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タイトル:特許公報(B2)_ヒトマンノース結合レクチンの精製方法、ヒトマンノース結合レクチン組成物およびヒトマンノース結合レクチンの医薬用途
出願番号:2003523276
年次:2008
IPC分類:C07K 1/14,C07K 1/22,C07K 14/47,A61K 38/00,A61P 31/20,A61P 31/22


特許情報キャッシュ

橋本 元範 浅原 尚美 李 良子 大谷 克城 JP 4051030 特許公報(B2) 20071207 2003523276 20020830 ヒトマンノース結合レクチンの精製方法、ヒトマンノース結合レクチン組成物およびヒトマンノース結合レクチンの医薬用途 扶桑薬品工業株式会社 000238201 高島 一 100080791 橋本 元範 浅原 尚美 李 良子 大谷 克城 JP 2001264915 20010831 20080220 C07K 1/14 20060101AFI20080131BHJP C07K 1/22 20060101ALI20080131BHJP C07K 14/47 20060101ALI20080131BHJP A61K 38/00 20060101ALN20080131BHJP A61P 31/20 20060101ALN20080131BHJP A61P 31/22 20060101ALN20080131BHJP JPC07K1/14C07K1/22C07K14/47A61K37/02A61P31/20A61P31/22 C07K 1/00-19/00 A61K 38/00-38/58 BIOSIS/MEDLINE/WPIDS/CA(STN) JMEDPlus(JDream2) JST7580(JDream2) JSTPlus(JDream2) 国際公開第99/064453(WO,A1) 特表平11−510384(JP,A) Biochimie,1989,Vol.71,p.645-653 Antiviral Research,1992,Vol.18,p.191-207 16 JP2002008790 20020830 WO2003018617 20030306 24 20050615 六笠 紀子 発明の属する技術分野本発明は、ヒトの血漿中に存在する、ヒトマンノース結合レクチン(以下、単にマンノース結合レクチン(mannose−binding lectin)と呼び、MBLと記載する。マンナン結合レクチン、マンナン結合プロテインとも呼ばれる)を、ヒト血漿から精製する方法に関する。また、本発明は、ヒト血漿からのMBL含有組成物の製造方法およびその製造方法により製造されるMBL含有組成物に関する。また、本発明は、MBLの新たな用途に関する。背景技術MBLは、主に肝臓で生合成されるタンパク質であり、コレクチンと呼ばれるファミリーに属する。またMBLは、システインに富んだN末端領域、コラーゲン様領域、ネック領域およびカルシウム要求性の糖認識領域からなる分子量約31kDaのサブユニットが、ネック領域およびコラーゲン領域によりトリプルヘリックス構造をとって三量体となり、さらにその三量体を基本単位とした二〜六量体のホモオリゴマー構造となって、全体として200〜600kDaの分子量を持つ状態(以下、単に「ホモオリゴマー構造」という。)で存在していることが知られている〔J.Immunol.,144,2287−2294,1990、J.Biochem.,117,1029−1035,1995、およびFEBS Lett.,375,159−161,1995〕。MBLは、主に免疫機能における補体系に作用することが知られている。すなわち、これまで補体系の活性化経路としては、免疫グロブリンを異物の認識分子とし、補体第一成分が活性化されるいわゆる古典的経路と、細菌などの異物に補体第三成分が直接結合する第二経路が知られていたが、近年になって、MBLがマンノースやN−アセチルグルコサミンなどの微生物表面の糖鎖を特異的に認識して補体の活性化を起こす、レクチン経路と呼ばれる第三の補体活性化経路の存在が見いだされた。このレクチン経路は、抗原を認識して記憶するいわゆる獲得性免疫を持たない無脊椎動物を含め、普遍的に存在する自然免疫の一つであり、その中でも重要な位置を占める生体防御機能であると考えられている〔J.Biol.Chem.,262,7451−7454,1987およびJ.Clin.Invest.,84,1821−1829,1989〕。MBLは血清中で補体活性化成分であるMASP(MBL−associated serine protease)などと複合体を形成して補体活性化することが知られている。MBLがウイルスや細菌などの表面の糖鎖にあるマンノースやN−グルコサミンを認識してそれらと結合することが起点となり、MASPとの複合体の形成下に補体経路を活性化させ、ウイルスや細菌などの殺傷を引き起こす。また、同様にMBLがウイルスや細菌などに結合することが起点となり、食細胞がそれらを貧食すること、すなわちMBLはオプソニン作用を有していることが知られている。食細胞が細菌などへの貧食作用を起こさず易感染性を呈しているMBL欠損患者に対して、MBLを補充する治療を行ったところ、易感染性が改善されたとの報告もある〔Scand.J.Immunol.,48,116−123,1998〕。さらに、MBLがインフルエンザの感染を抑制するとの報告〔Immunology,97,385−392,1999〕、HIVの感染を抑制するとの報告〔J.Exp.Med.,169,185−196,1989〕、がん増殖を抑制するとの報告〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,96,371−375,1999〕などがこれまでに行われている。発明の開示MBLの精製方法としては、これまでにヒト血漿から精製する方法〔Biochem.J.,319,329−332,1996〕、ヒト血清から精製する方法〔J.Biochem.,94,937−947,1983〕などが知られている。しかし、これらの方法は、マンナンまたはマンノース固定化アガロース(セファロース4B、ファルマシアバイオテク社)クロマトグラフィーを複数回行わなくてはならないことなどにより、MBLの回収率は高くはない。さらに、これらの方法は、目的とするMBLのみを精製する方法でしかなく、限りのある貴重なヒト血漿から、数多くの有用な血漿蛋白成分を無駄なく分取する工程の一部であるべき、血漿蛋白製剤原料としてのMBLの精製方法として好ましくない。また、コーンの低温エタノール分画法によって得られる第II+III画分からイムノグロブリンを抽出した残渣を原料として、MBLを工業レベルで精製する方法も報告されている〔PCT/WO99/64453〕。しかし、この技術では、マンナンなどを固定化していないアガロース(セファロースCL4B、ファルマシアバイオテク社)を用いたアフィニティークロマトグラフィー処理工程の前処理として、不溶物を除去するための複数回の通常ろ過工程およびデリピドフィルターを用いたろ過工程が必要とされており、精製方法として煩雑であるほか、そのための設備も必要となる。さらに、アフィニティークロマトグラフィー処理工程から最終精製物までの回収率も、43%という低い数値にすぎないことが記載されている。一般に、アフィニティークロマトグラフィーに付すための溶液が不溶物を含んでいると、不溶物によりカラムが目詰まりを起こしたり、カラム中の担体と分取目的物との接触を不溶物が妨げることによりクロマトグラフィーの分離性能が低下することがある。そのため、アフィニティークロマトグラフィーに付すための溶液が不純物を含まず澄明であることが、アフィニティークロマトグラフィーの性能を十分に発揮させるために重要であると考えられるが、上記のいずれの技術でも、そのような中間原料を簡便な方法で得ることができない。また、上述のように、MBLはホモオリゴマー構造の状態で存在していることが知られているが、その中でも約450kDa(五量体)以上の高次なホモオリゴマー構造(以下、単に「高次ホモオリゴマー構造」という。)