タイトル: | 公開特許公報(A)_天然鉱物を原料とした無機質粉体などに不純物として混入するアスベストの定量方法 |
出願番号: | 2003366961 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01N23/20 |
小坂 征雄 茅原 信暁 増子 貴胤 松村 亮 JP 2005134128 公開特許公報(A) 20050526 2003366961 20031028 天然鉱物を原料とした無機質粉体などに不純物として混入するアスベストの定量方法 昭和鉱業株式会社 591172526 白川 一一 100058974 小坂 征雄 茅原 信暁 増子 貴胤 松村 亮 7G01N23/20 JPG01N23/20 1 OL 5 2G001 2G001AA01 2G001BA18 2G001CA01 2G001FA06 2G001HA01 2G001KA01 2G001LA06 2G001MA04 2G001RA01 2G001RA03 本発明は無機質粉体などに不純物として混入するアスベストの定量方法に係り、雲母、バーミキュライト、タルク、セピオライト、アタパルジャイト(パリゴルスカイト)、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト、プルーサイトなどの天然鉱物をを原料とした無機質粉体に混入するアスベストの定量ないし測定を有効且つ適切になすことのできる手法を提供しようとするものである。 天然鉱物を原料とする無機質粉体に不純物として混入する物質などの定量方法は粉末X線回折法により行うことができる。この粉末X線回折法による定量は、吸収回折法、内部標準法、標準添加法などの如きがあり、例えるならセピオライトなどの天然鉱物を原料とした無機質粉体に不純物として混入するトレモライトの重量濃度を測定することができる。特開平7−12760号公報「X線回折の手引き」(理学電気株式会社) 然し上記したような従来の方法によるものは、無機質紛体に不純物として混入するアスベストの重量濃度の測定を行うには次のような問題点を有している。(イ)健康障害を引き起こすアスベストとは、形状が5μm以上、アスペクト比3以上の針状ないし、繊維状形態の角閃石の一部(クロシドライト、アンソフィライト、アモサイト、アクチノライト、トレモライト)と蛇紋石(クリソタイル)を指す。(ロ)X線回折の吸収回折法、内部標準法、標準添加法などによる定量は無機質粉体に混入する角閃石もしくは蛇紋石の重量濃度を求めることになり、上記のような形状を加味した上でアスベストの重量濃度を求めるものではない。 本発明は上記したような従来技術における課題を解決することについて検討を重ねて創案されたものであって、天然鉱物を原料とする無機質粉体に不純物として混入するアスベストを適切に定量する方法を提供することに成功したものであって以下の如くである。(1)天然鉱物を原料とした無機質紛体などに不純物として混入するアスベストの重量濃度を測定するに当たって、記無機質粉体などに不純物として混入する角閃石もしくは蛇紋石の重量濃度を粉末X線回折法により測定すると共に、レーザー顕微鏡で前記角閃石もしくは蛇紋石の横幅と高さの関係を求め、偏光顕微鏡もしくは電子顕微鏡によりアスペクト比と体積を算出し、形状を加味した上でアスベストの重量濃度を算出することを特徴とする天然鉱物を原料とする無機質粉体などに不純物として混入するアスベストの定量方法。 即ちより具体的に言うならば、本発明は上記したような従来技術における課題を解消することについて検討を重ね、雲母、バーミキュライト、タルク、セピオライト、アタパルジャイト(パリゴルスカイト)、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト、ブルーサイト等の天然鉱物を原料とする無機質粉体に不純物として混入するアスベストの好ましい定量方法を得ることに成功したものである。つまり本発明はセピオライトのような天然鉱物を原料とする無機質粉体に不純物として混入する繊維状トレモナイトの定量方法として、レーザー顕微鏡により観察測定、算出したトレモライトの横軸と高さの関係式と偏光顕微鏡もしくは電子顕微鏡により測定したトレモナイトの縦幅と横幅、面積からアスペクト比と体積を算出し、トレモライト中の繊維状トレモライトの体積比とX線回折の内部標準法により測定したトレモライトの重量濃度から繊維状トレモライトの重量濃度を算出するものである。 本発明による定量方法によるときは、天然鉱物を原料とした無機粉体に不純物として混入する角閃石もしくは蛇紋石の重量濃度を粉末X線回折法の内部標準法により測定すると共に、レーザー顕微鏡により角閃石もしくは蛇紋石の横幅と高さの関係を求め、偏光顕微鏡または電子顕微鏡により体積を算出することにより、無機質粉体に不純物として混入するアスベストの重量濃度が求められ、目的とするアスベストを重量的に解明することを可能とし、目的製品を得る上におけるアスベストの実態を明確化せしめることが可能となる。 天然鉱物を原料とした不純物としてアスベストが混入する無機質粉体を原料に用いて目的の物体を製造するに当たって、該天然鉱物を原料とする無機質粉体に不純物として混入する角閃石もしくは蛇紋石の重量濃度を粉末X線回折法により測定すると共に、レーザー顕微鏡により角閃石もしくは蛇紋石の横幅と高さの関係を求め、偏光顕微鏡または電子顕微鏡により体積を算出し、形状を加味した上でアスベストの重量濃度を算出することにより、無機質紛体ならびに無機質粉体を原料とする製品の品質管理や製造上の作業環境の管理、改善を的確に行うことができる。 