生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_炭酸エステルの製造方法
出願番号:2003390126
年次:2008
IPC分類:C07C 68/04,C07C 69/96,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

崔 準哲 坂倉 俊康 JP 4147303 特許公報(B2) 20080704 2003390126 20031120 炭酸エステルの製造方法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 崔 準哲 坂倉 俊康 20080910 C07C 68/04 20060101AFI20080821BHJP C07C 69/96 20060101ALI20080821BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080821BHJP JPC07C68/04 AC07C69/96 ZC07B61/00 300 C07C 68/04 C07C 69/96 C07B 61/00 特開2004−189728(JP,A) 特許第3385359(JP,B2) 特開平07−033715(JP,A) 特開平06−172269(JP,A) 特開2000−016964(JP,A) 特開平11−050095(JP,A) 特開平06−025103(JP,A) 特開平04−230650(JP,A) 5 2005145939 20050609 9 20050502 特許法第30条第1項適用 第50回 有機金属化学シンポジウムにて発表(2003年9月28−30日) 中島 庸子 本発明は、二酸化炭素とアルコールとを特定の触媒の存在下で反応させて炭酸エステルを製造する方法に関する。 炭酸エステルは、ポリカーボネート製造等の原料、オクタン価向上のためのガソリン添加剤、排ガス中の炭素パーティクルを減少させるためのディーゼル燃料添加剤、アルキル化剤、カルボニル化剤、溶剤等として有用な化合物である。 従来の炭酸エステルの製造方法としてはまず、ホスゲンをカルボニル化剤としてアルコールと反応させる方法があげられるが、この方法では、極めて毒性が強く腐食性も有するホスゲンを用いるため、その輸送や貯蔵など取り扱いに注意が必要であり、製造設備の維持管理や廃棄物処理、作業員の安全性確保などのために多大なコストがかかっていた。また、一酸化炭素をカルボニル化剤としてアルコール及び酸素と反応させる酸化的カルボニル化法も知られているが、この方法においても猛毒の一酸化炭素を高圧で用いるために作業員の安全性確保等のために注意が必要であり、また、一酸化炭素が酸化して二酸化炭素を生成するなどの副反応がおこる欠点があった。このため、より安全かつ安価に炭酸エステルを製造する方法の開発が要望され、二酸化炭素をカルボニル化剤とし、アルコキソ配位子を有するスズ触媒の存在下でアルコールと反応させる方法が提案されている(非特許文献1、2)。しかし、これらの方法もターンオーバー数が2、3程度と触媒活性が極めて低く、生成する水が触媒を分解して反応を妨害するなどの問題があった。また、二酸化炭素とカルボン酸オルトエステルとの反応から炭酸エステルを製造する方法も提案されている(特許文献1)が、原料が高価であり、収率も十分でなく工業的実施には問題があった。これに対し、本発明者らは金属アルコキシド又は金属酸化物触媒存在下、二酸化炭素とアセタール化合物とを反応させて炭酸エステルを製造する方法(特許文献2〜4)、及び、無機脱水剤の存在下あるいは脱水工程と組み合せて反応を実施する方法(特許文献5)を提案した。これらの方法は毒性、腐食性がなく極めて安価に得られる二酸化炭素をカルボニル剤として用いる方法であるが、毒性の強いスズ化合物の存在下に実施され、収率も十分でないという問題があった。特許第2929000号公報特許第2852418号公報特許第3005684号公報特許第3128576号公報特許第3385359号公報日本化学会誌、1975年、1785頁Collect.Czech. Chem. Commun. 誌、1995年、60巻、687頁 本発明は、さらに上記の炭酸エステルの製造方法を改良し、毒性、腐食性がなく極めて安価に得られる二酸化炭素をカルボニル剤とし、かつ、取扱いが容易で好収率を与える触媒を用いて実施しうる、工業的に有利な炭酸エステルの製造方法を提供することを目的とする。本発明者らは、上記従来法の問題点を解決するため鋭意研究を重ねた結果、二酸化炭素とアルコールから炭酸エステルを製造する方法においては、(i)金属化合物と(ii)ビピリジン類及び/又はフェナントロリン類の組み合わせからなる触媒が有効であることを知見し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。