の状態で存在しているMBLは、約270kDa(三量体)の状態で存在しているMBLに比べ、補体活性化作用が強いとの報告もある〔J.Immunology,144,2287−2294,1990およびJ.Biochem.,177,414−419,1995〕。従って、MBLの精製は、高次ホモオリゴマー構造を分解させることのない条件で行うことが好ましい。従って、本発明は、MBLの有する高次ホモオリゴマー構造を分解させることなく、また限りのある貴重なヒト血漿から、他の有用な血漿蛋白成分の分取に何ら影響を与えることなく、また遊離の状態で、MBLを高純度かつ高回収率で得る精製方法およびかかるMBLを高純度で含有するMBL含有組成物のヒト血漿原料からの回収率のよい製造方法を提供すること、および、アフィニティークロマトグラフィー処理などに適したMBLの精製用原料およびMBL含有組成物の製造用原料として有用な、MBL含有溶液を提供すること、および、MBLを高純度で含み、MBLが高次ホモオリゴマー構造を保持している臨床上有用なMBL含有組成物を提供することを目的とする。発明者らは、ヒト血漿の分画を出発原料として、ポリエチレングリコールと接触させる工程を少なくとも1回行うことにより得られるMBL含有溶液が、その後のアフィニティークロマトグラフィー処理に適していることを見出した。ポリエチレングリコールと接触させる工程を少なくとも1回行うことにより得られるMBL含有溶液は、澄明な溶液であって、アフィニティークロマトグラフィーの性能を十分に発揮させることができ、かつ、ヒト血漿中のMBLを回収率よく含んでおり、MBLの精製用原料またはMBL含有組成物の製造用原料として有用である。また、この澄明な溶液に対してアフィニティークロマトグラフィー処理工程を行うことにより、好ましくは、さらに続いてヘパリンクロマトグラフィー処理工程を行うことにより、ヒト血漿に含まれるMBLを、高次ホモオリゴマー構造を保持した状態で、高純度かつ高回収率で精製することが可能であることを見出した。さらに、本発明の精製方法または製造方法により、MBLを90%以上の純度で含み、MBLが高次ホモオリゴマー構造を保持している臨床上有用なMBL含有組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。また、サイトメガロウイルスは、臓器移植時やAIDS発症時など、免疫抑制や免疫不全の環境下に感染あるいは再活性化すると、感染症状として網膜炎、脳炎、肺炎などを引き起こし、患者を失明や死に至らしめることが知られており、B型肝炎ウイルスは、急性肝炎から劇症肝炎となって患者を死に至らしめたり、慢性肝炎から肝硬変や肝癌を発症させることが知られている。本発明者らは、MBLが、サイトメガロウイルスおよびB型肝炎ウイルスの感染の予防剤または治療剤として有用であることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の(1)〜(33)からなる。(1)ポリエチレングリコールと接触させる工程を含む、ヒト血漿原料からMBLを精製する方法、(2)ポリエチレングリコールと接触させる工程に続いてアフィニティークロマトグラフィーを行う工程を含む、上記(1)記載の方法、(3)さらに続いてヘパリンクロマトグラフィーを行う工程を含む、上記(2)記載の方法、(4)ポリエチレングリコール濃度が、2〜5w/v%である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法、(5)ポリエチレングリコールの平均分子量が600〜6000である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法、(6)ポリエチレングリコールとの接触が0〜10℃で行われることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法、(7)ヒト血漿原料が、コーンの低温エタノール分画法における第II+III画分である、上記(1)記載の方法、(8)ポリエチレングリコールと接触させる工程を含む、ヒト血漿原料からのMBL含有組成物の製造方法、(9)ポリエチレングリコール濃度が、2〜5w/v%である、上記(8)記載の製造方法、(10)ポリエチレングリコールの平均分子量が600〜6000である、上記(8)または(9)に記載の製造方法、(11)ポリエチレングリコールとの接触が0〜10℃で行われることを特徴とする、上記(8)〜(10)のいずれかに記載の製造方法、(12)上記(8)〜(11)のいずれかに記載の製造方法によって得られるMBL含有組成物であって、澄明な溶液であることを特徴とするMBL含有組成物、(13)ポリエチレングリコールと接触させる工程に続いてアフィニティークロマトグラフィーを行う工程を含む、ヒト血漿原料からのMBL含有組成物の製造方法、(14)さらに続いてヘパリンクロマトグラフィーを行う工程を含む、上記(13)記載の製造方法、(15)ヒト血漿原料が、コーンの低温エタノール分画法における第II+III画分である、上記(8)または(13)に記載の製造方法、(16)ヒト血漿原料に対して回収率が60%以上である、上記(8)または(13)に記載の製造方法、(17)MBLの純度が90%以上である、上記(8)または(13)に記載の製造方法、(18)MBLが高次ホモオリゴマー構造を保持した状態であることを特徴とする、上記(8)または(13)に記載の製造方法、(19)上記(13)〜(18)のいずれかに記載の製造方法により製造されるMBL含有組成物、(20)MBLの純度が90%以上である、上記(12)または(19)に記載のMBL含有組成物、(21)MBLが高次ホモオリゴマー構造を保持した状態であることを特徴とする、上記(12)または(19)に記載のMBL含有組成物、(22)MBLの純度が90%以上である、MBL含有組成物、(23)MBLが高次ホモオリゴマー構造を保持した状態であることを特徴とする、上記(22)記載のMBL含有組成物、(24)MBLを有効成分として含有する、サイトメガロウイルス感染症の予防または治療剤、(25)MBLを有効成分として含有する、B型肝炎ウイルス感染症の予防または治療剤、(26)MBLと製薬上許容されうる添加剤を含む、サイトメガロウイルス感染症の予防または治療のための医薬組成物、(27)MBLと製薬上許容されうる添加剤を含む、B型肝炎ウイルス感染症の予防または治療のための医薬組成物、(28)サイトメガロウイルス感染症の予防または治療剤の製造のためのMBLの使用、(29)B型肝炎ウイルス感染症の予防または治療剤の製造のためのMBLの使用、(30)患者の血漿中MBL濃度が医薬上有効な濃度となる量のMBLを患者に投与することを含む、サイトメガロウイルス感染症の予防または治療方法。(31)患者の血漿中MBL濃度が医薬上有効な濃度となる量のMBLを患者に投与することを含む、B型肝炎ウイルス感染症の予防または治療方法。(32)上記(26)に記載のサイトメガロウイルス感染症の予防または治療のための医薬組成物をサイトメガロウイルス感染症の予防または治療に使用しうるか、または使用すべきであることを記載した書類を含む商業パッケージ、(33)上記(27)に記載のB型肝炎ウイルス感染症の予防または治療のための医薬組成物をB型肝炎ウイルス感染症の予防または治療に使用しうるか、または使用すべきであることを記載した書類を含む商業パッケージ。発明の詳細な説明本発明のMBLを精製する方法に使用されるヒト血漿原料としては、ヒト血漿に由来するものであって、MBLを含有する画分であれば、特に限定されるものではない。具体的には、ヒト血漿そのもの、ヒト血清、コーンの低温エタノール分画法〔J.Am.Chem.Soc.,68,459−475,1946〕により得られる、第I上清画分、第I+II+III画分、第II+III画分、第II画分、第III画分、または、ポリエチレングリコール分画法により得られる7w/v%処理時での沈殿画分などが例示される。このうちMBLが多く存在するという理由からコーンの低温エタノール分画法における第II+III画分を用いることが好ましい。また、ヒト血漿の無駄のない利用という面からは、有用な血漿タンパク成分であるイムノグロブリンを抽出した後のヒト血漿を原料として用いることが好ましい。