タイトル: | 特許公報(B2)_パーフルオロアルキルホスフィンの製造方法およびパーフルオロアルキル化反応体としてのこの使用 |
出願番号: | 2003584069 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07F 9/50,C07C 29/64,C07C 33/46,C07F 5/02 |
ヴェルツ−ビーアマン, ウルス イグナティフ, ニコライ ヴァイデン,ミヒャエル シュミット, ミヒャエル ハイダー, ウド ミラー, アレクセイ ヴィルナー, ヘルゲ ザルトリ, ペーター JP 4383895 特許公報(B2) 20091002 2003584069 20030317 パーフルオロアルキルホスフィンの製造方法およびパーフルオロアルキル化反応体としてのこの使用 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 591032596 Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung 葛和 清司 100102842 ヴェルツ−ビーアマン, ウルス イグナティフ, ニコライ ヴァイデン,ミヒャエル シュミット, ミヒャエル ハイダー, ウド ミラー, アレクセイ ヴィルナー, ヘルゲ ザルトリ, ペーター DE 102 16 998.5 20020418 20091216 C07F 9/50 20060101AFI20091126BHJP C07C 29/64 20060101ALI20091126BHJP C07C 33/46 20060101ALI20091126BHJP C07F 5/02 20060101ALI20091126BHJP JPC07F9/50C07C29/64C07C33/46C07F5/02 B C07F 9/00-19/00 C07B 31/00-63/04 C07C 01/00-409/44 KAMPA J J,ANGEWANDTE CHEMIE. INTERNATIONAL EDITION,ドイツ,VERLAG CHEMIE,1995年,V34 N11,P1241-1244 14 EP2003002739 20030317 WO2003087113 20031023 2005522512 20050728 11 20060316 関 美祝発明の詳細な説明 本発明は、パーフルオロアルキルホスフィンの製造方法であって、少なくとも1種のフルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホランと少なくとも1種の水素化物イオンドナーとを反応させることを少なくとも含む、前記製造方法および、パーフルオロアルキルホスフィンのパーフルオロアルキル化試薬としての使用に関する。 パーフルオロアルキルホスフィンは、自体公知である。数種の化合物は、対応するジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランをP[Si(CH3)3]3を用いて還元することにより、文献に記載されている方法により、得られる(J.J. Kampa et al., Angew. Chem., 107, No. 11 (1995), 1334〜1337頁)。この方法における欠点は、特に、パーフルオロアルキルホスフィンの極めて低い収率および還元剤P[Si(CH3)3]3の比較的複雑な製造である。 従って、本発明の目的は、パーフルオロアルキルホスフィンの簡単であり、安価な製造を、良好な収率で可能にする方法を提供することにあった。パーフルオロアルキルホスフィンは、好ましくは、高純度で得られなければならない。 この目的は、本発明において、パーフルオロアルキルホスフィンの製造方法であって、少なくとも1種のフルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホランと少なくとも1種の水素化物イオンドナーとの反応を少なくとも含む、前記製造方法により、達成された。 フルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホランを、当業者に知られている慣用の方法により、製造することができる。 これらの化合物を、好ましくは、V. Ya. Semenii et al., Zh. Obshch. Khim., 55, No.12 (1985), 2716〜2720頁;N. Igantiev, P. Sartori, J. of Fluorine Chem., 103 (2000), 57〜61頁およびWO 00/21969に記載されているように、好適な出発化合物の電気化学的フッ素化により製造する。対応する記載を、参照により本明細書中に組み込み、開示の一部とみなす。 本発明において、1種または2種以上の水素化物イオンドナー、即ち1個または2個以上の水素化物イオン(H−)を放出することができる化合物を、各々の場合において、個別に、または組み合わせて用いることができ、各々の場合において、1種のみの水素化物イオンドナーを用いることが、好ましい。 