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タイトル:公開特許公報(A)_ベンゾ酸及びその誘導体を探知するための形質転換用組換えベクター、その形質転換体及び該形質転換体を利用するベンゾ酸及びその誘導体の探知方法
出願番号:2003383889
年次:2005
IPC分類:7,C12N15/09,C12N1/15,C12N1/19,C12N1/21,C12N5/10,C12Q1/68,G01N21/76


特許情報キャッシュ

グ,マン ボック ミッチェル,ロバート ジェイ. JP 2005040124 公開特許公報(A) 20050217 2003383889 20031113 ベンゾ酸及びその誘導体を探知するための形質転換用組換えベクター、その形質転換体及び該形質転換体を利用するベンゾ酸及びその誘導体の探知方法 光州科学技術院 502223596 廣江 武典 100083932 宇野 健一 100121429 グ,マン ボック ミッチェル,ロバート ジェイ. KR 2003-034915 20030530 7C12N15/09C12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/10C12Q1/68G01N21/76 JPC12N15/00 AC12N1/15C12N1/19C12N1/21C12Q1/68 AG01N21/76C12N5/00 A 7 OL 9 2G054 4B024 4B063 4B065 2G054AA04 2G054CA30 2G054EA01 4B024AA11 4B024BA80 4B024CA01 4B024DA07 4B024EA04 4B024FA02 4B024GA11 4B024HA11 4B063QA01 4B063QQ61 4B063QR33 4B063QR75 4B063QS05 4B063QS24 4B063QS36 4B063QX02 4B065AA01Y 4B065AA26X 4B065AB01 4B065AC20 4B065BA02 4B065CA46 本発明はベンゾ酸及びその誘導体を探知するための形質転換用組換えベクター、その形質転換体及び該形質転換体を利用するベンゾ酸及びその誘導体の探知方法に関する。より詳くは、ポリアロマティックヒドロカーボン類等に汚染されている土壤の復元程度を判断することができるようにするベンゾ酸及びその誘導体を探知するための形質転換用組換えベクターと、その形質転換体及び該形質転換体を利用して形質転換体と検体を反応させて発生する発光量によってベンゾ酸及びその誘導体を探知する方法に関するものである。 芳香族化合物は、その構造が安定しているので自然的な分解が難しいため、土壤などに露出されると深刻な土壤汚染をもたらす。難分解性化合物であるポリアロマティックヒドロカーボン(Poly Aromatic Hydrocarbon)類は、土壤微生物によって一部が分解され炭素源として使用される。これによって、微生物を利用する生物学的土壤復元方法の開発が活発になっている。 ベンゾ酸及びその誘導体は、ポリアロマティック化合物等の自然的な分解過程で現われる中間代謝物質であり、芳香族化合物の一種である。従って、ポリアロマティックヒドロカーボン類に汚染されている土壤の復元過程の中でベンゾ酸及びその誘導体を分析すれば土壤復元の程度を評価することができる。 しかし、従来の機器分析方法では化学物質の定量的分析データを提供する利点はあるが、環境毒性学的に分析しようとする化学物質の毒性或いは、細胞内の反応に対する分析が不可能であるという問題点がある。 最近、バクテリアの発光性を利用して化学物質の毒性と、その種類を把握しようとする研究が活発に進行している。例えば、ストレス誘発時、発光物質の発現を誘導するストレスプロモーターを発光遺伝子の前に結合して化学物質による特定ストレスの誘発程度を発光の程度として判断する方法が報告されている(M.B.Gu and S.H.Choi, Water Science and Technology 43:147-154)。又、特定の化学物質の探知のために、当該化学物質分解の中間代謝に関与する蛋白質コーディング遺伝子及びその誘導プロモーターが利用されることもある(Burlage, R.S., Sayler, G.S., Larimer, F, J. Bacteriol. 172:4749-4757)。従って、遺伝子組換えを利用する発光バクテリアの製作技術は化学物質の生物学的試験方法に広範囲に応用できる技術である。 しかし、従来報告されている前記のように優秀な生物学的試験方法にも拘わらず、現在、ポリアロマティックヒドロカーボン類に汚染されている土壤の復元過程の中で現われる中間代謝物質であるベンゾ酸及びその誘導体を分析することができる、如何なる手段も提供されていない実情である。 