生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_粘性水系組成物
出願番号:2003415049
年次:2011
IPC分類:A61K 8/73,A61K 8/02,A61K 8/34,A61K 8/60,A61Q 19/00,C08L 5/00


特許情報キャッシュ

村上 恵里子 藤田 太一 鈴木 正人 JP 4634030 特許公報(B2) 20101126 2003415049 20031212 粘性水系組成物 株式会社 サティス製薬 505443160 鈴木 正人 594095958 河野 哲 100091351 中村 誠 100088683 蔵田 昌俊 100108855 峰 隆司 100075672 福原 淑弘 100109830 村松 貞男 100084618 橋本 良郎 100092196 村上 恵里子 藤田 太一 鈴木 正人 20110216 A61K 8/73 20060101AFI20110127BHJP A61K 8/02 20060101ALI20110127BHJP A61K 8/34 20060101ALI20110127BHJP A61K 8/60 20060101ALI20110127BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20110127BHJP C08L 5/00 20060101ALI20110127BHJP JPA61K8/73A61K8/02A61K8/34A61K8/60A61Q19/00C08L5/00 A61K 8/00 国際公開第03/000787(WO,A1) 特開平03−081213(JP,A) 特開平07−233045(JP,A) 特開2003−277253(JP,A) 特開2001−026515(JP,A) 特開平04−224886(JP,A) 特開昭54−092633(JP,A) 特開平05−032521(JP,A) 特開2001−342108(JP,A) 特開2004−137225(JP,A) 特開2001−342110(JP,A) 特開2003−246722(JP,A) 特開昭56−125306(JP,A) 特開昭56−125305(JP,A) 特開昭55−035008(JP,A) 8 2005170884 20050630 13 20031212 2007016749 20070614 川上 美秀 伊藤 幸司 内藤 伸一 本発明は、化粧品等に好適に使用され得る粘性水系組成物に関し、詳しくは、透明性が高く、尚かつ保存安定性及び使用感に優れる粘性水系組成物に関するものである。 化粧料や医薬部外品、医薬品等に利用され得る水系粘性組成物においては、少量の配合で高粘度が得られ、透明性や使用感にも優れるとの理由から、増粘剤として様々な合成系の高分子が用いられてきたが、一方で増粘性を有する合成高分子はイオンや塩に弱く、粘度低下が起きるという欠点を有していた。このため、化粧品等の分野においては、種々の増粘性天然高分子を用いるなど、実質的に合成系の高分子を用いない水系粘性組成物の製造に関し様々な検討がなされてきた。 しかしながら、合成系の高分子を用いることなく実質的に天然高分子のみで目的に応じた適度な粘性を有する粘性水系組成物を製造しようとすると、濁りやべたつきが生じたり、保存安定性が悪いなどの問題点があった。また、天然高分子のみで例えばジェルやパック剤等に用いられる高粘度組成物を得ようとすると天然高分子の添加量が多くなり、外観的な濁り、使用時のべたつき、糸引きやねばりが生じたり、膜がもろくなる等の傾向が見られた。 本発明は、かかる問題点に鑑み開発されたものであり、高分子の添加量を抑えつつも所望の粘度が得られ、しかも透明性が高く、尚かつ保存安定性及び使用感に優れる粘性水系組成物を提供することを目的とする。 前記課題を解決すべく本発明者等が鋭意検討した結果、驚くべきことに、増粘剤として公知である特定の天然高分子2種類を組成物中に配合することにより、増粘性を有する合成高分子を実質的に用いることなく極めて少量の天然高分子のみで目的とする粘度を有する水系粘性組成物が得られ、しかも該組成物は透明性が高く、保存安定性及び使用感にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明の粘性水系組成物は、ローカストビーンガム及びキサンタンガムを必須成分として含有することを特徴とする。 本発明においては、ローカストビーンガムとキサンタンガムの合計含有率が質量比で、組成物全量に対して0.006以上3.5質量%以下であることが好ましい。 本発明は、一態様において、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計含有率が組成物全量に対して0.006〜0.1質量%未満であり、かつ25℃における粘度が200mPa・s以上5000mPa・s未満である粘性水系組成物である。 