タイトル: | 公開特許公報(A)_にがり中の成分と黒砂糖エキスを含有してなる化粧料組成物 |
出願番号: | 2004036335 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61K7/00,A61K7/50 |
有地 英子 JP 2005225811 公開特許公報(A) 20050825 2004036335 20040213 にがり中の成分と黒砂糖エキスを含有してなる化粧料組成物 ラシェル製薬株式会社 597016664 清原 義博 100082072 有地 英子 7A61K7/00A61K7/50 JPA61K7/00 KA61K7/00 BA61K7/00 FA61K7/00 MA61K7/00 NA61K7/00 UA61K7/50 3 OL 15 4C083 4C083AA021 4C083AA022 4C083AA082 4C083AB032 4C083AB331 4C083AB341 4C083AB351 4C083AB361 4C083AC012 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC132 4C083AC182 4C083AC242 4C083AC352 4C083AC392 4C083AC402 4C083AC422 4C083AC442 4C083AC482 4C083AC532 4C083AC612 4C083AC642 4C083AC682 4C083AC782 4C083AD112 4C083AD391 4C083AD392 4C083AD432 4C083AD472 4C083CC01 4C083CC04 4C083CC05 4C083CC07 4C083CC23 4C083DD23 4C083DD31 4C083EE10 4C083EE12 4C083EE16 本発明はにがり中の成分と黒砂糖エキスを含有してなる化粧料組成物に係り、その目的は、保湿効果や美白効果、皮膚の新陳代謝を活性化する効果を有し、しみや、くすみ、しわといった肌に関するトラブルを未然に防ぎ及び/又は抑制し、且つ安全性の高い化粧料組成物を提供することにある。 化粧料にはその目的に応じて、種々の有効成分が配合されている。保湿剤は化粧料に配合される有効成分である。 老化や、空調による外界との極端な温度差や乾燥の原因などにより、皮膚の保湿能が低下することにより生じる、ひび、あかぎれ、小じわなどの症状を緩和し、肌本来の柔軟性や弾力性を回復し、健康的な肌を維持するために、保湿剤が配合されている。 この保湿剤としては、従来より、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、多価アルコール、ピロリドンカルボン酸、糖類、アミノ酸、コラーゲン等が用いられている。 また、美白剤も化粧料に配合される有効成分の一つであり、シミやソバカス、或いはにきび跡などの色素沈着症の予防や改善を目的として配合される。 さらに、近年、オゾン層の破壊による紫外線の増加が問題となっており、紫外線から身を守るため現代人の肌はメラニン色素が生成しやすくなっている。 そこで、紫外線が肌に照射されたときに生じるメラニン色素の生成抑制や、沈着抑制等を目的として、美白剤を配合した乳液や化粧水などが数多く創出されている。 美白剤としては、従来より、アスコルビン酸、コウジ酸、アルブチン、グルタチオン、イオウ剤等が用いられている。 しかしながら、従来より用いられている保湿剤や美白剤には、以下に示すような問題点が存在していた。 即ち、従来より用いられている保湿剤は、配合による皮膚障害が増加しており、皮膚に対する安全性が低いという問題点を有していた。 例えば、グリセリンは、保湿能だけではなく吸湿性も有しているために、角質層の水分が奪われて、皮膚炎症を起こしたり、また、皮膚全体が黒ずむ場合があるという問題点が存在していた。 また、従来より用いられている美白剤は、その効果が十分満足できるものではなく、しかも大きな欠点を抱えているものも多かった。例えば、アスコルビン酸は安定性に欠け、またコウジ酸は化粧品に配合した場合、着色が生じるという問題点を有していた。 