| タイトル: | 再公表特許(A1)_苦みマスキング粒状ゼリー飲料 |
| 出願番号: | 2004013279 |
| 年次: | 2006 |
| IPC分類: | A61K 47/46,A61K 47/44,A61K 47/42,A61K 47/36,A61K 47/10,A61K 47/14,A61K 9/06,A61K 9/14,A61K 9/16,A61K 9/20 |
福居 篤子 JP WO2005025622 20050324 JP2004013279 20040907 苦みマスキング粒状ゼリー飲料 株式会社龍角散 591266157 的場 基憲 100102141 福居 篤子 JP 2003321623 20030912 A61K 47/46 20060101AFI20061020BHJP A61K 47/44 20060101ALI20061020BHJP A61K 47/42 20060101ALI20061020BHJP A61K 47/36 20060101ALI20061020BHJP A61K 47/10 20060101ALI20061020BHJP A61K 47/14 20060101ALI20061020BHJP A61K 9/06 20060101ALI20061020BHJP A61K 9/14 20060101ALI20061020BHJP A61K 9/16 20060101ALI20061020BHJP A61K 9/20 20060101ALI20061020BHJP JPA61K47/46A61K47/44A61K47/42A61K47/36A61K47/10A61K47/14A61K9/06A61K9/14A61K9/16A61K9/20 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20061116 2005513934 17 4C076 4C076AA09 4C076AA22 4C076AA30 4C076AA31 4C076BB01 4C076CC01 4C076CC04 4C076CC31 4C076CC32 4C076DD38 4C076DD46 4C076EE30 4C076EE36 4C076EE42 4C076EE57 4C076EE58 4C076FF52 本発明は、苦みマスキング粒状ゼリー飲料に係り、更に詳細には、苦みを有する各種医薬品や栄養補助食品(サプリメント)に苦みマスクを施すことができるとともに、健常人のみならず、種々の疾病や虚弱体質などによって薬剤等の服用時に通常の飲料水などでは薬剤等の嚥下が困難な患者や小児、高齢者に対し、困難性や異物感などを与えることなく、薬剤等の嚥下を促進し、その服用を容易にすることができる粒状ゼリー飲料に関する。 従来、薬剤の内服は、水や白湯とともに内服するのが一般的である。しかし、かかる水や白湯では、嚥下の困難な患者、特に高齢者等は、薬剤の服用が因難であり、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤及び錠剤などの剤形の薬剤を内服した場合、十分に嚥下できずに却って咽せてしまったり、口腔内に留まってしまったりして十分な治療効果が得られないばかりか、患者等自身も不快な思いすることがあった。 このため、錠剤やカプセル剤などを粉砕したり、薬剤を食物、例えば、ご飯、味噌汁及びジュース等に混ぜて服用することも行われていたが、手間がかかり煩雑であり、更には、錠剤やカプセル剤の粉砕によって、薬剤成分の放出時間の調整ができなくなったり、味のマスキングができなくなることなどにより、所期の薬効が得られなくなることがあった。 これに対して、本出願人は、寒天やカラギーナン等の糊料とマンニトール等を含み、所定のゼリー強度を有するローカロリー・ノンシュガーの嚥下補助飲料を提案し、特許を収得した(例えば、特許第3257983号公報参照)。 この嚥下補助飲料は、各種剤形の薬剤に適用でき、しかも薬効を阻害せず、インシュリン代謝にも影響を及ぼさないため、上述のような嚥下困難者のうちでも特に慢性疾患を患っている者に適しており、副作用を誘発することもなく、糖尿病を併発している患者なども安心して使用できる有用なものである。 しかしながら、本発明者らが更に検討を加えた結果、上記嚥下補助飲料にも更なる改善の余地があることが判明した。 即ち、この嚥下補助飲料は、薬剤の包み込み機能をも有するので、通常の薬剤であれば味や臭い対して適切なマスキング作用を発揮するが、弱酸性の飲料であるため、苦みを有する薬剤、特に化学構造上、アミノ基などの窒素原子を含む塩基性物質を含有する散剤や顆粒剤などについては、口中での薬物の溶出を促進してしまうことがあり、苦みマスキング効果が未だ十分とは言えないことを知見した。 