タイトル: | 特許公報(B2)_キサンツレン酸の神経伝達物質活性のモジュレーターの同定 |
出願番号: | 2003510963 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C12Q 1/02,C12Q 1/00,G01N 33/15,G01N 33/50 |
ゴバイル,セルジュ メートル,ミッシェル JP 4230352 特許公報(B2) 20081212 2003510963 20020704 キサンツレン酸の神経伝達物質活性のモジュレーターの同定 ユニベルシテ・ルイ・パスツール 501129398 UNIVERSITE LOUIS PASTEUR 津国 肇 100078662 篠田 文雄 100075225 ゴバイル,セルジュ メートル,ミッシェル FR 0108937 20010705 20090225 C12Q 1/02 20060101AFI20090205BHJP C12Q 1/00 20060101ALI20090205BHJP G01N 33/15 20060101ALI20090205BHJP G01N 33/50 20060101ALI20090205BHJP JPC12Q1/02C12Q1/00 ZG01N33/15 ZG01N33/50 Z C12Q 1/00 G01N 33/00 BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) CAplus(STN) PubMed 特表2000−516451(JP,A) Psychopharmacology, (1981), Vol. 75, p. 346-349 Acta psychiat. Belg., (1986), Vol. 86, p. 120-130 Acta psychiat. Belg., (1979), Vol. 79, p.638-646 Acta psychiat. Belg., (1986), Vol. 86, p. 220-241 7 FR2002002337 20020704 WO2003005038 20030116 2004533843 20041111 41 20050630 濱田 光浩 本発明は、独自の特性または作用機構を持つ新規薬物または新規医薬品の選択および開発のための方法および組成物に関するものである。本発明は特に、キサンツレン酸(XA)の代謝または輸送で役割を果たす、あるいは本物質により仲介される信号の受信および/または変換に関与する、中枢神経系の複数の構成要素の機能的役割のキャラクタリゼーションおよび同定について述べる。前記標的は、その薬理学的または医薬品的利点から利益を得るために上記標的を妨害し、XAの機能を調整する新規合成化学物質の定義および選択のための新たなツールである。本発明は主に、神経または精神病状または疾患を処置するために使用することができる。 製薬業界は、脳内に存在し、心理、精神情動、精神、認知、または神経活性の制御において重要な機能的役割を持つ、新たな天然物質を引き続き求めている。神経系の機序に関与する神経伝達および新規標的の新たな機序の発見は、以下で述べる多様な指摘において、新規医薬品の選択のためのまさに多くの有用なツールである。本発明は、中枢神経伝達現象における天然物質、キサンツレン酸の重要な役割について最初に述べる。この新たな神経伝達系は、伝達物質、輸送体、受容体、および上記受容体の刺激時にオンにされる細胞内信号の合成および除去のための代謝系を含む。そのような構成成分は、潜在的な医薬品により調整され、生物活性化合物の同定、選択またはキャラクタリゼーションに使用される「標的」を構成する。更に本発明は、脳におけるキサンツレン酸の異なる機能的役割(他の神経伝達物質の妨害、一部の行動または神経薬理学的プロトコルにおける役割)についても述べ、前記分子、その誘導体、あるいは更に一般的に上の標的に結合する天然または合成物質の新規の薬理学的または処置的使用を構想できるようにする。 1980年代初期以来、トリプトファン異化作用が、主な中枢神経系障害の原因および処置に関する研究において、これまで以上に顕著な役割を徐々に果たすようになってきた(Orv.Hetil.1992, Jul 19;133(29): 1803-1807)。その薬理学的特性によって焦点となったのは主として、トリプトファン代謝産物である、キノリン酸およびキヌレン酸などの化合物である。これらの代謝産物の形成における不均衡、すなわち慢性的に変化した合成または分解は、中枢神経系の機能障害および結果として生じる病状の根底となっている。 別のトリプトファン代謝産物である、XAの場合、各種の研究がXAの多様な効果を報告している。例えば、XA(50−600mg/kg 腹腔内)は、ホットプレート(「plaque chaude」)およびテールフリック試験でスプレーグ−ドーリーラットにおける鎮痛効果を持つことが述べられている(Pharmacol.Res.1998, Oct;38(4): 243-250)。その上、動物においては、XAの腹腔内注射は、キノリン酸、ストリキニーネまたはペンチレンテトラゾールの脳室内注射により誘発される癲癇発作開始までの潜伏時間を延長する。XAの増加された排泄は、異なる段階の痙攣発症を示す患者における補正過程を実現するように思われる(J.Neurol.Transm.1983;56(2-3): 177-185;Clin.Endocrinol.(Oxf)1997, Dec;47(6): 667-677)。トリプトファン(5g)の経口投与の後、XAの24時間尿中排泄は、うつ患者で著しく増加した(Psychopharmacology(Berl)1981;75(4): 346-349;Acta Psychiatr.Belg.1979, Nov-Dec;79(6): 638-646)。しかし他の結果は、XAの脳室内(ICV)注射が、ラットにおいてECGを調整しないこと(Okayama Igakkai Zasshi 104(5-6): 471-482, 1992)、マウスへのXA注射が頭部攣縮挙動を誘発しないこと(Psychopharmacology(Berl)1977, Mar 16;51(3): 305-309)、XAが、興奮性アミノ酸によって誘発される脱分極を遮断しないこと(Brain Res.1986;Aug.20;380(2): 297-302)およびXAが、小胞体シャペロンタンパク質(Grp 94)およびカルレチクリンの発現上昇を誘発し、一部のタンパク質の異常配座を生じさせることを示している。培養細胞中でこれらの効果を生じさせるのに必要なキサンツレン酸濃度は、ミリモル範囲にある(H.Malina;Biochem.Biophys.Res.Comm., 1999, 265: 600-605)。 しかし現在まで、XAの役割は、なお特徴づけられておらず、その作用方式および生理学的役割は、いまだにわかりにくく、考えられる受容体の存在は、証明されておらず、本分子に基づく処置方法は、着手されていない。 本発明は、キサンツレン酸(XA)の代謝または輸送で役割を果たし、本物質により仲介される信号の受信および/または変換に関与する、中枢神経系の複数の構成要素の機能的役割の記述、キャラクタリゼーション、および同定から生じる。これらの標的は、その薬理学的または医薬品的利点から利益を得るために上記標的を妨害し、XAの機能を調整する新規合成化学物質の定義および選択のための新たなツールである。本発明は更に詳細に、病理生理学機構での、中枢神経系におけるXAの神経伝達物質としての役割およびその関与を示す。本発明は特に:− 皮質におけるXAの細胞外放出の存在および特性、− アデニレート誘導体(アデノシン、ADP、ATP)、銅、および亜鉛イオン、ならびにキヌレン酸およびその誘導体によって調整される、脳における本物質の高い親和性結合部位の存在、− 特にグルタミン酸作動性およびGABA作動性活性への影響による、ドーパミン作動性系を制御する前頭皮質におけるXA神経終末の役割を特に提案できるようにする、脳内のXAとドーパミンとのインビボでの機能的相互関係の存在。XAは、A10核に、または側坐核、線条体および側脳室に投与された場合に、用量依存性、ドーパミン作動性、常同症を誘発する。このことは該当する受容体部位のリガンドに対する重要な標的としてXA系を示し、上記リガンドは、統合失調症症状の製造に関与するグルタメート/GABA/ドーパミン活性を調整する。したがってXA受容体リガンドが、ある精神病症状の処置の主要な関心事となるであろう。− XA受容体を発現する細胞における、ある膜イオンコンダクタンスに対するXAのマイクロモル濃度による、電気生理学的効果の誘導。− 培養ニューロンにおけるXAのナトリウム依存性活性輸送の証明。本機能は、XAの構造類似体、または更に一般的には上記輸送系を妨害する合成リガンドの新規標的となる。実際に、本輸送系の阻害は、脳のある機能性区画、特にシナプス区画におけるXAの半減期の延長を引き起こすことができる。したがって本輸送系の阻害物質は、複数のタイプの神経または精神病状に有益な効果を持つ物質の新規クラスとなる、− 急性ストレスに対する反応が、ノルエピネフリンの細胞外放出だけでなく、XAの顕著な放出も引き起こす。後者の物質の放出は、上記ストレスへの適応反応の製造に関与している。したがってこの結果は、XA系の活性を調整するリガンドが、ヒトにおいてストレスへの反応を制御するのに有用であることを示す。− 合成XA作動薬が、NCB−20細胞においてXA型電気生理効果を誘導する、特にインビボで脳ドーパミンを調整する能力、− NCS−486などのXA拮抗薬が、XAまたはその作動薬によって誘導された電気生理効果に拮抗する、特にXAのドーパミン作動性活性をインビボで阻害する能力、および− 局所利用または全身投与後の、鎮静、不安緩解、ドーパミン作動性効果(薬物嗜癖、パーキンソン病、統合失調症、気分障害などの複数の分野で有用である)、抗うつ効果および記憶および社会的相互作用に対する有益な効果を誘導する、XAのインビボでの特異的な神経薬理学的効果、を証明する。 したがって本出願は、これまでCNS(中枢神経系)における機能的役割が確認されていないXAが、神経伝達物質/神経モジュレーターとしての役割を強く示唆する特性を持つことを証明する。この新たな神経伝達/神経調整系は、リガンドまたは化合物のための、合成または天然起源の多数の潜在的標的アレイ(XA、受容体部位、輸送部位、放出部位を合成および分解する酵素)を提供し、XAの活性を調整し、このため、神経および精神障害の処置における潜在的な医薬品となる。 したがって本出願は、その目的として、神経系病状を処置する医薬品を調製するためのキサンツレン酸の活性を調整する化合物の使用を含む。本発明は、キサンツレン酸の活性を調整する化合物を被検者に投与することを含む、神経系、特に中枢神経系の病状を処置するための方法にも関する。 本発明の詳細な態様は、神経系病状を処置する医薬品を調製するためのキサンツレン酸活性を特に調整する化合物の使用および該当する処置方法に基づいている。化合物は、他の中枢神経伝達/神経調整系の活性に対する著しい直接効果を主として持つことを目的とせず、最重要なXAの活性[例えばその輸送、その代謝、またはXA受容体の活性]を調整する場合に特異的と呼ばれる。もちろん中枢XA系の調整は、他の系、特にドーパミン作動性またはGABA作動性系における重要性および適合を引き起こすが、セロトニン作動性系では実質的に引き起こさない。本発明による特に特異的な化合物は、セロトニン作動性受容体または他の神経伝達物質/神経モジュレーターの他の受容体に特異的または実質的な方法で結合することなく、XA受容体に優先的に結合できる化合物である。 好ましい実施態様によれば、本発明は、特にその目的として、更に以下を有する:− 不安を処置する医薬品を調製するための、キサンツレン酸活性を調整する化合物の使用および対応する処置の方法;− うつ病を処置する医薬品を調製するための、キサンツレン酸活性を調整する化合物の使用および対応する処置の方法;− 記憶または社会的相互作用機能障害を処置する医薬品を調製するための、キサンツレン酸活性を調整する化合物の使用および対応する処置の方法;− 鎮静および/または催眠医薬品、特にXAの神経薬理学的効果を増強する化合物、好ましくはXA受容体のアロステリック活性化剤を調製するための、キサンツレン酸活性を調整する化合物の使用および対応する処置の方法;− ドーパミン作動性作用を調整する医薬品を調製するための、キサンツレン酸活性を調整する化合物の使用および対応する処置の方法;− 精神病性症状、特に統合失調症を処置する医薬品を調製するための、キサンツレン酸活性を調整する化合物の使用および対応する処置の方法;− ストレスに対する反応を制御する医薬品を調製するための、キサンツレン酸活性を調整する化合物の使用および対応する処置の方法;− 行動覚醒を制御する医薬品を調製するための、キサンツレン酸活性を調整する化合物の使用および対応する処置の方法。 本発明の文脈内で、「処置」という語は、患者の管理(苦痛緩和、延命、生活の質の向上、疾患進行の遅延)などと同様に、予防的、治癒的、対症的処置を示す。更に処置は、特に疾患の遅発型現象に対処するために、他の薬剤もしくは処置と、または他の活性物質と組み合わせて実施されることがある。上に示したように、使用される化合物は好ましくは、XA活性の特異性モジュレーターである。 本発明は、その目的として、キサンツレン酸の活性を調整する化合物を被検者に投与することを含む、XAのドーパミン作動性効果を調整する方法を有する。 