生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_タンパク質で負荷された微粒子の製造方法
出願番号:2003523997
年次:2009
IPC分類:G01N 33/545,G01N 33/53,G01N 33/543


特許情報キャッシュ

フィンケ,アンドレーアス クラウゼ,ウルズラ ドニー,フレーデリック ヘルマン,ルーペルト フォン デル エルツ,ヘルベルト スルーカ,ペーター ヨーナ,ウォルフガング JP 4293904 特許公報(B2) 20090417 2003523997 20020807 タンパク質で負荷された微粒子の製造方法 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー 591003013 F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT 細田 芳徳 100095832 フィンケ,アンドレーアス クラウゼ,ウルズラ ドニー,フレーデリック ヘルマン,ルーペルト フォン デル エルツ,ヘルベルト スルーカ,ペーター ヨーナ,ウォルフガング EP 01118812.5 20010810 20090708 G01N 33/545 20060101AFI20090618BHJP G01N 33/53 20060101ALI20090618BHJP G01N 33/543 20060101ALI20090618BHJP JPG01N33/545 ZG01N33/53 UG01N33/543 525UG01N33/543 541A G01N33/53 特開平2001−158800(JP,A) 特開平7−191025(JP,A) 特開平6−167495(JP,A) 特開平5−297002(JP,A) 特開平10−197534(JP,A) 特開昭63−88456(JP,A) 特開平7−20129(JP,A) 特表2000−502793(JP,A) Biomacromolecules,Vol.1,No.3,2000,p.466−472 5 EP2002008789 20020807 WO2003019182 20030306 2005526226 20050902 11 20040129 2007017086 20070619 秋月 美紀子 松本 征二 後藤 時男発明の詳細な説明 本発明は、微粒子が強アルカリ条件下の懸濁液中で負荷されることを特徴とする、タンパク質で負荷された微粒子の製造方法に関する。本発明はまた、この方法により製造されうる微粒子、および結合試験、例えばイムノアッセイにおけるその使用に関する。 タンパク質で負荷された微粒子は公知であり、医学、免疫学および診断試験手順において固相としてしばしば使用される。負荷されていない初期の粒子(ビーズとも呼ばれる)は、主にラテックス、例えばポリスチレンラテックスから構成され、磁鉄鉱内容物または磁鉄鉱から作製されたコアによりしばしば磁化されうる。タンパク質は、通常、化学リンカー(共有結合)または吸着(非共有結合)により周知の様式でラテックス粒子に結合される。 従来技術に記載される共有結合法は、開始物質として種々の官能基(−COOH、−トシル、−エポキシなど)を有する微粒子(官能基化粒子)を使用する。これらの官能基は、例えば被覆対象のタンパク質上のアミノ基またはカルボキシ基を介してタンパク質と共有結合を形成するために使用される。 共有結合法は吸着結合法とは異なり、前者の場合に使用される官能基化粒子は、非官能基化粒子よりもかなり親水性の高い表面を有する。これは、吸着的に結合したタンパク質の量を減少する。吸着的に結合したタンパク質は、結合強度に依存する滲み出しを生じうる。「滲み出し(blutung) 」は、結合していないかまたは弱く結合しているのみであるタンパク質が脱離するようになることを意味する。粒子表面上の官能基と共有結合により反応したタンパク質のみが永続的に結合している。 しかしながら、共有結合被覆法に使用される開始粒子は、官能基の密度に関してロットからロットへの高度な変動性を示し、表面上の官能基は低い保存安定性を有し、低い負荷密度および/または負荷後の非常に変動する結果を生じる。