本発明は、このような知見に課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、苦みを有する薬剤やサプリメントに対して優れた苦みマスキング作用を発揮してその服用を容易にするとともに、かかる薬剤等の嚥下をも改善し、且つ簡便で通常の飲料水と代替でき、しかも薬効を阻害しない苦みマスキング粒状ゼリー飲料を提供することにある。 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、苦味マスキング成分として動植物油脂を用い、粒状ゼリー化することなどにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料は、苦みを有する薬剤及び/又はサプリメントの服用を容易にする粒状ゼリー飲料であって、 植物油脂及び/又は動物油脂から成る苦味マスキング成分0.1〜15.0%と、 糖アルコールから成る苦味マスキング補助成分5〜20%と、 寒天、カラギーナン、ジェランガム、ファーセレラン、ゼラチン、カードラン、サイリュードシードガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、マンナン及びタマリンドガムから成る群より選ばれた少なくとも1種のゲル化成分0.1〜5.0%と、 残量としての水分と、を含有することを特徴とする。 また、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料の好適形態は、更に、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール及びプロピレングリコール脂肪酸エステルから成る群より選ばれた少なくとも1種の撥水抑制成分を0.01〜1.5%含有することを特徴とする。 更に、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料の他の好適形態は、pHが5〜8であることを特徴とする。 また、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料の更に他の好適形態は、粒状ゼリーの20℃におけるゼリー強度が10〜100g/cm2であることを特徴とする。 更にまた、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料の他の好適形態は、粒状ゼリーの最大長が1〜10mmであることを特徴とする。 また、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料の更に他の好適形態は、上記苦みを有する薬剤及び/又はサプリメントの剤形がコーティングを施されていない錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤及びシロップ剤の1種又はこれらの組合せであることを特徴とする。 更に、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料の他の好適形態は、苦みを有する薬剤の服用に用いられ、この薬剤が、分子内にアミノ基などに由来する窒素原子を含む塩基性物質を含有することを特徴とする。 一方、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料の更に他の好適形態は、苦みを有する薬剤の服用に用いられ、この薬剤が、ステロイド剤、アルカロイド、抗生物質、抗菌剤、中枢神経薬、麻薬及び漢方薬から成る群より選ばれた少なくとも1種の薬剤であることを特徴とし、更には、上記抗生物質が、マクロライド系抗生物質及び/又はセフェム系抗生物質であることが望ましい。 また、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料の他の好適形態は、上記苦味マスキング成分の植物油脂が、カカオ油脂、レシチン、大豆油、サラダ油、食用サフラーワ油、ひまわり油、なたね油、とうもろこし油、こめ油、落花生油、オリーブ油、ごま油、亜麻仁油、ココナッツ油、パーム油、やし油、調合油、マーガリン及びショートニングから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであり、動物油脂が、ラード、無塩バター、バター、チーズ、クリーム、肉脂肪及び魚油から成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする。 更に、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料の更に他の好適形態は、上記苦味マスキング補助成分の糖アルコールが、還元麦芽糖水あめ、還元水あめ、還元乳糖、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール及びマンニトールから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする。 