(1)二酸化炭素と下記一般式(I)で表されるアルコールとを、(i)金属化合物と(ii)ビピリジン類又はフェナントロリン類の組み合わせからなる触媒の存在下で反応させることを特徴とする炭酸エステルの製造方法。R1OH (I)(式中、R1はアルキル基又はアラルキル基を表す。)(2)金属化合物が周期律表第8族、第9族又は第10族から選ばれた少なくとも一種の金属化合物であることを特徴とする上記(1)に記載の炭酸エステルの製造方法。(3)脱水工程を組み合せて反応を実施することを特徴とする上記(1)又は(2)何れかに記載の炭酸エステルの製造方法。(4)脱水工程が脱水剤を用いる方法であることを特徴とする上記(1)乃至(3)何れかに記載の炭酸エステルの製造方法。(5)脱水剤が下記一般式(II)で表されるアセタールまたは無機脱水剤であることを特徴とする上記(4)に記載の炭酸エステルの製造方法。 R2R3C(OR4)2 (II)(式中、R2、R3は水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。R4はアルキル基、アラルキル基、又はアリール基を表す。)本発明方法は、触媒として、(i)金属化合物と(ii)ビピリジン類又はフェナントロリン類の組み合わせからなる触媒を用い、原料として、環境に無害で毒性のない二酸化炭素とアルコールとを用いることから、炭酸エステルを安全かつ簡易な設備で製造することができ、しかも(i)の金属化合物を単独で用いた場合に比べ好収率で炭酸エステルを得ることができる。 本発明の炭酸エステルの製造方法は、二酸化炭素と前記一般式(I)で表されるアルコールとの反応を、(i)金属化合物と(ii)ビピリジン類若しくはフェナントロリン類の組み合わせからなる触媒の存在下で行うことを特徴としている。この合成反応は次式で表わすことができる。R1OH + CO2+(脱水剤) → R1O(CO)OR1 + H2O +(脱水剤)(式中、R1は前記と同じ意味をもつ。)前記一般式R1OH(I)で表されるアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、メチルシクロヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。また、本発明においては、原料として前記の一価のアルコールの他にジオールなどの多価アルコールを併用することもできる。 本発明の反応は、(i)金属化合物と(ii)ビピリジン類又はフェナントロリン類の組み合わせからなる触媒の存在下で行われる。(i)の金属化合物の金属原子に特に制限はないが、周期律表第8族(鉄、ルテニウム、オスミウム)、第9族(コバルト、ロジウム、イリジウム)、第10族(ニッケル、パラジウム、白金)に含まれる金属原子が好ましく、更に好ましくはコバルト及び鉄が好ましい。金属化合物の形態に特に制約はないが、周期律表第8族(鉄、ルテニウム、オスミウム)、第9族(コバルト、ロジウム、イリジウム)、第10族(ニッケル、パラジウム、白金)に含まれる遷移金属の種々の塩や錯体として用いることが好ましい。このような遷移金属化合物としては、特に制限がないが、例えば、FeXn (n = 2, 3), Fe(CO)5, Fe3(CO)12, Fe(CO)3(EN), Fe(CO)3(DE), Fe(DE)2, CpFeX(CO)2, [CpFe(CO)2]2, [Cp*Fe(CO)2]2, Fe(acac)n (n = 2, 3), Fe(OAc)n (n = 2, 3), RuX3, Ru3(CO)12, CpRuX(EN), Cp*RuX(EN), [CpRuX2]2, [Cp*RuX2]2, CpRuX(CO)2, CpRuX(CO)2, RuX2(DE)2, Ru(acac)3, OsX3, Os3(CO)12, Na2OsX6, CoXn (n = 2, 3), Co2(CO)8, Co(acac)n (n = 2, 3), Co(OAc)2, CpCo(CO)2, Cp*Co(CO)2, RhX3, Rh4(CO)12, Rh4X2(CO)2, Rh(acac)(CO)2, RhX(acac), [RhX(CO)2]2, [RhX(EN)]2, [RhX(DE)]2, IrXn (n = 3, 4), Na3IrCl6, HnIrX6 (n = 2, 3), Ir4(CO)12, [IrX(EN)2]2, [IrX(DE)2]2, Ir(acac)(CO)2, Ir(acac)3, NiX2, Ni(CO)4, Ni(DE)2, Ni(acac)2, Ni(OAc)2, PdX2, PdX2(RCN)2, PdX2(EN)2, PdX2(DE)2, Pd(acac)2, Pd(OAc)2, PtX2, K2PtX4, PtX2(RCN)2, H2PtX6, PtX2(EN)2, PtX2(DE)2, Pt(acac)2, Pt(OAc)2などが挙げられる。 