具体的には、第II+III画分からイムノグロブリンを抽出した後の抽出残渣を用いることが挙げられる。コーンの低温エタノール分画法における第II+III画分は、通常の方法により得ることができ、例えば上述の文献等に従って得ることができる。第II+III画分からイムノグロブリンを抽出した画分は、例えば次の方法により得ることができる。0〜5℃において、まず第II+III画分に、その重量の5〜15倍量の水を加えて懸濁し、塩酸などでpH5.0〜6.0に調整し、1〜5時間攪拌し、遠心分離により上清画分(イムノグロブリンを含む画分)と抽出残渣(MBLを含む画分)に分離して、抽出残渣を採取する。本発明のMBLを精製する方法は、少なくともポリエチレングリコールと接触させる工程(1)を含み、得られた澄明な溶液にアフィニティークロマトグラフィー処理を行う工程(2)を含み、好ましくは、さらに続いてヘパリンクロマトグラフィー処理を行う工程(3)を含む。また、本発明においては(1)、(2)、(3)の工程を、この順に1回ずつ行うことによって効率よく高純度なMBL含有組成物を得ることができる。(1)ポリエチレングリコールと接触させる工程本工程は、MBLを含有するヒト血漿画分をポリエチレングリコールと接触させて、その上清画分を採取することにより、MBLの精製用原料またはMBL含有組成物の製造用原料として有用な澄明な溶液を得るための工程である。上記の方法等により得られたヒト血漿原料について、まず、適当な溶媒を加えて懸濁、攪拌してMBLを抽出することが好ましい。この懸濁液にポリエチレングリコールを接触させ、上清画分と沈殿画分とに分離し、澄明な上清画分(以下工程(1)により得た上清画分を「MBL抽出液」という。)を採取する。ヒト血漿原料からMBLを抽出するための溶媒としては、生理食塩水、等張化リン酸緩衝液(PBS)などが例示される。溶媒の使用量としては、ヒト血漿原料の重量の5〜15倍、好ましくは8〜12倍が挙げられる。抽出時のpH条件はpH6.0〜8.0、好ましくはpH6.5〜7.5に調節される。イオン強度は80〜300mEq/Lが例示される。温度は0〜10℃、好ましくは0〜5℃である。この懸濁液に添加するポリエチレングリコールは、600〜6000の平均分子量を有するものが挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール600(平均分子量600)、ポリエチレングリコール1500(平均分子量1500)、ポリエチレングリコール4000(平均分子量4000)、ポリエチレングリコール6000(平均分子量6000)などが例示される。好ましくはポリエチレングリコール4000が用いられる。ポリエチレングリコール濃度は2〜5w/v%が例示され、より好ましくは3〜4w/v%が挙げられる(当該濃度が2w/v%未満では澄明なMBL抽出液を得ることができず、逆に5w/v%を超えるとMBL抽出液中のMBL含有率が低下する。なお、溶液の澄明性は、日本薬局方通則に従い、内径15mmの無色の試験管に30mmの液層を入れた状態で、白色の背景を用いて肉眼で判断する)。ポリエチレングリコール接触時のpH条件は、pH6.0〜8.0、好ましくはpH6.5〜7.5が例示される。これは、必要に応じてポリエチレングリコール添加後の懸濁液に塩基または酸(無機塩基または無機酸など、好ましくは水酸化ナトリウムまたは塩酸)を添加することにより調節することができる。イオン強度は80〜300mEq/Lが例示される。ポリエチレングリコールと接触させる時間は、ポリエチレングリコールにより不溶物が沈殿する範囲であれば特に限定されないが、好ましくは3〜20時間である。ポリエチレングリコールとの接触処理後に、遠心分離またはフィルタープレスなどの方法を用いて、上清画分と沈殿画分とを分離し、上清画分を採取する。遠心分離を行う場合は1000〜10000gで10〜60分間の条件下で遠心分離を行った後に、フィルターろ過により上清画分を採取する。フィルターとしては孔径0.22〜0.45μmのメンブレンフィルター(Sartocon、ザルトリウス社;ミリパック、プロスタック、ともにミリポア社など)を用いる。また、この際にプレフィルターを組み合わせて用いてもよい。プレフィルターとしてはプレフィルター−AP(ミリポア社)、Zeta−plus30LA(Cuno社)などが例示される。(2)アフィニティークロマトグラフィー処理を行う工程本工程は、MBLとの特異的な親和性を有する担体を用いて他の夾雑タンパクとMBLを分離することにより、MBLを高純度かつ高濃度な状態で得るための工程である。アフィニティークロマトグラフィーの固定相は、MBLと親和性を有するものであれば特に限定されない。例えば、マンノースまたはマンナンを担体(例えばセルロース、アガロース、デキストラン、ポリアクリルアミド、ポリビニル、シリカ、ガラスなど)に固定化したものが挙げられる。具体的には、マンノースを、リガンド固定化担体(AF−アミノトヨパール650M,東ソー社;活性化エポキシセファロース6B、アマシャムファルマシア社)に固定化させたものや、マンナン固定化アガロース(マンナン・アガロース、シグマ社)などが例示される。好ましくはマンナン固定化アガロースを用いる。工程(1)で得られたMBL抽出液にカルシウム塩を添加し、固定相を充填したカラムに展開してMBLをカラムに吸着させた後、適当な溶液でカラムを洗浄して夾雑タンパクを溶出させ、続いてカルシウム塩とキレートを形成することが可能なキレート化剤を含む溶液を用いて、吸着したMBLを溶出・回収する。吸着・洗浄用の溶液中に含まれるカルシウム塩としては塩化カルシウムなどが例示される。この際のpH条件としてはpH7.0〜9.0が例示され、吸着・洗浄用の溶液の溶媒として例えばイミダゾール緩衝液などが挙げられる。また、塩類、例えば、塩化ナトリウムなどを含んでいてもよい。吸着・洗浄用の溶液中のカルシウム塩の添加濃度としては0.01〜0.1mol/Lが例示され、他に含んでいてもよい塩類の添加濃度としては0.5〜2mol/Lが例示される。吸着したMBLを溶出するための溶液中に含まれる、カルシウム塩とキレートを形成することが可能なキレート化剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸、クエン酸などが例示される。キレート化剤の添加濃度としては0.001〜0.01mol/Lが例示される。溶出用溶液の溶媒、pH、塩類、その添加濃度などは、塩類としてカルシウム塩を含まないことを除き、吸着・洗浄用の溶液と同一の条件である。(3)ヘパリンクロマトグラフィー処理を行う工程本工程は、ヘパリン固定化担体を用いてMBLを吸着後、吸着したMBLを溶出させることにより、夾雑タンパクを除去し、MBLを精製する工程である。工程(2)で得たMBL溶液につき、必要に応じて、限外ろ過などにより濃縮および溶媒交換を行い、濃縮液を調製する。限外ろ過は分画分子量10〜100kDaの限外ろ過膜を用いて行う方法が挙げられる。この濃縮液を、ヘパリン固定化担体を充填したカラムに展開してMBLを吸着・洗浄後に、吸着したMBLを溶出・回収してMBL含有組成物を得る。ヘパリン固定化担体はヘパリンを担体(例えばセルロース、アガロース、デキストラン、ポリアクリルアミド、ポリビニル、シリカ、ガラスなど)に固定化したものである。具体的には、ヘパリン固定化アガロース(ヘパリンセファロース、アマシャムファルマシア社;ヘパリンアクチゲル、ステロジェン社;アフィゲルヘパリン、バイオラッド社)、ヘパリン固定化ポリビニル(ヘパリントヨパール650M、東ソー社)などが例示される。吸着・洗浄用の溶液としては、0〜0.1mol/Lの塩類を含む溶液を用いる。塩類としては例えば塩化ナトリウムなどが例示される。吸着・洗浄用の溶液の溶媒としてはリン酸緩衝液などが例示される。pH条件はpH6.0〜8.0が例示され、より好ましくはpH6.5〜7.5が挙げられる。また、エチレンジアミン四酢酸などを含んでいてもよい。MBL溶出用の溶液としては、0.15〜0.3mol/Lの塩類を含む溶液を用いる。塩類の種類、溶媒の種類、pH条件などは吸着・洗浄用の溶液と条件は同一である。好ましくは、得られたMBL含有組成物について、限外ろ過などにより濃縮および透析などを行う。