生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_美白剤または色素沈着症改善剤
出願番号:2003372432
年次:2005
IPC分類:7,A61K7/48,A61K7/00,A61K31/7048,A61K35/78,A61P17/16,A61P43/00


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久保 道▲徳▼ 松田 秀秋 JP 2005132793 公開特許公報(A) 20050526 2003372432 20031031 美白剤または色素沈着症改善剤 学校法人近畿大学 000125347 西教 圭一郎 100075557 杉山 毅至 100072235 廣瀬 峰太郎 100101638 久保 道▲徳▼ 松田 秀秋 7A61K7/48A61K7/00A61K31/7048A61K35/78A61P17/16A61P43/00 JPA61K7/48A61K7/00 HA61K7/00 KA61K7/00 XA61K31/7048A61K35/78 KA61P17/16A61P43/00 111 9 OL 9 4C083 4C086 4C088 4C083AA111 4C083AA112 4C083AC012 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC122 4C083AC182 4C083AC242 4C083AC402 4C083AC422 4C083AC542 4C083AD512 4C083AD611 4C083BB51 4C083CC02 4C083CC04 4C083CC05 4C083DD31 4C083EE16 4C083EE50 4C083FF01 4C086EA11 4C086GA17 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA22 4C086MA23 4C086MA28 4C086MA52 4C086MA63 4C086NA14 4C086ZA89 4C086ZC20 4C088AB62 4C088AC04 4C088BA07 4C088BA10 4C088BA14 4C088CA06 4C088MA01 4C088MA22 4C088MA23 4C088MA28 4C088MA52 4C088MA63 4C088NA14 4C088ZA89 4C088ZC20 本発明は柑橘類果実のアルコール抽出エキスあるいは乾燥粉末又はそのフラボノイド成分であるヘスペリジンを有効成分として含有することを特徴とする美白剤または色素沈着症改善剤に関する。 シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症は、皮膚にメラニン色素が過剰に沈着した疾患である。 本疾患は、特に、女性にとって美容上好ましくなく、シミ、ソバカスを改善したり、肌を効果的に美白にするものが望まれてきた。 前記メラニンは、動植物界に広く分布しているが、脊髄動物におけるその生合成については、メラノサイト中の細胞質顆粒メラノソームで、チロシンがチロシナーゼにより酸化されて、ドーパ、ドーパキノンが生合成され、さらにドーパキノンは紫外線による自動酸化によってインドールキノン等複雑な経路を経てメラニンが生合成されることが知られている。 一方、ミカン科植物のCitrus属植物やFortunella属植物の果実は柑橘類果実と総称され、世界的に食用とされているものが数多くある。また、柑橘類果実は古来、薬用に供されるものも多く、『第十四改正日本薬局方』には陳皮[ミカン科(Rutaceae)のウンシュウミカン(Citrus unshiu)あるいはCitrus reticulataの成熟した果皮]、枳実・枳殻[ミカン科(Rutaceae)のダイダイCitrus aurantium var. daidai、Citrus aurantium又はナツミカンCitrus natsudaidaiの未熟果をそのまま或いはそれを半分に横切したもの]、橙皮[ミカン科(Rutaceae)のCitrus aurantium又はダイダイCitrus aurantium var. daidaiの成熟した果皮]が収載されている。 これら柑橘系生薬はいずれも特有の芳香と苦味を有し、中国では、陳皮および橙皮は芳香性苦味健胃薬として用いられ、枳実は堅く充実したうっ滞、うっ血による腫脹の改善を目的とした漢方方剤に配合される。 柑橘系生薬には、精油成分としてリモネン(limonene)、フラボノイド配糖体としてヘスペリジン(hesperidin)、ネオヘスペリジン(neohesperidin)、ナリンギン(naringin)、アルカロイドとしてシネフリン(synephrine)などが含まれている。 ミカン類生薬(陳皮、橘皮、枳実、橙皮)には、消化器系に対する作用や抗アレルギー作用などが証明されている。抗アレルギー作用に関しては、陳皮水製エキスの経口投与によりラット受身皮膚アナフィラキシー反応は抑制される。