生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_異常な角質性物質を除去するための製剤
出願番号:2003501422
年次:2009
IPC分類:A61K 31/17,A61K 47/10,A61K 47/12,A61K 47/32,A61K 47/34,A61K 47/38,A61P 17/12


特許情報キャッシュ

ホルスト・ウールブリヒト ライナー・ポート サミュエル・シュースター JP 4359140 特許公報(B2) 20090814 2003501422 20020517 異常な角質性物質を除去するための製剤 サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 397056695 高木 千嘉 100091731 西村 公佑 100080355 結田 純次 100127926 三輪 昭次 100105290 ホルスト・ウールブリヒト ライナー・ポート サミュエル・シュースター DE 101 26 501.8 20010530 20091104 A61K 31/17 20060101AFI20091015BHJP A61K 47/10 20060101ALI20091015BHJP A61K 47/12 20060101ALI20091015BHJP A61K 47/32 20060101ALI20091015BHJP A61K 47/34 20060101ALI20091015BHJP A61K 47/38 20060101ALI20091015BHJP A61P 17/12 20060101ALI20091015BHJP JPA61K31/17A61K47/10A61K47/12A61K47/32A61K47/34A61K47/38A61P17/12 A61K 31/17 A61K 9/00 A61K 47/00 特表平10−510837(JP,A) 特開昭59−020217(JP,A) 特開昭63−258814(JP,A) 特表2003−519180(JP,A) MARION I. WHITE,Clinical and Experimental Dermatology,1982年,Vol.7,Pages 273-276 5 EP2002005469 20020517 WO2002098380 20021212 2004532268 20041021 7 20050516 長部 喜幸 本発明は、尿素、親水性フィルム形成剤および水またはアルコール/水混合物からなる製剤、ならびに、たとえば爪真菌症、爪の乾癬または疣贅に観察されるような異常な角質性物質を除去するためのその使用に関する。異常な角質性物質については、それ自体、皮膚または爪の異常に変化した層構造を示す角質増殖症とは組織学的に識別される。さらに本発明によれば、たとえば、脆い爪の生理学的障壁機能を水和により再生することができる。 尿素は、これまで何十年も皮膚科学的医療に使用されてきた。クリームまたはローションが知られている。尿素は角質層および爪のケラチンの構造および性質を変化させる。それは、担体に依存して、角質層では吸湿作用を有し、また表皮では抗増殖作用を示す。尿素はジスルフィド結合および水素結合を切断する。これにより、死滅した角質化物質は結合を解かれて機械的に離脱させることができる。 変化した爪、とくに真菌に感染した爪の脱離または溶解のために、ドイツには20%の尿素を含有するクリーム(Onychomal−登録商標)、および40%の尿素のほかに抗真菌性のBifonazol(登録商標)1%を含む軟膏が、絞り出すための補助材の撥水性のプラスターおよびネイルスクレーパーを一緒に包装され、ネイルセット(Mycospor−登録商標)として市販されている。これらの製剤は、10年以上にわたって市販されてきた(Bang DS, Lee YD, Whang KK, Lee SN: Therapeutic trial of ointment base including urea and antifungal agent as the treatment of onychomycosis. Ann Dermatol 1991; 3: 32-6;Hay RJ, Roberts DT, Doherty VR, Richardson MD, Midglay G. The topical treatment of onychomycosis using a new combined urea/imidazole preparation. Clin Exper Dermatol 1988; 13: 164-167)。 