タイトル: | 公開特許公報(A)_薄膜ガスセンサ加熱用ヒーターの抵抗値調整方法 |
出願番号: | 2003370934 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01N27/12 |
松原 健 鈴木 卓弥 国原 健二 小林 光男 JP 2005134250 公開特許公報(A) 20050526 2003370934 20031030 薄膜ガスセンサ加熱用ヒーターの抵抗値調整方法 富士電機機器制御株式会社 503361927 山口 巖 100075166 駒田 喜英 100076853 松崎 清 100085833 松原 健 鈴木 卓弥 国原 健二 小林 光男 7G01N27/12 JPG01N27/12 BG01N27/12 C 1 1 OL 6 2G046 2G046AA11 2G046AA19 2G046AA21 2G046AA24 2G046BA01 2G046BA09 2G046BB02 2G046BB04 2G046BE03 2G046FE31 2G046FE38 2G046FE39 2G046FE46 この発明は、電池駆動を念頭においた低消費電力型薄膜ガスセンサに関する。 一般的にガスセンサは、ガス漏れ警報器などの用途に用いられ、ある特定ガス、例えばCO,CH4,C3H8,CH3OH等に選択的に感応するデバイスであり、その性格上、高感度,高選択性,高応答性,高信頼性,低消費電力が必要不可欠である。 ところで、家庭用として普及しているガス漏れ警報器には、都市ガス用やプロパンガス用の可燃性ガス検知を目的としたものと、燃焼機器の不完全燃焼ガス検知を目的としたもの、または、両方の機能を合わせ持ったものなどがあるが、いずれもコストや設置性の問題から普及率はそれほど高くない。そういった事情から、普及率の向上を図るべく設置性の改善、具体的には電池駆動としコードレス化することが望まれている。 電池駆動を実現するためには低消費電力化が最も重要であるが、接触燃焼用や半導体式のガスセンサでは、100℃〜500℃の高温に加熱し検知する必要がある。これから、SnO2などの粉体を焼結した従来の方法では、スクリーン印刷等の方法を用いても厚みを薄くするには限界があり、電池駆動に用いるには熱容量が大きすぎた。そこで、ヒーター,感知膜を1μm以下の薄膜で形成し、さらに、微細加工プロセスによりダイアフラム構造などの低熱容量構造とした薄膜ガスセンサの実現が待たれていた。 接触燃焼式や半導体式の薄膜ガスセンサにおいては、感応膜表面温度50℃〜100℃の条件下での化学反応を利用するため、センサの温度制御にはヒーターが必要であり、そのヒーター特性のばらつきはセンサ特性のばらつきにも大きく影響を与える。 一方、薄膜ガスセンサに用いるヒーターとしては、厚さ数ミクロン以下の金属薄膜が用いられるが、薄膜ヒーターの抵抗値を成膜後やパターニング後に調整する場合には、例えば特許文献1のように補正抵抗を別に取り付けたり、または、パターンをレーザー等により削るトリミングの方法がある。 しかし、レーザー等による微細加工を個々のセンサに施すことはコスト高になる。そもそも薄膜ガスセンサの構成上、ヒーターの上部には感応層や選択燃焼層が形成されることが多いため、最終的なセンサ抵抗値の調整をトリミングにより実施することは困難である。 また、特許文献2のように、フローセンサ用に使用する薄膜ヒーターについて、ヒーター消費電力が一定になるようフィードバック制御する回路を組み込むことにより、ヒーターのばらつきや温度抵抗係数を決まった値に補正するという方法がある。特開2000−180406号公報(第3頁、図8)特開平11−037818号公報(第19頁、図1) しかしながら、上記特許文献2に示す方法では、スクリーニング作業工程を不要または簡略化できるが、部品点数の増加により、機器本体へのコスト高につながるという問題がある。 したがって、この発明の課題は、センサ回路に新たに部品を組み込んだり、ヒーターパターンをトリミングすることなく、薄膜ヒーターの電気抵抗を調整し得るようにすることにある。 上記課題を解決するため、この発明では、ヒーターの抵抗を測定しながら所定の抵抗値になるまで、ヒーターへの印加電圧を上昇させアニールすることを特徴とする。つまり、ヒーターに電圧を印加して加熱することにより、ヒーターを構成する原子の配置が変化する結果、電気抵抗値が変化する。一度変化した抵抗値は、調整時に印加した電圧(ヒーター温度)以下の電圧を印加しても、もはや変化しないというアニール機能(効果)を利用するものである。 この発明によれば、ヒーターに電圧を印加して加熱することにより、その抵抗値を調整するようにしたので、新たに部品を組み込んだり、ヒーター抵抗に外的な微細加工を施すことなく、所定の値に調整できる。その結果、コストが低減されるだけでなく、特性のそろったガスセンサを提供できる利点もある。 図1はこの発明を説明するためのフローチャートである。これは、例えば図2に示す構造の薄膜ガスセンサに対し、例えばマイクロコンピュータ(マイコン)を利用して実施するものである。まず、図2の薄膜ガスセンサから説明する。 両面に熱酸化膜が付いたSiウエハ1上に、ダイアフラム構造の支持層および熱絶縁層2としてSi3N4とSiO2膜を順次プラズマCVD法にて形成する。次にヒーター層3,SiO2絶縁層4の順にスパッタ法で形成する。