タイトル: | 公開特許公報(A)_クラスタ−触媒を用いるアルキンの環化三量化方法 |
出願番号: | 2003348773 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C07C2/48,B01J31/16,C07C15/02,C07B61/00 |
関谷 光二 八角 克夫 JP 2005112777 公開特許公報(A) 20050428 2003348773 20031007 クラスタ−触媒を用いるアルキンの環化三量化方法 宇部興産株式会社 000000206 関谷 光二 八角 克夫 7C07C2/48B01J31/16C07C15/02C07B61/00 JPC07C2/48B01J31/16 MC07C15/02C07B61/00 300 6 OL 8 4G069 4G169 4H006 4H039 4G069AA02 4G069AA03 4G069BA28A 4G069BA28B 4G069BC53A 4G069BC57A 4G069BC59A 4G069BC59B 4G069BE45A 4G069BE45B 4G069BE46A 4G069BE46B 4G069CB38 4G069CB66 4G169AA02 4G169AA03 4G169BA28A 4G169BA28B 4G169BC53A 4G169BC57A 4G169BC59A 4G169BC59B 4G169BE45A 4G169BE45B 4G169BE46A 4G169BE46B 4G169CB38 4G169CB66 4H006AA02 4H006AC28 4H006BA12 4H006BA14 4H006BA15 4H006BA36 4H006BA37 4H006BB61 4H039CA41 4H039CH30 クラスタ−触媒を用いるアルキンの環化三量化方法に関すものである。 「クラスター」とは、原子または分子が2〜数百個集まった「有限個」の集団を指す。サイズは、概ね1ナノメートルから数百ナノメートルのものが多い。また、クラスターの種類は、一般に以下の5つに分けることが出来る。(1)金属クラスター、(2)共有結合クラスター、(3)ファンデルワールスクラスター、(4)水素結合クラスター、(5)クラスターイオン 原子の数でアボガドロ数程度の集団であるバルクの凝集系(固体、液体)と大きく異なり、クラスターは、原子の数では数百程度の原子集団である。そのため、クラスターの原子の大半は表面、あるいは表面近くにある。 金属クラスターとしては、ハロゲンを配位子とするクラスターハライドなどが知られている。クラスターハライドは、金属−金属結合を有するクラスター骨格のまわりに配位としてハロゲンが配位した複核金属化合物である。例えば、モリブデンなどの金属とハロゲンからなる非分子性ハライドであり、その構造が主には八面体状のクラスター骨格でありこと、熱に強い(600℃以上で調製)、電子的に極めて安定、固体で溶媒に不溶などの特性が知られている(非特許文献1参照)。しかし、結晶水が配位し、電気的にも安定なことから触媒反応に関する報告は希少である。 また、アルキンの三量化反応として、特開2002−60354号公報(特許文献1)に、特定のタンタル錯体を触媒を用いることが開示されている。しかし有機金属錯体の合成・単離までには数段階のステップを要し、得られるまでに時間を要する。特開2002−60354号公報H.schafer、外5名、Z.Anorg.Allg.Chem.,353,281(1967)。 クラスタ−触媒を用いる新規なアルキンの環化三量化方法を提供することを目的とする。 本発明は、クラスターハライド化合物を触媒として用いることを特徴とするアルキンの環化三量化方法に関する。 また、本発明は、アルキンが末端アルキンであることを特徴とする請求項1に記載のアルキンの環化三量化方法に関する。 また、本発明は、アルキンが1−へキシンであることを特徴とする請求項1〜2に記載のアルキンの環化三量化方法に関する。 また、本発明は、クラスターハライドが、一般式(1) (1)[式中、Mは5族又は6族の金属原子を表し、Xはハロゲンを表す。]で示されるクラスターハライドであることを特徴とする上記のアルキンの環化三量化方法に関する。 また、本発明は、クラスターハライドが、前処理として不活性ガス雰囲気下、熱処理されたものであることを特徴とする上記のアルキンの環化三量化方法に関する。 また、本発明は、一酸化炭素の存在下に反応させることを特徴とする上記のアルキンの環化三量化方法に関する。 本発明によれば、クラスタ−触媒を用いた高収率でアルキンの環化三量化方法を提供することができる。 本発明におけるクラスタ−ハライドとしては、構成分子や架橋分子としてハロゲンを有している金属クラスターである。