以下、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料につき詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。 上述の如く、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料は、苦味マスキング成分と、苦味マスキング補助成分と、ゲル化成分と、水分を含み、必要に応じて撥水抑制成分を含むものである。 なお、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料は、医薬品やサプリメントの範疇に属するものではないが、その使用時にはこれら医薬品やサプリメントと一緒に服用される。 ここで、苦味マスキング成分は植物油脂及び動物油脂の少なくとも一方であるが、これらは、ヒトの味蕾に存在する苦みを感じる受容体に迅速に結合し、薬剤やサプリメントの苦み成分がこのような苦み受容体に結合するのを遮断する機能を果たす。 即ち、ヒトは舌の表面近傍に存在する味蕾という味覚の受容器で味を感じる。この味蕾は直径50μm程度の大きさでこの中に味覚細胞があり、この細胞膜表面に苦み、酸味、塩味及びうまみなどを感じる受容体が存在する。そして、薬物などの苦み物質が苦み受容体に結合すると、味覚細胞が興奮して電位差を生じ、この電位差が神経線維を介して大脳皮質に到達し、苦みを感じる。 本発明において、上述の苦味マスキング成分は、かかる苦み受容体に苦み成分よりも早く結合して苦み受容体にカバーをし、苦み受容体と苦み成分とが結合するのをブロックすることにより、味覚細胞の興奮を抑制し、電位差の発生を防止しているのである。 上記動植物油脂としては、上述の機能を果たす限り特に限定されるものではないが、植物油脂として、カカオ油脂、レシチン、大豆油、サラダ油、食用サフラーワ油、ひまわり油、なたね油、とうもろこし油、こめ油、落花生油、オリーブ油、ごま油、亜麻仁油、ココナッツ油、パーム油、やし油、調合油、マーガリン又はショートニング及びこれらの任意の混合物を挙げることができる。また、動物油脂としては、ラード、無塩バター、バター、チーズ、クリーム、肉脂肪又は魚油及びこれらの任意の混合物を用いることができる。 これらの動植物油脂のうちでも、無塩バター、バター、大豆油、レシチン、オリーブ油、とうもろこし油及びカカオ油脂が好適であり、カカオ油脂が最適である。 なお、上述の動植物油脂以外にも、牛乳、豆乳及びこれらのエキス分を用いることも可能である。 本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料において、上述した苦味マスキング成分の配合量は0.1〜15.0%であるが、0.2〜13.0%が好ましく、0.25〜11.0%が更に好ましい。 0.1%未満では、苦みマスキング効果が十分には得られず、15.0%を超えると、ゼリーの物性が変化してしまい適正なゼリー強度が得られない。 また、苦味マスキング捕助成分は糖アルコールであるが、これらは甘味料として働くので苦みマスクの補助作用がある。更に、これらはゲルの安定性を向上する機能も有する。 かかる糖アルコールとしては、特に限定されるものではないが、還元麦芽糖水あめ、還元水あめ、還元乳糖、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール又はマンニトール及びこれらの任意の混合物を例示できる。これら糖アルコールのうちでも、エリスリトール、還元麦芽糖水あめ、還元水あめ、キシリトール及びソルビトールが好適である。 本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料における苦味マスキング補助成分の配合量は5〜20%であり、好ましくは6〜18.0%、更に好ましくは8〜16.0%である。5%未満では、十分な苦味マスキング補助効果が得られず、20%を超えて添加してもその効果が飽和してしまい、有意な差異が見られない。 次に、ゲル化成分としては、水分とほぼ均等に混和してゲル化を促すものであれば十分であるが、寒天、カラギーナン、ジェランガム、ファーセレラン、ゼラチン、カードラン、サイリュードシードガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、マンナン又はタマリンドガム及びこれらの任意の混合物が用いられる。 これらのうちでも、寒天、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム及びローカストビーンガムが好適であり、ローカストビーンガムが特に好適である。 なお、配合量としては、0.1〜5.0%であるが、0.1〜4.0%が好適であり、0.1〜3.0%が更に好ましい。