本発明の更なる目的は、神経変性疾患、特にパーキンソン病、アルツハイマー病、またはALS、統合失調症などの精神病、あるいは特にオピオイドなどのある薬物依存症を処置する医薬品を調製するための、キサンツレン酸活性を調整する化合物の使用である。 本発明は同様に、XA活性を調整する合成化合物の有効用量を被検者に投与することを含む、インビボでのXA活性を調整するための方法に関する。 本出願の文脈において、「調整」という語は、XA活性の刺激または阻害のいずれかを示す。刺激は、XAの活性を模倣する化合物を使用すること、またはXAの量もしくは有効性を刺激することによって実現される。阻害は、部分的でもよい(例えば、活性の低下)。阻害は、存在するXAの量を減少させること、またはXAが生物効果を製造する能力を阻害すること、またはXAにより誘導される生物効果を遮断もしくは阻害することによって実現される。 このため、本出願の文脈において、「キサンツレン酸活性」という語は、特に、本化合物の合成、その輸送、その放出、受容体もしくはパートナーとのその相互作用、その分解、XAによって活性化もしくは制御される信号または代謝経路など、すなわちXAを介在物質として使用する系の活性を示す。したがってXA活性を調整する化合物は、XA合成を調整する薬剤、XA輸送または放出を調整する薬剤、XA作動薬、XA拮抗薬などである。前記受容体の制御またはアロステリック部位に作用することにより、XA受容体部位の活性を調整する化合物でもよい。 第一の具体的な実施態様によると、使用される化合物は、XAの合成または制御を調整する化合物である。そのような化合物は、この分子またはその前駆体、特にキヌレニン−3−ヒドロキシラーゼの活性を調整する化合物の生合成に関与する酵素の活性または発現に作用する。本酵素は、本出願の文脈内で、XA製造の制御およびXA活性の調整を可能にする化合物による調整において役割を果たす。本酵素の活性または発現を調整する化合物は、例えば、アンチセンス分子、転写阻害剤、リボザイム、またはアパタザイム、抗タンパク質抗体、酵素の活性を阻害できる化学またはペプチド化合物などである。 別の詳細な実施態様により、使用される化合物は、膜受容体へのXAの結合を調整する化合物(例えば作動薬または拮抗薬)である。作動薬は、XA結合部位に親和性を示し、XAにより製造された信号に類似した信号を製造する化合物である。拮抗薬は、XA結合部位に親和性を示し、XAまたはXA作動薬による結合および信号製造を防止する化合物である。そのような化合物は、XA類似体、抗XA抗体、合成化合物などである。それゆえ膜受容体へのXA結合を調整する化合物は、該当する受容体部位のリガンドの重要な標的としてXA系を意味し、上記リガンドは、統合失調的症状の製造に関与するグルタメート/GABA/ドーパミン活性を調整する。XA受容体リガンドは、ある精神病性症状を処置するために特に興味深い。XA受容体拮抗薬化合物は、更に詳細には、行動覚醒の制御およびある精神病または過剰ドーパミン作動性状態に用途を見出す。そのような化合物は、以下に述べる方法によって同定、合成またはキャラクタリゼーションできる。 本発明による別の有用な化合物は、XA輸送または放出を調整する化合物である。そのような化合物は、本発明の文脈内で、XA放出を減少または促進することによって、XA活性の局所調整を可能にする。場合によってXAとの構造類似性を持つ他の合成分子は、小胞内または原形質膜輸送体経由のその輸送を妨害する。特に、培養ニューロンにおけるXAのナトリウム依存性能動輸送の証明は、XA構造類似体、または更に一般的には前記輸送系を妨害する合成リガンドのための新規標的となる。実際に、本輸送系の阻害は、脳のある機能性区画、特にシナプス区画におけるXAの半減期の延長を生じる。それによりこの輸送の阻害剤は、神経または精神病状の複数のタイプで有益な効果を持つ物質の新規クラスとなる。 本発明による別の有用な化合物は、XA受容体の合成、輸送または活性を調整する化合物である。そのような化合物は、XA受容体の暴露を減少または促進することによって、本分子の活性の局所調整を可能にする。 本発明による、XA活性を調整する化合物は、多種多様な性質および起源であることができる。それらは無機または有機でもよく、特にポリペプチド(タンパク質またはぺプチド)、核酸、脂質、多糖類、化学または生物化合物などである。化合物は、天然起源または合成起源でもよく、特にコンビナトリアルライブラリに由来する。好ましくはそのような化合物は、キサンツレン酸またはキヌレン酸の誘導体である。 本発明の化合物または組成物は、別の方法で、および別の形式で投与してもよい。例えば、全身または経口経路によって、好ましくは、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、動脈内、脳内、腹腔内、脳室内経路などで全身的に投与できる。注入の場合、化合物は、一般に液体懸濁液の形で調製され、例えば注射器または輸液によって注入される。この点において、化合物は、一般に、当業者に公知である薬学的に適合性の生理的食塩水、生理学的に等張性の緩衝溶液などに溶解される。例えば、組成物は、分散剤、可溶化剤、安定剤、保存剤から選択される1以上の薬剤またはビヒクルを含むことがある。液体および/または注射用調剤に使用される薬剤またはビヒクルは特に、メチルセルロース、ヘドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリソルベート80、マニトール、ゼラチン、ラクトース、植物油、アラビアゴムなどを含む。化合物は、ゲル、油、錠剤、座薬、粉末、カプセル、ゼラチンのカプセルなどの形で、恐らくまたは持続および/または遅延放出が可能なデバイスによっても投与できる。この種の調剤では、セルロース、カーボネートまたはデンプンが好都合に使用される。 注入速度および/または注入用量は、患者、病状、投与方式などにしたがって当業者が調整できることが理解される。通例、化合物は、0.1μg〜1000mg/kg(体重)、更に一般的には、0.01〜500mg/kg、通例1〜200mg/kgの間で投与される。更に、場合によっては、反復注射が、行われることもある。加えて、慢性処置の場合は、遅延または持続放出系が好都合である。 大まかな指針として、実施例に示した結果は、XAが、動物に約50mg/kgを超える用量に投与された場合に、鎮静効果を持つことを示した。動物において抗不安効果を得るために好ましい用量は、50mg/kg未満である。動物において抗うつ効果は、100〜200mg/kgを含む用量にて好都合に得られる。 本発明は、生物活性化合物、特に、神経系に作用する化合物を同定、選択または特徴付ける方法にも関し、上記方法は、XA活性の調整に基づいている。本発明の方法は、インビトロ結合試験、細胞系中の(あるいは天然または合成膜調製物への)結合試験または細胞もしくは人工系における機能試験を含む。 詳細な実施態様により、本発明による化合物を選択、同定、または特徴付けるための方法は、試験化合物をキサンツレン酸活性に関与する標的分子を発現する細胞(または天然もしくは合成膜調製物)に接触させることと、および試験化合物の上記標的への結合性を証明することとを含む。 標的分子は、XA受容体、XA合成酵素、XA輸送体など、またはその任意の断片でもよい。詳細な実施例において、標的分子は、XA受容体またはその断片、特に、例えば細胞外断片などの、XAに結合する能力を維持する断片である。別の実施態様において、標的分子は、例えばキヌレニン−3−ヒドロキシラーゼなどの、XA生合成または制御に関与する酵素である。好ましい標的分子は、XA受容体またはその断片によって表される。 試験化合物の標的分子への結合は、例えば標識試験化合物を用いることによって、または標的分子(例えば標識XA受容体リガンドまたはXA合成酵素またはXA輸送体に特異性である標識抗体)の標識リガンドを使用することによって証明され、標識リガンドの結合の変位が試験化合物の結合を反映する。標識リガンドは、標的分子(抗体、作動薬または拮抗薬、断片または内因性リガンドの誘導体)を結合するどの製造物でもよい。リガンドは当業者に既知のどの方法によっても、特に放射性部分、蛍光部分、発光部分、酵素部分、比色部分などの取込みによって標識できる。 詳細な実施態様において、リガンドは、研究中の標的分子に対して特異性である標識抗体である。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルでもよい。Fab、Fab’2、CDR断片などの抗体誘導体または断片でもよい。抗体は、従来手段によって、例えばVaitukaitis et al.(J.Clin.Endocrinol.Metab.1971, 33(6): 988-91)またはHarlow et al(Antibodies: A Laboratory Manual, OSH Press, 1988)に述べられているように、標的分子(またはその免疫原性部)を免疫化し、血清(ポリクローナル)または脾臓細胞(適切な系統との融合によるハイブリドーマ製造)を回収することによって作製される。FabまたはF(ab’)2断片は、例えば、Riechmann et al., 1988, Nature 332, 323-327で述べられているように作製できる。 別の詳細な実施態様では、標的分子は、XA受容体であり、リガンドは、内因性、標識されている受容体の作動薬または拮抗薬である。具体的な実施態様において、標識されたXA、特に放射性標識され、特にトリチウム化されたXAが使用される。 詳細な実施態様によれば、方法は、試験化合物をキサンツレン酸受容体を発現する細胞(または天然もしくは合成膜調製物)に接触させることと、試験化合物の受容体への結合性を証明することとを含む。 別の詳細な実施態様によれば、方法は、試験化合物をキサンツレン酸活性に関与する標的分子を発現する細胞(または天然もしくは合成膜調製物)に、上記標的の標識リガンドの存在下で接触させることと、標識リガンドの結合の変位を測定することによって試験化合物の結合性を証明することとを含む。 別の変形において、本発明の方法は、試験化合物をキサンツレン酸活性に関与する標的分子を発現する細胞(特にキサンツレン酸受容体)に接触させることと、上記標的分子に結合する試験化合物の結合に特徴的な生物または薬理学的効果を証明することとを含む。生物または薬理学的効果は、1以上の細胞タンパク質の発現、受容体の発現、遺伝子の活性化、受容体のエンドサイトーシス、電流の出現、イオンの流動または流入などである。そのような効果は、レポータ遺伝子の発現の測定、受容体の膜発現の測定、イオンまたは電流の評価などの任意の適切な手段によって証明できる。 典型的には、試験化合物の効果は、上記化合物の不在時に決定される効果と比較される。更に、試験化合物の効果は、XA受容体リガンド、例えばXA自体の存在時に、特にXA調整または阻害活性が求められている場合に決定できる。 特定の変形によれば、発明の方法は、それゆえ、試験化合物を前記受容体のリガンドの存在下で、キサンツレン酸受容体を発現する細胞に接触させることと、XA受容体への結合に特徴的な生物または薬理学的効果を測定することと、そのように測定された効果を試験化合物の不在時に得られた効果と比較することとを含む。そのような方法は、XA活性を阻害する化合物の調査、選択、キャラクタリゼーションまたは改良に特に適している。 試験で使用される細胞は、XA活性、特にXA受容体に関与する標的分子を発現する任意の細胞であることができる。それらは、本分子(例えば本受容体)を自然に発現する細胞、または上記分子(例えば上記受容体)を過剰発現するように遺伝学的に調整または処置された細胞でもよい。発明の好ましい実施態様において、それらは哺乳動物細胞(神経細胞、肝細胞、線維芽細胞、内皮細胞、筋肉細胞など)である。更に好ましいそのような細胞は、ヒト細胞である。それらは初代細胞培養物または樹立細胞系でもよい。別の実施態様において、原核細胞(細菌)、酵母細胞(酵母菌属、乳糖発酵性酵母など)、植物細胞などを使用することも可能である。 好ましい実施態様においては、神経またはシナプス細胞、特にニューロン、グリア細胞、星状細胞、シナプス起源の物質(膜、シナプトソーム、シナプトニューロソーム)などが使用される。そのような細胞は、実施例で述べた既知の方法によって単離、培養、およびキャラクタリゼーションできる。 本発明は、脳の異なる細胞集団または領域で発現されたXAへの高い親和性の受容体の存在を最初に証明している。前記受容体は、以下の薬理学的特徴を持つ:− 脳における発現、− 約300nM〜1300nM未満またはそれに等しい、シナプスXA受容体のKd、− アデニレート誘導体(アデノシン、ADP、ATP)により調整される受容体、− 銅または亜鉛イオンによって調整される受容体、− キヌレン酸によって調整される受容体、− 電流を誘導する、XAによる受容体活性化、− NCB−20細胞により発現される受容体。 その上、電気生理および生化学データは、形式上証明されていなくても、受容体がGタンパク質に結合したことを示唆する。 本出願による、本受容体のキャラクタリゼーション、その同定およびそれにより分子の上記受容体への結合を測定する方法の説明は、新規の生物活性化合物がXA活性を調製可能なことを証明するできるようにする。XAの薬理学的役割の証明は、そのような活性化合物を利用可能にすることの重要性を強調する。 特定の実施態様において、上述の方法は、XA受容体を発現する膜調製物を使用することによって実施される。