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タイトル:公開特許公報(A)_固形化粧料の製造方法
出願番号:2003348794
年次:2005
IPC分類:7,A61K7/032,A61K7/02


特許情報キャッシュ

金井 隆男 三浦 泰毅 本棒 直樹 JP 2005112779 公開特許公報(A) 20050428 2003348794 20031007 固形化粧料の製造方法 花王株式会社 000000918 羽鳥 修 100076532 松嶋 善之 100101292 金井 隆男 三浦 泰毅 本棒 直樹 7A61K7/032A61K7/02 JPA61K7/032A61K7/02 T 8 1 OL 13 4C083 4C083AB232 4C083AB242 4C083AB432 4C083AC022 4C083AC792 4C083AD152 4C083BB13 4C083BB21 4C083CC14 4C083DD21 4C083EE03 4C083FF06 本発明は固形化粧料の製造方法及び該製造方法により得られる固形化粧料に関する。 近年、光輝性顔料を含有した固形化粧料において、魅力的な外観を演出するうえで光輝感を強調した外観を有する固形化粧料が求められている。この要求は、特にアイシャドウやアイカラー等、目元に使用する固形化粧料において顕著である。 従来の固形化粧料の成型においては、原料である粉体化粧料と押型との間に織布や紙を配置することに起因して、得られる固形化粧料の表面に織布や紙の表面形状が転写されてしまい、表面が平滑でなく外観の光輝感が乏しかった。 例えば、固形化粧料の成型において、原料である粉体化粧料と押型との間に織布や紙を配置することで離型性を確保し、安定的に成型品を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、得られる固形化粧料の表面に織布の表面形状が転写されるため、表面が平滑でなく外観の光輝感が乏しかった。 粉体化粧料と弾性を有する押型との間に可撓性シートを配置し、プレス開放後の押型とシートの弾性回復により、固形化粧料の表面をシートが持ち上げてしまう現象を防ごうとする技術も知られている(特許文献2参照)。可撓性シートの例として柔軟なナプキン紙などが挙げられている。しかし、かかるシートを用いても、特許文献1と同様に固形化粧料の外観の光輝感が乏しい。 同様の成型において、粉体化粧料と押型との間に布、紙、ポリエチレンシート等を配置することで、上面の仕上げを向上させる技術も知られている(特許文献3参照)。しかしながら、これらのシートと粉体との付着性が強い場合には、成型後プレスを開放する際にシートが固形化粧料の表面を持ち上げることがあり、安定な製造が困難となる。 このように前述した各従来技術には、原料である粉体化粧料と押型との間に織布、紙、表面が平滑であるフィルムを配置することが記載されている。しかしながら、これらの方法では、安定的に成型できたとしても得られる固形化粧料の表面平滑性が乏しくなってしまう。逆に、平滑なフィルムを用いて表面が平滑な固形化粧料を製造できたとしても安定的な製造が困難であったり、光輝感を強調した外観を有する固形化粧料を十分に安定的に製造できない。特開平5−77801号公報特許第2787000号公報特開平8−119833号公報 従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する各種の欠点を解消し得る固形化粧料の製造方法を提供することにある。 本発明者らは、原料である粉体化粧料をフィルムを用いて所定形状に成型する場合に、厚み方向の変形率及び臨界表面張力が特定の範囲内にあるフィルムを用いることで、表面平滑性に優れた固形化粧料が安定的に得られ、光輝感に優れた外観を有する固形化粧料を安定的に製造できることを見出した。 すなわち本発明は、固形化粧料を製造するための粉体化粧料を、押型を用いて圧縮成型するにあたり、該粉体化粧料と該押型との間に、25℃での臨界表面張力が1×10-4〜2.5×10-4N/cm、且つ、厚み方向の変形率が1〜25%のフィルムを介在させて圧縮成型を行なう固形化粧料の製造方法を提供するものである。 また本発明は、前記の製造方法によって製造された固形化粧料を提供するものである。 本発明の製造方法によれば、特定のフィルムを用いることで、表面平滑性に優れた固形化粧料を安定的に得ることが可能であり、特に、光輝感に優れた外観を有する固形化粧料を安定的に製造することができる。 以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明の製造方法は、例えば図1に示すプレス成型装置を用いることで実施することができる。図1のプレス成型装置では、プレス凹型7内のコア8によって支持された中皿2に、原料である粉体化粧料1が充填されている。