また、他の態様において、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計含有率が組成物全量に対して0.1〜1.5質量%であり、かつ25℃における粘度が5000〜140000mPa・sである粘性水系組成物である。 さらに、他の態様において、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計含有率が組成物全量に対して0.5〜3質量%である粘性水系組成物を用いて製造されたパック剤である。 また、本発明においては、ローカストビーンガムの含有率が組成物全量に対して0.003〜3質量%であることが好ましく、また、キサンタンガムの含有率が組成物全量に対して0.003〜3質量%であることが好ましい。 また、本発明においては、ローカストビーンガムとキサンタンガムの配合率が質量比で、ローカストビーンガム:キサンタンガム=1:99〜99:1であることが好ましい。 さらに、本発明においては、多価アルコール及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムを更に含有することが好ましい。 本発明によれば、高分子の添加量を抑えつつも所望の粘度を有し、しかも透明性が高く、尚かつ保存安定性及び使用感に優れる粘性水系組成物を提供することが可能となった。 本発明の粘性水系組成物は、増粘剤として公知である2種類の天然高分子、ローカストビーンガム及びキサンタンガム双方を含有させることにより、それぞれを単独で用いることによっては得られない新たな効果が生じることに着目し完成されたものであり、ローカストビーンガム及びキサンタンガムを必須成分として含有することを特徴とする。 すなわち、増粘剤としてキサンタンガムを用いることなくローカストビーンガムを用いた場合には、常温で長時間放置すると粘度上昇をきたし、また濁りも生ずる。一方、ローカストビーンガムを用いることなくキサンタンガムを用いた場合には、キサンタンガム独特の糸引きやべたつき感があり、また高い粘度を得ることが困難であるところ、ローカストビーンガムとキサンタンガム双方を組成物中に含有させることにより、該問題点を抑制しつつ、極めて少量のローカストビーンガム及びキサンタンガムの配合量において所望の粘度を有する水系粘性組成物が得られる。本発明の水系粘性組成物は、高分子の配合量が少量であるため、透明性や高温安定性、使用感に優れ、また離水しにくく保存安定性に優れ、また柔軟性があり使用時にくずれにくい。 このように本発明において高分子化合物の配合量は極めて少量である。本発明の粘性水系組成物において、必須成分として含有されるローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計配合率は、後述する用途等に応じて適宜設定され得るが、通常は組成物全量に対して0.006〜3.5質量%であり、該範囲において所望とする粘性を得ることができる。より具体的には、例えば本発明の粘性水系組成物が化粧水として用いられる場合には、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計配合率が0.006質量%以上0.1質量%未満であることが好ましく、この場合において通常200mPa・s以上5000mPa・s未満の粘度を有する粘性水系組成物を得ることができる。また、美容液として用いられる場合には、合計配合率が0.1〜1.5質量%であることが好ましく、この場合において通常5000〜140000mPa・sの粘度を有する粘性水系組成物を得ることができる。また、パックとして用いられる場合には、合計配合率が0.5〜3質量%であることが好ましく、この場合において通常140000mPa以上の粘度を有する粘性水系組成物を得ることができる。ローカストビーンガム又はキサンタンガムいずれか一方のみを用いて本発明の粘性水系組成物と同程度の粘性を得ようとすると、高分子化合物の添加量が前記添加量に比べ飛躍的に多くなるため、使用感や透明性が格段に悪くなる。 本発明の粘性水系組成物において、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの好ましい配合率は、後述する用途等に応じて適宜設定され得るが、通常は組成物全量に対してそれぞれ0.003〜3質量%である。それぞれの配合率が0.003質量%未満であると、高温における経時的安定性が悪化する場合があり、一方3質量%を超えると使用感が損なわれる場合があり好ましくない。より具体的には、例えば本発明の粘性水系組成物が化粧水として用いられる場合、配合率はそれぞれ0.003〜0.05質量%、美容液として用いられる場合はそれぞれ0.01〜1質量%、パックとして用いられる場合はそれぞれ0.05〜3質量%が好ましい。 また、本発明の粘性水系組成物において、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの配合比は、後述する用途等に応じて適宜設定され得るが、通常は質量比で、ローカストビーンガム:キサンタンガム=1:99〜99:1である。