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タイトル:特許公報(B2)_液浸対物レンズ、蛍光分析装置および倒立型顕微鏡。
出願番号:2004001201
年次:2009
IPC分類:G02B 21/00,G02B 21/02,G01N 21/64


特許情報キャッシュ

岡咲 賢哉 原田 満雄 JP 4253592 特許公報(B2) 20090130 2004001201 20040106 液浸対物レンズ、蛍光分析装置および倒立型顕微鏡。 オリンパス株式会社 000000376 鈴江 武彦 100058479 河野 哲 100091351 村松 貞男 100084618 風間 鉄也 100100952 岡咲 賢哉 原田 満雄 20090415 G02B 21/00 20060101AFI20090326BHJP G02B 21/02 20060101ALI20090326BHJP G01N 21/64 20060101ALI20090326BHJP JPG02B21/00G02B21/02G01N21/64 G02B 21/00 特開平5−60981(JP,A) 8 2005195792 20050721 14 20061227 井上 信 本発明は、液浸対物レンズに関する。また、液浸対物レンズを備えた倒立型顕微鏡、更には、そのような倒立型顕微鏡を含む光分析装置に関する。 特開平5−60981号公報は、先端レンズを取り巻く周囲に窪み状の液体保持部を備えた液浸対物レンズを開示している。この液浸対物レンズでは、液体保持部はレンズ環とその周囲に固設した環状の防水部材との間に形成されている。 特開平7−77657号公報は、液体を収容する弾性容器と、弾性容器を保持するホルダとで構成された液浸装置を開示している。ホルダには、弾性容器を押すための操作孔が形成されている。液浸装置は、対物レンズと同様に、レボルバに着脱可能に装着される。特開平5−60981号公報特開平7−77657号公報 しかしながら、特開平5−60981号公報に記載の液浸対物レンズは、液体の保持が不安定である。このため、標本を動かした際に、液体が液体保持部からこぼれることが多い。このような場合、オペレーターはスポイトなどで液体を供給しなくてはならない。このような作業は、観察の所要時間を長くする要因である。特に連続した観察においては、このような不所望な作業は、なるべく少ないことが好ましい。 また、特開平7−77657号公報に記載の液浸装置は、対物レンズと分離しているため、対物レンズ上に液体を安定に供給できない。 本発明は、この様な現状を考慮して成されたものであり、その主な目的は、供給された液体を安定して保持し得る液浸対物レンズを提供することである。本発明の別の目的は、観察の所要時間の短縮を可能にする光分析装置や倒立型顕微鏡を提供することである。 本発明は、ひとつには、液浸対物レンズに向けられており、以下の各項に列記する液浸対物レンズを含んでいる。 1.本発明の液浸対物レンズは、先端レンズと、前記先端レンズを支持するレンズ枠と、前記レンズ枠の外周に取り付けられた防液枠とを有する液浸対物レンズにおいて、前記防液枠は前記先端レンズ上に供給される液体を保持する液球保持壁を有し、前記液球保持壁の先端は、前記先端レンズの先端面より、前記先端レンズの中心軸に平行に前記先端レンズの内部方向にあることを特徴とする。 この液浸対物レンズにおいては、液球保持壁の内周側に液体を供給した際に形成される液球は、液球保持壁の先端と先端レンズの先端面とが同じ平面内にある場合や液球保持壁の先端が先端レンズの先端面より先端にある場合よりも、体積が小さくなる。このため、液体を安定して保持することができる。 2.本発明の別の液浸対物レンズは、第1項の液浸対物レンズにおいて、前記液球保持壁の内周側の側面が鉛直方向に平行であることを特徴とする。 