好都合な方法において、膜調製物は、天然起源であり、すなわち受容体を発現する細胞から作製される。膜調製物は、機械的に、化学的に、物理的に、電気溶解などにより、そして特に実施例で示すように洗浄剤、超音波、凍結/融解などを用いた処置によって作製できる。そのような膜調製物は主として、XA受容体のすべてまたは一部が存在する脂質二重層を有する、膜断片の存在によって特徴づけられる。そのような膜調製物は、一般に、無傷の細胞に欠けている。更に、それらは、適切な処置(例えば遠心分離)によって膜細片中に濃縮できる。XA受容体のすべてまたは一部が挿入されているリポソーム、または支持膜などの、合成起源の膜調製物も使用できる。 上述した結合または機能試験では、化合物を当業者が選定することができ、その効果、その濃度または細胞の種類によって各種の回数および各種の期間、細胞(または膜調製物)に接触させることができる。試験は、試験管またはフラスコ内の、任意の適切な支持体上および特にプレート、スライド、皿の上で実施できる。一般に、接触は、多数かつ多様な試験を同時に実施できるようにする、マルチウェルプレート内で実施される。代表的な支持体は、マイクロタイタープレートおよび更に詳細には操作しやすい、96または384ウェル(またはそれ以上)を含む。 支持体および試験化合物の性質によって、説明した方法を実施する場合には細胞の可変量が使用できる。典型的には、適切な培地中で102〜106の細胞、好ましくは103〜105の細胞を、ある種の試験化合物に接触させる。膜調製物を使用する場合、試験につきタンパク質あたり0.01〜50mg、更に好ましくは試験につきタンパク質あたり0.05〜2mgが使用される。試験は、例えば食塩溶液、緩衝液などの適切な培地中で実施できる。緩衝液の具体的な例は、Tris、Pipes、Hepesなどである。温度は通例、室温に近い。培地のpHは、好都合に5.5〜8を、更に好ましくは7〜8を含む。これらのパラメータが、実施例で与えられる指示にしたがって当業者が調整できることは、理解されるであろう。 試験化合物の量(または濃度)も、化合物の種類(その毒性、細胞への浸透能力など)、インキュベーション時間にしたがってユーザが調整することができる。一般に、細胞(または膜)は、1nM〜1mMの範囲にわたる試験化合物の量に暴露される。もちろん、本発明から逸脱せずに、他の濃度で試験することができる。更に各化合物は、異なる濃度および時間で、並行して試験することができる。その上、必要な場合には、アジュバントおよび/またはベクターおよび/またはリポソーム、カチオン脂質、ポリマー、ウィルス性ペプチドなどの化合物の細胞への浸透を促進する製造物を加えて使用できる。接触は、標的分子の性質にしたがって、1分から数時間を含む期間にわたって維持される。標的分子がXA受容体である場合、接触は、通例、約1時間未満である。標的分子が、細胞内分子である場合、接触は更に長時間維持できる。 別の変形において、本発明は、XAと試験化合物との間の、または試験化合物および標的分子(例えば、すべてまたは一部のXA受容体)との間のインビトロ結合試験に基づく。そのような実施態様により、活性化合物を選択、同定、または特徴付ける方法は:− 試験化合物を、XA活性に関与する標的分子、例えば、合成または制御酵素、輸送体、受容体、またはその断片に接触させることと、− 上記試験化合物の上記分子への起こりうる結合を決定することと、を含む。 試験化合物の結合は、形成された複合体のゲル泳動または電気泳動によってなど、各種の方法で証明できる。試験化合物の標的分子への起こりうる結合を決定するために、当業者が熟知している発光またはFRET(蛍光共鳴エネルギー転移)法およびSPA(シンチレーション近接測定)法に基づく他の方法は、本発明の範囲内で使用できる。標的が受容体である場合、結合は、標識リガンドの存在下で、試験化合物によるリガンドの変位を測定することによって測定できる。 本発明は、任意の種類の試験化合物に適用できる。例えば、試験化合物は、単独の、または他の製造物と混合された任意の製造物である。化合物は、その構造および/または組成によって定義されるか、あるいは定義されないことがある。化合物は、例えば、単離かつ構造的に定義された製造物、未定義構造の単離製造物、既知の、および特徴づけられた製造物の混合物、あるいは1またはそれ以上の製造物を含む未定義の組成物でもよい。例えば、そのような未定義組成物は、組織のサンプル、生体液、細胞上清、植物調製物などでもよい。試験化合物は、無機製造物または有機製造物でもよく、特にポリペプチド(あまたはタンパク質もしくはペプチド)、核酸、脂質、多糖類、核因子、補助因子あるいはその任意の混合物または誘導体などの化学または生物化合物でもよい。化合物は、天然または合成でもよく、コンビナトリアルライブラリ、クローンまたは1またはそれ以上のDNA結合ポリペプチドを発現する核酸クローンのライブラリなどでもよい。 本発明の別の目的は、特に神経系に対する活性化合物を作製する方法に関し、該方法は: 化合物がXA活性をインビトロまたはエクスビボで調整する能力を決定することと、 上記化合物またはその構造類似体を合成することと、を含む。 本発明の別の目的は、XAのモジュレーターを作製する方法に関し、該方法は: 化合物を、XA活性化に関与する標的分子に接触させることと; 化合物の標的分子に対する効果を決定し、上記効果によって化合物がXAのモジュレーターであることを示すことと、 上記化合物またはその構造類似体を合成することと、を含む。 本発明の別の目的は、特に神経系に対する活性化合物を含む医薬品を作製するための方法に関し、該方法は: 化合物がXA活性をインビトロまたはエクスビボで調整する能力を決定することと、 上記化合物またはその構造類似体を薬学的に許容可能なビヒクルと組み合わせることと、を含む。 本発明の別の目的は、XAモジュレーター化合物を含む医薬品を作製する方法に関し、該方法は: 化合物を、XA活性化に関与する標的分子に接触させることと、 化合物の標的分子に対する効果を決定し、上記効果によって化合物がXAのモジュレーターであることを示すことと、 上記化合物またはその構造類似体を薬学的に許容可能なビヒクルと組み合わせることと、を含む。 本発明の範囲内で、「構造類似体」という語は、試験化合物からの分子モデリングまたは構造変化によって得られた任意の分子を示す。 本発明の他の利点および態様は、制限するためでなく、例示の目的で与えられた以下の実施例で明らかになるであろう。実験部1.ラット前頭前野皮質におけるインビボのキサンツレン酸(XA)の細胞外放出の証明および特性 ラットにおける腹側被蓋野(A10)の電気刺激および前頭前野皮質におけるインビボ微小透析の組み合わせによって、XAの細胞外放出が証明される。本放出は、高カルシウムイオン濃縮物またはマイクロモル量のベラトリジンによって誘導される局所脱分極により再現できる。XA放出は、カルシウム依存性であり、そしてニューロンの局所脱分極を防止するテトロドトキシンによって遮断される。したがってXAは、他の既知の神経伝達物質の特性と同一の、すなわちニューロン脱分極によって誘導される開口分泌機構による特性を備えている、少なくとも脳のこの領域で放出される。材料および方法・動物 実験には、体重350〜400gの雄のウィスターラットを使用した。動物は、午前7時/午後7時および午後7時/午前7時の明/暗サイクルによって、プラスチック製ケージに個別に収容した。動物は、餌および水に無制限にアクセスできた。動物試験は、1986年11月24日の欧州指令(86/609/EEC)の要件に厳密にしたがって実施した。・手術手順 実験は、4mmチップを備えたL字形カニューレを用いて実施した。カットオフ20Kdaのポリカーボネート−ポリエーテル透析膜(500μm)を使用した。透析膜を前頭前野皮質(PFC)に挿入し、双極性刺激電極の一方のチップをPFCに埋め込み、もう一方をVTAに挿入した。手順は、ケタミン麻酔下で実施した。・微小透析プロトコル 実験は、手術の24〜72時間後に、意識のある動物に実施した。灌流液は、以下の組成を有した:147mM NaCI、1.2mM CaCl2、1.2mM MgCl2、および4.0mM KCl、pH6.5。高カリウム濃度における刺激の場合、ナトリウムイオン濃度は、同じ値まで下げられた。カルシウムイオンなしの刺激の場合、透析液に2.0mM EGTAを加えた。透析液は、2μl/分の速度で5分ごとに収集し、分析するまで、ただちに液体窒素中で保管した。・ドーパミンおよびキサンツレン酸の解析 これらの2つの化合物は、電気化学検出を用いたHPLCクロマトグラフィによって定量的に決定した。クロマトグラフィーシステムは、25cm×4.6mm Hypersyl C18カラムから成り、一定温度で維持した。移動相は、0.05M NaH2PO4緩衝液+0.1mM EDTAおよび6%メタノールであった。ピークは、較正標準溶液で測定された保持時間との比較によって確認した。・電気刺激プロトコル VTAは、強度100または200μAおよび周波数25Hzにおける、100ミリ秒間の0.5mesecパルスによるバースト30回によって10分間刺激した。・インビトロ収率の決定 これらの決定は、インビボ実験において透析膜を通過したドーパミンおよびXAの量を概算するために設計した。インビトロの透析収率は、透析速度1μ/分で室温において、XAおよびドーパミンそれぞれが約28%および約15%であった。結果・PFCの細胞外液中のXA濃度の決定 これらの試験は、異なる透析収率において透析されたXAの異なる濃度を決定することによって実施した。各種の透析収率は、透析液の流速を徐々に変更すること(それぞれ1、2、3、および4μl/分)および各場合でXA濃度を決定することによって修正した。速度ゼロへの外挿は、収率100%および細胞外液中の濃度と等しい透析液中のXA濃度を与える。3匹の別のラットに対して実施した実験は、透析液または脳細胞外液の値XA=6.1pmol/μlを与え、これはPFCの細胞外液における平均値6.1μM XAを与えた(図1)。・電気刺激後のPFCにおけるXA放出 2通りの実験において、電気刺激は、100または200μAで10分間であった。プローブを挿入し、1時間透析した後、更に2時間透析することによって基準値を計算した(基準16〜18pmol/5min)。100または200μAにおける刺激は、同じ結果を与え、本発明者らの条件で放出可能な区画全体が放出されることが示された。任意に100%に設定された基準と比較すると、電気的に誘発されたXA放出は、539%に達したが、ドーパミン放出は、655%に達した。放出は、電気刺激直後に開始し、刺激の約5分後にピークに達し、その後刺激を続けても基準に戻った。更に精密な動力学的特性は得られず、透析条件(5分画分)を与えた。結果は表2に示す。・高濃度のカリウムイオンによって、または50μM ベラトリンによって誘発された局所脱分極後のPFCにおけるXA放出 PFC細胞外液中のXA放出も、透析プローブ中の高いカリウムイオン濃度(100mM KClで5分間)によって誘発された局所脱分極の後に測定した。刺激前の基準放出は、約92pmol/20mlであった。脱分極後、XA放出は、徐々に増加して、40分後に基準値の250%に達した。次にレベルは、基準に戻り、基準は脱分極の80分後に達成された(図3)。 ベラトリンの場合、50μM濃度をプローブ内に20分間配置した。基準XA放出(脱分極前)は、約96pmol/20分であった。ベラトリンの使用後、XA放出は、迅速にピークに達し、20分後に基準の約600%に達し、その後約60分以内に、徐々に基準に戻った(図4)。・電気刺激によって誘発されたPFC中のXA放出はカルシウム依存性現象である これらの試験において、ラットの群にVTAへの電気刺激を受けさせ、前頭皮質でXA放出を測定した。基準は、19pmol/5minであり、そして電気刺激後のXA放出は、透析5分あたり70〜75pmolであった。同じ実験を反復したが、この場合、透析液はカルシウムイオンでなく、2.0mM EGTAを含んでいた。これらの条件下で、基準XA放出は、10pmol/5分であり、電気刺激は、XA放出の増加を一切誘発しなかった(図5)。・電気刺激後のPFCにおけるXA放出は、ナトリウム依存性ナトリウムチャンネルブロッカーであるテトロドトキシンによって阻害される。 本試験は、XA放出が電気刺激後のPFCで測定される対照ラットに対して実施した。次に同じ実験を反復したが、透析プローブに2.0μM テトロドトキシンを10分間配置した後であった。後者の条件において、電気刺激に誘発されたXA放出は、完全に遮断された(図6)。2.末梢投与後のラット脳におけるXAの不均一分布方法:ラットにXA 50 mg/kgの腹腔内注射を与え、そして5分後にマイクロ波照射により殺処分した。脳を解剖し、そして脳の20の異なる領域でXAを測定した。結果:結果を以下の表に示す(ng/脳組織) XAは、主に、前頭ならびに前頭前野皮質(PFC)、側頭ならびに頭頂、皮質、扁桃体、ドーパミン作動性核および線条体に蓄積した。試験を行った異なる脳構造のうち、以下の領域はキサンツレン酸の著しい蓄積を示さなかった:後頭皮質、帯状皮質、嗅内皮質、脳梁膨大後部皮質、嗅球、脳橋、海馬、延髄、小脳、視床、中隔側坐核、中隔、淡蒼球および視床下部。3.ラット脳の異なる領域におけるXAの生理的濃度方法:動物は、マイクロ波照射により殺処分し、脳をスライドガラス上で迅速に解剖した。多数の脳構造および核を単離し、分析まで液体窒素中で保存した。