生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アズレンスルホン酸ナトリウム製剤
出願番号:2003414450
年次:2007
IPC分類:A61K 31/185,A61K 9/08,A61K 47/04,A61K 47/10,A61K 47/12,A61K 47/34,A61P 1/02,A61P 11/04,A61P 27/02,A61P 29/00


特許情報キャッシュ

安藤 泰幸 JP 3969587 特許公報(B2) 20070615 2003414450 20031212 アズレンスルホン酸ナトリウム製剤 本草製薬株式会社 597097331 草間 攻 100083301 安藤 泰幸 20070905 A61K 31/185 20060101AFI20070816BHJP A61K 9/08 20060101ALI20070816BHJP A61K 47/04 20060101ALI20070816BHJP A61K 47/10 20060101ALI20070816BHJP A61K 47/12 20060101ALI20070816BHJP A61K 47/34 20060101ALI20070816BHJP A61P 1/02 20060101ALI20070816BHJP A61P 11/04 20060101ALI20070816BHJP A61P 27/02 20060101ALI20070816BHJP A61P 29/00 20060101ALI20070816BHJP JPA61K31/185A61K9/08A61K47/04A61K47/10A61K47/12A61K47/34A61P1/02A61P11/04A61P27/02A61P29/00 A61K31/00 A61K9/00 A61K47/00 特開平06−065071(JP,A) 特開昭63−051341(JP,A) 特開平11−246513(JP,A) 特開平07−109218(JP,A) 特公平08−032626(JP,B2) 特公平01−027060(JP,B2) 日本医薬品添加物協会 編集 医薬品添加物事典 2000, pp.262-265 2000年4月28日発行 株式会社薬事日報社 3 2005170876 20050630 8 20050316 伊藤 幸司 本発明は、アズレンスルホン酸ナトリウムを有効成分として含有する水性溶液製剤に関し、詳細には、口腔・咽喉、眼科などの領域における炎症性疾患の予防ならび治療剤として使用することができる、アズレンスルホン酸ナトリウムを安定に含有する水性溶液製剤に関する。 従来から、口腔・咽喉疾患用の液剤として、ヨウ素やポビドンヨードなどを配合した殺菌、消毒用の水性溶液製剤が数多く市販されている。また、口内炎などの炎症を抑える抗炎症成分を配合した口腔・咽喉用製剤も市販されており、そのような抗炎症成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムおよびグリチルリチン酸ジカリウムなどがある。 この中でも、アズレンスルホン酸ナトリウムは、キク科の植物カミツレから抽出された成分であり、カミツレの煎汁エキスは古くから民間薬として種々の炎症性疾患に使用されているものである。また現在では、アズレンスルホン酸ナトリウムを有効成分とする内服用の胃炎・胃潰瘍治療剤、さらには口内炎、咽頭炎、扁桃炎等の治療のための含嗽剤、また眼科用製剤が提供されている。 ところで、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有する製剤については、点眼剤としての液剤以外には、錠剤、顆粒剤、散剤等の固体状の剤形を基本的に採用しており、水溶液製剤として使用される含嗽剤であっても、その剤形は用時溶解型のものである。これはアズレンスルホン酸ナトリウムが水溶液の状態では不安定なものであり、水溶液中では容易に分解を受けることに起因している。 したがって、水性液剤である点眼剤にあっても、有効成分であるアズレンスルホン酸ナトリウムの水溶液中での不安定性を解消させる手段が採用されており、例えば、抗酸化剤であるチオ硫酸ナトリウムや、キレート剤であるEDTAを配合し、そのうえで高価な密閉容器による充填が行われているが、いまだその分解性を完全に解消したものとはなっていない。 そのため、これまでにアズレンスルホン酸ナトリウムを有効成分として含有する安定な水性溶液製剤の検討が、種々行われてきている。例えば、アズレンスルホン酸ナトリウムの水溶液にカチオン性界面活性剤またはクロルヘキシジンと非イオン性界面活性剤を添加した水溶性アズレン誘導体の安定な水溶液の製造方法(特許文献1)、アズレン類と塩化ベンザルコニウムあるいは塩化セチルピリジニウム等の第四級アンモニウム塩を含み、さらに非イオン性界面活性剤、アルコール類を含有させた溶液製剤(特許文献2)、アズレンスルホン酸ナトリウムと多価アルコールを配合した水溶液製剤(特許文献3)などが提案されている。