生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ユビデカレノン錠
出願番号:2003346574
年次:2005
IPC分類:7,A61K31/122,A61K9/20,A61K47/10,A61K47/12,A61K47/26,A61K47/30,A61K47/32,A61K47/36,A61K47/38,A61K47/46,A61P9/04


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篠田 雅充 長藤 昇 JP 2005112744 公開特許公報(A) 20050428 2003346574 20031006 ユビデカレノン錠 ナガセ医薬品株式会社 501123411 岩谷 龍 100077012 篠田 雅充 長藤 昇 7A61K31/122A61K9/20A61K47/10A61K47/12A61K47/26A61K47/30A61K47/32A61K47/36A61K47/38A61K47/46A61P9/04 JPA61K31/122A61K9/20A61K47/10A61K47/12A61K47/26A61K47/30A61K47/32A61K47/36A61K47/38A61K47/46A61P9/04 10 OL 9 4C076 4C206 4C076AA37 4C076BB01 4C076CC11 4C076DD38A 4C076DD41C 4C076DD46C 4C076DD67A 4C076EE01 4C076EE16 4C076EE30 4C076EE31 4C076EE32B 4C076EE56A 4C076FF04 4C076FF05 4C076FF09 4C076FF36 4C206AA01 4C206CB27 4C206MA03 4C206MA05 4C206MA55 4C206ZA36 本発明は、ユビレカレノンを高含量含有する錠剤に関する。ユビデカレノンは、下記式で表される化合物であって、ユビキノン−10またはコエンチームQ10、CoQ10の別称でも知られた物質である。水には殆ど不溶であるが、エーテルなどには高い溶解性を示し、光によって分解し、ヒドロキノン体やユビクロメールなどの分解生成物を形成する。従来から、心筋の代謝障害を改善する薬物として知られ、代謝性強心薬として軽度および中程度のうっ血性心不全の浮腫、肺うっ血および狭心症状などに対する有効な医薬品として処方されていたが、最近では食品として認可されたこともあり、手軽に購入できる健康食品として健康に関心の高い消費者に有望な健康素材となっている。 ユビデカレノンは脂溶性薬品で、融点が低く、付着性が高いため、打錠時にキャッピングやスティッキングが起こり、錠剤硬度は上がらない等、ユビデカレノンの含量比の高い錠剤の製剤化には種々問題が発生し、高含有量のユビデカレノン錠を製造することは非常に困難である。医薬品の分野ではユビデカレノンは錠剤として製剤化されているが、市販の医薬品用ユビデカレノン錠は10mg/錠(100mg)が主流となっている。 ユビデカレノンを高含量含有する錠剤の製造には、錠剤の大きさを大きくすれば目的は達成できるが、錠剤が大きくなると、嚥下が困難となり、特に高齢者や小児など、嚥下機能が低下している患者等は服用ができなくなる。 このためユビデカレノンの製剤化に当たってはユビデカレノンをカプセル皮膜に充填したカプセル製剤として用いられていることも多い。カプセル剤とするにあたっては、ユビデカレノンは難溶性であるため体内吸収及び皮膚吸収が極めて悪いことから常温で液体の食用天然油脂や中鎖脂肪酸のトリグリセリドに溶解させて液状にすることで吸収性を改善することが提案されている(特許文献1参照。)。 しかしながら、ユビデカレノンをこれらの溶剤に溶解させたものは、安定性が悪く、また、ユビデカレノン組成物をエマルジョン化して、カプセル封入するには、量が多くなるなど、利便性や外観など商品として販売するには不十分なものであった。特開昭54−92616号公報 本発明の目的は、ユビデカレノンを高含量含有する錠剤を提供することである。 錠剤の製法として、湿式造粒法があり、直接打錠法などによる打錠性の悪い場合に、薬物を適当な賦形剤とともに湿式造粒することにより打錠性が改善されることが分かっている。しかし、薬物の物性や、賦形剤や結合剤などの物性との関連から、その賦形剤や結合剤の選択は容易なことではない。また、医薬品分野では、賦形剤や結合剤の選択性の幅は広いが、食品分野では選択性が狭くごく限られたものしか使用できないのが現状である。このような状況下、本発明者らは、使用可能な賦形剤および結合剤を種々検討したところ、ユビデカレノンの打錠性を改善するにはユビデカレノンを12〜30w/w%と顆粒内賦形剤と結合剤とを含有する顆粒と顆粒外賦形剤とを混合し打錠することによって、特に好ましくは結合剤として非消化性の水溶性セルロースや可溶性デキストリンを使用したときに、キャッピングやスティッキングの発生もなく、また適度な硬度を有し、高含量のユビデカレノンを含有する錠剤を得られることを見出し、さらに研究を重ね、本発明を完成した。 