生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)受容体結合ペプチド
出願番号:2003398466
年次:2010
IPC分類:C12N 15/09,C07K 14/00


特許情報キャッシュ

藤井 郁雄 JP 4394932 特許公報(B2) 20091023 2003398466 20031128 顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)受容体結合ペプチド 第一三共株式会社 307010166 田村 恭生 100068526 鮫島 睦 100100158 品川 永敏 100126778 森本 靖 100150500 山中 伸一郎 100156111 藤井 郁雄 20100106 C12N 15/09 20060101AFI20091210BHJP C07K 14/00 20060101ALI20091210BHJP JPC12N15/00 AC07K14/00 C12N 15/00 C07K 1/00−19/00 CA/REGISTRY(STN) UniProt/GeneSeq PubMed WPI 特開2000−319298(JP,A) ZENITANI, Y. et al.,"Alanine scanning of a binding peptide for G-CSF receptor and its affinity optimization.",PEPTIDE SCIENCE 2002,2003年 3月,p.443-444 TAKAOKA, Y. et al.,"Isolation of cytokine receptor antagonists from a helix-loop-helix peptide library.",PEPTIDE SCIENCE 2001,2002年 3月,p.309-312 ZENITANI, Y. et al.,"Construction of de novo peptide libraries on a phage surface.",PEPTIDE SCIENCE 2001,2002年 3月,p.351-352 4 2005151921 20050616 6 20060912 (出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構 基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)プロテインネットワーク/超分子複合体機能構造の解析と制御による創薬等産業基盤技術の開発)委託研究、産業活力再生特別措置法 第30条の適用を受けるもの 野村 英雄 本発明は、サイトカインの一種である顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte-colony stimulating factor; 以下で「G−CSF」と呼ぶことがある)の受容体に結合するヘリックス・ループ・ヘリックス構造を有するペプチドに関する。 顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)は、骨髄好中球前駆細胞の分化・増殖を制御するサイトカインである。現在、癌化学療法の副作用で生じる顆粒球減少症の治療薬として臨床の場で使用されており、G−CSFと同様な作用をもつ医薬品の開発が望まれている。 近年、ペプチド・ライブラリーを用いるリード化合物探索法が、医薬品開発の有用な方法になってきている。種々のペプチド・ライブラリーが作製され、受容体アンタゴニストなどが見出されてきている。しかし、従来のペプチドライブラリーでは、個々のペプチドがフレキシブルな構造を持つため、エントロピーの損失が大きく高い結合活性や生物活性を期待するのが難しい。また、フレキシブルなペプチドからはファーマコファアの3次元情報が得られず、低分子化合物の分子設計に繋がらない。 そこで、このような問題点を解決するために、本発明者は立体構造をもつペプチド・ライブラリーを作製した。このライブラリーより顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)受容体結合ペプチドを見いだし先に報告した(非特許文献1参照)。 即ち、本発明者は、立体構造を持つペプチド・ライブラリーとしてαヘリックス・ペプチドのライブラリーの構築に成功している。α−ヘリックスはタンパク質中に最もよくみられる二次構造であり、立体構造をもった機能分子として最小限の単位である。しかしながら、タンパク質中にみられるαヘリックスは、周囲の疎水的、静電気的な環境等によって維持されており、水溶液中において一本鎖のα−ヘリックスを設計することは困難である。そこで、安定なヘリックス‐ループ‐ヘリックス構造を持つように、以下のアミノ酸配列を有するペプチド(YT1)をde novo設計した。 AELAALEAELAALEGGGGGGGKLAALKAKLAALKAY(YT1と略す)(配列番号5) ペプチド(YT1)は水溶液中において、両ヘリックスを構成するロイシン残基が、疎水的作用によってヘリックス‐ループ‐ヘリックスの内側に規則正しく並び、ロイシンジッパーを形成することによってα−ヘリックス構造をとる。また、N−末端ヘリックス側面のグルタミン酸残基と、C−末端ヘリックス側面のリジン残基が形成する静電気的な架橋で安定化されている。