タイトル: | 特許公報(B2)_2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジンの互変異性体の調製方法 |
出願番号: | 2003572968 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07D 251/70,A61Q 17/00,A61K 8/49 |
グームベル,ヘルムット クノイペル,ハインツ−ヨセフ ベッカー,ライナー ベルトライン,ゲルハルト ドローゲミューラー,ミカエル JP 4786131 特許公報(B2) 20110722 2003572968 20030226 2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジンの互変異性体の調製方法 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 508020155 BASF SE 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 グームベル,ヘルムット クノイペル,ハインツ−ヨセフ ベッカー,ライナー ベルトライン,ゲルハルト ドローゲミューラー,ミカエル DE 102 08 840.3 20020301 20111005 C07D 251/70 20060101AFI20110915BHJP A61Q 17/00 20060101ALN20110915BHJP A61K 8/49 20060101ALN20110915BHJP JPC07D251/70 FA61Q17/00A61K8/49 C07D 251/70 A61K 8/49 CAplus/REGISTRY(STN) 特開昭61−271281(JP,A) 特開昭58−157774(JP,A) Journal of the American Chemical Society,1977年,Vol.99, No.21,p.7027-7037 3 EP2003001931 20030226 WO2003074499 20030912 2005526747 20050908 8 20060221 守安 智 本発明は、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2'-エチルヘキシル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジンの互変異性体I:を、互変異性体の混合物から結晶化させることによる、前記互変異性体Iの新規調製方法に関する。 本発明はまた、このようにして単離された互変異性体Iを、化粧品における光防護剤として使用することに関する。 EP-B 087 098 (1)には、塩化シアヌルおよびp-アミノ安息香酸2-エチルヘキシルから2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2'-エチルヘキシル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジンを調製し、粗生成物を石油スピリットから再結晶することにより精製することが記載されている。 DE-A 35 18 670 (2)は、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2'-エチルヘキシル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジンのようなs-トリアジン誘導体の調製において、6〜10個の炭素原子を有する分枝アルカン酸と10〜20個の炭素原子を有する飽和脂肪族アルコールのエステルを溶媒として使用することに関する。 前記方法により得られる生成物は、適切なIRスペクトルから容易に推察されるように、一般には互変異性体の混合物である。例えば、J. Elguero, C. Marzin, A.R. KatritzkyおよびP. Linda, Advances in Heterocyclic Chemistry(複素環化学の進歩), 増補1, The Tautomerism of Heterocycles(複素環の互変異性), Academic Press New York, 1976, 第2章, 第168頁から知られているように、アミノ-s-トリアジン誘導体の場合には、一般にNHプロトンに関する互変異性体が生じうる。 このようにして得られた2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2'-エチルヘキシル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジン互変異性体混合物を化粧品中で用いると、しばしば、化粧品用オイル中にすでに溶解しているこの物質が貯蔵中に次第に沈殿してくるという問題が生じる。 さらに、この物質の使用適合性の試験において、また、この物質の使用それ自体において、該物質は化学的に均一であることが使用者にとって重要である。特に、毒性検査および適合性試験の場合、これらの試験の結果は、当然のことながら、化粧品の成分にとって特に問題とされる。互変異性体混合物を含めて、様々な物理的特性の物質の混合物は、生物にそれらを供給する実験において一定の組成を前提とすることができないため、使用することができず、これらの試験の結果を誤らせることとなる。その上、こうした混合物は製造条件をほんのわずかに変えただけでも大きな組成変化をうけやすく、困難なくしては特定の組成物を製造することができない。 本発明の課題は、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2'エチルヘキシル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジンを使用する際の上記欠点を解決することである。 この課題は下記の方法により達成されることが見出された。