各構造を秤量した後、組織を10倍量の過塩素酸(m/V)中でホモジナイズし、遠心分離を行った。上清は、電気化学検出を備えたHPLCによって分析した。検出限界は、0.05nmoles/湿潤重量gであった。結果:結果を図7に示す。結果は、濃度が不均一であり、小脳および嗅球で特に高いことを明らかにした。4.ラット脳におけるキサンツレン酸結合部位同定およびキャラクタリゼーションシナプス膜用の調製物のプロトコル:シナプス膜は、以下で述べるプロトコルにしたがって調製した:1)雄ウィスターラット2匹による全脳を迅速に除去し(断頭)、秤量した。2)脳を10倍重量に等しい量の溶液S中でホモジナイズした: S=0.32M スクロース 10mM KH2PO4 pH6.0 1mM EDTA3°)ホモジナイゼートを915g、4℃にて10分間遠心分離にかけ(Du Pont Instruments, Sorvall RC-5B)、上清を回収した。4°)18,200g、4℃での20分間の遠心分離(Du Pont Instruments, Sorvall RC-5B)。5°)ペレットを除去し、シナプトソームを70倍の重量に等しい量の蒸留水中で破裂させた。最高速度で30秒間のポリトロン。6°)体積によるBeckman遠心分離管への分配および51,000g、4℃での20分間の遠心分離(Beckman, ultracentrifuge L8-70M)。7°)ペレットをpH6、0℃の50mM KH2PO4で洗浄した。8°)体積によるBeckman遠心分離管への分配および51,000g、4℃での20分間の遠心分離(Beckman, ultracentrifuge L8-70M)。9°)ペレットを回収し、−80℃で保存した。第一部:イオンなしのキサンツレン酸結合部位の薬理学的特性の試験結合プロトコル標準プロトコル: 結合は、pH7.4の50mM Pipes緩衝液中で0℃(氷上)にて、シナプス膜(管あたりタンパク質0.1〜0.3mg)、実験の種類による可変濃度のトリチウム標識キサンツレン酸([3H]−XA)、および(全結合:TBを決定するための)緩衝液または(非特異性結合:NSBを決定するための)2mM濃度の「冷たい」、非標識標識キサンツレン酸(Sigma)のいずれか、の存在下で実施した。特異性結合(SB)は、全結合から非特異性結合を引くことによって計算した。インキュベーション時間は、25分であった。遊離[3H]−XAを、結合部位に結合した[3H]−XAから分離する濾過は、Whatman(GF/B)ガラス繊維フィルターを通じたインキュベーション液の急速吸引によって実施され、次に続いてpH7.4の冷50mM Pipes緩衝液(全部で2×3ml)で洗浄した。フィルターをシンチレーションバイアルに入れ、Rotiszint(登録商標)(Roth)5mlを添加した。バイアルを液体シンチレーションカウンタ(Beckman LS6000sc)でカウントした。pHの効果を決定するためのプロトコル: 結合は、標準プロトコルによって実施した:インキュベーション液は、各種pH(試験を行ったpH:5.5;6.0;6.5;7.0;7.5;8.0)の50mM Pipes緩衝液から調製した。トリチウム化されたキサンツレン酸([3H]−XA)の濃度は、200nMであり、非特異性結合を決定するために、非放射性標識キサンツレン酸(XA)は濃度2mMで使用した。非特異性結合は、特異性結合を与えるために全結合から引き、これはpHによって変化した。図8に示す結果は、キサンツレン酸結合の最適pHが7.4〜7.5であることを示す。線形性試験対タンパク質濃度: 結合は、標準プロトコルによって実施した:インキュベーション液は、pH7.4 (最適pH)の50mM Pipes緩衝液から調製した。タンパク質の量は、管あたり0.04〜0.5mgで変化した。トリチウム化されたキサンツレン酸([3H]−XA)の濃度は、200nMであり、そして非特異性結合を決定するために、非放射性標識キサンツレン酸(XA)は、濃度2mMで使用した。非特異性結合は、特異性結合を与えるために全結合から引き、これはタンパク質の量によって変化した:結果は、管あたり0.5mgまで線形であった。結果を図9に示す。次の実験は、管あたりタンパク質0.15〜0.3mgを用いて実施した。速度結合定数の測定:**結合定数(k1またはkon): 結合は、標準プロトコルによって実施した:インキュベーション液は、pH7.4(最適pH)の50mM Pipes緩衝液から調製した。トリチウム化されたキサンツレン酸([3H]−XA)の濃度は、200nMであり、非特異性結合の試験では、非放射性標識キサンツレン酸(XA)を、濃度2mMで使用した。シナプス膜調製物を各管に加え、そして試験行った異なる時点において、急速濾過を実施した;インキュベーション時間は、1分〜40分の範囲であった。非特異性結合は、特異性結合を与えるために全結合から引き、これは長期にわたって増加し、平衡に達した:平衡は約10〜15分後に達成された。Graphpad Prismソフトウェアを用いた指数結合式の解析は、min-1で表現される、観測されたKobを与える、これはKonとは同じではない。Kobの値は、0.51±0.16min-1である(図10)。Konとの計算に使用される式:**解離定数または(k1またはkoff): 結合は、標準プロトコルによって実施した:インキュベーション液は、pH7.4 (最適pH)の50mM Pipes緩衝液から調製した。シナプス膜調製物は、トリチウム標識キサンツレン酸(200nM)で25分間(全結合)インキュベートし、その後、非放射性標識キサンツレン酸(2mM)を添加して、解離を観察するために各種の時間にわたりインキュベーションを行い、次に急速濾過した;インキュベーション時間は1分〜45分の範囲であった。最初に[3H]−XAが、結合部位に結合され、平衡に達すると、次に非放射性標識XAによるインキュベーション時間が長くなるほど、結合がより大幅に減少するが、このことは[3H]−XA結合部位複合体の解離を反映している。解離は、迅速であり、Graphpad Prismソフトウェアを用いた指数解離式の解析は、min-1で表現される解離定数koffを与えた。koffの値は0.33±0.07min-1である(図11)。 **これらの2つの定数により、Kd=koff/kon=330nMの値の適切な外挿が可能となる。飽和実験、KdおよびBmaxの実際の測定: 結合は、pH7.4の50mM P腹腔内es緩衝液中で0℃(氷上)にて、シナプス膜(管あたりタンパク質0.1〜0.3mg)、トリチウム化キサンツレン酸および(全結合を決定するための)緩衝液または(非特異性結合を決定するための)2mM 非標識標識キサンツレン酸のいずれかの、存在下で実施した。インキュベーション時間は25分であり、続いて濾過した。 結合部位の最大占有(飽和平衡状態)に達するように、トリチウム標識キサンツレン酸の濃度を徐々に増加させた。[3H]−XAの非特異性結合を決定するために、過剰な非放射性標識キサンツレン酸の存在下で同じことを実施した。次に、非特異性結合を全結合から引き、キサンツレン酸のその結合部位への特異性結合を与えた。Graphpad Prismソフトウェアによる解析は、キサンツレン酸のその結合部位に対するの親和性定数Kd=743nM±250nMを与えた。同様にGraphpad Prismは、全ラット脳から得られたシナプス膜調製物に存在する結合部位数を決定した:Bmax=6.9±1.2pmol/タンパク質mg(図12)。競合実験、IC50の決定(50%阻害濃度): 結合は、pH7.4の50mM Pipes緩衝液中で0℃(氷上)にて、シナプス膜(管あたりタンパク質0.1〜0.3mg)、トリチウム化キサンツレン酸および(全結合を決定するための)緩衝液または(非特異性結合を決定するための)2mM 非標識標識キサンツレン酸のいずれか、あるいは異なる濃度の非放射性標識分子の存在下で実施した。分子が、可逆的に[3H]−XA結合部位に結合する場合、2つのリガンドは相互に競合し、[3H]−の置換曲線は、競合分子の濃度に対してプロットできる。インキュベーション時間は、20〜25分であり、続いて濾過した。 放射性リガンド[3H]−XAは、メタノール中のパラジウム/木炭(10%)の存在下およびトリチウムガスの存在下で、5,7−ジクロロ−8−ヒドロキシキノリン−2−カルボン酸の触媒水素添加によって調製した。 HPLCによる精製の後、化合物は、10Ci/mmoleの活性を有していた。 Graphpad Prismソフトウェアを用いて、キサンツレン酸結合の50%阻害を生じさせる化合物のIC50を計算した。[3H]−XAおよび非放射性標識XAとの競合実験で得られた結合置換曲線は、Graphpad Prismソフトウェアによる解析の後、300nMにおけるIC50および57μMにおけるIC50との、2つの部位結合モデルを与えた。このプロトコルを用いて、合成化合物による競合実験を実施し、それによって特に、XAそのものより、キサンツレン酸受容体に対する高い親和性を示す作動薬または拮抗薬を同定または特徴付けることができる。 そのため、IC50を決定するための典型的な競合実験を実施する前に、最初にスクリーニング試験を実施する、すなわち化合物は、比較的低い濃度(10μM)にて、その200nM [3H]−XAを置換するその能力について(非放射性標識XAを対照として用いて)試験を行い、この濃度が、非放射性標識XAのこの同じ濃度よりも同じまたはそれ以上の置換を発生させるか否かの判断を試みる。置換が発生する場合は、IC50を決定する。 キサンツレン酸を含むトリプトファン代謝産物(L−キヌレニン、3OH−D,L−キヌレニン、5−ヒドロキシ−L−トリプトファン、ピコリン酸、3−ヒドロキシアントラニル酸)の[3H]−XA結合置換試験も、200μM濃度でのスクリーニングによって実施した。これらの化合物はいずれも、キサンツレン酸の著しい置換を発生させなかった。これに対して、キヌレン酸に対するスクリーニング試験は、[3H]−XAのその結合部位からの置換を示さなかったが、むしろこの結合の増強を示した。実際に、トリチウム標識キサンツレン酸の結合は、正常な結合条件下で見られる結合よりも高度であった。その結合部位へのキサンツレン酸結合に対するイオンの効果: その結合部位へのキサンツレン酸結合に対するイオンの効果の試験は、pH6.5の50mM Trisマレアート緩衝液中で0℃(氷上)にて、シナプス膜(管あたりタンパク質0.1〜0.3mg)、トリチウム化キサンツレン酸(200nm)および(全結合を決定するための)緩衝液または(非特異性結合を決定するための)2mM 非放射性標識キサンツレン酸のいずれか、および1mM濃度のイオンの存在下で実施した。インキュベーション時間は25分であった。以下のイオンを試験した:Cu2+(CuCl2);Zn2+(ZnCl2);Mg2+(MgCl2);Mn2+(MnCl2);Cd2+(CdCl2);Sn2+(SnCl2);Fe3+(FeCl3)。 各種イオンのEC50曲線(図14)は、約100μMのEC50を持つ銅イオンに優先権を与えるのに対して、亜鉛イオンは、約500μMのEC50を持つ。銅イオン濃度100〜200μMは、脳の内因性濃度にほぼ相当する。 更に、XA結合部位または本受容体の調整部位において役割を果たす脳内の内因性リガンドに関する本発明者らの研究の間、アデニンおよびその誘導体[アデノシン、アデノシンジホスフェート(ADP)またはアデノシントリホスフェート(ATP)]が、キサンツレン酸部位に対して著しい親和性を示し、トリチウム化XAの結合を阻害することを観察した。そのような誘導体が脳のXA部位の活性を調整するのに重要な役割を果たすことが非常に起こりうる。そのような分子は、処置的または薬理学的ツールの開発のために、XA部位を妨害することのできる構造類似性のリガンドを調製するためのモデルとなりうる。第2部:銅イオン(Cu2+)の存在時のキサンツレン酸結合部位の薬理学的特性の研究 標準結合プロトコル(pH、線形性、動力学定数および飽和試験から樹立されたプロトコル): 結合は、pH6.5の50mM Trisマレアート緩衝液中で室温にて、シナプス膜(管あたりタンパク質0.1〜0.25mg)、実験の種類による各種濃度におけるトリチウム化キサンツレン酸([3H]−XA)、200μM CuCl2および(全結合:TBを決定するための)緩衝液または(非特異性結合:NSBを決定するための)2mM濃度の、「冷たい」非放射性標識キサンツレン酸(Sigma)のいずれか、の存在下で実施した。非特異性結合を全結合から引いて特異性結合を与えた。インキュベーション時間は、25分であった。遊離[3H]−XAを、結合部位に結合した[3H]−XAから分離する濾過は、Whatman(GF/B)ガラス繊維フィルターを通じたインキュベーション液の急速吸引によって実施し、次に連続してpH6.5の50mM Trisマレアート緩衝液によって室温にて洗浄した(全部で2×3ml)。フィルターをシンチレーションバイアルに入れ、Rotiszint(登録商標)(Roth)5mlを添加した。バイアルを液体シンチレーションカウンタ(Beckman LS6000sc)でカウントした。pHの効果: 結合は、標準プロトコルによって実施した:インキュベーション液は、pH7.4(最適pH)の50mM Trisマレアート緩衝液中で室温にて、異なるpH:5.5;6.0;6.5;7.0;7.5;8.0)で調製した。トリチウム化されたキサンツレン酸([3H]−XA)の濃度は200nMであり(+20μM キサンツレン酸)、非特異性結合の試験では、非放射性標識キサンツレン酸(XA)を2mM濃度で使用した。