水素化物イオンドナーは、好ましくは、ヒドロシラン、アルキルヒドロシラン、金属水素化物、ホウ化水素(borohydride)およびヒドロホウ酸塩(hydroborate)からなる群から選択される。 本発明の方法において用いる水素化物イオンドナーが、アルキルヒドロシランである場合には、これは、好ましくは、トリエチルシランまたはトリプロピルシランである。 本発明の方法において用いる水素化物イオンドナーが、ホウ化水素である場合には、これは、好ましくは、水素化ホウ素ナトリウムである。 本発明の方法の好ましい態様において、一般式I (CnF2n+1)mPF5−m I式中、1≦n≦8、好ましくは1≦n≦4であり、mは、各々の場合において、1、2または3である、で表される少なくとも1種のフルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホラン化合物を、本発明の方法に従って反応させる。 特に好ましいフルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホラン化合物を、ジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホラン、ジフルオロトリス(n−ノナフルオロブチル)ホスホラン、ジフルオロトリス(n−ヘプタフルオロプロピル)ホスホランおよびトリフルオロビス(n−ノナフルオロブチル)ホスホランからなる群から選択することができる。 少なくとも1種のフルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホラン化合物の反応を、好適な反応媒体中で、または反応媒体を存在させずに行なうことができる。本発明の方法による反応を、好ましくは、この方法の環境的均衡が、これにより改善され、費用が低減されので、反応媒体を用いずに行なう。 本発明の方法において用いられる水素化物イオンドナーを、好ましくは、各々の場合において、用いられるフルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホランの量に基づいて、過剰に用いて、所望のパーフルオロアルキルホスフィンへの完全な変換を確実にする。水素化物イオンドナーを、同様に、好ましくは、各々の場合において、用いられるフルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホランの量に基づいて、等モル量で用いることができる。 本発明の方法において、反応の間の温度および反応の継続時間を、例えば互いに依存させて、並びに用いられるフルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホランおよび各々の場合において選択されるバッチの大きさに依存して、広範囲にわたり変化させることができる。各々の場合におけるパラメーターの最適な選択は、当業者により、簡単な予備実験により決定することができる。 本発明の方法の好ましい態様において、還流を、フルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホランの反応の間に行なう。 反応の継続時間は、好ましくは、0.5〜20時間である。この継続時間は、トリエチルシランを水素化物イオンドナーとして用いる場合には、特に好ましくは3〜15時間であり、水素化ホウ素ナトリウムについて、特に好ましくは1〜3時間である。 本発明の方法による1種または2種以上のパーフルオロアルキルホスフィンの製造に、所要に応じて、これらの化合物の、当業者に知られている慣用の方法による精製を続けることができる。 本発明の方法の好ましい態様において、製造したパーフルオロアルキルホスフィンを精製し、所望により減圧下で、および/または所望により不活性ガス雰囲気下で、所望により単一の、または複数の蒸留により、単離することができる。 パーフルオロアルキルホスフィンを製造するための本発明の方法により、これらの化合物の、高い収率における、および高純度における、安価な製造が可能になる。これは、さらに、用いられる水素化物イオンドナーが、大きい工業的規模においてさえも問題なく取り扱うことができる、商業的に入手できる、安価な化合物であるという事実により、区別される。出発化合物として用いられるフルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホランを、同様に、電気化学的フッ素化により、安価に製造することができる。 さらに、本発明の方法を、溶媒を伴わずに行ない、これにより、パーフルオロアルキルホスフィンの製造費用をさらに低減し、本発明の方法の環境的な均衡を改善することができるのが、有利である。 驚異的なことに、また、トリス(パーフルオロアルキル)ホスフィンは、化学的基質のパーフルオロアルキル化に適することが、見出された。 パーフルオロアルキル化は、フッ素含有化合物、特に有機フッ素化合物の製造のための重要な方法である。