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タイトル:特許公報(B2)_塗膜中顔料の配向性評価方法
出願番号:2003386406
年次:2009
IPC分類:G01N 33/32,B05D 3/00,B05D 7/24


特許情報キャッシュ

湯澤 敦 JP 4387165 特許公報(B2) 20091009 2003386406 20031117 塗膜中顔料の配向性評価方法 旭化成ケミカルズ株式会社 303046314 湯澤 敦 20091216 G01N 33/32 20060101AFI20091126BHJP B05D 3/00 20060101ALI20091126BHJP B05D 7/24 20060101ALI20091126BHJP JPG01N33/32B05D3/00 DB05D7/24 303J G01N 33/32 JSTPlus(JDreamII) 特開平10−292136(JP,A) 特開2002−071675(JP,A) 5 2005147875 20050609 8 20061116 白形 由美子 本発明は、顔料含有塗膜の評価方法に関する。 塗膜に意匠性、耐久性等を付与するために様々な顔料が使用されている。しかし、これらの顔料が塗膜の中で配向が悪い(均等に並ばない)場合、意匠性の低下、顔料の頭出し、耐久性低下の原因となる。 これまでの上記原因の究明方法は、改良方法立案、例えば、顔料の均等分散方法改善適応に対し、改良された現象、つまり、塗膜の光学的物性、例えば、塗膜の光輝感、表面光沢、色調を測定するで検証するという、間接的検証方法に頼ってきた。(例えば、特許文献1〜5参照)。 これらの公知文献は、塗膜の光輝感の定量化方法であり、塗膜中のアルミニウム顔料の配向度合い自身を示さない。 また、特許文献4は、塗膜の塗装むら程度の定量化方法であり、塗膜中のアルミニウム顔料の配向度合い自身を示さない。 また、特許文献5は、塗膜中の光輝材種類の評価方法であり、塗膜中の光輝材顔料の配向度合い自身を示さない。特開平10−170436号公報特開2000−65750号公報特開2000−304696号公報特開平5−288690号公報特開平5−288690号公報 本発明は、塗膜中に存在する顔料そのものの配向状態を検出する方法であって、配向性の定量化を精度良く、簡便に行うことを目的とするものである。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、塗膜中に存在する顔料について、塗膜面に対する垂直方向の塗膜切断面から得られる各顔料の水平及び垂直方向の位置情報、即ち、当該顔料群の位置情報を得、その情報から各顔料の末端部の位置情報を選別し、そこから当該顔料各々の塗膜面に対する傾きを求め、得られた個々の傾きの平均と分散をとることが、その目的に適合しうることを見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至った。 すなわち、本発明は、下記のとおりである。(1)塗膜中に存在する扁平な形態を有する顔料について、塗膜面に対する垂直方向の塗膜切断面から得られる各顔料の水平及び垂直方向の位置情報を得、その情報から各顔料の末端部の位置情報を選別し、そこから当該顔料各々の塗膜面に対する傾きを求め、得られた個々の傾きの平均と分散をとることによる、塗膜中顔料の配向性評価方法、(2)評価する顔料を塗膜表面に近い顔料のみとする上記(1)記載の塗膜中顔料の配向性評価方法、(3)顔料を含む塗膜を、走査型共焦点光学系を用いた顕微鏡を用いて塗膜水平方向に走査することにより、顔料の位置情報を得る(2)記載の塗膜中顔料の配向性評価方法、(4)顔料が鱗片状顔料である(1)〜(3)のいずれかに記載の塗膜中顔料の配向性評価方法、(5)顔料がアルミニウム顔料である請求項(1)〜(3)のいずれか記載の塗膜中顔料の配向性評価方法。 本発明の評価方法において、塗膜中の顔料の位置情報を測定し、その情報から各顔料の末端部の位置情報を選別することで、従来は正確な判別が困難であった顔料を含む塗膜中の顔料の配向状態を精度が高く、かつ、簡便に定量化することができる。 