粉体化粧料1は予め計量されて充填されている。押型であるプレス凸型6は加圧装置9によって所定の速度で下方向に駆動される。プレス凸型6の下面はプレスフィルム(以下、単にフィルムともいう)3を介して中皿2内の粉体化粧料1を圧密し所定形状に成型する。必要に応じて加圧状態を一定時間保持後、プレス凸型6は加圧装置9によって上方向に所定の速度で駆動されその下面はフィルム3から離れる。フィルム3は、繰出装置4から繰り出され、巻取装置5によって巻き取られるようになされている。プレス凸型6が上昇すると、フィルム3は巻取装置5により中皿2の幅でピッチ送りされ、粉体化粧料と接する面が更新される。プレス開放後の中皿2はコア8の上昇によりプレス凹型7から取り出される。加圧装置9は油圧シリンダーやサーボモータ等である。本実施形態では、中皿面積3cm2に対して、加圧力は0.1〜2tであり、粉体化粧料表面での圧力は0.3〜6.0×107Paである。プレス凸型6のプレス面形状は平面であっても良いし、模様や文字等の凹凸があっても良い。またプレス後にフィルム3を被成型品表面から離脱する速度は、3〜8cm/sであることが、離型性の点から好ましい。 本発明者らが、各種フィルムの表面粗さや摩擦係数等のフィルム性状を測定の上、固形化粧料からの離型性と比較した結果、意外なことに、これらの因子は固形化粧料の離型性とはほとんど関係がないことが明らかになった。更に検討を推し進めたところ、フィルム3としてその臨界表面張力が比較的低い特定の範囲内にあり且つ厚み方向の変形率が特定の範囲内にあるものを用いることによって、固形化粧料の離型性が向上することを知見した。この理由は、フィルム3の表面エネルギーが低いことに起因して、粉体がフィルム3に対して付着しにくくなるためであると考えられる。すなわち本発明においては、25℃におけるフィルム3の臨界表面張力が1×10-4〜2.5×10-4N/cm、好ましくは1.5×10-4〜2.5×10-4N/cm、更に好ましくは1.7×10-4〜2.5×10-4N/cmであり、且つフィルムの厚み方向の変形率が1〜25%、好ましくは5〜24%、更に好ましくは8〜23%であるときに、本発明の目的とする離型性が確保される。 フィルム3の臨界表面張力とは、固体表面の接触角θを、表面張力の異なる複数の液体(表面張力γ)について測定し(温度25℃)、cosθ−γのプロットにおいてcosθ=1に外挿した値γcをいう(図2)。フィルム3の臨界表面張力γcが小さいほど液体の接触角は大きくなる。 フィルム3の厚み方向の変形率は、例えば微小圧縮試験機(例えば島津製作所製のMCTM−500)を用いて測定することができる。測定条件は次の通りである。直径50μmの圧子でフィルムを一定速度0.77mN/sで圧縮していき、荷重が3.0×107Paに達したときの変形量D1μmを測定する。そして以下の式(1)からフィルム3の厚み方向の変形率Sを算出する。式中、Dは圧縮前のフィルム3の厚み(μm)を表す。 S=D1/D×100 (1) フィルム3をステージに配置する際、フィルム3をステージに密着させてフィルム3とステージとの間に異物や空間が存在しないように留意する。フィルム3をなるべく小さく切り取り、また切断箇所がフィルム3の厚みよりも厚く盛り上がらないようにする。このような処置によっても、実際のフィルム3の厚みより厚い時点でフィルム3への圧子の接触を検出する場合は、荷重−変形量曲線において、実際にフィルム3を圧縮している区間(例えば荷重が5mN付近)と、実際にフィルム3を圧縮していない区間(例えば荷重が極めて低いにもかかわらず変形量が大きく増加している荷重負荷初期の区間)に沿ってそれぞれ直線を引き、これら直線の交点をフィルム3の接触開始点、すなわち荷重ゼロ、変形量ゼロに設定し直し、改めて変形率Sを算出する。 フィルム3の厚みは、15〜80μm、特に20〜60μmであることが好ましい。また、歪み0.5%におけるフィルム3の面内方向の弾性率が2×108〜50×108Pa、特に3×108〜48×108Paであることが好ましい。フィルム3の厚み及び面内方向弾性率がこの範囲であると、粉体化粧料とフィルム3との離型性が更に良好となるからである。弾性率は、引張速度0.1%/sにてフィルム3を引っ張り、歪み0.5%の状態下に測定する。 フィルム3は、その表面粗さRa(JIS B 0601−1994)が、0.001〜 0.2μm、特に0.05〜0.15μmであることが、良好な離型性を維持しつつ、表面平滑性に優れた固形化粧料を得る点から好ましい。尤も本発明においては、フィルム3の臨界表面張力及び変形率が先に述べた数値を満たせば、フィルム3の表面粗さRaの大小にかかわらず、離型性が良好となり、また固形化粧料の外観が向上する。 以上の通りの物性を有するフィルム3として本発明において好ましく用いられるものとしては、任意の材料からなるフィルムの表面にシリコーン被覆を施したフィルムやポリ四フッ化エチレン(PTFE)のフィルムなどが挙げられる。