タイトル: | 公開特許公報(A)_塩素化イソシアヌル酸の保存安定化剤および塩素化イソシアヌル酸組成物 |
出願番号: | 2003346646 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A01N43/66,C02F1/50,C07D251/28 |
藤田 孝行 岩崎 好也 森岡 茂 瀬尾 泰史 JP 2005112746 公開特許公報(A) 20050428 2003346646 20031006 塩素化イソシアヌル酸の保存安定化剤および塩素化イソシアヌル酸組成物 四国化成工業株式会社 000180302 藤田 孝行 岩崎 好也 森岡 茂 瀬尾 泰史 7A01N43/66C02F1/50C07D251/28 JPA01N43/66C02F1/50 510AC02F1/50 510DC02F1/50 520LC02F1/50 520RC02F1/50 532DC02F1/50 540EC07D251/28 A 3 OL 7 4H011 4H011AA02 4H011BA01 4H011BB09 4H011BC06 4H011BC18 4H011DA02 4H011DC05 4H011DD01 この発明は塩素化イソシアヌル酸の保存安定化剤および該保存安定化剤を配合したことを特徴とする塩素化イソシアヌル酸組成物に関するものである。 塩素化イソシアヌル酸は、化学的に安定な固体の化合物であって、その取り扱いが容易であり、また水中に溶解させた場合には、加水分解して殺菌性を有する活性塩素を放出し、且つその活性塩素の安定性が優れており、殺菌性能が長時間に渡って持続するところから、プール水や汚水、し尿処理施設からの放流水の殺菌消毒剤、また機械装置の冷却水等の殺藻や防藻剤として広く使用されている。 前記の塩素化イソシアヌル酸としては、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及びその水和物、ジクロロイソシアヌル酸カリウム等が代表的なものである。 ところで、これらの塩素化イソシアヌル酸は水との反応性が高く、その保管時において、空気中に含まれる微量の水分と反応して、塩素化イソシアヌル酸の分解生成物である塩素やクロラミン等の塩素系ガスを発生し、塩素化イソシアヌル酸が有する活性塩素量の低下や、塩素化イソシアヌル酸と接触する包装材料の劣化を招く等の難点があった。このため、長期間に渡って安定に保存できるように、塩素やクロラミン等の分解ガスの発生を抑制する塩素化イソシアヌル酸の保存安定化剤が望まれている。 例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3には、硫酸マグネシウムを配合したことにより保存安定性が改良された塩素化イソシアヌル酸組成物が提案されている。 塩素化イソシアヌル酸に硫酸マグネシウムを配合した場合に、塩素化イソシアヌル酸の保存安定性が改善されるメカニズムについては明らかではないが、一つの理由としては、硫酸マグネシウムが乾燥剤として作用するために、塩素化イソシアヌル酸の粒子の周囲に存在する水分が硫酸マグネシウムによって吸着され、水分による塩素化イソシアヌル酸の分解が抑制されるためと考えられる。 硫酸マグネシウムには、結晶水を含む硫酸マグネシウム含水塩(以下、含水塩という)と結晶水を含まない硫酸マグネシウム無水塩(以下、無水塩という)が存在するが、無水塩は含水塩に比べて吸湿性能が優れている。従って、無水塩は含水塩に比べて強力な保存安定化剤となり得るものであるが、吸湿速度が速いために短期間の間に吸湿性能が低下してしまい、長期間に渡って塩素化イソシアヌル酸の保存安定性を維持することができないという問題点があった。米国特許第4149988号公報特開2003−160405号公報特開2003−160417号公報 上記の事情に鑑み、本発明は、吸湿速度を遅くすることにより、長期間に渡って吸湿性能を維持し得る塩素化イソシアヌル酸の保存安定化剤として好適な硫酸マグネシウム及び、該硫酸マグネシウムを配合した塩素化シアヌル酸組成物を提供することを目的とする。 