本発明は、前記のように従来技術が有する問題や限界を克服するために発明されたもので、その主な目的は土壤の復元程度を判断することができるベンゾ酸及びその誘導体を探知するための形質転換用組換えベクターを提供することを目的とする。 本発明の他の目的は、前記組換ベクターを大腸菌に形質転換させて得た形質転換体を提供する。 本発明のさらなる他の目的は、前記形質転換体を利用して形質転換体と検体を反応させ発生する発光量によってベンゾ酸及びその誘導体を探知する方法を提供する。 本発明は、ベンゾ酸及びその誘導体を探知するための形質転換用組換えベクターにおいて、発光タンパク質をコ−ディングする所定の発光遺伝子と、前記発光遺伝子の発現を誘導する一連の遺伝子セットを含み、前記遺伝子セットは調節遺伝子nagRと、前記遺伝子nagRによってコ−ディングされる蛋白質NagRによって前記発光遺伝子の転写を誘導するプロモーター部位を備えるベンゾ酸及びその誘導体を探知するための形質転換用組換えベクターを提供する。 又、本発明は、前記組換えベクターを大腸菌に形質転換して製造される形質転換体を提供する。 又、本発明は、前記形質転換体と検体を反応させ発生する発光量によってベンゾ酸及びその誘導体を探知する方法を提供する。 本発明によれば、土壤サンプル内に存在する芳香族化合物中の一つであるベンゾ酸とその誘導体の毒性及び有害性を複雑な機器分析の必要なしに分析することができる。 また、ベンゾ酸及びその誘導体は、ポリアロマチック化合物の自然的な分解過程で現れる中間代謝物でこれを探知することによって、ポリアロマチックヒドロカーボン類に汚染されている土壤の復元程度を評価することができる。 前記nagR遺伝子は、調節蛋白質であるNagRを発現し、前記調節蛋白質はナフタレンをゲンチセート(gentisate)に転換させることに関与するnagオペロン、即ち、nagAaGHAbAcAdBFCQEDを含む遺伝子を作動させるプロモーターに結合して前記オペロンの 転写を調節すると知られている(S.L.Fuenmayor, M.Wild, A.L.Boyes, and P.A.Williams, J.Bacteriol. 180:2522-2530)。 前記のnagオペロンのプロモーター部位は、PnagGで表示され、前記nagR遺伝子から発現される調節蛋白質NagRによってその作動が調節される。その主要機作はベンゾ酸及びその誘導体が前記調節蛋白質に結合した状態で前記調節蛋白質がプロモーター部位に結合して発光遺伝子の発現に影響を及ぼすと説明することができる。 前記で発光遺伝子の発現を誘導するための遺伝子セットは、nagR遺伝子と、 nagオペロンのプロモーター部位であるnagGを含む。前記遺伝子セット(nagR-PnagG)は全体が一つのプロモーターとして機能し、ラルストニアエスピ.U2から序列番号1の 5'プライマー(5'-GTCACCAATATGGACCAGGCAACGC-3') 及び序列番号2記載の3'プライマー(5'-CCGCGTCTAGATGCTAATTGAGGGG-3')を利用して PCR増幅を通じて得ることができる。この時、得られるPCR産物は所定の制限酵素に処理され、これを同一の制限酵素として処理した所定のベクターに挿入させて組換えベクターを製造した後、前記組換えベクターを発光遺伝子を有する所定のベクターと組換えさせてベンゾ酸及びその誘導体を探知すための大腸菌形質転換用組換えベクターを作製することができる。 以下、本発明の内容を図面を参照しながら、より詳細に説明する。 図1は、本発明の好適な実施例でベンゾ酸及びその誘導体を探知するための大腸菌形質転換用組換えベクターの一製造例及びその開裂地図を示している。前記示された組換えプラズミドpNAG1は、ラルストニアエスピ.U2からナフタレン分解代謝の過程を増進させるnagR遺伝子と、nagオペーロンのプロモーターであるPnagGをnagオペロンから拔き出してプロモーターとして使用し、これを発光遺伝子であるlux CDABEと融合させて作製したものである。 前記ラルストニアエスピ.U2(Ralstonia sp.U2)のゲノムから序列番号1及び序列番号2をプライマーにして増幅した序列番号3のPCR産物1.331kbはnagR遺伝子のダウンストリーム-266bpとアップストリーム+176bpを含み、nagR[267〜1172bp]とnagAa遺伝子のプロモーター部位[1173〜1288bp]を含有している。前記PCR産物は、制限酵素Xba1とHindIIIに処理され、同一の酵素で処理したベクターpSP-luc+に前記制限酵素で処理されたPCR産物を組換えして組換えベクターpNAG9を製造する。 