| タイトル: | 特許公報(B2)_口臭成分洗浄組成物及びそれを含む口腔用組成物、チューインガム及び口中清涼菓子 |
| 出願番号: | 2003415770 |
| 年次: | 2010 |
| IPC分類: | A61K 8/34,A61K 8/36,A61K 8/37,A61Q 11/00,A23G 3/34,A23G 4/00 |
柏木 光義 JP 4440622 特許公報(B2) 20100115 2003415770 20031212 口臭成分洗浄組成物及びそれを含む口腔用組成物、チューインガム及び口中清涼菓子 花王株式会社 000000918 岸本 達人 100104499 星野 哲郎 100108800 山下 昭彦 100101203 柏木 光義 JP 2002361418 20021212 20100324 A61K 8/34 20060101AFI20100304BHJP A61K 8/36 20060101ALI20100304BHJP A61K 8/37 20060101ALI20100304BHJP A61Q 11/00 20060101ALI20100304BHJP A23G 3/34 20060101ALI20100304BHJP A23G 4/00 20060101ALI20100304BHJP JPA61K8/34A61K8/36A61K8/37A61Q11/00A23G3/00 101A23G3/30 A61K 8/00 A23G 3/34 A23G 4/00 A61Q 11/00 特開2002−029951(JP,A) 特開2002−113080(JP,A) 特開2000−281545(JP,A) 特開平04−124123(JP,A) 特開昭63−277612(JP,A) 特開平01−250312(JP,A) 特開2003−073282(JP,A) 特開2003−081797(JP,A) 特開2003−300850(JP,A) 特開2004−018470(JP,A) 特表2002−540123(JP,A) 特開平10−025232(JP,A) 特開昭62−277314(JP,A) 特開昭59−029618(JP,A) 5 2004203872 20040722 16 20051207 清野 千秋 本発明は、口臭成分洗浄組成物に関し、更に詳細には口腔内に残留あるいは吸着したスカトール、クレゾールなどの口臭成分を効果的に洗浄する組成物及びそれを含む口腔用組成物、チューインガム及び口中清涼菓子に関する。 これまで、口臭の原因物質として硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルスルフィドなどの揮発性含硫化合物(Volatile Sulfer Compounds:VSC)、脂肪酸類、アミン類、フェノールやクレゾールなどの芳香族化合物、インドールやスカトールなどの含窒素芳香族化合物などが考えられている。 これら口臭成分のうち、VSCについては、メチルメルカプタンを産生するといわれているフゾバクテリウム ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)の生育を抑制する天然抽出物やメチルメルカプタンを消臭する金属塩などについて多くの検討がなされている。また、アミン類については、アミン類を消臭する天然抽出物について多くの検討がなされている。しかしながら、口腔内のフェノールやクレゾールなどの芳香族化合物、インドールやスカトールなどの含窒素芳香族化合物の消臭方法や洗浄方法についての報告はなされていない。 口腔内以外では、特に糞便臭の原因であるスカトールの消臭方法として、スカトール分解能を有する微生物の菌体もしくはその破砕物またはそれらの固定化物を、メタノール、ジオキサン、アセトン、2−プロパノール及びアセトニトリルから選ばれる有機溶媒を含む水溶液に溶解されたスカトールを接触させる方法(特許文献1)、スカトールなどの臭気物質に対する脱臭能を有する、バチルス・バディウス属の微生物による消臭方法(特許文献2)などが報告されている。しかし、これらの方法は、いずれも口腔用組成物などの口腔内で使用することが全く考慮されていない。 すなわち、特許文献1の場合は、メタノール、ジオキサン、2−プロパノール、アセトニトリルなど口腔内への使用が不可能な有機溶剤が使用されているために、人体への安全性が問題になる。