タイトル: | 公表特許公報(A)_βアラニンアミド類の製造方法 |
出願番号: | 2003526873 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C07D233/64,C07B61/00 |
ハンセルマン、ポール ヒルドブランド、シュテファン JP 2005502697 公表特許公報(A) 20050127 2003526873 20020904 βアラニンアミド類の製造方法 ロンザ ア−ゲ− 398075600 鈴江 武彦 100058479 河野 哲 100091351 中村 誠 100088683 蔵田 昌俊 100108855 福原 淑弘 100109830 村松 貞男 100084618 橋本 良郎 100092196 ハンセルマン、ポール ヒルドブランド、シュテファン EP 01121342.8 20010906 US 60/332,547 20011126 7 C07D233/64 C07B61/00 JP C07D233/64 105 C07B61/00 300 AP(GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,LU,MC,NL,PT,SE,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,OM,PH,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW EP2002009893 20020904 WO2003022795 20030320 30 20040308 4H039 4H039CA71 4H039CF40 【発明の開示】【0001】本発明は、βアラニンのアミド、特に、例えばカルシニン(carcinine)のような偽ジペプチドを製造する方法に関する。更に、本発明は、本発明の方法における中間体としての新規なシアノ酢酸アミドに関する。【0002】カルシニン(βアラニルヒスタミン)は、下記の構造をもった天然に存在する偽ジペプチドであり、動物組織から単離することができる。カルシニンは抗酸化作用を有しており、一定の糖尿病合併症(US-A-5561110)、特に白内障(US-A-5792784)のための薬物として、また化粧品の成分として提案されている【化8】【0003】その成分であるヒスタミンおよびβアラニンからのカルニシンの合成は、保護基および/または活性化された誘導体の使用を必要とし、従って安価な大量生産に非常に適したものではない。【0004】従って、本発明の目的は、保護基または高価な誘導体の使用を必要とせず、また容易に入手可能な出発材料だけを使用して、カルニシンおよび他のβアラニン偽ジペプチドを技術的に合成するのに適した方法を提供することである。【0005】本発明によれば、この目的は請求項1の方法によって達成される。【0006】本発明に従って製造できるβアラニンアミドは、下記の一般式を有している。【化9】【0007】ここで、R1は水素またはC1-6-アルキルであり、該アルキルはヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メチルメルカプト、グアニド、置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリールで置換されるかまたは非置換で、且つR2が水素であるか、或いはR1およびR2が一緒になって式-(CH2)n-(ここで、nは3または4である)の基を形成する。【0008】これらの化合物は天然の形態で存在する可能性があり、或いは一級アミノ基のプロトン付加後に酸付加塩として存在する可能性がある。また幾つかの化合物、特にイミダゾリル基を含む化合物は、複数の互変異性形態またはこれら形態の混合物として存在する可能性がある。【0009】本発明において、C1-6-アルキルとは、1〜6の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の、全ての一級、二級または三級アルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2-メチルブチル、ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル等である。これはC1-10-アルキルにも同様に適用され、この場合には、記述した基に加えて、オクチルまたは2-エチルヘキシルのような基も含まれる。【0010】アリールとは、特にフェニルまたはナフチルのような単環状または多環状の炭素環式芳香族基を意味し、また同様に、ヘテロアリールとは、1以上のヘテロ原子を有する単環式または多環式のヘテロ環状芳香族基、特にイミダゾリルまたはインドリルを意味する。また適切な場合には、アリール基は1以上の上記置換基、特に、水酸基を有してもよく、例えば4-ヒドロキシフェニルである。