例えば、一般式(1) (1)[式中、Mは5族又は6族の金属原子を表し、Xはハロゲンを表す。]で示されるクラスターハライドが挙げられる。5族又は6族の金属原子の具体例としては、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、およびこれら化合物などが挙げられる。 ハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。 また、(Nb6Br12)n、(Nb6Cl12)n、(NbCl4)n、(α-NbI4)n、(Nb6Cl14)n、(Nb6Cl16・nH2O)n、(Nb6I11)n、(CeNb6I11)n、(Nb3Cl8)n、(Nb3Br8)n、(Nb3I8)n、(Nb2Se2Br6)n、(Nb2Se2I6)n、(Nb2Te2Br6)n、(Nb2Te2I6)n、(Nb2S4Cl4)n、(Nb2S4Br4)n、(Nb2Se4Cl4)n、(Nb2Se4Br4)n、(Nb3Se5Cl7)n、(Nb3Se5Br7)n、(HNb4Cl11)n、(KNb4Cl11)n、(NaNb4Cl11)n、(RbNb4Cl11)n、(HNb4Br11)n、(LiNb4Br11)n、(KNb4Br11)n、(NaNb4Br11)n、(RbNb4Br11)n、(NbSBr)n、(NbSI)n、(NbSeBr)n、(NbSeI)n、(Nb6HI11)n、(CsNb6HI11)n、(Nb6F15)n、(Nb6Cl14)n、(Nb6Cl14Na4)n、などのニオブ系クラスターがある。また、(Ta6Cl12)n、(Ta6Br12)n、(Ta6Cl15)n、(Ta6Cl18Na4)nなどがある。 また、(Mo6Cl12)n、(MoCl3)n、(MoSCl)n、(MoSBr)n、(MoSI)n、(Mo2S4Cl6)n、(Mo3S7Cl4)n、(Mo3S7Br4)n、(FeMo4S8)n、(AlMo4S8)n、(RuMo4S8)n、(OsMo4S8)n、(RhMo4S8)n、(TiMo4S8)n、(ZrMo4S8)n、(CrMo4S8)n、(FeMo4Se8)n、(AlMo4Se8)n、(RuMo4Se8)n、(OsMo4Se8)n、(RhMo4Se8)n、(TiMo4Se8)n、(ZrMo4Se8)n、(CrMo4Se8)n、(Mo6S6F2)n、(Mo6S6Cl2)n、(Mo6S6Br2)n、(Mo6S6I2)n、(Mo4Re2Te8)n、(Mo6SCl10)n、(Mo6SBr10)n、(Mo6SI10)n、(Mo6S8)n、(Mo6SeCl10)n、(Mo6SeBr10)n、(Mo6SeI10)n、(HMo6Cl13)n、(LiMo6Cl13)n、(KMo6Cl13)n、(NaMo6Cl13)n、(RbMo6Cl13)nなどのモリブデン系クラスターがある。 また、(Ta6Cl12)n、(Ta6Br12)n、(Ta6I14)n、(Ta6Cl15)n、(Ta6Br15)n、などがある。 中でも、(Mo6Cl12)n、(但し、nは2〜100万である。)などが好ましい。 金属クラスターの構造としては、8面体構造、3角形構造などがある。一般的に正8面体構造クラスターの集合体のものが多い。8面体構造としては中心に原子が存在しているものや存在していないものも含まれる。モリブデン系、タングステン系などのクラスター構造として平面架橋構造、層状構造などの特徴を有しているものも挙げられる。 金属クラスターは、担持されていてもよい。担体としては、例えば、シリカエアロジル、活性炭、ゼオライト、アルミナ、マグネシア、塩化マグネシウム、シリカ・アルミナなどが挙げられる。 本発明においては、クラスターハライドが、前処理として不活性ガス雰囲気下、熱処理されたものであることが好ましい。 不活性ガスとしては、希ガス、二酸化炭素、水素、窒素などが挙げられる。 熱処理条件としては、例えば250〜350℃、5〜60分、処理することが好ましい。 アルキンとして、末端アルキンが好ましい。炭素数2以上のアルキンが好ましい。具体例としては、1−へキシン、1−ヘプチンなどが挙げられる。 本発明のアルキンの環化三量化反応の生成物としては、例えば、1−へキシンを用いた場合はトリ−n−ブチルベンゼン異性体が好適に生成される。1,2,4-置換体、1,3,5-置換体などが生成する。1,2,4-置換体がより多く生成する。 上記の反応条件としては、1−へキシン等の反応基質をクラスターハライド触媒と接触させる方法が挙げられる。例えば、回文式気液触媒反応などの方法がある。 反応温度としては、 250℃以上が好ましい。 反応時間としては、 4〜16時間が好ましい。 上記の反応においては、一酸化炭素の存在下に反応させることが好ましい。一酸化炭素は加圧下で存在させることが好ましい。