上記のように本ペプチドは内部の疎水相互作用により立体構造が安定化されており、ヘリックス他のアミノ酸残基を種々のアミノ酸残基で置換してもヘリックス‐ループ‐ヘリックス構造が保持される。そこで、側面アミノ酸残基をランダム化し、ヘリックス‐ループ‐ヘリックス構造を持つペプチドのライブラリーを作製することができる。 本発明者はYT1において24、25、28、30、31、32位のアラニン残基を他のアミノ酸で置換したペプチドライブラリーを作製し、その中から顆粒球コロニー刺激因子の受容体に対し結合活性を有する、次のアミノ酸配列 AELAA LEAEL AALEG GGGGG GKLSD LKLKL AELKA Y(1AAと略す)(配列番号6)を有するもつペプチドを得たPeptide Science, 351-352, 2001 本発明は顆粒球コロニー刺激因子の受容体に対し従来のペプチドよりさらに強い結合活性を有するペプチドを提供することを目的とする。 本発明は、以下のアミノ酸配列: AELAA LEAEL AALEG GGGGG GKLAM LVLKL HELKR Y(P8-2と略す)(配列番号1)を有するペプチドを要旨とする。 本発明は、以下のアミノ酸配列: AELAA LEAEL AALEG GGGGG GKLAM LKLKL HELKR Y(P8-2Kと略す)(配列番号2)を有するペプチドをも要旨とする。 本発明は、以下のアミノ酸配列: AELAA LEAEL AALEG GGGGG GKLAM LVLKL AELKR Y(P8-2Aと略す)(配列番号3)を有するペプチドをも要旨とする。 本発明は、以下のアミノ酸配列: AELAA LEAEL AALEG GGGGG GKLAM LKLKL AELKR Y(P8-2KAと略す)(配列番号4)を有するペプチドをも要旨とする。 本発明のペプチドは、Fmoc法によるの固相ペプチド合成法で製造できる。この方法では合成しようとするペプチドのカルボキシ末端アミノ酸の9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)誘導体を、Rinkアミド樹脂に導入する。次にFmoc基を除去して得られる樹脂上のアミノ酸の遊離となったアミノ基に第2のFmoc−アミノ酸を導入する。この操作を繰り返し、目的とするペプチド鎖が構築できたら全保護基を除くと共にペプチド樹脂から切り離す。今日では自動合成機が市販されているのでこれを用いれば簡単にペプチドを合成できる。 本発明のポリペプチドは、表1に示すように公知のポリペプチド(1AA)にくらべてはるかに強く顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)受容体に結合して複合体を形成する。従って顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)受容体のアゴニストまたはアンタゴニストとして用いることができる。ファージ表層ペプチドライブラリーの作製 アミノ酸配列、AELAA LEAEL AALEG GGGGG GKLXX LKLXL XELXX Y(式中Xは任意の天然のアミノ酸を表わす)を有する、206のペプチドからなるファージ表層ペプチドライブラリーを次のように作製した。 N末プライマー:5’-GAACTGGCAGCTCTGGAAGCGGAACTGGCGGCACTCGAAGGTGGCGGCGGTGGTGGCGGCAAGCTG-3’およびランダムプライマー:5’-ACCTGCGCTCGAGCCGCCMNNMNNCAGTTCMNNCAGCTTCAGMNNCAGMNNMNNCAGCTTGCCGCCACC-3’を用い、オーバラップPCRによりライブラリーDNA断片を作製した。得られたDNA断片を鋳型として、再度PCR(N末プライマー:5’-ATGGCGGAGCTCGCAGCTCTGGAAGCG-3’、C末プライマー: 5’-ACCTGCGCTCGAGC-3’)を行い、制限酵素部位(SacI, XhoI)を導入したライブラリーDNA断片を作製した。得られたライブラリーDNA断片を制限酵素(SacI, XhoI)で処理し、これを制限酵素(SacI, XhoI)で処理したファージミドベクターとライゲーションした。精製したライゲーション溶液を、エレクトロポレーション法によりXL1−Blueコンピテントセルに形質転換し、ファージライブラリー溶液を得た。ファージディスプレイ法によるペプチドの選択 G−CSF受容体のサイトカイン結合領域(配列番号7)を固定化したマイクロタイタープレートを用い、受容体に結合するペプチドを提示したファージの選択を行った。 PBSに溶解した1mg/ml 塩化シアヌル50μlをタイタープレート(C8 COVALINK NH2: NUNC)の各ウェルに分注し、室温で5分間反応させた。PBS 300μlを用いて3回洗浄した後、20mM炭酸バッファー(pH8.8)に溶解した4μg/mlレセプター溶液50μlを各ウェルに分注し、室温で一晩反応させた。反応終了後PBS−Tween 300μlで3回洗浄した後、ブロッキング溶液(PBS, 1%(w/v)skim milk)200μlを加えた。室温で1時間反応させた後、PBS−Tween 300μlで2回洗浄し、レセプター結合プレートを作製した。 レセプター結合プレートの1〜4ウェルに調製したファージ溶液50μlを加え、室温で2時間穏やかに撹拌しレセプターに結合させた。上清を捨てた後、洗浄液300μlを加え軽くピペッティングにより撹拌し、レセプターに結合していないファージを洗い出し、レセプターに結合するファージを選択した。