インキュベーション液は、200μM CuCl2を含んでいた。非特異性結合を全結合から引いて特異性結合を与え、これはpHによって変化した(図15):キサンツレン酸結合の最適pHは、6.4〜6.5である。直線性試験対タンパク質濃度: 結合は、標準プロトコルによって実施した:インキュベーション液は、pH6.5(最適pH)の50mM Trisマレアート緩衝液からで室温にて調製した。タンパク質の量は、管あたり0.07〜0.4mgで変化した。トリチウム化されたキサンツレン酸([3H]−XA)の濃度は、200nMであり、非特異性結合の試験では、2mM非放射性標識キサンツレン酸(XA)を使用した。インキュベーション液は、200μM CuCl2を含んでいた。非特異性結合を全結合から引いて特異性結合を与え、これはタンパク質濃度によって変化した:結果は、管あたりタンパク質0.25mgまで線形である(図16)。管あたり0.10〜0.25mgを用いて、次の実験を実施した。キサンツレン酸結合に対する銅用量/効果の測定: 結合は、標準プロトコルによって実施した:インキュベーション液は、pH6.5(最適pH)の50mM Trisマレアート緩衝液から室温にて調製した。銅(CuCl2)濃度は、3.10-7M〜3.10-4Mで変動した。トリチウム化キサンツレン酸([3H]−XA)濃度は、400mM(+20μM キサンツレン酸)であり、非特異性結合の試験では、2mM非放射性標識キサンツレン酸(XA)を使用した。Graphpad Prismソフトウェアによる用量効果曲線の解析は、33.4μMのEC50(50%有効濃度)と、Hill係数 =1.8(図17)を与えた。飽和実験、KdおよびBmaxの実際の測定: 結合は、pH6.5の50mM Tris緩衝液中で室温にて、シナプス膜(管あたりタンパク質0.10〜0.25mg)、トリチウム化キサンツレン酸および(全結合を決定するための)緩衝液または(非特異性結合を決定するための)2mM非標識標識キサンツレン酸のいずれかの、存在下で実施した。インキュベーション時間は、25分であり、続いて濾過した。結合部位の最大占有(飽和平衡状態)に達するように、トリチウム標識キサンツレン酸の濃度を徐々に増加させた。[3H]−XAの非特異性結合を決定するために、過剰な非放射性標識キサンツレン酸の存在下で同じことを実施した。次に、非特異性結合を全結合から引き、キサンツレン酸のその結合部位への特異性結合を与えた。Graphpad Prismソフトウェアによる解析は、キサンツレン酸のその結合部位に対するの親和性定数Kd=7.56μM±0.8μMを与えた。同様にGraphpad Prismは、全ラット脳から得られたシナプス膜調製物に存在する結合部位数を決定した:Bmax=581.8±33pmol/タンパク質mg(図18)。競合実験、IC50(50%阻害濃度)の決定: 結合は、pH6.5の50mM Tris緩衝液中で室温にて、シナプス膜(管あたりタンパク質0.1〜0.3mg)、トリチウム化キサンツレン酸(200nM)および(全結合を決定するための)緩衝液または可変濃度の非標識標識キサンツレン酸(10-3M〜10-10)のいずれかの、存在下で実施した。Graphpad Prismソフトウェアを用いて、キサンツレン酸結合の50%阻害を生じさせる化合物のIC50を計算した。[3H]−XAおよび非放射性標識XAとの競合実験において、得られた結合置換曲線は、Graphpad Prismソフトウェアによる解析の後、IC50=1μMおよびIC50=114μMの、2つの部位結合モデルを与えた(図19)。・定量的オートラジオグラフィー、それに続く画像分析による、ラット脳におけるXA結合部位の領域分布の試験方法:3匹の雄Wistarラットの脳を断頭後、迅速に解剖し、ドライアイス上で−40℃に維持したイソペンタン中で凍結させた。次に脳を、クリ雄タットを用いて、厚さ20μmに切断した。切片をスライドガラス上に広げて、次に冷気中で急速に乾燥させた。フレームに設置した切片を次に、氷上で0℃に維持したpH7.4の50mM Pipes緩衝液中で10分間インキュベートした。次にスライドを、200nM 放射性標識XAを添加した同じ緩衝液に20分間浸漬した。放射性標識リガンドを含まないPipes緩衝液で、短く10秒間ずつ3回洗浄した後、切片を冷気流中で乾燥させた。次に切片を暗所でトリチウム感受性フィルムに暴露した。気密カセット内での2ヶ月の暴露後、フィルムを現像し、灰色の陰をデジタル化して、キュリー/グラム同等組織(Amersham)で較正した任意のトリチウム放射能スケールと比較した。ラット脳の各種領域におけるXA受容体密度の分布を1倍以内で示す結果を、以下の表に示す。5.線条体黒質系および中間皮質−辺縁系路におけるドーパミン作動性活性のXA調整の試験物質および方法・動物:体重250〜275gの成雄Wistarラットを、標準午前7時〜午後7時の明サイクルでプラスチック製ケージに2匹ずつに収容し、餌および水に無制限にアクセスさせた。動物試験は1986年11月24日の欧州指令(86/609/EEC)の要件に厳密にしたがって実施した。・化学物質:XA、6−OHDAヒドロブロミド、2,4,5−トリヒドロキシフェニルエチレンアミンおよびデシプラミンは、Sigmaから購入した。NCS−486は、ストラスブールのLaboratoire de Pharmacochimie of the CNRSが作製した。・手術プロトコル:実験には、4mmチップを備えたL字形カニューレ(CMA12、Carnegie、Sweden)を使用した。直径500μmの透析膜は、カットオフ20Kdaのポリカーボネート−ポリエーテル透析膜で作製した。プローブガイドを定位固定誘導によりPFCに埋め込んだ。動物は、塩酸ケタミンで麻酔した(150mg/kg腹腔内)。・ドーパミン作動性核A9およびA10における、6−ヒドロキシドーパミンによって誘発された損傷 動物は、ケタミン(100mg/kg腹腔内)で麻酔した。6−OHDAを、0.01%アスコルビン酸を含む生理血清に4μg/μlの濃度で溶解させた。1マイクロリットルを2分間にわたって、Hamiltonシリンジを用いて、定位固定誘導によりA9/A10に注射した。注射後、毒素を1分間拡散させた。ノルアドレナリン作動性ニューロンは、6−OHDAの注射の45分前に、デシプラミン25mg/kgを腹腔内に事前に注射することによって保護した。 4週間後、ラットは皮下注射によってアポモルヒネ1mg/kgを受け、注射の15分後に実施された対側回転の数を記録した。 損傷を誘発されたラットは、130±45回転/15分を実施した。右A9/A10ドーパミン作動性核への6−OHDAの局所注射の6週間後、良好な機能変化を示すラットを選択して、微小透析試験のために移植を行った。・微小透析プロトコル 実験は、誘発された損傷のある、またはない、意識のあるラットに対して、微小透析プローブの外科的挿入の24〜48時間後に実施した。微小透析溶媒の組成は以下のとおりであった:147mM NaCI;1.2mM CaCl2;1.2mM MgCl2;4.0mM KCl,pH6.5。透析速度は、1μl/分(CMA 100 pump, Carnegie)。透析液は20分間の画分を収集し、ただちに液体窒素中で分析まで保存した。・微小透析液中のドーパミン、DOPACおよびHVAの分析 これらの化合物は、電気化学検出を用いたHPLCによって分析した。クロマトグラフィーシステムは、25cm×4.6mm C18カラムから成り、一定温度30℃で維持した。移動相は、0.1mM EDTAおよび6%メタノールを含む50mM NaH2PO4緩衝液であり、溶液のpHは4.85に調整した。・インビトロ収率 ドーパミンのインビトロ透析収率は以前に、実験室温度および透析速度1μl/分で16%と決定した。・組織学 実験の後、プローブの正しい配置は、パラホルムアルデヒドでの固定の後に、死後の組織検査によって必ず確認した。・統計解析 微小透析実験は、ANOVAによって、それに続く複数の比較のNewman−Keuls試験によって、統計的に解析した。結果・細胞外ドーパミン濃度に対する、PFCでの局所XA輸液の用量/効果 逆透析XA濃度はそれぞれ、1μM(黒丸)、5μM(黒四角)および20μM(黒三角)であった。XAは、20分間の透析中に加えた。結果は、平均基準ドーパミン放出のパーセンテージ(XAによる刺激前の、20分間の透析画分8個について決定)として表した(図20)。 最低XA濃度(1μM)は、ドーパミン放出に対して何の効果もなかった。これに対して、5μM濃度(インビトロ収率に基づいて脳組織中に約1.5M XA)は、細胞外ドーパミン放出が、約250%増加した。20μM濃度(組織中約6μM)は、ドーパミン放出が400〜450%増加した。・ドーパミン、DOPACおよびHVAの放出に対するPFCにおける20μM XAの局所使用の効果 結果は、基準に対するドーパミン放出のパーセンテージ(XA注射前の、20分間の透析画分8個について決定)として、図21に表す。黒四角はドーパミンを表し、黒丸は、DOPACを表し、白四角はHVAを表す。この場合、以前見られたように、ドーパミン放出は20分後に基準から400〜450%に増加したが、DOPACおよびHVA放出は100〜120分後にやや減少した。・20μM NCS−486の存在または不在時の、細胞外ドーパミン放出に対する、PFCにおける20μM XAの局所使用の効果 結果は、基準に対するドーパミン放出のパーセンテージ(XA注射前の、20分間の透析画分8個について決定)として示す(図22:20分間の20μM XAの使用(黒丸)、または20μM XA+20μM NCS−486の同時輸液(白四角)または20μM NCS−486単独の使用(白三角))。NCS−486単独による、またはNCS−486+XAによる処置は、ドーパミン放出を調整しないように思われるが、XA単独では刺激の約40分後に、ドーパミン放出を約300%増加させた。6.電気生理試験電気生理記録 ニューロン細胞系NCB−20は、いわゆる細胞付着パッチ配置にて、パッチクランプ技法(Hamill et al., 1981)を用いて試験を行った。記録媒体は、ピペット下の膜断片に位置する単一アスペシフィックカチオンチャンネルおよびクロライドチャンネルの活性のみが記録されるように設計した。特異性カルシウム、ナトリウムおよびカリウム電流は、ピペット液内のカチオンの大部分を不浸透性カチオン、 N−メチル−D−グルカミン(NMDG)またはTEA(テトラ−エチル−アンモニウム)による遮断で置換することによって最小限にされる。 ピペット内のNMGDによる浸透性カチオンの置換も、流入成分が最小限にされるため、主に流出方向のアスペシフィック電流を有することができる。更に一部の実験において、クロライドチャンネル活性は、ピペット液中のクロライドイオンをTCA (トリクロロ酢酸)で置換することによってのみ記録する。0mV付近の値での細胞膜電位の制御は、細胞外KCl液を用いて実施した。それゆえ記録された膜断片の電位は、記録ピペットに印加された電位の逆に相当する。これらの条件下で、記録媒体は以下の組成を有した(mM):ピペット液の場合、NMDG/Cl(またはTCA)140、KCl 2、MgCl2 1、HEPES 10、TEA/Cl 15、および浴の場合、NaCl、KCl 141、CaCl2 0.5、HEPES 10、EGTA 5;どちらの場合も、pHはそれぞれTris塩基およびKOHによって7.4に調整した。 化学薬品は、Sigma(Saint Quentin Fallavier, France)によるものであった。 4〜7MΩを含む抵抗を持つピペットによりギガシールを作製した後、イオン電流をパッチクランプ増幅器(EPC−7増幅器,List-Medical, Darmstadt, Germany or Axopatch B200, Axon Instruments, CA)によって測定した。次に、インタフェースカード(Scientific Instruments, OH)およびpClamp 6ソフトウェア(Axon Instruments, CA)を用いた信号収集(1〜5Hzの収集周波数)を行った。製造物を細胞外液中で所望の濃度に希釈した。使用は、内径300μmを用いた多孔灌流システムを通じて重力によった。溶液は、バルブを開けた後、記録された細胞と反対側の対応する穴を配置することにより交換した。結果 NCB−20細胞は、キサンツレン酸により特異的に認識される結合部位を発現する。これらの機能実験は、キサンツレン酸受容体により活性化される、任意の電気発生膜現象を検知することを目的としていた。一部の証拠は、この受容体がGタンパク質に結合されることと、したがって細胞内リレーを通じて、膜効果が発生することとを示唆する。したがって、本発明者らは、活性化が、膜電位および心臓収縮因子(主にカルシウムイオンおよびキナーゼタンパク質;Evans and Marty, 1987;Taleb et al., l 988;Leech et al., 1996)の両方に依存する、カチオンおよびクロライドチャンネルに対する最終的な作用を調査した。したがってこれら2種類のイオンチャンネルは、単一で(方法を参照)、2つの透過率の一方またはもう一方を賦課することによって、記録される。反応の逆電位は、カチオン性(1価カチオン)またクロライド反応についてそれぞれ、−49.5または−11.8mVを含む。