この液浸対物レンズにおいては、液球保持壁の内周側の側面が鉛直方向に平行であるため、先端レンズ上に形成される液球の体積がより小さくなる。このため、液体をより安定して保持することができる。 3.本発明の別の液浸対物レンズは、第1項の液浸対物レンズにおいて、前記防液枠は前記先端レンズ上に液体を供給する液体供給路を有し、前記液体供給路は前記液球保持壁の内周側に開口していることを特徴とする。 この液浸対物レンズにおいては、液球保持壁の内周側から先端レンズ上に安定して液体を供給することができる。 4.本発明の別の液浸対物レンズは、第3項の液浸対物レンズにおいて、前記防液枠は前記液球保持壁の内側から外側に移動した液体を受ける液受け部を有し、前記液受け部は、液体を前記防液枠の外部へ排出する液体排出路を有していることを特徴とする。 この液浸対物レンズにおいては、液球保持壁から溢れた液体が液受け部に溜まり、液受け部から液体排出路を通って外部に排出されるので、液浸対物レンズの先端レンズより下の部材や液浸対物レンズの周囲に液体が進入するのを防ぐことができる。 5.本発明の別の液浸対物レンズは、先端レンズと、前記先端レンズを支持するレンズ枠と、前記レンズ枠の外周に取り付けられた防液枠とを有する液浸対物レンズにおいて、前記防液枠は前記先端レンズ上に供給される液体を保持する液球保持壁を有し、前記液球保持壁の内側で前記液体と接する側面の直径は、前記先端レンズの直径より大きく、かつ、前記レンズ枠の最外周の直径より小さいことを特徴とする。 この液浸対物レンズにおいては、先端レンズのより近くに液球保持壁の内面が位置しているため、先端レンズ上に形成される液球の体積がより小さくなる。このため、液体をより安定して保持することができる。 本発明は、ひとつには、光分析装置に向けられており、以下の各項に列記する光分析装置を含んでいる。 6.試料に光を照射するための光源と、倒立型顕微鏡と、前記倒立型顕微鏡で得られた光を電気信号に変換する光電気信号変換部と、前記光電気信号変換部で変換された電気信号に基づいて前記試料の各種特性を求めるデータ処理部とを備える光分析装置において、前記倒立型顕微鏡は、液浸対物レンズと、前記液浸対物レンズ上に液体を供給する液体供給装置を有し、前記液浸対物レンズは、先端レンズと、前記先端レンズを支持するレンズ枠と、前記レンズ枠の外周に取り付けられた防液枠を有し、前記防液枠は前記先端レンズ上に供給される液体を保持する液球保持壁を有し、前記液球保持壁の先端は、前記先端レンズの先端面より、前記先端レンズの中心軸に平行に前記先端レンズの内部方向にあることを特徴とする。 この分析装置においては、液体をより安定して保持することができる液浸対物レンズを有している。先端レンズ上に液球が安定して保持されるため、液浸対物レンズの焦点合わせを精度良く行うことが可能になる。これにより、焦点位置で試料への光の照射を効率良く行うことが可能になる。また、精度良い光の測定データを得ることも可能になる。さらに、精度良い分析結果を得ることが可能になる。 7.本発明の別の光分析装置は、第6項の光分析装置において、前記光分析装置は、前記光分析装置の運転を制御する制御装置を更に備えており、前記制御装置は、前記先端レンズ上に液体を供給した後に、前記液浸対物レンズを試料を収容した容器に近づけることを特徴とする。 この分析装置においては、先端レンズ上に液体を供給して液浸対物レンズを試料を収容した容器に近づけた後には、試料を収容した容器を水平方向に動かしても液浸対物レンズと容器との間から液体が流出しない。このため、液体を液球保持壁の内側へ補充したり再供給したりする必要がなくなる。これにより、各試料の光分析を連続して早く行うことが可能になる。 本発明は、ひとつには、倒立型顕微鏡に向けられており、以下に記す倒立型顕微鏡を含んでいる。 8.