また、特許文献1、特許文献2ともにスカトールを分解、あるいは脱臭する微生物を使用しているが、人体への安全性は不明確な点がある。さらに、これらの微生物を口腔用組成物に配合した場合に、微生物が長期間安定に存在できるとは考えにくく、スカトールの分解能や脱臭能を充分に発揮できるとは思えない。 一方、口臭やペットや家畜の匂いを消臭するものとしてローズマリー、ヒマワリ種子、生コーヒー豆、茶、ブドウ果皮、ブドウ種子、リンゴなどの抽出物とポリフェノールオキシダーゼなどのフェノール性化合物を酸化する酵素とを含有する消臭剤組成物(特許文献3)が報告されているが、フェノール、クレゾールやインドール、スカトールに対する効果は明らかにされておらず、かつ、口腔用組成物に配合し長期間保存した場合には、天然物抽出物の着色・変色や酵素活性の失活の可能性があり、製品の品質の面で問題がある。特開平6−226036特開平7−163336特開平10−212221 本発明は、上記問題を鑑みなされたもので、口腔内でも安心して使用でき、また、口腔用製品へ配合した場合に経時安定性にすぐれ、かつ、着色などによる品質劣化が少ない素材により、口腔内に残留又は吸着したインドール、スカトールやフェノール、p−クレゾールなどの匂い成分を効果的に洗浄する口臭洗浄組成物及びそれを含む口腔用組成物、チューインガム及び口中清涼菓子を提供することを目的とする。 本発明者は、口臭の原因となる成分が主にトリメチルアミン、ジメチルスルフィド、p−クレゾール及びスカトールであることを見出し、特に、p−クレゾール及びスカトールは、閾値が低く(トリメチルアミン:0.000032ppm,ジメチルスルフィド:0.0030ppm,p−クレゾール:0.000054ppm,スカトール:0.0000056ppm)口腔粘膜に吸着しやすいことを見出した。p−クレゾール及びスカトールを主たる洗浄目標とし、これらの成分を効果的に除去できる洗浄組成物にすれば、口臭成分の除去はより一層効果的になる。 本発明に係る口臭成分洗浄組成物は、上述の知見に鑑み、p−クレゾール及びスカトールに対する優れた除去効果があるものを配合した。 すなわち、本発明は、(A)d−p−メント−4(8)−エン−3−オン(プレゴン)、6,8(9)−p−メンタジエン−2−オン(カルボン)、酢酸、オクタン酸(オクタノイックアシッド)、デカン酸(デカノイックアシッド)、クエン酸、リンゴ酸、ギ酸エチル(エチルフォーメート)、酢酸エチル(エチルアセテート)、酪酸エチル(エチルブチレート)、酢酸アニシル(アニシルアセテート)、オクタン酸エチル(エチルオクタノエート)、デカン酸エチル(エチルデカノエート)、ヘキシルアルコール(ヘキサノール)、オクチルアルコール(オクタノール)、アニスアルコール、デシルアルデヒド(デカナール)、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、アニスアルデヒド、ベンズアルデヒド、γ−デカラクトン、水酸化アルミニウム、塩化ベンゼトニウム、トレハロース、パラチニットから選ばれる化合物1種又は2種以上を含む口臭成分洗浄組成物である。 本発明の口臭成分洗浄組成物を口腔の洗浄又は口臭成分の除去に用いることにより、口腔内に残留又は吸着した口臭成分、特にインドール、スカトールやフェノール、クレゾールから選ばれる1種又は2種以上を含む口臭成分に対し効果的に洗浄又は除去でき、これらの匂い成分による口臭を低減させた。本発明の口臭成分洗浄組成物は、特に口臭の原因となる主成分の1つであるスカトールの洗浄又は除去に優れた効果を有する。 従来、口臭成分に対して消臭効果があるといわれてきた消臭剤は、フェノールやクレゾールなどの芳香族化合物及びインドールやスカトールなどの含窒素芳香族化合物を消臭することが困難であるが、本発明によれば、これらの消臭困難な芳香族化合物及び含窒素芳香族化合物を口腔から洗浄する効果が高く、口腔内でも安心して使用できることができ、しかも口腔用製品へ配合した場合に経時安定性に優れることから、口腔用製品、嗜好品、食品等に配合しやすい。 