ウンシュウミカン果実についてもマスト細胞からのcompound 48/80によるヒスタミン遊離抑制作用を指標に、抗アレルギー作用を検討され、成熟したものよりも未成熟なものにより強い作用が認められている。たとえば、特許文献1参照。また、抗アレルギー作用については、ヘスペリジンが主要成分と考えられている。たとえば、特許文献2参照。また、フラボノイド成分のノビレチン、タンゲリチン、3−メトキシノビレチンにもラット腹腔マスト細胞からのヒスタミン遊離抑制作用が認められている。また、枳実、枳殻の水抽出エキスや50%エタノールエキスにはラット受身皮膚アナフィラキシー反応やマウス塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎を抑制する作用が報告されている。 しかし、未成熟な柑橘類果実の粉末又はそのエキスおよびそのフラボノイド成分であるヘスペリジン自身については、美白効果やシミ、ソバカス等の色素沈着症の改善効果は知られていない。特開昭63−170323特開平4−295428 本発明の目的は、従来、知られている美白剤に比べ、複雑な経路からなるメラニン生合成に対して優れた効力および幅広い抑制機序を有する美白剤又は色素沈着症改善剤を提供することである。 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、未成熟な柑橘類果実の粉末又はそのエキスおよびそのフラボノイド成分であるヘスペリジンが優れた美白効果および色素沈着症の改善効果を有することを見出し、本発明を完成したものである。 本発明にかかわる色素沈着症としては、前述の如く、メラニン色素が皮膚に過剰に沈着した疾患であり、その具体例としては、シミ、ソバカス、色黒、ステロイド等の薬物による皮膚の黒化症等を挙げることができる。 本発明のヘスペリジンを含有する未成熟な柑橘系果実とは、一般に柑橘系果実の着果後の生長過程において、果皮が黄変する以前の未成熟段階の果実を意味するものである。たとえば、実施例で実験材料に供した和歌山有田郡金屋町産のウンシュウミカンにおいては、5月20日頃に着果し、その後2ヶ月ないし3ヶ月を経過した横径が約2.0cm以上、約4.5cm以下の未成熟な果実がこれに相当する。 ヘスペリジン含有未成熟柑橘系果実の乾燥粉末は、一般の乾燥方法によって得られる。すなわち、果実をそのままあるいは細切後、日陰あるいは陽干し、あるいは乾燥機を用いて乾燥し、粉末としたものである。 本発明において、未成熟な柑橘系果実のエキスについては、水、温湯、エタノール、含水エタノール等の通常生薬エキスの抽出に使用される溶媒を用いて抽出したものや、又、その抽出液から前記溶媒を凍結乾燥、噴霧乾燥、減圧留去等の方法で除去することにより得られる粉末や、さらにはカラムクロマト等の精製技術を駆使して得た単独の成分をも挙げることができる。 本発明は未成熟な柑橘類果実の粉末又はそのエキスおよびそのフラボノイド成分であるヘスペリジンの投与方法としては、経口投与、局所投与等種々の方法を挙げることができるが、一般的には、外用剤として皮膚に塗布することが簡便である。 該外用剤としては、軟膏、クリーム、乳液、リニメント、ローション剤等を挙げることができる。 これらの製剤は、未成熟な柑橘類果実の粉末や前記のごとき未成熟な柑橘類果実の粉末又はそのエキスおよびそのフラボノイド成分であるヘスペリジンに、適当な添加剤、賦形剤等を混合し、公知の製剤技術を用いて製造することができる。 本発明にかかわる未成熟な柑橘類果実の粉末又はそのエキスおよびそのフラボノイド成分であるヘスペリジンの投与量は、投与方法により異なるが、外用剤として投与する場合には、皮膚疾患部に前記の如き外用剤を適当量塗布すればよい。 本発明は、未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスを含有することを特徴とする美白剤である。 本発明に従えば、未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスは、メラニン色素の産生に対して優れた抑制効果を示すので、美白剤に好適である。 また本発明は、未成熟な柑橘類果実の乾燥粉末を含有することを特徴とする美白剤である。 本発明に従えば、未成熟な柑橘類果実の乾燥粉末は、メラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示すので、美白剤に好適である。 また本発明は、柑橘類果実がウンシュウミカンであることを特徴とする。 本発明に従えば、ウンシュウミカンは、メラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。したがって、美白剤に好適である。 また本発明は、ヘスペリジンを含有することを特徴とする美白剤である。 本発明に従えば、ヘスペリジンによってメラニン色素の産生に対して優れた抑制効果を示すので、美白剤に好適である。 