タイトル: | 公開特許公報(A)_電着塗料のpHを測定する方法 |
出願番号: | 2004033658 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C25D13/22,G01N27/28,G01N27/36,G01N27/403,G01N27/416 |
信藤 健一 中岡 豊人 JP 2005226090 公開特許公報(A) 20050825 2004033658 20040210 電着塗料のpHを測定する方法 関西ペイント株式会社 000001409 小田島 平吉 100060782 江角 洋治 100074217 安田 修 100080241 信藤 健一 中岡 豊人 7C25D13/22G01N27/28G01N27/36G01N27/403G01N27/416 JPC25D13/22 304BG01N27/28 321AG01N27/36 ZG01N27/30 371ZG01N27/46 353Z 6 1 OL 8 本発明は、電着塗料のpHを連続的に測定できる 電着塗料のpHを測定する方法に関する。 従来から電着塗料は、自動車ボディや部品などの下塗り塗料として用いられ、多くの塗装ラインにて用いられている。このような塗装ラインは、電着槽に電着塗料を満たし、被塗物をコンベアなどで搬送して電圧を印加して電着塗装を行った後、焼き付け乾燥することによって塗膜を得る自動化塗装が行われており、自動車ボディは連続的に塗装されて塗料が持ち出され、一定の塗装台数をカウントすると新たに塗料が補給され一定の塗料特性を保っている。 従来、電着塗料特性(例えば、pH、電導度、固形分、顔料分、酸濃度)を測定するためには、電着塗料槽から電着塗料をサンプリングし、その塗料を実験室に持ち帰って電着塗料特性を求めていた。しかしこれらのデータが揃うまでには、1時間〜3日間を要していた。その間にも塗装ラインが変化し続ける為、ライン対応が遅れることから仕上り性の異常が発生することがあった。 この電着塗料特性の中でもpHの測定は、例えば、HM−30G、WM−50EG(東亜ディーケーケー社製、商品名、pHメーター)、又はB−211(HORIBA社製、商品名、pHメーター)のpHメーターのガラス電極と参照電極(比較電極ともいう)を浸漬し、測定後、参照電極とガラス電極に付着した電着塗料を洗浄し、次の測定に用いていた。 この作業の繰り返しによって、参照電極やガラス電極に電着塗料が付着したり(特に、参照電極におけるKCl水溶液が染み出すピンホールに付着し、ピンホールを塞ぐことがあった)、測定値にも誤差を生じることがあった。また参照電極やガラス電極の洗浄や管理にも手間のかかるものであった。 従来の発明に、点在する塗装設備を遠隔地から管理できる塗装設備システムを開発した[特許文献1]。 そのためpHセンサーを塗装ラインに設置し、インラインで適時にpHを把握できる装置が求められていた。特開2003−13289号公報 発明が解決しようとする課題は、塗装ラインに設置しても参照電極やガラス電極に電着塗料が付着しづらく、長期間に渡ってpHの測定が可能なpH測定方法を見出すこと。 上記の課題を解決するために本発明者等は鋭意検討した結果、電着塗料を循環するための配管と、参照電極とガラス電極とを一体化した複合電極を有するpHセンサー(A)を具備するpH測定装置によって、電着塗料のpHを適時に測定することを見出し、発明を完成するに至った。 即ち、本発明は、 1.電着槽と共に循環路を形成する配管内を、流速0.01〜0.7m/秒で電着塗料を移動せしめること、 照電極とガラス電極とを一体化した複合電極を有するpHセンサーを、該配管内に配置して、該pHセンサーに電着塗料を接触せしめて、電着塗料のpHを測定することを含むことを特徴とする電着塗料のpHを測定する方法、 2.該pHセンサーの該ガラス電極の電極面が、配管内における電着塗料の移動方向に平行に、設置してある1項に記載の方法、 3.該pHセンサーの該参照電極の面積が0.1〜3cm2の範囲である1又は2項に記載の方法、 4.該pHセンサーの該ガラス電極の面積が0.5〜7cm2の範囲で、かつ平面である1〜3のいずれか1項に記載の方法、 5.該配管の管径が、10〜100mmφである1〜4のいずれか1項に記載の方法、 6.電着塗料を、塗料が摺れる摺動部分がないポンプによって移動せしめることを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法、に関する。 本発明のpHを測定する方法は、複合電極を有するpHセンサーで、塗装ラインに設置してインラインでの測定が可能である。