共有結合被覆法の別の不都合は、官能基の空間的利用可能性がしばしば乏しいことである。この理由のために、例えば感度の高いイムノアッセイにおける適用に必要な負荷密度が、この方法で被覆された粒子について達成されない。共有化学結合はまた、被覆されたタンパク質の不活化を生じうる。 Giese は、US4,478,914 およびUS4,656,252 において、官能基化タンパク質での表面の多層負荷を可能にする結合方法を開示している。これらの方法では、ビオチンが表面に共有結合され、続いてアビジンが共有結合され、ビオチン結合エキステンダーが負荷材料に繰り返し結合され、非結合物質が洗浄により除去された。かかる多層法において、遅延された滲み出しが、遅延された脱着により生じうる。 疎水性表面を有する粒子は、吸着的被覆方法のために通常使用される。かかる粒子の公知の例は、上記の官能基が無いポリスチレン粒子またはポリウレタンに由来するポリスチレン粒子である。 吸着被覆により製造された粒子は共有結合で被覆された粒子よりも高い滲み出し傾向を有する傾向があることが経験により示されている。この増加した滲み出しは、吸着被覆が比較的弱いイオン相互作用およびファンデルワールス相互作用により生じるという事実による。 表面へのタンパク質の吸着結合を改善し、滲み出し傾向を減少するための多くの策略が、従来技術から公知である。DE 19924643 は、高い温度および続くUV光による照射での粒子の被覆を記載する。これらの測定は、滲み出し傾向を減少する。 Conradie,J.D. ら、J.Immunol Methods 59 (1983)289-99 は、高い温度、高い塩濃度、または酸性pH条件下を用いることによるマイクロタイタープレートのより効率のよい被覆を報告している。 Ishikawa, E ら、J.Immunoassay 1(1980) 385-98はまた、強酸性pH条件の有利な使用を記載している。彼らはまた、ポリスチレンビーズの被覆に対してpH2.5 での抗体の前処理を推奨している。 従来技術から公知の方法のさらなる不都合は、疎水性粒子が凝集する強い傾向である。粒子の基礎の疎水的構造は、これらの粒子が互いに凝集体を形成する増大した傾向を生じ、これは、続くこれらの粒子を用いる測定方法において、測定精度に不都合な影響を有する。さらに、これらの粒子はまた、免疫学的試験に使用した場合、その疎水性特性により試料成分に非特異的に結合する増大した傾向を有する。かかる試験系における非特異的結合は、信号対雑音比などの試験特性において負の効果を有することが周知であるか、またはそれは偽陽性およびまた偽陰性結果も導きうる。 通常の洗浄工程において、負荷粒子は、遠心分離または磁気分離により沈降され、続いて再懸濁される。遠心分離または沈降は、負荷された粒子が互いに非常に近接するようになり、好ましくない場合凝集体を形成するという影響を有する。 したがって、本発明の目的は、工業スケールで吸着的に負荷された微粒子の製造を可能にする方法を提供することであった。さらに、本発明はまた、強アルカリ条件下で負荷することにより得ることができ、高い結合能力を有する一方、同時に低度の滲み出しおよび良好な保存安定性を有するタンパク質負荷微粒子を提供することを意図する。本発明はまた、免疫検出系においてアルカリ条件下で被覆された微粒子の有利な適用を包含する。 本発明の態様により、この目的は、負荷が強アルカリpH条件下で行われることを特徴とする、タンパク質で負荷された微粒子を作製するための方法により達成される。被覆は、好ましくは、pH10.0〜pH12.5の間で選択されるpHで行われる。 本発明の方法に使用されうる負荷対象の微粒子(またはビーズ)は、微分散(microdispersed)され、20%重量/容量未満、特に好ましくは10%重量/容量未満、0.1 〜10%重量/容量、特に好ましくは0.2 〜2 %重量/容量の範囲の濃度の懸濁液中で使用されることが好ましい。 従来技術とは対照的に、本発明は、吸着的被覆のためのプロセスにおける疎水性粒子ならびにエポキシ基で官能基化された粒子の有利な使用を可能にする。 