前記の任意の材料としては各種熱可塑性樹脂、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)などが挙げられる。シリコーンとしては例えば東レ・ダウニング・シリコーン社SD−7223などが挙げられる。 以上のフィルム3を用い、押型であるプレス凸型6の圧縮面を立体的に形成して圧縮成形を行うと、立体感に優れた外観を有する固形化粧料が得られる。これは固形化粧料を構成する各面の光沢が向上するため、各面の境界が鮮明になることに起因するものである。また光輝性粉体を本発明の固形化粧料に被覆する場合には、光輝性粉体の耐脱落性に優れた固形化粧料が得られるという効果も併せて奏される。この理由は、固形化粧料の表面が平滑であればあるほど、一般に板状である光輝性粉体が固形化粧料の表面に対して確保できる接触面積が大きくなるからである。 本発明に用いられる固形化粧料を製造するための粉体化粧料は、一般に各種粉体及び油性成分を含有する。粉体としては、化粧品分野で通常用いられる各種の光輝性顔料が挙げられる。その形状は、板状、球状、棒状等種々あるが、塗布後の光輝感の点から板状が好ましい。板状粉体の形状は鱗片状、偏平状等を包含する。光輝性粉体としては、例えば、雲母チタン、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス、合成金雲母、酸化鉄被覆雲母、金箔末等が挙げられる。また、雲母チタン、金雲母、シリカ粉末、ガラス粉末等の母体粉体に顔料を被覆した表面被覆光輝性顔料を用いることで、光輝色のバリエーションを広げることができる。表面被覆光輝性顔料として具体的には、雲母チタン;酸化チタン被覆合成金雲母;酸化鉄又は黒酸化鉄被覆雲母チタン、酸化鉄/黒酸化鉄多層被覆雲母チタン、酸化チタン/酸化ケイ素/酸化チタン多層被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、カルミン/コンジョウ多層被覆雲母チタン、酸化鉄/カルミン多層被覆雲母チタン、コンジョウ被覆雲母チタン、酸化鉄/コンジョウ多層被覆雲母チタン、酸化クロム被覆雲母チタン、チタンブラック被覆雲母チタン等の顔料被覆雲母チタン;酸化チタン被覆ガラス粉末、酸化鉄/酸化チタン多層被覆ガラス粉末、金、銀及びニッケル等の金属を被覆したガラス粉末等の被覆ガラス粉末等、酸化チタン被覆シリカ粉末、酸化チタン/酸化ケイ素/酸化チタン多層被覆雲母シリカ粉末、酸化鉄/酸化チタン多層被覆シリカ粉末、金、銀及びニッケル等の金属を被覆したシリカ粉末等の被覆シリカ粉末が挙げられる。これらの粉体は、1種のみを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。 前記の各種光輝性顔料は市販品として入手可能である。例えば、雲母チタンとしては、ティミロンスーパーゴールド、ティミロンスターライトゴールド(以上、メルク社)、フラメンコゴールド、フラメンコスパークルゴールド、フラメンコサミットゴールド(以上、エンゲルハードアジアパシフィック社)、プレスティジゴールド、プレスティジブライトゴールド(以上、エッカート社);酸化鉄被覆雲母としては、コロロナボルドー(メルク社)、クロイゾネブルーフランベ(エンゲルハードアジアパシフィック社)、プレスティジブライトブロンズ(エッカート社);酸化鉄又は黒酸化鉄被覆雲母チタンとしては、コロロナブライトゴールド(メルク社)、クロイゾネゴールデンブロンズ(エンゲルハードアジアパシフィック社)、プレスティジレモンゴールド(エッカート社);酸化チタン/酸化ケイ素/酸化チタン多層被覆雲母チタンとしてティミロンスプレンディドブルー(メルク社);カルミン被覆雲母チタンとしては、コロロナカルミンレッド(メルク社)、クロイゾネレッド(エンゲルハードアジアパシフィック社);カルミン/コンジョウ多層被覆雲母チタンとしては、クロイゾネバイオレット(エンゲルハードアジアパシフィック社);酸化鉄/カルミン多層被覆雲母チタンとしては、クロイゾネNuアンティークレッド(エンゲルハードアジアパシフィック社);コンジョウ被覆雲母チタンとしては、デュオクロームBV(エンゲルハードアジアパシフィック社);酸化鉄/コンジョウ多層被覆雲母チタンとしては、コロロナパタゴニアンパープル(メルク社)、クロイゾネスーパーグリーン(エンゲルハードアジアパシフィック社);酸化クロム被覆雲母チタンとしては、コロロナマジェスティックグリーン(メルク社)、クロイゾネグリーン(エンゲルハードアジアパシフィック社);酸化チタン被覆合成金雲母としては、プロミネンスSF(トピー工業);金、銀又はニッケル等の金属を被覆したガラス粉末としては、メタシャインMC2080PS、ME2040PS、ME2025PS、ME2015PS、MC1040NB、MC1020NB等(以上、日本板硝子(株));酸化チタン被覆ガラス粉末としては、メタシャインMC1120RS、MC1080RS、MC1040RS、MC1020RS、MC1120RY、MC1080RY、MC1040RY、MC1020RY、MC1120RR、MC1080RR、MC1040RR、MC1020RR、MC1080RB、MC1040RB、MC1020RB、MC1080RG、MC1040RG等(以上、日本板硝子(株))が挙げられる。 