本発明の口臭成分洗浄組成物は、(A)成分として、d−p−メント−4(8)−エン−3−オン、6,8(9)−p−メンタジエン−2−オン、酢酸、オクタン酸、デカン酸、クエン酸、リンゴ酸、ギ酸エチル、酢酸エチル、酪酸エチル、酢酸アニシル、オクタン酸エチル、デカン酸エチル、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、アニスアルコール、デシルアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、ベンズアルデヒド、γ−デカラクトン、水酸化アルミニウム、塩化ベンゼトニウム、トレハロース、パラチニットから選ばれる化合物を1種又は2種以上含むものであり、口臭成分であるフェノール、クレゾール、インドール、スカトール、特にスカトールに対して優れた洗浄効果、口臭成分の除去効果を有するものである。 本発明の口臭成分洗浄組成物は、用途に応じて該組成物の形態を変えることができる。すなわち、油溶性液体として使用する場合は、d−p−メント−4(8)−エン−3−オン、6,8(9)−p−メンタジエン−2−オン、酢酸、オクタン酸、デカン酸、ギ酸エチル、酢酸エチル、酪酸エチル、酢酸アニシル、オクタン酸エチル、デカン酸エチル、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、アニスアルコール、デシルアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、ベンズアルデヒド、γ−デカラクトンから選ばれる油溶性の化合物を、香料物質、すなわち、メントール、アネトール、ペパーミント油、スペアミント油、メチルサリシレート、オイゲノール、ユーカリプトール、リモネン、その他ハーブやスパイスから得られる精油やオレオレジン、フルーツフレーバーなどに混合することで容易に調製することができる。油溶性液体として使用する場合、口臭成分洗浄組成物に対する前記成分(A)の配合量は、0.00001〜100質量%、好ましくは0.001〜75質量%、特に好ましくは0.01〜60質量%とすることがよい。 また、水溶性液体として使用する場合は、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、塩化ベンゼトニウム、トレハロース、パラチニットなどの水溶性の化合物を混合して水溶液を調製することができる。この水溶液を、そのまま用いることもできるが、水溶性の化合物を水に溶解した後に、乳化剤等を用いて前記油溶性液体からなる洗浄組成物と混合して乳化物としても良い。水溶性液体として使用する場合、口臭成分洗浄組成物に対する成分(A)の配合量は、0.00001〜100質量%、好ましくは、0.001〜50質量%、特に好ましくは0.01〜30質量%とすることがよい。 さらに、粉末として使用する場合には、デキストリン、デンプン、シリカなどの賦形剤に上述した油溶性又は水溶性(乳化物であってもよい)の液体に調製された洗浄組成物を含浸させて粉末化してもよい。粉体を作る方法は、含浸のみに限定されるものではなく、スプレードライやフリーズドライなどの通常の粉末化技術を用いても良い。また、水酸化アルミニウムを単独で用いても良く、デキストリン、デンプン、シリカなどの賦形剤と混合して使用してもよい。 粉末として使用する場合、成分(A)の配合量は賦形剤の吸油能により異なるが、例えば、シリカの場合は、シリカに対して0.00001〜250質量%、好ましくは0.001〜200質量%、特に好ましくは0.01〜100質量%の(A)成分を含浸させる。また、賦形剤がデキストリンやデンプンの場合には、賦形剤に対して、0.00001〜100質量%、好ましくは0.001〜50質量%、特に好ましくは0.01〜25質量%の(A)成分を含浸させる。 本発明の口臭成分洗浄組成物に、成分(B)として炭素数4〜24の糖アルコールを1種又は2種以上を配合した場合は、口臭成分洗浄組成物の口臭成分の洗浄効果、特にスカトールの洗浄効果がより高まる。 炭素数4〜24の糖アルコールとしては、エリスリトール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ガラクチトール、ソルビトール、イジトール、マンニトール、パラチニット、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、マルトテトライトール、イソマルトテトライトール等が挙げられる。かかる糖アルコールはD体、L体のいずれであってもよく、またその混合物であってもよい。特にソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、パラチニットが、口臭成分の洗浄に高い効果が得られると同時に、甘味の質の良さ、入手の容易さなどから好ましい。 