タイトル: | 特許公報(B2)_ナノ粒子含有組成物およびその製造方法 |
出願番号: | 2004019882 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 9/16,A61K 8/11,A61K 8/60,A61K 8/67,A61K 47/26,A61K 47/32,A61K 47/34,A61Q 17/04 |
辻本 広行 横山 豊和 JP 4851067 特許公報(B2) 20111028 2004019882 20040128 ナノ粒子含有組成物およびその製造方法 ホソカワミクロン株式会社 000113355 特許業務法人原謙三国際特許事務所 110000338 原 謙三 100080034 辻本 広行 横山 豊和 20120111 A61K 9/16 20060101AFI20111215BHJP A61K 8/11 20060101ALI20111215BHJP A61K 8/60 20060101ALI20111215BHJP A61K 8/67 20060101ALI20111215BHJP A61K 47/26 20060101ALI20111215BHJP A61K 47/32 20060101ALI20111215BHJP A61K 47/34 20060101ALI20111215BHJP A61Q 17/04 20060101ALI20111215BHJP JPA61K9/16A61K8/11A61K8/60A61K8/67A61K47/26A61K47/32A61K47/34A61Q17/04 A61K 9/00−9/72 A61K 47/00−47/48 A61K 8/00−8/99 A61Q 1/00−99/00 特開平09−110678(JP,A) 国際公開第99/012571(WO,A1) 特表2002−523471(JP,A) 特開昭63−232840(JP,A) 特開平05−148129(JP,A) 特開平04−364122(JP,A) 特開2003−300860(JP,A) 特開平11−005725(JP,A) 国際公開第02/053127(WO,A1) 特開昭63−225689(JP,A) 10 2005213170 20050811 22 20070117 (出願人による申告)平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)生体適合性の高分子ナノコンポジット粒子を応用したDDS開発」、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの 伊藤 清子 本発明は、ナノ粒子を含む一次粒子を形成し、さらに、この一次粒子同士が可逆的に集合するように、該一次粒子を複合化させたナノ粒子含有組成物に関するものであり、特に、皮膚に塗布するのに適したナノ粒子含有組成物に関する。 近年、ビタミンCやその誘導体が、しみやそばかすの生成を防止することが注目されている。このようなビタミンC(VC−IPなど)は皮膚深部に供給されることでその効果を発揮する。この理由は、皮膚深部が紫外線A波、皮脂酸化、微生物によってダメージを受けた場合に、ビタミンCが表皮深部に働きかけてダメージを回復させるからである。具体的には、ビタミンCは、皮膚深部のメラノサイト(色素細胞)に働いて美白効果をもたらすと共に、真皮の繊維芽細胞に働いてコラーゲン構築をもたらす、という効果を発揮する。さらに、ビタミンCがセルライトに関与する皮膚深部のアジポサイト(脂肪細胞)の脂質代謝を改善する。 しかし、ビタミンCなどのビタミン剤は皮膚表面に単に外用塗布するだけでは、ほとんど皮膚深部まで浸透しない。そこで、皮膚深部への浸透を促進させる方法として、イオン導入器で電流(0.4mA程度)を流しながら浸透させる方法や、超音波美容器で超音波を作用させながら浸透させる方法、あるいはゴーグルをかけてIPL照射を受けながら浸透させるIPL(瞬時ストロボ光)フォトフェイシャル等の方法が利用されている。さらに、皮膚深部へ浸透させる方法としては、ピーリング&オシロフォレシス(P&O)と呼ばれる、軽石状アルミナにより皮膚を3次元方向に微細振動させて劣化角質層を剥離するとともに、含浸した油性ビタミンC(/E)を皮膚深部へ叩き込む、という方法も知られている。 しかし、このような機械的刺激を与える方法では、皮膚への刺激が大きく、肌に悪影響がもたらされる危険性が少なくない。例えば、超音波美容器では、条件が悪いと、キャビテーション(空洞現象、気泡)による皮膚圧壊が生じる。また、超音波によってビタミンCの分解が生じ、ビタミンCの効果が少なくなるということも欠点の1つである。 そこで、皮膚への物理的ダメージを与えることなくビタミン剤を皮膚へ浸透させる方法が求められている。このような方法として、特許文献1に皮膚および毛髪中への浸透性を改善し得るエマルジョンの製造方法が記載されている。また、特許文献2に、ビタミン剤(活性剤)を1〜1000nmの生物分解性ポリマーの微小粒子(ナノスフェアなど)に捕捉させて皮膚に適用することが記載されている。 また、特許文献3には活性成分を含有するナノ粒子を安定に製造する方法が、特許文献4には安定性に優れ、べたつきのないナノスフェアが、特許文献5には、感触やすべり性のよい、微粒子を含む化粧品が記載されている。さらに、特許文献6には、ナノスフェアの製造方法として、ポリビニルアルコールを0.5重量%〜20重量%含む有機溶媒に生体内分解性ポリマーを添加することで、含まれる薬物の初期放出を防げることが記載されている。 一方、ナノ粒子は高反応性を有する反面、表面付着性が高いなどの理由により、使用までの保存、投与の過程での扱いにくさが問題であった。これに関しては、特許文献7に、薬物を含むナノ粒子を複合化したナノコンポジット粒子を製造する方法が開示されている。この方法によりナノ粒子を複合化することで、使用前まではナノ粒子が集まった取り扱いやすい凝集粒子となっており、使用時に水分に触れることでナノ粒子に戻って高反応性等の特性を回復するナノコンポジット粒子ができる。これにより上記問題が解決される。特開平7−165530(公開日:1995年6月27日)特許第3001821号公報(登録日:1999年11月12日)特表2001−510790(公表日:2001年8月7日)特開2000−178129(公開日:2000年6月27日)特開2003−073233(公開日:2003年3月12日)特開平9−110678(公開日:1997年4月28日)特開2003−275281(公開日:2003年9月30日)特許公報第2720247号公報(登録日:1997年11月21日)赤木訓香、吉光紀久子、三村晴子、三羽信比古著,「第28章 ヒト摘出皮膚を用いた薬剤浸透の評価法」,三羽信比古編著,「美肌・皮膚防護とバイオ技術」,第1版,株式会社シーエムシー出版,2003年8月31日,p.301−304 しかしながら、上記特許文献7のナノコンポジット粒子は、主に経口製剤、経肺製剤を対象としており、皮膚に塗布する場合はさらなる改良が求められる。 具体的には、まず、皮膚へ直接に塗布することとなるので、使用感が重要となる。よって、使用感の向上のための検討を行う必要がある。 