さらに、疎水性フィルム形成剤、抗真菌剤および尿素を含む、爪真菌症剤の処置に使用されるネイルバニッシュも知られている(米国特許5,346,692)。米国特許5,993,790には、85〜95重量%の水に溶解したラッカーおよび0.5〜10重量%の尿素からなる水基剤の爪用ラッカーが記載されている。このラッカーは、真菌の感染によって変化した爪を脱離させるために使用される。 既知のクリーム製剤の使用に際しての欠点は頻繁に認められる周囲皮膚の軟浸および炎症性変化である。さらに半固体の製剤では、拭き取られるのを防止するために患部上への包帯の使用、およびたとえば亜鉛軟膏で覆って周囲組織の保護が必要になる。既知の処置法は、たとえば煩わしく、また不恰好にみえる足指および手指上に施されたプラスターのために、および毎日必要な処置手段のために、または、美観上および時間的な理由から患者によりやり遂げられないことが多いので、この処置方法に対しては決定的な成功は否定された。従来慣用される方法に必要な時間は比較的長く、たとえば、処置しなければならない爪が3〜5本より多くなると、受け入れることが限られてしまい、コンプライアンスは急速に消失する。 疣贅の場合のように、皮膚の硬化した領域を脱離させるためには、サリチル酸製剤が、半固体の製剤、たとえばサリチル石油ジェリー(約20%〜60%)またはプラスター(Guttaplast−登録商標)の形態で慣用される。この場合も、半固体製剤の欠点が当てはまる。 本発明は、親水性フィルム形成剤、尿素、水および/またはアルコール/水混合物からなる製剤を提供することにより上述の欠点を改良することを目的とする。 本発明による製剤は、親水性フィルム形成剤および尿素を、水性または水−アルコール性溶液中に溶解または所望により懸濁させた液である。溶液が有利である。異常なケラチン性物質たとえば疣贅または手指の爪に適用されると、その製剤は速やかに拭き取られたり擦り取られたりするのに抵抗する接着性のフィルムを形成し、それから尿素が異常なケラチン層に浸透して、その除去を助ける。プラスターによる付加的なカバー、標的部位周囲の皮膚領域のための特別な保護フィルムの適用および毎日の入浴は必要ではない。本発明による製剤では、目障りな変化もしくは局所的生物学的利用性の悪化の可能性を来す、処置すべきケラチン性物質上での望ましくない、尿素の局所的な沈降反応の発生が防止される。すなわち、本発明の製剤では本発明の組成およびその医薬的性質によりケラチン性物質上への尿素の均一な分布が可能になる。したがって本発明は、従来技術における既知の製品とは異なり、たとえば標的臓器または標的部位への集中した適用による薬剤標的化の著しい改良とともに、隣接組織へのリスクの低下、および本発明の製剤の適用に際しての使用者に対する優しさ(取り扱い易さ)を提供する。 本発明の製剤は、したがって、 a)製剤の非揮発性構成成分に基づいて40〜70重量%の量の尿素、 b)親水性フィルム形成剤、および c)水またはアルコール−水混合物を含む処方を提供する。 本発明の製剤にはさらに、製剤の非揮発性構成成分に基づく尿素量が、上述の範囲を越えるかまたはそれ以下に低下することのない限り、他の揮発性および非揮発性構成成分を含有させることができる。 尿素の量は、各場合において、本発明による製剤の非揮発性構成成分に基づいて、好ましくは41重量%〜69重量%の尿素、および/または29重量%〜59重量%の親水性フィルム形成剤を含み、とくに尿素では45重量%〜65重量%、とくに好ましくは46重量%〜63重量%、さらに好ましくは55重量%〜63重量%である。 使用可能な親水性フィルム形成剤は、たとえばアクリル酸/メタクリル酸エステルコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル/ビニルピロリドンコポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、メチルビニルエーテル/マレイン酸コポリマー、ポリエステル、ポリエステルアミド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは上述のフィルム形成剤の混合物である。ポリビニルピロリドンがとくに適当である。 親水性フィルム形成剤は、非揮発性構成成分に基づいて30重量%〜60重量%の量を使用される。