レセプターに結合したファージを解離させるために、0.2Mグリシン塩酸(pH2.5)50μlを加えた。室温で10分間穏やかに撹拌した後、1.5mlチューブにファージ溶出液を移した。ファージ溶出液は酸性であるため、溶出液50μlに対して1M Tris緩衝液(pH8.0)75μlを加え中和した。 中和したファージ溶出液はあらかじめ3.5ml SB+tet培地で培養しておいたXL1−Blue(OD600=0.3〜0.6)に加え、37℃、200rpmで30分間振盪しファージを大腸菌に感染させた。アンピシリンを終濃度100μg/mlとなるように加え1時間培養した後、ヘルパーファージ100μlを加え1時間振盪し感染させた。その後室温、1500xgで15分間遠心分離し菌体を回収した。回収した菌体は20mlのSB+amp、tet、kan培地に懸濁し、37℃、160rpmで1時間培養した後、温度を30℃に下げて一晩培養し、ファージを精製した。このようにしてG−CSF受容体に結合するペプチドを提示した20個のファージを得た。その中の4つについてそのDNAの配列決定を行い、G−CSF受容体に結合するペプチドの推定アミノ酸配列(配列番号1〜4)を決定した。本発明のペプチドの製造 G−CSF受容体に結合能を有するファージが提示していた、配列番号1〜4のアミノ酸配列を有するペプチドを固相合成した。ペプチドはModel 433A Peptide Synthesizer (Applied Biosystems)を用い、Fmoc法、0.1mMスケールで合成した。目的のアミノ酸を縮合させた後、樹脂をジエチルエーテルですすぎ、乾燥させた樹脂を50mlファルコンチューブに移した。クリベージ溶液10mlを加え、撹拌し1〜3時間反応させた。反応終了後、氷冷したジエチルエーテル30mlを加え、氷上で10分間静置しペプチドを析出させた。4℃、3000xgで10分間遠心分離し、ペプチドを沈殿させた。ペプチドを洗浄するため、上清を除去した後、冷ジエチルエーテル30mlを加え、撹拌した。4℃、3000xgで5分間遠心分離し再び沈殿を得た。沈殿を乾燥させた後、15ml程度のH2Oに溶解し、綿栓濾過によってレジンを除去した後、凍結乾燥した。凍結乾燥したペプチドを10ml程度のH2Oに溶解し、逆相高速液体クロマトグラフィー(L-6200 Intelligent Pump: HITACHI)を用い、精製した。本発明のペプチドと顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)受容体の結合試験 表面プラズモン共鳴法(BIAcore(登録商標) 2000 system: BIACORE)により、配列番号1〜4のアミノ酸配列を有する4つのペプチドのG−CSF受容体への結合を調べた。比較のため配列番号6のアミノ酸配列を有するペプチド(1AA)についても同様に測定した。 アミンカップリング法を用い、センサーチップ(CM5 research grade: BIACORE)にG−CSF受容体のサイトカイン結合領域(配列番号7)を固定化した。センサーチップのフローセル2にEDC(N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸)とNHS(N−ヒドロキシサクシンイミド)の当量混合液を流速10μl/min.で20分間反応させ、センサーチップ上のカルボキシル基を活性化した。その後、10mM酢酸緩衝液(pH5.0)に10mg/mlとなるように調製したレセプター溶液を流速5μl/min.で20分間反応させ、固定化した。その後、エタノールアミンを流速10μl/min.で20分間させ、未反応のカルボキシル基を不活性化した後、50mM NaClで、センサーチップを洗浄した。ブランクとして、フローセル1はNHS/EDCによる活性化と、エタノールアミンによるキャッピング、チップの洗浄のみを行った。反応は全て25℃で行い、溶媒にはHBS−EP buffer(10mM HEPES pH7.4, 150mM NaCl,3mM EDTA, 0.005% 界面活性剤 P20)(BIACORE)を用いた。 種々の濃度のペプチドを溶液を調製し,流速10μl/分で1分間反応させ、表面プラズモン共鳴を測定した。得られた結果はBIAevaluationソフトウェアを用いて解析し、以下のScatchardプロットにより以下の関係式から解離定数Kdを求めた。Req=KaC/(1+KaC),Kd=1/Kaここで、Reqは平衡状態におけるペプチドの結合量(RU)、Kaは親和定数(M−1)、Cはペプチドの濃度(M)、Kdは解離定数(M)を表す。結果を表1に示す。 以下のアミノ酸配列: AELAA LEAEL AALEG GGGGG GKLAM LVLKL HELKR Y(P8-2)(配列番号1)からなるペプチド。 以下のアミノ酸配列: AELAA LEAEL AALEG GGGGG GKLAM LKLKL HELKR Y(P8-2K)(配列番号2)からなるペプチド。 以下のアミノ酸配列: AELAA LEAEL AALEG GGGGG GKLAM LVLKL AELKR Y(P8-2A)(配列番号3)からなるペプチド。 以下のアミノ酸配列: AELAA LEAEL AALEG GGGGG GKLAM LKLKL AELKR Y(P8-2KA)(配列番号4)からなるペプチド。配列表


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