この配合比よりも相対的にローカストビーンガムの配合量が過剰になると使用感が損なわれる傾向があり好ましくない。一方、キサンタンガムの配合量が過剰になると高温による粘度安定性に問題が生じる場合があり好ましくない。より具体的には、例えば本発明の粘性水系組成物が化粧水又は美容液として用いられる場合、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの配合比はそれぞれ1:99〜99:1、パックとして用いられる場合はそれぞれ1:49〜49:1が好ましい。 本発明においては、前記必須成分に加えて、多価アルコールを配合することが、ローカストビーンガム及びキサンタンガムを組み合わせたことにより奏される本発明の効果が一層顕著となるため好ましい。すなわち、多価アルコールを含有させることにより、ローカストビーンガム及びキサンタンガムと多価アルコールとが相互に作用し、系の粘度を上昇させ、これにより本発明に係る粘性水系組成物の経時的安定性をより一層向上させることが可能となる。用いることができる多価アルコールとしては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられ、多価アルコール1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの中でもプロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコールを好適に用いることができる。 多価アルコールの好ましい配合率は、質量比で、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計:多価アルコール=1:100〜10:1であり、より好ましくは1:80〜2:1である。この配合率より相対的にローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計の配合率が過剰になると経時安定性が損なわれる場合があり、一方多価アルコールの配合率が過剰になると透明性や使用感が悪くなる場合があり好ましくない。 また、本発明においては、前記必須成分に加えて、グリチルリチン酸ジカリウムを配合することが、ローカストビーンガム及びキサンタンガムを組み合わせたことにより奏される本発明の効果が一層顕著となるため好ましい。すなわち、グリチルリチン酸ジカリウムを含有させることにより、本発明に係る粘性水系組成物の高温安定性をより一層向上させることが可能となる。グリチルリチン酸ジカリウムの好ましい配合率は、質量比で、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計:グリチルリチン酸ジカリウム=1:10〜100:1であり、より好ましくは1:5〜30:1である。この配合率より相対的にローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計配合率が過剰になると所期の目的である高温安定性を向上させるという効果を得ることが困難となる場合があり、一方グリチルリチン酸ジカリウムの配合率が過剰になると透明性や使用感が悪くなる場合があり好ましくない。グリチルリチン酸ジカリウムを用いることにより奏される前記効果は、多価アルコールと併せて用いた場合に一層顕著となる。 本発明の粘性水系組成物は、化粧料や医薬品、医薬部外品等に好適に用いることができ、その形態や剤型は特に限定されず、例えば化粧水、乳液、クリーム、パック等に利用することが可能である。 そして、本発明の粘性水系組成物は、イオンや塩に対する安定性を損なわない範囲において公知の増粘性合成高分子を用いることも可能である。また、本発明の粘性水系組成物には、通常化粧料や医薬品等の分野で配合され得る他の成分を本発明の効果が損なわれない範囲で配合することが可能である。 (実施例) 以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す組成物の配合率はすべて質量%である。 (実施例1)ゲル状化粧料 表1に示した配合率において全成分を攪拌機で30分撹拌することによりゲル状化粧料を製造し、各試験品について粘度安定性試験、使用感官能試験を行った。評価方法は以下の通りである。 [粘度安定性試験] 各試験品を25℃と45℃で放置し、B型粘度型(ローター:No.6、回転数:10、測定時間:30秒)で測定した。 [使用感官能試験] 各試験品について曳糸性、皮膜性、べたつき、透明性を評価した。 曳糸性:糸引きがあるか無いかで評価し、糸引きがない場合は○、少しある場合は△、ある場合は×、とした。 皮膜性:乾いた後こすった時ポロポロと出てくるものがあるか無いかで評価し、出ない場合は○、少し出る場合は△、多く出る場合は×、とした。 べたつき:べたつきがあるか無いかで評価し、べたつきがない場合は○、少しある場合は△、べたつく場合は×、とした。 透明性:視感で評価し、透明の場合は○、少し濁りがある場合は△、濁っている場合は×、とした。 結果を表2〜4に示す。 表2の粘度は25℃で測定した結果である。