本発明の口臭成分洗浄組成物における成分(B)の配合量は、20〜99質量%で、好ましくは40〜98質量%、さらに好ましくは50〜97質量%、特に好ましくは60〜96質量%である。 本発明に係る成分(A)と成分(B)との質量比は、本発明の作用効果を損なわない限り特に限定されないが、口臭成分洗浄組成物が配合される口腔用組成物等のような最終組成物の使用感を改善する観点から、成分(A):成分(B)の質量比は、100:1〜1:400000で、好ましくは50:1〜1:10000、特に好ましくは20:1〜1:6000の質量比で配合することができる。 より具体的には、成分(A)がd−p−メント−4(8)−エン−3−オン、6,8(9)−p−メンタジエン−2−オン、酢酸、オクタン酸、デカン酸、クエン酸、リンゴ酸、ギ酸エチル、酢酸エチル、酪酸エチル、酢酸アニシル、オクタン酸エチル、デカン酸エチル、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、アニスアルコール、デシルアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、ベンズアルデヒド、γ−デカラクトン、塩化ベンゼトニウムである場合、(A):(B)の質量比は、1:10〜1:40000であってもよく、1:30〜1:10000が好ましく、特に1:40〜1:6000が好ましい。成分(A)がトレハロース、水酸化アルミニウム、パラチニットである場合には、(A):(B)の質量比は、100:1〜1:25であってもよく、特に20:1〜1:10が好ましい。 本発明の口臭成分洗浄組成物には、組成物の使用感の向上の観点から、前記(B)成分に加えて、さらに(C)成分としてメントール、アネトール、ペパーミント油、スペアミント油、メチルサリシレート、ユーカリプトール、オイゲノール、リモネンから選ばれる1種又は2種以上を加えることができる。 本発明の口臭成分洗浄組成物は、口腔内でも安心して使用できることができ、しかも口腔用製品へ配合した場合に経時安定性に優れることから、口腔用組成物、チューインガム、口中清涼菓子等に配合して用いることができる。 本発明の口臭成分洗浄組成物を含有する口腔用組成物としては、例えば、粉歯磨剤、潤性歯磨剤、練り歯磨剤、液状歯磨剤、洗口剤、口中清涼剤等が挙げられる。また、口腔用組成物は、その剤型に応じて、口腔用組成物の一般的な製法に準じて製造することができる。 本発明の口腔用組成物には、口腔用組成物に用いられている様々な成分、例えば、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第1スズ、塩化ナトリウム、乳酸アルミニウム、グリチルレチン酸、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩化リゾチーム、イプシロンアミノカプロン酸、アズレン、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅、酢酸dl−トコフェロール、硝酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、デキストラナーゼ、アミラーゼ、クエン酸亜鉛、塩化亜鉛等の有効成分を添加することができる。 また、無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等の研磨剤;プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、グリセリン等の湿潤剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン等の粘結剤;パラオキシ安息香酸メチル等の保存剤、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム等の殺菌剤;トラネキサム酸等の消炎剤;水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のpH調整剤;ペパーミント油、スペアミント油、アネトール、ユーカリプトール、オイゲノール、メチルサリシレート、リモネン、ハーブやスパイスから得られた天然香料素材、種々のフルーツフレーバー等口腔用組成物や食品に使用することのできる香料;着色剤;発泡剤を添加することができる。