また本発明は、未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスを含有することを特徴とする色素沈着症改善剤である。 本発明に従えば、未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスは、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 また本発明は、未成熟な柑橘類果実の乾燥粉末を含有することを特徴とする色素沈着症改善剤である。 本発明に従えば、未成熟な柑橘類果実の乾燥粉末は、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 また本発明は、柑橘類果実がウンシュウミカンであることを特徴とする。 本発明に従えば、ウンシュウミカンは、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 また本発明は、ヘスペリジンを含有することを特徴とする色素沈着症改善剤である。 本発明に従えば、ヘスペリジンによって、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 また本発明は、改善すべき色素沈着症がシミ又はソバカスである前記色素沈着症改善剤である。 本発明に従えば、メラニン色素の産生に対して優れた抑制効果を示すので、シミ、ソバカスを抑制することができる。 本発明によれば、未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスは、メラニン色素の産生に対して優れた抑制効果を示すので、美白剤に好適である。 本発明によれば、未成熟な柑橘類果実の乾燥粉末は、メラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示すので、美白剤に好適である。 本発明によれば、ウンシュウミカンは、メラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。したがって、美白剤に好適である。 本発明によれば、ヘスペリジンによってメラニン色素の産生に対して優れた抑制効果を示すので、美白剤に好適である。 本発明によれば、未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスは、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 本発明によれば、未成熟な柑橘類果実の乾燥粉末は、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 本発明によれば、ウンシュウミカンは、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 本発明によれば、ヘスペリジンによって、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 本発明によれば、メラニン色素の産生に対して優れた抑制効果を示すので、シミ、ソバカスを抑制することができる。 本発明にかかわる未成熟な柑橘類果実の粉末又はそのエキスおよびそのフラボノイド成分であるヘスペリジンは、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示した。 従って、本発明は美白剤およびシミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症改善剤として優れたものである。 以下に、参考例、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 参考例 検体1;2003年、7月5日、8月5日、9月5日、10月5日に近畿大学湯浅農場で栽培されているウンシュウミカン果実を採取、細切後乾燥し、粉砕、粉末とした。 検体2;上記に示したウンシュウミカン果実の粉末に10倍量の50%エタノールを加え、約80℃で2時間抽出し、その後ろ紙ろ過し、減圧下濃縮エキスとした。ヘスペリジンは、8月5日採取分のエキスに水およびエーテルを加えることによって得られた沈殿物をメタノールで再結晶して生成した。[(松田ら、薬学雑誌、111、193−198(1991))]。 実施例1 チロシナーゼ活性抑制試験;Masonらの方法に従った。被検体をdimethyl sulfoxide、phoshate buffer(PBS、pH6.8)の1:9溶液に溶解した。0.03%に調整した基質dopa溶液(PBSに溶解)0.5mlに被検液0.5mlを加え、25℃、10分間インキュベートした。135 U/mlに調整した酵素チロシナーゼ液(PBSに溶解)を0.5ml加え,5分間インキュベートした.反応後475nmにおける吸光度を測定(UV−2400PC、Shimadzu)した。 結果を表1に示す。 表1は、ウンシュウミカン果実エキスおよびヘスペリジンの抗チロシナーゼ活性を示す。 抑制率は、次式により求めた。 