圧力は、常温下、40K以上仕込むことが好ましい. (H3O)2[Mo6Cl8Cl6]*6H2O 1.003gとメタノール100gの溶液に、シリカゲル(380m2/g)19.095gを加え、1時間放置した後、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾固し、担持クラスターを得た。得られた担持クラスターは、150〜200メッシュに篩い分けた物を用いた。 内径6mm×長さ30cmの硝子管に上記担持クラスター150mg及びグラスウールを詰め、管状電気炉の中央にセットする。硝子管に二酸化炭素を40ml/分で流しながら、電気炉を350℃に加熱し、1時間保持する。その後、酸素、水遮断下、加圧反応器に100mg充填した。1−ヘキシンは4ml添加した。最後に室温にて一酸化炭素を50K封入し、250℃で16時間反応させた。得られた生成物は氷水浴下で回収し、ガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ質量分析計にて分析した。反応生成物の捕捉物の分析結果は、回収90重量%であり、回収された捕捉物全体を100重量%としたときの収率は、トリ−n−ブチルベンゼン異性体混合物が29.3重量%、その他微量の副生成物の総和が1.0重量%、残りは未反応の1−ヘキシンであった。実施例1において、熱処理のキャリアガスを二酸化炭素から水素に代えた以外は実施例1と全く同様にして反応及び後処理を行った。反応生成物の捕捉物の分析結果は、回収90重量%であり、回収された捕捉物全体を100重量%としたときの収率は、トリ−n−ブチルベンゼン異性体混合物が24.9重量%、その他微量の副生成物の総和が1.2重量%、残りは未反応の1−ヘキシンであった。 原料アルキンを1−ヘプチンで行った以外、実施例1と同様に行った。収率は2.2%であった。(比較例1)環化三量化触媒として(Nb6Cl14)n(但し、nは2〜100万である。)クラスターハライドを用いた以外、実施例1と同様に行った。収率は1.2%であった。(比較例2)環化三量化触媒として(Nb6Cl14)n(但し、nは2〜100万である。)クラスターハライドを用い、熱処理のキャリアガスに水素を用いた以外、実施例1と同様に行った。収率は1.7%であった。(比較例3)環化三量化触媒として(Nb6Br12)n(但し、nは2〜100万である。)クラスターハライドを用いた以外、実施例1と同様に行った。収率は3.2%であった。(比較例4)環化三量化触媒として(Ta6Cl12)n(但し、nは2〜100万である。)クラスターハライドを用いた以外、実施例1と同様に行った。収率は1.8%であった。(比較例5)環化三量化触媒として(Ta6Br12)n(但し、nは2〜100万である。)クラスターハライドを用いた以外、実施例1と同様に行った。収率は1.4%であった。(比較例6)環化三量化触媒として市販のモリブデン粉末を用いた以外、実施例1と同様に行った。収率は2.2%であった。(比較例7)室温にて一酸化炭素を10K圧入した以外、実施例1と同様に行った。収率は2.9%であった。(比較例8)一酸化炭素を封入しなかった以外、実施例1と同様に行った。収率は5.7%であった。(比較例9)反応温度を150℃に設定した以外、実施例1と同様に行った。収率は1.0%未満であった。(比較例10)反応温度を50℃に設定した以外、実施例1と同様に行った。収率は0%であった。クラスターハライド化合物を触媒として用いることを特徴とするアルキンの環化三量化方法。アルキンが末端アルキンであることを特徴とする請求項1に記載のアルキンの環化三量化方法。アルキンが1−へキシンであることを特徴とする請求項1〜2に記載のアルキンの環化三量化方法。クラスターハライドが、一般式(1) (1)[式中、Mは5族又は6族の金属原子を表し、Xはハロゲンを表す。]で示されるクラスターハライドであることを特徴とする請求項1〜3に記載のアルキンの環化三量化方法。クラスターハライドが、前処理として不活性ガス雰囲気下、熱処理されたものであることを特徴とする請求項1〜4に記載のアルキンの環化三量化方法。一酸化炭素の存在下に反応させることを特徴とする請求項1〜5に記載のアルキンの環化三量化方法。 【課題】 クラスタ−触媒を用いる新規なアルキンの環化三量化方法を提供することを目的とする。【解決手段】 クラスターハライド化合物を触媒として用いることを特徴とするアルキンの環化三量化方法、好ましくは、アルキンが末端アルキンであることを特徴とするアルキンの環化三量化方法、クラスターハライドが、前処理として不活性ガス雰囲気下、熱処理されたものであることを特徴とするアルキンの環化三量化方法、及び、一酸化炭素の存在下に反応させることを特徴とするアルキンの環化三量化方法。【選択図】 なし