また、本発明の口腔用組成物を調整するために、精製水等の水を用いる。 本発明の口腔用組成物に対する前記口臭成分洗浄組成物の配合量は、0.00001〜80質量%で、好ましくは0.001〜60質量%、特に好ましくは0.01〜40質量%である。 本発明の口臭成分洗浄組成物を含有するチューインガムは、味ガム及び風船ガムのいずれのチューインガムであってもよい。本発明のチューインガムにおけるガムベースの配合とガム配合は、従来の配合方法に準ずればよい。ガムベースの配合原料としては、天然樹脂、酢酸ビニル樹脂、エステルガム、合成ガム、天然ワックス、乳化剤、及び炭酸カルシウム等が挙げられ、これらを上記チューインガムの種類に応じて選択し配合する。 ガムベースの配合例は、例えば次の通りである。味ガムベースでは、天然樹脂10〜30質量%、酢酸ビニル樹脂10〜30質量%、合成ゴム10〜30質量%、エステルガム5〜20質量%、ワックス類10〜40質量%、乳化剤1〜10質量%及び充填剤5〜20質量%等の割合で配合される。風船ガムベースでは、酢酸ビニル樹脂10〜40質量%、合成ゴム10〜30質量%、エステルガム5〜20質量%、ワックス類10〜40質量%、乳化剤5〜20質量%、充填剤5〜20質量%等の割合で配合される。 本発明のチューインガムは、上記のようなガムベースに、前記口臭成分洗浄組成物、砂糖、ブドウ糖、水飴等の糖類、栄養素及び香料などを加え、常法により混合される。チューインガムに対する口臭成分洗浄組成物の配合量は、チューインガム中0.0001〜80質量%、好ましくは、0.001〜60質量%、特に好ましくは0.01〜40質量%である。 香料としては、天然香料、合成香料などの油脂香料が適当であるが、特に限定されない。例えば、ミント系香料(ペパーミント、スペアミント、メントール等)、フルーツ系香料(シトラス、ミックスフルーツ、ストロベリー、グレープ等)、スパイス系香料(シナモン、クローブ、アネトール、リコリス他)等が挙げられる。 本発明の口臭成分洗浄組成物を含有する口中清涼菓子は、キャンディーや錠菓などその剤型に応じて、一般的な製法に準じて製造することができる。すなわち、本発明のキャンディーは、前記口臭成分洗浄組成物を含有するキャンディー生地を成型したものであり、キャンディー生地とは糖分に所望により乳製品、油脂、果実、種実、デンプン、小麦粉、酸味料、着香料を配合したものを原料として、飴状に煮詰めたものである。本発明のキャンディーに対する前記口臭成分洗浄組成物の配合量は、キャンディー中、0.00001〜80質量%、好ましくは0.001〜60質量%、特に好ましくは0.01〜40質量%である。 本発明のキャンディーには、ハードキャンディー、ソフトキャンディーがあり、さらにハードキャンディーには、生地アメ、ドロップ、引きアメ等があり、ソフトキャンディーには、キャラメル、ヌガー等がある。 一方、本発明の口臭成分洗浄組成物を含有する錠菓は、ブドウ糖、果糖、乳糖、などの糖類や還元麦芽糖水飴(マルチトール)、キシリトール、ソルビトール、ラクチトール、パラチニット、マンニトールなどの糖アルコール類をアラビアガムなどの乳化剤と共にデキストリンやデンプンなどの賦形剤で粉末あるいは顆粒にしたものと滑沢剤としてショ糖脂肪酸エステル、及び前記口臭成分洗浄組成物を加えて打錠機にて錠剤とすることで製造できる。本発明の錠菓に対する前記口臭成分洗浄組成物の配合量は、錠菓中に0.00001〜80質量%、好ましくは、0.001〜60質量%、特に好ましくは0.01〜40質量%となるようにするのがよい。<実験>洗浄効果のある化合物のスクリーニング 口腔内に残留又は吸着したスカトールやp−クレゾールなどを洗浄する効果を確認する方法として、次のモデル系を使用した。すなわち、ケラチンパウダー0.5gを人工だ液6mlに分散し、スカトール2mgを添加・攪拌した。37℃の高温槽にて3時間保温したのち、試験化合物を2mg(あるいは5mg、200mg)を添加し攪拌した。ケラチンパウダーと人工だ液の混合物にスカトールを添加・攪拌した直後(初期)、3時間保温後、及び、試験化合物添加後の各時点のサンプルに、内部標準物質を加えたジエチルエーテル4mlを添加・攪拌し、遠心分離後、ジエチルエーテル層をGLCにて分析した。スカトールの初期抽出量と3時間保温後の抽出量、さらに試験化合物を添加した後の抽出量よりケラチンパウダーから洗浄されたスカトール量を計算した。 