さらに近年、住環境や、食生活の変化、或いはストレス等により、アレルギー性皮膚炎を患う患者が急増している。アレルギー性皮膚炎を予防、或いは緩和するためには、保湿と新陳代謝の活性化が重要であるが、保湿性を高める為の油分として配合される化学物質、例えばラノリンに、アレルギー反応を持つ患者も存在し、逆効果となる場合もある。 そこで、古来より美肌効果を有するといわれてきた黒砂糖エキスを用いた美肌用化粧料に関する研究が成されてきた。例えば、黒砂糖中に含まれるシュガー色素(特許文献1参照)が配合された化粧料や、2,5−ジメトキシフェニル−4’−O−D−グルコースを含む黒砂糖抽出物を配合した化粧料組成物(特許文献2参照)が開示されている。 さらに、黒砂糖エキスから得られる美肌効果をより高めるため、黒砂糖エキスに黒砂糖以外の成分を配合してなる化粧料組成物が開発されてきた。例えば、2,5−ジメトキシフェニル−4’−O−D−グルコースとカワラヨモギ及び/又はその近縁種の乾燥粉砕物又はその抽出物を含有することを特徴とする黒砂糖より抽出された成分を含む化粧料組成物(特許文献3参照)や、米ぬかより抽出した多糖類と黒砂糖から抽出した実質的に純粋な色素成分とを含有する化粧料(特許文献4参照)、黒砂糖抽出物、紫根抽出物、オウゴン抽出物、酵素及び/又は酵母を必須成分として含有してなる化粧料組成物(特許文献5参照)が開示されている。 しかしながら、上記黒砂糖エキス成分以外の成分は、植物から抽出された成分であって、非常にわずかではあるが、アレルギー反応を起こす患者が現れる心配があった。 ところで、人間も含めて海から誕生した生命体は全て、生体を機能させるために、海水に含まれる成分を必須成分としている。海水を濃縮し、食塩を結晶化させた後に残る液体であるにがりに含まれる成分にもこの必須成分が含まれている。 また、海水は新陳代謝を促進する効果を有し、昔から、皮膚炎、特にアトピー性皮膚炎に良く効くといわれている。 そして、にがり中の成分である塩化マグネシウムと塩化カリウム、硫酸マグネシウムを配合した化粧料が肌のしみやくすみを効果的に除去すること(特許文献6)が開示されている。特公昭59−48809号公報特許第3182044号公報特許第3282047号公報特公平8−18964号公報特開平10−287528号公報特開平8−183708号公報 本発明者らは、鋭意研究を続けた結果、フェニルグルコースを含む黒砂糖エキスとにがり中の成分とを共に化粧料組成物に配合することにより、両者がそれぞれ本来有する保湿効果や美白効果、皮膚の新陳代謝を活性化する効果を高め、しみや、くすみ、しわを効果的に、しかも安全に抑制できるという事実を発見し、本発明を完成するに至った。 すなわち、請求項1に係る発明は、にがり中の成分と黒砂糖エキスを含有してなる化粧料組成物に関する。 請求項2に係る発明は、前記にがり中の成分が、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物に関する。 請求項3に係る発明は、前記黒砂糖エキスがそれぞれ、式1(化1)、式2(化2)、式3(化3)で示される2,5−ジメトキシフェニル−O−D−グルコース、3,4−ジメトキシフェニル−O−D−グルコース、2,4,5−トリメトキシフェニル−O−D−グルコースより選択された一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物に関する。 2,5−ジメトキシフェニル−O−D−グルコース 3,4−ジメトキシフェニル−O−D−グルコース 2,4,5−トリメトキシフェニル−O−D−グルコース 本発明の化粧料組成物は、肌本来の柔軟性を保つ保湿効果やメラニン生成抑制等による美白効果、皮膚の新陳代謝を活性化する効果を有し、しみや、くすみ、しわといった肌に関するトラブルを未然に防ぎ及び/又は抑制し、且つ安全性の高いものである。 本発明に於ける第一の必須成分は、にがり中の成分である。にがりとは、海水を濃縮することにより食塩を結晶化させて取り出した後に残る液のことを云い、成分として塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等を含む。