限外ろ過は例えば分画分子量10〜100kDaの限外ろ過膜を用いて行う方法が挙げられる。透析は例えば生理食塩水などに対して行う方法が例示される。また、本発明のMBL溶液のMBL純度を上げる目的で、必要に応じて、MBLを精製する方法として公知であるものをさらに実施してもよい。例えば、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどが挙げられる。あるいは、上述した本発明の各工程を(1)、(3)、(2)、(3)の順で行うことなどが例示される。本発明のMBL含有組成物の製造方法は、上記のMBLを精製する方法に準じて、上記のヒト血漿原料を原料として行うことができる。本発明において、回収率は、ヒト血漿原料中のMBL量、精製工程または製造工程で得られるMBL量を測定して求める。MBL含有量は、次のELISA法により好適に求めることができる。ELISA法で用いる2種類の抗体は例えば以下のようにして作製することができる。真核細胞および大腸菌で組換えタンパク質として発現させた2種類の抗原を用いる。具体的には、抗原は全長MBL、およびコラーゲン様領域のC末端側6アミノ酸分(グリシン−X−Y(X,Yは任意のアミノ酸)の繰り返し2回分)を含み、以降ネック領域、糖認識領域を含む部分MBLを、それぞれ真核細胞および大腸菌で発現させたものを用いる。発現ベクターへ組み込む遺伝子は、いずれの場合もヒト胎盤cDNAライブラリーを用いてPCRにより増幅を行う。真核細胞での発現は例えば以下のようにして行うことができる。N末端の開始コドンの前に制限酵素Not Iの切断サイトを付加したプライマー5’−AAGCG GCCGC ATGTC CCTGT TTCCA TCACT C−3’(配列表配列番号1)およびC末端の終止コドンの後に制限酵素Xba I切断サイトを付加したプライマー5’−CCTCT AGATC AGATA GGGAA CTCAC AGAC−3’(配列表配列番号2)を用いて変性94℃1分、アニール55℃1分、伸長72℃2分を30サイクルのプログラムにて断片の増幅を行う。増幅した断片および発現ベクターpNOW1(特開平11−206378号公報を参照)をそれぞれ制限酵素Not I、Xba Iで切断し、精製した後、ライゲーションを行いMBL発現ベクターとする。得られたMBL発現ベクターはDOTAP(ロッシュ社製)によりCHO細胞にトランスフェクションしMBL発現細胞とする。MBLは細胞外に分泌されてくるので、細胞培養液をアフィニティーカラムであるマンナン・アガロース(シグマ社製)にて精製を行う。一方、大腸菌での発現は例えば以下のようにして行うことができる(Biosci.Biotechnol.Biochem.,62(7),1326−1331,1998を参照)。N末端側のプライマーとしてコラーゲン様領域のC末端側6アミノ酸をコードする塩基から始まる配列とその配列の前に制限酵素Xho I切断サイトを付加したプライマー5’−GGGCT CGAGG GAGAC CCTGG AAAAA GTCCG−3’(配列表配列番号3)およびC末端の終止コドンの後に制限酵素Eco RI切断サイトを付加したプライマー5’−GGGGA ATTCT CAGAT AGGGA ACTCA CAGAC−3’(配列表配列番号4)を用いて変性92℃1分、アニール55℃1分、伸長72℃2分を35サイクルのプログラムにて断片の増幅を行う。増幅した断片および発現ベクターpRSET−A(インビトロジェン社)をそれぞれ制限酵素Not I、Xba Iで切断し、精製した後、ライゲーションを行い部分MBL発現ベクターとする。このベクターは発現遺伝子のC末端側に6個のヒスチジンが付加される発現ベクターである。得られた部分MBL発現ベクターは大腸菌JM109のコンピテントセルにトランスフォーメーションし、発現誘導の後、大腸菌を回収後、6M尿素を含むTBS/Ca(10mM Tris−HCl,150mM NaCl,5mM CaCl2)にて可溶化し、アフィニティーカラムであるニッケル−ニトリロ三酢酸アガロース(キアゲン社製)にて精製を行った。得られた精製画分は透析によりTBS/Caの溶液としその後、真核細胞での発現系と同様にアフィニティーカラムであるマンナン・アガロース(シグマ社製)にて精製を行う。以上のようにして得られた2種類のMBL(全長MBLおよび部分MBL)を用いて、例えば以下のように抗血清を作成する。フロイントの完全アジュバントとの乳濁液とし、それぞれウサギ(ニュージーランドホワイト)1羽当たり0.2mg(容量1ml)を皮下20カ所程度に分けて注入する。以後、2週間間隔で、3回同様にして免疫を行う。ただし、2回目以降はフロイントの完全アジュバントのかわりにフロイントの不完全アジュバントを用い、免疫量も1羽当たり0.1mg(容量1ml)とする。追加免疫3回目が終了した1週間後少量採血を行い、抗体価を測定し、抗体価が上がっているものに関して、大量採血をおこない、抗血清とする。得られた抗血清はプロテインGカラム(アマシャムファルマシア社製)などにてIgG抗体を精製する。部分MBLに対する抗体はELISA法において1次抗体として用いるためビオチン化を行う。ビオチン化は、例えばEZ−Link Sulfo NHS−LC−LC−Biotin(ピアス社製)を用いて行うことができる。MBL量は、抗MBL抗体(全長MBLに対する抗体)、ビオチン化抗MBL/CRD抗体(部分MBLに対する抗体をビオチン化したもの)、およびアビジンビオチン結合ペルオキシダーゼを用いてELISA法により、例えば以下のように測定することができる。抗MBL抗体を終濃度1μg/mLとなるよう0.5mg/mLアジ化ナトリウム含有0.015mol/L炭酸ナトリウム、0.035mol/L炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH9.6)を用いて希釈し、この液を96穴マイクロプレートに100μL/ウェル加えて一晩放置する。その後、ウェル内の液を吸引除去し、2.5mg/mL牛血清アルブミン溶液を300μL/ウェル加えて一晩放置し、TC緩衝液(0.15mol/L塩化ナトリウム、0.05w/v%Tween20含有0.01mol/Lトリス塩酸緩衝液、pH7.4)を300μL/ウェルずつ満たした後、吸引除去を行ってこの操作を3回繰り返し、抗MBL抗体固定プレートを作製する。別の試験管を用いて検体をTC緩衝液で適当な濃度になるように希釈し、抗MBL各固定化マイクロプレートに100μL/ウェル添加して室温で1時間放置する。その後、ウェル内の液を吸引除去し、TC緩衝液を300μL/ウェルずつ満たした後、吸引除去を行ってこの操作を5回繰り返して洗浄を行う。続いてTC緩衝液にて1μg/mLとなるように希釈したビオチン化抗MBL/CRD抗体溶液100μLを各ウェルに加え、室温下で1時間静置後、前述と同様の洗浄操作を5回行う。次いで、TC緩衝液で希釈したアビジンビオチン結合ペルオキシダーゼ溶液(VECTASTATIN Elite ABC Kit、フナコシ)を100μL/ウェル加え、室温下で1時間放置した後5回の洗浄を行い、基質液(OPD溶液、住友ベークライト製ペルオキシダーゼ検出試薬)を100μL/ウェル添加して遮光した室温下で一定時間静置して発色させた後、反応停止液(1mol/L硫酸)を100μL/ウェル加え、各ウェルの492nm吸光度をプレートリーダーで測定する。測定した吸光度から標準品の検量線を作成し、被験物質のMBL含有量を求めることができる。本発明のMBL含有組成物について、MBLの純度は90%以上である。ここで本発明において純度は、HPLCゲルろ過またはSDS−PAGEにより求める。HPLCゲルろ過によるMBLの検出は、分光光度計により光路長10mmにおける波長280nmの吸光度を測定して求める。SDS−PAGE(Laemmli法)はそのバンドをデンシトメーターを用いて測定することにより求める。また、未分画のヒト血漿から工程(1)、(2)、(3)をこの順に各1回行った場合の回収率は、60%以上である。なお、アフィニティークロマトグラフィー処理工程の出発原料である、ポリエチレングリコール処理後のMBL抽出液から工程(2)、(3)をこの順に各1回行った場合の回収率は、70%以上である。