特公平1−27060号公報特公平8−32626号公報特許第2724943号掲載公報 しかしながら、これらの水性溶液製剤にあっては、アズレンスルホン酸ナトリウムと共に界面活性剤を含有するものであり、特に第四級アンモニウム塩である殺菌剤との併用で生じる白濁現象を、界面活性剤を添加することにより抑制させるものであり、界面活性剤の使用は極力回避したほうがよいことはいうまでもない。また、多価アルコールとの併用によるアズレンスルホン酸ナトリウムの安定化を図った水性溶液製剤にあっては、アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が極めて少量の場合には効果があるものの、高濃度アズレンスルホン酸ナトリウムを含有させた場合には、必ずしも安定化を図れたものとなっていないのが現状である。 かかる現状下にあって、本発明者は先に高濃度のアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する安定な水性溶液製剤として、アズレンスルホン酸ナトリウムと共に、多価アルコール、低級アルコールとしてエタノールおよび緩衝剤を含有する水性溶液製剤を提供している(特願2003−282365)。本発明者が先に提案したアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する水性溶液製剤は、界面活性剤を使用するものではなく、その安定化が図れる点で、特に優れたものである。 今回本発明者はさらに検討を進めた結果、先に提案した水性溶液製剤において、多価アルコールとともに含有させていた低級アルコールであるエタノールを使用することなく、また従来から使用されていた界面活性剤を代えてポリエチレングリコール、および多価アルコールとしてグリセリンおよびプロピレングリコールを併用して使用することにより、高濃度のアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する安定な水性溶液製剤が得られることを新規に見出した。 したがって本発明は、界面活性剤を使用することなく、かつ高濃度のアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する安定な水性溶液製剤を提供することを課題とする。 かかる課題を解決するための本発明の基本的態様は、アズレンスルホン酸ナトリウムを0.07〜10%含有し、さらにポリエチレングリコール、多価アルコールとしてグリセリンおよびプロピレングリコール、および緩衝剤を含有することを特徴とする水性溶液製剤である。 より好ましくは、本発明は、アズレンスルホン酸ナトリウムを0.4〜4%含有する水性溶液製剤であり、ポリエチレングリコールの配合量が5〜20%であり、多価アルコールとしてのグリセリンの配合量が20〜35%であり、プロピレングリコールの配合量が40〜50%である水性溶液製剤である。 さらに具体的な本発明は、緩衝剤が、1〜4価の有機カルボン酸およびその塩、リン酸または炭酸の無機酸およびその塩であり、これらの単独もしくは複数組合せ使用する水性溶液製剤であり、より具体的には、有機カルボン酸塩が、クエン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、マレイン酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムであり、無機酸の塩がリン酸水素ナトリウムまたは無水リン酸二ナトリウムであり、これらを単独もしくは複数組合せ使用する水性溶液製剤である。 すなわち、本発明は、アズレンスルホン酸ナトリウムを安定に含有する水性溶液製剤であるが、これまで安定化のために添加されてきたカチオン性あるいは非イオン性の界面活性剤を使用するものではなく、界面活性剤に代えてポリエチレングリコールおよび多価アルコールとしてグリセリンおよびプロピレングリコールを併用して使用することによりアズレンスルホン酸ナトリウムの安定化が図れるものであり、またエタノールなどの低級アルコールを使用しない点に一つの特徴を有するものである。 従来の、界面活性剤を使用しないアズレンスルホン酸ナトリウム含有水性溶液製剤として、例えば特許文献3に記載される水性溶液製剤が提供されているが、この溶液製剤にあっては多価アルコールとの併用によるアズレンスルホン酸ナトリウムの安定化を図ったものであり、高濃度アズレンスルホン酸ナトリウムを含有させた場合には、多価アルコールの添加だけでは、必ずしも安定化を図れたものとなっていない。 本発明が提供する水性溶液製剤にあっては、含有させる有効成分であるアズレンスルホン酸ナトリウムを、従来の水性溶液製剤に比較して、一層高濃度で含有させることができる。詳細には、アズレンスルホン酸ナトリウムを0.07〜10%、より好ましくは0.4〜4%程度含有させることができる。 