生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_タウリンの精製方法
出願番号:2004039585
年次:2005
IPC分類:7,C07C303/44,C07C309/14


特許情報キャッシュ

長部 雅己 小糸 光男 長原 清輝 JP 2005232026 公開特許公報(A) 20050902 2004039585 20040217 タウリンの精製方法 三井化学株式会社 000005887 長部 雅己 小糸 光男 長原 清輝 7C07C303/44C07C309/14 JPC07C303/44C07C309/14 2 OL 6 4H006 4H006AA02 4H006AD17 4H006BB14 4H006BB31 本発明はタウリンの精製方法に関する。 タウリンは水に易溶であるため工業的な合成法で副生する無機塩との分離が困難である。従来、これを解決するためアルコールを添加し再結晶を繰り返し、タウリンを分離、精製することが行われているが、収率も低く溶媒を大量に使用しなければならないなど欠点がある(特許文献1参照)。また、強酸性イオン交換体を用いた精製法もあるが、これはタウリンが強酸性イオン交換体に吸着しないことを利用したものである。 しかし、この方法では、共存する無機塩のうちアニオン成分がタウリンと同様強酸性イオン交換体に吸着しないので、これを後段で陰イオン交換体などを用いて吸着処理する必要があり、操作が煩雑になるほか、酸やアルカリなどの薬液を多量に必要とする。また無機塩の含有量が多くなると樹脂使用量も膨大となり、工業的に好ましいとは言えない。さらにOH型強塩基性イオン交換体にタウリンを吸着させることも考えられるが、イオン交換体を再生し、タウリンを溶離回収するためには苛性ソーダなどのアルカリで行なうのが一般であり、回収したタウリンにアルカリ金属イオンが含まれることが避けられない(特許文献2参照)。また硫酸型及び/または硫酸水素型の強塩基性陰イオン交換樹脂で処理することにより、タウリンをイオン交換樹脂に吸着させ、吸着後溶離剤により脱離回収する方法の報告もあるが、後工程において脱離のための溶離剤を除去するために強酸性型陽イオン交換樹脂等を用いる工程が必要になる事、また樹脂を再生する必要があり、工業的に好ましいとは言えない(特許文献3参照)。 一方、電気透析法も考えられるがこの方法では少量の無機塩が残存することが避けられないうえ、イオン交換膜を透過するタウリンも多く効率が悪い。特開平6−192209公報特開昭59−212465公報特開平7−206804公報 本発明は、タウリンおよび無機塩を含む溶液から簡便にタウリンを分離する方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、前記課題を解決するために検討した結果、タウリンと無機塩を含有する溶液を特定の吸着剤と接触させることにより、タウリンは特定の吸着剤に吸着されるが、この特定の吸着剤に無機塩は吸着しないことを見出した。また、タウリンが吸着した特定の吸着剤と水を含んでもよい有機溶媒を接触させることにより特定の吸着剤からタウリンが容易に脱離することを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、タウリンと無機塩を含有する溶解液を分子ふるい効果を示す多孔性固体物質と接触させて、該分子ふるい効果を示す多孔性固体物質にタウリンを吸着させて無機塩と分離し、次いで水を含んでいてもよい有機溶媒を用いて該分子ふるい効果を示す多孔性固体物質に吸着したタウリンを脱離させることを特徴とするタウリンの精製方法に関するものである。 本発明によれば、Na2SO3、Na2S04、NaClを含むタウリン溶液から、簡便にタウリンを分離回収することができる。 タウリンと無機塩を含有する溶解液に含まれる無機塩に制限を設けるものではないが、例えば、アルカリ金属の硫酸塩、亜硫酸塩、塩化物等のアルカリ金属の塩類を無機塩として含む溶解液は本発明に好ましく適用できる。 タウリンと無機塩を含有する溶解液は、タウリンと無機塩が水に溶解しているのが好ましいが、この溶解液中のタウリンが後記する分子ふるい効果を示す多孔性固体物質に吸着することができれば、タウリンと無機塩は水および水溶性有機溶媒からなる混合溶媒に溶解していても差し支えない。 水溶性有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類やアセトン、アセトニトリル等が挙げられる。