液浸対物レンズと、前記液浸対物レンズ上に液体を供給する液体供給装置とを有する倒立型顕微鏡において、前記液浸対物レンズは、先端レンズと、前記先端レンズを支持するレンズ枠と、前記レンズ枠の外周に取り付けられた防液枠を有し、前記防液枠は前記先端レンズ上に供給される液体を保持する液球保持壁を有し、前記液球保持壁の先端は、前記先端レンズの先端面より、前記先端レンズの中心軸に平行に前記先端レンズの内部方向にあることを特徴とする。 この倒立型顕微鏡においては、液体をより安定して保持することができる液浸対物レンズを有している。先端レンズ上に液球が安定して保持されるため、試料を収容した容器を水平方向に動かしても液浸対物レンズと容器との間から液体が流出しない。このため、液体を液球保持壁の内側へ補充したり再供給したりする必要がなくなる。これにより、各試料の観察を連続して早く行うことが可能になる。 本発明によれば、液体を安定して保持し得る液浸対物レンズが提供される。また、このような液浸対物レンズを備えていることにより、観察の所要時間の短縮を可能にする光分析装置や倒立型顕微鏡が提供される。 以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。 第一実施形態 本実施形態は、蛍光分析装置に向けられている。図2は、本発明の第一実施形態の蛍光分析装置の構成を概略的に示している。 図2に示されるように、蛍光分析装置10は、光源5と、共焦点光学系を用いた倒立型蛍光顕微鏡1と、蛍光標識された試料が発する蛍光を取得して電気信号に変換する光電気信号変換部2と、光電気信号変換部2で得られた測定データに基づいて試料23の特性を求めるデータ処理部3と、データ処理部3で求められた試料23の各種特性を表示する表示装置4とを備えている。また、蛍光分析装置10は、上記各部を制御する制御部6(図4参照)を有している。 光源5は、これに限定されないが、例えば、レーザー光発生装置で構成される。光電気信号変換部2は、これに限定されないが、例えば、フォトマルチプライヤやアバランシェフォトダイオードで構成される。 倒立型蛍光顕微鏡1は、液浸対物レンズ11と、試料プレート12を支持するステージ13と、液浸対物レンズ11と試料プレート12との間に液体を供給する液体供給装置14と、光源5で発生した光を液浸対物レンズ11に導く光経路16と、液浸対物レンズ11で得られた光を光電気信号変換部2に導く光経路17とを有している。 液体供給装置14は、試料プレート12と液浸対物レンズ11との間に液体を供給するための供給ノズル19と、供給ノズル19から供給する液体の量を調整する液量調整装置20とを有している。供給ノズル19と液量調整装置20は流体的に接続されている。 試料プレート12は、ステージ13に支持されて、液浸対物レンズ11の上方に配置される。液浸対物レンズ11の近くには、液体を供給するための供給ノズル19が配置される。供給ノズル19から供給される液体は、例えば薬剤で屈折率を調整した溶液や水などであり、適当な表面張力を有すると共に、光を散乱させるような不純物を含んでいないものが好ましい。試料プレート12は、例えば試料23を平面に置くプレートや試料を収容する凹部を複数持つマイクロプレートなどであり、光源5からの光を良好に透過するものが好ましい。 図1は、図2に示された液浸対物レンズの縦断面を示している。図1に示されるように、液浸対物レンズ11は、先端レンズ31と、先端レンズ31を支持するレンズ枠32と、レンズ枠32の外周に取り付けられた防液枠33とを有している。レンズ枠32は径方向に下る円錐台側面様の曲面32aを有している。防液枠33は、先端レンズ31上に供給された液体が液浸対物レンズ11の細部や下部にある装置に流入するのを防ぐためのものである。防液枠33は、内周側(レンズの中心軸に最も近い側)に液球保持壁35を有し、外周側に液受け部33aを有している。レンズ枠32と防液枠33との間はOリング34が取り付けられている。