なお、上記式において、Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アルコキシ基、カルボキシラト基又はチオシアナト基、CNはニトリル基、Rはアルキル基又はアリール基、Cpはシクロペンタジエニル基、Cp*はペンタメチルシクロペンタジエニル基、acacはアセチルアセトナト基、DEはノルボルナジエン、1,5−シクロオクタジエン又は1,5−ヘキサジエン、ENはエチレン又はシクロオクテン、OAcはアセテイト基を示す。(i)の金属化合物と組み合わせて用いられる、(ii)ビピリジン類及びフェナントロリン類に特に制限はないが、下記の構造式で示される2,2‘−ビピリジン類の誘導体、1,10−フェナントロリン類の誘導体が好ましく、特に1,10−フェナントロリン類の誘導体が好ましい。2,2‘−ビピリジン類の誘導体 1,10−フェナントロリン類の誘導体 上記一般式において、R1〜R16は反応を阻害しない各種置換基を表し、同一であってもよいし異なっていてもよい。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アルキル基、アリール基、アリーロキシ基、アシル基、アシルオキシ基、シクロアルキル基、アリーレン基、イミン基、ピリジン基などが挙げられる。 2,2‘−ビピリジン類の誘導体、1,10−フェナントロリン類の誘導体については、特に制限はないが、たとえばは、2,2’−ビピリジン、4,4‘−ジメチルビピリジン、5,5’−ジメチルビピリジン、6,6’−ジメチルビピリジン、4,4’−ジ(tert)ブチルビピリジン、5,5’−ジ(tert)ブチルビピリジン、4,4’−ジフェニルビピリジン、5,5’−ジフェニルビピリジン、4,4’−ジトリフルオロメチルビピリジン、5,5’−ジトリフルオロメチルビピリジン、4,4’−ジカルボキシビピリジン、5,5’−ジカルボキシビピリジン、6,6’−ジカルボキシビピリジン、4,4‘−ジニトロビピリジン、5,5’−ジニトロビピリジン、6,6‘−ジニトロビピリジン、4,4‘−ジメトキシビピリジン、5,5’−ジメトキシビピリジン、6,6‘−ジメトキシビピリジン、4,4‘−ジメチルアミノビピリジン、5,5’−ジメチルアミノビピリジン、6,6‘−ジメチルアミノビピリジン、1,10−フェナントロリン、4,7−ジメチル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン、5,6−ジメチル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、5,6−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリン、4,7−ジクロロ−1,10−フェナントロリン、3,4,7,8−テトラクロロ−1,10−フェナントロリン、3,4,7,8−テトラメトキシ−1,10−フェナントロリンなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。 本発明の反応で用いる触媒は前記したように、(i)金属化合物と(ii)ビピリジン類若しくはフェナントロリン類の組み合わせからなるものであるが、(i)金属化合物と(ii)ビピリジン類若しくはフェナントロリン類をそれぞれ別途に調製して反応系に加えてもよいし、(i)の金属化合物と(ii)のビピリジン類若しくはフェナントロリン類をあらかじめ反応系外で反応させ、若しくは反応系に共存させ、系外や系中(in situ)において所望の遷移金属錯体を形成させたものを用いてもよい。本発明においては、反応液中からの効率的な水分の除去を目的とし、脱水工程を組み合わせて実施することが好ましい。この脱水工程で使用される操作法としては、従来公知の脱水操作、具体的には、有機系や無機系の脱水剤を添加する方法、これらを充填した脱水塔を用いる方法、蒸留法、膜分離法等の操作法を操作法が適用できる。 本発明で用いられる有機系脱水剤としては、前記一般式(II)で表されるアセタールが好ましく使用される。一般式(II)において、R2、R3及びR4で表わされるアルキル基に特に制限はなく。具体的には例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルなどが挙げられる。また、R2、R3及びR4で表わされるアラルキル基は好ましくは炭素数7〜20、さらに好ましくは7〜12であり、例えばベンジル、フェネチルが挙げられる。R2、R3及びR4で表わされるアリール基は好ましくは炭素数6〜14、さらに好ましくは6〜10であり、例えばフェニル、トリル、アニシル、ナフチル、などが挙げられる。