また、ナノコンポジット粒子を、化粧品や皮膚科用の薬剤として皮膚に外用塗布する場合は、乳液等の液状物に混ぜて使用することが考えられる。ナノコンポジット粒子は、その特性上使用直前まで乾燥状態で保管する必要があるので、上記乳液との混合液を製品化する場合、使用直前に乳液と混合するという形態になる。この場合、例えば1回使用分を小型の容器に充填して販売することが有効な手段と考えられる。この際、流動性に優れて小さな容器にも容易に充填でき、さらに小さな容器により多く充填できるような嵩密度の高いナノコンポジット粒子が求められる。 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ナノ粒子を複合化した粒子を含み、使用感がよく、容器へ容易かつ高密度に充填できるナノ粒子含有組成物を効率的に製造する方法を実現することにある。 本発明に係るナノ粒子含有組成物の製造方法は、上記課題を解決するために、薬物および生体適合性高分子を含む薬物含有複合粒子の製造方法において、ポリビニルアルコールを0.5重量%未満含む水溶液に、少なくとも薬物と生体適合性高分子と有機溶媒とを加えて、薬物含有生体適合ナノ粒子を形成してナノ粒子含有溶液とするナノ粒子形成工程と、上記ナノ粒子含有溶液から上記有機溶媒を留去する留去工程と、上記ナノ粒子を複合化する複合化工程と、を有することを特徴としている。 このように、薬物と生体適合性高分子と有機溶媒を加えるポリビニルアルコール水溶液を0.5重量%以下とすることで、皮膚に塗布した場合のつっぱり感が抑えられ、乳液等の液状態との馴染みもよいナノ粒子含有組成物となる。また、このナノ粒子含有組成物は嵩密度が大きいことから、流動性に優れ、小さな容器に容易に充填でき、また高密度な充填ができる。 この効果は、ポリビニルアルコールの濃度を0.2重量%以下とすることでより一層大きくなる。 また、従来は、高濃度のポリビニルアルコール水溶液を用いたあと、ナノ粒子を遠心分離などで洗浄することでこの問題を防いでいたが、本発明の方法では、この洗浄が不要となるため手間と時間が大幅に削減できる。 また、本発明に係るナノ粒子含有組成物の製造方法は、上記留去工程のうちの、少なくとも最初から所定の時間、ナノ粒子含有溶液に水を加えることが好ましい。 ポリビニルアルコールの濃度が低い場合、溶液中でのナノ粒子の分散性が低下し、凝集や液面膜が生成しやすくなるので、留去工程をゆっくりと時間をかけて行う必要がある。しかし、水を一定速度で加えながら有機溶媒を留去することによって、急激な有機溶媒の留去を行ったとしても、ナノ粒子の凝集や液膜面の生成が防がれる。したがって、留去時間を短くできる。 ここで、上記所定時間とは、留去工程開始から水を加えずに留去を行っても凝集や膜形成をしなくなるまでの期間である。水の添加は、ナノ粒子の急激な濃度の上昇を抑えて凝集を防ぐめのものであるため、上記した凝集等を防ぐという効果を発揮するためには、留去時間の最初の期間での水の添加が重要である。したがって、ある程度希釈された後は、水の添加をやめてもかまわない。 また、この水の添加は、一定速度で行われることが好ましい。これにより、ナノ粒子の凝集や液膜面の生成を良好に防ぐことができる。 また、上記薬剤は、ビタミンまたはビタミン誘導体であることを特徴としている。ナノ粒子は、皮膚に塗布した場合に真皮まで到達させることが可能である。ビタミンやビタミン誘導体である例えばビタミンCは、真皮に作用して、しみやそばかすを防ぐ美白効果があるので、ナノ粒子に含有させて皮膚に作用させることで、高い美白効果が得られることが期待できる。また、ナノ粒子に含有された薬物は徐々に長時間放出されるので、長期間の効果が期待できる。 さらに、本発明に係るナノ粒子含有組成物の製造方法は、上記複合化工程において、ナノ粒子と共にビタミンまたはビタミン誘導体を複合化することを特徴としている。これによれば、ビタミンまたはビタミン誘導体をより多く含有するナノ粒子含有組成物にできる。また、複合化されたほうのビタミンまたはビタミン誘導体は、使用直後に周りに分散して作用し始めるため、上記のナノ粒子に含まれるものとは、違うタイミング、場所で作用する。したがって、ビタミンまたはビタミン誘導体をナノ粒子に含んだ上、複合化も行うと、速効性および遅効性の2段階の作用が期待される。 また、上記複合化工程においては、ナノ粒子と共に糖アルコールを複合化することが好ましい。これは、糖アルコールを複合化することで、複合化されたナノ粒子の分散性、耐熱性が向上するためである。糖アルコールはさらに、例えばトレハロースにように、美白・美容の効果を向上させるという効果を発揮するものもある。 また、上記複合化工程は、凍結乾燥により行われることが好ましい。これによれば、ナノ粒子の複合化が良好に行われる。 また、上記のナノ粒子含有組成物の製造方法により製造されたナノ粒子含有組成物は、以上に述べたとおり、皮膚に塗布するためのものとして好適である。したがって、化粧品として、あるいは、経皮薬剤として用いられることが好ましい。 また、本発明のナノ粒子含有組成物は、ビタミンまたはビタミン誘導体を含有するナノ粒子と、水溶性のビタミンまたはビタミン誘導体と、を複合化したナノコンポジット粒子を含むことを特徴としている。 これによれば、ナノコンポジット粒子の表面に付着した水溶性ビタミンまたはビタミン誘導体が、投与直後に溶け出して速効性の作用を発揮し、次にナノ粒子に含有されたビタミンまたはビタミン誘導体が、徐々に放出される徐放性の作用を発揮する。したがって、長期間にわたってビタミンの効果が発揮されるナノ粒子含有組成物となる。 本発明に係るナノ粒子含有組成物の製造方法は、0.5重量%未満のポリビニルアルコールの水溶液に、少なくとも薬物と生体適合性高分子と有機溶媒を加えて、薬物含有生体適合ナノ粒子を形成してナノ粒子含有溶液とするナノ粒子形成工程と、上記ナノ粒子含有溶液から上記有機溶媒を留去する留去工程と、上記ナノ粒子を複合化する複合化工程と、を有する。 これにより、皮膚に塗布した場合のつっぱり感が抑えられ、乳液等の液状態との馴染みもよいナノ粒子含有組成物が製造できる。また、製造されたナノ粒子含有組成物は、嵩密度が大きいことから、流動性に優れ、小さな容器に容易に、かつ高密度に充填ができる。また、製造の手間と時間が大幅に削減できる。 本発明の一実施形態について図1ないし図7に基づいて説明すると以下の通りである。 本実施の形態にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、ナノ粒子を含む一次粒子を形成し、さらに、この一次粒子同士が可逆的に集合するように、該一次粒子を複合化させる方法である。 本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、各種新素材の開発等幅広い分野に好適に用いられるが、例えば化粧品の材料としての粉末を製造する用途等に好適に用いることができる。これは、複合化させた粒子が使用時に、一次粒子を経て、ナノ粒子単位に分散して、皮膚の深部にまで浸透し、皮膚深部でナノ粒子から徐々に薬物を放出させるからである。 