タイトル: | 公開特許公報(A)_試験紙の接着剥離強度評価方法 |
出願番号: | 2004037650 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01N19/04,G01N33/34 |
佐藤 高広 JP 2005227193 公開特許公報(A) 20050825 2004037650 20040216 試験紙の接着剥離強度評価方法 大王製紙株式会社 390029148 関根 武 100104684 渡部 温 100100413 佐藤 高広 7G01N19/04G01N33/34 JPG01N19/04 BG01N33/34 5 OL 8 本発明は、板紙の接着剥離強度を評価するための試験方法に関する。 段ボール箱は商品の輸送や保管に広く用いられており、近年、段ボール箱に詰めた商品を店頭でそのまま陳列し、販売することが行われている。このように用いられる段ボール箱は段ボールシート又は板紙を折り曲げ、製函して製造されている。 段ボールシートは、波状に段繰られた(コルゲート加工された)中芯の両側に、糊澱粉やPVA等の接着剤を用いてライナーを貼り合わせて製造されている。両面段ボールシートを製造する場合には、シングルフェーサー部で中芯を段付成形して、裏ライナーと貼り合わせて片面段ボールを成形し、ダブルフェーサー部で中芯の反対側段頂に表ライナーを貼り合わせて、両面段ボールを製造している。 上述のようにして製造された段ボールシート、又は板紙を折り曲げて製函して段ボール箱が製造される。段ボール箱は、段ボールシート又は板紙の四方を囲繞する周壁を構成する4つの壁面が直線上に連続し、その各壁面の両端に折曲線により区画されたフラップを形成したものである。この周壁を構成する壁面のうち、一端の壁面には糊代部が設けられ、この糊代部を他端の壁面の縁に接着することによって、段ボール箱が製造されている。 上述したように、段ボール箱は商品の輸送や保管等に用いられているので、製造された段ボールの接着された部分には、箱を広げた際に剥離しない、商品を入れた際に剥離しない等の強度が要求される。従って、段ボール箱を製造するためには、糊代部の接着部が剥離しないものを製造する必要がある。 そこで、このような接着部の剥離を防止するために、種々の提案がなされており、これらの提案にかかる段ボールシート、又は板紙の接着剥離強度を調べる必要がある。板紙等の接着剥離評価は、内部結合強度試験(インターナルボンド試験、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.18-2)により板紙の層間剥離の評価が行われている。しかし、このインターナルボンド試験により求められた層間剥離評価は、単なる板紙の内部結合強さであり、実際の接着剥離強度は、板紙表面における接着剤の吸収性、板紙表面と接着剤の接触角、接着剤の種類により影響を受けるため、実際の接着剥離評価との間の相関は低く、インターナルボンド試験のみで、板紙の接着剥離強度を評価することはできなかった。また、従来は、官能評価による接着剥離評価が行われていた。しかし、官能試験は、パネラーの選定や育成が困難であること、客観的な判断が困難である。JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.18-2 従って、本発明の目的は、実際の板紙の接着剥離強度と相関の高い、試験方法を提供することにある。 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、試験紙と試験紙とを接着によって貼り合わせ、試験紙の破壊強度を測定することによって、上記目的を達成し得るという知見を得た。 本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、試験紙と試験紙とを接着によって貼り合わせ、試験紙の紙層の破壊強度を測定することにより、試験紙の接着剥離強度を評価する方法を提供するものである。 上記方法によれば、試験紙の紙層の破壊強度を測定することによって、試験紙の接着剥離強度を求めることが可能となる。 試験紙の紙層の破壊強度は、内部結合強度試験機によって測定することができる。 試験紙と試験紙とを貼り合わせる前には、該試験紙を加熱してもよい。 接着する試験紙のいずれか一方に接着剤を塗布することにより、試験紙と試験紙とを接着することが好ましい。 