このようなアセタール化合物として、より具体的には、例えばベンズアルデヒド ジメチルアセータル、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド ジメチルアセタール、アセトン ジメチルアセタール、アセトン ジエチルアセタール、アセトン ジベンジルアセタール、ジエチルケトン ジメチルアセタール、ベンゾフェノン ジメチルアセタール、ベンジルフェニルケトン ジメチルアセタール、シクロヘキサノン ジメチルアセタール、アセトフェノン ジメチルアセタール、2、2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、4、4−ジメトキシー2、5−シクロヘキサジエン−1−オン、ジメチルアセトアミド ジエチルアセタールなどが挙げられる。無機系脱水剤としては、モレキュラーシーブ(3A)、モレキュラーシーブ(4A)等のゼオライト類、塩化カルシウム(無水)、硫酸カルシウム(無水)、塩化マグネシウム(無水)、硫酸マグネシウム(無水)、炭酸カリウム(無水)、硫化カリウム(無水)、亜硫化カリウム(無水)、硫酸ナトリウム(無水)、亜硫酸ナトリウム(無水)、硫酸銅(無水)などの無機無水塩類等が挙げられる。本発明においては、上記したように、脱水剤として有機系や無機系の脱水剤を使用することができるが、特に、アセタールを脱水剤とする反応方法においては、未反応のアセタール化合物は反応系から回収して再使用することができる。また、本発明方法では、炭酸エステルとともにケトン又はアルデヒド類が副生するが、ケトン及びアルデヒド類はアルコール類との反応により容易にアセタール化合物に変換させるので、回収、再利用が可能である。 また、併産物のケトン及びアルデヒド類の回収、再利用の観点から、一般式(I)で表わされるアルコール類及び一般式(II)で表われるアセタール化合物における其R1とR4を、互いに同一の基とすることが好ましい。また、無機脱水剤を用いる反応方法は特許第3385359号等に記載の方法に準じて実施することができる。さらに、蒸留や膜分離等の脱水操作を用いて行う方法は、たとえば、特許第3385359号記載の方法に準じて実施することができる。本発明における二酸化炭素とアルコールの反応温度は特に制限はないが、室温〜300℃、好ましくは80〜200℃である。反応時間は通常1〜100時間程度である。反応圧は特に制限なく、反応に使用する耐圧装置の製造コストなどによって定められる。収率向上の観点から高圧下で行うのが好ましい。次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。 実施例1 撹拌装置を具備した20m1容積の窓付きオートクレーブに、アセトン ジメチルアセタール10mmol、メタノール8.1ml、鉄アセチルアセトナート0.17mmol及び配位子として4,7−ジメチルー1,10−フェナントロリン0.17mmolを仕込んだ後、炭酸ガスボンベから液化炭酸ガスを充填し、密封した。その後、オートクレーブ内を攪拌しつつ180℃にまで加熱し、炭酸ガスをさらに充填することにより、内圧を300気圧に昇圧後、24時間反応させた。冷却後、残存する炭酸ガスを放出し、反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析した。アセタール基準の炭酸ジメチルの収率は15%であった。なお、触媒として、あらかじめ4,7−ジメチル−1,10−フェナントロリン鉄錯体を合成し、このものを反応系に添加しても上記と同様な結果が得られた。 比較例1 撹拌装置を具備した20m1容積の窓付きオートクレーブに、アセトン ジメチルアセタール10mmol、メタノール8.1ml、鉄アセチルアセトナート0.17mmolを仕込んだ後、炭酸ガスボンベから液化炭酸ガスを充填し、密封した。その後、オートクレーブ内を攪拌しつつ180℃にまで加熱し、炭酸ガスをさらに充填することにより、内圧を300気圧に昇圧後、24時間反応させた。冷却後、残存する炭酸ガスを放出し、反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析した。アセタール基準の炭酸ジメチルの収率は1.3%であった。実施例2 撹拌装置を具備した20m1容積の窓付きオートクレーブに、アセトン ジメチルアセタール10mmol、メタノール8.1ml、酢酸コバルト0.17mmol及び配位子としてビピリジン0.17mmolを仕込んだ後、炭酸ガスボンベから液化炭酸ガスを充填し、密封した。その後、オートクレーブ内を攪拌しつつ180℃にまで加熱し、炭酸ガスをさらに充填することにより、内圧を300気圧に昇圧後、24時間反応させた。冷却後、残存する炭酸ガスを放出し、反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析した。アセタール基準の炭酸ジメチルの収率は4%であった。なお、触媒として、あらかじめビピリジンコバルト錯体を合成し、このものを反応系に添加しても上記と同様な結果が得られた。