前記混合溶媒中の水溶性有機溶媒の濃度が高いとタウリンの分子ふるい効果を示す多孔性固体物質への吸着量が低下する傾向にあるため、混合溶媒中の水溶性有機溶媒の濃度は50%(w/w)濃度以下、好ましくは30%(w/w)濃度以下である。 タウリンと無機塩を含有する溶解液としては、例えば、タウリンを製造する過程で得られる、タウリンを含有する反応混合物、タウリンの分離回収工程で排出されるタウリンを含有する廃液が挙げられるが、これらに制限されるものではない。 分子ふるい効果を示す多孔性固体物質としては、タウリンを吸着することができるものであれば制限を設けるものではないが、例えば、合成吸着剤、活性炭、ゼオライト、活性アルミナが挙げられる。 合成吸着剤としては、例えば、レバチット(登録商標)AT5、同AF5、同OC1163(以上バイエル社製)、ダイヤイオン(登録商標)SP206、同SP207、同HP21(以上三菱化学社製)、アンバーライト(登録商標)XAD4、同2000、同16HP、同7HP、同1180(以上ロームアンドハース社製)、モレキュラーシーブ(登録商標)13Xが挙げられ、活性アルミナとしては、活性アルミナA−2(以上ユニオン昭和社製)、活性炭としては、ゼオラム(登録商標)A−3、同A−4、同A−5、同F−9(以上東ソー社製)、白鷺シリーズ、カルボラフィンシリーズ等の活性炭(以上日本エンバイロケミカルズ社製)、太閤活性炭シリーズ等の活性炭(以上二村化学社製)、PMシリーズ、MMシリーズ等の活性炭(以上三倉化成社製)が挙げられる。 これらの分子ふるい効果を示す多孔性固体物質は、単独で使用することができるが、2種以上を併用することもできる。 前記のタウリンと無機塩を含有する溶解液を前記の分子ふるい効果を示す多孔性固体物質と接触させて、該分子ふるい効果を示す多孔性固体物質にタウリンを吸着させて無機塩と分離し、次いで水を含んでいてもよい有機溶媒を用いて該分子ふるい効果を示す多孔性固体物質に吸着したタウリンを脱離させることによりタウリンを回収することができる。 タウリンと無機塩を含有する溶解液中のタウリン濃度に制限は設けないが、0.1%(w/w)以上20%(w/w)以下のものが処理できる。 タウリンと無機塩を含有する溶解液中の金属塩の濃度に制限はなく、濃度の如何を問わず有効に作用する。 また、溶解液のpHに制限はなく、pH1〜pH13の範囲で吸着可能である。分子ふるい効果を示す多孔性固体物質の使用量は、使用する分子ふるい効果を示す多孔性固体物質のタウリンの吸着量等が異なるため、一概に特定することはできないが、使用する分子ふるい効果を示す多孔性固体物質に対するタウリンの吸着量を予め求めたうえで最適化を図ることができる。 分子ふるい効果を示す多孔性固体物質に吸着したタウリンの脱離に用いられる溶離液としては、分子ふるい効果を示す多孔性固体物質に吸着したタウリンを脱離することができれば制限はないが、例えば、水を含んでいてもよい水溶性有機溶媒、および非水溶性有機溶媒を挙げることができる。水溶性溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級のアルコール類やアセトン、アセトニトリル等が挙げられる。非水溶性有機溶媒としては、例えば、ヘプタノールやオクタノール等の高級アルコール類や酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類が挙げられる。これらのなかでも水を含む水溶性有機溶媒は好ましい。 水を含む水溶性有機溶媒を溶離液として使用する場合、溶離液中の水溶性有機溶媒の濃度に制限はないが、水溶性有機溶媒の濃度が低すぎる場合、吸着したタウリンの分子ふるい効果を示す多孔性固体物質からの回収率が低下する為、好ましくない。溶離液中の水溶性有機溶媒の濃度は50%(w/w)濃度以上であるのが好ましい。 水を含む水溶性有機溶媒中の水と水溶性有機溶媒の配合割合は、使用する分子ふるい効果を示す多孔性固体物質および水溶性有機溶媒の種類によりタウリンの脱離能が異なるため一概に特定することはできないが、例えば、分子ふるい効果を示す多孔性固体物質としてレバチット(登録商標)AT5を用いる場合、タウリンを脱離するための溶離液としては、例えば、メチルアルコールと水が1:1〜9:1(w/w)である溶離液、イソプロパノールと水が1:1〜9:1(w/w)である溶離液、アセトニトリルと水が1:1〜9:1(w/w)である溶離液またはアセトンと水が1:1〜9:1(w/w)である溶離液を用いることができる。分子ふるい効果を示す多孔性固体物質としてレバチット(登録商標)AT5を用いる場合、メチルアルコールと水が9:1(w/w)である溶離液を用いるのがタウリンの回収率の点で好ましい。 