通常用いられるパーフルオロアルキル化試薬は、ハロゲン化パーフルオロアルキル、特にパーフルオロアルキル非含有基の源として機能するヨウ化パーフルオロアルキルである(「有機フッ素化学。原理および商業的適用。(Organofluorine Chemistry. Principles and Commercial Applications.)」R.E. Banks編、Plenum Press, New York 1994; G.G. Furin, 「フッ素含有有機化合物の合成におけるハロゲン化パーフルオロアルキルの適用におけるいくつかの新たな観点(Some new aspects in the application of perfluoroalkyl halides in the synthesis of fluorine-containing organic compounds)」(論評)、Russ. Chem. Rev. (英訳)、69, No. 6 (2000), 491〜522頁;N.O. Brace, 「ヨウ化パーフルオロアルキルを用いた合成。論評、第III部(Syntheses with perfluoroalkyl iodides. A review, Part III)」、J. of Fluorine Chem., 108 (2001), 147〜175頁;N.O. Brace, 「ヨウ化パーフルオロアルキルを用いた合成。第II部(Syntheses with perfluoroalkyl iodides. Part II)」、J. of Fluorine Chem. 96 (1999), 101〜127頁;N.O. Brace, 「ヨウ化パーフルオロアルキルからのパーフルオロアルキル基を用いた合成。実際の適用に対する強調についての合成的可能性の迅速な概観。第1部:アルケン、アルキンおよびアリル化合物(Syntheses with perfluoroalkyl radicals from perfluoroalkyl iodides. A rapid survey of synthetic possibilities with emphasis on practical applications. Part one: alkenes, alkynes and allylic compounds)」、J. of Fluorine Chem., 96 (1999), 1〜25頁;V.N. Boiko, 「イオン基パーフルオロアルキル化。第II部(Ion-radical perfluoroalkylation. Part II)」、J. of Fluorine Chem., 69 (1994), 207〜212頁)。 さらに、ハロゲン化パーフルオロアルキルは、パーフルオロアルキル、特にトリフルオロメチル基を含む有機金属化合物の製造のために用いられ、これは、これら自体、パーフルオロアルキル基を有機分子中に導入するために用いることができる(D.J. Burton, 「フッ素化有機金属:有機合成におけるパーフルオロアルキルおよび官能化されたパーフルオロアルキル有機金属試薬(Fluorinated organometallics: perfluoroalkyl and functionalised perfluoroalkyl organometallic reagents in organic synthesis)」、Tetrahedron, 48, No. 2 (1992), 189〜275頁)。 さらに、試薬TMSCF3は、求核トリフルオロメチル化のために開発された(G.K. Surya Prakash, 「制御された求核トリフルオロメチル化(Nucleophilic trifluoromethylation tamed)」、J. of Fluorine Chem., 112 (2001), 123〜131頁)。この求核パーフルオロアルキル化方法は、長鎖ヨウ化パーフルオロアルキルとテトラキス(ジメチルアミノ)エチレンとの、クロロトリメチルシランの存在下での反応により、他の有機および無機基質に拡張された(V.A. Petrov, Tetrahedron Letters, 42 (2001), 3267〜3269頁)。 しかし、前述のパーフルオロアルキル化方法は、対応するハロゲン化パーフルオロアルキルが、極めて高価であるか、またはこれらの使用が、例えば化合物CF3Brの場合におけるように、モントリオール議定書による極めて大きい制限と共に許可されているに過ぎないという欠点を有する。 これらの欠点の結果、J.R. Desmurs et al., 12th European Symposium on Fluorine Chemistry, Berlin, Germany, 1998, アブストラクト A23 およびA24に記載されているように、新規なパーフルオロアルキル化試薬が開発された。しかし、これらの試薬は、取り扱うのが困難である高度に揮発性の化合物であるCF3Hを用いて製造することができるに過ぎない。