Oリング34は、レンズ枠32と防液枠33との隙間から液浸対物レンズ11の細部へ液体が移動するのを防ぐ。 図3に示されるように、液球保持壁35の先端35aは、先端レンズ31の先端面31aより、先端レンズ31の中心軸に平行に液浸対物レンズ11の内部方向にある。つまり、液球保持壁35の先端35aは、先端レンズ31の中心軸に沿って、先端レンズ31の先端面31aより後方に位置している。すなわち、先端レンズ31が上でかつ先端レンズ31の中心軸が鉛直方向になるように液浸対物レンズ11を設置したときに、液球保持壁35の先端35aは先端レンズ31の先端面31aより低い位置にある。 このような液球保持壁35の内周側に液体を供給して形成される液球36は、先端レンズ31の先端面31aと同じ平面内に先端35cが位置する液球保持壁の内周側に液体を供給して形成される液球36cと比べて、体積が小さくなる。このため、液球36は安定して保持される。つまり、このような液浸対物レンズ11は、液球36を安定して保持することができる。特に、液球保持壁35の先端が先端レンズ31の先端面31aよりも0.5mm低い位置にあるとよい。 さらに、液球保持壁35の内周側の側面35bが鉛直方向に平行であるとより好ましい。このように鉛直な側面35bを持つ液球保持壁35によって形成される液球36は、傾斜している側面35dを持つ液球保持壁によって形成される液球36dと比べて、体積がより小さくなる。これにより、液球がより安定して保持される。つまり、このような液浸対物レンズ11は、液球36を安定して保持することができる。 図4は、図2の蛍光分析装置10の制御部6を示している。図4に示されるように、制御部6は、光源5と光経路16,17の光学系を制御する光源・光学系制御部7と、ステージ13の移動を制御するステージ制御部8と、液体供給装置14を制御する液体供給制御部9と、液浸対物レンズ11の移動や焦点合わせを制御する対物レンズ制御部28と、予め定められた蛍光分析装置10の運転手順(図5参照)に従って各制御部7,8,9,28に命令を与える中央制御部29とを有している。 図5は、図2の蛍光分析装置10の動作手順の流れを示している。以下、図5を参照しながら蛍光分析装置10の動作手順について述べる。 制御部6は、試料プレート12がステージ13にセットされると、中央制御部29は予め決められた位置にステージ13を移動させるようにステージ制御部8に命令する。ステージ制御部8は命令に従ってステージ13を駆動させる(ステップ40)。 測定開始前に、中央制御部29は液浸対物レンズ11と試料プレート12との間に液体を供給するように液体供給制御部9に命令する。液体供給制御部9は命令に従って液量調整装置20を駆動し、予め定められた量の液体を液球保持壁35の内周側に供給する(ステップ41)。 その結果、液浸対物レンズ11上に液球36が形成される。液球36は液浸対物レンズ11に安定して保持されるので、液球保持壁35の内側へ液体の補充や再供給を行うことなく、次のステップに移ることができる。また、液体を液球保持壁35の内周側供給する際(ステップ41)に、液体を液球保持壁35の許容量よりも多く供給された場合、液球保持壁35が保持しきれない量だけが液球保持壁35の外側の液受け部33aへ移動するだけで、液浸対物レンズ11上には適量の液球36が安定して形成される。従って、液体の供給量の調整を厳密に行わなくてよいので、蛍光分析装置の運転制御が簡単である。 次に、中央制御部29は、液浸対物レンズ11の移動と焦点合わせを行うように対物レンズ制御部28に命令し、光源・光学系制御部7に光を供給するように命令する。対物レンズ制御部28は命令に従って液浸対物レンズ11を試料プレート12に近づける(図2の紙面上方へ移動させる)(ステップ42)。光源・光学系制御部7が光源5にレーザー光を予め定められた時間供給するのと同時に、対物レンズ制御部28は焦点合わせを行う(ステップ43)。 