洗浄率(%)={(試験化合物添加後の抽出量)−(3時間後の抽出量)}/{(初期抽出量)−(3時間後の抽出量)}×100 表1に、洗浄試験の結果を示した。表1に示した化合物を用いることでケラチンパウダーに吸着したスカトールを高い洗浄率で洗浄できた。<参考データ>各種消臭剤によるスカトール消臭実験 これまで口臭成分に対して消臭効果があるといわれてきた各種消臭剤の効果について、下記手順により確認試験を実施した。 ニオイ成分の消臭試験1. スカトールの10%(w/v) PG(プロピレングリコール)溶液を調製した。2. 手順1の各物質10%PG溶液を50μlとり、これを水で100mlに希釈しコントロールとした。3. 手順1の各物質10%PG溶液を50μlとり、これに消臭剤を添加して水で100mlに希釈した。4. 水(水溶液)で100mlに希釈したときをゼロとし、一定時間後のニオイ変化を、下記ニオイ強度の基準に従い官能評価にて判断した。結果を表2に示した。 ニオイ強度 1:やっと感知できる匂い 2:何の匂いかわかる弱い匂い 3:楽に感知できる匂い 4:強い匂い 5:強烈な匂い 表2に示すように、スカトールの消臭試験では、これまで有効といわれていた消臭剤では消臭が困難であることを確認した。 <口腔用組成物等の調製> 表3及び表4に示す組成に従って実施例1−1〜1−26及び比較例1−1〜1−3の歯磨剤を調製した。また、表5に示す組成に従って実施例2−1〜2−4及び比較例2の洗口剤を調製した。また、表6に示す組成に従って実施例3−1〜3−4及び比較例3のチューインガムを調製した。また、表7に示す組成に従って実施例4−1及び比較例4−1のキャンディー、実施例4−2及び比較例4−2の錠菓を調製した。 <官能評価方法> 得られた歯磨剤、洗口剤、チューインガム、キャンディー及び錠菓を、口臭を有する被験者3名に使用してもらい、使用前と使用30分後の口臭の強さについて、専門パネル3名が下記基準にて官能評価を行なった。歯磨剤の使用量は約1g、洗口剤の使用量は約5mlとした。評価結果は、表3乃至表7に併せて示す。 <評価基準> 5:口臭が明かに低減している 4:口臭が低減している 3:口臭がやや低減している 2:口臭があまり低減していない 1:口臭が全く低減していない 表3及び表4より、実施例1−1の歯磨剤には6,8(9)−p−メンタジエン−2−オンを配合し、実施例1−2には水酸化アルミニウムを配合したため、口臭成分であるフェノール、p−クレゾール、インドール、スカトールが洗浄された結果、口臭がやや低減された。実施例1−3、1−4には、水酸化アルミニウムに加え、さらに脂肪族エステルである酢酸エチル、アニシル系化合物である酢酸アニシル、芳香族アルデヒドである4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、ケトン類の6,8(9)−p−メンタジエン−2−オンなどを配合したため、高い口臭低減効果を得た。 実施例1−5には、アニシル系化合物であるアニスアルデヒドとラクトン類のγ‐デカラクトンを配合し、また、実施例1−6には、アニスアルデヒド、γ−デカラクトンに加えて、脂肪族アルコールであるヘキシルアルコールとオクチルアルコールを配合したため、高い口臭低減効果を得た。 さらに実施例1−7〜1−13には、成分(A)を含む実施例1−1〜1−6の歯磨剤のグリセリンの代わりに、成分(B)であるソルビトール、パラチニットを配合したため、その相乗効果により高い口臭低減効果を得た。 実施例1−14〜1−26には、成分(A)に加えて、成分(B)として、さらにエリスリトール、マルチトールを配合したため、その相乗効果により高い口臭低減効果を得た。 これに対し、(A)成分を含まない比較例1−1、比較例1−2、比較例1−3は、全く口臭の低減効果がなく、特に比較例1−3の場合、香料を実施例1−1〜1−13の2倍量を配合したにもかかわらず、口臭の低減効果が低い結果であった。 この結果から、本発明に係る口腔用組成物の口臭低減効果は、口臭成分洗浄組成物の口臭成分の洗浄により口臭成分が除去され、口臭の低減ができたものであり、口臭成分洗浄組成物に配合されている香料によるマスキング効果によるものではないことが明らかになった。 表5より、実施例2−1の洗口剤にはトレハロースが、実施例2−2にはクエン酸が配合されているため、口臭成分であるフェノール、p−クレゾール、インドール、スカトールが洗浄され、口臭がやや低減された。