上記試験紙の接着剥離強度評価方法において評価される試験紙としては、板紙が挙げられる。 本発明の評価方法によれば、実際の試験紙の接着剥離強度との相関の高い、試験結果を得ることができ、本発明の評価方法によって、板紙等の試験紙の接着剥離強度を評価することができる。 以下、本発明の試験紙の接着剥離強度評価方法について説明する。 なお、以下の説明において、本発明の試験紙の接着剥離強度評価方法によって板紙を試験対象とする形態を例示して説明するが、本発明の試験紙の接着剥離強度評価方法によって、接着剥離強度を評価することのできる紙は、板紙に限定されず、種々のシート状物品の評価をすることができる。 板紙は、多層構成を有しており、その厚みも多岐に渡り、塗工紙、クラフト紙、上・中質紙、各種フィルム類を代表したシート状物品として好適であるとの判断から代表例として詳説する。 まず、本発明の評価方法によって評価される板紙について、図面を参照して説明する。 図1は、本発明の評価方法によって評価することのできる板紙の一例を示す断面図である。図1に示すように、本発明の評価方法によって評価することのできる板紙1は、表面層2及び裏面層4、表面層2及び裏面層4の間に位置する中間層3、及び表面層2及び中間層3の間に位置する表下層5からなる。 図1に示す板紙においては、表面層2と裏面層4とは、それぞれ異なる構成材料で構成されている。また、表面層2及び裏面層4の厚さは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよいが、通常は、表面層2の方が薄く形成されている。 また、表面層2及び裏面層4の坪量は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよいが、通常は表面層2の方が坪量が小さく形成されている。また、図1に示す板紙においては、表面層2及び表下層5、中間層3及び表下層5、裏面層4及び中間層3は、それぞれ接着剤を介して接着されている。 なお、本明細書において「表面層」とは、板紙を用いて段ボール箱を形成した際に形成される箱の最外表面もしくは最内表面を形成する層のことを意味するものとし、「裏面層」とは、中芯と接着される面を形成する層のことを意味するものとし、「表面」という場合には、表面層の表面を意味するものとする。 上記板紙の構成材料について簡単に説明する。 表面層2を構成する紙としては、通常、段ボールの板紙に用いられるものを特に制限なく用いることができるが、通常は、以下のパルプ材料を用いてなるものが用いられる。 パルプ材料としては、古紙パルプ、LUKPやLBKP等のLKP、NUKPやNBKP等のNKP、GPやTMP等の機械パルプ、ケナフやバガス等の非木材繊維、合成繊維等が挙げられる。また、表面層2には、紙力増強剤、サイズ剤や定着剤等の添加剤が適宜添加されていてもよい。また、表面層には、PVAやラテックス、顔料等の塗工がされていてもよい。 裏面層4は、表面層2と同一のパルプ材料を用いて形成してもよいが、異なるパルプ材料を用いて形成してもよい。通常は、コストや生産性等の観点から古紙パルプ材料で形成する。 中間層3は、古紙パルプを主たる構成材料としてなる層である。中間層3を構成する古紙パルプとしては、裏面層4と同一の古紙パルプを用いてもよいし、裏面層4とは異なる古紙パルプを用いて形成してもよい。古紙パルプとしては、例えば、段ボール古紙、雑誌古紙、新段古紙、地券古紙等が使用される。また、中間層3を構成する材料としては、パルプ材料を用いてもよく、例えば、LBKPやNBKPおよびLUKPやNUKP等の化学パルプ、GPやTMP等の機械パルプ、ケナフやバガス等の非木材繊維、合成繊維等が挙げられる。 表下層5は、古紙パルプ及びバージンパルプを主たる構成材料としてなる層である。古紙パルプとしては、例えば、段ボール古紙、雑誌古紙、新段古紙、地券古紙等が使用される。パルプとしては、例えば、LBKPやNBKP等の化学パルプ、GPやTMP等の機械パルプ、ケナフやバガス等の非木材繊維、合成繊維等が挙げられる。 裏面層4、中間層3及び表下層5にも、上述した表面層2と同様に、紙力増強剤、サイズ剤、定着剤等の他の成分を添加混合してもよい。 図1に示すように、表面層2と裏面層4との間には、中間層を1層のみ形成したり、中間層と表下層とを形成することができ、さらには、3層〜8層の層を形成することもできる。