【0011】下記一般式のアミンを、【化10】【0012】ここで、R1およびR2は上記で定義した通りである下記一般式のシアノ酢酸エステルと反応させて、【化11】【0013】ここで、R3はC1-10-アルキルである下記一般式のシアノ酢酸アミドまたは対応する塩を得ることができ、【化12】【0014】ここで、R1およびR2は上記で定義した通りであるこのシアノ酢酸アミド(IV)は、触媒的水素化によって目的化合物(I)に変換できることが見出された。【0015】R1は、好ましくは水素、または置換もしくは非置換のC1-4-アルキル、特にメチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、インドール-3-イルメチル、ベンジル、p-ヒドロキシベンジル、2-(メチルスルファニル)エチル、ヒドロキシメチル、1-ヒドロキシエチル、カルバモイルメチル、2-カルバモイルエチル、カルボキシメチル、2-カルボキシエチル、4-アミノブチルもしくは3-グアニドプロピルである。【0016】R2は、好ましくは水素である。【0017】特に好ましくは、R1はイミダゾール-4-イルメチルまたは3-メチルイミダゾール-4-イルメチルであり、且つR2は水素である。【0018】R3は、好ましくはメチルまたはエチルである。【0019】アミン(II)が、その一級アミノ基がプロトン付加された塩として存在するときは、最初に、塩基を加えることによって該アミノ基を脱プロトン化しなければならない。ここで使用される塩基は、原理的には、前記一級アミノ基よりも塩基性の強い全ての塩基である。中程度ないし強い強度の塩基を使用するのが好ましい。このために適切な化合物の例は、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのような水酸化アルカリ金属、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、1,4-ジアザ[2.2.2]ビシクロオクタン、二環式アミジン(「DBN」、「DBU」)のような三級アミン、並びに非溶媒水溶媒中においては、ナトリウムメトキシドもしくはナトリウムエトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド、またアプロティック溶媒中では、水素化アルカリ金属およびアルカリ金属アミド、例えば水素化ナトリウムまたはナトリウムアミドである。【0020】第一段階のための好ましい溶媒は、極性のプロティックもしくはアプロティックな溶媒、例えば、水、メタノールもしくはエタノールのようなC1-4-アルカノール、およびN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチル-アセタミド、1-メチル-2-ピロリドン、もしくは1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)のようなアミドである。【0021】水素化のために使用される好ましい触媒は、ニッケル、コバルト、銅、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、または白金に基づく金属触媒であり、これらは、適切な場合には支持体に塗布される。これらには、ラネー型のニッケル触媒およびコバルト触媒、微粉プラチナ(例えばPtO2の還元によって得られる)、活性炭もしくは酸化アルミニウム上のパラジウムもしくはプラチナ、または二酸化シリコン(シリカ)上のコバルトであるが含まれる。【0022】特に、ラネーニッケルおよびラネーコバルト、並びに活性炭もしくは酸化アルミニウム上のロジウムが好ましい。【0023】水素化において使用し得る溶媒は、ニトリルのアミンへの水素化のための通常の溶媒、例えば、水、濃縮アンモニア水溶液、メタノール、エタノール、N,N-ジメチル-ホルムアミド、またはこれら溶媒の混合物である。【0024】下記一般式のシアノ酢酸アミドおよびその塩は新規であり、同様に本発明の主題である。【化13】【0025】ここで、R1およびR2は上記で定義した通りである。【0026】R1が置換もしくは非置換のイミダゾール-4-イルメチルであり、且つR2が水素であるシアノ酢酸アミド類(IV)が好ましい。ここでの適切な置換基は、C1-6-アルキル基、特にメチルである。【0027】特に好ましいシアノ酢酸アミド(IV)は、次式のN-(シアノアセチル)ヒスタミンおよびその塩および互変異性体、【化14】【0028】並びに次式のN-(シアノアセチル)-3-メチルヒスタミン、およびその塩である:【化15】【0029】以下の実施例は、本発明の方法の実施および本発明の化合物の調製を例示するものであり、限定的なものと看做されるべきではない。【0030】例1 2-シアノ-N-[2-(1(3)H-イミダゾール-4-イル)エチル]アセタミド(N‐シアノアセチルヒスタミン)7.60g (67.2 mmol) のシアノ酢酸エチルを、5.00gのエタノール中ヒスタミン5.00g (45 mmol) の溶液に60℃で滴下して加えた。80℃で2時間後、反応混合物をロータリーエバポレータ中で濃縮し、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル→酢酸エチル/メタノール=1:1勾配)により精製した。