本発明のMBL含有組成物に含まれるMBLは、MBLモノマーやその三量体を実質的に含まない、540kDa以上の高次ホモオリゴマー構造を保持しているものを含むなどの性状を有する。これらの性状はHPLCゲルろ過法、SDS−PAGE分析などにより確認することができる。本発明の製造方法により得られるMBL含有組成物に含有されるMBLは遊離の状態である。ここに遊離の状態とは、MBLがMASPとの複合体を形成していないことをいう。これはSDS−PAGE分析により確認することができる。具体的には、以下のようにして確認する。MASPには、分子量の異なるMASP1、MASP2が知られており、MASP1が存在する場合、還元条件で60kDa、非還元条件で100kDaの位置にMASP1のバンドが確認されなければならず、MASP2が存在する場合、還元条件で52kDa、非還元条件で76kDaの位置にMASP2のバンドが確認されなければならない。本発明の製造方法により得られるMBL含有組成物からは、これらのバンドおよびこれらにMBLの分子量を合わせた分子量のバンドが確認されないことより、遊離しているMBLのみが存在していることが確認できる。ゆえに、タンパク質として単一のMBLが得られることにより、MBL自身が有する各種活性をMASPの影響を考えずに調査することが可能である。なお、本発明の精製または製造工程において、加熱処理や、有機溶剤ならびに界面活性剤を用いるSD処理、ナノフィルトレーション法など、通常のウイルス不活化処理を行って、MBL含有組成物のウイルスを不活化することも可能である。本発明者らは、ヒト血漿をコーンの低温エタノール分画法に従って分画し、各画分中におけるMBLの存在量を測定した。その結果、第II+III画分中にほぼ全量のMBLが存在することを確認した。さらに、第II+III画分よりイムノグロブリンを抽出したところ、MBLは、従来は廃棄されていた抽出後の残渣にほぼすべて存在していることを確認した。イムノグロブリンを抽出した残渣には、脂質と結合したタンパクが夾雑物として多く含まれている。従って従来は、イムノグロブリンを抽出した残渣から常法によってMBLを抽出してもそれらの脂質タンパクを十分に除去することはできず、抽出液に濁りが生じるため、PCT/WO99/64453公報に記載のように、デリビドフィルターなどを用いた度重なるろ過処理などを行うことが必要となり、その処理を行うことなくそのまま抽出液をアフィニティークロマトグラフィー処理に付してMBLを精製することは困難であった。本発明では、MBLをヒト血漿、特に、ヒト血漿からイムノグロブリンを抽出した残渣から、アフィニティークロマトグラフィー処理などに適したMBLの精製用またはMBL含有組成物の製造用の中間原料として有用な澄明な溶液を、回収率を低下させることなく得ることができる。本発明では、イムノグロブリンを抽出した後のヒト血漿原料からの、工程(1)の処理によるMBLの精製度は7倍以上、回収率は90%以上である。精製度は、(精製溶液中のMBL量/精製溶液の光路長10mmにおける波長280nmの吸光度)/(精製前溶液中のMBL量/精製前溶液の光路長10mmにおける波長280nmの吸光度)の式により求める。MBLとマンノースあるいはマンナンの親和性を利用したアフィニティークロマトグラフィーによって精製されたMBL溶液におけるMBLの精製度は、好ましい条件下では工程(1)により得たMBL抽出液に対して700倍以上である。通常、アフィニティークロマトグラフィー処理により得たMBL溶液は、ゲルろ過クロマトグラフィーあるいはイオン交換クロマトグラフィーなどによってさらに精製されるか、あるいはアフィニティークロマトグラフィーを再度繰り返すことによって精製されるが、本発明では、例えば工程(3)の固定化ヘパリンカラムを用いることにより、回収率を低下させることなく、高純度のMBLを回収することが可能である。本発明の工程(3)の方法では、工程(2)により得られたMBL溶液におけるMBLに対して、MBLの精製度は3倍以上、回収率は80%以上である。本発明のMBL含有組成物は、塩化ナトリウムなどの塩類、公知の安定化剤、例えば、ヒト血清アルブミンなどを含んでいてもよい。本発明者らは、また、MBLがサイトメガロウイルスおよびB型肝炎ウイルスによる感染症の予防または治療に有用であることを見出した。MBLを上記の予防または治療に用いる場合は、それ自体を、あるいは適宜の製薬上許容される添加剤(例えば等張化剤(例えば、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、ブドウ糖などの糖類、塩化ナトリウムなどの塩類)および/または安定化剤(例えば血清アルブミンなど)など)と混合した組成物として、適当な溶媒(例えば、注射用水、生理食塩水など)で希釈し、筋注、静注、点滴など注射剤の形態で投与することができる。上記製剤は液状製剤あるいは凍結乾燥製剤などとすることができ、製剤中にはMBLを有効量配合する。本発明のサイトメガロウイルスおよびB型肝炎ウイルスによる感染症の予防または治療剤は、ヒトに適用することができる。当該MBLの投与量は、投与ルート、患者の症状、体重あるいは年齢等によっても異なり、投与目的に応じて適宜設定することができる。サイトメガロウイルスあるいはB型肝炎ウイルスによる感染症の予防または治療のためには、例えば、患者の血漿中MBL濃度が、ヒトの標準的な血漿中MBL濃度(1〜2μg/mL)と同等、あるいは症状に応じて5倍から10倍となるよう、必要に応じ一日1回〜複数回の静注点滴を、症状に応じた期間、投与する。実施例以下に本発明のMBL精製方法を参考例、実施例、実験例により詳細に説明するが、本発明はこれらの記載によって何ら限定的に解釈されるべきものではない。参考例:MBL抽出原料の調製−3〜−2℃の条件下で、プールされたヒトの血漿60Lを出発物質として、これに2mol/Lの酢酸ナトリウムを加えてpH7.2に調整し、続いてエタノールを終濃度8vol%となるように加えて混和した。遠心分離により上清画分と沈殿画分とに分離し、上清画分65Lを採取した。−6℃の条件下で、上清画分65Lに10mol/Lの酢酸を加えてpH6.8に調整し、続いてエタノールを終濃度21vol%となるように加えて混和した。ろ過(フィルタープレス)により上清画分と沈殿画分(コーンの第II+III画分)とに分離し、沈殿画分3kgを採取した。0〜5℃の条件下で沈殿画分3kgに30Lの水を加えて懸濁し、0.5mol/Lの塩酸を加えてpH5.25に調整した後、1時間から2時間抽出した。得られた抽出液は、遠心分離により上清画分(イムノグロブリンを含む画分)と抽出残渣(MBLを含む画分)とに分離し、抽出残渣2kgを採取した。実施例1:澄明なMBL抽出液の製造4℃の条件下で、参考例により得られた抽出残渣2kgに、20Lの生理食塩液を加え、65時間懸濁した。5mol/Lの水酸化ナトリウムを加えてpH7.0に調整した後、再度3時間撹拌した。続いて、この懸濁液にポリエチレングリコール4000(日本薬局方マクロゴール4000、日本油脂社)を終濃度4w/v%となるよう加えた後、1mol/Lの水酸化ナトリウムまたは1mol/Lの塩酸を加えてpH7.0に調整し、0〜5℃の条件下で12時間放置した。続いて、4600g×30分の条件で遠心分離を行った後に、プレフィルターAP(ミリポア社)と0.45μmメンブレンフィルター(ミリパック、ミリポア社)を用いて上清をろ過することにより、上清画分(MBL抽出液)と沈殿画分(抽出残渣)とに分離し、澄明な上清画分(溶液量20L、MBL含有量14mg/L)を採取した。実施例2−1:MBL含有組成物の製造−アフィニティーカラム(マンナン固定化カラム)による精製実施例1で得られた上清画分20Lに塩化ナトリウム、1mol/L塩化カルシウム溶液および1mol/Lイミダゾール溶液(pH7.8)をそれぞれ終濃度1mol/L、0.02mol/Lおよび0.01mol/Lとなるよう加え、pH7.8に調整した。