これらの条件下で、細胞質因子の変化も、電流−電位関係を特徴付けるパラメータにより明らかにあなるであろう(図23)。 細胞は、細胞付着パッチ配置で記録した。ピペット下で膜に挿入されたチャンネルを通過する電流は、単独で記録した。細胞膜電位は、細胞質と等しい細胞外液中のKCl濃度によって0mVに設定した。これらの条件下で、ピペット下の膜断片の電位は、ピペットの電位と逆である。電流の活性化に対するキサンツレン酸の効果 試験中の膜断片は、−70〜100mVの電位勾配によって定期的に刺激(周波数0.2Hz)した(図24A、下図のプロトコルを参照)。クロライドイオンが涸渇した(TeAにより置換された)ピペット液を用いた制御条件下において、記録電流は、安定し、−70および100mVの電位それぞれにおいて、−0.4±0.1および8.6±0.2pA(n=30)を有した。本電流は、−48.3±3.5mV(n=3)の電位で反転した。この値は、一価カチオンの逆電位(K+およびNa+の細胞内濃度が、それぞれ140および2mMと概算される場合、−49.5mV)に近く、これらの記録条件下で、カチオンに対する選択的基底透過率があることを示している。電流−電位関係は、記録した膜断片の両側におけるカチオンの非対称分布に一致する、著しい流出整流を示す(図24AおよびC)。作動薬濃度に依存する潜時(1〜4分)の後、濃度1〜20μMのキサンツレン酸の存在下で、カチオン電流の振幅は、一時的で大規模な振幅電流を加えることのできる低速動力学によって、10〜40%増加した。図24の場合、過渡電流のピークおよび100mV電位における電流振幅は、5倍に増加した。 作動薬濃度20μMの場合、電流振幅は、平均して、5.0±1.7倍(n=3)増加した。キサンツレン酸の存在下で特に活性化される電流のI−V関係(対照条件で観測された電流を引いた後)は、対照電流のそれと同様であった(図24C)。特に逆電位は、対照の逆電位と実質的に同一であり、平均値−51.6±2.1(n=3)を有した。このことは低速電流と過渡電流の両方にあてはまる。本逆電位は、これらの条件において、キサンツレン酸がカチオン型の電流の活性化を誘導できることを示唆する一価カチオンの平衡電流に近い。そのような電流が、作動薬が使用される細胞の残りから物理的に隔離された膜断片に記録されているという観察結果は、そのようなカチオンチャンネルの活性化が、受容体およびイオンチャンネルの間の中間細胞を通じて生じることを示す。 そのようなカチオンチャンネルが二価カチオン、特にカルシウムの通過も可能にするか否かという問題に答えるため、本発明者らは、上述と同じ種類の実験であるが、主にBa2+(一価カチオンすべてが、2mM K+イオンおよび15mM TEA+イオンを除いて、Ba2+によって置換された)を含むピペット液を用いて実施した。同様にキサンツレン酸が存在する、これらの条件下で、本発明者らはこの場合は、逆電位が平均値2.6±2.5mV(n=7)を持つ電流の活性化を観察した。一価カチオンのBa2+による置換は、反応の逆電位を約54mV移動させた。Ba2+イオンが作動薬により活性化される電流に関与しない場合、予想される逆電位は、値−53.5mVを有する。観測された相違は、カチオンチャンネル内のBa2+の通過を反映している。クロライド電流の活性化に対するキサンツレン酸の影響 しかし、一部の反応、特に過渡電流を示さない反応に対して、本発明者らは、作動薬によって誘導された電流の逆電位の変化を認めた。例えば、図25に示した場合では、反応の開始は、平衡電位が更に脱分極した値を持つ別の電流によるカチオン電流の汚染を反映する、−16.5mVの逆電位を有していた。反応の第二相において、電位は更になお脱分極した値−4.2mVに向かって移動した。追加電流は、実験条件におけるクロライドイオンの移動に一致する電位を有する。キサンツレン酸に反応する薬理学 NCB−20細胞に対して10〜20μMの濃度で使用されたNCS−482は、キサンツレン酸の反応と実質的に同じ反応を誘導した(図25および26)。この結果は、キサンツレン酸結合を置換することのできるキサンツレン酸誘導体であるNCS−482が、キサンツレン酸塩受容体の作動薬として作用することを示す。またキサンツレン酸結合を置換する別のキサンツレン酸誘導体、NCS−486は、単独で使用した場合(20μM)には何ら効果を持たないが、作動薬誘導反応の振幅を縮小させ(図26)、それをキサンツレン酸塩受容体拮抗薬とする。7.キサンツレン酸(XA)の神経薬理学:ラットにおける作用試験1)歩行運動活動性の赤外線セル測定 以下の用量で試験を行った:12.5、25、37.5、50、100および200mg/kg(腹腔内)(図27)。本試験は、運動活動性の低下を証明し、XA用量でのこのことは、50mg/kgに等しいかそれ以上であった。鎮静強度は、注射用量に比例した。2)「オープンフィールド」試験による動物の包括的反応性の測定 本試験は、潜在的な抗不安効果として解釈できるケージ中央の探索が著しく増加する用量である、用量37.5mg/kgにおいて鎮静がないことを確認した(図28)。この傾向は、2つの同属種間の社会的相互作用を評価する試験によって確認した(Ramos et al., Behav.Brain Res., 1997, 85: 57-69)。用量50 mg/kgは、未処置の対照同属種と比較して、処置動物の動物社会的相互作用の持続期間の著しい延長を生じた。用量100mg/kgでは、この評価は、製造物により誘導された著しい鎮静効果によって阻害された。3)Porsolt試験による抗うつ型の効果の証明 以下の用量を使用した:50、100、150および200mg/kg腹腔内。 本試験は、イミプラミン30mg/kgを用いて検証した。Porsolt et al., Eur.J.Pharmacol.1978, 47: 379-391で述べられている試験を使用した。 用量100、150、200mg/kgは、不動の累積持続期間の、統計的に有意な短縮を生じ、得られた効果がイミプラミンの効果と同様であることを示した(図29および30)。4)物体認識試験による記銘過程に対するキサンツレン酸の効果の証明 Ennaceur and Delacour, Behav.Brain Res.1988, 31: 47-59. 用量37.5および75 mg/kg腹腔内を使用した。 結果(図31)は、対照と比較した、処置動物の物体認識スコアの著しい上昇を明らかにした。スコアの上昇は、短期記憶に対する製造物の有益な効果として解釈できる。5)脳内注射後のキサンツレン酸の効果 製造物は、一方では脳室内経路(i.c.v)によって、もう一方では規定した脳構造:腹側被蓋野(A10)、黒質(A9)または中隔側坐核に注射した。XA用量2、4、10、50μg/ラットにおいて、用量関連性の常同症が認められた。常同症の消失後(30±15分)の後、XAの再注射が同じ効果を誘導した。6)デシプラミンによる事前処置によるノルアドレナリン作動性ニューロンの保護後の、神経毒(6−OHDA)の脳内注射(VTA;SNc)によって誘導された線条体黒質系および中脳皮質辺縁系路の片側性損傷を持つ動物に対する、NCS−486の拮抗薬電位の試験 XA(25mg/kg腹腔内)非鎮静用量の注射は、アポモルヒネ(0.05、0.1mg/kg皮下)によって誘導された対側回転を拮抗しなかった。 アンフェタミンによって誘導された同側回転の増強およびキサンツレン酸25mg/kgによって誘導された同側回転のNCS−486による可能な拮抗作用の研究は、進行中である。7)キサンツレン酸の腹腔内注射により誘導された鎮静の電気脳造影(EEG)解析 試験を行った用量は、50〜500mg/kg腹腔内の範囲であった。詳細なEEG解析は、「てんかん発作性」または「深いノンレム睡眠」活動の証拠を示した。EEG波の振幅の減少のみが認められた。本鎮静は、用量関連性の著しい体温低下を伴った(−0.5〜−2℃)。結論 末梢または局所投与のいずれかによりキサンツレン酸で処置されたラットにて実施した神経薬理学的試験は、結論として以下を示した: XAは、動物において、非常に明快な用量効果関係で鎮静活性を持つ。そのような鎮静効果は、複数の試験によって確認される。動物の自発的行動を評価するオープンフィールド試験において、XAは、非鎮静用量にて抗不安効果を発揮することがわかり、社会的相互作用を促進した。XAの抗うつ効果を評価を目的としたある試験は、動物における用量依存性の気分高揚を明らかにした。記憶試験は、XA、短期記憶を促進することを示した。最後に本物質は、常同症の誘発によって示されるように、強力なドーパミン作動性活性を持つ。そのような常同症は、拮抗薬NCS−486の高用量によって遮断される。EEG試験は、鎮静と相関する2つの現象である、EEG波の振幅の減少および低体温が認められても、XAが、てんかん発作性効果を持たず、深いノンレム睡眠を誘導しないことを示した。8.培養ニューロンにおけるXA輸送系の証明およびキャラクタリゼーション1)物質および方法NCB−20細胞培養物細胞系の維持: NCB−20細胞は、親株の分割量として、液体窒素中で保存した。実験のために、分割量を解凍し、試験に適した培養条件に置いた。細胞系を維持するために、培養皿が、コンフルエンスに達したらただちに、元の皿の細胞懸濁液の分割量のみを取ることによって、最初の皿を用いて別の皿に播種した。この方法で、10%ウシ胎仔血清(FCS)を添加したDMEM培地で継代培養を実施し、希釈は一般に10倍であった。分化NCB−20細胞の培養 80%コンフルエンスのNCB−20細胞の培養皿を用いて、細胞培養物を調製した。培地を除去し、10%FCSを添加したDMEM10mlと交換した。細胞を次に分離して、 2mmゲージ針による培地の反復通過により懸濁させた。次に細胞を血球計でカウントした。最終懸濁液は、10%FCSおよび1mM cAMPを添加したDMEM培地中で細胞密度3.104細胞/mlに調整した。ペトリ皿にこの懸濁液2mlを播種し、水分飽和CO2雰囲気中で37℃にてインキュベートした。細胞は、播種4日後に使用した。NCB−20細胞におけるXA輸送の測定 cAMP中で分化した第4日のNCB−20細胞培養物の培地を、計画した実験の種類によって、上述した緩衝溶液のひとつと交換した(Na+の依存性能動 輸送および主に拡散によって発生する受動輸送をそれぞれ評価するために、Na+を含む、またはNa+を含まないKreb)。培養皿は、37℃の水浴に10分間置いた。次に緩衝液を、[3H]−XAおよびXAを1〜500μMの濃度で含む同じ緩衝溶液と交換した。[3H]−XAは、非常に低い濃度で存在し、冷(非放射性標識)XAのトレーサーとしてのみ作用した。インキュベーションの1分後、溶液を吸引し、細胞を同じ緩衝液(Na+を含むまたは含まないKreb)1mlで10秒間に3回洗浄し、氷上で保管した。能動輸送は、エネルギー(ATP)を必要とし、37℃以下の温度で著しく低下する。洗浄した細胞層は、皿で凍結させ、次に翌日、蒸留水を加えて、細胞内標識([3H]−XA)を含む細胞細片の溶液を得た。凍結は、ピペット内の溶液の反復通過による均質化を促進した。分割量900μlをシンチレーション液(Rotiszint(登録商標)、4ml)に加えた。溶液の残りは、BCA法(Uptima)によってタンパク質を測定するためにサンプル採取した。シンチレーションカウンタで測定した放射能は、適切な較正曲線によって、タンパク質1mgあたりの細胞によって摂取されたXAのピコモルに変換された。 分化細胞を含む各皿について、同じ手順を実施した。しかし各実験において、NCB−20細胞におけるXA輸送の動力学的および薬理学的特性を決定するために、パラメータの1つを変更した。輸送の条件は、以下の関数として測定した:>インキュベーション時間: これらの実験は、XA輸送の動力学を定義した。 各インキュベーション時間について、輸送は、Na+を有するまたは有さないNCB−20細胞の9個の皿で測定した。10の異なる時点で試験を実施した:0−10−30秒および1、2、3、5、8、10、12分。4つの異なる実験を実施した。>[3H]−XA濃度: これらの試験は、速度定数を定義した:輸送の最高速度(Vm)および半値速度(Km)を達成するために必要なXA濃度。 各XA濃度で、XA輸送は、Na+を含むNCB−20細胞の9個の皿およびNa+を含まないの9個の皿で測定した。7つの各種濃度で試験を行った:1−5−12.5−25−50−100−200μM。4つの独立した実験を実施した。 タンパク質測定 タンパク質は、マイクロプレート技法によって測定した。マイクロプレートは、各培養皿についてと、標準曲線について反復測定を実施するために、必要数のウェルを持つ必要がある。 各処置培養皿の底の細胞を、2回蒸留した水1mlに取った。複数回の吸引−放出を実施して、すべての細胞細片を分離して、懸濁液を均質化した。次に、2個の20μl試験サンプルを取り出し、マイクロプレートのウェルに入れた。 0.032〜2mg/mlの範囲にわたる較正曲線のためのスペースを確保した。細胞細片の各懸濁液は、2回測定した。次に試薬200マイクロリットル(試薬A50部および試薬B1部の混合物)を各ウェルに加えた。プレートを振盪し、37℃にて30分間インキュベートした。放射能カウント シンチレータ4ミリリットルを、得られた細胞懸濁液900μlを含有する管に加えた。対照管は、2回蒸留した水900μlを含有し、特異性活性を測定するために、実験中の試薬として放射性溶液10μlおよび2回蒸留した水890μlを含有する管を用いた。管を閉じ、ボルテックスし、4℃にて一晩放置してから、シンチレーションカウンタでカウントした。