海水からの食塩製造時には、このにがりが得られる。 大豆タンパク水溶液である豆乳に、にがりを少量加えると、主成分のマグネシウム塩によりコロイド粒子が塩析されて凝固されるので豆腐製造に古くから用いられている。豆腐が体に良いといわれる理由の一つに、このにがりを含有していることが挙げられる。 また、特に、にがりの主成分であるマグネシウム塩は、皮膚細胞を活性化し、保湿成分である皮膚の「セラミド」の合成を促進すると一般に云われる。 本発明におけるにがり中の成分は、保湿効果を高め、皮膚の新陳代謝を高める効果を発揮できれば、特に限定されないが、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム塩化ナトリウム、及び硫酸ナトリウムから選択される一種又は二種以上を含むことが好ましい。 また、本発明におけるにがり中の成分を得る方法は、上述したとおり、海水を濃縮することにより、食塩を結晶化させて取り出した後に残るにがりから得る方法が望ましいが、にがり中の成分(例えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム)と同一の化学式で表される物質が得られる方法であれば特に限定されない。 「塩化マグネシウム」は、化学式MgCl2で表される無色から白色の結晶であり、配合量は、特に限定されないが、好ましくは全化粧料組成物重量に対し、0.0001〜0.1wt%、さらに好ましくは、0.001〜0.1wt%とする。0.0001wt%未満の場合、皮膚の老化防止や美白効果が得られない場合があり、0.1wt%を超えて配合してもそれ以上の皮膚の老化防止や美肌効果が得られない場合がある。 「硫酸マグネシウム」は、化学式MgSO4で表される無色から白色の結晶であり、配合量は、特に限定されないが、好ましくは全化粧料組成物重量に対し、0.0001〜0.1wt%、さらに好ましくは、0.001〜0.1wt%とする。0.0001wt%未満の場合、皮膚の老化防止や美白効果が得られない場合があり、0.1wt%を超えて配合してもそれ以上の皮膚の老化防止や美肌効果が得られない場合がある。 「塩化カリウム」は、化学式KClで表される無色から白色の結晶である。配合量は、特に限定されないが、好ましくは全化粧料組成物重量に対し、0.0001〜0.1wt%、さらに好ましくは、0.001〜0.1wt%とする。0.0001wt%未満の場合、皮膚の老化防止や美白効果が得られない場合があり、0.1wt%を超えて配合してもそれ以上の皮膚の老化防止や美肌効果が得られない場合がある。 「塩化ナトリウム」は、化学式NaClで表される無色から白色の結晶である。配合量は、特に限定されないが、好ましくは全化粧料組成物重量に対し、0.0001〜0.1wt%、さらに好ましくは、0.001〜0.1wt%とする。0.0001wt%未満の場合、皮膚の老化防止や美白効果が得られない場合があり、0.1wt%を超えて配合してもそれ以上の皮膚の老化防止や美肌効果が得られない場合がある。 「硫酸ナトリウム」は、化学式Na2SO4で表される無色から白色の結晶であり、配合量は、特に限定されないが、好ましくは全化粧料組成物重量に対し、0.0001〜0.1wt%、さらに好ましくは、0.001〜0.1wt%とする。0.0001wt%未満の場合、皮膚の老化防止や美白効果が得られない場合があり、0.1wt%を超えて配合してもそれ以上の皮膚の老化防止や美肌効果が得られない場合がある。 本発明におけるにがり中の成分の全配合量は、特に限定されないが、化粧料組成物全重量に対し、0.0005〜0.5wt%、好ましくは、0.005〜0.5wt%とする。にがりの配合量が0.0005wt%未満の場合、皮膚の老化防止や美肌効果が得られない場合がある。また、0.5wt%を超えて配合すると化粧料がべたつくことがあったり、逆に肌への負担となる場合がある。 本発明に係る化粧料組成物の第二の必須成分は黒砂糖エキスである。本発明では黒砂糖エキスとして、黒砂糖の色素成分を使用することが好ましい。 黒砂糖エキスを調製する方法は特に限定されず、以下のような方法を例示することができる。 