従来のpHメーターは、センサー部分の電極に塗料が付着してメンテナンスがかかる。また、塗装ラインから塗料をサンプリングして実験室で電着特性を測定するのに膨大な時間と手間を要していた。 それに対し、本発明のpH測定装置を用いた電着特性評価方法は、遠隔地の塗装ラインにpH測定装置を設置した場合でも洗浄やセンサー交換などのメンテナンスに手間がかからず、インターネットを介したデータの送受信によって浴管理が可能となった。 適時にpHの変化を把握できることから(例えば、警告表示と組み合わせて)、被塗物に析出した塗膜が有機酸で再溶解したり、GA材の塗装時におけるピンホールの発生などを抑制することにつながる。 本発明のpHを測定する方法を実施する装置は、参照電極とガラス電極とを一体化した複合電極を有するpHセンサー(図1の1)と、電着塗料を循環するための配管(図1の3)とを具備し、電着槽(図1の4)の電着塗料を配管内を循環させて、pHを適時に測定するpH測定装置である。モデル図としては、図1で示される。 pHセンサー(図1の1)の詳細について、図2に示す。pHセンサー(図2の1)は、参照電極(図2の9)とガラス電極(図2の10)が一体型の複合電極で、配管内における電着塗料の移動方向に平行に設けられた電極面を設置する。このことによって電極面が、電着塗料の循環による洗浄効果から長期間にわたって塗装ラインに設置しても連続した使用が可能である。 pHセンサー(図2の1)における参照電極(図2の9)の面積としては、0.1cm2〜3cm2、好ましくは2cm2〜3cm2の範囲、ガラス電極の面積としては、0.5〜7cm2、好ましくは6cm2〜7cm2の範囲であることが、電着塗料が電極に付着せずに、かつ精度の高いpHを得るのに好ましい。参照電極及びガラス電極は、円形の薄い板状である。 参照電極は、比較電極とも呼ばれ、ガラス電極との間で発生する電位を標準水素電極の電位に換算する作用を有する。 上記のpHセンサーの市販品としては、センサー871A(Foxboro Company製、商品名、pHセンサー)が挙げられる。 次に、pHセンサー(図2の1)から得られたpHのデータは、ケーブル(図1及び図2の1)を通じてパソコン等に取り込むことができ、インターネットを介して測定データを遠隔地に配信することも可能である。 電着塗料を循環するための配管(図1の3)の管径は、10mmφ〜100mmφ、好ましくは20mmφ〜80mmφの範囲が、電着塗料を沈降せずに、かつ一定の流速を得るためにも好ましい。配管内の電着塗料の流速は、電着塗料が配管内で塗料が沈降することなく、かつpHセンサーに塗料が凝集して付着しないことが必要で、流速としては0.01m/秒〜0.7m/秒、好ましくは0.1m/秒〜0.5m/秒で、電着塗料槽(図1の4)から配管を通じて電着塗料(図1の5)を配管内に循環させ、pHを測定する。配管内の流速は、0.01m/秒であると電着塗料が沈降し易く、流速が0.7m/秒を超えるとpHセンサーの測定値が安定しなくなり、測定誤差が生じ易くなる。 電着塗料は、配管内を塗料が擦れる摺動部分がないポンプによって一定の流速で移動せしめされるのが好ましい。この塗料が擦れる摺動部分がないポンプは、インペラが磁気によって浮上し、電着塗料を循環するために、ポンプを回転した時に、ポンプ内に擦れる部分がないポンプであり、市販品としては、レヒドロポンプ(イワキ社製、商品名)が挙げられる。 このpH測定装置は、配管内を一定の流速にて電着塗料を循環し、適時にpHを求めることができる。従来のpH測定装置は、電極部分が塗料で汚れるため塗装ラインでの連続測定には、メンテナンスに手間のかかるものであったが、本発明によりこれらを解消することができた。 例えば、昨日の電着塗料のpHが6.6であったが、電着塗料に有機酸を添加したので、本日はpHが6.3であるとか、急にpHが5.6まで低下しているので隔膜電極やUF設備の見直しが必要、との判断が適時で行えるようになった。 また、急な生産量の増加により有機酸が電着槽内の電着塗料中に蓄積し、膜厚が低下するトラブルも、管理幅内でのpHの低下を事前に検出し、隔膜の流量を上げるなどの事前処置を行い、ライントラブルを未然に防止することができる。その他被塗装物による隔膜の破損などの事故もリアルタイムに検出し、大きなライントラブルになる前に対策を打つことができる。 次に本発明に適用できる電着塗料としては、従来から既知の電着塗料を用いることができ、カチオン電着塗料でもアニオン電着塗料のいずれでもかまわないが防錆性の面からカチオン電着塗料が主流となってきており、カチオン電着塗料について説明する。 