【0031】収量: 6.61g (82%)1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ=11.8 (br., 1H); 8.28 (t, 1H), 7.52 (s, 1H); 6.80 (s, 1H); 3.60 (s, 2H); 3.30 (q, 2H); 2.65 (t, 2H).13C NMR (DMSO-d6, 100 MHz): δ=161.92; 134.63; 134.21; 116.64; 116.13; 39.25; 26.63; 25.23.LC-MS: m/z=179 ([M+H]+), 161, 149, 138, 112, 95, 83。【0032】例2 3-アミノ-N-[2-(1H-イミダゾール-4-イル-エチル]プロピオンアミド(β‐アラニルヒスタミン、カルシニン)92 mgのRh/Al2O3 (5% Rh)を、1.00g (5.61 mmol)の2-シアノ-N-[2-(1(3)H-イミダゾール-4-イル)エチル]アセタミド(例1に従って調製)の11.4 gのエタノールおよび7.6 gの濃縮アンモニア水溶液中の溶液に加えた。この混合物を、90℃および50 barの水素圧で2時間水素化した。セライト(Celite:登録商標)を通して触媒を濾去し、濾液をロータリーエバポレータ中で濃縮した。50℃/20 mbarで比較的長時間乾燥した後、含有率73%(HPLC)で、0.89 gの粗製カルニシンが得られた。【0033】1H-NMR (DMSO-d6、400 MHz): δ=12 (br., 1H); 7.95 (t, 1H), 7.50 (s, 1H); 6.77 (s, 1H); 3.6 (br., 1H); 3.25 (q, 2H); 2.74 (t, 2H); 2.63 (t, 2H); 2.15 (t, 2H).LC-MS: m/z=183 ([M+H]+), 166, 148, 124, 95。 下記一般式のβアラニンアミドここで(i)R1は水素、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メチルメルカプト、グアニド、置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリールで置換された、または非置換のC1-6-アルキルであり、R2は水素であるか、または(ii)R1およびR2は一緒になって、式-(CH2)n-(ここで、nは3または4である)の基を形成するの製造方法であって:第一段階において、次式のアミンまたは対応する塩を、ここで、R1およびR2は上記で定義した通りである次式のシアノ酢酸エチルと反応させて、ここで、R3はC1-10-アルキルである次式のシアノ酢酸アミドを得、ここで、R1およびR2は上記で定義した通りである第二段階において、これを触媒的水素化によって目的化合物(I)または対応する塩に変換することを含んでなる方法。 請求項1に記載の方法であって、R1は置換もしくは非置換のイミダゾール-4-イルメチルであり、R2は水素であることを特徴とする方法。 請求項1または2の何れか1項に記載の方法であって、前記第一段階で使用される溶媒がエタノールおよび/またはN,N-ジメチル-ホルムアミドであることを特徴とする方法。 請求項1〜3の何れか1項に記載の方法であって、前記第二段階で用いられる触媒が、活性炭上のロジウム、酸化アルミニウム上のロジウム、ラネーニッケルおよびラネーコバルトからなる群から選択される触媒であることを特徴とする方法。 請求項1に記載の方法における中間体としての、次式のシアノ酢酸アミドまたはその塩:ここで、R1およびR2は請求項で定義した通りである。 R1が置換もしくは非置換のイミダゾール-4-イルメチルであり、R2が水素である、請求項5に記載のシアノ酢酸アミド(IV)。 次式のN-(シアノアセチル)ヒスタミン、並びにその塩および互変異性体: 次式のN-(シアノアセチル)-3-メチルヒスタミン、およびその塩: 下記一般式のβアラニンアミド[式中、R1は水素またはC1-6-アルキルであり、該アルキルはヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メチルメルカプト、グアニド、置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリールで置換されるかまたは非置換で、且つR2が水素であるか、或いはR1およびR2が一緒になって式-(CH2)n-(ここで、nは3または4である)の基を形成する]は、対応するアミンをシアノ酢酸エステルと反応させてシアノ酢酸アミドを生じさせ、続いて、アミノ保護基を使用することなく触媒的に水素化することにより製造される。この方法は、天然に存在する偽ジペプチドであるカルニシン(βアラニルヒスタミン、R1=イミダゾール-4-イルメチル、R2=H)の製造に特に適しており、これは抗酸化作用をもった薬物として医薬および化粧品に使用される。【化1】