配合量が0.1%未満では、10g/cm2以上のゼリー強度が実現できず、5.0%を超えると、薬剤やサプリメントの服用に適さない物性となる。 更に、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料においては、必要に応じて、撥水抑制成分を添加することができる。 かかる撥水抑制成分は、上記苦味マスキング成分の撥水性を抑制して水分との馴染みを良くする機能を発揮する他、後述する苦み成分が脂溶性などの難水溶性の場合や、製剤上、ワックスコーティングやポリマーコーティングが施されている場合には、これら苦み成分やコーティングとゼリーとの親和性を高め、包み込み機能を効果的にする作用も有する。 このような撥水抑制成分の具体例としては、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール又はプロピレングリコール脂肪酸エステル及びこれらの任意の混合物を挙げることができる。 なお、かかる撥水抑制成分の配合量は0.01〜1.5%とすることが好ましく、0.02〜1.4%が望ましく、0.03〜1.3%が更に望ましい。配合量が0.01%未満では、十分な撥水抑制効果が得られないことがあり、1.5%を超えて配合しても効果が飽和してしまい、有意な差異が見られないことがある。 また、本発明の粒状ゼリー飲料においては、本発明の意図するマスキング効果や嚥下補助効果を奏する限り、上述の必須成分以外にも、ゲル化促進剤や栄養源たる糖類、甘味料、香料その他の添加剤を含有することができる。 例えば、ゲル化促進剤としてのクエン酸ナトリウムを0.01〜2.0%添加することができる。また、デキストリンをゲル化補助剤として0.2〜1.0%添加してもよい。 なお、水分としては、飲料に適する水であれば十分であり、水道水、各種イオン交換水及び精製水などを例示できる。 水分の配合量は、通常、上述した各種成分との合計が100%となるような量、即ち残分量で十分である。 次に、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料の性状につき説明する。 このゼリー飲料は、粒状ゼリーの集合物であり、そのpHは代表的に5〜8であるが、5.5〜7.8が好ましく、5.7〜7.6が更に好ましい。 pHが5未満では、塩基性塩を持つ医薬品成分を口中にて溶出させる可能性が大きく、8を超えると、細菌などの被曝危険性が高くなる。 また、粒状ゼリーのゼリー強度は、20℃において10〜100g/cm2であることが好ましく、更に好ましくは20〜80g/cm2であり、より好ましくは20〜70g/cm2である。 ゼリー強度が10g/cm2未満では、嚥下障害を有する者にむせ込みなどの不具合を生じさせる可能性が皆無とは言えず、100g/cm2を超えると、滑らかな嚥下ができない固さになることがある。 なお、粒状ゼリーの最大長、唄ち通常は柱状や錐状、楕円球状などをなす粒状ゼリーにおいて、その内部を通る線分を想定した場合に最も長い線分の長さが1〜10mmであることが好ましく、1〜8mmであることが更に好ましい。 かかる最大長が1mm未満では、ペースト状に極めて近くなり、咽喉への付着及び滞留を生ずる可能性が皆無とは言えず、10mmを超えると、薬剤やサプリメントとの付着性が悪化することがある。 上述のような性状を有する本発明の粒状ゼリー飲料は、適切なゼリー強度を有するので、健常人は勿論、虚弱体質や各種疾患などにより薬剤の嚥下が困難である患者や小児などであっても、本発明の粒状ゼリー飲料を用いれば、種々の薬剤やサプリメントを容易に嚥下できるようになる。 また、本発明の粒状ゼリー飲料は各種薬剤を包み込む機能をも有するため、喉の回りの筋肉の収縮力が衰えている者や、筋の緊張により食道の狭搾が見られる者であっても、この粒状ゼリー飲料の使用により、薬剤やサプリメント服用時の違和感が軽減され、咽せずに嚥下できるようになる。具体的には、この包み込み機能により、易水溶性の散剤でも確実に包み込まれて室温では殆ど溶出せず、固形製剤では一回に服用できる薬剤の個数を増大することができる。 更に、かかる包み込み機能により、薬剤の苦みや臭いのマスキングを促進することもでき、例えば、一旦包み込んだ薬剤等が口中で放出されることが有効に抑制されるので、苦みマスクとしての機能が向上しており、従って、特に小児等が苦みの強い薬剤を服用する際に好適である。 更にまた、上述の如き包み込み機能を有するにも拘らず、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料の成分は大部分が水分であるため、薬剤の崩壊性や溶出性については影響を与えることがなく、薬剤との相互作用も起こさないので、各種薬剤の薬効を妨げることもない。 