このカウントは、受動または能動輸送によってセルに入るXAの量に直接比例する細胞内放射線を測定する。能動輸送の量を計算するために、受動輸送(Na+を有さないKrebs)は、単に全輸送(Na+を有するKrebs)から引かれる。2)XA輸送に関する結果 すべての計算は、Excelコンピュータプログラムで実施した。次に、線および統計解析の式を同じく計算するPrism 3.0ソフトウェアによって、結果をグラフィック形式に変換した。 NCB−20細胞におけるXA輸送に関する結果を、図32に示す。 XA存在下での細胞のインキュベーション時間の関数としての輸送の試験において、3つの外観が同様の曲線を得た。輸送は、ナトリウムの存在下で約20%増加した。3つの曲線は、約1分後に平衡状態に達し、それゆえNCB−20細胞におけるXA輸送を測定するため最適時間が定義された。この1分の時間を次の実験で使用した。 [3H]−XA濃度によるNCB−20細胞におけるXA輸送に関する結果を図33に示す。 Scatchardプロットは、Km=105μmおよびVmax=1229pmole/mgタンパク質/分とともに、XAの細胞内輸送の数学的定数を与える。 XA濃度の関数としてのXA輸送の試験において、輸送の飽和、それゆえ、輸送の最高速度の値により数学的に定義される輸送体の飽和が認められ、本発明者らの実験においてはVmax=1229±440pmoles/mgタンパク質分である。輸送を特徴付ける別の数学的定数は、最高速度の半分を達成するのに必要なXAの濃度である、Kmである。本発明者らの実験において、Km=105±81μM。この分子に関する薬理学的試験のための最適XA濃度は、100μMであり、これは計算したKmと一致する。他の内因性分子によるXA輸送の妨害 XA輸送体に輸送される他の内因性分子の試験を行った。更に本輸送のエネルギー依存特性を証明するために、本発明者らは、解糖を阻害するデオキシグルコースによって、細胞エネルギー製造を遮断した。放射性標識XA単独での存在下で、輸送(=100%)に対する、細胞に入るパーセンテージとして、結果を図34のヒストグラムに示す。 L−トリプトファン、L−チロシンおよびキヌレン酸は、XAの輸送の良好な阻害剤であることがわかった。したがってニューロンによるXAの摂取が中性アミノ酸の輸送体を利用することが可能である。溶媒中の銅イオンまたは亜鉛イオンの存在は、XA輸送の高度に著しい増強につながる(銅イオンの場合は3倍高)。細胞毒2−デオキシグルコースの存在は、輸送において約50%の低下を引き起こし、完全な細胞エネルギー製造を必要とすることを示す。3)XA輸送試験の結論 実施した別の実験は、NCB−20細胞におけるXAの能動輸送系の存在を明らかにする。そのような輸送は、反応溶媒中にナトリウムイオンの存在を必要とする能動現象である。最適速度は約1分のインキュベーション時間後に達するため、輸送はかなり急速な動力学により特徴付けられる。この能動輸送系の動力学定数を測定し、最高速度は、1229pmoles/mgタンパク質分で、Km=105μMであることがわかった。トリプトファンおよびチロシンを含む一部のアミノ酸は、この輸送を阻害し、関与する輸送体は中性アミノ酸のニューロン輸送体であり、XA輸送が、カテコールアミンおよびセロトニン合成に不可欠なアミノ酸の輸送を妨害することが示唆される。XA受容体リガンドである合成化合物は、その特異性を確認するために、本輸送体に対して試験できる。9.ドーパミン作動性活性の制御におけるXA系の機構および役割1)XAは、ドーパミン作動性核A9−A10の刺激時に同じ神経末端において、ドーパミンと同時放出されるか? この質問を調査するために、本発明者らは、6−ヒドロキシドーパミン(6−OHDA)によるドーパミン作動性核における損傷の誘発の後に起こる、細胞外XAおよびドーパミン放出の調整について試験を行った。本損傷は特に、前頭皮質におけるドーパミン作動性神経末端を破壊する。本発明者らは、更に、ラットの前頭皮質におけるドーパミン放出の調整につながる一連の現象の解明を試みるために、グルタメートおよびGABA放出に対するXAの効果を調査した。プロトコル: 中脳ドーパミン作動性路における片側損傷を、6−ヒドロキシドーパミンハイドロブロミド(6−OHDA HBr,Sigma)の腹側被蓋野(VTA)および黒質緻密部(SNc)への定位注射により誘発させた。手順は、定位誘導(Narishige)で、イマルゲン麻酔下にある(100mg/kg腹腔内)Wistarラットに対して実施した。神経毒6−OHDAをアスコルビン酸0.01%を含有する等張性塩化ナトリウム溶液(0.9% NaCl)に、最終濃度4μg遊離塩基/μlで溶解させ、6μg(注射1回あたり1.5μl)を20Gステンレス鋼注射用カニューレにより2分間にわたって注射した。Paxinos and Watson atlasにしたがって、使用した定位座標は、十字縫合に対してミリメートルで表す:VTAおよびSNcに対してそれぞれ、AP:2.3;ML:0.5;DV:8.7mmおよびAP:2.3;ML:2.0;DV:7.5mm。背腹側座標は頭蓋骨から採取し、イヤバーを上切歯のバーから3.3mm下に配置した。全体積を1μl/分の速度で注射した後(CMA 100 pump)、注射部位周囲に毒素が自由に拡散するように針を所定の位置に更に1分間放置した。ノルアドレナリン作動性ニューロンは、6−OHDA注射の45分前の、以前のデシプラミン25mg/kgの腹腔内注射による損傷から保護された。動物の選択 損傷の誘発の4週間後、直接作動薬(アポモルヒネ0.1および1.0mg/kg)の皮下投与後にラットの試験を行い、15分間の対側回転(損傷と反対側)の数を記録した。神経毒によって処置したラットの結果は、以下のとおりであった:130±45回転/15分(n=12動物)。 右黒質緻密部および腹側被蓋野への注射の6週間後、アポモルヒネ誘発型の対側回転試験で満足な結果を得たラットを選択し、微小透析実験のためにインプラントを行った。 実験の完了時に動物を殺処分した。線条体および同側ならびに対側中脳核を除去し、残留ドーパミン含有量についてHPLCで分析した。 湿潤組織±標準誤差(n=3)のpmoles/gで表した結果は以下のとおりである:損傷線条体:261±123対非損傷線条体9140±1413(−98% p=0.0033)損傷VTA−SNc:32±31対非損傷VTA−SNc563±128(−95% p=0.0157)。 これらの結果は、ドーパミン作動性ニューロンの損傷が十分であることと、線条体およびドーパミン作動性核におけるドーパミンレベルのきわめて著しい低下があったことを示す。 中脳ドーパミン作動性核の神経毒誘発損傷後の、ドーパミンおよびその代謝産物の細胞外放出の測定:神経毒処置動物は、透析プローブおよび双極式電極をインプラントし、VTA(100および200μA)に電気刺激を加え、前の実験で述べたのと同じプロトコルにしたがって前頭前野/前帯状皮質にて透析した。 測定したパラメータのうち(DA、DOPAC、HVA、XAおよび5−HIAA)、only XAおよび5−HIAAは、クロマトグラムで検出可能であった。 結果は、ドーパミン作動性核の6−OHDA誘発型損傷(VTAおよびSNc)後のVTAの電気刺激(100および200μA)は、前頭皮質におけるXA放出(100μアンペアおよび200μアンペアによる刺激ではそれぞれ、+151±51%および+667±115%)を誘発し、損傷誘発後の残留ドーパミン放出(DA、DOPACおよびHVA)を変更することなく、5−HIAAの放出を伴うことを示した。 これらの結果は、XAが、ドーパミン放出を調整しても、XAおよびドーパミンが前頭野で同時放出されないことを示す。したがってXAは、恐らく特異性であり、ドーパミン作動性核自体(VTAおよびSNc)、または前頭皮質におけるグルタメートおよび/またはGABA放出を制御する神経末端のいずれかにおいて、ドーパミン作動性シナプスに位置する受容体によってドーパミン放出を調整する、神経末端によって放出される。定量的オートラジオグラフィーは、前頭皮質および中脳ドーパミン作動性核の両方における高親和性XA結合部位の存在を明らかにした。2)20μM XAの20分間の逆透析後のグルタメート(GLU)およびGABAの前頭細胞外放出の変更 ここでの目的は、XAが、グルタメートおよび/またはGABA放出を変更できるか否かを調査することである。そして、そのような変更は、ドーパミン 放出に影響を与える。本仮説にしたがって、XA受容体部位が、前頭皮質内のグルタメートおよび/またはGABAニューロンに見られる。a)透析液中のアミノ酸濃度の測定 透析液15μl中に含まれるアミノ酸は、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、その疎水性にしたがって分離した。システムは、脱気装置(Waters In-Line Degasser)、ポンプ(Waters 626 Pump, Waters 600S Controller)、51μlループを装着した冷蔵CMA/200試料採取−注入器 (Refrigerated Microsampler, CMN/microdialysis, Carnegie)、Nucleosil C18カラム(5μm、25×0.4cm)、乾燥機(Waters)、および蛍光計(Waters 470 scanning fluorescence detector)を含んでいた。移動相は、溶液A: 0.05M NaH2PO4(Roth)80% (pH4.8、10N NaOHで調整)、メタノール 20%(Chromanorm, Prolabo);および溶液B:0.05M NaH2PO4 20% (pH4.8、10N NaOHで調整)、メタノール 80%およびTHF 5% の二元勾配で構成されていた。グルタメートおよびGABAは、誘導後に励起波長345nmおよび放射波長455nmにて蛍光定量検出により測定した。クロマトグラム収集および定量データ解析は、Milleniumソフトウェア(Waters)で実施した。 サンプルは、透析液15μlと、以下の誘導溶液15μl:0.1M テトラホウ酸ナトリウム4.5ml、pH9.3、メタノール500μlおよび3−メルカプト−プロピオン酸10μl(Sigma)中のo−フタルジアルデヒド7.5mg(Sigma)とを混合することによって誘導した。溶出速度は、一連のステップにおいて35℃にて0.8ml/分であった:0分にてA90%およびB10%;15分までA40%およびB60%(線形勾配);19分までA40%およびB60%(定組成勾配);19.1分までA0%およびB100%;24分までA0%およびB100%(定組成勾配);24.1分までA90%およびB10%(定組成勾配)および30分までA90%およびB10%。サンプル中のグルタメートとGABAの検出限界は、0.75fmoles(0.05μM)であった。β−アミノ−イソ酪酸(Sigma)は、内部標準として使用した。結果: 前頭皮質における20分間のXA20μlの逆透析は、90分の間にGLU放出をただちに37%±1低下させ、その後、徐々に基準に戻った。図35および36に示す結果は、±標準誤差(n=2)として表される。100%値(1nmole/20μl)は、刺激前の4個の連続するサンプルの平均を表す。10.正中前頭前野皮質(PFC)におけるノルエピネフリン(NE)およびXA放出に対する間欠性電気ショックにより誘発されたストレスの結果 本研究は、青班(A6)に由来する前頭前野皮質中のノルエピネフリン(NE)が、ストレスに対する反応における個体の行動相違において重要な役割を果たすという仮説に基づいていた。A6核は、オートラジオグラフィー試験ではトリチウム化XAで標識したため、目的は、XAの前頭放出が、動物における電気ショック誘発型ストレスの機構に関与できるか否かを判断することであった。 新たな環境における自発的歩行運動活動は、ストレス要因に対する行動指標であるため、本発明者らは、本試験でより顕著な行動反応を示す「レスポンダー動物」を選択した。 ストレス反応の主な構成成分は、CRH(コルチコトロピン放出ホルモン)の視床下部外放出であり、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)の刺激につながって、青班におけるノルエピネフリンの上昇を引き起こし、結果として神経末端(前頭前野皮質、扁桃体および歯状回)におけるNE放出が上昇する。プロトコル1)オープンフィールド試験での動物の選択: 5分間のセッションで通過した四角の数:55.08±22.6(6.53)平均±標準偏差(標準誤差)n=12 体重350gのWistarラット。2)ストレスおよび神経化学条件: ストレスは、20分間にわたり、1分あたり0.3mAのショック1回の割合で、足への間欠性電気ショックによって誘発した。 前頭前野皮質でのノルエピネフリン放出は、電気検出を備えた高速液体クロマトグラフィーシステムに連結された意識のある動物に対する脳内微小透析法を用いて測定した。結果: 結果を図37に示す。 20分間にわたる、1分につき1秒間の300μAの間欠性電気ショックにより誘発されたストレスの間、前頭前野皮質におけるノルエピネフリン放出は、基準放出と比較して+151%上昇し、XA放出は+250%上昇した。 これらの発見は、ストレスを加えた動物の前頭皮質において、ノルエピネフリンおよびXAが、付随的に放出されることを示している。