まず、原料である黒砂糖(ショ糖の未精製品(黒砂糖))を適当量の水に溶解して、これを吸着剤に接触させて色素成分を吸着させる。吸着剤を水洗して糖分を除去した後に、吸着した色素成分を溶離させることによって、黒砂糖の色素成分を抽出することができる。 黒砂糖エキスを抽出する際に用いられる吸着剤は特に限定されず、非極性のポリスチレン系吸着剤を例示することができ、具体的には、アンバーライトXAD−1、アンバーライトXAD−2(いずれも商品名、ロームアンドハース社製)、セルバクロムXAD−2(商品名、セルバ社製)、ダイヤイオンHP20、ダイヤイオンHP21、セパビーズSP825、セパビーズSP850、セパビーズSP70、セパビーズSP700(いずれも商品名、三菱化学社製)等を例示することができる。 吸着剤の使用量は特に限定されず、色素成分の30〜300重量倍、より好ましくは50〜200重量倍程度とされる。 色素成分を溶離させる際に使用される溶媒としては、メタノール、エタノールなどの低級アルコール又は含水低級アルコールが好ましく用いられる。色素成分を溶離するには、まず、20〜30%程度の低濃度の低級アルコールで溶離を行い、溶離液の着色が殆ど認められなくなってから、95〜99%程度の高濃度の低級アルコールで溶離させることが好ましい。 回収した溶離液から溶媒を除去することで、黒砂糖エキスを得ることができる。 色素成分を調製する別の方法について例示すると、まず黒砂糖を抽出液としてメタノール、エタノール等の低級アルコールに懸濁させて、不溶の糖分を濾過等によって除去する。次いで、抽出溶媒を除去することによって、色素成分を回収することができる。 特に本発明では、黒砂糖エキスが、それぞれ式4(化4)、式5(化5)、式6(化6)で示される2,5−ジメトキシフェニル−O−D−グルコース、3,4−ジメトキシフェニル−O−D−グルコース、2,4,5−トリメトキシフェニル−O−D−グルコースより選択された一種又は二種以上を含有することが好ましが、2,5−ジメトキシフェニル−O−D−グルコースと3,4−ジメトキシフェニル−O−D−グルコースを含有することがより好ましく、それぞれ式4(化4)、式5(化5)、式6(化6)で示される三種類のメトキシフェニル−O−D−グルコースを含有することがさらに好ましい。 この理由は、上記二種又は三種のメトキシフェニル−O−D−グルコースを含有することにより、より高い抗炎症作用、抗酸化作用及びメラニン生成抑制作用を有するからである。 尚、抗炎症作用は、にきび等何らかの肌に生じた損傷の進行を抑制する働きを持ち、抗酸化作用は、酸化による皮膚の細胞老化等を防ぐ働きを持ち、メラニン生成抑制作用は、肌を黒化するメラニンの生成を抑制する役割を果たすため、これらの作用はいずれも、しみや、くすみ、しわといった肌に関するトラブルを未然に防いだり、抑制する重要なものである。 2,5−ジメトキシフェニル−O−D−グルコース 3,4−ジメトキシフェニル−O−D−グルコース 2,4,5−トリメトキシフェニル−O−D−グルコース 黒砂糖エキスの含有量は特に限定されないが、化粧料組成物全量中、0.0001〜0.5重量%、より好ましくは0.001〜0.01重量%とされる。0.0001重量%未満の含有量では、黒砂糖エキスの配合による効果が得られない場合がある。0.5重量%を超えて含有しても、それ以上の効果が得られない場合がある。 さらに、本発明に係る化粧料組成物では前記必須成分以外に、この発明の効果を損なわない範囲内で、ビタミン類、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤、増粘剤、界面活性剤、湿潤剤、香料、色素、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、アミノ酸類、各種動植物抽出物、胎盤抽出物などを適宜任意に組み合わせて配合することもできる。 本発明に係る化粧料組成物の剤型は特に限定されず、皮膚用化粧料や頭髪用化粧料などを例示することができる。