以下、本発明について、特にその好ましい形態を中心に、具体的に説明する。 本発明における塗膜とは、自動車、テレビ、オーディオ等の家電、携帯電話、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ等の情報家電、家具等のPCM、印刷物、橋、タンクヤード等に意匠性、絶縁性、防錆性等付与価値を与えるために基材の上に設けられるものであり、顔料、ビヒクル、溶剤、その他の添加剤からなる塗料・インキを熱、赤外線、UV等のエネルギーを与えることにより硬化させたものである。 本発明でいう扁平な形態を有する顔料とは、鱗片、直方体、涙滴状、楕円状等の形態を指し、球状でないものを意味する。このなかで鱗片状のものが配向状態に対する影響が最も大きい。扁平な形態を有する顔料としては、例えば、アルミニウム顔料、酸化チタン被覆アルミニウム顔料、着色アルミニウム顔料、ブロンズ粉、鉄粉、銅粉、ニッケル粉、チタンフレーク、ステンレスフレーク等の金属フレーク顔料、干渉マイカ顔料、着色マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト等のマイカ系光輝性顔料、板状酸化鉄顔料、金属めっき又は二酸化チタン被覆ガラスフレーク顔料、薄片状二酸化チタン、オキシ塩化ビスマス、多彩色発色顔料、シリカフレーク、微粒子酸化チタン、ガラスフレーク、液晶ポリマー或いは炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、セルローズ粉、タルク、クレー等の体質顔料等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して使用することができる。また、これらは、その他の着色顔料、扁平でない顔料と併用できる。 上記着色顔料としては特に限定されず、例えば、アゾ系又はアゾレーキ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料等の有機顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、べんがら、カーボンブラック、二酸化 チタン等の無機顔料等を挙げることができる。扁平ではない顔料としては、ガラスビーズ等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して使用することができる。 上記ビヒクルは、特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、 フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂に、アミノ樹脂やブロックポリイソシアネート化合物等の架橋剤を混合して使用してもよい。これらの樹脂は、所望 により2種以上を併用することができる。更に、上記ビヒクルとしては、常温乾燥により硬化する2液型ポリウレタン樹脂やシリコーン樹脂、又は、アクリル等のラッカータイプの樹脂であってもよい。 その他の添加剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジブチルチンジラウレート等の硬化触媒、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ベンゾフェノール系等の酸化防止剤、シリコーンや有機高分子等の表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤、架橋性重合体粒子(ミクロゲル)、消泡剤、潤滑材、ポリアミドワックス、ポリエチレンワックス等を適宜使用することができる。 上記塗膜を作製するための塗料・インキは、有機溶剤型とすることが現在は一般的であるが、これに限定されるものではなく、非水分散液型、水溶液型、水分散型等の各種の形態として塗料・インキを構成することができる。 上記溶剤としては特に限定されず、公知のものを使用することができ、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール等の中、高沸点の芳香族系又は炭化水素系溶剤、水等を挙げることができる。 上記塗膜は、基材上に塗布した後、更にクリヤ塗料・インキを塗布する等多層構造にすることが可能である。 