また、この粒状ゼリー飲料は、ノンシュガーの飲料であるため、糖尿病患者にも適しており、就寝直前に使用しても虫歯になりにくいので小児にも好適である。更に、無菌飲料に仕上げられているため、体力や抵抗力、免疫力の低下した患者や小児でも安心して使用できる。 なお、この粒状ゼリー飲料は、水分と所定成分を必須成分とする簡易な飲料であり、安定性にも優れるため、小型容器などに充填すれば携帯が容易であり、患者などが外出した場合にも便利である。 次に、本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料の調製法について説明する。 本発明の粒状ゼリー飲料は、上述したゲル化成分を適量の水に加温溶解した後、苦味マスキング成分、苦味マスキング補助成分及び撥水抑制成分その他の添加物を加えて加温撹拌溶解することにより、得ることができる。 なお、溶解温度は、適宜変更できるが、加温溶解する場合には代表的に50〜100℃である。また、無菌性を付与すべく、得られたゼリーを容器に充填した上で、代表的に115〜125℃で10〜30分間保持して殺菌することが望ましい。 上述のようにして得られた苦みマスキング粒状ゼリー飲料は、各種薬剤やサプリメントとともに服用に共することができる。即ち、薬剤などを口内に含んだ後、粒状ゼリー飲料を水の代わりに口内に流し込み、薬剤などと一緒に嚥下してもよいし、予め薬剤と粒状ゼリー飲料とを混合し、得られた混合物(液)を口に流し込み、嚥下してもよい。特に、苦みのある薬剤やサプリメントと一緒に服用する場合は、予めコップなどの容器中で薬剤等と混合し又は薬剤等を粒状ゼリーで包み込んで使用するのがよい。 本発明の苦みマスキング粒状ゼリー飲料は、各種薬剤やサプリメントを対象とするが、特に、従来から苦みを有するとされている薬剤に好適であり、また、嚥下が困難とされている薬剤などにも好ましく適用できる。 かかる苦みを有する薬剤でも、特に苦みが強いとされている薬剤に最適であり、かかる薬剤としては、例えばクラリスロマイシン、アジスロマイシン及びモルヒネなど、分子内にアミノ基などに由来する窒素原子を含む塩基性物質を含有する薬剤を挙げることができる。 また、ステロイド剤、アルカロイド、抗生物質、抗菌剤、中枢神経薬、麻薬又は漢方薬も苦みの強いものがあるが、これらに対しても好適であり、特にマクロライド系抗生物質やセフェム系抗生物質に好適である。 なお、通常、これらの薬剤を混合服用することは少ないが、苦みマスク及び嚥下補助性という観点からは、本発明の粒状ゼリー飲料はこれらの混合服用に際しても好適に用いることができる。 また、剤形の観点からは、散剤、細粒剤、顆粒剤及びシロップ剤(特にドライシロップ剤)は、入れ歯の間に挟まったり、口中粘膜に付着したり、気管に入ったりして苦みを生ずるばかりか、嚥下が困難にもなり易いが、本発明の粒状ゼリー飲料を使用すれば、散剤等がこの飲料によって包み込まれて口中付着等が防止されるのみならず、これら散剤等を凝集させることもできるので、このような散剤等であっても好適な苦みマスキング性と嚥下補助性が得られることになる。 また、使用後も従来の清涼飲料水のように口中に残存感が殆どなく、さっぱりした後味であり、特に入れ歯使用者にとっては好ましく使用できる飲料である。 更に、上述の包み込み機能は、オブラートにも類似するものであるが、この粒状ゼリー飲料は、体温程度(約37℃)に加熱されると、そのゼリー強度が低下して包み込み機能を失うので、薬剤が体内で崩壊・溶解するのを阻害することもない。 なお、嚥下補助性の観点からは、錠剤では直径10mm以上のもの、カプセル剤では1号以上のものを挙げることができるが、この粒状ゼリー飲料によれば、このような錠剤やカプセル剤であっても、上述の如き適切なゼリー強度などを有する本ゼリー飲料によって包み込まれることになるので、容易に嚥下できる 更に、従来から、固形剤と散剤との混合服用は嚥下が困難になることが知られているが、本粒状ゼリー飲料を用いれば、このような混合服用であっても容易に行うことができるようになる。 以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 キシリトール、還元麦芽糖水あめ及びキサンタンガムを加温した水に溶解した。約50℃に保持したまま、無塩バター、香料及び甘味料を添加して溶解し、次いで、冷却して、本例の苦みマスキング粒状ゼリーを得た。成分組成を表1に示す。 なお、ゼリー強度は14.5g/cm2、粒状ゼリーの最大長は約4.5mm、pHは6.8、離水率は0.3%であった。 エリスリトール、ソルビトール及びタマリンドガムを加温した水に溶解した。約50℃に保持したまま、無塩バター及び香料を添加して溶解し、次いで、冷却して、本例の苦みマスキング粒状ゼリーを得た。成分組成を表2に示す。 なお、ゼリー強度は22.2g/cm2、粒状ゼリーの最大長は約4.8mm、pHは6.8、離水率は2.0%であった。 