本発明におけるナノ粒子の材質は、ナノ粒子化できる物質であれば特に限定されるものではない。ナノ粒子の製造方法としては、目的の物質を、1000nm未満の平均粒径を有する粒子に加工することができる方法であれば特に限定されるものではないが、本発明では、特に薬物をナノ粒子化する場合には、球形晶析法を用いることが非常に好ましい。 球形晶析法は、化合物合成の最終プロセスにおける結晶の生成・成長プロセスを制御することで、球状の結晶粒子を設計し、その物性を直接制御して加工することができる方法である。球形晶析法には、晶析する結晶の生成・凝集機構の違いによって球形造粒法(SA法)と、エマルジョン溶媒拡散法(ESD法)とに分けることができる。 SA法は、二種類の溶媒を用いて薬物結晶を析出させて、球形造粒結晶を形成する方法である。具体的には、まず、目的の薬物を溶解し難い貧溶媒と、該薬物を良好に溶解でき、かつ貧溶媒にも混和拡散できる良溶媒とを準備する。そして、良溶媒に溶解させた薬物溶液を、撹拌下、貧溶媒中に滴下する。このとき、良溶媒の貧溶媒への移行や温度効果等による溶解度の低下を利用することで、図2(a)の最左図に示すように、薬物の結晶51が系内に析出する。 さらに、系内に、薬物と親和性を有し貧溶媒には混和しない少量の液体(液体架橋剤)を添加すると、図2(a)の最左図に示すように、液体架橋剤52が遊離する。そして、結晶51の間に架橋が形成され、界面張力および毛細管力により、図2(a)の左から2番目の図に示すように、非ランダムに結晶51が凝集し始める。なお、この状態をファニキュラー状態という。 ファニキュラー状態の系に対して、さらに機械的剪断力を加えると凝集した結晶51は圧密化され、図2(a)の左から3番目の図に示すように、略球状の造粒物53となる。なお、この状態をキャピラリー状態という。キャピラリー状態の造粒物53がランダムに合一することで、図2(a)の最右図に示すように、最終的な球形造粒結晶54が形成される。 上記良溶媒および貧溶媒の種類、並びに液体架橋剤52の種類は、目的となる薬物の種類等に応じて決定されるものであり特に限定されるものではない。また、結晶析出時の条件や機械的剪断力の加え方も特に限定されるものではなく、目的となる薬物の種類や、球形造粒結晶54の粒径(本発明の場合ナノオーダー)等に応じて適宜決定すればよい。 ESD法も、二種類の溶媒を用いる方法であるが、SA法とは異なり、エマルジョンを形成してから、良溶媒と貧溶媒との相互拡散を利用して薬物を球状に結晶化させる方法である。具体的には、まず、良溶媒中に溶解した薬物溶液を撹拌下、貧溶媒中に滴下する。このとき、薬物と良溶媒とが親和性を持つため、良溶媒の貧溶媒への移行が遅れ、図2(b)の左図に示すように、エマルジョン滴55が形成される。 そして、図2(b)の中図に示すように、エマルジョン滴55の冷却、並びに、良溶媒および貧溶媒の相互拡散(図中黒矢印が良溶媒の拡散、白矢印が貧溶媒の拡散を示す)により、エマルジョン滴55内で、薬物の溶解度が低下していき、図2(b)の右図に示すように、薬物の球形結晶粒子56が、エマルジョン滴55の形状を保持したまま析出、成長する。 上記良溶媒および貧溶媒の種類についても、SA法と同様、目的となる薬物の種類等に応じて決定されるものであり特に限定されるものではない。また、エマルジョンの形成条件や結晶析出時の冷却条件等も特に限定されるものではなく、目的となる薬物の種類や、球形結晶粒子55の粒径(本発明の場合ナノオーダー)等に応じて適宜決定すればよい。 上記球形晶析法では、物理化学的な手法でナノ粒子を形成でき、しかも得られるナノ粒子が略球形であるため、均質なナノ粒子を、触媒や原料化合物の残留といった問題を考慮する必要なく、容易に形成することができる。また、ナノ粒子を生体に適用する場合は、ナノ粒子を生体適合性高分子等で修飾する場合があるが、球形晶析法では、良溶媒に薬物と生体適合性高分子とを溶解させるだけで、両者が複合化されたナノ粒子を形成することができるので、非常に好ましい。 上記球形晶析法にて得ることができる生体適合性ナノ粒子を構成する素材としての生体適合性高分子は、生体への刺激・毒性が低く、生体適合性で、投与後分解して代謝される生体内分解性のものが望ましい。また、内包する薬剤を持続して徐々に放出する粒子であることが好ましい。このような素材として、例えばポリ乳酸・グリコール酸(PLGA)が挙げられる。PLGAは薬物を内包可能であり、当該薬物の効力を保持したまま長期間保存できることが知られている。さらに、PLGAの加水分解・長期半減期の特徴から、数日から1ヶ月単位の徐放ができると考えられる。生体適合性高分子としては、ほかに、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)等が挙げられる。また、これらのコポリマーを用いても良く、アミノ酸のような荷電基あるいは官能基化し得る基を有していてもよい。 上記以外の生体適合性高分子としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンのようなポリアルキレン、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテルおよびポリビニルエステルのようなポリビニル化合物、アクリル酸とメタクリル酸とのポリマー、セルロースおよび他の多糖類、ならびにペプチドまたはタンパク質、あるいはそれらのコポリマーまたは混合物が挙げられる。 上記生体適合性高分子としては、特にポリ乳酸・グリコール酸を好適に用いることができる。ポリ乳酸・グリコール酸の分子量は、5,000〜200,000の範囲内であることが好ましく、15,000〜25,000の範囲内であることがより好ましい。乳酸とグリコール酸との組成比は1:99〜99:1であればよいが、好ましくは、乳酸1に対しグリコール酸0.333であることが好ましい。また、乳酸およびグリコール酸の含有量が25重量%〜65重量%の範囲内である前記PLGAは、非晶質であり、かつアセトン等の有機溶媒に可溶であるから、好適に使用される。 また、上記生体適合性ナノ粒子に内包される薬物としては、ビタミン、プロビタミン(ビタミン誘導体)や種々の薬剤が挙げられる。後述するように、本発明のナノ粒子含有組成物は皮膚からの浸透に優れ、化粧品、経皮薬剤として好適に使用できるが、プロビタミン(特にプロビタミンC)は皮膚の塗布等による美白効果が注目されていることから、上記生体適合性ナノ粒子としてプロビタミン封入のPLGAを製造すれば、効率的に作用するプロビタミン含有の化粧品とすることができる。 ナノ粒子に封入するプロビタミンとしては、ビタミンA、B、C、Eの誘導体が挙げられ、具体的にはVC−IP(脂溶性テトラヘキシルデカン酸アスコルビル)、VE(酢酸トコフェロール)、VA(ビタミンA・レチノール、ビタミンA前駆物質:β-カロチン)などが挙げられる。これらのナノ粒子への封入率は、球形晶析法の水中エマルション溶媒拡散法を使用した場合で、VC−IP15%、VEでは20%、とすることが可能であった。 特に、プロビタミンC(VC−IPなど)は皮膚深部に供給されることでその効果が向上することから、ナノ粒子に封入する薬物として好適である。