具体的には、ローション、乳液、クレンジングクリーム、マッサージクリーム、エモリエントクリーム等のクリーム類、パック類等の基礎化粧品、或いはファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドー、おしろい等のメークアップ化粧品等を例示することができる。また石鹸、洗顔クリーム、ボディローション、ボディーシャンプー、シャンプー、入浴剤等を例示することもできる。 以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。(試料の調製) ポリスチレン系樹脂(アンバーライトXAD,2500g)を水1リットルに分散させて充填した内径8cmのカラムに、黒砂糖5kgを水25リットルに溶解した溶液を注入して、20mL/分の速度で流下させ黒砂糖の天然黒色成分を吸着させた。 次に、水を流下させ甘味の全くなくなるまで水洗した後、20%メタノールを10mL/分の速度で流下させ吸着剤から色素を溶離させた。流下液に着色がなくなるまで流下を続け展開液を混合し、60℃以下で減圧蒸発乾固して、甘味の全くない褐色残留物約20gを得た。 これを2リットルの純エタノールに加熱して溶解し、冷却後、析出した沈殿物を濾別し、濾液を60℃以下で減圧濃縮し、その残留物を60℃以下で乾燥することにより甘味の全くない黒砂糖の天然黒色成分からなる褐色粉末を得た。これを試料1とした。 得られた褐色粉末をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製、分離して2,5−ジメトキシフェニル−O−D−グルコース、2,4,5−トリメトキシフェニル−O−D−グルコース、3,4−ジメトキシフェニル−O−D−グルコースを得た。2,5−ジメトキシフェニル−O−D−グルコースを試料2とし、2,4,5−トリメトキシフェニル−O−D−グルコースを試料3とし、3,4−ジメトキシフェニル−O−D−グルコースを試料4とした。 また市販のにがり(製品名:ミクロ・ネオエキス、大阪 吉川商事株式会社製)10gを精製水1000mLに溶かして試料5とした。 試料1乃至5を表1に記載の割合で混合することにより、実施例1乃至7の試料を調製した。また試料1乃至5をそれぞれ比較例1乃至5の試料とした。(試験例1;メラニン生成抑制試験) 以下に記載の方法に従って、メラニン生成抑制試験を行った。 試験方法は、まず、B16メラノーマ細胞を24時間培養し、この培養液を、各試料を添加した培養液(試料濃度;0.025%となるように調整)に交換した。尚、ブランクとしては、精製水を添加した。 3日間培養した後、この細胞をトリプシンで処理し、10%DMSOを含む1N−NaOH溶液で加熱溶解して420nmにおける吸光度を測定した。同時にMTT還元法にて細胞数を測定し、ブランク群と試料添加群の生存細胞数に差がないことを確認した上で、ブランク細胞のメラニン生成量に対する抑制率(%)を次式1(数1)により求めた。結果を表2に記載する。 表2に示される通り、黒砂糖エキスとにがりのみを含有する実施例の試料はいずれも、黒砂糖エキス又はにがりのみを含有する比較例の試料に比べて、高いメラニン生成抑制能を有することが確認された。(試験例2;過酸化脂質生成抑制試験) 上記調製した実施例1〜7及び比較例1〜5の試料を用いて、以下の試験方法により過酸化脂質生成抑制試験を行った。以下の評価方法は、抗腫瘍薬の一種であるアドリアマイシンの副作用を利用した評価方法であり、具体的にはアドリアマイシンが心臓における脂質代謝を阻害して過酸化脂質を蓄積させるという副作用を利用した評価方法である。 まず実施例1〜7、比較例1〜5の各試料をそれぞれ表3、表4に示す試料濃度となるように0.9%生理食塩水又は1%ツゥイーン80含有0.9%生理食塩水に懸濁させたそれぞれの各試料溶液をCOF系雄性マウス(5週齢、体重20〜25g)5匹づつに、体重10g当たり0.10mLの割合で5日間連続、毎日正午に腹腔内投与した。各試料溶液投与2日目から、アドリアマイシン(協和醗酵工業社製)を体重10g当たり0.15mLの割合で腹腔内投与した。 尚、アドリアマイシンは各試料溶液投与3時間後に投与した。また、対照例のマウスには各試料溶液の代わりに0.9%生理食塩水を投与した。