XAの放出は、ストレス適応反応であり、ストレス状況でのXA受容体作動薬の投与は、特にドーパミン放出が非常に低く、XAおよびXA受容体作動薬がその放出を向上させるため、新規の処置解決法となりうる。11.XA受容体拮抗薬の神経薬理学的キャラクタリゼーション:拮抗薬NCS−486の試験1)XAの脳内注射により誘発されるドーパミン作動性常同症および拮抗薬NCS−486による回復の試験 「常同症」は、ドーパミン作動性作動薬の直接(アポモルヒネ)または間接(アンフェタミン)的な投与の後に、動物によって行われる不随意運動である。以下の常同症が、認められる:舐める、噛む、活動亢進、探索する、立つ、グルーミング、穴を掘る、伸びをする、匂いを嗅ぐ。キサンツレン酸の効果: 線条体、VTA、側脳室または中隔側坐核におけるXAの脳内注射は、用量依存性常同症を誘発した(注射した用量:2、10、50、100および150μg/ラット)。これらの行動は、脳内注射の2分後に発現し、30〜40分続いた。そのような行動が消失してから1時間後、もう1回注射することによりそれらは再誘発された。 6−OHDAによって誘導された中脳核(A9−A10)の神経毒損傷後、XA25mg/kgの腹腔内注射は、アポモルヒネ 0.1mg/kg経皮によって誘発された対側回転の数を変更しなかった。同様に、XA25mg/kgは、アンフェタミン投与により誘発された同側回転の数に対して効果を持たなかった。 XA、アポモルヒネ、またはアンフェタミンにより誘発された常同症に対するNCS−486に対する効果: NCS−486は、用量2μg/ラット脳室内で、XA2μg脳室内により誘発された常同症を完全に拮抗したが、これに対してNCS−486単独の注射(2μg脳室内)は、動物の行動に対して効果を持たなかった。 腹腔内または脳室内注射の後、NCS−486は、アポモルヒネ0.5mg/kg皮下によって誘発された常同症を拮抗しなかった。これに対して、XA2μg脳室内の30秒前に、用量200mg/kgで腹腔内注射されたNCS−486は、常同症を抑制または大幅に低減した。2)オープンフィールド試験で測定した動物の全身活動に対するNCS−486およびXA誘発型鎮静の回復の試験 本試験は、NCS−486 100 mg/kg経口が投与1時間後に動物の活動亢進を生じたことを示した。更に、NCS−486は、XA 100mg/kgの腹腔内注射によって誘発された鎮静を拮抗することができた。 結果を以下のページに示す: 結果は、平均±標準偏差(n=4ラット/グループ)として与える。Studentの検定:*p<0.05;**p<0.01XA 100mg/kgの腹腔内注射によって誘発された鎮静の回復の試験結果を以下の表に示す: 結果は、平均±標準偏差(n=4ラット/グループ)として与える。Studentの検定:*p<0.0512.XA受容体部位の必須部分である、キヌレン酸のアロステリック部位へのリガンド結合の神経薬理学活性のキャラクタリゼーション:キサンツレン酸またはキヌレン酸の誘導体、化合物ND−7000の例XAに誘発された常同症に対するND−7000の効果 20μg/ラットの用量で脳室内注射によって投与されたND−7000は、動物の常同症を誘発しなかった。ND−7000は、50μg/ラットの用量では、かなりの鎮静を誘発した。これに対して、ND−7000 10μgおよびXA 10μgの同時投与は、常同症の出現を引き起こした。ND−7000 25μg+XA 25μgの用量は、XA常同症(グルーミング)の非常に顕著な増強を引き起こし、これらの不随意運動の開始までの潜在時間を短縮した(5分の代わりに2分)。オープンフィールド試験における動物の全身活動に対するND−7000の試験 本試験は、100または200mg/kg経口の用量での製造物の注入の30分後に実施した。観測期間は、15分であった。試験を行った両方の用量にて、動物の全身活動は、用量に比例して低下した。 結果を以下の表に示す: 結果は、平均±標準偏差(n=5ラット/グループ)として与える。 100または200mg/kg経口の用量で投与した場合、ND−7000は、カタレプシーを誘発せず、感覚運動試験で測定した反射活動を変化しなかった。 ND−7000 100mg/kgの経口(p.o.)投与後に得られたアクトグラフを図38に示す。 結論として、XAにより誘発された脳性ドーパミン作動性活性およびオープンフィールド試験で測定したような全身活動に対するND−7000の効果は、本製造物がXAのその受容体に対する結合を増強することを示唆する。これらの結果は、ND−7000の存在下でXAのその受容体部位への結合の顕著な上昇を示す結合試験を確認するものである。 これらの実験は、XAの効果を増強する別の経路:アロステリック部位へ結合する合成リガンドの存在を確認する薬理学的データを提供する。受容体部位へのその結合を減少させることによってXA活性を低下させる、負のアロステリック作動体、ND−7000およびキヌレン酸誘導体の結合の拮抗薬も考えられる。このことは、独創的なリガンドの合成を研究する新たな道となる。 13.XA受容体作動薬リガンドの例である、ND−1301と呼ばれるキサンツレン酸誘導体 一連のXA受容体作動薬リガンドを例示するために、ND−1301を選択した。本物質は、良好な親和性によって放射性標識XAをその結合部位から移動させ、NCB−20細胞において、パッチクランプ試験で強い電気生理反応を誘発した。動物へのND−1301の経口投与も、以下の結果によって示されるように、脳組織中のドーパミンレベルを調整した。 図39は、ND−1301の投与後の、各種の脳領域におけるドーパミン組織レベルに対する用量反応効果を示す。前頭前野皮質(PFC)におけるXAの細胞外濃度である。VTAの電気刺激後のPFCにおけるXA放出である(図2A=100μA)。ドーパミン=黒三角;XA=黒四角VTAの電気刺激後のPFCにおけるXA放出である(図2B=200μA)。ドーパミン=黒三角;XA=黒四角プローブ内で5分間、100mM KClにより誘導されたXA放出である。プローブ内で20分間、50μmM ベラトリジンにより誘導されたXA放出である。電気刺激後のPFCにおけるXA放出である(白棒)。カルシウムイオンの不在下およびEGTAの存在下での同じ実験は、電気刺激後にはXA放出がもはや増加されないことを示す(黒棒)。VTAの電気刺激後のPFCにおけるXA放出である(白棒、基準=21pmol/5分)。透析液中で2.0μM TTXを用いた同じ実験(黒棒、基準=7pmol/5分)。TTXの存在下で、電気誘導型XA放出は遮断される。生理条件下のラット脳でのXAの分布である。濃度は、任意にカラーコード化されている。略語:PFC:前頭前野皮質;FC:前頭皮質;PC:頭頂皮質;OC:後頭皮質;C:小脳;GP:淡蒼球;CPu:尾状核被殻;n.Acc:中隔側坐核;OT:嗅結節;OB:嗅球;S:中隔;Hb:手綱;Hi:海馬;Th:視床;Hy:視床下部;SN:黒質(A9);VTA:腹側被蓋野(A10);Rad:背側縫線核;Ram:正中縫線核;LC:青斑(A6);MO:延髄。XAのその結合部位への結合に対するpHの効果である。タンパク質濃度による特異性結合の線形試験である。結合定数Konの決定である。解離定数Koffの決定である。XA膜部位の飽和曲線である。KdならびにBmaxの決定。非放射性標識XAによる、放射性標識XA結合の競合的阻害である。キサンツレン酸のIC50の決定。キサンツレン酸のその結合部位への結合に対する金属イオンの効果である。銅イオンの存在下での、XAのその結合部位への結合に対するpHの効果である。銅イオンの存在下での、タンパク質濃度による特異性結合の線形試験である。XAのその結合部位への結合に対する銅(Cu2+)の用量効果である。銅イオンの存在下での、飽和曲線ならびにKdおよびBmaxの決定。非放射性標識XAによる、放射性標識XA結合の競合的阻害である。キサンツレン酸のIC50の決定。PFCへの局所注入後のドーパミン作動性反応に対するXAの用量/効果である。20μM XAの局所適用後の、PFCにおけるドーパミン、DOPACおよびHVA放出の変化である。PFCにおける20μM XAの局所適用後の、細胞外ドーパミン放出に対する拮抗薬NCS−486の効果である。パッチクランプ試験の実験構成である。NCB−20細胞に対するキサンツレン酸の効果である。A.対照条件下および20μM キサンツレン酸の適用中の、膜断片で記録されたサンプルトレースである。膜断片は、下部トレースに示したプロトコルに指示したような電位傾斜で刺激した。キサンツレン酸の存在下では、大量の流出電流が、陽電位にて出現する。トレースは周波数2KHzにてデジタル化した。B.電位95mVで測定した平均流出電流の変化である。キサンツレン酸の存在下では、 本電流はかなり上昇する。C.キサンツレン酸の存在下での有効電流の電流−電位関係(対照条件で観測された電流を引いた後)である。実線は、本電流をボルツマンモデルに適合させる。キサンツレン酸に対する反応の薬理学的特性である。電位−80および80mVにて測定した膜電流が、記録時間に対してプロットされる。実線は、キサンツレン酸塩受容体リガンドのインキュベーション期間を示す:上および下はそれぞれ、単独のNCS−482およびNCS−486であり、中間は表示濃度における2つの混合物である。NCS−482およびNCS−486は、キサンツレン酸誘導体である。NCS−486単独では、電流振幅を変化させない。キサンツレン酸受容体によるクロライドコンダクタンスの活性化である。本実験で使用する作動薬は、濃度20μMのNCS−482である。反応は、2相(aおよびb)で出現する。これら2相における電流の性質は、2相それぞれで得られた電流の反転電位(下パネル)によって示されるように異なっている。XAの増加する用量によって処置した動物の自発歩行運動活性である。時間は、分で与える。オープンフィールド試験における動物の包括的反応性である。用量37.5mg/kgのXA(非鎮静用量)は、対照動物と比較して、照らされたオープンフィールドの中央への動物の移動を促進する。Porsolt試験(遊泳試験)におけるXAの用量/効果である。不動持続時間は、XAの用量増加とともに減少する。イミプラミン30mg/kgで処置したラットは、正の対照とした。オープンフィールド試験において、XA用量50mg/kgは、未処置動物と比較して、社会的相互作用の持続時間の増加を誘導した。この結果は、XAが、抗不安効果を持つことも示唆する。物体認識試験における記銘過程に対するXAの効果である。NCB−20細胞におけるXA(ND−1089)の輸送動力学である。最高輸送速度は、約1分後に達成される。[3H]−XA濃度による、NCB−20細胞におけるXA(ND−1089)輸送である。ScatchardプロットによりND−1089の細胞内輸送の数学的定数が、決定できる:Km=105μMおよびVmax=1229pmol/mgタンパク質/分。放射性標識XA単独(=100%)での存在時の輸送に対する摂取パーセンテージを示すヒストグラム。透析液中のドーパミン濃度(基準の%)対時間(分)として表現された、20μM XAの20分間の逆透析後の前頭細胞外放出である。透析液中のグルタメート濃度(基準の%)対時間(分)として表現された、20μM XAの20分間の逆透析後の前頭細胞外放出である。グルタメート濃度(基準の%)対時間(分)として表現された、20μM XAの20分間の逆透析後の前頭細胞外放出である。100mg/kg経口の用量における、XA受容体の不可欠な部分であるキヌレン酸のアロステリック部位に結合する、ND−7000と命名されたキサンツレン酸誘導体リガンドの投与後に得られるアクトグラフである。脳の異なる部分でのドーパミン組織レベルに対する、XA受容体作動薬−ND−1301と命名されたキサンツレン酸誘導体−の経口投与後の用量/反応である。 仲介物質としてキサンツレン酸を用いる系の活性を調節する化合物をインビトロで選択、同定、または特徴付けるための方法であって、インビトロまたはエクスビボで試験化合物を、キサンツレン酸の天然受容体を発現する脳細胞、またはキサンツレン酸の天然受容体を提示し、上記受容体を発現する脳細胞から誘導される膜調製物と、接触させ、上記受容体への試験化合物の結合性を証明することとを含む方法。 試験化合物を上記細胞または膜調製物に、上記受容体の標識リガンドの存在下で接触させることと、標識リガンドの結合性の置換を測定することによって、試験化合物の結合性を証明することとを含む、請求項1記載の方法。 標識リガンドが、放射性標識されたキサンツレン酸である、請求項1または2記載の方法。 試験化合物の上記受容体への結合を生物学的または薬理学的効果により測定する、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。 測定された生物学的または薬理学的効果が、1以上の細胞性タンパク質の発現、受容体の発現、遺伝子の活性化、受容体の内在化、電流の発生、イオンの流動または流入である、請求項4記載の方法。 試験化合物を、キサンツレン酸受容体を発現する脳細胞に上記受容体のリガンドの存在下で接触させることと、キサンツレン酸受容体への結合に特徴的な生物学的または薬理学的効果を測定することと、測定された効果を、試験化合物の不在時に得られた効果と比較することとを含む、請求項4または5記載の方法。 試験化合物の結合が、ゲル移動、電気泳動、蛍光、FRET、SPAによってか、または試験化合物による標識リガンドの置換を測定することによって証明される、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。