上記基材としては、特に限定されず、例えば、鉄、ブリキ、アルミニウム等の金属からなる金属板、ガラス、ポリエチレン、ポリアクリル、塩化ビニル、ポリカーボネート等の樹脂を成形してなる成形品、紙等を挙げることができる。これらの基材は、適宜、アンダーコート、プレコート等の処理が施されていてもよい。 上記基材上に上記塗料・インキを塗布する方法としては特に限定されず、例えば、霧化式塗装機を使用したエアスプレー塗装、静電塗装、バーコーター・アプリケーター等よるドローダウン塗装、グラビア・オフセット等の印刷により好適に実施することができる。なお、この場合、上記塗料・インキは、有機溶剤、水等の溶媒により塗装適性粘度に希釈して使用される。 作製した塗膜から各顔料の位置情報を取得する方法としては、塗膜を切り出し、エポキシ樹脂等硬化する樹脂に包埋後、研磨、或いは、ミクロトームで厚み方向の断面を出した後、顕微鏡、SEM等で断面イメージ像を得、この断面イメージ像から各顔料の位置情報を読み取り、その中から目視にてそれぞれの顔料の末端部の位置情報を選別する方法、或いは、走査型共焦点光学系を用いた顕微鏡を用い、塗膜表面からの各顔料のイメージ像、及び、任意の水平線に沿った高さプロファイルを取得し、顔料の位置情報を得、そのプロファイルデータを表計算ソフトなどに落とした後、前記イメージ像と比較することで各顔料の末端部の位置情報を選択し、読み取り取得する方法が挙げられる。 後者の走査型共焦点光学系を用いた顕微鏡としては、超高深度カラー3D形状測定顕微鏡、超深度形状測定顕微鏡(株式会社キーエンス社製)、走査型共焦点レーザー顕微鏡(島津製作所製)、ブルーレーザー顕微鏡(レーザーテック社製)等が挙げられる。 精度、簡便性(評価スピード、操作性等)の点から後者の方法で行うことがより望ましい。 また、塗膜の光学的特性と塗膜中の顔料の配向性の関係を考えると、塗膜の中でも塗膜表面に近い顔料の影響が最も大きいと考えられる。そのため、評価する顔料を塗膜表面に近い顔料のみに限定すると精度が高くなると考えられる。塗膜の厚み方向に顔料が何個か重なっていた場合、その内最も塗膜表面に近い顔料について評価することが望ましい。この点からも、後者の方法で評価を行うことがより望ましいと考えられる。 以上の方法によって得られた各顔料の位置情報から、顔料それぞれの塗膜面に対する傾きを求め、得られた個々の傾きの平均と分散をとることで塗膜構成成分の配向性を評価することができる。平均と分散は下記のようにして求めることができる。 図3は顔料Z1〜Znが存在する塗膜構成の概念図を示し、任意の断面図から得られる情報選択の説明図を図4に示す。塗膜中に存在する顔料Z1、Z2、・・・Znについて、塗膜面に対する垂直方向の塗膜切断面から得られる各顔料の水平及び垂直方向の位置情報を得、その情報から各顔料の末端部の位置情報Z11(a11,b11)、Z12(a12,b12)、・・・、Zn1(an1,bn1)、Zn2(an2,bn2)を選別し、そこから当該顔料各々の塗膜面に対する傾きgradZ1、gradZ2、・・・、gradZnを求める。計算方法は、下記の通り。gradZ1=tan-1((b12-b11)/(a12-a11))gradZ2=tan-1((b22-b21)/(a22-a21))・・・gradZn=tan-1((bn2-bn1)/(an2-an1)) 更に、下記計算式により、得られた個々の傾きの平均と分散をとる。傾きの平均 Z = (gradZ1 + gradZ2 + … + gradZn) / n傾きの分散 S = √(Σ(Zi - Z)2 / n) この、傾きの平均と分散を配向性の尺度とする。 次に、実施例によって本発明を説明する。[実施例1](1)塗膜作成 下記配合にて、ブリキ板に塗装板を作成し、供試塗膜を得た。 1.ベースコート 1)ワニス a)アクリディック47-712(商品名、大日本塗料(株)) 400g b)スーパーベッカミンJ-820(商品名、大日本塗料(株)) 100g 2)混合シンナー a)トルエン 700g b)酢酸エチル 200g c)ブチルセロソルブ 100g 3)塗料化 a)アルミペースト(加熱残分として) 7.5g b)混合シンナー 180.0g c)ワニス 100.0g 4)塗装条件 a)塗装ガン Wider77(商品名、イワタ塗装機製) b)エア圧 390kPa c)乾燥膜厚 10〜15μm 2.