多層構造とした場合には、各層の構成材料は同一であってもよく、異なってもよい。 上述したような板紙は、通常の段ボールに使用される中芯紙を組み合わせて、2枚の板紙で波状形状の中芯紙を狭持して形成された3層から7層構造の段ボールとして使用することができる。また、牛乳パック等の各種容器や包装用容器を形成するための用紙として用いることもできる。 次に、本発明の試験紙の接着剥離強度評価方法について説明する。 本発明の試験紙の接着剥離強度評価方法は、試験紙と試験紙とを接着によって貼り合わせ、試験紙の紙層の破壊強度を測定する。そして、この破壊強度によって、試験紙の接着剥離強度を評価する。 試験紙と試験紙とを接着により貼り合わせるには、接着剤を用いることが好ましい。接着剤としては、例えば段ボール箱を製造する際に、段ボール箱の壁面に設けられた糊代部と他端の壁面の縁とを接着させるために用いられる接着剤を用いることができる。このような接着剤としては、酢酸ビニルエマルジョンが一般的に使用されているが、特に限定されるものではない。なお、接着剤の塗布は、試験紙の表面に行い、いずれか一方の試験紙に塗布する。 また、接着剤の塗布量は、段ボール箱を製造する際に、段ボール箱の壁面に設けられた糊代部に塗布する量でよい。塗布量は、好ましくは0.01〜0.05g/cm2程度である。また、試験紙の大きさには特に制限はないが、試験紙の紙層の破壊強度の測定は、内部結合強度試験器によって容易に測定できるので、試験紙の大きさは、市販されている内部結合強度試験器によって測定できる大きさにすることが好ましい。この大きさは、通常は25.4mm(流れ方向:抄紙方向)×25.4mm(幅方向:抄紙方向と直角の方向)程度である。なお、試験紙と試験紙とを貼り合わせる時はそれぞれの試験紙の流れ方向を同一に貼り合わせる。実際に段ボール箱を製造する際にも、流れ方向が同一になるように貼り合わせるからである。 本発明の試験紙の接着剥離強度評価方法においては、試験紙と試験紙とを貼り合わせる前に、試験紙を加熱してもよい。段ボール箱は、製造する際に、通常はコルゲータにより熱処理がなされ、所定の幅及び長さに切断される。従って、本発明の試験紙の接着剥離強度評価方法においては、コルゲータによる熱処理を再現するため、試験紙を加熱することが好ましい。通常は、100〜180℃程度の温度で5〜20秒間の加熱を行う。 なお、接着剤による接着は、加熱処理を行った後に、試験紙が室温(約25℃)にまで冷却した後に行う。 以下、図面を参照しつつ、本発明の試験紙の接着剥離強度評価方法について説明する。 図2に、試料調整を説明する図を示す。 図2に示すように、試料として用いる試験紙は、幅方向が150mmであり、流れ方向が200mmである。また、図2に示す試験紙は、図1に示す構造を有する、4層構造からなる板紙であり、表面層、表下層、中間層及び裏面層は、それぞれ表面層はNUKP、 表下層はNUKPと段ボール古紙パルプ、中間層と裏面層は段ボール古紙パルプから構成されており、坪量は、210g/m2した。また抄紙時に各層に噴霧する層間澱粉の濃度を1.5%、また噴霧圧を0.4kPaとした。(以下、この試験紙を試料1という)。 先ず、試験紙の表面に、専用スタンプを用いて接着剤を塗布する位置に印を付ける。図2に示す円形が、接着剤を塗布する位置である。 次いで、同じ試験紙を用意し、こちらには、接着剤を塗布する位置の印を付けない。印を付けた試験紙、付けていない試験紙、双方をコルゲーターにおける熱処理の再現をするため、双方の試験紙の表面に、アイロンを用いて180℃の温度で10秒間熱処理を施す。試験紙を約3分間放置し、室温(約25℃)にまで冷却する。 次いで、室温にまで冷却された試験紙の接着剤を塗布する位置に、専用の直径1cmの画びょうを用いて接着剤(ダイセル化成品(株)製、商品名「セビアン−A」)を0.03gづつ塗布する。この際、塗りはじめの箇所の接着剤が乾燥しないように敏速に接着剤を塗布する必要がある。目安として、塗布し始めから塗布の終了まで1分以内に行うことが好ましい。 次いで、接着剤を塗布した試験紙の上に、接着剤を塗布していない試験紙の表面を貼り合わせる。次いで、接着剤で貼り合わされた2枚の試験紙を、縦15cm、横25cmの3.5kgの重量の板を用いて15分間プレスする。15分間のプレスを行った後、試験紙の両面(裏面)に両面テープを貼り、図2で示す斜線部分を切り落とす。 