さらに、他の安定なパーフルオロアルキル化試薬は、求核トリフルオロメチル化のために開発され、これらの試薬の合成は、フルオラールのメチルヘミケタールから開始し、これは先ず、比較的複雑な方法において製造されなければならない。さらに、これらの試薬の使用は、トリフルオロメチル化に限定されている(G. Blond et al., Tetrahedron Letters, 42 (2001), 2437〜2475頁;T. Billard et al., Eur. J. Org. Chem., 2001, 1467〜1471頁;T. Billard et al. Tetrahedron Letters, 41 (2000), 8777〜8780頁;G. Blond et al., J. Org. Chem., 66, No. 14 (2001), 4826〜4830頁)。 従って、本発明は、さらに、少なくとも1種のトリス(パーフルオロアルキル)ホスフィンを、化学的基質のパーフルオロアルキル化に用いることに関する。 パーフルオロアルキルホスフィンを用いた化学的基質のパーフルオロアルキル化には、パーフルオロアルキル化されるべき基質を少なくとも1種の塩基で、それぞれのパーフルオロアルキルホスフィンとの反応の前または反応中のいずれかに処理することが必要である。少なくとも1種のパーフルオロアルキルホスフィンを用いた、化学的基質のパーフルオロアルキル化を、好ましくは、少なくとも1種の塩基の存在下で行なう。 ここで、好ましいのは、強塩基、例えばカリウムtert−ブトキシド、n−ブチルリチウムおよび/またはグリニヤール試薬である。 パーフルオロアルキル化を、好ましくは、所要に応じて慣用の方法により乾燥した、好適な反応媒体、例えば環式または脂肪族エーテル、特にテトラヒドロフランまたはジエチルエーテル中で行なう。 好適な化学的基質は、好ましくは有機化合物、特に三配位有機ホウ素化合物およびカルボニル基を含む有機化合物である。 用いられる好ましい有機ホウ素化合物は、トリス(C1〜3)アルキルボレート、特に好ましくはホウ酸トリメチルである。 好ましいカルボニル基含有化合物は、随意に置換されたジアリールケトン化合物、特にベンゾフェノンである。 パーフルオロアルキルホスフィンを用いた化学的基質のパーフルオロアルキル化を、好ましくは、不活性ガス雰囲気下、例えばアルゴンまたは窒素の下で行なうことができる。 トリス(パーフルオロアルキル)ホスフィンを、パーフルオロアルキル化試薬として用いることは、特に、これらの化合物が、多くの他のパーフルオロアルキル化試薬とは対照的に、安定な化合物であり、これにより、これらを、簡単かつ安全に取り扱うことができるため、有利である。 NMRスペクトルを、以下の周波数において、ブルーカーアバンス(Bruker Avance)300NMR分光計の補助により、記録した:1Hについて300.1MHz19Fについて282.4MHzおよび11Bについて96.3MHz。 質量スペクトルを、AMD 604機器を用いて測定した。 本発明を、例を参照して、以下に説明する。これらの例は、単に本発明を説明する作用を有し、一般的な本発明の思想を限定しない。例例1a:トリス(ペンタフルオロエチル)ホスフィンの製造 56.0g(131.4mmol)のジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホランおよび38.0g(326.8mmol)のトリエチルシランを、FEP(フルオロエチレンポリマー)フラスコ中で、110℃の浴温度において、12時間激しく攪拌しながら還流させた。その後、反応混合物を、不活性雰囲気下で、大気圧の下で蒸留し、81〜85℃の沸点範囲を有するフラクション48.0gを、採集した。その後、このフラクションを、−20℃に冷却し、下方の相(所望の生成物)を分離して除去した。42.2gの事実上純粋なトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフィンが得られ、これは、用いたジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホランを基準として、82.8%の収率に相当した。 得られた生成物を、19F−、31P−および1H−NMR分光法および質量分光法により特徴づけした:19F NMRスペクトル;δ、ppm:(溶媒CDCl3、内部基準CCl3F)−82.4 dt(CF3);−106.5 dq(CF2);J2P,F=49.3Hz;J3P,F=15.8Hz;J3F,F=3.1Hz31P NMRスペクトル;δ、ppm:(溶媒CDCl3、基準85重量%H3PO4)13.3 sep of dec 観測された化学シフトの値は、J.J. Kampa et al., Angew. Chem., 107, No. 11 (1995), 1334〜1337頁により、刊行物中に開示された値に相当する。