粉体化粧料に含まれる粉体として光輝性顔料を用いる場合、その平均粒子径は光輝感の点から15μm以上であることが好ましく、更に光輝感を高くできる点から18μm以上であることが好ましい。一方、化粧膜の均一性及び滑らかさの点から、平均粒子径は150μm以下であることが好ましく、90μm以下であることが更に好ましい。平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布計(堀場製作所製、LA−920)を用いたレーザー回折/散乱法で測定することができる。 光輝性顔料の含有量は、粉体化粧料中に好ましくは5〜80重量%である。成型性を損なわずに、得られる固形化粧料の外観に一層充分な光輝感を発現させるためには、10〜75重量%であることが好ましい。 粉体化粧料に含まれる光輝性顔料は、疎水化処理剤を用いて表面処理されていてもよい。これによって化粧の持続性が向上する。疎水化処理剤としては例えば、シリコーン油、エステル油、脂肪酸金属塩、アルキルリン酸、アルキルリン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩、N−モノ長鎖(炭素数8〜22)脂肪族アシル塩基性アミノ酸、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物等が挙げられる。 原料である粉体化粧料に含まれるもう一方の成分である油性成分は油相の主成分であり、バインダーとしての役割を持ち、化粧料を塗布した際の化粧膜の肌への付着性の面で重要である。油相の主な機能としては、製品形態での成形性、化粧膜の肌への付着、粉体粒子同士の結合等による仕上がりや使用感等が挙げられる。更に、着色剤の発色、紫外線吸収等の他の機能を発揮する場合もある。特に、発明者らは油性成分が離型性を向上させ、フィルム3に対し油性成分が濡れ易い方が離型性が向上することも見出した。 本発明で使用可能な油性成分としては、通常化粧料に使用するものが含まれる。例えば、動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等を用いることができる。 油性成分の表面張力は、25℃において1.5〜3.5×10-4N/cm、特に1.7〜3.2×10-4N/cmであることが離型性の点から好ましい。離型性を一層向上させる観点から、油性成分を粉体化粧料中に3〜20重量%、特に5〜15重量%含有させることが好ましい。表面張力は常法に従い例えば液滴法により測定される。 油性成分の具体例としては、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、モクロウ、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素類;オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類;ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類;セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル油類;ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類;ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール類;低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン油類;パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油類;ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類;デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。油性成分は、1種のみを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。油性成分は固形化粧料の製造中に粉体に対し添加してもよく、また予め粉体の表面を油性成分で処理してもよい。 油性成分の含有量は、化粧料中に好ましくは3〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%とする。