次いで、図2で示す斜線部分を切り落とした試験紙を、内部結合強度試験機の測定台に貼り付ける。試験紙を測定台に貼る際に、接着剤を塗布した方の試験紙が下になるように貼り合わせる。また、図2に示す斜線部の左部分(約5mm)をホルダーからはみ出すように貼る。図3に、試験紙を貼り付けた測定台の断面図を示す。 図3に示すように、試験紙33は、両面テープ34、35を介して、それぞれアルミアングル31及びホルダー32に貼り付けられる。この際、流れ方向が図3に示す矢印の方向になるように貼る。 次いで、測定台を内部結合強度試験機に設定し、通常の内部結合強度試験を行い、試験紙の内部結合強度(破壊強度)を求める。 次いで、抄紙時の層間に塗布する澱粉の濃度、噴霧圧を以下のように変更して試料を調製し、同一の評価を行った。 試料2:抄紙時、層間に塗布する澱粉の濃度を2.0%とし、噴霧圧を0.4kPaとして試料を調製した。 試料3:抄紙時、層間に塗布する澱粉の濃度を1.5%とし、噴霧圧を0.6kPaとして試料を調製した。 試料4:抄紙時、層間に塗布する澱粉の濃度を1.5%とし、噴霧圧を0.8kPaとして試料を調製した。 試料5:抄紙時、層間に塗布する澱粉濃度を1.2%とし、噴霧圧力を0.8kPaとして試料を調製した。 試料6:抄紙時、層間に塗布する澱粉濃度を2.0%、とし、噴霧圧力を0.8kPaとして試料を調製した。 次いで、試料1〜試料6について、通常の内部結合強度試験(JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.18-2)を行った。 また、以下の方法により、官能試験による接着剥離評価を行った。なお、本評価は、以下に示すように、50人の官能試験により行い、下記評価基準に従って評価を行った。表に示す結果は、50人の評価結果の標準的な解答を示す。 製函機で0201型(旧A−1型)のケースを製函し、24時間後にケースの接着部を 手で剥がし、その時の剥がれ方を官能評価した。中芯は強化芯を180g/m2とし、接着剤としては、ダイセル化成品(株)製、商品名「セビアン−A」を使用した。 評価基準 ◎:接着した部分が剥がれず、中芯との貼合個所から剥がれた。 ○:接着した部分が相当量の力を入れても剥離しなかった。 △:接着した部分が相当量の力を入れると剥がれ、状況によっては問題が発生した。 ×:接着した部分がある程度の力により簡単に剥離した。 内部接着強度試験、官能試験、及び本発明の評価方法の結果を表1に示す。 表1に示すように、従来より、板紙等の接着剥離強度を求めるために用いられていた、内部接着強度試験は官能試験と相関性は低いが、本発明の評価方法は、官能試験と相関性があり、本発明の評価方法により、100mJ以上の結果が得られた場合は、官能試験による評価が良好であり、両者は相関性のあるものであった。図1は、本発明の評価方法によって評価することのできる板紙の一例を示す断面図である。図2は、試料調整を説明する図である。図3に、試験紙を貼り付けた測定台の断面図である。符号の説明 1 板紙 2 表面層 3 中間層 4 裏面層 5 表下層 31 アルミアングル 32 ホルダー 33 試験紙 34 両面テープ 35 両面テープ試験紙と試験紙とを接着によって貼り合わせ、 試験紙の紙層の破壊強度を測定することにより、試験紙の接着剥離強度を評価することを特徴とする、試験紙の接着剥離強度評価方法。試験紙の紙層の破壊強度を、内部結合強度試験機によって測定する、請求項1に記載の試験紙の接着剥離強度評価方法。試験紙と試験紙とを貼り合わせる前に、該試験紙を加熱する、請求項1又は2に記載の試験紙の接着剥離強度評価方法。接着する試験紙のいずれか一方に接着剤を塗布することにより、試験紙と試験紙とを接着する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試験紙の接着剥離強度評価方法。試験紙が板紙である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の試験紙の接着剥離強度評価方法。 【課題】 実際の板紙の接着剥離強度と相関の高い、試験方法を提供すること。【解決手段】 本発明の試験紙の接着剥離強度評価方法は、試験紙と試験紙とを接着によって貼り合わせ、試験紙の紙層の破壊強度を測定することにより、試験紙の接着剥離強度を評価することを特徴とする。【選択図】 なし