表中、比較例1〜4は本発明例1、4及び7において添加した高分子量と同量の高分子を添加した例であり、比較例5〜7は本発明例1、4及び7の粘度に近い粘度が得られるように高分子量を添加した例である。 表3の粘度は常温で測定した結果である。これより多価アルコール(濃グリセリン)を含有させることにより使用感等を損なうことなく粘度安定性が一層向上することがわかった。 表4の粘度は45℃で測定した結果である。これよりグリチルリチン酸ジカリウムを含有させることにより使用感等を損なうことなく高温での粘度安定性が一層向上することがわかった。また、グリチルリチン酸ジカリウムと濃グリセリンを併せて含有させるとその効果は一層向上することもわかった。また、カルボキシビニルポリマーを用いた比較例3と比較例8では、更にグリチルリチン酸ジカリウムを含有させた比較例8の方が逆に粘度が低くなることがわかった。 (実施例2)パック状化粧料 表5に示した配合率において全成分を攪拌機で30分撹拌することによりパック状化粧料を製造し、各試験品について使用感官能試験を行った。評価方法は以下の通りである。 [使用感官能試験] 各試験品について使用時のくずれ、密着性、保存安定性、透明性、柔軟性を評価した。 使用時のくずれ:試験品を持ち上げた際にくずれが生じるか否かで評価し、くずれが生じなかった場合は○、少し生じた場合は△、生じた場合は×、とした。 密着性:試験品を肌の上にのせた際の肌と試験品の密着性について評価し、密着性がよい場合は○、少し悪い場合は△、悪い場合は×、とした。 保存安定性:試験品の25℃で1カ月保存後の安定性を評価し、安定性がよい場合は○、少し悪い場合は△、悪い場合は×、とした。 透明性:視感で評価し、透明の場合は○、少し濁りがある場合は△、濁っている場合は×、とした。 柔軟性:試験品を曲げたときに亀裂が生じるか否かで評価し、亀裂が生じない場合は○、少し生じる場合は△、すぐに亀裂が生じ割れてしまう場合は×、とした。 結果を表6に示す。 表6の結果から、本発明は高分子の添加量が少ない上に各評価においても優れており、特に粘度の高い場合にその効果が顕著になることがわかった。 (実施例3) 以下に、本発明に係るゲル状美容液、パック剤の処方を示す。いずれにおいても使用感官能試験に関する上記各評価は○であり、経時的粘度安定性にも優れていた。 (3−1)ゲル状美容液 (1)〜(6)、(11)の各成分を70℃にて攪拌機を用いて加温溶解後冷却した。冷却後(7)〜(10)の各成分を添加し、ゲル状美容液を得た。 (3−2)パック剤 (1)〜(6)、(10)の各成分を70℃にて攪拌機を用いて加温溶解後冷却し、40℃にて(7)〜(9)の各成分を添加し、方に流し込み冷却固化しパック剤を得た。 ローカストビーンガム、キサンタンガム及びグリチルリチン酸ジカリウムを含有する粘性水系組成物であって、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計含有率が組成物全量に対して0.006〜3.5質量%である、粘性水系組成物。 ローカストビーンガムの含有率が組成物全量に対して0.003〜3質量%である、請求項1に記載の粘性水系組成物。 キサンタンガムの含有率が組成物全量に対して0.003〜3質量%である、請求項1又は2に記載の粘性水系組成物。 ローカストビーンガム、キサンタンガム及びグリチルリチン酸ジカリウムを含有する粘性水系組成物であって、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計含有率が組成物全量に対して0.006質量%以上0.1質量%未満であり、かつ25℃における粘度が200mPa・s以上5000mPa・s未満である、粘性水系組成物。 ローカストビーンガム、キサンタンガム及びグリチルリチン酸ジカリウムを含有する粘性水系組成物であって、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計含有率が組成物全量に対して0.1〜1.5質量%であり、かつ25℃における粘度が5000〜140000mPa・sである、粘性水系組成物。 ローカストビーンガムとキサンタンガムの配合率が質量比で、ローカストビーンガム:キサンタンガム=1:99〜99:1である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の粘性水系組成物。 多価アルコールを更に含有する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の粘性水系組成物。 ローカストビーンガム、キサンタンガム及びグリチルリチン酸ジカリウムを含有する粘性水系組成物であって、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの合計含有率が組成物全量に対して0.5〜3質量%である粘性水系組成物を用いて製造されたパック剤。


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