粒子は、ラテックスおよび同様の材料、好ましくはポリスチレンラテックスからなり得、任意に磁鉄鉱などの磁化材料を含みうる。被覆されていない粒子の粒径は、好ましくは50nm〜25μm の範囲である。磁性粒子の場合好ましいサイズは0.5 μm 〜25μm の範囲であり、なぜならこの範囲で磁気分離が特に良好に作用するからである。疎水性ビーズM-280 またはエポキシビーズM-270 などの約 2.8μm のサイズを有し、かつ88%のポリスチレンおよび12%の磁鉄鉱からなるDynal Company 由来のDynabeads が、例えば好適である。 好ましい態様において、本発明の被覆方法は、ポリスチレン粒子が疎水性表面またはエポキシ基で官能基化表面を有することをさらに特徴とする。 磁化コアを有するポリスチレン粒子の使用が特に好ましい。 好ましくは、重合されている粒子に結合されるタンパク質材料は、少なくとも10nmで最大300nm までのサイズ(光子相関分光分析(PCS) (Lagaly,G.ら、photon correlation spectoroscopy、「Dispersionen und Emulsionen 」(1997) 289-294, Darmstadt, Steinkopf) により決定される)、好ましくは20nm〜250nm までのサイズ範囲を有する。原則として、10kDよりも大きい分子量を有するタンパク質を使用して微粒子を負荷することが可能である。被覆対象のタンパク質は、好ましくはバイオアフィン(bioaffinen)結合対のパートナーである。バイオアフィン結合対は、例えば、抗原/抗体、ハプテン/抗体、およびリガンド/レセプターである。 好ましくは抗体またはレセプターであるかかる結合対の1つのパートナーは、被覆に使用される。アビジンおよび特にストレプトアビジンなどのビオチンに対するレセプターが、とりわけ好ましい。本発明の特に好適な材料は、高分子タンパク質または重合タンパク質(重合ストレプトアビジン(SA-ポリ) など)である。重合タンパク質が、吸着様式で表面により強く結合することが見出された。おそらくこの理由は、重合タンパク質がより多くの接触部位を有するからである。したがって、個々の接触部位が離れた場合でさえ、これらのポリマーはまだ、表面への適切な結合を確保することが可能である。単一の接触部位を少し有するモノマーの場合、接触部位が離れるとすぐに全体のモノマーが放出される。 ストレプトアビジンの重合は、化学処理による公知の様式で達成されうる。重合アビジンまたはストレプトアビジン、特に好ましくは重合ストレプトアビジンは、本発明の被覆方法に好ましく使用される。重合された抗体もまた、特に好適である。 上記のように、滲み出しは、とりわけ長期貯蔵間および粒子輸送間の主要な問題である。滲み出しは、粒子を取り込まれた懸濁液から分離し、上清に浸出した結合パートナーの含量を測定することにより決定される。 ストレプトアビジンで被覆された粒子について、滲み出し傾向は、ミリグラム微粒子当たりのナノグラムストレプトアビジン[ng/mg] で記載される。これは、浸出したストレプトアビジンの結合能力が、モノマーのストレプトアビジンを用いて決定された検量線により決定されることを意味する。本発明により作製されるSAビーズの滲み出しは、好ましくは<150ng/mlであり、特に好ましくは<80ng/ml である。 すでに述べたように、本発明の軸となる要素は、強アルカリpH条件下で被覆が行なわれるという事実である。pH10.0〜pH12.5のpH範囲は、特に適切であることが証明されている。被覆手順の期間に依存して、このpHスペクトルの種々のサブレンジが最適であることを証明しうる。工業スケールにおいて、被覆は、好ましくは1 〜10日間行なわれる。4 〜7 日間被覆を行うことが特に好ましい。これらの比較的長時間の間隔を用いる場合、10.5〜12.5、特に11.0〜12.0のpH範囲が特に好ましい。より短い被覆時間が使用される場合、より高いpH最適条件が生じうる。 被覆に使用されるアルカリバッファーの塩濃度を、生理的塩範囲またはそれより高い範囲に調整するのが有利であることもまた証明された。