エリスリトール、還元麦芽糖水あめ、ローカストビーンガム、キサンタンガム及び寒天を沸騰した水に溶解した。次いで、約50℃に保持したまま、ホモジナイズしたグリセリンモノ脂肪酸エステルと大豆油を添加し、更に香料と甘味料を添加して溶解し、次いで、冷却して、本例の苦みマスキング粒状ゼリーを得た。成分組成を表3に示す。 なお、ゼリー強度は49.8g/cm2、粒状ゼリーの最大長は約5.0mm、pHは7.5、離水率は1.2%であった。 エリスリトール、還元麦芽糖水あめ、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カラギーナン及び乳酸カルシウムを加温した水に溶解した。次いで、約50℃に保持したまま、ホモジナイズしたショ糖脂肪酸エステルとカカオ油脂を添加し、更に香料と甘味料を添加して溶解し、次いで、冷却して、本例の苦みマスキング粒状ゼリーを得た。成分組成を表4に示す。 なお、ゼリー強度は39.8g/cm2、粒状ゼリーの最大長は約5.0mm、pHは6.6、離水率は1.8%であった。(比較例1〜3) 脱イオン水を比較例1の飲料、ティーバッグ1袋を75℃の温水で3分間抽出した紅茶を比較例2の飲料、市販のスポーツドリンク(pH=3.4)を比較例3の飲料とした。(比較例4) エリスリトール、ローカストビーンガム、キサンタンガム、寒天、カラギーナン及びペクチンを沸騰した水に溶解した。次いで、クエン酸、クエン酸ナトリウム及び香料を添加溶解し、更に冷却して、本例のゼリー飲料を得た。成分組成を表5に示す。 なお、ゼリー強度は46.6g/cm2、粒状ゼリーの最大長は約5.2mm、pHは3.3、離水率は1.3%であった。[性能評価] 各例の飲料を下記のヒト官能試験に供し、得られた結果を表6に示す。(官能試験条件) 以下に示すように、所定量の対象薬剤を各例の飲料で処理し、得られた試料(薬剤含有飲料)を6名の被験者(健常成人)に服用させ、所定時における「苦み」によって各例の飲料のマスキング性を判定した。なお、表6中、「◎」は優、「○」は良、「△」は並、「×」は不可、「××」は劣を示すものとする。・対象薬剤(イ)クラリス(登録商標;大正製薬(株)製、クラリスロマイシン)ドライシロップ小児用(ロ)ジスロマック(登録商標;ファイザー・プロダクツ・インク製、アジスロマイシン)細粒小児用・薬剤量;それぞれ0.5gとした。通常、対象薬剤は小児に対し1g/体重10kgで処方される。使用頻度の最も高い2歳児(体重5kg)への投与を想定した。・試料の調整 0.5gの対象薬剤を各例の飲料25mlと混合して各試料を得た。なお、比較例1〜3の飲料については、スターラーを用い室温下200rpmで1時間以上攪拌した。一方、実施例4及び比較例4のゼリー様飲料については、ゼリー様飲料の上に対象薬剤を載せ、次いで、周囲のゼリー様飲料を薬剤と少量混ぜ、薬剤を包み込むようにした。・苦みの判断時 A;口に含んで5秒後、B;試料を吐き出し口を水で5回すすいだ直後、C;すすぎ終わってから5分後の3時点とした。 各例の飲料を下記の味センサ装置を用いた苦味強度測定に供した。得られた結果を表7に示す。(味センサ装置による苦味強度測定条件)・味センサ装置 味覚認識装置(商品名「SA402」:インテリジェントセンサーテクノロジー社製) 脂質膜センサを持つ電極部分と、ロボットアームと、情報解析部(CPU)から成る測定装置である。脂質膜センサと参照電極との電位差が測定され、これに基づき苦味強度(指標1〜6;数値大きいほど苦味強度が大きい。)が算出される。・対象薬剤 クラリス(ヒト官能試験参照)・薬剤量 ヒト官能試験と同じ。・試料の調製 ヒト官能試験と同じ。・苦味強度の測定時 A;味覚認識装置「SA402」の脂質膜センサ及び参照電極を、各試料を充填した測定セルに浸漬してから5秒後の時点、 B;試料を排出後、測定セルをイオン交換水で5回すすぎ、更にイオン交換水を充填した時点、の2時点とした。 以上説明したように、本発明によれば、苦味マスキング成分として動植物油脂を用い、粒状ゼリー化することなどとしたため、苦みを有する薬剤やサプリメントに対して優れた苦みマスキング作用を発揮してその服用を容易にするとともに、かかる薬剤等の嚥下をも改善し、且つ簡便で通常の飲料水と代替でき、しかも薬効を阻害しない苦みマスキング粒状ゼリー飲料を提供することができる。 例えば、本発明の苦みマスキング粒状ゼリーによれば、苦みが強く製剤的な加工が極めて困難な散剤や顆粒剤であっても優れた苦みマスキング効果が得られる。特にこのような薬剤を服用することの多い乳幼児や小児においては、服薬拒否や服薬後の嘔吐などの治療上重篤な問題を抱えていることが極めて多いが、この苦みマスキング粒状ゼリーは、これらの問題を解消し、おけるコンプライアンスの低下を有効に防止することができる。 また、慢性疾患を患っている等の理由により、苦みが強い薬剤等を長期間服用しなければならない者についても、そのような服用の苦痛から解放し得るものでもある。 