液浸対物レンズ11を試料プレート12に近づける際(ステップ42)に、液球36から液体が液球保持壁35の外側へ押し出されるが、液球保持壁35が液球36を安定して保持しているため、図6に示されるように、液浸対物レンズ11と試料プレート12の底面18との間はなお十分な液体で満たされた状態に保たれる。 従って、液体を液球保持壁35の内側へ補充することなく、すぐに試料への光の照射と蛍光の測定を行うことができる。また、液浸対物レンズ11と試料プレート12との間が液体で満たされているので、液浸対物レンズ11の焦点合わせを精度良く行うことができる。これにより、焦点位置で試料への光の照射を効率良く行うことができる。さらに、液浸対物レンズ11に入る蛍光が液浸対物レンズ11と試料プレート12との間で損失しないので、精度良い蛍光の測定データを光電気信号変換部2で得ることができる。 次に、中央制御部29は、データ処理を開始するようにデータ処理部3に命令する。データ処理部3は命令に従ってデータ処理を行う(ステップ44)。 次に、中央制御部29は、次の測定位置に試料プレート12を移動させるようにステージ制御部8に命令する。ステージ制御部8は命令に従って試料プレート12を水平方向に移動させる(ステップ45)。 試料プレート12を水平方向に動かす際に、液球保持壁35が液体を安定に保持しているので、液体が流出しない。従って、液体を液球保持壁35の内側へ補充することなく、すぐに次の光分析を開始することができる。 中央制御部29は、再び、液浸対物レンズ11の焦点合わせを行うように対物レンズ制御部28に命令し、対物レンズ制御部28は命令に従って焦点合わせを行う(ステップ43)。予定された位置での測定が終了するまで、試料プレート12の移動・焦点合わせおよび測定を繰り返す(ステップ46)。 予定された位置での測定が終了すると、中央制御部29は、液浸対物レンズ11を試料プレート12から遠ざけるように対物レンズ制御部28に命令する。対物レンズ制御部28は命令に従って液浸対物レンズ11を試料プレート12から遠ざける(図2の紙面下方へ移動させる)(ステップ47)。 その後、測定の済んだ試料プレート12は、オペレーターによってステージ13から取り外される。 本実施形態の蛍光分析装置10によれば、先端レンズ31上に液球36が安定して保持されるため、試料プレート12を水平方向に動かしても液浸対物レンズ11と試料プレート12との間から液体が流出しない。このため、液体を液球保持壁35の内側へ補充したり再供給したりする必要がなく、光分析を早く行うことが可能になる。また、液浸対物レンズ11の焦点合わせを精度良く行うことが可能になる。これにより、焦点位置で試料への光の照射を効率良く行うことも可能になる。 第二実施形態 本実施形態は、第一実施形態の液浸対物レンズに代替可能な別の液浸対物レンズに向けられている。図7は、本発明の第二実施形態の液浸対物レンズの縦断面を示している。図7において、図1に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。 図7に示されるように、本実施形態の液浸対物レンズ50は、先端レンズ31と、先端レンズ31を支持するレンズ枠32と、レンズ枠32の外周に取り付けられた防液枠53とを有している。つまり、液浸対物レンズ50は、図1の防液枠33に代えて、防液枠53を有している。防液枠53は、内周側(レンズの中心軸に近い側)に液球保持壁55を有し、外周側に液受け部53aを有している。 液球保持壁55の先端55aは、先端レンズ31の先端面31aより、先端レンズ31の中心軸に平行に液浸対物レンズ50の内部方向にある。つまり、液球保持壁55の先端55aは、先端レンズ31の中心軸に沿って、先端レンズ31の先端面31aより後方に位置している。