抑制率(%)=(検体無添加である対照の吸光度−被検体の吸光度)/(検体無添加である対照の吸光度)×100 表1に示したように、未成熟な時期に採取されたウンシュウミカン果実のエキスおよび未成熟な時期のウンシュウミカン果実に高含量に含まれるフラボノイド成分のヘスペリジンにチロシナーゼ活性を抑制する作用が認められた。 実施例2 外用剤の製造;未成熟なウンシュウミカン果実のエキスを含有するエモリエントクリームおよびエモリエントローションを常法により製造した。 以下に示す組成のエモリエントクリームおよびエモリエントローションは優れた美白効果を示した。 (1)エモリエントクリーム (組成) ステアリン酸 2.0重量% ステアリールアルコール 7.0重量% 還元ラノリン 7.0重量% スクワレン 5.0重量% オクチルデカノール 6.0重量% ポリオキシエチレンセチルエーテル 3.0重量% 親油型モノオキシステアリン酸グリセリン 2.0重量% 香料 0.3重量% 防腐剤、酸化防止剤 適量 プロピレングリコール 5.0重量% 被検体(未成熟なウンシュウミカン果実エキス) 1.0重量% 精製水 全体で100となる量 (2)エモリエントローション (組成) ステアリン酸 0.2重量% セタノール 1.5重量% ワセリン 3.0重量% ラノリンアルコール 2.0重量% 流動パラフィン 10.0重量% ポチオキシエチレンモノオレイン酸エステル 2.0重量% 香料 0.3重量% グリセリン 3.0重量% プロピレングリコール 5.0重量% トリエタノールアミン 1.0重量% 被検体(未成熟なウンシュウミカン果実エキス) 2.0重量% 精製水 全体で100となる量 未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスを含有することを特徴とする美白剤。 未成熟な柑橘類果実の乾燥粉末を含有することを特徴とする美白剤。 柑橘類果実がウンシュウミカンであることを特徴とする請求項1または2記載の美白剤。 ヘスペリジンを含有することを特徴とする美白剤。 未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスを含有することを特徴とする色素沈着症改善剤。 未成熟な柑橘類果実の乾燥粉末を含有することを特徴とする色素沈着症改善剤。 柑橘類果実がウンシュウミカンであることを特徴とする請求項5または6記載の色素沈着症改善剤。 ヘスペリジンを含有することを特徴とする色素沈着症改善剤。 改善すべき色素沈着症がシミ又はソバカスである請求項5〜8のいずれか1つに記載の色素沈着症改善剤。 【課題】 女性にとって美容上好ましくないシミ、ソバカスを改善したり、肌を効果的に美白にするものが望まれてきた。【解決手段】 美白剤または色素沈着症改善剤は、未成熟な柑橘類果実をアルコールで抽出したエキスを含有する。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_美白剤または色素沈着症改善剤

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_美白剤または色素沈着症改善剤
出願番号:2003372432
年次:2006
IPC分類:A61K 8/49,A61K 8/97,A61Q 19/02,A61Q 19/00,A61K 31/7048,A61K 36/75,A61P 17/16,A61P 43/00


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久保 道▲徳▼ 松田 秀秋 JP 3800611 特許公報(B2) 20060512 2003372432 20031031 美白剤または色素沈着症改善剤 学校法人近畿大学 000125347 高橋 剛 100096758 高橋 雅和 100114845 西教 圭一郎 100075557 杉山 毅至 100072235 廣瀬 峰太郎 100101638 久保 道▲徳▼ 松田 秀秋 20060726 A61K 8/49 20060101AFI20060706BHJP A61K 8/97 20060101ALI20060706BHJP A61Q 19/02 20060101ALI20060706BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20060706BHJP A61K 31/7048 20060101ALI20060706BHJP A61K 36/75 20060101ALI20060706BHJP A61P 17/16 20060101ALI20060706BHJP A61P 43/00 20060101ALI20060706BHJP JPA61K8/49A61K8/97A61Q19/02A61Q19/00A61K31/7048A61K35/78 KA61P17/16A61P43/00 111 A61K 8/00− 8/99 A61K 31/7048 A61K 36/75 A61P 17/16 A61P 43/00 A61Q 1/00−99/00 特開昭61−291508(JP,A) 特開平08−081382(JP,A) 特開平04−295428(JP,A) 特開平11−171756(JP,A) 特開昭63−170323(JP,A) 3 2005132793 20050526 8 20031031 保倉 行雄 本発明は未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスあるいは乾燥粉末又はそのフラボノイド成分であるヘスペリジンを有効成分として含有することを特徴とする美白剤または色素沈着症改善剤に関する。 シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症は、皮膚にメラニン色素が過剰に沈着した疾患である。 本疾患は、特に、女性にとって美容上好ましくなく、シミ、ソバカスを改善したり、肌を効果的に美白にするものが望まれてきた。 前記メラニンは、動植物界に広く分布しているが、脊髄動物におけるその生合成については、メラノサイト中の細胞質顆粒メラノソームで、チロシンがチロシナーゼにより酸化されて、ドーパ、ドーパキノンが生合成され、さらにドーパキノンは紫外線による自動酸化によってインドールキノン等複雑な経路を経てメラニンが生合成されることが知られている。 一方、ミカン科植物のCitrus属植物やFortunella属植物の果実は柑橘類果実と総称され、世界的に食用とされているものが数多くある。また、柑橘類果実は古来、薬用に供されるものも多く、『第十四改正日本薬局方』には陳皮[ミカン科(Rutaceae)のウンシュウミカン(Citrus unshiu)あるいはCitrus reticulataの成熟した果皮]、枳実・枳殻[ミカン科(Rutaceae)のダイダイCitrus aurantium var. daidai、Citrus aurantium又はナツミカンCitrus natsudaidaiの未熟果をそのまま或いはそれを半分に横切したもの]、橙皮[ミカン科(Rutaceae)のCitrus aurantium又はダイダイCitrus aurantium var. daidaiの成熟した果皮]が収載されている。 これら柑橘系生薬はいずれも特有の芳香と苦味を有し、中国では、陳皮および橙皮は芳香性苦味健胃薬として用いられ、枳実は堅く充実したうっ滞、うっ血による腫脹の改善を目的とした漢方方剤に配合される。 柑橘系生薬には、精油成分としてリモネン(limonene)、フラボノイド配糖体としてヘスペリジン(hesperidin)、ネオヘスペリジン(neohesperidin)、ナリンギン(naringin)、アルカロイドとしてシネフリン(synephrine)などが含まれている。 ミカン類生薬(陳皮、橘皮、枳実、橙皮)には、消化器系に対する作用や抗アレルギー作用などが証明されている。抗アレルギー作用に関しては、陳皮水製エキスの経口投与によりラット受身皮膚アナフィラキシー反応は抑制される。ウンシュウミカン果実についてもマスト細胞からのcompound 48/80によるヒスタミン遊離抑制作用を指標に、抗アレルギー作用を検討され、成熟したものよりも未成熟なものにより強い作用が認められている。たとえば、特許文献1参照。また、抗アレルギー作用については、ヘスペリジンが主要成分と考えられている。たとえば、特許文献2参照。また、フラボノイド成分のノビレチン、タンゲリチン、3−メトキシノビレチンにもラット腹腔マスト細胞からのヒスタミン遊離抑制作用が認められている。また、枳実、枳殻の水抽出エキスや50%エタノールエキスにはラット受身皮膚アナフィラキシー反応やマウス塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎を抑制する作用が報告されている。 しかし、未成熟な柑橘類果実の粉末又はそのエキスおよびそのフラボノイド成分であるヘスペリジン自身については、美白効果やシミ、ソバカス等の色素沈着症の改善効果は知られていない。特開昭63−170323特開平4−295428 本発明の目的は、従来、知られている美白剤に比べ、複雑な経路からなるメラニン生合成に対して優れた効力および幅広い抑制機序を有する美白剤又は色素沈着症改善剤を提供することである。 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、未成熟な柑橘類果実の粉末又はそのエキスおよびそのフラボノイド成分であるヘスペリジンが優れた美白効果および色素沈着症の改善効果を有することを見出し、本発明を完成したものである。 本発明にかかわる色素沈着症としては、前述の如く、メラニン色素が皮膚に過剰に沈着した疾患であり、その具体例としては、シミ、ソバカス、色黒、ステロイド等の薬物による皮膚の黒化症等を挙げることができる。 本発明のヘスペリジンを含有する未成熟な柑橘系果実とは、一般に柑橘系果実の着果後の生長過程において、果皮が黄変する以前の未成熟段階の果実を意味するものである。たとえば、実施例で実験材料に供した和歌山有田郡金屋町産のウンシュウミカンにおいては、5月20日頃に着果し、その後2ヶ月ないし3ヶ月を経過した横径が約2.0cm以上、約4.5cm以下の未成熟な果実がこれに相当する。 