その上に、接合層5,感知層電極6を形成する。成膜はRFマグネトロンスパッタリング装置を用い、通常のスパッタリング法によって行なう。次いで、感知層であるSnO2を成膜する。成膜はRFマグネトロンスパッタリング装置を用い、反応スパッタリング法によって行なう。ターゲットにはSbを0.5wt%を有するSnO2を用いる。最後に、Si基板1の裏面からエッチングによりシリコンを除去し、ダイアフラム構造とする。 以上のようにして得られたセンサのヒーター層3に対し、上述のマイコンから指示を与えることで直流電圧を印加し、電圧値を徐々に上げながら、そのときの抵抗値を測定する(図1のステップS1参照)。 いま、熱容量Cのヒーターに電力Qを投入した場合、温度Tとの間には定常的に、 T=Q/Cの関係が成立する。すなわち、ヒーターの熱容量Cに対し十分長い時間電力を投入した場合、温度はヒーターへの投入電力Q、つまりヒーターの消費電力Pに比例する。サーモビューアによる温度測定から、ヒーターが5mWの消費電力の時に100℃、30mWの消費電力の時に450℃であることが分かっているので、他の消費電力の時のヒーター温度が推定できる。本質的に、ヒーター抵抗の変化は、ヒーター温度の変化で生じていると考えられるので、ヒーターの材料やパターンにより、個々の場合の消費電力とヒーター温度との対応付けが必要である。 図3にヒーターの消費電力と電圧印加時のヒーター抵抗値を示す。図示のように、30mW以下の場合は0〜30mWの間で消費電力を変化させると、抵抗値は消費電力に対し一対一で決まる。これに対し、30mWを超えて消費電力を与えた場合は、図4のようにヒーター抵抗値は消費電力の超過分αに応じて増加している。 図5はこの超過分αに対するヒーター抵抗値の増加分を示す。超過分αの増加に対し、ほぼ二乗の割合でヒーター抵抗の変化分が増加していることが分かる。 図6は、同じセンサのヒーターに1分30秒の間直流電圧を印加し続けた後に、電圧をオフ(OFF)したときの抵抗値を、ヒーターの消費電力に対してプロットしたものである。電圧をOFFしたときのヒーター抵抗値は、印加電圧に関係なく一定であることが分かる。 図7は図5と同じく超過分αに対するヒーター抵抗値の増加分を示すグラフである。図5,図7からヒーター加熱時,電圧OFF時ともに消費電力の超過分に対し、ほぼ二乗の割合でヒーター抵抗の変化分が増加するという関係が成立する。なお、このような処理をして変化したヒーター抵抗値は、30mW以下での加熱に対しては履歴を示さず、消費電力と抵抗値は1対1の関係にある。 実際には、ヒーターによって履歴を生じる範囲が異なるため、電圧印加(ステップS1)→ヒーター抵抗測定(ステップS1,S2)→電圧印加(ステップS4)→…のサイクルを自動的に行なう調整装置を用い、効率よく調整を行なうようにする。これにより、ヒーターを目標とする抵抗値に調整することができる。そのためには、図1のフローチャートのようにステップS1〜S4を経て、再びステップS1に戻るようなループを形成すると有効である。なお、ステップS2は電圧OFFにしてヒーター抵抗を測定するステップ、ステップS3は測定した抵抗値が目標値に達したかどうかを判断するステップ、ステップS4は目標値に達しないため(N)、設定電圧を増加させるステップである。この発明の実施の形態を示すフローチャートこの発明が適用される薄膜ガスセンサを示す構造断面図ヒーター抵抗値に履歴が生じない範囲で電圧を印加したときのヒーター消費電力とヒーター抵抗値との関係を示すグラフヒーター抵抗値に履歴が生じる範囲まで電圧を印加したときのヒーター消費電力とヒーター抵抗値との関係を示すグラフヒーター抵抗値に履歴が生じる範囲まで電圧を印加したときの、超過した消費電力と電圧印加時のヒーター抵抗値増加の関係を示すグラフヒーター抵抗値に履歴が生じる範囲まで電圧を印加したときの、ヒーター消費電力と電圧Off時のヒーター抵抗値との関係を示すグラフヒーター抵抗値に履歴が生じる範囲まで電圧を印加したときの、超過した消費電力と電圧Off時のヒーター抵抗値増加との関係を示すグラフ符号の説明 1…Siウエハ(シリコン基板)、2…支持層および熱絶縁層、3…ヒーター層、4…SiO2絶縁層、5…接合層、6…感知層電極、7…感知層。 Si基板の一側面がダイアフラム様にくりぬかれた基板面上に、支持膜を介して薄膜ヒーターを形成し、電気絶縁膜を介して感知膜電極を形成した上に感知膜を形成した薄膜ガスセンサの前記薄膜ヒーターに対し、通常使用時に印加される電圧を超える電圧を印加して薄膜ヒーターの温度を上昇させ、薄膜ヒーターの電気抵抗値の調整を行なうことを特徴とする薄膜ガスセンサの加熱用ヒーターの抵抗値調整方法。 【課題】薄膜ガスセンサの薄膜ヒーターの電気抵抗の調整を、センサ回路に新たな部品を組み込んだり、ヒートパターンをトリミングすることなく簡単,安価に行ない得るようにする。【解決手段】Si基板1の一側面がダイアフラム様にくりぬかれた基板上に、支持膜2を介して薄膜ヒーター3を形成し、絶縁膜4を介して感知膜電極6を形成した上に感知膜7を形成した薄膜ガスセンサの前記薄膜ヒーター3に対し、通常の使用時を越える電圧を印加して加熱することにより抵抗値を変化させる。この値が所望の値となるよう印加電圧を調整することで、簡単かつ安価に電気抵抗の調整ができるようにする。【選択図】図1