好ましくは、被覆は、0.1 〜2M、特に好ましくは0.3 〜1.5M、とりわけ好ましくは0.8 〜1.2Mの塩含量を有するバッファーを用いて行われる。 本発明の方法において、微粒子懸濁液は、好ましくは、高分子タンパク質材料と15〜30℃、特に好ましくは室温、すなわち約18〜25℃で接触され、したがって、タンパク質材料は、予熱されない。強アルカリバッファー条件下で負荷した後、弱く吸着しているかまたは非吸着タンパク質を除去するのに使用される1回目または数回の分離工程をすでに行なうことが可能である。 磁鉄鉱を含む微粒子の場合、磁気分離などの通常の方法により分離が行なわれうる。ふるい、フィルターまたは膜によるマイクロ濾過ユニットにおける分離は、本発明の方法に好ましい。これらは親水性または疎水性でありうるが、後者の場合、使用前にそれを親水性状態に転換することが好ましく、それは通常の様式で達成されうる。それらは、好ましくは、微粒子のサイズと高分子タンパク質材料のサイズの間にある孔径を有する。特に好適な孔径は、分離対象のタンパク質のサイズの約50%を超える、すなわち約50nm〜2.5 μm の範囲にある。0.4 μm の孔径、好ましくは0.45μm 〜2.5 μm 、好ましくは2 μm までの孔径を有する膜が特に適切である。 分離は、1回または数回で行なわれ得、そこではバッファーまたは異なるバッファーからなるバッファー系が使用されうる。バッファーは、好ましくは、非結合タンパク質または弱く結合するのみであるタンパク質を置換/可溶化するために塩および界面活性剤を含み、ならびにまだフリーである粒子表面のエリアを充填するためにいわゆるブロッキング剤(例えば、血清アルブミン)を含む。分離工程は、好ましくは、塩および界面活性剤含量において互いに異なる種々のバッファーを使用して数回、特に3回行なわれる。5 〜15回、分離の間にバッチ容量が置換される。分離の有効性は、とりわけ、分離系における分離時間(一定のバッファー溶液中で粒子が懸濁される時間)およびフローおよび圧力ならびにその組み合わせに依存する。フローおよび圧力は、使用される系に依存し、当業者により決定されうる。分離バッファーは、充填レベルを測定することにより決定され得、それに応じて新しいバッファーにより置換されうる。 全手順の間、微粒子が沈降しないように気をつけることが好ましい。分離の間に沈降を避けることがまた、とりわけ有利である。この目的のために、懸濁液は適切な様式でかきまぜられる必要があり、これは、例えば、攪拌、ポンプ再循環、分散エネルギーの導入、またはかかる測定の任意の組み合わせにより、あるいは他の適切な物理的方法により決定されうる。 負荷された粒子はまた、適切な充填モジュールで、好ましくは滅菌様式で充填される。 本発明はまた、上記方法により得られうる被覆された微粒子に関する。 本発明はまた、1つ以上の分析物特異的結合パートナーと試料とを接触させることにより、試料中の分析物を検出するための方法であって、バイオアフィン結合対のパートナーを有する本発明の被覆された微粒子が使用されることを特徴とする方法に関する。この方法は、好ましくは、イムノアッセイとして行なわれる。これは、少なくとも1つの分析物特異的結合パートナーが免疫学的結合パートナーであることを意味する。この方法では、分析物が存在すると想定される試料が、免疫学的特異的結合パートナーとともにインキュベートされる。PSA のような腫瘍マーカーに関するような抗原試験の場合、この免疫学的特異的結合パートナーは、分析物に特異的に結合する抗体またはその断片、すなわち腫瘍抗原PSA である。特定の抗原に対する抗体(例えば、抗−HCV 抗体)を検出するための方法では、対応する抗原は、例えば、免疫学的特異的結合パートナーとして使用されうる。 免疫学的結合パートナーは、好ましくは、被覆に使用されたバイオアフィンタンパク質の第2のパートナーと結合される。被覆のためにストレプトアビジンが使用される場合、免疫学的結合パートナーは、ビオチン標識される。