プロビタミンCが皮膚深部に供給されることが必要となるのは、皮膚深部が紫外線A波(UVA)、皮脂酸化、微生物によってダメージを受けた場合に、ビタミンCが表皮深部に働きかけてダメージを回復させるからである。具体的には、ビタミンCは、皮膚深部のメラノサイト(色素細胞)に働いて美白効果をもたらすと共に、真皮の繊維芽細胞に働いてコラーゲン構築をもたらす。さらに、ビタミンCがセルライトに関与する皮膚表皮及び深部のアジポサイト(脂肪細胞)の脂質代謝を改善する。さらに、油性プロビタミンCのVC−IPについては、UVAによるヒト皮膚角化細胞HaCaTのDNA鎖の切断を防御する効果、ないし、紫外線B波(UVB)による皮膚細胞DNA鎖切断に対する防御効果も期待されている。 また、経皮薬剤としては、麻酔薬としてのクエン酸フェンタニル、寄生性皮膚疾患(水虫など)用薬剤としてのビホナゾール、毛髪育毛剤としてのミノキシジル等が挙げられる。また、経肺薬剤としてのインスリン(糖尿病用薬剤)や、カルシトニン(骨粗しょう症用薬剤)等も挙げられる。なお、この薬剤を、球形晶析法の油中転相法を使用して封入した場合の封入率は、インスリンで6〜10%、カルシトニンで6〜10%であった。 ナノ粒子の粒径は、1000nm以下であればよいが、250nm以下とすることがより好ましい。また、ナノ粒子の粒径を100nm以下とすることで、皮膚への浸透性が非常に高いナノ粒子となるので好ましい。 以上のようにして得られたナノ粒子は、凍結乾燥等により粉末化させる際に再分散可能な凝集粒子にできる(複合化できる)。また、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法により(例えば特許文献7に記載された装置、具体的には、メカノフュージョンAMS(ホソカワミクロン)により)、圧縮力および剪断力を加えることで複合化しても、再度分離可能な状態で一体化できる。これにより、使用前まではナノ粒子が集まった取り扱いやすい凝集粒子となっており、使用時に水分に触れることでナノ粒子に戻って高反応性等の特性を復元するナノコンポジット粒子ができる。 生体適合性ナノ粒子は、化粧品の特性を向上させるために、複合化の際に、有機または無機の物質を再分散可能に複合させることが好ましい。例えば、糖アルコールやショ糖を適用することにより、糖アルコール等が賦形剤となり取り扱い性を高めることができる。糖アルコールとしては、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、マルチトース、キシリトースなどが挙げられ、この中でも特にマンニトールが好ましい。マンニトールは、化学的に安定で、酸化されず、耐湿性であり、キャリア粒子に適している。特にトレハロースは、ビタミンCやその誘導体等の美白剤と併用することで、美白作用を高めるので(特許文献8参照)非常に好適である。 また、ナノ粒子の表面に粘膜付着性を高めるキトサンを複合化したり、リン脂質(レシチン/フォスファジルコリン)を複合化させて皮膚親和性を高めてもよい。また、ポリエチレングリコール(PEG)を複合化することで、水に溶けやすくなり、皮膚への浸透性を高められる。さらに、タルクを複合化することで、粒子のすべり性が向上し、肌への使用感を高めることができる。 また、複合化の際に、複合化粒子(ナノコンポジット)の表面にさらにプロビタミン等の薬剤を付着させることにより、ナノ粒子から徐放的に放出される含有薬剤とは別に、皮膚浸透直後に複合化粒子表面から溶け出す速効性の薬剤を作用させることができる。このような薬剤としては、水溶性のプロビタミン類、例えば、VC-PMG(水溶性リン酸アスコルビルMg)、AA2G(アスコルビン酸グルコシド)、パンテノール(水溶性ビタミンB5)、Lシステイン等が挙げられる。このような構成とすることで、PLGA複合化粒子にさらにすばやい浸透性(速効性の浸透作用)を与えられる。なお、複合化される薬剤が水溶性であれば、すばやく溶けて速効性の効果を示すのでより好ましい。 また、ナノ粒子に含有される薬剤と、複合化される薬剤とを有することで、速効性と遅効性の双方の効果を持つので、皮膚塗布後から長期間の間の浸透を可能とする。 このようにして製造した複合化粒子は、このまま肌に付着させることでも肌に浸透し、含有または付着した薬剤を皮膚深部に運ぶ効果があるが、乳液等と混合して使用することでさらに有効な浸透性を生じる。しかしながら、PLGAは水分と混合させると加水分解されてしまい、短期間に複合粒子の運搬性能が失われてしまう。そこで、このような乳液として使用をする場合は、図3のような、乳液と粉末とを隣り合う別々の容器に充填して保存しておき、使用直前に容器同士の仕切りをはずして乳液と粉末とを混合できる容器を使用することが好ましい。 次に、実際にPLGA粒子作製から複合粒子作製までの工程を図1を用いて説明する。 [ナノ粒子形成工程] ポリビニルアルコール(PVA)8gを4000mlの水で希釈した0.2重量%水溶液をビーカーに入れる。このPVA水溶液を40℃、400rpmで攪拌し、攪拌されているPVA水溶液中に、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA:和光純薬製PLGA7520)80g、アセトン1600ml、エタノール800ml、プロビタミンCである脂溶性テトラへキシルデカン酸アスコルビル(VC−IP:日光ケミカル製)12gからなる溶液を15ml/minの割合で滴下した。これによりナノ粒子含有溶液が生成された。 [留去工程] ナノ粒子含有溶液に、精製水を4ml/minで合計320ml加えながら、40℃、100−200rpmで攪拌しつつ、有機溶媒を留去した。 [凍結乾燥工程] 有機溶媒を留去したPLGA懸濁液に、賦形剤としてのマンニトール80g、水溶性ビタミンである水溶性リン酸アスコルビルmg(VC−PMG)40gと、精製水200mlを加え、ビーカを超音波下でプレ凍結し(すなわち、−40℃で15分冷却し)、その後、−80℃、真空度10torrで、凍結乾燥した。これにより、PLGA複合化粒子(複合粒子)を得た。 得られたPLGA複合化粒子は、図3の粉体側容器と溶液側容器が一体化しており、使用時に混合できる用事分散型容器の、粉体側容器(容量1.5cc)に160mg充填し、溶液側容器(容量5.5cc)には乳液を充填した。これにより、使用する直前に混合して、PLGA複合化粒子を含む乳液ができる。 上記方法における詳細な設定は、適宜変更してもよいが、混合工程のPVA濃度は、0.5重量%未満、好ましくは0.4重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下とするのが好ましい。また、0.1重量%以上とするのが好ましく、0.2重量%とすることがさらに好ましい。 この理由は、高濃度PVAを使用すると、凍結乾燥品にはPVAが過剰に含まれてしまい(多い場合にはPLGA固形分より多く含まれることがある)、化粧品へ応用する場合に障害となる。 障害は、具体的には、以下のとおりである。・PVAは親水性で吸湿性であるので、過剰のPVAが吸着しているPLGA複合化粒子はベトベトして、品質が損なわれる。