すなわち、先端レンズ31が上でかつ先端レンズ31の中心軸が鉛直方向になるように液浸対物レンズ50を設置したときに、液球保持壁35の先端55aは先端レンズ31の先端面31aより低い位置にある。 さらに、液球保持壁55の内周側の側面55bは、先端レンズ31の最外周より外側でかつレンズ枠32の最外周より内側に位置している。すなわち、側面55bの内径は、先端レンズ31の直径より大きく、かつ、レンズ枠32の最外周の直径よりも小さい。 このような液球保持壁55の内側に液体を供給して形成される液球は、例えば図3に示されるようにレンズ枠32の最外周より外側に側面35bが位置する液球保持壁35の内側に液体を供給して形成される液球よりも、体積がより小さくなる。このため、本実施形態の液浸対物レンズ50は、液球をより安定して保持し得る。 第三実施形態 本実施形態は、第一実施形態の液浸対物レンズに代替可能な別の液浸対物レンズに向けられている。図8は、本発明の第三実施形態の液浸対物レンズの縦断面を示している。 図8に示されるように、本実施形態の液浸対物レンズ60は、先端レンズ31と、先端レンズ31を支持するレンズ枠62と、レンズ枠32の外周に取り付けられた防液枠63とを有している。レンズ枠62の先端62aは、先端レンズ31の中心軸に垂直、すなわち平面となっている。防液枠63は、内周側(レンズの中心軸に近い側)に液球保持壁65を有し、外周側に液受け部63aを有している。 液球保持壁65は、先端レンズ31の中心軸に沿って、レンズ枠62の先端62aより前方に位置している。液球保持壁65の内周側の側面65bは、先端レンズ31の最外周より外側でかつレンズ枠32の最外周より内側に位置している。すなわち、側面65bの内径は、先端レンズ31の直径より大きく、かつ、レンズ枠62の最外周の直径よりも小さい。 本実施形態の液浸対物レンズ60では、液球保持壁65の内周側に液体を供給して形成される液球は、液球保持壁65によって安定して保持される。また、試料プレート12を水平方向に動かしても、液浸対物レンズ11と試料プレート12との間から液体が流出しない。 図9は、本発明実施形態の変形例の液浸対物レンズの縦断面を示している。 図9に示されるように、本変形例の液浸対物レンズ70は、先端レンズ31と、先端レンズ31を支持するレンズ枠72と、レンズ枠32の外周に取り付けられた防液枠73とを有している。レンズ枠72の先端72aは、外周側で高く、先端レンズ31に近いほど低い。液球保持壁75は、先端レンズ31の中心軸に沿って、レンズ枠62の先端62aより前方に位置している。 液球保持壁75の内周側の側面75bは、先端レンズ31の最外周より外側でかつレンズ枠32の最外周より内側に位置している。すなわち、側面75bの内径は、先端レンズ31の直径より大きく、かつ、レンズ枠72の最外周の直径よりも小さい。 本変形例の液浸対物レンズ70においても、液球保持壁75の内周側に液体を供給して形成される液球は、液球保持壁75によって安定して保持される。 本実施形態において、防液枠63(または防液枠73)は、Oリング34を用いて、レンズ枠62(またはレンズ枠72)に取り付けられているが、防液枠63(または防液枠73)を、シリコンゴムなどの柔軟性や弾性や密着性を有する材料で作り、Oリングなしでレンズ枠62(またはレンズ枠72)に取り付けてもよい。このような防液枠の場合、色々な形状のレンズ枠に幅広く対応し得る。 第四実施形態 本実施形態は、第一実施形態の液浸対物レンズに代替可能な別の液浸対物レンズに向けられている。図10は、本発明の第四実施形態の液浸対物レンズの縦断面を示している。図11は、図10に示された液浸対物レンズを上方から見た平面図である。 図10に示されるように、本実施形態の液浸対物レンズ80は、先端レンズ31と、先端レンズ31を支持するレンズ枠32と、レンズ枠32の外周に取り付けられた防液枠83とを有している。