ヘスペリジン含有未成熟柑橘系果実の乾燥粉末は、一般の乾燥方法によって得られる。すなわち、果実をそのままあるいは細切後、日陰あるいは陽干し、あるいは乾燥機を用いて乾燥し、粉末としたものである。 本発明において、未成熟な柑橘系果実のエキスについては、水、温湯、エタノール、含水エタノール等の通常生薬エキスの抽出に使用される溶媒を用いて抽出したものや、又、その抽出液から前記溶媒を凍結乾燥、噴霧乾燥、減圧留去等の方法で除去することにより得られる粉末や、さらにはカラムクロマト等の精製技術を駆使して得た単独の成分をも挙げることができる。 本発明は未成熟な柑橘類果実の粉末又はそのエキスおよびそのフラボノイド成分であるヘスペリジンの投与方法としては、経口投与、局所投与等種々の方法を挙げることができるが、一般的には、外用剤として皮膚に塗布することが簡便である。 該外用剤としては、軟膏、クリーム、乳液、リニメント、ローション剤等を挙げることができる。 これらの製剤は、未成熟な柑橘類果実の粉末や前記のごとき未成熟な柑橘類果実の粉末又はそのエキスおよびそのフラボノイド成分であるヘスペリジンに、適当な添加剤、賦形剤等を混合し、公知の製剤技術を用いて製造することができる。 本発明にかかわる未成熟な柑橘類果実の粉末又はそのエキスおよびそのフラボノイド成分であるヘスペリジンの投与量は、投与方法により異なるが、外用剤として投与する場合には、皮膚疾患部に前記の如き外用剤を適当量塗布すればよい。 本発明は、未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスを含有することを特徴とする美白剤である。 本発明に従えば、未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスは、メラニン色素の産生に対して優れた抑制効果を示すので、美白剤に好適である。 また本発明は、未成熟な柑橘類果実の乾燥粉末を含有することを特徴とする美白剤である。 本発明に従えば、未成熟な柑橘類果実の乾燥粉末は、メラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示すので、美白剤に好適である。 また本発明は、柑橘類果実がウンシュウミカンであることを特徴とする。 本発明に従えば、ウンシュウミカンは、メラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。したがって、美白剤に好適である。 また本発明は、ヘスペリジンを含有することを特徴とする美白剤である。 本発明に従えば、ヘスペリジンによってメラニン色素の産生に対して優れた抑制効果を示すので、美白剤に好適である。 また本発明は、未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスを含有することを特徴とする色素沈着症改善剤である。 本発明に従えば、未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスは、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 また本発明は、未成熟な柑橘類果実の乾燥粉末を含有することを特徴とする色素沈着症改善剤である。 本発明に従えば、未成熟な柑橘類果実の乾燥粉末は、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 また本発明は、柑橘類果実がウンシュウミカンであることを特徴とする。 本発明に従えば、ウンシュウミカンは、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 また本発明は、ヘスペリジンを含有することを特徴とする色素沈着症改善剤である。 本発明に従えば、ヘスペリジンによって、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 また本発明は、改善すべき色素沈着症がシミ又はソバカスである前記色素沈着症改善剤である。 本発明に従えば、メラニン色素の産生に対して優れた抑制効果を示すので、シミ、ソバカスを抑制することができる。 本発明によれば、未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスは、メラニン色素の産生に対して優れた抑制効果を示すので、美白剤に好適である。 本発明によれば、未成熟な柑橘類果実の乾燥粉末は、メラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示すので、美白剤に好適である。 本発明によれば、ウンシュウミカンは、メラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。したがって、美白剤に好適である。 本発明によれば、ヘスペリジンによってメラニン色素の産生に対して優れた抑制効果を示すので、美白剤に好適である。 