・PVAの添加量の増大と共にかさ密度が小さくなり充填性(容器への充填のしやすさ)が悪くなる。また、針状形状になりやすい点からも充填性、使用感が損なわれる。・皮膚塗布すると、PVA特有の「のり」の機能のため、肌の引張り感(つっぱり感)が強くでる。 これを防ぐためには、例えば、過剰なPVAを、晶析、溶媒留去後に除去する必要が生じる。通常はPVAの除去のために、遠心分離で粒子を単離させ、余分なPVAを含む上澄み液を廃棄して、精製水に置換して、再度遠心分離することでPVAを除去することが考えられる。しかし、この遠心分離操作は大変手間のかかる操作であり、工業化を視野に入れると、ナノ粒子を効率よく製造するうえでの障害となる。 そこで、この除去作業(遠心分離等)を行わない製造方法を検討した結果(実施例6参照)、最終的なPLGA複合化粒子に含まれるべきPVA量だけしか含まない溶液にてPLGA複合化粒子を製造することにより、除去作業が不要とすることができることを見出した。最終的なPLGA複合化粒子に含まれるべきPVA量は、PVA濃度としては約0.2重量%程度であり、多くても0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%以下のものを使用することが好ましい。 PVA濃度が0.2%と低い場合は、晶析操作後の留去工程を時間をかけてゆっくりと行えば凝集や膜が生成されることはないが、これは工業化における障害となる。一方、急速な留去(例えば留去速度80ml/分以上)をした場合、溶媒を留去しつつ溶液を濃縮するにしたがい、PLGAの残存している良溶媒への部分的な再溶解を招き、強い凝集塊や膜を形成してしまうので、再分散ができなくなる。 そこで、この凝集や膜形成を抑制する目的で、濃縮とともに水を供給し、PLGA粒子の水中での分散性を維持させている。この場合、以下の実施例6に示すとおり、水の添加は、留去とともに一定の添加速度で供給することが必要である。 このとき添加する水は、留去工程のうちの最初から所定期間、すなわち、留去工程開始から水を加えずに留去を行っても凝集や膜形成をしなくなるまでの間加えつづけることが好ましい。また、このとき加える水の量は、1分間の留去量の1重量%以上であることが好ましく、4重量%以上であることがより好ましい。また、1分間の留去量の10重量%以下で加えることが好ましく、5重量%以下で加えることがより好ましい。 また、凍結乾燥工程の直前に糖アルコール、ビタミン剤などの水溶液を添加して、凍結乾燥することにより、PLGA粒子の周りに糖アルコール、ビタミン剤(水溶性プロビタミンなど)が混在した形でPLGA粒子を複合化できる。糖アルコールを付加することにより、熱に弱いPLGA粒子に耐熱性を与えられ、PLGA複合化粒子を安定して保存できると共に、複合化粒子の再分散性が向上し、皮膚深部にまで浸透できるようになる。また、ビタミン剤を付加することにより、PLGA複合化粒子により多くのビタミンを含ませることができ、ビタミン剤の効果を高めることができる。 なお、ビタミン剤は、凍結乾燥してPLGA複合化粒子を形成した後に、粒径10μm程度に粉砕して混合してもよい。これによれば、より一層ビタミン剤の配合量を高めることができる。 以上のようにして製造した複合化粒子の構成を図4を用いて説明すると、VC−IP(薬物)を含むPLGA粒子の表面にPVAが付着しており(最右の図)、このPLGA粒子が、マンニトールや水溶性ビタミンと共に複合化粒子を形成している(真ん中の図)。そして、複合化粒子がさらに再分散可能に凝集して巨大粒子を形成している(最左の図)。 なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。 上記した実施の形態の方法に沿って、球形晶析法(水中エマルション溶媒拡散法)にて、VC−IPの代わりに蛍光標識クマリンを封入したPLGA粒子を製造し、ヒトの皮膚への浸透性を調べた。比較例としてクマリンの10%溶解液のヒトの皮膚への浸透性を調べた。クマリンとしては、クマリン6(COUMARIN6)、すなわち[C20H18N2O2S 3-(2-Benzothiazolyl)-7-N、N-diethylaminocoumarin]を用い、PLGA:クマリン=2000:1となるように、封入した。クマリンの励起波長は458nmであり、蛍光波長は505nmである。 このPLGA粒子の水分散液(水溶液中のクマリン濃度:0.00005%)またはクマリン溶解液を被験者の皮膚に塗布した後、クマリンの蛍光を追跡することで、PLGA粒子の皮膚への浸透性を観察した。 図5に、35歳女性の脇の皮膚に上記クマリン含有PLGA水分散液(図5(b))、あるいはクマリン溶解液(図5(a))を塗布した2時間後、3時間後、4時間後の表皮の断面図の写真を示す。クマリン溶解液では、蛍光色素クマリンは時間と共に角質(皮膚表面から0.01mm)・表皮(皮膚表面から0.1mmまで)を経て真皮まで浸透しているものの、蛍光染色されている範囲および量は少なく浸透性はよくない。一方、クマリン含有PLGA水分散液のほうでは、2時間後には1mm程度の深さまで広範囲に染色されており、皮膚深部(皮膚から8mm以上)にまで多量にすばやく達していることがわかる。また、4時間後には毛穴周辺が濃く染色されており、毛穴から多量に皮膚の深部へ浸透していることが推察される(図5(b)の4時間後の図の拡大図である図5(c)参照)。すなわち、皮膚深部への薬剤浸透ルートの1つとして、毛穴をバイパスとして用いることで、浸透作用が強くなると思われる。 上記した実施の形態の方法に沿って、VC−IPを封入率13〜15%で含有するPLGA粒子(平均粒子径240nm)の水分散液(分散液中のVC−IPの濃度は1%)を用い、改変ブロノフ拡散チェンバー法で皮膚浸透試験を実施した。なお、比較例としては、VC−IP溶解液(濃度1%)を利用した。 改変ブロノフ拡散チェンバー法の工程を以下に説明する(非特許文献1参照)。1)被験者(52歳女性の上瞼)から皮膚片を摘出し、皮下組織を1mm程残して除去する。2)皮膚片を垂直方向に数個の小片に分割する。3)皮膚小片の切断側面をバイオコンパチブルTGポリマーで包む。4)滅菌された改変ブロノフ拡散チェンバーのハウジングに設置する。5)チェンバーを24穴マイクロプレートに設置し、無血清DMEM培地を入れる。6)5%炭酸ガスを通気して、pHを7.2〜7.3に維持する。7)サンプルを皮膚表面側に添加する。8)一定期間後(0.5時間後、2時間後、4時間後)に、皮膚小片を取り出す。9)参照皮膚小片をEvG染色により染色し、角質、表皮、真皮の厚さを測定しておく。10)皮膚小片をトリプシンで表皮と真皮とに分離する。11)分離した表皮と真皮とを適切に細胞破砕する。12)それぞれの細胞破砕液を、常法でHPLC分離し、蛍光・クーロメトリックECD・UV検出器で定量する。 0.5時間後、2時間後、4時間後に、表皮(E)および真皮(D)それぞれの組織中のビタミンC量を測定した。なお、PLGAとしては、和光純薬製のPLGA7520を、プロビタミンC(VC−IP)としては、日光ケミカル製のものを用いた。 結果を図6の下の棒グラフに示す。