すなわち、互変異性体の混合物から、2〜8個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、合計3〜10個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸アルキルエステル、合計8〜12個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸アルキルエステル、合計3〜9個の炭素原子を有する脂肪族炭酸エステル、合計2〜8個の炭素原子を有するカルボニトリル、合計3〜6個の炭素原子を有するジアルキルケトン、および合計3〜6個の炭素原子を有する脂肪族スルホンからなる群より選択される1種以上の溶媒の存在下で、結晶化することにより、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2'-エチルヘキシル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジンの互変異性体Iを調製する方法であり、その際、前記溶媒または溶媒混合物は30重量%までの炭化水素をさらに含んでいてもよい。 2〜8個の炭素原子を有する適切な脂肪族アルコールは直鎖アルコール、分枝鎖アルコール、さらには環状アルコールである。例としては、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、2-エチルヘキサノール、およびシクロヘキサノールが挙げられる。溶媒として用いるのが好ましいアルコールはエタノールである。 合計3〜10個の炭素原子を有する適切な脂肪族カルボン酸アルキルエステルは、例えば、直鎖カルボン酸のエステルであり、ギ酸エチル、ギ酸n-プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、および酪酸n-ブチルなどがある。合計3〜6個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸アルキルエステルが好ましく、特に酢酸エチルが好ましい。 合計8〜12個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸アルキルエステルは、例えば安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n-プロピル、安息香酸イソプロピル、安息香酸n-ブチル、好ましくは安息香酸メチル、を意味すると理解すべきである。 合計3〜9個の炭素原子を有する脂肪族炭酸エステルとしては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジ-n-プロピル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジ-n-ブチル、および炭酸プロピレンを挙げることができるが、炭酸ジメチルが好ましい。 合計2〜8個の炭素原子を有する適切なカルボニトリルは、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n-ブチロニトリル、およびベンゾニトリルであり、アセトニトリルが好ましい。 合計3〜6個の炭素原子を有する適切なジアルキルケトンは、とりわけ、直鎖、分枝鎖および環状のジアルキルケトン、例えば、アセトン、ブタノン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、およびシクロヘキサノンであり、アセトンが好ましいものである。 合計3〜6個の炭素原子を有する脂肪族スルホンの代表的な例としては、例えば、テトラメチレンスルホンを挙げることができる。 場合により共溶媒として使用される炭化水素は、脂肪族炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、リグロイン、もしくはシクロヘキサン)および/または芳香族炭化水素(例えば、トルエンもしくはキシレン)でありうる。これらの炭化水素は30重量%までの量、好ましくは10重量%より多くない量で存在することができる。 本発明による方法の好ましい実施形態は、結晶化を、先に挙げた2〜4個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、先に挙げた合計3〜6個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸アルキルエステル、またはこれらの混合溶媒中で実施することを含む。 特に好ましくは、結晶化を、溶媒としてのエタノール、酢酸エチル、またはこれらの混合物中で実施する。 本発明の目的のために用いる溶媒は、無水であってもよいし、多くても10重量%の含水量、好ましくは多くても5重量%、特に好ましくは多くても2重量%の含水量を有していてもよい。このことは特に、上記の脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸アルキルエステルの場合に当てはまる。 再結晶を行うには、一般的に、互変異性体混合物を溶媒または混合溶媒中に40〜120℃、好ましくは60〜100℃の温度で溶解する。溶媒の量は、互変異性体混合物に基づいて、便宜上100〜2000重量%、好ましくは150〜600重量%とする。不溶性の物質を昇温での濾過(濾過助剤を一緒に使用することが得策である)により除いた後、約15〜40℃の温度で結晶化させることで互変異性体Iを分離する。互変異性体Iは過飽和溶液を形成する傾向があるので、この温度で種結晶を添加することが有利である。慣用方法に従って濾過、乾燥、任意に製剤化を行う。 用いる互変異性体混合物は、メルト(融解物)として直接、前記溶媒または混合溶媒と混ぜ合わせることが好都合である。しかし、互変異性体混合物を結晶形態で加温した溶媒に導入することもでき、また、その溶媒と一緒に加熱することもできる。 互変異性体Iはそれだけで安定しており、固体および溶解状態において、互変異性体混合物に逆戻りすることはない。 本発明はさらに、このようにして単離された互変異性体Iの、化粧品における光防護剤としての使用を提供する。このような化粧品の組成物の例として、例えば、光防護エマルジョン、水中油型光防護クリーム、油中水型光防護クリーム、または光防護フォームが特許明細書(1)に示されている。 互変異性体Iの溶媒として使用される慣用の化粧品用オイルには、セチルステアリル2-エチルヘキサノエートのようなC6-C10-アルカン酸C10-C20-アルキルエステル(これは特許公開明細書(2)の基礎を成す)のほかに、例えば、落花生油、オリーブ油、ステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ヤシ脂肪酸トリグリセリド、カプリル酸-カプリン酸トリグリセリド、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールグリセリルココエート、アジピン酸ジイソプロピル、プロポキシル化ミリスチルアルコール、またはこれらの混合物がある。前記化粧品用オイルへの互変異性体Iの溶解度は十分に高い。