実施例2−3にはギ酸エチルと酪酸エチルを、実施例2−4にはトレハロースとクエン酸と酪酸エチルを配合することで、口臭を低減する効果の高い洗口剤が得られた。 表6に示したように、実施例3−1のチューインガムにはパラチニットが、実施例3−2には4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒドが配合されているため、口臭成分であるフェノール、p−クレゾール、インドール、スカトールが洗浄され、口臭がやや低減された。実施例3−3には4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒドと酢酸アニシルを、実施例2−4にはパラチニットと4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒドと酢酸アニシルを配合することで、口臭を低減する効果の高いチューインガムが得られた。 表7より、実施例4−1のキャンディーには4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒドと酢酸アニシルが配合されているため、口臭を低減する効果の高いキャンディーが得られた。また、実施例4−2の錠菓にはパラチニットとトレハロースと酪酸エチルが配合されているため、口臭を低減する効果の高い錠菓が得られた。 本発明に係る成分(A)及び成分(B)が配合された歯磨剤のスカトール(口臭の主成分の1つ)洗浄効果について、前記の洗浄素材スクリーニングと同様の方法を用いてその洗浄効果を確認した。すなわち、ケラチンパウダー0.5gを人工だ液6mlに分散し、スカトール2mgを添加・攪拌した。37℃の高温槽にて3時間保温したのち、表8に記載の歯磨剤200mgを添加し攪拌した。ケラチンパウダーと人工だ液の混合物にスカトールを添加・攪拌した直後(初期)、3時間保温後、及び、歯磨剤添加後の各時点のサンプルに、内部標準物質を加えたジエチルエーテル4mlを添加・攪拌し、遠心分離後、ジエチルエーテル層をGLCにて分析した。スカトールの初期抽出量と3時間保温後の抽出量、さらに歯磨剤を添加した後の抽出量よりケラチンパウダーから洗浄されたスカトール量を計算した。評価結果は、表8に示す。 洗浄率(%)={(歯磨剤添加後の抽出量)−(3時間後の抽出量)}/{(初期抽出量)−(3時間後の抽出量)}×100 表8に示したように、口臭成分洗浄組成物を配合していない比較例5−1、5−2はスカトールの洗浄率が−3.8〜−4.4%であり、すなわち、ケラチンパウダーのスカトール吸着を促進する傾向を示しているのに対して、実施例5−1は、口臭成分洗浄組成物を配合したため、ケラチンパウダーに吸着したスカトールを37.4%洗浄・除去することができた。特に、実施例5−2は、さらに糖アルコールとして、エリスリトールを併用したもので、76.7%という高い洗浄率を示し、本発明に係る成分(A)と成分(B)とを2種以上併用することにより、口臭成分を効果的に洗浄、除去することができることが実証された。 下記成分(A)から選ばれる1種又は2種以上からなる、口臭成分であるスカトールの洗浄剤。成分(A):オクタン酸、デカン酸、酢酸アニシル、オクタン酸エチル、デカン酸エチル、アニスアルコール 下記成分(A)から選ばれる1種又は2種以上及び下記成分(B)から選ばれる1種又は2種以上からなる、口臭成分であるスカトールの洗浄剤。成分(A):オクタン酸、デカン酸、酢酸アニシル、オクタン酸エチル、デカン酸エチル、アニスアルコール成分(B):炭素数4〜24の糖アルコール 前記成分(B)は、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、パラチニットから選ばれる1種又は2種以上である請求項2に記載の口臭成分であるスカトールの洗浄剤。 前記成分(A):前記成分(B)の質量比が100:1〜1:400000である請求項2又は3に記載の口臭成分であるスカトールの洗浄剤。 下記成分(A)から選ばれる1種又は2種以上及び下記成分(C)から選ばれる1種又は2種以上からなる、口臭成分であるスカトールの洗浄剤。成分(A):オクタン酸、デカン酸、酢酸アニシル、オクタン酸エチル、デカン酸エチル、アニスアルコール成分(C):メントール、アネトール、ペパーミント油、スペアミント油、メチルサリシレート、オイゲノール、ユーカリプトール、リモネン