比較例のVC−IP溶解液を塗布した場合は、0.5時間後に表皮(E)に80nmol程度存在するが、2時間、4時間後には20nmolに減った。また、真皮(D)にはどの時間でも4nmol程度しか浸透しなかった。 一方、本発明に従って作成したVC−IP封入PLGA粒子の水分散液を塗布した場合のビタミンC量は、表皮(E)では、0.5時間、2時間、4時間後に、それぞれ約70nmol、約10nmol、約50nmolと変化し、真皮(D)では、約2.1nmol、約8nmol、約14nmolと徐々に浸透量が増大した。 両者を比較すると、VC−IP封入PLGA粒子の水分散液を塗布した場合の、4時間後の真皮でのビタミンC値は、VC−IP溶解液の4時間後の値と比べての3.5倍と非常に高い値となった。すなわち、VC−IP溶解液ではほとんど真皮にまで浸透しないのに対し、PLGA粒子に含有させることで、真皮にまで浸透していくことが分かった。実施例1の結果を考えあわせると、PLGA粒子は、毛穴のバイパス効果も生じ、良好に真皮まで送達されているものと推測される。また、PLGA粒子からは徐々にVC−IPが流出するものであるため、PLGA粒子に含まれるVC−IPは、持続的長時間にわたってゆっくりと皮膚に放出されていくと考えられる。 また、VC−IP封入PLGA粒子の水分散液を塗布した場合は、表皮でのVC−IPが0.5時間後から2時間後に一度減少し、4時間後に再び増加している。このことは、4時間後に皮膚深部に浸透したPLGA粒子からのVC−IPの流出が大きくなり、流出したVC−IPが深部から表皮に移動したことを示している可能性がある。 さらに、図6の上のグラフは、表皮及び真皮中での総ビタミンCに占める還元型ビタミンC(アスコルビン酸)の割合(Asc/t−vitamineC)を示したものである。この値は、総ビタミンC量のうちの酸化分解されていない有効なビタミンC(還元型ビタミンC)の割合を示したものであり、酸化分解への抵抗性を示す。つまり、この値が大きいほどビタミンCの酸化分解がされにくく、ビタミンCの薬効が大きいとみなされる。図6の上のグラフによると、VC−IP封入PLGA粒子の場合は、2時間後や4時間後でも、真皮で良好に還元型ビタミンCが残っていた。この値については、VC−IP溶解液の4時間後の結果でも良好であるが、VC−IP溶解液では浸透する量自体が低いので、還元型ビタミンCの総量としては低い。 図6の下の棒グラフの数値と上のグラフの数値とを掛け合わせ、真皮における還元型ビタミンC量(Asc/t−vitamineC)を表した値を図7に示す。これによれば、VC−IPを封入したPLGA粒子の場合は、VC−IP溶解液に対して、2時間後の値では6.7倍、4時間後の値では4倍近くの高い還元型ビタミンCの量を有していることが分かる。したがって、PLGA粒子はVC−IPを有効な還元型ビタミンCの状態で多量に浸透させられることが示された。つまり、PLGA粒子は“VC−IPの浸透剤“としての効果を示すといえる。 なお、PLGA粒子内にVC−IPがリザーバー型で封入されていたとしても、PLGA粒子が浸透した数時間後という短時間のうちでは、徐放性基材のPLGA粒子からVC−IPはそれほど放出されず、皮膚中にこれに由来するVC−IPが検出されることはないと考えられる。したがって、以上の皮膚浸透の実験では、モノリシック型のナノスフェアであるPLGA粒子表面部のVC−IPが、すばやく皮膚浸透して、皮膚深部でビタミンC量を上げていたと推定される。 実施の形態の製造方法に従って、PLGA複合化粒子の製造を行った。PLGA複合化粒子の一例として、以下の配合比率(重量比)のPLGA複合化粒子を得た。 PLGA:1.00に対し、 脂溶性プロビタミンVC−IP:0.15 PVA:0.10〜0.30 賦形剤(マンニトールもしくはエリストール):1.00 水溶性プロビタミンVC−PMG:1.125 実施の形態の製造方法において、晶析(水中エマルション溶媒拡散法)時のPLGA(VC−IP)/エタノール・アセトン溶液を滴下する貧溶媒のPVA水溶液の濃度(重量%)を0.2%、0.4%、0.6%に変更して薬物含有PLGA複合化粒子を製造し、複合化した。PVA濃度以外の晶析、凍結乾燥の条件はすべて同一である。なお、従来のPLGA複合化粒子では、PVAは約3重量%濃度とするのが標準的であり、特許文献6では0.5重量%以上としている。さらに、ここでは、留去工程で、精製水を4ml/minの一定速度で300分間添加した。 上記複合化粒子の再分散性・嵩密度・容器充填性を測定し、その結果を表1に示す。ここで、本実験において、PVA水溶液の濃度(重量%)を0.2%、0.4%、0.6%とした場合、PLGA(VC−IP)/エタノール・アセトン溶液を滴下した後のPVA溶液では、PLGA複合化粒子に対するPVA濃度が10重量%、20重量%、30重量%となる。 再分散性は、複合化粒子を精製水中に分散させて分散した粒子の粒度を測定したものである。ここで、PLGA複合化粒子としては粒径が約0.22μm程度であるので、再分散性が良ければ精製水中の粒度はこの値に近くなる。表1によれば、PVA水溶液濃度を0.2%、0.4%、0.6%としたいずれのPLGA複合化粒子でも、粒径0.2〜0.3μmにまで再分散が可能であり、PVA水溶液濃度を従来より薄くしたとしても、再分散性には影響しないことが分かる。 また、嵩密度は、1ccのPLGA複合化粒子の重さを測定したものである。方法としては、スクリュー管瓶にPLGA複合化粒子を、ゆるめ(サンプル秤量後なじませる程度)あるいは、かため(180回タッピングする)に入れて、高さと重量を測定し、1ccあたりの重量を算出した。ここでも、嵩密度はゆるめで0.02〜0.05g/cc、かためで0.04〜0.09g/cc程度という化粧品粒子としてバランスの良い粒子となっていた。 しかしながら、PLGA複合化粒子を容器に充填する際の容易さ(容器充填性)を比べると、表1に示すように、PVA水溶液濃度が高い場合に問題があった。これは、PVA水溶液濃度が0.2%、0.4%、0.6%と高くなるにつれて、製造されたPLGA複合化粒子が丸形状から針形状と形状が変わるためである。PLGA複合化粒子が針形状であると、流動性が低く、また嵩ばるため、扱いにくくなり、容器に充填するという作業が行いにくくなる。この容器充填性は、特に化粧品として販売するために必要となる小さな容器に充填するという作業を鑑みると重要となる。 以上の測定結果によれば、容器充填性から、使用するPVA水溶液の濃度を0.4%以下とすることが好ましく、0.2%以下とすることがより好ましいと言える。 次に、実施例1のPLGA複合化粒子を、以下の配合比率(重量比)の乳液と混合した場合の特性を測定した。 レシチン乳液:1.000に対し、 リピジュア:0.005 プルラン:0.005 測定した特性とは、乳液と混合した場合の馴染みやすさ、PLGA複合化粒子を皮膚に塗布した場合の肌への浸透性、PLGA複合化粒子180mgを5gの乳液に混合したもの(以下PLGA乳液と称する)を皮膚に塗布した場合の肌への浸透、PLGA乳液の使用感である。 