カチオン電着塗料は、基体樹脂として、例えば、アミン付加型エポキシ樹脂やアミン付加型アクリル樹脂を用い、例えば、硬化剤としてのブロック化ポリイソシアネート、表面調整剤、触媒、界面活性剤、有機溶剤、有機酸を加えて水分散してなるエマルションと、着色顔料、体質顔料、触媒を分散樹脂とともに顔料分散してなる顔料ペーストを加え、脱イオン水で希釈して製造されたものを例示できる。 このようなカチオン電着塗料の固形分としては、0.1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは15〜25重量、pHは5.0〜7.5、好ましくは5.5〜7.0範囲が適している。本発明における測定に必要な電着塗料の量としては、10ml〜300m3の間で任意に調整することができる。このことから塗装ラインサイドや塗装ラインに隣接した管理室等においても測定できる。 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。尚、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。 実施例1 塗装ラインAにおいて、センサー871A(Foxboro Company製、商品名、複合電極を有するインライン型pHセンサー)、及び配管(管径50mmφ)を図1のように結線し、電着塗料を流速0.3m/秒で流し、pH値を自動的に計測した。その時のpH値=6.3であった。 実施例2 塗装ラインBにおいて、センサー873A(Foxboro Company製、商品名、複合電極を有するインライン型pHセンサー)、及びレヒドロポンプ(イワキ社製、商品名、塗料が擦れる摺動部分がないポンプ)を図1の(6)のように設置し、配管(管径50mmφ)を図1のように結線し、電着塗料を流速0.5m/秒で流した。1日3回のpHの測定を行い、1回目のpH値=6.4、2回目のpH値=6.5、3回目のpH値=6.5を自動的に計測し、インターネットを介して遠隔地の塗料管理者側へ配信した。 比較例1 実施例1と同様の塗装ラインAの電着塗料をサンプリングし、HM−30G(東亜ディーケーケー社製、商品名、pH測定装置)を用いて、pH値=6.3を測定した。サンプリング、及び測定に要した時間は、10分間であった。 比較例2 実施例2と同様の塗装ラインBの電着塗料をサンプリングし、HM−30G(東亜ディーケーケー社製、商品名、pH測定装置)を用いた。1日3回のpHの測定を行い、1回目のpH値=6.4を得た後、次に電極を洗浄して測定して2回目の測定値pH値=6.5を得た。また電極を洗浄して測定して3回目の測定値pH値=6.5を得た。サンプリング、及び測定に要した時間は、トータル30分間であった。 実施例、比較例の結果を表1に示す。 本発明は、電着塗料の浴管理において、pHを適時に算出できる。そのため電着塗料の変化に対しての対応や対策を早急に図れ、品質に優れる塗装物品を供給できる。本発明の電着塗料のpHを測定する方法を実施するための電着特性測定装置のモデル図である。pHセンサーのモデル図である。符号の説明1.pHセンサー2.ケーブル3.配管4.電着槽5.電着塗料6.配管10.参照電極11.ガラス電極 電着槽と共に循環路を形成する配管内を、流速0.01〜0.7m/秒で電着塗料を移動せしめること、 参照電極とガラス電極とを一体化した複合電極を有するpHセンサーを、該配管内に配置して、該pHセンサーに電着塗料を接触せしめて、電着塗料のpHを測定することを含むことを特徴とする電着塗料のpHを測定する方法。 該pHセンサーの該ガラス電極の電極面が、配管内における電着塗料の移動方向に平行に、設置してある請求項1に記載の方法。 該pHセンサーの該参照電極の面積が0.1〜3cm2の範囲である請求項1又は2項に記載の方法。 該pHセンサーの該ガラス電極の面積が0.5〜7cm2の範囲で、かつ平面である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。 該配管の管径が、10〜100mmφである請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 電着塗料を、塗料が摺れる摺動部分がないポンプによって移動せしめることを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 【課題】 適時に電着塗料のpHを測定する。【解決手段】 電着槽と共に循環路を形成するの配管内を、流速0.01〜0.7m/秒で電着塗料を移動せしめること、参照電極とガラス電極とを一体化した複合電極を有するpHセンサーを、該配管内に配置して、該pHセンサーに電着塗料を接触せしめて、電着塗料のpHを測定することを含む。【選択図】 図1