親水性フィルム形成剤の量は尿素の量に依存し、尿素およびさらに存在する任意の非揮発性賦形剤の量に依存して100%にされる。 水性アルコール溶液においてアルコールは、たとえば (C1〜C6)−アルコール、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール(2−プロパノール)、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールまたはそれらの混合物が使用される。好ましくは、エタノール、n−プロパノールまたは2−プロパノールが使用される。水性アルコール溶液における水に対するアルコールの比は9:1〜1:9であり、3部の水に対して2部のアルコールが好ましい。 適当な賦形剤としては、さらに、可塑剤たとえばグリセロールトリアセテートまたは1,2−プロピレングリコール、および製剤のpHを調整するための物質たとえば乳酸またはクエン酸がある。好ましくは、乳酸は全製剤の重量に基づいて、0.5重量%〜5重量%使用される。 本発明の製剤にはさらに、化粧料に慣用される添加物、たとえばフタレート、グリセリルトリアセテートまたはカンファーに基づく可塑剤、着色剤または着色色素、真珠光沢剤、スルホンアミド樹脂、沈降遅延剤、シリケート、賦香物質、湿潤剤たとえばナトリウムドデシルスルホスクシネート、ラノリン誘導体、遮光剤たとえば2 ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、または抗細菌活性を有する物質を含有させることができる。たとえば、着色または染色ネイルバーニッシュは、本発明による製剤が患者の美意識に合わせて調製可能であり、一方では既存の爪の変化が第三者に直接見えないという利点がある。 本発明の製剤は尿素および親水性フィルム形成剤を水/アルコール中に導入し、ついで混合することによって調製される。好ましくは、水−アルコール溶液はその中に、全溶液の重量に基づき、15%〜30%量の尿素が溶解した型で存在するように調製される。親水性フィルム形成剤の量は各場合、したがって、全溶液の重量に基づき約15%〜35%である。親水性フィルム形成剤の量は尿素の量に依存し、尿素およびさらに存在する任意の非揮発性賦形剤の量に依存して、各場合100%に調製される。水または水−アルコール混合物の比率は、各場合、全溶液の重量に基づいて30%〜60%、好ましくは35%〜55%である。 本発明の製剤は、好ましくは溶液として、処置すべきケラチン性物質に適用される。それは急速に乾燥し、急速に接着性のフィルムを形成し、これは拭き取られたり擦り取られたりするのに対して抵抗性を示す。溶液はたとえば刷毛で適用される。 本発明はさらに、本発明の製剤の、異常なケラチン性物質の除去のための使用に関する。 「異常なケラチン性物質」の語は、ヒトおよび動物における異常なケラチン性物質たとえば疣贅、仮骨、硬化した皮膚、または真菌の攻撃もしくは乾癬疾患により変化した足指および手指の爪を意味するものとして理解される。異常なケラチン性物質については、異常に修飾された皮膚または爪の層構造に認められる角質増殖症とは組織学的に識別することができる。 本発明はまた、 a)製剤の非揮発性構成成分に基づいて30重量%〜90重量%の量の尿素、 b)親水性フィルム形成剤、および c)水またはアルコール−水混合物を含む製剤の、異常なケラチン性物質の処置および除去のための医薬の製造における使用に関する。 尿素の量は各場合とも、本発明による使用に係る非揮発性構成成分に基づき、好ましくは35〜85重量%、とくに39重量%〜83重量%であり、とくに好ましくは46重量%〜63重量%、さらに好ましくは55重量%〜63重量%である。 親水性フィルム形成剤は、非揮発性構成成分に基づいて10重量%〜70重量%の量を使用される。親水性フィルム形成剤の量は尿素の量に依存し、尿素およびさらに存在する任意の非揮発性賦形剤の量に依存して100%にされる。約25〜35%の尿素と15〜20%の親水性フィルム形成剤の混合物は、それらがより高いまたはより低い親水性フィルム形成剤含量を有する処方に比べて乾燥時間が短いので、有利である。 本発明の使用においては、本発明の製剤の場合と同一のアルコールを使用することができる。水および/またはアルコールの量は本発明の場合と類似している。使用することができる親水性フィルム形成剤は、本発明の製剤について上述したフィルム形成剤に相当する。