なお、上記レシチン乳液は、水(約80重量%)、水添レシチン(約重量10%)、ブチレングリコール(約10重量%)を含み、その他微量配合成分として、ミネラルオイル、グリセリン、トリオクタノイン、イソペンチルジオール、セタノール、カルボマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水酸化Naを適量加えたものである。 PLGA複合化粒子の乳液との馴染みやすさは、PLGA複合化粒子が乳液にすぐに分散するかを目視で観察したものである。結果を表2に示す。これによれば、PVA濃度が0.2%の場合には問題なく乳液に馴染むが、0.4%では馴染まない場合があり、0.6%となると、複合化粒子表面の水溶性ビタミンがうまく溶けずしばらく残った後に分散した。 また、使用感として、PLGA複合化粒子のみを適量(数10mg)肌へ馴染ませた場合、あるいはPLGA乳液(300mg)を肌へ馴染ませた場合の肌への浸透性と、肌のつっぱり感とを調べた。結果を表2に示す。これらは、20代から50代の女性12名のモニター評価に基づいて平均値を示したものである。 肌への浸透性とは、肌に塗布した後粒子や乳液がすばやく肌に吸収されていくかを調べたものである。PLGA複合化粒子を直接肌に馴染ませた場合では、賦形剤としてマンニトールを用いた場合は、PVA濃度が0.4%で良好に浸透し、0.2%以下で非常に良好に浸透した。賦形剤としてエリストールを用いた場合は、PVA濃度が0.4%、0.2%の場合に、ある程度の浸透性が認められた。一方、PVAの濃度が0.6%の場合は、どちらの賦形剤でも粒子がアカのように肌に残ってほとんど浸透しなかった。したがって、PLGA複合化粒子を直接肌に塗布する場合は、賦形剤としてマンニトールを使用することが好ましく、PVA濃度は0.4%以下、好ましくは0.2%以下で製造することが好ましいと言える。 また、PLGA乳液では、賦形剤やPVA濃度に依存せず、良好に肌に浸透した。しかし、PVA濃度が0.2%である場合は特に肌への浸透性が高かった。したがって、PLGA乳液として使用する場合は、PVA濃度や賦形剤に関わらず比較的良好な浸透性が得られるが、特にPVA濃度が0.2%以下のものの浸透性がより良好であった。 また、PLGA乳液を肌に塗布した場合の肌のつっぱり感を調査したところ、PVA濃度が0.2%のときに適度なはりと感じられ、0.4%ではややつっぱり感が感じられ、0.6%ではつっぱり感が明確であった。したがって、肌のつっぱり感からも、PVA濃度は0.4%以下、より好ましくは0.2%以下で製造することが好ましい事がわかった。 留去工程における留去方法を種々に(方法A〜I)変更し、留去後のPLGA粒子凝集物の生成の状況、粒度、並びに凍結乾燥後の水中再分散性、その際のミクロンオーダーの凝集物の有無などを観察した。 方法Bは実施の形態にしたがってPLGA40gを表3に示す溶媒(PVA濃度は0.2重量%)と混合し、留去時に水の添加を行わない留去方法を採用した場合である。この方法Bの場合、凝集の無い粒子を得るためには、留去速度48ml/hにてゆっくり時間をかけて(25時間)留去する必要があった。しかし、効率化の観点からはこのような長時間の製造は工業化する上での妨げとなる(表5参照)。この問題は、PVAの濃度を上げて8g(PVA溶液濃度0.4重量%、方法H)や、12g(PVA溶液濃度0.6重量%、方法I)にすることにより、それぞれ留去時間13時間、11時間と短い時間で良好にナノ粒子を形成できるが(表5参照)、このような高いPVA濃度は、実施例2の結果に示されるように、乳液等の化粧品に使用する場合には問題となる。 そこで、PVA濃度を低くして、留去時間を短縮する方法を検討した結果、留去工程において精製水を添加する方法が効果的であることが判明した。そこで、留去工程において種々のタイミングにて精製水を添加した(方法C〜F)。表4にそれぞれの精製水の添加方法を示している。なお、精製水の添加以外の条件はBと同様である。また、添加する精製水は1200mlに統一した。 Cは留去時間のちょうど真ん中で1回にすべての水を添加し、Dは留去時間の前半1/4(精製水400ml)とちょうど真ん中(精製水800ml)との2回に分けて添加した。そして、Eは留去開始直後に1回ですべての水を添加した。この3つの方法では、短時間で留去すると、表5に示すように、留去した後の液を23μmのろ紙にとおしたときに、ミクロン粒子、あるいは液面膜が生じた。また、凍結乾燥後の粒子の粒径も230nm〜260nmと従来のもの(Bは220nm)より大きいものとなっており、凍結乾燥後にもミクロンオーダーの凝集物が検出されていた。また、方法Fは開始から200分後まで4ml/minで一定に精製水を供給し、それから300分間2ml/minで一定に精製水を供給するという方法であるが、これも同様に、短時間で留去すると、留去後にミクロン粒子が生成されていた。また、凍結乾燥後の粒径が250nmであり、凍結乾燥後にミクロンオーダーの凝集物が生成された。 一方、方法Gの留去開始から300分間に渡って4ml/minの一定速度で精製水を供給するという留去方法では、12時間という短時間で留去しても、留去後、凍結乾燥後に、ミクロン粒子、液面膜、ミクロンオーダーの凝集物がほとんど生成されず、凍結乾燥後の粒径も220nmと良好であった。したがって、ミクロンオーダーの粒子が発生しないような留去方法としては、少なくとも留去開始からしばらくは一定速度で精製水を供給しながら留去するという方法が有効である。 さらに、留去工程で一定速度で精製水を加え続けるという条件では、PLGAを少量の5gにした場合(方法A)や、100gとした場合(方法J)でも、短時間で留去しても、凝集物や液面膜を生成することはなかった。溶媒の混合比は表3に示されている。精製水の添加速度は、具体的には、表4に示されるとおり、PLGA複合化粒子5gのときは2ml/minとした。PLGA100gのときは4ml/minで250分間水を供給した。 さらに、方法GやJは、留去時間のうちの初めの数時間だけしか精製水添加をしていないが、(Gでは12時間のうちの最初の5時間、Jでは30時間のうちの最初の約4時間)結果は良好であった。したがって、精製水の添加は、留去工程の全期間にわたって添加し続けなくてもよく、最初から所定時間だけでもよいことがわかる。また、方法Jの結果からは、PLGA粒子の処方量を上げた場合には、留去される溶媒量に対する精製水の量(添加精製水量/留去溶媒量)がより少量で済む事が判った。 以上のように、精製水を、留去工程の途中で何回かに分けて入れたものや、最初にまとめて入れたものなどにくらべ、一定の速度で少量ずついれ続けることで、短時間で良質のPLGA粒子ができることが判明した。 この理由としては、留去中にPLGA粒子の濃縮速度が上がりすぎると、晶析しているPLGA粒子同士の接触が活発になると共に、PLGAを溶解するアセトンなどの溶媒が、PLGA粒子間を蒸発移動しながらPLGAを部分的に再溶解させているためと推定できる。HやIの例のように予めPVA濃度を上げておけば、PLGA粒子の周りに十分なPVA粒子が吸着し、アセトンがPLGA粒子を再溶解させることを抑制できるため、水を添加することなく、短時間で留去ができる。