この液全量をあらかじめ1mol/L塩化ナトリウムと0.02mol/L塩化カルシウムを含む0.01mol/Lイミダゾール緩衝液(pH7.8)500mLで平衡化したマンナン固定化担体(マンナン・アガロース、シグマ社)50mLを充填したカラムに注入した後、1mol/L塩化ナトリウムと0.02mol/L塩化カルシウムを含む0.01mol/Lイミダゾール緩衝液(pH7.8)750mLにてカラムを洗浄し、続いて1mol/L塩化ナトリウムと0.005mol/Lエチレンジアミン四酢酸を含む0.01mol/Lイミダゾール緩衝液(pH7.8)250mLを用いてMBL画分を展開し、MBL溶液250mLを回収した。実施例2−2:MBL含有組成物の製造−ヘパリン固定化カラムによる精製実施例2−1で得られた250mLのMBL溶液につき、分画分子量10kDaの限外ろ過膜(ペリコン2・バイオマックス10、ミリポア社)を用いて濃縮および溶媒交換を行い、溶媒系を0.001mol/Lエチレンジアミン四酢酸を含む0.02mol/Lリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に置換し、濃縮液50mLを調製した。この濃縮液をあらかじめ0.001mol/Lエチレンジアミン四酢酸を含む0.02mol/Lリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)300mLで平衡化したヘパリン固定化担体(ヘパリントヨパール650M、東ソー社)30mLを充填したカラムに注入した後、0.001mol/Lエチレンジアミン四酢酸を含む0.02mol/Lリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)150mLおよび0.1mol/L塩化ナトリウムと0.001mol/Lエチレンジアミン四酢酸を含む0.02mol/Lリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)150mLにてカラムを洗浄し、続いて0.2mol/L塩化ナトリウムと0.001mol/Lエチレンジアミン四酢酸を含む0.02mol/Lリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)150mLを用いてMBLを展開し、精製MBL組成物を得た。また、得られた組成物は、分画分子量10kDaの限外ろ過膜(セントリプレップ10、ミリポア社)を用いて濃縮および透析(生理食塩液に対して)を行い、MBL溶液を調製した。(溶液量15mL、総MBL含有量36mg)実験例1−1:SDS−PAGEによるMBLの分析と純度測定Laemmli法に準じ、10%−20%SDSポリアクリルアミドゲル(第一化学薬品社)を用いて還元処理および非還元処理の条件で、実施例2−2におけるヘパリン固定化カラムからの精製MBL組成物および市販のMBL(バイオジェネシス社)に対して分析を実施した。生理食塩液で希釈調整した検体を還元用サンプル緩衝液Tris−SDS−BME Seprasol(第一化学薬品社)あるいは非還元用サンプル緩衝液Tris−SDS Seprasol(第一化学薬品社)と等量比で混合し、5分間加熱処理を行った。この液をSDS−ポリアクリルアミドゲルのウェルに一定量チャージし、18mAで2時間電気泳動した。その後、クイックCBB染色キット(和光純薬社)によりゲルを染色後、蒸留水で脱色した。なお、分子量マーカーとしてPrestained SDS−PAGE standard,broad range(バイオラッド社)もしくは低分子量マーカー(アマシャムファルマシア社)を用いた。ゲルの写真を図1に示す。分析の結果、本発明による精製MBL組成物に含まれるタンパクは、還元下では分子量約30kDaの位置にほぼ単一のバンドとして認められ、非還元下では100kDa以上の高分子に存在することが観察されたことから、ホモオリゴマー構造を保持しているMBLであることが確認された。また、デンシトメーターをもちいてバンドの濃淡を測定することにより純度を求めたところ、MBLの純度は90%以上であった。実験例1−2実験用ゲルとして4%SDSポリアクリルアミドゲル(第一化学薬品社)および分子量マーカーとしてPrestained SDS−PAGE standard,high range(バイオラッド社)を使用した他は、実験例1−1で行った非還元処理と同一の条件で、実施例2−2におけるヘパリン固定化カラムからのMBL含有組成物に対して分析を行った。ゲルの写真を図2に示す。各バンドの分子量を分子量マーカーの分子量およびウェルの下端からの移動距離から作製した検量線を用いて算出した結果、本願発明によるMBL含有組成物に含まれるタンパクは、非還元条件下において、小さなものでも約264kDa(ホモオリゴマー三量体に相当)の分子量を有していた。また、約545kDa(ホモオリゴマー六量体に相当)および約610kDa(ホモオリゴマー七量体にほぼ相当)の分子量を有するバンドが強く発色していたことから、高次ホモオリゴマー構造を保持しているMBLを含んでいることが確認された。実験例2:ウェスタンブロッティングによるMBLの分析実験例1−1の方法に準じて検体の電気泳動を行った後、ゲルをブロッティング緩衝液(25mMトリス、192mMグリシン、20vol%メタノール)に浸漬した。別にメタノールおよび同緩衝液で平衡化したPVDF(ポリビニリデンフルオライド)膜(ミリポア社)にゲルを載せ、ろ紙およびパットでこれを挟んだ後、180mAで90分から120分電気泳動し、ゲル上のタンパクをPVDF膜に転写した。その後、転写後の膜をブロッキング溶液(ブロックエース、大日本製薬社)に一定時間浸した後、TC緩衝液(0.15mol/L塩化ナトリウム、0.05w/v%Tween20(和光純薬社)含有0.01mol/Lトリス塩酸緩衝液、pH7.4)で3回洗浄した。続いて、洗浄後のPVDF膜を2μg/mLの抗MBLウサギ抗体(上述の方法で作成したもの)に浸し、室温下で1時間振とうした後、TC緩衝液で5回洗浄し、5000倍希釈したペルオキダーゼ標識抗ウサギIgGヤギ抗体(peroxidase−conjugated AffniPure Goat Anti−Rabbit IgG、Jackson Immuno Research社)に浸して室温下で1時間反応させた。続いて、反応後のPVDF膜をTC緩衝液で5回洗浄し、基質液(DAB(3,3’−ジアミノベンジジン テトラヒドロクロライド)溶液、フナコシ社)に一定時間浸して発色させ、適当な発色強度が得られた時点でPVDF膜をRO(逆浸透)水により洗浄し、発色反応を停止させた。ゲルの写真を図3に示す。分析の結果、SDS−PAGEと同位置のバンドが強い反応性を示したことから、本発明による精製MBL組成物には、MBLがホモオリゴマー構造を保持している状態で、高純度で含まれていることが確認された。実験例3:HPLCゲルろ過によるMBLの純度測定実施例2−2における透析後のMBL溶液50μLを、TSK G3000SWXLカラム(東ソー社)を装着した高速液体クロマトグラフ(System GOLD、Beckman社)にアプライし、0.3mol/L塩化ナトリウム含有0.05mol/L酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.7)を移動相として、流速0.5mL/分で展開を行った。MBLの検出は、280nmの吸光度を分光光度計を用いて測定することにより行った。結果を図4に示す。分析の結果、本発明による精製MBL組成物に含まれるMBLの純度は98%以上であった。また、別途、IgGの凝集物を調製しそれを同様にHPLCゲルろ過に付してMBLの場合と比べたところ、MBLのピークは、IgGの凝集物の展開位置とほぼ同じであった。IgG凝集物は200kDa以上の分子量を有するものであり、これと展開位置が同じであることから、MBLがホモオリゴマー構造を保持していることが確認された。実験例4:MBLの補体活性化能の測定補体活性化能は、受動溶血反応を利用し、MBLとの結合が確認されているマンナンを表面に固定化したヒツジ赤血球にMBLを反応させ、これにモルモット補体を加えることで惹起される溶血反応により検出した。0.25mgの塩化マンガン六水和物を含有する生理食塩液0.5mLと40μgのマンナンを含有する生理食塩液溶液0.5mLを混合した後、これにヒツジ血液(緬羊保存血液、日本バイオテスト研究所)を遠心分離して得た沈澱を生理食塩液で懸濁して調製した赤血球浮遊液(1×109個/mL)1mLを混合し、室温で10分間反応させた。