本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、硫酸マグネシウムの粒子の表面を高級飽和脂肪酸又はその塩で被覆処理することにより、所期の目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は、高級飽和脂肪酸又はその塩を被覆処理した硫酸マグネシウム及び、該硫酸マグネシウムを配合した塩素化イソシアヌル酸組成物に関するものである。 本発明の高級飽和脂肪酸又はその塩で被覆処理した硫酸マグネシウムは、塩素化イソシアヌル酸の保存安定化剤として好適に使用することができる。また、この保存安定化剤を配合した塩素化イソシアヌル酸組成物は、長期間に渡って持続的に保存安定性を有するものである。 本発明で使用する硫酸マグネシウムは、化学式MgSO4・XH2O(但し、Xは0〜7の整数)で表されるものであり、結晶水を含まない無水塩(X=0)であっても、結晶水を含有する有水塩(X=1〜7)であっても構わないが、吸湿量の多い硫酸マグネシウム無水塩が好ましい。 本発明で使用する高級飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が、また、その塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。 硫酸マグネシウムの粒子の表面を高級飽和脂肪酸又はその塩で被覆処理する方法としては、それらを粉体混合する方法が挙げられる。即ち、硫酸マグネシウムの粉末と高級飽和脂肪酸又はその塩の粉末を混合接触させると、硫酸マグネシウムの粒子と高級飽和脂肪酸又はその塩の粒子との間に静電気的な吸着作用が起こり、無水硫酸マグネシウム粒子の表面に高級飽和脂肪酸又はその塩の粒子が薄膜状となって被覆し、このように処理された硫酸マグネシウムの粒子は、粒子の周囲に存在する水分の吸湿速度が遅くなるので、必要量以上の吸湿が起こらなくなり、塩素化イソシアヌル酸の分解許容量以内の湿度が保持される。 なお、硫酸マグネシウムの粒子径に対する高級飽和脂肪酸又はその塩の粒子径の比率は、0.2以下であることが好ましい。粒子径の比率が0.2より大きい場合には、高級飽和脂肪酸又はその塩の粒子が硫酸マグネシウム粒子の表面を覆うことができない。 前記の粉体混合以外の方法としては、高級飽和脂肪酸又はその塩を、水、エタノール、メタノール、エーテル等の溶媒に溶解した液又は懸濁した液を硫酸マグネシウムに流動噴霧し、乾燥させる所謂スプレードライ法が挙げられる。 高級飽和脂肪酸又はその塩の使用量は、任意に選択することができるが充分な効果を確保するためには、硫酸マグネシウム100重量部に対して、0.05〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量部である。 本発明に用いられる代表的な塩素化イソシアヌル酸としては、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの2水塩、ジクロロイソシアヌル酸カリウム等が挙げられるが、分解臭の強いトリクロロイソシアヌル酸が好適に使用される。 本発明の保存安定化剤は、塩素化イソシアヌル酸100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部の割合で配合すべきである。 0.1重量部未満では、塩素化イソシアヌル酸の保存安定性を改善する効果が乏しく、30重量部より多いと塩素化イソシアヌル酸組成物中に含まれる活性塩素量が低下し好ましくない。 塩素化イソシアヌル酸と硫酸マグネシウムを配合する方法は、それらの粉末同士を均一に混合することができれば、どのような方法でも構わない。 また、本発明の塩素化イソシアヌル酸組成物は、粉末状で使用してもよいが、取り扱いが容易な顆粒、ブリケット状、錠剤等の成形物としてもよい。 本発明の塩素化イソシアヌル酸組成物には、必要に応じて他の成分を添加しても良い。例えば、アニオン性、非イオン性等の界面活性剤、硫酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、ケイ酸ナトリウム等の増量剤、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等のpH調整剤や、コハク酸、フマル酸、フタル酸、安息香酸、イソシアヌル酸等の溶解調整剤を例示することができる。 以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 なお、実施例で使用した原料および評価試験方法は次のとおりである。