この範囲内とすることで、成型性、塗布時の肌への付着性等が良好になる。また、過剰ではない適度な崩壊性を確保しつつ、色つきのよさを向上させることができ、また粉ちり等を回避することもできる。更にはむら付き、化粧料のケーキング、化粧膜のよれ等が防止される。また油性成分の含有量は、光輝性顔料の配合量との兼ね合いからも、前記範囲内であることが好ましい。 原料である粉体化粧料には、光輝性顔料及び油性成分の効果を損なわない範囲で、前述した光輝性顔料以外の化粧用粉体を配合してもよい。例えば、無機顔料、有機顔料、色素粉体、複合粉体等を配合してもよい。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料;酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭化珪素、硫酸バリウム等の無機粉体;ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ウレタンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機粉体;有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体;酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられる。これらの粉体はその1種又は2種以上を複合化したものを用いても良い。また、これら化粧用粉体を、疎水化処理剤を用いて表面処理してもよい。疎水化処理剤としては、先に述べた光輝性顔料に施し得る疎水化処理剤と同様のものを用いることができる。これらの化粧用粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、原料粉体中に好ましくは0.01〜30重量%含まれる。 更に粉体化粧料には、前記の化粧用粉体以外にも、通常の化粧料に使用される成分、例えば、水性成分、界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、冷感剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。 前述した粉体化粧料を原料として用い、本発明に従い製造される固形化粧料は、優れた表面平滑性を有し、光輝感に優れた外観を有するものである。具体的には固形化粧料はその表面粗さRaが1〜3.5μm、特に2〜3μmという低い値を有する。表面粗さRaの測定方法は後述する実施例において説明する。 本発明に従い製造される固形化粧料は、特にアイシャドウ、アイカラー、アイライナー等の目元に使用するアイメイクアップ化粧料の形態として好適に用いられる。 〔実施例1〜3及び比較例1〜2〕 表1に示す組成及び方法に従って、粉体相成分(1〜5)を混合し、また油相成分(6〜7)を添加後、均一に混合粉砕して、原料である粉体化粧料を得た。次いで図1に示す装置を用い、各フィルムを粉体化粧料と平面形状である押型との間に介在させ、粉体化粧料を中皿にプレス充填(プレス圧3.0×107Pa)して固形化粧料(アイシャドウ)を得た。外観立体感の評価に用いた成型品は立体形状(高低差1mm)を施した押型を用いて同様に成型し、光輝性粉体の耐脱落性の評価に用いた成型品は平面形状の成型品表面に光輝性粉体(平均粒径80μm)を被覆したものである。なお表1におけるLDPEは低密度ポリエチレン、PTFEはポリ四フッ化エチレン、PEはポリエチレン、PVCはポリ塩化ビニルをそれぞれ表す。また表1における各成分の商品名は次の通りである。(1)疎水化処理雲母チタン:SA−ティミロンスーパーレッド(三好化成(株))(2)疎水化処理タルク:SA−タルクJA−68R(三好化成(株)) 〔評価方法〕 以下の方法にて、得られた固形化粧料の離型性、表面粗さ、外観光輝感、外観立体感、光輝性粉体の耐脱落性を評価した。結果を表2に示す。 (1)離型性 固形化粧料を100個作製し、固形化粧料の表面を肉眼観察のうえ表面の剥離状態に基づき評価する。全固形化粧料に対する合格した固形化粧料の割合を計算し、収率に応じて離型性を以下の指標で示す。◎: 合格品の割合が99%以上○: 合格品の割合が90%以上△: 合格品の割合が70%以上×: 合格品の割合が70%未満 (2)表面粗さ 固形化粧料の表面2mm四方内の三次元形状を、レーザー式三次元形状測定システム(コムス(株)測定システムEMS2002AD−3Dと(株)キーエンス 変位センサLK−2000の組合せ)にて測定し、10箇所の断面の表面粗さRaの算術平均を求めた。表面粗さRaの定義はJIS B0601−1994に従う。ただし、JIS B0601−1994ではRa0.1〜2.0μmに対し評価長さが4mm、Ra2.0〜10.0μmに対し評価長さが12.5mmを標準値としているのに対し、ここでは評価長さは2.0mmである。