高解像度質量スペクトル:計算値(M+):387.949812観測値(M+):387.949842例1b:トリス(ペンタフルオロエチル)ホスフィンの製造 230.0g(0.54mol)のジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホランおよび41.2g(1.089mol)の水素化ホウ素ナトリウムを、ガラスフラスコ中で、約110℃の浴温度において、激しく攪拌しながら3時間還流させた。その後、反応混合物を、減圧(2kPa)下で蒸留し、生成物の2つのフラクションを、それぞれ−78℃および−195℃の温度において、コールドトラップ中に採集した。さらなる精製のために、両方のトラップからの混ぜ合わせた生成物を、大気圧下で、不活性ガス雰囲気下で蒸留し、85〜87℃の沸点範囲におけるフラクションを、採集した。194.0gの純粋なトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフィンが、得られた。収率は、用いたジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホランの量を基準として、93%であった。 得られた生成物を、19F−および31P−NMR分光法により特徴づけした。観測された化学シフトは、例1aからのものに相当する。例2:トリス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィンの製造 19.7g(27.13mmol)のジフルオロトリス(n−ノナフルオロブチル)ホスホランおよび10.0g(86.0mmol)のトリエチルシランを、激しく攪拌しながら15時間、FEPフラスコ中で、約140℃の浴温度で還流させた。その後、反応混合物を、減圧(1.73kPa)の下で蒸留し、87℃の沸点を有するフラクションを、採集した。15.0gのトリス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィンの透明な、無色の液体が、得られた。収率は、用いたジフルオロトリス(n−ノナフルオロブチル)ホスホランの量を基準として、80.3%であった。 得られた生成物を、19F−および31P−NMR分光法により特徴づけした:19F NMRスペクトル;δ、ppm:(溶媒CDCl3、内部基準CCl3F)−81.4 t(CF3);−102.2 dm(CF2);−118.9 dm(CF2);−126.3 m(CF2);J2P,F=37.7Hz;J3P,F=35.2Hz;J4F,F=9.6Hz31P NMRスペクトル;δ、ppm:(溶媒CDCl3、基準85重量%H3PO4)23.3 m 観測された化学シフトの値は、J.J. Kampa et al., Angew. Chem., 107, No. 11 (1995), 1334〜1337頁により、刊行物中に開示された値に相当する。例3:ビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィンの製造 4.6g(8.7mmol)のトリフルオロビス(n−ノナフルオロブチル)ホスホランおよび4.32g(27.3mmol)のトリプロピルシランを、激しく攪拌しながら3時間、FEPフラスコ中で、約70℃の浴温度で還流させた。その後、反応混合物を、大気圧の下および不活性ガス雰囲気の下で蒸留し、沸点範囲130〜135℃におけるフラクションを、採集した。3.0gのビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィンの透明な、無色の液体が、得られた。収率は、用いたトリフルオロビス(n−ノナフルオロブチル)ホスホランの量を基準として、73.3%であった。 得られた生成物を、19F−および31P−NMR分光法により特徴づけした。スペクトルを、純粋な液体について、外部ロックとしてアセトニトリル−D3フィルムおよび外部基準としてCCl3FまたはD2Oに溶解した85%H3PO4を有するFEP管を用いて、測定した。19F NMRスペクトル;δ、ppm:−81.6 m(CF3);−120.2 m(CF2);−121.1 m(CF2);−126.0 m(CF2)31P NMRスペクトル;δ、ppm:140.0 dm;J1P,H=1025Hz例4:ベンゾフェノンのパーフルオロアルキル化 5.81g(14.97mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフィンを、不活性ガス雰囲気下で、1.68g(14.97mmol)のカリウムtert−ブトキシドおよび2.72g(14.93mmol)のベンゾフェノンを20cm3の乾燥テトラヒドロフランに溶解した溶液に、反応混合物の温度が約20℃であるような速度で水浴を用いて冷却しながら加えた。その後、反応混合物を、さらに1時間室温で攪拌し、20cm3のHClの0.1N溶液を加え、混合物を2回、各々の回において75cm3のジエチルエーテルで抽出した。混ぜ合わせた抽出物を3回、各々の回において20cm3の水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。