過酸化脂質の測定は、各マウスを6日目に頸椎脱臼により屠殺した後に速やかに心臓及び肝臓を摘出し、湿重量を測定した。次に氷冷下ポッター型ホモジナイザーにより、0.9%生理食塩水を用いて2%ホモジネート液を調製した。この2%ホモジネート液0.2mLに3%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液0.5mLを加え、約30秒間振盪混合した。これに、酢酸緩衝液(pH3.6)1.5mL、0.8%チオバルビツウル酸溶液1.5mLを加え、蒸留水を用いて全量を4.0mLとした。約30秒間よく振盪して混合した後、オイルバスを用いて95℃、60分間加熱し、5分間流水により冷却した。次に、0.2N塩酸1.0mL、n−ブタノール:ピリジン(15:1)混合溶液5.0mLを加え、激しく振盪した後、15分間、3000rpmで遠心分離を行った。上層のn−ブタノール層を分取した後、蛍光分光光度計(Ex515nm,Em553nm)を用いて蛍光度を測定した。前もってマロンアルデヒド標準液を用いて作成した検量線を用いて、過酸化脂質含有量を求め、次式2(数2)に基づいて過酸化脂質生成抑制率を算出した。結果を表3及び4に記載する。A:何も投与しないグループの過酸化脂質濃度B:対照例の過酸化脂質濃度C:アドリアマイシン及び実施例の試料溶液を投与したグループの過酸化脂質濃度 表3及び表4に示されるとおり、実施例1〜7の試料を投与したマウスは比較例1〜5の各試料を投与したマウスと比較して、いずれも過酸化脂質の生成量が低下しており、黒砂糖エキスとにがりを含有する実施例においてはいずれも、黒砂糖エキス又はにがりのみを含有する比較例のときに比べて、高い過酸化脂質の生成を抑制する作用を有することが分かる。(試験例3;保湿効果試験) 女性60名をパネラーとし、5名づつ12のグループに分けた。12のグループをそれぞれ上記実施例1〜7及び比較例1〜5の試料を配合した12のクリームを用いるグループとし、1日3〜5回、就寝前に、顔面の皮膚に適量を塗布してもらった。 1ヶ月後、皮膚の張りの程度及びしっとり感について、以下の4段階で採点してもらった。<皮膚の張り>1点・・・使用前よりも悪化している。2点・・・使用前とほとんど変化がない。3点・・・使用前に比べてやや改善している。4点・・・使用前に比べてかなり改善している。<しっとり感>1点・・・使用前よりも悪化している。2点・・・使用前とほとんど変化がない。3点・・・使用前に比べてややしっとりしている。4点・・・使用前に比べてかなりしっとりしている。 5名の平均点を算出した結果を表5及び表6に示す。 表5及び表6に示されるとおり、実施例1〜7の試料を加えたクリームは比較例1〜5の各試料を加えたクリームと比較して、いずれも皮膚の張りとしっとり感が改善していることから、黒砂糖エキスとにがりを含有する実施例の試料を加えたクリームはいずれも、黒砂糖エキス又はにがりのみを含有する比較例の試料を加えたクリームに比べて、高い美肌効果を有することが分かる。(試験例4;細胞賦活効果試験) 前記調製した実施例1〜7及び比較例1〜5のクリームを、それぞれ10人の女性にくすみの改善の程度を観察する目的に朝晩一回づつ使用してもらった。 使用する前の肌のくすみの程度と、使用して10週間後の肌のくすみの程度について、以下の5段階で採点した。5・・・肌や顔全体に暗くくすみが広がっており、はっきりと確認できる。4・・・肌や顔にはりが無く、ところどころが窪んで暗くくすみがある。3・・・顔、特に目の周囲にくすみがある。2・・・よく見ないと分からない程度のくすみが目の周囲や顔の所々にある。1・・・肌や顔全体にくすみはほとんど無い。 結果を表7に示す。尚、「著効」とは、使用前と使用後の評価が3段階以上上昇したものであり、「有効」とは、評価が2段階以上上昇したものである。また、「やや有効」とは、評価が1段階上昇したものであり、無効とは、評価が全く上昇しなかったものであり、「改善率」とは、著効と有効の合計(有効群)が全体に占める割合のことである。 表7の結果のとおり、本発明に係る化粧料組成物は、新陳代謝を促進し肌のくすみを改善する優れた細胞賦活効果を有することがわかる。