つまり、液浸対物レンズ80は、図1の防液枠33に代えて、防液枠83を有している。 防液枠83は、内周側(レンズの中心軸に近い側)に液球保持壁85を有し、外周側に液受け部83aを有している。液球保持壁85の先端85aは、先端レンズ31の先端面31aより、先端レンズ31の中心軸に平行に液浸対物レンズ80の内部方向にある。つまり、液球保持壁85の先端85aは、先端レンズ31の中心軸に沿って、先端レンズ31の先端面31aより後方に位置している。 液受け部83aの底には、鉛直方向に貫通する液体排出路83dが形成されている。液体排出路83dは、図12に示されるように、先端レンズ31の中心軸の周りに120度の間隔で三箇所に設けられている。 図10と図11に示されるように、防液枠83は更に、その内部を延びる液体供給路83cを有している。液体供給路83cは、先端レンズ31の中心軸を略中心とする円形流路部分と、円形流路部分から延び防液枠83の外側周面で終端する部分と、円形流路部分から延び液球保持壁85の内周側の側面85bで終端する部分とを有している。内周側の側面85bで終端する部分は、図12に示されるように、先端レンズ31の中心軸の周りに120度の間隔で三箇所に設けられている。 本実施形態の液浸対物レンズ80においては、液体供給路83cは、防液枠83の外側周面の開口端を介して、液量調整装置20(図2参照)に連絡される。液量調整装置20から供給される液体は、液体供給路83cを通って、液球保持壁85の内側に流入する。液球保持壁85の内側に流入した液体は液球を形成する。形成された液球は液球保持壁85によって安定して保持される。 液体排出路83dは(図示しない)廃液管に連絡しており、液球保持壁85から溢れた液体は、液体排出路83dと廃液管を通って外部に排出される。 本実施形態によれば、第一実施形態で述べた利点に加えて、以下の利点が得られる。液体が液球保持壁85の内側から供給されるので、液球を安定して形成することができる。また、液体排出路83dが、液受け部83aの底に鉛直方向に延びているので、液受け部83aから液体が溢れることなく、液体が良好に排出され易い。 本実施形態は様々な変形が施されてもよい。例えば、液体排出路83dを液受け部83aの外周壁を水平に貫くように設け、これに液体を排出するためのポンプを接続して、液受け部83aに流れ込んだ液体をポンプにより外部に排出するようにしてもよい。 液球保持壁85の内側の側面85bに設けられる液体供給路83cの開口端の個数は一つであってもよい。しかし、好ましくは、液体供給路83cの開口端の個数は複数であるとよく、この方が、液球をより安定して形成することができる。 これまで、図面を参照しながら本発明の実施の形態を述べたが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。 上述した実施形態では、蛍光分析装置への適用を想定した液浸対物レンズについて説明したが、各実施形態の液浸対物レンズは蛍光顕微鏡等の他の装置に適用されてもよい。本発明の第一実施形態の蛍光分析装置における液浸対物レンズの縦断面を示している。本発明の第一実施形態の蛍光分析装置の構成を概略的に示している。図1に示された液浸対物レンズの液球保持壁に形成される液球を示している。図2に示された蛍光分析装置の制御部を示している。図2に示された蛍光分析装置の運転手順の流れを示している。液浸対物レンズと試料プレートとその間に保持された液体とを拡大して示している。本発明の第二実施形態の液浸対物レンズの縦断面を示している。本発明の第三実施形態の液浸対物レンズの縦断面を示している。本発明実施形態の変形例の液浸対物レンズの縦断面を示している。本発明の第四実施形態の液浸対物レンズの縦断面を示している。図10に示された液浸対物レンズを上方から見た平面図である。