本発明によれば、未成熟な柑橘類果実のアルコール抽出エキスは、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 本発明によれば、未成熟な柑橘類果実の乾燥粉末は、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 本発明によれば、ウンシュウミカンは、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 本発明によれば、ヘスペリジンによって、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示す。 本発明によれば、メラニン色素の産生に対して優れた抑制効果を示すので、シミ、ソバカスを抑制することができる。 本発明にかかわる未成熟な柑橘類果実の粉末又はそのエキスおよびそのフラボノイド成分であるヘスペリジンは、シミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症の原因であるメラニン色素の産生に対して、優れた抑制効果を示した。 従って、本発明は美白剤およびシミ、ソバカス、色黒等の色素沈着症改善剤として優れたものである。 以下に、参考例、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 参考例 検体1;2003年、7月5日、8月5日、9月5日、10月5日に近畿大学湯浅農場で栽培されているウンシュウミカン果実を採取、細切後乾燥し、粉砕、粉末とした。 検体2;上記に示したウンシュウミカン果実の粉末に10倍量の50%エタノールを加え、約80℃で2時間抽出し、その後ろ紙ろ過し、減圧下濃縮エキスとした。ヘスペリジンは、8月5日採取分のエキスに水およびエーテルを加えることによって得られた沈殿物をメタノールで再結晶して生成した。[(松田ら、薬学雑誌、111、193−198(1991))]。 実施例1 チロシナーゼ活性抑制試験;Masonらの方法に従った。被検体をdimethyl sulfoxide、phoshate buffer(PBS、pH6.8)の1:9溶液に溶解した。0.03%に調整した基質dopa溶液(PBSに溶解)0.5mlに被検液0.5mlを加え、25℃、10分間インキュベートした。135 U/mlに調整した酵素チロシナーゼ液(PBSに溶解)を0.5ml加え,5分間インキュベートした.反応後475nmにおける吸光度を測定(UV−2400PC、Shimadzu)した。 結果を表1に示す。 表1は、ウンシュウミカン果実エキスおよびヘスペリジンの抗チロシナーゼ活性を示す。 抑制率は、次式により求めた。 抑制率(%)=(検体無添加である対照の吸光度−被検体の吸光度)/(検体無添加である対照の吸光度)×100 表1に示したように、未成熟な時期に採取されたウンシュウミカン果実のエキスおよび未成熟な時期のウンシュウミカン果実に高含量に含まれるフラボノイド成分のヘスペリジンにチロシナーゼ活性を抑制する作用が認められた。 実施例2 外用剤の製造;未成熟なウンシュウミカン果実のエキスを含有するエモリエントクリームおよびエモリエントローションを常法により製造した。 以下に示す組成のエモリエントクリームおよびエモリエントローションは優れた美白効果を示した。 (1)エモリエントクリーム (組成) ステアリン酸 2.0重量% ステアリールアルコール 7.0重量% 還元ラノリン 7.0重量% スクワレン 5.0重量% オクチルデカノール 6.0重量% ポリオキシエチレンセチルエーテル 3.0重量% 親油型モノオキシステアリン酸グリセリン 2.0重量% 香料 0.3重量% 防腐剤、酸化防止剤 適量 プロピレングリコール 5.0重量% 被検体(未成熟なウンシュウミカン果実エキス) 1.0重量% 精製水 全体で100となる量 (2)エモリエントローション (組成) ステアリン酸 0.2重量% セタノール 1.5重量% ワセリン 3.0重量% ラノリンアルコール 2.0重量% 流動パラフィン 10.0重量% ポチオキシエチレンモノオレイン酸エステル 2.0重量% 香料 0.3重量% グリセリン 3.0重量% プロピレングリコール 5.0重量% トリエタノールアミン 1.0重量% 被検体(未成熟なウンシュウミカン果実エキス) 2.0重量% 精製水 全体で100となる量着果後2ヶ月ないし3ヶ月を経過した横径が2.0cm以上〜4.5cm以下の未成熟な柑橘類果実からアルコール抽出されたヘスペリジンを含有するエキスを含むことを特徴とする美白剤。着果後2ヶ月ないし3ヶ月を経過した横径が2.0cm以上〜4.5cm以下の未成熟な柑橘類果実からアルコール抽出されたヘスペリジンを含有するエキスを含むことを特徴とする色素沈着症改善剤。前記色素沈着症改善剤がシミ又はソバカスの改善剤であることを特徴とする請求項2に記載の色素沈着症改善剤。


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