当業者が熟知している通常のインキュベーション工程を行なった後、粒子は、試料から分離され得、見出される分析物の量は、公知の様式で決定されうる。 したがって、本発明の他の主題は、イムノアッセイにおける本発明の被覆された微粒子の使用である。 通常の診断において、試験手順の単純化(非常に少ない誤差の危険性をともなう可能な限り少ないインキュベーション工程)、および必要とされる全ての準備(1つの供給源、好ましくは1つのパッケージに由来する全ての本質的な試験成分)は、非常に進歩している。通常、全ての試験関連成分を含む試薬のセット(キット)が、顧客に渡される。したがって、本発明の別の主題は、本発明の被覆された微粒子の懸濁液を含んでなる試験キットである。 本発明は、以下の実施例、刊行物および図面により、さらに説明され、その保護範囲は、特許請求の範囲に由来する。記載された方法は、例として理解され、改変後でさえも本発明の主題を記載する。実施例1:ビーズ被覆1.1 参照ビーズ Dynal M-280 ビーズをDE19924643に記載のように被覆した。1.2.アルカリ被覆(pH最適化) 50mgの磁性ビーズ(Dynal M-270 またはDynal M-280 )を最初にイソプロパノール、次いで5ml 部の50mMリン酸Na緩衝液(pH9.0 )で数回連続的に洗浄した。続いて、ビーズを4ml の50mMリン酸Na緩衝液(pH9.0 )に再懸濁した。その後、1ml の50mMリン酸Na緩衝液pH6.3 に溶解した10mg重合ストレプトアビジン(ポリ-SA )を添加した。次いで、pHをNaOHでpH10.0〜pH12.5の所望の値に調整した。調製物をローラーミキサー上で72時間インキュベートした。続いて、ビーズを40mMリン酸Na緩衝液(pH7.4 )および1%Tween20 (登録商標)溶液(同じ塩基性緩衝液)で交互に洗浄した。ビーズを続いてインキュベートし、リン酸ナトリウム緩衝液(10mMリン酸Na 0.15M NaCl, pH7.4)およびBSA [0.5%w/v] からなる溶液で数回洗浄した。その後、ビーズを50mM HEPES緩衝液(pH 7.4)で洗浄し、このHEPES 緩衝液(pH7.4 )中に0.7mg/mlの最終濃度に調整した。免疫アッセイでの使用に関する被覆粒子の適合性をTSH 試験(甲状腺刺激ホルモン=TSH )において測定し、M-270 粒子について図1にグラフで示す。選択されたアルカリ条件が計数をかなり改善し、従って、試験における粒子の適合性をかなり改善することが明らかである。1.3 アルカリ被覆(ルーチン法) 50mg磁性ビーズ(Dynal M-270 またはDynal M-280 )を最初にイソプロパノール、次いで5ml 部の50mMリン酸Na緩衝液 (pH9.0)で数回連続的に洗浄した。次いで、ビーズを4ml の50mMリン酸Na緩衝液(pH9.0 )に再懸濁した。その後、1ml の50mMリン酸Na緩衝液pH6.3 に溶解させた10mgの重合ストレプトアビジン(ポリ-SA )を添加した。次いでpHをNaOHでpH10.0〜pH12.5の所望の値に調整した。調製物を4日〜7日間ローラーミキサー上でインキュベートした。続いて、ビーズを40mMリン酸Na緩衝液(pH7.4 )および1 %Tween20 (登録商標)溶液で交互に洗浄した。次いで、ビーズをリン酸ナトリウム緩衝液(10mMリン酸Na 0.15M NaCl, pH7.4)およびBSA[0.5 %w/v]からなる溶液でインキュベートし、数回洗浄した。その後、ビーズを50mM HEPES緩衝液(pH7.4 )で洗浄し、このHEPES 緩衝液中で0.7mg/mlの最終濃度に調整した。実施例2:粒子分布 上記の方法で被覆したDynal M-280 およびM-270 ビーズを粒子カウンター(Coulter Multisizer II )を用いて従来の方法により被覆したM-280 ビーズと比較した(図2〜4)。アルカリ被覆の場合には、結果は、ダイマー、トリマーおよびより高い凝集体に関して実質的により低い集団で被覆したビーズのかなりより均一な分布であった。これは、図3および4を図2と比較することにより示される。