更に、本発明の粒状ゼリー飲料は、嚥下補助効果にも優れるため、この飲料とともに薬剤等を内服すれば、嚥下機能の十分ではない者、特に乳幼児や高齢者でも、薬剤等の異物感や苦みなどの負担を感ずることなく楽に嚥下することが可能になる。 このように、本発明の粒状ゼリー飲料は、薬剤服用に苦痛を感じる者のQOL(Quality Of Life)を向上するものであり、快適な生活への一助となるものである。 苦みを有する薬剤及び/又はサプリメントの服用を容易にする粒状ゼリー飲料であって、 植物油脂及び/又は動物油脂から成る苦味マスキング成分0.1〜15.0%と、 糖アルコールから成る苦味マスキング補助成分5〜20%と、 寒天、カラギーナン、ジェランガム、ファーセレラン、ゼラチン、カードラン、サイリュードシードガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、マンナン及びタマリンドガムから成る群より選ばれた少なくとも1種のゲル化成分0.1〜5.0%と、 残量としての水分と、を含有することを特徴とする苦みマスキング粒状ゼリー飲料。 更に、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール及びプロピレングリコール脂肪酸エステルから成る群より選ばれた少なくとも1種の撥水抑制成分を0.01〜1.5%含有することを特徴とする請求項1に記載の苦みマスキング粒状ゼリー飲料。 pHが5〜8であることを特徴とする請求項1又は2に記載の苦みマスキング粒状ゼリー飲料。 粒状ゼリーの20℃におけるゼリー強度が10〜100g/cm2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の苦みマスキング粒状ゼリー飲料。 粒状ゼリーの最大長が1〜10mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の苦みマスキング粒状ゼリー飲料。 上記苦みを有する薬剤及び/又はサプリメントの剤形がコーティングを施されていない錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤及びシロップ剤の1種又はこれらの組合せであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の苦みマスキング粒状ゼリー飲料。 苦みを有する薬剤の服用に用いられ、この薬剤が、分子内に窒素原子を含む塩基性物質を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の苦みマスキング粒状ゼリー飲料。 苦みを有する薬剤の服用に用いられ、この薬剤が、ステロイド剤、アルカロイド、抗生物質、抗菌剤、中枢神経薬、麻薬及び漢方薬から成る群より選ばれた少なくとも1種の薬剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の苦みマスキング粒状ゼリー飲料。 上配抗生物質が、マクロライド系抗生物質及び/又はセフェム系抗生物質であることを特徴とする請求項8に記載の苦みマスキング粒状ゼリー飲料。 上記苦味マスキング成分の植物油脂が、カカオ油脂、レシチン、大豆油、サラダ油、食用サフラーワ油、ひまわり油、なたね油、とうもろこし油、こめ油、落花生油、オリーブ油、ごま油、亜麻仁油、ココナッツ油、パーム油、やし油、調合油、マーガリン及びショートニングから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであり、動物油脂が、ラード、無塩バター、バター、チーズ、クリーム、肉脂肪及び魚油から成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の苦みマスキング粒状ゼリー飲料。 上記苦味マスキング補助成分の糖アルコールが、還元麦芽糖水あめ、還元水あめ、還元乳糖、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール及びマンニトールから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つの項に記載の苦みマスキング粒状ゼリー飲料。 苦みを有する薬剤及び/又はサプリメントの服用を容易にする粒状ゼリー飲料である。植物油脂や動物油脂から成る苦味マスキング成分0.1〜15.0%と、糖アルコールから成る苦味マスキング補助成分5〜20%と、寒天やカラギーナンなどのゲル化成分0.1〜5.0%と、残量としての水分とを含有する。 ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びプロピレングリコールなどの撥水抑制成分を0.01〜1.5%含有する。