その後、溶媒を蒸留して除去し、所望の生成物を、n−ヘキサンから結晶させ、82〜83℃の範囲内の融点を有する、2.8gの2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1,1−ジフェニルプロパン−1−オールが得られた。 収率は、用いたベンゾフェノンの量を基準として、62%であった。 得られた生成物を、19F−および1H−NMR分光法並びに高解像度質量分光法並びに元素分析により、特徴づけした:19F NMRスペクトル;δ、ppm:(溶媒CDCl3、内部基準CCl3F)−77.6 s(CF3);−116.9 m(CF2)1H−NMRスペクトル;δ、ppm:(溶媒CDCl3、基準TMS)7.53−7.67 m(2H)、7.30−7.47 m(3H)、2.85 br.s(OH) 観測された融点および化学シフトは、L.S. Chen et al., J. of Fluorine Chem., 20 (1982), 341〜348頁により、刊行物中に開示された値に相当する。高解像度質量スペクトル:計算値(M+):302.073006観測値(M+):302.073115元素分析:観測値:C 59.67%;H 3.62%(C6H5)2C(OH)C2F5についての計算値:C 59.61%;H 3.67%例5:ペンタフルオロエチルトリフルオロホウ酸カリウム(C2F5)BF3Ka) 9.78g(25.21mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフィンを、不活性ガス雰囲気下で、30mmolのn−ブチルリチウム(シクロヘキサンに溶解した2M溶液の15cm3)を70cm3の乾燥ジエチルエーテルに溶解した、攪拌した溶液に、反応混合物の温度が約−60℃であるような速度で冷却しながら、ゆっくりと加えた。その後、反応混合物を、さらに30分間−55℃で攪拌し、3.31g(31.85mmol)のホウ酸トリメチル(CH3O)3Bを5cm3の乾燥ジエチルエーテルに溶解した溶液を、加えた。 得られた反応混合物を、室温とし、30cm3のフッ化水素酸(48%水溶液)を加え、その後混合物を、室温でさらに10時間攪拌した。その後、10.0g(128mmol)の二フッ化水素カリウムを加え、混合物を、室温でさらに10時間攪拌した。有機相を、分離して除去し、固体炭酸カリウム上で攪拌することにより中和し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。その後、溶媒を蒸留して除去し、得られた残留物を、最小の可能な量のテトラヒドロフランに溶解した。次に、クロロホルムの添加により、固体が沈殿し、これを濾別し、乾燥し、3.30gのペンタフルオロエチルトリフルオロホウ酸カリウムが、白色固体の形態で得られた。収率は、用いたトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフィンを基準として、58%であった。 得られた生成物を、11B−および19F−NMR分光法並びに元素分析により、特徴づけした:11B−NMRスペクトル;δ、ppm:(溶媒アセトン−D6、内部基準BF3O(C2H5)2):0.2 tq;J1B,F=41.0Hz;J2B,F=20.0Hz19F NMRスペクトル;δ、ppm:(溶媒アセトン−D6、内部基準CCl3F)−83.3 q(CF3);−136.2 q(CF2);−153.5 q(BF3);J1B,F=41.2Hz;J2B,F=19.9Hz;J4F,F=4.9Hz元素分析:観測値:C 10.56%計算値((C2F5)BF3Kについて):C 10.63%b)ペンタフルオロエチルトリフルオロホウ酸カリウム(C2F5)BF3K 20.81g(53.63mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフィンを、不活性ガス雰囲気下で、60mmolの塩化メチルマグネシウム(テトラヒドロフランに溶解した3M溶液の20cm3)を100cm3の乾燥テトラヒドロフランに溶解した、攪拌した溶液に、反応混合物の温度が約−60℃であるような速度で冷却しながら、ゆっくりと加えた。その後、反応混合物を、さらに30分間−55℃で攪拌し、6.24g(60.04mmol)のホウ酸トリメチル(CH3O)3Bを加えた。得られた反応混合物を、室温とし、25cm3のフッ化水素酸(48%水溶液)を加え、その後混合物を、室温でさらに10時間攪拌した。 その後、15.0g(192mmol)の二フッ化水素カリウムを加え、混合物を、室温でさらに10時間攪拌した。有機相を、分離して除去し、固体炭酸カリウム上で攪拌することにより中和し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。その後、溶媒を蒸留して除去し、得られた残留物を、最小の可能な量のテトラヒドロフランに溶解した。次に、クロロホルムの添加により、固体が沈殿し、これを濾別し、乾燥し、6.30gのペンタフルオロエチルトリフルオロホウ酸カリウムが、白色固体の形態で得られた。