本発明が提供する水性溶液製剤にあっては、アズレンスルホン酸ナトリウムの安定化のために、界面活性剤に代えて、ポリエチレングリコールおよび多価アルコールとしてグリセリンおよびプロピレングリコールを併用して使用される。この場合のポリエチレングリコールは、本発明の水性溶液製剤においては製剤にある程度の粘稠性を付与する粘稠剤としての働きをする。かかるポリエチレングリコールとしては、一般に分子量200〜20000程度のものを用いることができるが、安全性、使用性の面から、分子量400〜6000のものを用いるのが好ましい。これらのポリエチレングリコールは、例えば、「マクロゴール」の名で市販されているものを使用することができる。 その配合量は、用いるポリエチレングリコールの種類により一概に限定し得ないが、5〜20%程度である。5%未満であると、より一層の効果が認められず、また20%を超えて配合してもそれ以上の効果は認められない。 ポリエチレングリコールと共に使用される多価アルコールとしてのグリセリンおよびプロピレングリコールは、本発明が提供する水性溶液製剤においては、安定剤、可塑剤、粘稠剤さらには保存剤としての役目をも果たすものである。それらの配合量としては、グリセリンにあっては20〜35%程度であり、プロピレングリコールにあっては40〜50%程度である。 グリセリンの配合量が35%を超える場合には、例えば矯味剤として配合するl−メントールが析出してしまい、好ましいものではない。また20%未満であると、目的とする効果を得ることができない。一方、プロピレングリコールの配合量が40%未満であると、アズレンスルホン酸ナトリウムの安定性の向上を得ることができず、また50%を超えて配合してもそれ以上の効果は認められない。 一方、本発明の水性溶液製剤においては、アズレンスルホン酸ナトリウムを安定化させるために、緩衝作用を有する緩衝剤が配合される。このような緩衝剤としては、1〜4価の有機カルボン酸およびその塩、リン酸または炭酸の無機酸およびその塩であり、これらを単独もしくは複数種組合せて使用することができる。 なお、この場合に配合される有機酸または有機酸塩等は、水溶液として溶解されたアズレンスルホン酸ナトリウムに対する緩衝剤としてその安定性を確保するばかりでなく、pH調整剤、さらに防腐剤としての働きを発揮する。そのような有機酸の塩としては、クエン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、マレイン酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等であり、また無機酸の塩としては、リン酸水素ナトリウムまたは無水リン酸二ナトリウムをあげることができる。これらの有機酸およびその塩/無機酸およびその塩は、それぞれ単独あるいは複数組合せ使用することができ、アズレンスルホン酸ナトリウムが水溶液中で安定なpH域である7.0〜9.0を保持することを目的として配合されるものである。その配合量は、一概に限定し得ないが、0.01〜5%程度である。そのなかでも特に、クエン酸ナトリウムが好ましく使用される。 この緩衝剤の配合量が0.01%未満であると、緩衝効果を発揮することができず、アズレンスルホン酸ナトリウム含有水性溶液製剤に安定性を付与することができない。また5%を超えて配合してもそれ以上の緩衝効果を得ることができず、かえって資源の無駄となり、好ましいものではない。 本発明が提供する水性溶液製剤中には、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常の医薬製剤に配合される種々の添加物を配合することができる。そのような添加物としては、l−メントール、ハッカ油等の矯味剤、香料、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム(四級アンモニウム塩)等の保存剤、エデト酸ナトリウム等のキレート剤等をあげることができる。 本発明の水性溶液製剤の製造は、常法にしたがって製造することができる。具体的には、アズレンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、多価アルコールとしてグリセリンおよびプロピレングリコール、および有機酸塩を配合し、さらに緩衝剤、矯味剤、注射用滅菌蒸留水等を混合することにより、製造することができる。 かくして製造された本発明が提供するアズレンスルホン酸ナトリウム含有の水性溶液製剤は、これまでに提供されている水溶性溶液製剤に比較して、有効成分であるアズレンスルホン酸ナトリウムを高濃度で含有するうえ、長期間の安定性に優れるものである。したがって、この水性溶液製剤は、内服用液剤、口腔・咽喉用液剤、点鼻用液剤等として使用することができる。 以下に実施例、比較例、試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでないことはいうまでもない。