JISK5101の方法に準じ、油分としてシリコーン油を用いて測定した結果、30.8mL/100gであった。粉末の見掛けの比容積は、JISK5101 20.2記載のタップ法に準じて測定した結果、0.71mL/gであった。粉末の接触角は、粉末を錠剤成型機等を用いてペレットを作製し、この上に流動パラフィンを滴下して形成される接触角を測定した結果、52°であった。 実施例1の製造方法における溶媒の使用量は該酸化亜鉛粉末に対して70質量%である。 また、一般式(1)のリン酸エステルと一般式(2)のエステルとの使用量の和は、8%であり、一般式(1)のリン酸エステル/一般式(2)のエステル=3である。「実施例2〜10、比較例1〜3」 実施例1と同様にして製造した。すなわち、後述の製造処方の「表1」に従い、微粒子酸化亜鉛粉末、炭素数12の一般式(1)のパーフルオロアルキルリン酸エステル(Rf:炭素数10,n=2,1≦y≦2)、及び一般式(2)のエステル(アクリルシリコーン共重合体:信越化学工業社製KP-544:一般式(2)で示される、分子量が30,000〜300,000のアクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルの共重合体とメチルポリシロキサンのメチル基の一部をヒドロキシプロピル基で置換したものとのエステル)、及びIPA(溶媒)を用意した。 20Lの高速撹拌混合機に、微粒子酸化亜鉛粉末5kgを入れ、次に予めIPAに溶解させた上記一般式(1)のリン酸エステルの50質量%溶液と上記一般式(2)のエステルの60質量%溶液を入れた。さらに全溶媒量となるトータルのIPA量を調整するためIPAを加えた。その後、60℃で1時間撹拌した後、120℃に加温し高速撹拌混合機内を減圧にして約2時間保ち、溶媒であるIPAを完全に除去し、表面被覆微粒子酸化亜鉛を得た。 また、実施例1と同様にして、得られた粉末の吸油量、見掛けの比容積、流動パラフィンに対する接触角を測定した。 実施例及び比較例を「表1」にまとめると次のようになる。*1)WO99/25654号公報(特願平11−525984号)記載の微粒子酸化亜鉛粉末(カーネーションの花びら状の外観を有するもの,比表面積(X)=60m2/g)*2)微粒子酸化亜鉛FINEX−50(堺化学社製、比表面積(X)=50m2/g) また、以上の表面処理条件を、粉末量に対する溶媒使用量と、一般式(1)のリン酸エステル/一般式(2)のエステルの比のパラメータに対する吸油量と見掛けの比容積の値をグラフに示すと、「図2」、「図3」及び「図4」のようになる。 これらの図から、粉末量に対する溶媒量をコントロールして見掛けの比容積と吸油量を適度に制御することにより、化粧料、特に油分に分散することを特徴とする化粧料に極めて配合(分散)し易くすることができる。また、処理剤の比率と量は、見掛けの比容積と吸油量に影響することはもちろん、化粧持ち向上に寄与する撥油性とも関連があることから、これらの条件を選択することにより、化粧料調製時の処方幅(特にフッ素化合物で被覆された粉末と既存原料との親和性向上)と化粧品としての機能を両立でき、極めて有用な表面処理方法であることが分かる。 本発明によれば、撥水性・撥油性に優れ、吸油量及び見掛けの比容積が低い特質を有する疎水化合物処理微粒子酸化亜鉛粉末が製造できる。本発明により得られる微粒子酸化亜鉛粉末は、例えば化粧料配合粉末として極めて有用である。本発明の製造方法の工程図を示した説明図である。粉末量に対する溶媒使用量に対する吸油量と見掛けの比容積の値のグラフである。粉末量に対する溶媒使用量と、一般式(1)のリン酸エステル/一般式(2)のエステルの比のパラメータに対する吸油量と見掛けの比容積の値のグラフである。一般式(1)のリン酸エステル/一般式(2)のエステルの比のパラメータに対する接触角(対流動パラフィン)のグラフである。 酸化亜鉛粉末を溶媒中に分散させて、一般式(1)で示されるパーフルオロアルキルを有するリン酸エステルと、一般式(2)で示される、分子量が30,000〜300,000のアクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルの共重合体とメチルポリシロキサンのメチル基の一部をヒドロキシプロピル基で置換したものとのエステルとにより表面処理を行って疎水化処理酸化亜鉛粉末を製造する方法において、1次粒子径1μm以下の微粒子酸化亜鉛粉末を使用し、溶媒の使用量を該酸化亜鉛粉末に対して50〜90質量%の範囲の範囲で行うことを特徴とする疎水化処理酸化亜鉛粉末の製造方法。 (式中、Rfは炭素数3〜21のパーフルオロアルキル基または、パーフルオロオキシアルキル基を示し、直鎖状あるいは分岐状であって、単一鎖長のものであっても複合鎖長のものであってもよい。nは1〜12の整数を示し、yは1〜3の数を示す。) 前記微粒子酸化亜鉛粉末の比表面積がX(m2/g)の場合、前記一般式(1)のリン酸エステルと一般式(2)のエステルとの使用量の和が、該酸化亜鉛粉末に対してX/10〜X/5質量%の範囲で行うことを特徴とする請求項1記載の疎水化処理酸化亜鉛粉末の製造方法。 前記一般式(1)のリン酸エステルと前記一般式(2)のエステルとの使用量の質量比が、一般式(1)のリン酸エステル/一般式(2)のエステル=1〜5で行うことを特徴とする請求項1または2記載の疎水化処理酸化亜鉛粉末の製造方法。 前記請求項1〜3記載のいずれかの表面処理方法にて製造され、得られた疎水化処理酸化亜鉛粉末の撥油性(対流動パラフィン)が35°以上であることを特徴とする1次粒子径1μm以下の微粒子疎水化処理酸化亜鉛粉末。 前記請求項1〜3記載のいずれかの表面処理方法にて製造され、得られた疎水化処理酸化亜鉛粉末の吸油量が15〜40mL/100gであることを特徴とする1次粒子径1μm以下の微粒子疎水化処理酸化亜鉛粉末。 前記請求項1〜3記載のいずれかの表面処理方法にて製造され、得られた疎水化処理酸化亜鉛粉末の見掛けの比容積が0.5〜0.9mL/gであることを特徴とする1次粒子径1μm以下の微粒子疎水化処理酸化亜鉛粉末。 【課題】 化粧料粉末として有用な低吸油量かつ見掛けの比容積が低いという顕著な効果を発揮する微粒子酸化亜鉛粉末の製造方法を提供すること。【解決手段】 酸化亜鉛粉末を溶媒中に分散させて、特定構造のパーフルオロアルキルを有するリン酸エステルと、特定構造の分子量が30,000〜300,000のアクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルの共重合体とメチルポリシロキサンのメチル基の一部をヒドロキシプロピル基で置換したものとのエステルとにより表面処理を行って疎水化処理酸化亜鉛粉末を製造する方法において、1次粒子径1μm以下の微粒子酸化亜鉛粉末を使用し、溶媒の使用量を該酸化亜鉛粉末に対して50〜90質量%の範囲で行うことを特徴とする疎水化処理酸化亜鉛粉末の製造方法。【選択図】なし