濁りおよび沈殿に関するこれらの溶液の貯蔵安定性はかなり良好である。なぜなら、これらの溶液が長期間にわたり透きとおった状態のままであるからである。 本発明による方法のさらなる利点は、互変異性体として純粋な生成物の良好な結晶化、ならびに、これと関連した良好な濾過性および良好な乾燥性にある。実施例1エタノールからの再結晶による互変異性体Iの調製 250 kgのs-トリクロロトリアジン (1.36 kmolに相当) を、溶媒としてのキシレン中で1025 kgのp-アミノ安息香酸2-エチルヘキシル (4.11 kmolに相当) と反応させて、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2'-エチルヘキシル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジン互変異性体混合物を得た。 溶媒を蒸留により除去した後、4500 kgのエタノール (用いた互変異性体混合物に基づいて、400重量%に相当) を115℃のホットメルトに5〜6時間かけて添加し、温度を65〜80℃に維持した。慣用の濾過助剤(セライト(登録商標))25 kgを添加した後、不溶性成分を65〜70℃で濾去し、この溶液を20℃へと冷却した。その後、150 kgの互変異性体I (より早期のバッチからの粗結晶質の未乾燥生成物;110 kgの乾燥生成物に相当) を種結晶として加えることにより、結晶化を開始させた。20℃で18時間撹拌した後、生成物を遠心分離により回収し、エタノールで洗い、60℃/20 mbarで乾燥させた。これにより、互変異性体として純粋なIが915 kg (用いたs-トリクロロトリアジンに基づいた、種結晶の量を差し引いた後の、収率72%) が得られた。 この生成物のIRスペクトル (KBr錠) は、カルボニル伸縮振動の範囲に、カルボキシル基のためのただ1つのバンドを1697 cm-1に示した (図1参照)。これに対して、比較例Aからの生成物の場合は二重の対応するバンドを示した。実施例2酢酸エチルからの再結晶による互変異性体Iの調製 実施例1と同様に、用いた互変異性体混合物に基づいて、400重量%の酢酸エチルを使用して再結晶を行った。互変異性体として純粋な生成物が58%の収率で得られた。 この生成物のIRスペクトル (KBr錠) は、カルボニル伸縮振動の範囲に、カルボキシル基のためのただ1つのバンドを1697 cm-1に示した (図2参照)。これに対して、比較例Aからの生成物の場合は二重の対応するバンドを示した。実施例3〜12 実施例1と同様に、それぞれの場合にエチルヘキサノール(実施例3)、シクロヘキサノール(実施例4)、安息香酸メチル(実施例5)、テトラメチレンスルホン(実施例6)、炭酸ジメチル(実施例7)、メチルエチルケトン(実施例8)、アセトニトリル(実施例9)、およびアセトン(実施例10)、ならびに90重量%のエタノール/10重量%のキシレンの混合溶媒(実施例11)、および90重量%の酢酸エチル/10重量%のキシレンの混合溶媒(実施例12)を用いて再結晶を行った。 それぞれの場合に単離された生成物のIRスペクトル (KBr錠) は、同様に、カルボニル伸縮振動の範囲に、カルボキシル基のためのただ1つのバンドを1697 cm-1に示した。比較例A石油スピリットからの再結晶 特許明細書(1)に従って、調製により得られた互変異性体混合物を、120〜130℃の沸騰範囲を有する石油スピリットから再結晶した。 生成物のIRスペクトル (KBr錠) は、カルボニル伸縮振動の範囲に、カルボキシル基のための二重のバンドを1717/1694 cm-1に示し(図3参照)、これは2つの互変異性体が存在することの証拠とみなされる。この互変異性体混合物の再結晶前のIRスペクトルは、このスペクトルと実質的に同一であった。実施例13化粧品用オイルに溶解した互変異性体Iの溶液の貯蔵安定性 互変異性体として純粋な化合物Iを、それぞれC8-C10-ヤシ脂肪酸トリグリセリド(オイル100 gあたりの溶解度5.8 g)およびセチルステアリル2-エチルへキサノエート(オイル100 gあたりの溶解度1.0 g)に溶解した。両方の溶液とも2日経過後になおも透明であった。 これに対して、様々な含有量のIを含む互変異性体混合物の対応する溶液(最初は透明)はたった1日経過後に濁るようになり、2日経過後には沈殿物がはっきりとわかった。エタノールからの再結晶による互変異性体IのIRスペクトル (KBr錠)を示す。酢酸エチルからの再結晶による互変異性体IのIRスペクトル (KBr錠)を示す。石油スピリットからの再結晶による互変異性体混合物のIRスペクトル (KBr錠)を示す。 2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2'-エチルヘキシル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジンの互変異性体I:の調製方法であって、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2'-エチルヘキシル-1'-オキシ)-1,3,5-トリアジンの互変異性体の混合物から、2〜8個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、合計3〜10個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸アルキルエステル、合計8〜12個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸アルキルエステル、合計3〜9個の炭素原子を有する脂肪族炭酸エステル、合計2〜8個の炭素原子を有するカルボニトリル、合計3〜6個の炭素原子を有するジアルキルケトン、および合計3〜6個の炭素原子を有する脂肪族スルホンからなる群より選択される1種以上の溶媒中で、結晶化することを含んでなり、その際、前記溶媒または溶媒混合物は30重量%までの炭化水素をさらに含んでいてもよい、上記方法。 2〜4個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、合計3〜6個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸アルキルエステル、またはこれらの混合溶媒中で結晶化を実施する、請求項1に記載の方法。 エタノール、酢酸エチル、またはこれらの混合溶媒中で結晶化を実施する、請求項1または2に記載の方法。