反応液に、氷冷した0.1%のゼラチン、2mMの塩化カルシウム、0.5mMの塩化マグネシウムを含む5mMのベロナール緩衝液(pH7.4、以下GVBと呼ぶ)を1.5mL添加して反応を停止させた後、遠心分離してマンナン固定化赤血球(沈殿画分)を得た。得られたマンナン固定化赤血球をGVBで洗浄し、GVB1mLあたりの赤血球が109個となるように懸濁した。この懸濁液0.1mLあたり、分光光度計における光路長10mmでの波長280nmの吸光度が0.000001〜0.001となる量のMBLを含有するよう、実施例2−2における透析後のMBL溶液を加えたGVB溶液あるいはGVBのみを400μL混合し、室温で15分間緩やかに振とうした後、氷冷したGVBで洗浄し、赤血球数をGVBで1mLあたり109個になるように再懸濁した。続いて、この懸濁液0.1mLに、あらかじめマンナン固定化担体(マンナン・アガロース、シグマ社)と一定時間反応させたモルモット血清(乾燥補体、極東製薬工業社)の100倍希釈液(希釈溶媒はGVB)を1.5mL加えて混和し、37℃で1時間反応させた。反応後、遠心分離を行い、上清の541nmにおける吸光度を測定して反応液の溶血度を求めた。一方、対照として、マンナン固定化処理を行わない、すなわち、塩化マンガン六水和物およびマンナンで処理しない赤血球を用いて同様な試験を実施し、溶血度を求めた。溶血度は、モルモット血清の代わりに蒸留水を添加混和した液の541nmにおける吸光度(100%(A541))を100%とし、以下の式から溶血度を算出した。溶血度(%)=(各濃度のMBL添加時のA541−MBL無添加時のA541)×100/((100%(A541))−MBL無添加時のA541)結果を図5に示す。本発明による精製MBL組成物は、優れた補体活性化能を有することが確認された。実験例5:コーンの低温エタノール分画法におけるMBLの挙動上述のMBL測定法を用いて、ヒト血漿をコーンの低温エタノール分画法に従って分画した場合のMBLの挙動を表1および表2に示す。MBLは第II+III画分からイムノグロブリンを抽出した残渣にほぼすべて含まれることが判明した。実験例6:各精製工程におけるMBLの精製度および未分画ヒト血漿からの回収率実施例1、実施例2−1、実施例2−2によって得られた各MBL溶液のMBL精製度を表3に示す。精製度の計算には上述の式を用いる。また、未分画ヒト血漿中のMBL量を基準とした場合の、各MBL溶液中のMBL回収率(%)を、併せて表3に示す。実験例7:ポリエチレングリコール接触工程におけるポリエチレングリコール濃度の影響ポリエチレングリコール接触工程におけるポリエチレングリコール4000の濃度を0〜5w/v%とした場合におけるMBL抽出液の外観およびMBLの回収率を図6および表4に示す。ポリエチレングリコール濃度が2〜5w/v%、好ましくは3〜4w/v%であれば、澄明かつ回収率の高いMBL抽出液を得られることが判明した。実験例8:N末端アミノ酸配列分析本発明の精製方法によるMBLのN末端アミノ酸配列分析を、プロテインシークエンサー(島津製作所)を用いて行った。プロテインシークエンサー(PPSQ−10、LC−10ASポンプ、SPD−10A検出器、C−R7Aデータ処理システム及びCTO−10Aカラムオーブンを併設)を用いて、そのプロトコールに従って2mg/mLのMBL溶液(実施例2−2におけるヘパリン溶出画分)の6μg相当を分析した。測定は10サイクル行い、得られたクロマトグラムから各サイクルのアミノ酸残基を同定した。なお、分析に用いた試薬類は、和光純薬工業製「島津プロテインシークエンサー用」を使用した。本発明の精製MBL検体につき、N末端から10番目までのアミノ酸配列を調べた結果、Glu−Thr−Val−Thr−Xaa−Glu−Asp−Ala−Gln−Lysであった(Xaaは同定不能)(配列表配列番号5)。一方、FASTA Serach Result(アミノ酸配列データベース、京都大学化学研究所バイオインフォマティクスセンター)を検索した結果、登録されていたMBLのN末端アミノ酸配列はGlu−Thr−Val−Thr−Cys−Glu−Asp−Ala−Gln−Lys(配列表配列番号6)であった。実験例9:MBLのサイトメガロウイルス(CMV)感染阻害活性の測定MBLのCMV感染阻害活性の測定は、CMV感染細胞の細胞間感染阻害作用により評価した。24ウェルプレートに、10%牛胎児血清(FCS、ハイクローン社)を含むイーグルMEM培地(GIBCO社)を用いてMRC−5(ATCC No.CCL−171、大日本製薬)をウェルあたり5万個/0.5mLの密度で加え、3日間培養して細胞をコンフルエントの状態にした。その後、培養上清を吸引除去し、5%FCSを含むイーグルMEM培地で希釈したCMV(50PFU/0.5mL)を各ウェルに加え、一晩培養して感染細胞を作製した。次いで、各ウェルの培養上清を吸引除去した後、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)をウェルあたり1mL加えて吸引除去し、この操作を2回繰り返すことによってウェル内を洗浄した後、0〜100μg/mLのMBL(実施例2−2におけるMBL最終精製物)、0.4%アガロース(シグマ社Type I、Low EEOアガロース)及び、2.5%FCSを含むイーグルMEM培地各溶液もしくは同液にそれぞれ補体溶液(極東製薬「乾燥補体」を注射用水にてバイアル1mLで溶解した液)を10%加えたものを各ウェルあたり1mL重層し、37℃で1週間培養した。1週間培養したプレートの1部は重層したアガロースを剥がした後0.5%クリスタルバイオレット染色液を1mL/ウェル加えて37℃、2時間培養し、細胞染色を行なって形成されたプラークの大きさを顕微鏡観察した。また、他のプレートは感染細胞を継代するため、重層したアガロースを剥がした後、PBSをウェルあたり1mL加えて吸引除去してウェルを洗浄後、0.25%トリプシンEDTA溶液(GIBCO社)をウェルあたり0.1mL加えてウェルから細胞を剥し、さらに5%FCSを含むイーグルMEM培地を0.1mL/ウェル加えて懸濁し、同培地を用いて適当に希釈した。別に10%FCSを含むイーグルMEM培地を用いてMRC−5をウェルあたり20万個/2mLの密度で加え、3日間培養して細胞をコンフルエントの状態にした6ウェルプレートを作製し、前述と同様に洗浄したウェル内に、希釈した細胞懸濁液0.1mL/ウェル加えて37℃、1時間培養した。その後、0.6%アガロース及び5%FCSを含むイーグルMEM培地2mLを重層し、37℃で1週間培養後、アガロースを剥し、0.5%クリスタルバイオレット染色液で各ウェルを染色して形成されたプラーク数を測定した。その結果、一週間培養した時点で検出されたプラークの大きさを比較したところ、補体存在下、MBLを4μg/mL以上の濃度で含む系では、MBLを含まない系に比べ形成するプラークの大きさが縮小していることが確認された。結果を図7に示す。また、これらの細胞を継代しさらに一週間培養した時点で検出されたプラークの数を比較したところ、補体存在下、MBLの濃度に依存して、形成するプラーク数が減少することが確認された。結果を図8に示す。実験例10:MBLのB型肝炎ウイルス(HBV)に対する結合能の測定MBLのHBVに対する結合能の測定は、HBsAgへのMBLの結合能により評価した。抗HBsAg抗体測定キット(商品名「エルジアオートAnti−HBs」、国際試薬)に含まれるHBsAg固定化マイクロウェルに、0.00〜0.25μg/mLのMBL溶液(実施例2−2におけるMBL最終精製物)を0.1mL/ウェル加えて室温下で1時間放置してMBLを結合させた。次いで、ウェル内の液を吸引除去し、0.005mol/L塩化カルシウム及び0.05%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含むトリス緩衝生理食塩液(TBS−TC)をウェルあたり0.3mLずつ満たして吸引除去を行い、この操作を5回繰り返すことによってウェル内を洗浄した。