また、使用期間中に被験者の肌に異常は観察されなかった。 以下、本発明に係る化粧料組成物の処方例を示す。(処方例1;ローション)スクワラン 5.00ワセリン 2.00ミツロウ 0.50ソルビタンセスキオレイン酸エステル (20EO) 0.80プロピレングリコール 5.00エタノール 5.00水酸化カリウム 0.10黒砂糖エキス 0.01にがり 0.01香料 適 量酸化防止剤 適 量精製水 残 部 合計 100.0重量%(処方例2;乳液)自己乳化型グリセロールモノステアレート 1.11ポリオキシエチレンセチールエーテル 1.89MCステアリン酸 2.00セタノール 1.00イソプロピルミリステイト 2.00パラオキシ安息香酸メチルエステル 0.20黒砂糖エキス 0.01にがり 0.01香料 適 量防腐剤 適 量精製水 残 部 合計 100.0重量%(処方例3;栄養クリーム)スクワラン 4.00セチルイソオクタノレート 2.50セチルアルコール 1.00ステアリン酸 1.00ソルビタンモノオレート 0.50ポリオキシエチレンステアリン酸エステル 2.50プロピレングリコール 8.00ソルビノール 2.00水酸化カリウム 0.10黒砂糖エキス 0.01にがり 0.01香料 適 量防腐剤 適 量精製水 残 部 合計 100.0重量%(処方例4;乳化性パック)流動パラフィン 5.00ソルビタンモノオレエート 1.00ポリオキシエチレンモノオレーエート 1.50セタノール 1.00エタノール 1.00ポリビニルアルコール 14.00ピロリドンカルボン酸ナトリウム塩 5.00黒砂糖エキス 0.01にがり 0.01香料 適 量防腐剤 適 量精製水 残 部 合計 100.0重量%(処方例5;ボディシャンプー)ラウリル硫酸ナトリウム 10.00ラウリルスルホコハク酸ナトリウム 20.00ラウリルジエタノールアミド 4.00加水分解コラーゲン 1.00ジステアリン酸エチレングリコール 1.00エデト酸四ナトリウム四水塩 0.10アラントイン 0.01塩化リゾチーム 0.01にがり 0.013,4−ジメトキシフェニル −O−D−グルコース 0.01香料 適 量精製水 残 部 合計 100.0重量%(処方例6;薬用クレンジングクリーム)軽質流動パラフィン 35.00ミツロウ 8.00パルミチン酸セチル 3.00ラノリン 1.00セスキオレイン酸ソルビタン 2.00ポリオキシエチレン(20) ソルビットミツロウ 4.5070%ソルビトール 4.00にがり 0.012,5−ジメトキシフェニル −O−D−グルコース 0.01香料 適 量防腐剤・酸化防止剤 適 量精製水 残 部 合計 100.0重量% にがり中の成分と黒砂糖エキスを含有してなる化粧料組成物。 前記にがり中の成分が、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。 前記黒砂糖エキスがそれぞれ、式1(化1)、式2(化2)、式3(化3)で示される2,5−ジメトキシフェニル−O−D−グルコース、3,4−ジメトキシフェニル−O−D−グルコース、2,4,5−トリメトキシフェニル−O−D−グルコースより選択された一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。 2,5−ジメトキシフェニル−O−D−グルコース 3,4−ジメトキシフェニル−O−D−グルコース 2,4,5−トリメトキシフェニル−O−D−グルコース 【課題】近年、食生活などの生活習慣の変化や自然環境の変化によって、日本人の多くが、しみや、くすみ、しわといったの肌に関する悩みを持つようになった。 そこで、この悩みを改善するために、本発明では、保湿効果や美白効果、皮膚の新陳代謝を活性化する効果を有し、しみや、くすみ、しわといった肌に関するトラブルを未然に防ぎ及び/又は抑制することができる安全性の高い化粧料組成物を提供することを課題とする。【解決手段】 塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムを始めとするにがり中の成分と黒砂糖エキスとを含有してなることを特徴とする化粧料組成物を提供する。【選択図】 なし