実施例1、2および比較例1、2 下記表1に記載の配合処方(配合割合:%)に基づき、上記した製法にしたがって、本発明のアズレンスルホン酸ナトリウム含有の水性溶液製剤および比較例のアズレンスルホン酸ナトリウム含有の水性溶液製剤を調製した。*1:l−メントール(矯味剤)の結晶が観察された。 上記で得られたアズレンスルホン酸ナトリウム含有水性溶液製剤の安定性について、以下の試験を行い評価した。安定性試験 上記で得られた各実施例の水性溶液製剤を15mLポリエチレン容器に充填し、恒温恒湿内にて温度40±2℃、湿度75±5%条件下に保存し、経時的にアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を分光光度計による吸光度の変化より求め、安定性を評価した。その結果を合わせて表中に示した。 評価の基準は以下のとおりである。 ◎:残存率に変化が無く、安定性が極めて良い。 ○:残存率にいくぶんの変化が認められるが、安定性は良い。 △:残存率に変化が認められ、安定性はやや悪い。 ×:残存率が低下し、安定性が悪い。比較例3〜5 下記表2に記載の配合処方(配合割合:%)に基づき、上記した製法にしたがって、非イオン性界面活性剤を添加した比較例のアズレンスルホン酸ナトリウム含有水性溶液製剤を調製した。また、得られた各比較例の水性溶液製剤について同様に安定性試験を行い、その結果も表中に示した。 上記に示した実施例および比較例から判明するように、本発明の実施例1、2および比較例1、2は非イオン性界面活性剤を添加しないものであり、非イオン性界面活性剤の代わりにポリエチレングリコールおよび多価アルコールとしてグリセリンおよびプロピレングリコールを併用して使用し、添加したアズレンスルホン酸ナトリウム含有の水性溶液製剤である。そのうち、比較例1、2は実施例2の処方をベースとし、グリセリンをプロピレングリコールの配合量を変化させたものである。 本発明の水性溶液製剤にあっては、非イオン性界面活性剤を配合することに代え、ポリエチレングリコールおよび多価アルコールとしてグリセリンおよびプロピレングリコールを併用して使用することで、水溶性製剤中でのアズレンスルホン酸ナトリウムの安定性が極めて良好なものであることが確認された。 また、比較例1、2のアズレンスルホン酸ナトリウム含有の水性溶液製剤は、非イオン性界面活性剤を配合することなく、ポリエチレングリコールおよび多価アルコールとしてグリセリンおよびプロピレングリコールを併用して使用するものの、グリセリンの配合量が多く、プロピレングリコールの配合量が少ないことより、アズレンスルホン酸ナトリウムの安定性が悪く、また溶液製剤中に矯味剤として配合したl−メントールの結晶が析出して好ましいものではなかった。 さらに比較例3〜5のアズレンスルホン酸ナトリウム含有の水性溶液製剤は、非イオン性界面活性剤を配合したものであるが、本発明の実施例であるアズレンスルホン酸ナトリウム含有の水性溶液製剤に比較し、安定性が悪いものであった。この安定性の低下は、配合する非イオン性界面活性剤に由来するものであることが確認された。 以上記載のように、本発明は、高濃度のアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する安定な水性溶液製剤を提供することを目的とするものであり、従来使用されていた界面活性剤を用いることなく、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有する水溶液に、非イオン性界面活性剤の代わりにポリエチレングリコールおよび多価アルコールとしてグリセリンおよびプロピレングリコールを併用して使用することにより極めて安定な水性溶液製剤を提供するものである。したがって、口腔・咽喉、眼科などの領域における炎症性疾患の予防ならび治療剤として使用することができる、アズレンスルホン酸ナトリウムを安定に含有する水性溶液製剤を提供する点で、医療上多大の貢献をするものである。界面活性剤を含有せず、アズレンスルホン酸ナトリウムを0.4〜4%含有し、さらにポリエチレングリコールを5〜20%、多価アルコールとしてグリセリンを20〜35%およびプロピレングリコールを40〜50%、および緩衝剤を含有することを特徴とする水性溶液製剤。緩衝剤が1〜4価の有機カルボン酸およびその塩、リン酸または炭酸の無機酸およびその塩であり、これらの単独もしくは複数組合せ使用する請求項1に記載の水性溶液製剤。有機カルボン酸塩が、クエン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、マレイン酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムであり、無機酸の塩がリン酸水素ナトリウムまたは無水リン酸二ナトリウムである請求項2に記載の水性溶液製剤。


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