収率は、用いたトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフィンを基準として、52%であった。 得られた生成物を、11B−および19F−NMR分光法により、特徴づけした。対応するシグナルは、5aの下に述べたシグナルに相当した。例6: 1.925g(20.53mmol)のテトラフルオロホウ酸リチウムLiBF4を、10cm3の乾燥炭酸ジメチルに溶解した。4.639g(20.53mmol)のペンタフルオロエチルトリフルオロホウ酸カリウム(C2F5)BF3Kを19cm3の乾燥炭酸ジメチルに溶解した溶液を、室温で攪拌しながら加えた。KBF4の白色沈殿を、濾別した。溶媒を、減圧(1.3Pa)の下で除去した。残留物(5.525g、収率:95%)は、炭酸ジメチルとの複合体(1:1)としてのペンタフルオロエチルトリフルオロホウ酸リチウム(C2F5)BF3Li・(CH3O)2COからなっていた。 構造を、19F−、11B−および1H−NMRスペクトルにより確認した。1H−NMRスペクトル、δ、ppm(溶媒:アセトニトリル−d3、基準:TMS):3.74 s、(CH3O)2CO。11B−NMRスペクトル、δ、ppm(溶媒:アセトニトリル−d3、基準:BF3・OEt2外部)−0.1 tq;J1B,F=40.4Hz;J2B,F=19.9Hz。19F NMRスペクトル、δ、ppm(溶媒:アセトニトリル−d3、基準:CCl3F内部)−83.27 q(CF3);−136.14 q(CF2);−154.03 q(BF3);J1B,F=41.2Hz;J2B,F=19.9Hz;J4F,F=4.9Hz。 パーフルオロアルキルホスフィンの製造方法であって、少なくとも1種のフルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホランと少なくとも1種の水素化物イオンドナーとの反応を少なくとも含むことを特徴とする、前記製造方法。 用いられるフルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホランが、一般式I (CnF2n+1)mPF5−m I式中、1≦n≦8であり、mは、各々の場合において、1、2または3である、で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。 用いられるフルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホランが、ジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホラン、ジフルオロトリス(n−ノナフルオロブチル)ホスホラン、トリフルオロビス(n−ノナフルオロブチル)ホスホランおよびジフルオロトリス(n−ヘプタフルオロプロピル)ホスホランからなる群から選択された化合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。 反応を、反応媒体を用いずに行なうことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。 水素化物イオンドナーが、ヒドロシラン、アルキルヒドロシラン、金属水素化物、ホウ化水素およびヒドロホウ酸塩からなる群から選択された化合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。 アルキルヒドロシランがトリエチルシランまたはトリプロピルシランであることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。 ホウ化水素が水素化ホウ素ナトリウムであることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。 水素化物イオンドナーを、各々の場合において、用いるフルオロ(パーフルオロアルキル)ホスホランの量を基準として、等モル量で、または過剰に用いることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。 反応混合物を、反応の間還流させることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。 反応の継続時間が、0.5〜20時間であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。 パーフルオロアルキルホスフィン(1種または2種以上)を、所望により減圧下で、蒸留により精製することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。 少なくとも1種のトリス(パーフルオロアルキル)ホスフィンの、有機化合物のパーフルオロアルキル化への、パーフルオロアルキル化剤としての使用方法。 パーフルオロアルキル化を、塩基の存在下で行なうことを特徴とする、請求項12に記載の使用方法。 有機化合物が、三配位有機ホウ素化合物および/またはカルボニル基を含む有機化合物であることを特徴とする、請求項12または13に記載の使用方法。