符号の説明1…倒立型蛍光顕微鏡、2…光電気信号変換部、3…データ処理部、4…表示装置、5…光源、6…制御部、7…光源・光学系制御部、8…ステージ制御部、9…液体供給制御部、10…蛍光分析装置、11…液浸対物レンズ、14…液体供給装置、19…供給ノズル、20…液量調整装置、28…対物レンズ制御部、29…中央制御部、31…先端レンズ、31a…先端面、32…レンズ枠、33…防液枠、33a…液受け部、35…液球保持壁、35a…先端、35b…側面、50…液浸対物レンズ、53…防液枠、53a…液受け部、55…液球保持壁、55a…先端、55b…側面、60…液浸対物レンズ、63…防液枠、63a…液受け部、65…液球保持壁、65b…側面、70…液浸対物レンズ、72…レンズ枠、75…液球保持壁、75b…側面、80…液浸対物レンズ、83…防液枠、83a…液受け部、83c…液体供給路、83d…液体排出路、85…液球保持壁、85a…先端、85b…側面。 先端レンズと、前記先端レンズを支持するレンズ枠と、前記レンズ枠の外周に取り付けられた防液枠とを有する液浸対物レンズにおいて、 前記防液枠は前記先端レンズ上に供給される液体を保持する液球保持壁を有し、 前記液球保持壁の先端は、前記先端レンズの先端面より、前記先端レンズの中心軸に平行に前記先端レンズの内部方向にあることを特徴とする液浸対物レンズ。 前記液球保持壁の内周側の側面が鉛直方向に平行であることを特徴とする請求項1に記載の液浸対物レンズ。 前記防液枠は前記先端レンズ上に液体を供給する液体供給路を有し、前記液体供給路は前記液球保持壁の内周側に開口していることを特徴とする請求項1に記載の液浸対物レンズ。 前記防液枠は前記液球保持壁の内側から外側に移動した液体を受ける液受け部を有し、前記液受け部は、液体を前記防液枠の外部へ排出する液体排出路を有していることを特徴とする請求項3に記載の液浸対物レンズ。 先端レンズと、前記先端レンズを支持するレンズ枠と、前記レンズ枠の外周に取り付けられた防液枠とを有する液浸対物レンズにおいて、 前記防液枠は前記先端レンズ上に供給される液体を保持する液球保持壁を有し、 前記液球保持壁の内側で前記液体と接する側面の直径は、前記先端レンズの直径より大きく、かつ、前記レンズ枠の最外周の直径より小さいことを特徴とする液浸対物レンズ。 試料に光を照射するための光源と、倒立型顕微鏡と、前記倒立型顕微鏡で得られた光を電気信号に変換する光電気信号変換部と、前記光電気信号変換部で変換された電気信号に基づいて前記試料の各種特性を求めるデータ処理部とを備える光分析装置において、 前記倒立型顕微鏡は、液浸対物レンズと、前記液浸対物レンズ上に液体を供給する液体供給装置を有し、 前記液浸対物レンズは、先端レンズと、前記先端レンズを支持するレンズ枠と、前記レンズ枠の外周に取り付けられた防液枠を有し、 前記防液枠は前記先端レンズ上に供給される液体を保持する液球保持壁を有し、 前記液球保持壁の先端は、前記先端レンズの先端面より、前記先端レンズの中心軸に平行に前記先端レンズの内部方向にあることを特徴とする光分析装置。 前記光分析装置は、前記光分析装置の運転を制御する制御装置をさらに備え、前記制御装置は、前記先端レンズ上に液体を供給した後に、前記液浸対物レンズを試料を収容した容器に近づけることを特徴とする請求項6に記載の光分析装置。 液浸対物レンズと、前記液浸対物レンズ上に液体を供給する液体供給装置とを有する倒立型顕微鏡において、 前記液浸対物レンズは、先端レンズと、前記先端レンズを支持するレンズ枠と、前記レンズ枠の外周に取り付けられた防液枠を有し、 前記防液枠は前記先端レンズ上に供給される液体を保持する液球保持壁を有し、 前記液球保持壁の先端は、前記先端レンズの先端面より、前記先端レンズの中心軸に平行に前記先端レンズの内部方向にあることを特徴とする倒立型顕微鏡。


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