実施例3 撹拌装置を具備した20m1容積の窓付きオートクレーブに、アセトン ジメチルアセタール10mmol、メタノール8.1ml、酢酸コバルト0.17mmol及び配位子として4,7−ジメチルー1,10−フェナントロリン0.17mmolを仕込んだ後、炭酸ガスボンベから液化炭酸ガスを充填し、密封した。その後、オートクレーブ内を攪拌しつつ180℃にまで加熱し、炭酸ガスをさらに充填することにより、内圧を300気圧に昇圧後、24時間反応させた。冷却後、残存する炭酸ガスを放出し、反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析した。アセタール基準の炭酸ジメチルの収率は30%であった。なお、触媒として、あらかじめ4,7−ジメチル−1,10−フェナントロリンコバルト錯体を合成し、このものを反応系に添加しても上記と同様な結果が得られた。 実施例4〜7 実施例4〜7において、原料及び反応条件は実施例2と同様にして酢酸コバルトと配位子として種々の2,2‘−ビピリジン類の誘導体及び1,10−フェナントロリン類の誘導体を組み合わせることにより炭酸ジメチルを合成した。その結果を下記に配位子と炭酸ジメチルの収率(%)で示す。実施例4;4,4‘−ジメチルビピリジン(収率:8%)実施例5;4,4‘−ジ(tert)ビピリジン(収率:10%)実施例6;1,10−フェナントロリン(収率:27%)実施例7;4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(収率:23%)比較例2 撹拌装置を具備した20m1容積の窓付きオートクレーブに、アセトン ジメチルアセタール10mmol、メタノール8.1ml、酢酸コバルト0.17mmolを仕込んだ後、炭酸ガスボンベから液化炭酸ガスを充填し、密封した。その後、オートクレーブ内を攪拌しつつ180℃にまで加熱し、炭酸ガスをさらに充填することにより、内圧を300気圧に昇圧後、24時間反応させた。冷却後、残存する炭酸ガスを放出し、反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析した。アセタール基準の炭酸ジメチルの収率は0.2%であった。実施例8撹拌装置を具備した20m1容積の窓付きオートクレーブに、アセトン ジメチルアセタール10mmol、メタノール8.1ml、酢酸ニッケル0.17mmol及び配位子として4,7−ジメチルー1,10−フェナントロリン0.17mmolを仕込んだ後、炭酸ガスボンベから液化炭酸ガスを充填し、密封した。その後、オートクレーブ内を攪拌しつつ180℃にまで加熱し、炭酸ガスをさらに充填することにより、内圧を300気圧に昇圧後、24時間反応させた。冷却後、残存する炭酸ガスを放出し、反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析した。アセタール基準の炭酸ジメチルの収率は4%であった。比較例3 撹拌装置を具備した20m1容積の窓付きオートクレーブに、アセトン ジメチルアセタール10mmol、メタノール8.1ml、酢酸ニッケル0.17mmolを仕込んだ後、炭酸ガスボンベから液化炭酸ガスを充填し、密封した。その後、オートクレーブ内を攪拌しつつ180℃にまで加熱し、炭酸ガスをさらに充填することにより、内圧を300気圧に昇圧後、24時間反応させた。冷却後、残存する炭酸ガスを放出し、反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析した。アセタール基準の炭酸ジメチルの収率は0.8%であった。二酸化炭素と下記一般式(I)で表されるアルコールとを、(i)金属化合物と(ii)ビピリジン類又はフェナントロリン類の組み合わせからなる触媒の存在下で反応させることを特徴とする炭酸エステルの製造方法。R1OH (I)(式中、R1はアルキル基又はアラルキル基を表す。)金属化合物が周期律表第8族、第9族又は第10族から選ばれた少なくとも一種の金属化合物であることを特徴とする請求項1に記載の炭酸エステルの製造方法。脱水工程を組み合せて反応を実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の炭酸エステルの製造方法。脱水工程が脱水剤を用いる方法であることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の炭酸エステルの製造方法。脱水剤が下記一般式(II)で表されるアセタールまたは無機脱水剤であることを特徴とする請求項4に記載の炭酸エステルの製造方法。 R2R3C(OR4)2 (II)(式中、R2、R3は水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。R4はアルキル基、アラルキル基、又はアリール基を表す。)


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