[原料]・トリクロロイソシアヌル酸(四国化成工業社製、顆粒品、理論有効塩素量91.53%)・硫酸マグネシウム無水塩(和光純薬工業社製、試薬、粒子径:60〜70μm)・硫酸マグネシウム7水塩(和光純薬工業社製、試薬、粒子径:60〜70μm)・ステアリン酸(和光純薬工業社製、試薬、粒子径:6〜7μm)・パルミチン酸(和光純薬工業社製、試薬、粒子径:6〜7μm)・ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業社製、試薬、粒子径:6〜7μm)[保存安定性試験] 試料を1Lのポリ瓶に収納し、恒温恒湿室(温度:40℃,湿度:80%)に入れ、定期的にポリ瓶内の塩素系ガス濃度をガス検知管(ガステック社製)を用いて測定した。〔実施例1〕 硫酸マグネシウム無水塩100重量部に対して、ステアリン酸を0.1重量部の割合で粉体混合して、硫酸マグネシウム無水塩の粒子の表面をステアリン酸で被覆処理した保存安定化剤を調製した。 得られた保存安定化剤0.5重量部とトリクロロイソシアヌル酸100重量部を粉体混合して、塩素化イソシアヌル酸組成物を調製した。 この塩素化イソシアヌル酸組成物について、保存安定性試験を実施したところ、得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。〔実施例2〕 ステアリン酸の代わりにパルミチン酸を使用し、硫酸マグネシウム無水塩の代わりに硫酸マグネシウム7水塩を使用した以外は、実施例1と同様にして保存安定化剤を調製し、該保存安定化剤を配合した塩素化イソシアヌル酸組成物を調製した。 この塩素化イソシアヌル酸組成物について、保存安定性試験を実施したところ、得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。〔実施例3〕 硫酸マグネシウム無水塩100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.3重量部の割合で粉体混合して、硫酸マグネシウム無水塩の粒子の表面をステアリン酸カルシウムで被覆処理した保存安定化剤を調製した。 得られた保存安定化剤0.7重量部とトリクロロイソシアヌル酸100重量部を粉体混合して、塩素化イソシアヌル酸組成物を調製した。 この塩素化イソシアヌル酸組成物について、保存安定性試験を実施したところ、得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。〔比較例1〜4〕 トリクロロイソシアヌル酸と硫酸マグネシウム無水塩又は硫酸マグネシウム7水塩を表1の配合割合に従って粉体混合し、塩素化イソシアヌル酸組成物を調製した。 これらの塩素化イソシアヌル酸組成物について、保存安定性試験を実施したところ、得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。 表1の実施例1〜3に示される試験結果によれば、硫酸マグネシウムの粒子の表面を高級飽和脂肪酸又はその塩で被覆処理した保存安定化剤を配合した塩素化イソシアヌル組成物は、1〜3ヶ月経過した後においても、塩素系分解ガスの発生量がほぼ一定に抑えられており、長期間に渡って優れた保存安定性を有しているものと認められる。 一方、比較例1〜3に示されるとおり、被覆処理しない硫酸マグネシウムを配合した塩素化イソシアヌル酸組成物は、保存期間が長くなるに従って、塩素系分解ガスの発生量が徐々に増加しており、保存安定性に劣るものである。硫酸マグネシウム粒子の表面を高級飽和脂肪酸又はその塩で被覆処理したことを特徴とする塩素化イソシアヌル酸の保存安定化剤。硫酸マグネシウムが硫酸マグネシウム無水塩である請求項1記載の保存安定化剤。請求項1または請求項2記載の保存安定化剤を配合したことを特徴とする塩素化イソシアヌル酸組成物。 【課題】 吸湿速度を遅くすることにより、長期間に渡って吸湿性能を維持し得る塩素化イソシアヌル酸の保存安定化剤として好適な硫酸マグネシウム及び該硫酸マグネシウムを配合した塩素化シアヌル酸組成物を提供する。 【解決手段】 硫酸マグネシウムの粒子の表面を高級飽和脂肪酸又はその塩で被覆処理して保存安定化剤を得る。前記保存安定化剤と塩素化イソシアヌル酸を配合する。【選択図】 なし