実施例3:滲みだし特性(Blutungsverhalten ) 被覆タンパク質の滲みだし(Abbluten)は、標準の貯蔵条件(4〜8℃)下で何カ月もかけて非常にゆっくり起こる。貯蔵条件下で滲みだしを刺激するために、短期モデルを使用した。このために、被覆粒子をローラーミキサー上で35℃で21日間貯蔵した。滲みだしされたストレプトアビジンによる上清のビオチン結合能力を例えば、放射能標識ビオチンを用いて測定する。 滲みだし傾向(Blutungsneigung )は、SA/mg 粒子としてngで表される。滲みだしを測定するために、モノマーストレプトアビジンを用いて標準曲線を確立し、ストレスを与えた微粒子懸濁物の上清のビオチン結合力をこの曲線から読み取る。実施例1の被覆された微粒子の場合、滲みだし傾向は、驚くほど低く、規則的に150ng/mg未満、およびたいていの場合、ストレス後に100ng/mg未満でさえあった。実施例4:HIV 作用試験における結果 二重抗原架橋試験をHIV に対する特異的抗体を検出するために行った。サンプル液体を、ストレプトアビジン被覆固相(標準的な方法により、または本出願で請求される方法の1つにより調製された磁性SAビーズ)の存在下でビオチン化抗原とともにインキュベートした。洗浄工程後、同一の抗原を、ルテニウム標識形態で再び添加した。サンプル液体中の抗HIV 抗体の存在を、Elecsys (登録商標)システムにおける電気化学ルミネセンスに基づいて固相上のルテニウム標識により測定した。 HIV2のgp36領域(より詳細な記載はWO96/03652に示されている)由来のHIV ペプチドをN 末端で標識される抗原として使用した。試験における抗原の濃度は:6ng/mlビオチン化Ag、200ng/mlルテニル化(ruthenyliertes)Agであった。 システムのブランク値をルテニル化抗原の非存在下で測定した。 従来技術により被覆された粒子と比較したDynal M-280 出発粒子に基づく本発明により被覆されたSAビーズを用いた実験の結果を以下の表に示す。 シグナル動態を以下の式により計算した:(シグナル−システムブランク値)/(陰性サンプル−システムブランク値) かなり低いブランク値が本発明のSAビーズを使用することにより得られ、これは陰性シグナルに対する陽性シグナルの改善された差と関連することが明らかである。 次の表は、ストレプトアビジン固相への抗体コンジュゲートの非特異的結合を示す。この試験手順において、緩衝液のみがビオチン化抗原の代わりに使用される。ルテニウムコンジュゲートの濃度は600ng/mlである。 この場合にも、本発明のビーズは、より良いブランク値(より低い非特異的結合)およびかなり減少したマトリックス依存度(分析物非含有サンプルの場合におけるシステムブランク値に対するより小さいシグナル差)を示し、より正確な試験を可能にする。実施例5:CA15-3試験の結果 CA15-3試験は、2工程試験様式のサンドイッチアッセイである。第1工程において、ビーズ、サンプルおよびビオチン化抗体がインキュベートされ、続いてビーズを磁気によって分離し、上清を吸引する。数回の洗浄工程(洗浄緩衝液を添加、再び吸引、洗浄緩衝液中でボルテックスすることによる再懸濁、再び分離、吸引)後、ビーズをルテニル化抗体を含む試薬2に再懸濁した。さらなるインキュベーション後に、それらを再び洗浄し、続いて洗浄緩衝液に再懸濁したビーズをElecsys (登録商標)E1010 装置の細胞の測定に移し、分析物に結合したルテニウム標識の量を測定した。 CA15-3試験において、ビーズ凝集は特に問題である;分析物は、いくつかの抗体−ビーズ複合体の結合を可能にする複数の反復性エレメントを有する抗原である。洗浄工程の間、ビーズは、比較的小さい領域に沈着し、従って非常に近接する。これは、三次元複合体の形成を生じうる。より大きい凝集体のこれらの塊は、細胞の測定において可視であり、乏しい正確性(より高い変動係数)および低いシグナル収量を生じる。 凝集体は、カラー写真中で容易に見られるが、種々のグレイトーンの白黒写真では見分けることが困難でありうる(それゆえかかる写真を省略した)。被覆ビーズは、測定電極における凝集体形成の程度に対して主要な効果を有する。