続いて、TBS−TCにて10000倍に希釈した抗MBLウサギ抗体(扶桑薬品)溶液0.1mLを各ウェルに加えて室温下で1時間放置後、前述と同様の洗浄操作を行った後、TBS−TCにて10000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgGヤギ抗体(Jackson Immuno Research社)溶液0.1mLを各ウェルに加え、室温下で1時間放置後、前述と同様の洗浄操作を行った。続いて基質液(OPD溶液(o−フェニルジアミン溶液)、住友ベークライト製ペルオキシダーゼ検出試薬)を100μL/ウェル加え、遮光した室温下で数分間放置後、反応停止液として1mol/Lの硫酸を100μL/ウェル加えた。各ウェルの波長492nmの吸光度をプレートリーダー(大日本製薬、Viento)で測定したところ、MBLは用量依存的にHBsAgに結合することが確認された。結果を図9に示す。[配列表フリーテキスト]配列番号1:全長MBLを真核細胞で発現させるためのプライマー。配列番号2:全長MBLを真核細胞で発現させるためのプライマー。配列番号3:部分MBLを大腸菌で発現させるためのプライマー。配列番号4:部分MBLを大腸菌で発現させるためのプライマー。配列番号5:本発明の精製MBLのN末端から10番目のアミノ酸までのアミノ酸配列。Xaaは確定されていないアミノ酸を示す。産業上の利用可能性本発明では、ヒト血漿原料から、ポリエチレングリコールと接触させる処理を少なくとも1回行うことにより、その後のアフィニティークロマトグラフィー処理などに適した、MBLの精製用またはMBL含有組成物の製造用原料として有用な、ヒト血漿原料中のMBLを高い割合で回収した澄明なMBL溶液を製造することができる。ポリエチレングリコールと接触させる工程に続いて、アフィニティークロマトグラフィー処理工程、さらに続いてヘパリンクロマトグラフィー処理工程を行うことにより、高純度かつ高回収率でMBL含有組成物を得ることができる。ヒト血漿原料から、ポリエチレングリコールと接触させる工程、アフィニティークロマトグラフィー処理工程、ヘパリンクロマトグラフィー処理工程をこの順に各1回行うのみで、MBL含有組成物を高回収率かつ高純度に製造または精製できるため、精製または製造工程が少なく、設備を多く必要としないことから、ヒト血漿中MBLを原料として、工業的規模で精製する方法または製造する方法として好適である。また、本発明の製造方法によれば、高次オリゴマー構造を保持しているMBLを含む臨床上有用なMBL含有組成物を製造することができる。さらに本発明のMBLの精製方法または製造方法によれば、従来は廃棄されていた、コーンの低温エタノール分画法に従って得られる第II+III画分よりイムノグロブリンを抽出した残渣を出発原料とすることができる。また、MBLは、サイトメガロウイルスおよびB型肝炎ウイルスによる感染症の予防または治療に有用である。本出願は、日本で出願された特願2001−264915を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。【配列表】【図面の簡単な説明】図1は、実験例1−1におけるSDS−PAGE分析の結果を示す。レーン1:サイズマーカーレーン2:ヘパリンカラムからの溶出液(還元)レーン3:MBL(バイオジェネシス社)(還元)レーン4:ヘパリンカラムからの溶出液(非還元)レーン5:MBL(バイオジェネシス社)(非還元)図2は、実験例1−2におけるSDS−PAGE分析の結果を示す。レーン1:サイズマーカーレーン2:ヘパリンカラムからの溶出液(非還元)図3は、実験例2におけるウェスタンブロッティングの結果を示す。レーン1:サイズマーカーレーン2:ヘパリンカラムからの溶出液(還元)レーン3:MBL(バイオジェネシス社)(還元)レーン4:ヘパリンカラムからの溶出液(非還元)レーン5:MBL(バイオジェネシス社)(非還元)図4は、実験例3におけるゲルろ過クロマトの結果を示すチャートである。図5は、実験例4における補体活性化能の測定結果を示すグラフである。図6は、実験例7において、ポリエチレングリコール4000の濃度が0w/v%〜5w/v%である場合のMBL抽出液の外観を示す。試験管1:残渣を生理食塩水で懸濁し、pH7.0に調製した液試験管2:ポリエチレングリコール4000を0w/v%含有した抽出液試験管3:ポリエチレングリコール4000を1w/v%含有した抽出液試験管4:ポリエチレングリコール4000を2w/v%含有した抽出液試験管5:ポリエチレングリコール4000を3w/v%含有した抽出液試験管6:ポリエチレングリコール4000を4w/v%含有した抽出液試験管7:ポリエチレングリコール4000を5w/v%含有した抽出液図7は、実験例9において、感染細胞を1週間培養した時点で検出されたサイトメガロウイルスが形成するプラークを示す。図8は、実験例9におけるサイトメガロウイルスが形成するプラーク数の測定結果を示すグラフである。図9は、実験例10におけるHBsAg結合能の測定結果を示すグラフである。 以下の工程(1)〜(3)を含む、コーンの低温エタノール分画法における第II+III画分であるヒト血漿原料からヒトマンノース結合レクチンを精製する方法。(1)上記ヒト血漿原料とポリエチレングリコールを接触させる工程、(2)続いてヒトマンノース結合レクチンと親和性を有する物質を担体に固定化した固定相を用いるアフィニティークロマトグラフィーを行う工程、(3)さらに続いてヘパリンクロマトグラフィーを行う工程。 ヒトマンノース結合レクチンと親和性を有する物質がマンノースまたはマンナンである、請求項1記載の方法。 ポリエチレングリコール濃度が、2〜5w/v%である、請求項1または2に記載の方法。 ポリエチレングリコールの平均分子量が600〜6000である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 ポリエチレングリコールとの接触が0〜10℃で行われることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 以下の工程(1)〜(3)を含む、コーンの低温エタノール分画法における第II+III画分であるヒト血漿原料からのヒトマンノース結合レクチン含有組成物の製造方法。(1)上記ヒト血漿原料とポリエチレングリコールを接触させる工程、(2)続いてヒトマンノース結合レクチンと親和性を有する物質を担体に固定化した固定相を用いるアフィニティークロマトグラフィーを行う工程、(3)さらに続いてヘパリンクロマトグラフィーを行う工程。 ヒトマンノース結合レクチンと親和性を有する物質がマンノースまたはマンナンである、請求項6記載の製造方法。 ポリエチレングリコール濃度が、2〜5w/v%である、請求項6または7に記載の製造方法。 ポリエチレングリコールの平均分子量が600〜6000である、請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法。 ポリエチレングリコールとの接触が0〜10℃で行われることを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の製造方法。 ヒト血漿原料に対して回収率が60%以上である、請求項6〜10のいずれかに記載の製造方法。 ヒトマンノース結合レクチンの純度が90%以上である、請求項6〜11のいずれかに記載の製造方法。 ヒトマンノース結合レクチンが高次ホモオリゴマー構造を保持した状態であることを特徴とする、請求項6〜12のいずれかに記載の製造方法。 請求項6〜13のいずれかに記載の製造方法により製造されるヒトマンノース結合レクチン含有組成物。 ヒトマンノース結合レクチンが請求項1〜5に記載の方法により精製されたヒトマンノース結合レクチンであり、該ヒトマンノース結合レクチンの純度が90%以上である、ヒトマンノース結合レクチン含有組成物。 ヒトマンノース結合レクチンが高次ホモオリゴマー構造を保持した状態であることを特徴とする、請求項15記載のヒトマンノース結合レクチン含有組成物。


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