前記pNAG9プラズミドにKpn1とEcoR1制限酵素を処理し、又、同一の制限酵素で処理したluxCDABEを含有するpUCD615の多重クローニング部位に組換えてこれをpNAG1と命名した。前記組換えプラズミドpNAG1は抗生剤抵抗性遺伝子を具備することが好ましい。このような抗生剤抵抗性遺伝子になることができる遺伝子は、現在、多数が公知されている(例えば、カナマイシン、アンピシリン、テトラサイクリンなど)。従って、当業者は前記公知されている抗生剤抵抗性遺伝子から所望の遺伝子を選択して使用することができる。しかし、このような遺伝子の具体的な種類は、本発明の本質を構成するものではないのみならず、このような抗生剤抵抗性遺伝子の導入はただ形質転換体を選拔するためのものであり、選拔に使用できる遺伝子であれば如何なるものでも導入することができる。従って、抗生剤抵抗性遺伝子のみに限定されるものではない。 本発明の実施例においては前記組換えプラズミドpNAG1で形質転換させる微生物に大腸菌RFM443菌株が使用された。特に限定されるものではないが、大腸菌は培養条件が簡単で、操作に便利であるため本発明の実施に最も好適である。pNAG1プラズミドは、カナマイシンとアンピシリン抵抗性遺伝子を有し、大腸菌RFM443に導入させた後、アンピシリンが収容されているLB培地でpNAG1が含まれたコロニーを選別することができる。 前記の過程を通じて選拔されたもので、ベンゾ酸とその代表的な誘導体としてのサリチル酸に発光反応を見せる菌株を選拔して、これを大腸菌RFM443/pNAG1(EBNAG1)と命名し、韓国農用微生物保存センター(KACC)に 2003年4月4日付けの寄託番号KACC 91044で寄託した。 前記本発明による形質転換体EBNAG1(寄託番号 : KACC 91044)は、ベンゾ酸とその誘導体物質を感知すると、発光の強度が増加する性質を有する。従って、本発明による菌株を利用して検体に露出させ、これから発生する発光の強度を測定する場合、土壤内の代表的汚染源であるベンゾ酸とその誘導体物質の探知ばかりでなく水質サンプル内のベンゾ酸とその誘導体物質の毒性及びその有害の程度を敏感に探知することができる。 以下、本発明の内容を実施例によってより詳細に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。<実施例 1> 組換えプラズミドの製作 Ralstonia sp.U2から序列番号1と序列番号2のプライマーを利用してPCRを利用、nagR-PnagGプロモーター1.33kbのPCR産物を得た。PCR産物は最後のベクターに使用されるpUCD615に組み合わせるために、Kpn1とEcoR1制限酵素部位が必要である。それで、これをKpn1とEcoR1制限酵素部位を有しているベクターpSP-luc+(Promega, USA)を使用、ベクタ−のluc遺伝子を除くためにXab1とHindIII制限酵素でそれぞれPCR産物とベクターをすべで処理し、 37℃で2時間それぞれ反応させた後、組換えを行った(pNAG9)。 このpNAG9プラスミドをKpn1とEcoR1制限酵素で37℃2時間の間それぞれ反応させた後、同じ制限酵素で処理したluxCDABEを有しているpUCD615の多重クローニングサイトに組換えして、これをpNAG1と命名した(図 1)。<実施例2> 形質転換体EBNAG1の製作 37℃で一日の間培養したRFM443野生菌株を電気衝撃を利用して形質転換用宿主細胞を作るために、50%グリセロールを使用し、バクテリア培養液に存在する塩成分を取り除いた。 次いで、<実施例1>で作製したプラスミドを、前記作製の宿主細胞に挿入して電気衝撃形質転換機器(Bio-RAD, Gene PulserRII)に入れて、2秒間電気衝撃を加えた。前記宿主細胞をアンピシリンが50μg/mlが含まれたLB-アガープレート(agar plate)に塗抹した。前記アガープレートを30℃の培養器に入れて一日間培養した後、生成されたコロニーをアンピシリンが50μg/ml含まれた100ml LB培地にシーディング(seeding)した。これを30℃の回転培養器に入れて一日間培養した後、商用化されているミニフラップキット(Qiagen ; philekorea technology Inc.製品)を使用して組換えされたプラスミド(pNAG1)を拔き出した。プラスミドの確認のために組換えプラスミド作製のために使用された制限酵素であるKpn1とEcoR1とを処理し、これを0.8%アガロスゲルを使用して11kbのpUCD615ベクターと1.06kbのプロモーター部位を確認した(図 2)。 <実施例 3> 形質転換体EBNAG1のベンゾ酸及びその誘導体に対する探知能の確認 EBNAG1菌株を30℃でアンピシリンが50μg/ml含まれた100mlのLB培地で吸光度0.08(600nm)まで培養した。発光強度を測定するために培養された細胞溶液100μlを取り、96-ウエルプレート(Dynex Inc.,USA)の各ウエルに既にテストする化学物質(ベンゾ酸−濃度 12.5, 6.25, 3.125, 1.5625, 0.78125, 0.390625, 0.1953125 mM、或いはサリチル酸−濃度 12.5, 6.25, 3.125, 1.5625, 0.78125, 0.390625, 0.1953125 mM)が収容されている不透明96ウエルプレート[Microtiter TM, DYNEX technologies, USA]にそれぞれ分株した。発光強度を測定するために、96ウエル発光測定装置[Microtiter plate reader, MLX, USA]に前記ウエルプレートを取り入れた。 次いで、 6時間の間発光程度を測定して化学物質の濃度による発光の変化を観察した。図3はベンゾ酸とその誘導体に対する探知能を確認するために、ベンゾ酸とその代表的誘導体であるサリチル酸を濃度別に接種してEBNAG1が発する発光信号を測定した結果である。図3(a)で分かるように3時間以後のベンゾ酸の濃度に従って発光強度が変わることを見ることができ、同時に濃度に比例してその強度が増加していることを確認することができる。又、図3の(b)で分かるようにベンゾ酸の誘導体であるサリチル酸も同様に3時間以後、発光強度がサリチル酸の濃度に比例して増加することを確認することができる。これは、組換えプラスミドpNAG1がベンゾ酸とその誘導体の濃度による毒性探知ばかりでなくサンプル試料における毒性の探知も可能であることを示唆する。以下の表1は他のベンゾ酸とその誘導体に対するEBNAG1の反応程度を示す。註: RBLa ; 相対的生物発光程度(RBL)は同時に対照区の発光量で割ったサンプルの値を示す。 MDCb ; 最小検出濃度、即ち、RBL値2を付与する最小濃度本発明に係る組換えベクター pNAG1の製造工程図である。本発明に係る組換えベクターpNAG1をEcoR1とKpn1制限酵素で切断してアガロスゲル電気泳動で確認した結果の写真(左側レーン : マーカー, 右側レーン : ベクター切片)である。本発明に係る形質転換体EBNAG1にベンゾ酸(a)とその誘導体であるサリチル酸(b)を濃度別に処理した後、発光変化の程度を観察した結果のグラフである。ベンゾ酸及びその誘導体を探知するための形質転換用組換えベクターおいて、発光蛋白質をコーディングする所定の発光遺伝子と、前記発光遺伝子の発現を誘導する一連の遺伝子セットを含み、 前記遺伝子セットは、調節遺伝子nagRと、前記遺伝子nagRによってコーディングされる蛋白質NagRによって前記発光遺伝子の転写を誘導するプロモーター部位を備えることを特徴とするベンゾ酸及びその誘導体を探知するための形質転換用組換えベクター。前記発光遺伝子の転写を誘導するプロモーター部位が、nagオペロンのプロモーター部位であることを特徴とする請求項1記載の組換えベクター。前記発光遺伝子が、luxCDABE遺伝子であることを特徴とする請求項1又は2記載の組換えベクター。前記組換プラズミドが、図1に記載された開裂地図を有し、ベンゾ酸及びその誘導体を探知するための大腸菌形質転換用pNAG1であることを特徴とする請求項1記載の組換えベクター。前記大腸菌がRFM443であることを特徴とする請求項4記載の組換えベクター。請求項4記載の組換えベクターを大腸菌に形質転換させて得た形質転換体EBNAG1(KACC 91044)。請求項6記載の形質転換体と検体を反応させて発生する発光量によってベンゾ酸及びその誘導体を探知する方法。 【課題】 ベンゾ酸及びその誘導体を探知するための形質転換用組換えベクター、その形質転換体及び該形質転換体を利用するベンゾ酸及びその誘導体の探知方法を提供する。【解決手段】発光蛋白質をコーディングする所定の発光遺伝子と、前記発光遺伝子の発現を誘導する一連の遺伝子セットを含み、前記遺伝子セットは調節遺伝子nagRと、前記遺伝子nagRによってコーディングされる蛋白質NagRによって前記発光遺伝子の転写を誘導するプロモーター部位を備えることを特徴とするベンゾ酸及びその誘導体の探知のための形質転換用組換えベクター及びその形質転換体と、該形質転換体を検体と反応させて発生する発光量によってベンゾ酸及びその誘導体を探知する方法を提供する。【選択図】図 1配列表


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