これは、表面の立体形状による影響を除外することを目的としている。固形化粧料の表面に立体形状を設けたものは平面部分で測定した。斜面で構成されているものは測定面が水平になるようにサンプルを傾けて測定し、傾斜の影響が出ないようにデータ処理の際に斜面補正等を行った。なお、固形化粧料の表面に光輝性粉体の被覆等があっても、これを含めたままの測定で同等の値が得られることを確認した。 (3)外観光輝感 固形化粧料外観の光輝感を、10名の専門パネラーを対象にしたアンケート調査した。アンケートでは、各固形化粧料の外観を各パネラーに観察させて「光輝感が良い」、「光輝感がやや良い」、「どちらとも言えない」、「光輝感があまり良くない」、「光輝感が良くない」の5段階で評価させた。その結果を以下の指標で示す。◎:「光輝感が良い」、「光輝感がやや良い」と感じたパネラーが8〜10人○:「光輝感が良い」、「光輝感がやや良い」と感じたパネラーが6〜7人△:「光輝感が良い」、「光輝感がやや良い」と感じたパネラーが4〜5人×:「光輝感が良い」、「光輝感がやや良い」と感じたパネラーが0〜3人 (4)外観立体感 固形化粧料外観の立体感を、10名の専門パネラーを対象にしたアンケート調査した。アンケートでは、各固形化粧料の外観を各パネラーに観察させて「立体感が良い」、「立体感がやや良い」、「どちらとも言えない」、「立体感があまり良くない」、「立体感が良くない」の5段階で評価させた。その結果を以下の指標で示す。◎:「立体感が良い」、「立体感がやや良い」と感じたパネラーが8〜10人○:「立体感が良い」、「立体感がやや良い」と感じたパネラーが6〜7人△:「立体感が良い」、「立体感がやや良い」と感じたパネラーが4〜5人×:「立体感が良い」、「立体感がやや良い」と感じたパネラーが0〜3人 (5)光輝性粉体の耐脱落性 光輝性粉体を含有する固形化粧料を、容器に入っている状態で50cmの高さから20回落下させ、落下前の光輝性粉体による固形化粧料外観のパール感に対する落下後の光輝性粉体による固形化粧料外観のパール感の減少を肉眼観察により評価した。その結果を以下の指標で示す。○:パール感はほとんど変わらない△:パール感が若干減少している×:パール感が大幅に減少している 表1及び表2に示す結果から明らかなように、各実施例に従い得られた固形化粧料は、各比較例に従い得られた固形化粧料に比較して、離型性が良好であり、表面粗さが低いことが判る。また外観の光輝感が良好であり、更に立体成型品においては外観の立体感が良好であり、光輝性粉体を被覆した成型品においては光輝性粉体が脱落しづらいものであることが判る。本発明の製造方法を実施するための装置の一例を示す概略構成図である。臨界表面張力の測定方法を示す説明図である。符号の説明 1 粉体化粧料 2 中皿 3 プレスフィルム 4 繰出装置 5 巻取装置 6 プレス凸型(押型) 7 プレス凹型 8 コア 9 加圧装置 固形化粧料を製造するための粉体化粧料を、押型を用いて圧縮成型するにあたり、該粉体化粧料と該押型との間に、25℃での臨界表面張力が1×10-4〜2.5×10-4N/cm、且つ、厚み方向の変形率が1〜25%のフィルムを介在させて圧縮成型を行なう固形化粧料の製造方法。 前記フィルムの厚みが20〜80μmであり、歪み0.5%におけるフィルムの面内方向の弾性率が2×108〜5×109Paである請求項1記載の製造方法。 前記フィルムが、任意の材料からなるフィルムの表面にシリコーン被覆を施したものである請求項1又は2記載の製造方法。 前記粉体化粧料が、平均粒子径が15μm以上の光輝性粉体を5〜80重量%含有する請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。 前記粉体化粧料が、25℃での表面張力が1.5×10-4〜3.5×10-4N/cmの油性成分を3〜20重量%含有する請求項1乃至4の何れかに記載の製造方法。 圧縮成型により得られた固形化粧料の表面から前記フィルムが離脱する移動速度が3〜8cm/sである請求項1乃至5の何れかに記載の製造方法。 請求項1乃至6の何れかに記載の製造方法によって得られる固形化粧料。 表面粗さRaが1〜3.5μmである請求項7記載の固形化粧料。 【課題】 表面平滑性に優れた固形化粧料を安定的に得ることが可能な固形化粧料の製造方法を提供すること。【解決手段】 固形化粧料を製造するための粉体化粧料を、押型を用いて圧縮成型するにあたり、該粉体化粧料と該押型との間に、25℃での臨界表面張力が1×10-4〜2.5×10-4N/cm、且つ、厚み方向の変形率が1〜25%のフィルムを介在させて圧縮成型を行なうことを特徴とする。フィルムの厚みは20〜80μmであり、歪み0.5%におけるフィルムの面内方向の弾性率は2×108〜5×109Paである。【選択図】 図1


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