天然鉱物を原料とした無機粉体に不純物としてアスベストが混入する原料を用いて目的の物体を製造するに当たって、該天然鉱物を原料とする無機質粉体に不純物として混入する角閃石もしくは蛇紋石の重量濃度を粉末X線回折法により測定すると共に、レーザー顕微鏡により角閃石もしくは蛇紋石の横幅と高さを求め、偏光顕微鏡または電子顕微鏡により体積を算出し、形状を加味した上でアスベストの重量濃度を算出することにより適正な製造条件を求めることができ、これらのデータにより前記無機質粉体による配合製造条件を決定することによって目的とする製品を的確に製造せしめることができる。 本発明の具体的実施態様を、天然鉱物(雲母、バーミキュライト、タルク、セピオライト、アタパルジャイト(パリゴルスカイト)、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト、ブルーサイト等)を原料とする無機質粉体に不純物として混入するアスベストの定量方法の具体例について、セピオライト(含水マグネシウム珪酸塩)の例を説明すると、以下の如くである。 即ち、全般的な関係については、本発明のセピオライトを原料とする無機質粉体に不純物として混入する繊維状トレモライトの定量方法は、レーザー顕微鏡により測定したトレモライトの横幅と高さの関係から回帰係数を求め、偏光顕微鏡もしくは電子顕微鏡により測定したトレモライトの横幅と面積、レーザー顕微鏡により求めた回帰係数から体積を算出し、X線回折の内部標準法により測定したトレモライトの重量濃度から、繊維状トレモライトの重量濃度を算出するものである。 その各工程について説明すると以下の如くである。 (前処理) 顕微鏡観察の前処理として、セピオライト10g、6N塩酸300mlに入れ、60℃で攪拌しながら24時間の加温処理を2回行い、吸引ろ過により試料を洗浄、固液分離する。次いで1N水酸化ナトリウム300mlで同様の処理を1回行い、この処理後は吸引ろ過により試料を洗浄、固液分離する。試料の乾燥後、X線回折によりセピオライトが溶解していることを確認した。 (レーザー顕微鏡による観察) レーザー顕微鏡は公知の物を使用し、トレモライトの形状(縦幅、横幅)面積、体積を測定する。次いで体積を面積で割り、粒子の平均高さを算出した。セピオライトには不純物としてトレモライトのほか、タルクや石英を含むため、形状より明らかにトレモライトであるもののみを測定し、横幅と高さの相関をとった。相関係数が0.8以上の時に相関があるとして、横幅x1、高さy1から回帰係数bを求めた。 (数1) b=y1/x1 (偏光顕微鏡による観察) 偏光顕微鏡は公知の物を利用し、トレモライト、タルク、石英を判断するために用いる。測定はデジタルマイクロスコープなどの公知のものを偏光顕微鏡に装着、使用し、トレモライトの形状(縦幅、横幅x2)、面積を測定する。レーザー顕微鏡により求めた回帰係数bと横幅x2から高さy2を算出し、面積と高さy2から体積を求めた。また、縦幅と横幅よりアスペクト比を算出した。 (数2) y2=b・x2 (X線回折による測定) X線回折装置は公知の物を適宜に採用して測定することができ、例えば内部標準法によりセピオライト中のトレモライトの重量濃度を測定することができる。 上記のレーザー顕微鏡ならびに偏光顕微鏡による観察、測定から求めたトレモライトのアスペクト比と体積より、トレモライト中の繊維状トレモライトの重量比を算出した。これら算出した重量比とX線回折の内部標準法により求めたセピオライト中に混入するトレモライトの重量濃度から、繊維状トレモライトの重量濃度を求める。 上記したような本発明によるものは、従来において適切な管理が困難とされている天然鉱物を原料とした無機質粉体などに不純物として混入するアスベスト量を有効且つ的確に定量することができ、それによって該天然鉱物を用いた各種作業におけるアスベスト量を有効且つ的確に管理し、合理的な作業条件その他を形成し、製品の品質管理と共に製造作業環境の管理、改善などを有効且つ適切に行わしめることが可能となる。天然鉱物を原料とした無機質粉体などに不純物として混入するアスベストの重量濃度を測定するに当たって、前記無機質粉体などに不純物として混入する角閃石もしくは蛇紋石の重量濃度を粉末X線回折法により測定すると共に、レーザー顕微鏡で前記角閃石もしくは蛇紋石の横幅と高さの関係を求め、偏光顕微鏡もしくは電子顕微鏡によりアスペクト比と体積を算出し、形状を加味した上でアスベストの重量濃度を算出することを特徴とする天然鉱物を原料とした無機質粉体などに不純物として混入するアスベストの定量方法。 【目的】 雲母,バーミキュライト,タルク,セピオライト,アタパルジャイト(パリゴルスカイト),クリソタイル,リザルダイト,アンチゴライト,プルーサイトなどの天然鉱物を原料とする無機質粉体に不純物として混入するアスベストの定量・測定をなす手法を提供する。【構成】 天然鉱物を原料とする無機質粉体に不純物として混入する角閃石もしくは蛇紋石の重量濃度を粉末X線回折法により測定し、レーザー顕微鏡で角閃石もしくは蛇紋石の横幅と高さの関係を求め、偏光顕微鏡によりアスペクト比と体積を算出し、形状を加味した上でアスベストの重量濃度を算出する。【選択図】 なし