さらに、本発明の使用においても、本発明の製剤の場合と同じ賦形剤または添加物を採用することができる。 本発明はまた、全溶液の重量に基づいて、15%〜35%、好ましくは25%〜33%の量の尿素、および各場合、全溶液の重量に基づいて約15%〜約35%、好ましくは 17%〜25%の親水性フィルム形成剤からなる水性溶液の、異常なケラチン性物質の処置用医薬を製造するための使用に関する。 異常なケラチン性物質は本発明の製剤を適用し、乾燥製剤を適宜、長時間作用させて除去するかまたはケラチン性物質を処置し、ついで異常なケラチン性物質を機械的に除去する。 本発明はさらに、本発明による製剤の、脆い足指または手指爪の加湿のための使用に関する。 本発明をついで以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。とくに他の指示がない限り、量的データは重量に基づくものである。 本発明の製剤は以下の組成を有する。 尿素 30% ポリビニルピロリドン(分子量約11 500) 20% 鉱物質除去水 50% 本発明の製剤は以下の組成を有する。 尿素 30% ポリビニルピロリドン(分子量約11 500) 20% エタノール 20% 鉱物質除去水 30% 本発明の製剤は以下の組成を有する。 尿素 30% ポリビニルピロリドン(分子量約11 500) 20% プロパン-2-オール 20% 乳酸 1% 鉱物質除去水 29% 本発明の製剤は以下の組成を有する。 尿素 30% ポリビニルピロリドン(分子量約11 500) 20% 乳酸 1% 鉱物質除去水 49% 本発明の製剤は以下の組成を有する。 尿素 30% ポリビニルピロリドン(分子量約11 500) 20% プロパン2-オール 20% 鉱物質除去水 30% 本発明の製剤は以下の組成を有する。 尿素 30% ポリビニルピロリドン(分子量約11 500) 20% クレモフォール EL 1% 乳酸 1% 鉱物質除去水 48%活性試験 2例の罹病患者の足指を実施例3の製剤で処置した。 実施例3に記載の本発明の製剤を、1日1回就寝前に刷毛で、患部の爪に適用した。爪に適用後に形成される尿素含有フィルムは、拭き取られるのに対し抵抗性を示し、撥水性であった。したがって、爪周囲の皮膚領域に対する特別な保護およびプラスター包帯の適用は不必要であった。製剤の高い水分含量のために、患部の足指をさらに水で浸すことはしなかった。結果: 約6日間処置したのち、爪の患部領域および爪下の組織残渣はスクレーパーで容易に除去された。爪のひどい脆さは消失し、重篤な角質層の肥厚の重症度は中等度まで改善した。 約6日間処置したのち、第二の患者では爪の脆さは消失し、重篤な角質増殖症はもはや存在しなかった。すなわち、良好な治療の成功を示した。 いずれの患者も良好な治療結果を示した。本発明の製剤の許容性はきわめて良好であった。両患者とも本発明の製剤の取り扱い易さにはきわめて満足であった。 a)製剤の非揮発性構成成分に基づいて41重量%〜69重量%の量の尿素、 b)アクリル酸/メタクリル酸エステルコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル/ビニルピロリドンコポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、メチルビニルエーテル/マレイン酸コポリマー、ポリエステル、ポリエステルアミド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはそれらの混合物からなる群より選択される、製剤の非揮発性構成成分に基づいて30重量%〜59重量%の親水性フィルム形成剤、および c)水またはアルコール−水混合物を含有する製剤。 水−アルコール性溶液におけるアルコールには、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノールおよびヘキサノールまたはそれらの混合物からなる群より選択されるアルコールが用いられる請求項1記載の製剤。 異常なケラチン性物質の除去のための、請求項1または2記載の製剤。 異常なケラチン性物質が疣贅、仮骨、硬化した皮膚、または真菌の攻撃もしくは乾癬疾患により変化した足指および手指の爪からなる群より選択される請求項3記載の製剤。 異常に脆くなった足指または手指爪の加湿のための、請求項1または2記載の製剤。


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