しかし、PVA濃度を0.2%以下とした場合は、このアセトンによる再溶解を完全に抑制できないため、短時間の留去のためには、精製水を一定速度にて加えることでPLGA粒子の濃度を下げることが望ましい。 留去工程後のPLGA粒子懸濁液に、賦形剤と水溶性ビタミンVC−PMG水溶液を加え、全体を凍結乾燥したPLGA複合化粒子は、嵩密度が0.044〜0.087g/ccとふわふわした粉であるので、小型容器への高密度充填が難しい。そこで、以下の方法で嵩密度を上げることが考えられる。 乳鉢などによりあらかじめVC−PMGをすりつぶし、粒度が数10μm程度となるように粉末化しておく。このVC−PMGを、凍結乾燥したPLGA複合化粒子に混合することで、VC−PMG水溶液を加えて凍結乾燥した場合と比べて、嵩密度が4〜5倍程度上がる。 実験例を示すと、上記のように粉砕したVC−PMGを、PLGA:VC−IP:PVA:マンニトール(賦形剤):VC−PMG(凍結乾燥分):VCPMG(粉砕したもの)=1:0.15:0.1:1:1.125:6.0525としてPLGA複合化粒子を作製した。この複合化粒子と、VC−PMG水溶液を加えて凍結乾燥したものとの嵩密度を以下のようにして測定した。胴径30mm、内径27mmとするのスクリュー管瓶に、上記2種類のPLGA複合化粒子について、スクリュー内で15mm程度の高さとなるように、秤量して入れた。高さの測定は、管の周囲5ヶ所から行った。また、サンプルをゆるめに入れて(サンプル秤量後なじませる程度)高さ15mmとした場合と、かために入れて(180回タッピング後)高さ15mmとした場合の2条件で測定した。結果を表6に示す。 表に示すとおり、VC-PMGをすりつぶしたものを使用した場合には、嵩密度が高くなり、流動性もよく、小型容器への充填性にも優れると共に、ビタミンCを高含量に乳液に供給できる。 上記したように、乳液として商品化する場合には、粉と乳液とを別々に入れられる容器にて販売する必要があり、コンパクトな容器にて少量で効果のある乳液とすることが望まれる。このような容器としては標準的には1.5ccの充填容積しかない。しかし、上記の方法により製造した複合化粒子は、容器への充填が容易であるとともに、ビタミンC濃度が高く、乳液に混合した際に十分にビタミンCが含まれる。 具体的には、上記のようにして製造したPLGA複合化粒子を1.5ccの容器に164mg充填しておくと、乳液用の容器(5.5ml)に入った乳液と混合して、ビタミンC量(VC-PMG+VC−IP)は重量で2.4%程度となり、十分に効力を発揮するレベルのビタミンCを含む乳液となる。なお、よりビタミンCの配合量を高める必要がある場合は、粉砕したビタミンCの混合量を上げることで、さらにビタミンCの重量%を上げることもできる。 本発明のナノ粒子含有組成物の製造方法にて製造されたナノ粒子含有組成物は、皮膚への浸透性に優れ、容器へ容易に高密度に充填で、使用感もよいので、化粧品、皮膚科用薬剤、あるいは経皮投与する薬剤などの用途にも適用できる。また、乳液等にも良好に混合するので、乳液と混合して使用することもできる。 さらに、ナノ粒子にビタミンやビタミン誘導体を含有あるいは複合させておくことで、皮膚の深部まで誘導できるので、美白剤や美容液としての利用にも好適である。また、本発明のナノ粒子は、含有する薬剤を徐々に放出するので、長期間にわたって皮膚深部に薬剤を供給することができる。したがって、長期間作用する薬剤のナノ粒子含有組成物としても利用できる。また、ナノ粒子にビタミンやビタミン誘導体を含有させ、さらに複合化させておけば、複合化したビタミンあるいはビタミン誘導体が速効性の作用を示し、ナノ粒子に含有されたものが徐放的に作用するナノ粒子含有組成物として利用できる。本発明の実施形態にかかるナノ粒子含有組成物の製造方法の工程を示す図面である。(a)・(b)は、本発明の実施の一形態にかかる薬物含有複合粒子の製造方法に用いられる球形晶析法を説明する模式図であり、(a)は球形造粒法の造粒過程を、(b)はエマルジョン溶媒拡散法の造粒過程を示す。本発明の実施形態にかかるナノ粒子含有組成物の容器を示す図面である。本発明の実施形態にかかるナノ粒子含有組成物の構造を示す図面である。本発明の実施形態にかかるナノ粒子含有組成物の皮膚への浸透性を測定した実験結果を示す図面であり、(a)は比較例を(b)は実施例を(c)は(b)の一部分の拡大図を示す。本発明の実施形態にかかるナノ粒子含有組成物を皮膚へ浸透させた場合のビタミンC量、およびビタミンC総量のうちの還元型ビタミンCの割合を測定した結果を示す図面である。本発明の実施形態にかかるナノ粒子含有組成物を皮膚へ浸透させた場合の還元型ビタミンCの量を測定した結果を示す図面である。 薬物および生体適合性高分子を含む薬物含有複合粒子の製造方法であって、 ポリビニルアルコールを0.2重量%以下含む水溶液に、少なくとも薬物と生体適合性高分子と有機溶媒とを加えて、薬物含有生体適合ナノ粒子を形成してナノ粒子含有溶液とするナノ粒子形成工程と、 上記ナノ粒子含有溶液から上記有機溶媒を留去する留去工程と、 上記ナノ粒子を複合化する複合化工程と、を有し、 上記留去工程において、留去開始から250分間または300分間にわたって、ナノ粒子含有溶液に4ml/分の速度で水を加えることを特徴とするナノ粒子含有組成物の製造方法。 上記薬物がビタミンまたはビタミン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のナノ粒子含有組成物の製造方法。 上記複合化工程において、ナノ粒子と共にビタミンまたはビタミン誘導体を複合化することを特徴とする請求項1または2に記載のナノ粒子含有組成物の製造方法。 上記複合化工程において、ナノ粒子と共に糖アルコールを複合化することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のナノ粒子含有組成物の製造方法。 上記複合化工程が凍結乾燥によりおこなわれることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のナノ粒子含有組成物の製造方法。 請求項3から5のいずれか1項に記載のナノ粒子含有組成物の製造方法により製造されたナノ粒子含有組成物。 請求項1から5のいずれか1項に記載のナノ粒子含有組成物の製造方法により製造されたナノ粒子含有組成物であり、 ビタミンまたはビタミン誘導体と生体適合性高分子とポリビニルアルコールとを含有するナノ粒子と、水溶性のビタミンまたはビタミン誘導体とを複合化したナノコンポジット粒子を含み、 上記生体適合性高分子に対する上記ポリビニルアルコールの割合が10重量%以下であることを特徴とするナノ粒子含有組成物。 上記ナノコンポジット粒子には、糖アルコールがさらに複合化されていることを特徴とする請求項7に記載のナノ粒子含有組成物。 請求項1から5の何れか1項に記載のナノ粒子含有組成物の製造方法により製造されたナノ粒子含有組成物、または請求項7もしくは8に記載のナノ粒子含有組成物を含むことを特徴とする化粧品。 請求項1から5の何れか1項に記載のナノ粒子含有組成物の製造方法により製造されたナノ粒子含有組成物、または請求項7もしくは8に記載のナノ粒子含有組成物を含むことを特徴とする経皮薬剤。