トップコート 1)ワニス a)アクリディック44-179(商品名、大日本塗料(株)) 4kg b)スーパーベッカミンJ-820(商品名、大日本塗料(株)) 1kg c)溶剤(トルエンorキシレン)3.5kg 2)塗装条件 a)塗装ガン Wider77(商品名、イワタ塗装機製) b)エア圧 490kPa c)乾燥膜厚 30〜40μm 3.焼き付け 1)140℃×30min(2)超深度カラー3D形状測定顕微鏡(株式会社キーエンス製)を用い、上記塗膜中のアルミニウム粒子群のイメージ像(図1(写真))(1,000倍観察)取得およびその位置情報を測定した。(3)上記情報の内、イメージ上の任意の水平方向についての位置情報を高さ×位置の形で取り出した。(4)上記(3)の位置情報をグラフ化し(図1(グラフ))、(2)で得られたイメージと照らし合わせ、アルミニウム顔料の末端部の位置情報として選別した。 具体的に、図1に基づいて説明する(図2も同様)。図1(写真)中の走査ラインに沿って、位置情報をとり、グラフ化したものが、図1(グラフ)である。一例として、ある特定の顔料に着目すると、図1(写真)と図1(グラフ)において、矢印部分が対応している。ここでは、特に矢印の先端部を、顔料末端の位置情報Zn(144.2,12.89)、Zn(169.2,13.07)として特定している。 同様に、図2についても、ある特定の顔料の位置情報から読み取った顔料端末の位置情報は、Zn(52.0,13.39)、Zn(70.4,13.00)となる。(5)選別したアルミニウム顔料の末端部の位置情報から、各アルミニウム顔料の塗膜面に対する傾きを計算した。同様の操作を、4視野について行い、各アルミニウム顔料の塗膜面に対する傾きを計算した。その後、これらのアルミニウム顔料の塗膜面に対する傾きについて平均、及び、分散を計算した。 傾きの平均値は-0.2度であり、分散は3.7度であった。 この塗膜のIV値は450であった。 なお、IV値は、アルコープ(商品名、関西ペイント株式会社製)による光輝感を示す値であり、値が大きい程、光輝感が高い。[実施例2] 塗装方法を塗装ガンから静電自動塗装機に変更して塗装した以外は、実施例1と同様の評価を行った。粒子群のイメージ像を図3、図3中の任意の水平方向の顔料の位置情報を図4に示す。 傾きの平均値は0.9度であり、分散は5.4度であった。 この塗膜のIV値は410であった。 実施例1と比較し、実施例2に示された塗膜に含有されるアルミニウム粒子の傾きの平均値、分散とも大きく、塗膜に含有されるアルミニウム粒子の配向が悪いことが示された。 このことは、塗膜の光輝感(IV値)が低いことからも間接的に示される。 本発明の評価方法は、直接的に配向性を評価でき、高精度かつ、簡便に実施できるので、塗膜中の顔料分析方法として好適である。本発明の実施例1のアルミニウム顔料のイメージ図(上)と、その位置情報を示すグラフ(下)である。本発明の実施例2のアルミニウム顔料のイメージ図(上)と、その位置情報を示すグラフ(下)である。塗膜構成の概念図である。塗膜の任意の断面図から得られる情報選択についての説明図である。 塗膜中に存在する扁平な形態を有する顔料について、塗膜面に対する垂直方向の塗膜切断面から得られる各顔料の水平及び垂直方向の位置情報を得、その情報から各顔料の末端部の位置情報を選別し、そこから当該顔料各々の塗膜面に対する傾きを求め、得られた個々の傾きの平均と分散をとることによる、塗膜中顔料の配向性評価方法。 評価する顔料を塗膜表面に近い顔料のみとする請求項1記載の塗膜中顔料の配向性評価方法。 顔料を含む塗膜を、走査型共焦点光学系を用いた顕微鏡を用いて塗膜水平方向に走査することにより、顔料の位置情報を得る請求項2記載の塗膜中顔料の配向性評価方法。 顔料が鱗片状顔料である請求項1乃至3いずれかに記載の塗膜中顔料の配向性評価方法。 顔料がアルミニウム顔料である請求項1乃至3いずれかに記載の塗膜中顔料の配向性評価方法。


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