標準的なSAビーズとは対照的に、ある場合において本発明の被覆されたビーズは、かなり低い凝集のために細胞の測定においてかなり改善された分布を示す。これは、M-270 エポキシビーズまたは疎水性M-280 ビーズのどちらを被覆のために使用したかに無関係である。両方の場合、参照と比べて電極におけるかなりより均一な分布が存在する。 改善されたビーズ分布はまた、改善されたシグナル回収を導く。それぞれのCA15-3試験の対応する結果は表4に要約される。 この表は、同一の未加工材料を用いる場合、種々のビーズロットの使用によりCA15-3試験における種々のシグナルレベルが導かれることを示す。シグナルレベルは、アルカリ被覆粒子の場合にかなり改善される。 変動係数を、製造業者の説明書に従ってRoche Diagnostics GmbHのCA15-3試験(注文番号1776169 )を使用して測定した。表5に列挙されるビーズ調製物を、試験キットの被覆ビーズの代わりに使用した。 変動係数を、21回のサンプル測定からの従来の統計学的な方法により決定する。 上記に示される表5は、本発明のアルカリ被覆条件下で負荷された粒子が、CA15-3試験においてかなりより低い変動係数(CV -測定された計数のパーセントとして表される)を有することを例として示す。CVが低いほど、分析物分子の測定は正確である。参考文献のリストDE 19924643 US 4,478,914US 4,656,252WO 96/03652 Lagaly, G.ら、Photonenkorrelationsspektroskopie in "Dispersionen und Emulsionen" (1997) 289-294, Darmstadt, Steinkopf Conradie, J.D.ら、J.Immunol.Methods 59 (1983)289-299Ishikawa, E.ら、J.Immunoassay 1 (1980) 385-398図1は、被覆のpH依存性を示す。Dynal M-270 ビーズに関する被覆のpH依存性が示される。種々のpH条件、それ以外はTSH 試験における試験条件と同じ条件下で負荷されたビーズを用いた場合、pH9.0 〜pH12.5のpH範囲で測定したシグナルに明白な増大がある。図2は、M-280 ビーズが標準的な方法により被覆された場合の粒子分布を示す。Dynal M-280 ビーズをDE19924643に記載されるように被覆した。粒子分布を、粒子計数装置で調べた(Coulter Multisizer II )。約2.8 μm での主ピークは単分散粒子に対応し、一方、第2のピークは二量体凝集体および3つ以上の粒子の凝集体を示す。図3は、M-280 ビーズが本発明の方法で被覆された場合の粒子分布を示す。Dynal M280ビーズを実施例1に記載されるように被覆した。粒子分布を粒子計数装置(Coulter Multisizer II )で調べた。分析は、非常に少量の二量体凝集体のみが存在することを示した。より大きな凝集体は明白ではない。図4は、M-270 エポキシビーズが本発明の方法で被覆された場合の粒子分布を示す。Dynal M-280 ビーズを実施例1に記載されるように被覆した。粒子分布を粒子計数装置(Coulter Multisizer II )で調べた。分析は、非常に少量の二量体凝集体のみが存在することを示す。より大きな凝集体は明白ではない。 ポリスチレン粒子がpH10.5〜pH12.5の範囲のpHにて重合ストレプトアビジンで吸着的に被覆されることを特徴とする被覆されたポリスチレン粒子の製造方法。 使用されるポリスチレン粒子が疎水性表面またはエポキシド基で官能基化された表面を有することを特徴とする請求項1記載の方法。 請求項1又は2記載の方法により得られる被覆されたポリスチレン粒子。 イムノアッセイにおける請求項3記載の被覆されたポリスチレン粒子の使用。 請求項3記載の被覆されたポリスチレン粒子の懸濁液を含んでなる試験キット。


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