溶離液の使用量は、使用する溶離液等により異なるため、一概に特定することはできないが、使用する溶離液の量と脱離するタウリンの量を予め求めたうえで最適化を図ることができる。 タウリンと無機塩を含有する溶解液を分子ふるい効果を示す多孔性固体物質と接触させる方法に制限は設けないが、例えば、カラム内に充填した分子ふるい効果を示す多孔性固体物質に該溶解液を下向または上向に通液して、タウリンのみを該分子ふるい効果を示す多孔性固体物質に吸着させ、通液終了後、水洗し、水溶性有機溶媒または水と水溶性有機溶媒をカラムに通液して脱離させたタウリンを回収する方法が挙げられる。 カラムの操作温度は、タウリンと無機塩を含有する溶解液の凝固点またはタウリンが飽和溶解度を示す温度以上、脱離の為の溶離液の沸点以下であれば制限はないが、好ましくは10℃〜60℃である。 以下実施例で本発明を詳細に説明する。以下の実施例において、タウリンの分析は液体クロマトグラフ法、無機イオンの分析はイオンクロマト法により行い、濃度は総て重量基準で示した。分析条件タウリンの定量分析は、高速液体クロマトグラフィーを用いて、以下の分析方法および条件で行った。カラム:Inersitol ODS−2キャリアー:10v%メタノール−30mMリン酸水溶液(pH3.0) (ただし、0.6重量% 1−ヘプタンスルホン酸含有)流速:1.0ml/minカラム温度:40℃検出法:o−フタルアルデヒドによる蛍光法(EX=365nm,EM=455nm)塩化ナトリウムおよび硫酸ナトリウムの定量分析は、それぞれ塩素イオンおよび硫酸イオンについて、DIONEX社のイオンクロマトグラフィー装置シリーズ2000i(カラム:AS4A)を用いて行った。 〔実施例1〕 表1に示す吸着剤を15g、50mlのガラス製バイアルに計り取り、これにタウリン濃度1.3%(w/w)、Na2SO3 0.9%(w/w)、Na2S04 0.3%(w/w)、NaCl6.8%(w/w)の組成を持つ水溶液を25g添加した。そのまま1時間ほど攪拌の後、樹脂と水溶液を濾過、分離し、濾液中のタウリンを分析し、吸着剤へのタウリンの吸着率を算出した。 〔実施例2〕 レバチットAT5を65gにタウリン濃度1.3%(w/w)、Na2SO3 0.9%(w/w)、Na2S04 0.3%(w/w)、NaCl6.8%(w/w)の組成を持つ水溶液を108g添加した。そのまま1時間ほど攪拌の後、樹脂と水溶液を濾過、分離し、タウリンの吸着した樹脂画分70gを得た。該樹脂画分を5g、表2の溶出評価液5mlを50mlのガラス製バイアルに計り取り、1時間ほど攪拌の後、樹脂と水溶液を濾過、分離し、濾液中のタウリン量を分析、吸着した樹脂からのタウリンの回収率を算出した。表2に示す通り、水のみでの溶出に比べて、有機溶媒を添加することにより効率的にタウリンを回収する事が可能である。 〔実施例3〕 レバチットAT5(バイエル社製)50mlを充填した内径15mmのガラス製カラムにタウリン濃度1.3%(w/w)、Na2SO3 0.9%(w/w)、Na2S04 0.3%(w/w)、NaCl6.8%(w/w)の組成を持つ水溶液を下向流で75ml通液しタウリンを吸着させた。この吸着工程におけるタウリン吸着量は0.66gであり原液中の68%(回収率)のタウリンを吸着させることができた。吸着工程に続いて90%(w/w)濃度のメタノール水75mlでタウリンを溶離した結果 、吸着したタウリンの88%(回収率)を溶出させる事が出来た。溶出した画より濃縮の後、冷却、晶析によりタウリン結晶を取り出した。結晶のタウリン純度は96.0%であった。タウリンと無機塩を含有する溶解液を分子ふるい効果を示す多孔性固体物質と接触させて、該分子ふるい効果を示す多孔性固体物質にタウリンを吸着させて無機塩と分離し、次いで水を含んでいてもよい有機溶媒を用いて該分子ふるい効果を示す多孔性固体物質に吸着したタウリンを脱離させることを特徴とするタウリンの精製方法。請求項1記載の分子ふるい効果を示す多孔性固体物質が、合成吸着剤、活性炭、ゼオライト、活性アルミナから選ばれる少なくとも一種を含むものである請求項1記載のタウリンの精製方法。 【課題】タウリンおよび無機塩を含む溶液から簡便にタウリンを分離する方法を提供すること。【解決手段】タウリンと無機塩を含有する溶解液を分子ふるい効果を示す多孔性固体物質と接触させて、該分子ふるい効果を示す多孔性固体物質にタウリンを吸着させて無機塩と分離し、次いで水を含んでいてもよい有機溶媒を用いて該分子ふるい効果を示す多孔性固体物質に吸着したタウリンを脱離させることを特徴とするタウリンの精製方法。【選択図】 なし


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