すなわち本発明は、(1)ユビデカレノンを12〜30w/w%と、顆粒内賦形剤と結合剤とを含有する顆粒と、顆粒外賦形剤とを含有することを特徴とする錠剤、(2)顆粒内賦形剤が乳糖、白糖、D−マンニトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1の化合物である上記(1)に記載の錠剤、(3)結合剤が水溶性多糖類、水溶性セルロースおよび水溶性高分子から選択される少なくとも1の化合物である上記(1)または(2)に記載の錠剤、(4)水溶性多糖類がマルトデキストリンまたはプルランである上記(3)に記載の錠剤。(5)水溶性セルロースが非消化性水溶性食物繊維、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される少なくとも1の化合物である上記(3)に記載の錠剤、(6)水溶性高分子がポリビニルピロリドンである上記(3)に記載の錠剤、(7)顆粒外賦形剤が崩壊剤または/および滑沢剤であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の錠剤、(8)崩壊剤がカルメロースカルシウムまたはクロスカルメロースナトリウムである上記(7)に記載の錠剤、(9)滑沢剤が蔗糖脂肪酸エステルまたはステアリン酸マグネシウムである上記(7)に記載の錠剤、および(10)ユビデカレノンを12〜30w/w%、乳糖を55〜80w/w%、マルトデキストリンを3〜15w/w%含有する錠剤であって、前記ユビデカレノン、乳糖およびマルトデキストリンを含有する顆粒を、崩壊剤および滑沢剤と共に打錠成型されているユビデカレノン錠に関する。また、本発明はユビレカレノンを高含量含有するユビレカレノン錠の製造方法に関する。 なお、本発明における%は、特に明記しないかぎり、錠剤中の配合量、重量%(w/w%)を示すものとする。 本発明によれば、ユビデカレノンを高含量含有する安定な錠剤を供給できる。 本発明の錠剤のユビデカレノンの配合量は12〜30%程度であれば、キャッピングなどが発生せず、また錠剤としての十分な硬度を備えた錠剤を得ることができる。本発明によれば、錠剤1錠の重量が100mgであれば、ユビデカレノン12〜30mg、錠剤1錠の重量が200mgであれば、ユビデカレノン24〜60mg含有のユビレカレノン錠の製造が可能となる。好ましくは、錠剤1錠の重量が150〜170mgで、ユビデカレノン20〜50mg含有のユビレカレノン錠、さらに好ましくは、錠剤1錠の重量が150〜160mgで、ユビデカレノン30〜45mg含有のユビレカレノン錠である。 本発明のユビデカレノン錠の顆粒内賦形剤としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、キシリトール、エリスリトール、トレハロースなどの糖類が好ましく、とりわけ、乳糖、白糖、D−マンニトールおよびキシリトールが好ましい。またこれら糖類の他に、本発明の錠剤を構成する顆粒の造粒性に影響を与えない限りにおいて、他の賦形剤、例えば糖アルコール類、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などの無機物質類を適宜添加してもよい。 上記顆粒内賦形剤の配合比は、通常50〜85%程度、好ましくは、55〜80%程度である。ユビデカレノン1重量に対しては、2〜6.5重量比程度である。 本発明のユビデカレノン錠の結合剤のうち、水溶性多糖類としては、マルトデキストリン、プルランおよびエルシランなどが挙げられるが、マルトデキストリンが好ましい。マルトデキストリンとして、より具体的には、例えば日澱化学株式会社製のアミコールNo.3−L、アミコールNo.1、アミコールNo.5−L、アミコールNo.6−L、アミコールNo.10などが挙げられ、とりわけアミコールNo.6−L、アミコールNo.10が好ましい。水溶性セルロースとしては非消化性水溶性食物繊維、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。なかでも非消化性水溶性繊維、より具体的にはファイバーソル2(松谷化学工業株式会社製)などが好ましい。水溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン(例えばポリビニルピロリドンK15、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK90など)が挙げられる。 上記結合剤は1種を単独で用いてもよいし、また上記結合剤の2種以上を適宜混和して用いてもよい。 上記結合剤の配合比は、一般的には1〜25%程度であるが、使用する結合剤により異なり、例えばマルトデキストリンの場合には、3〜15%程度が好ましく、ファイバーソル2の場合には、0.5〜6.5%程度が好ましい。 上記結合剤は、10w/w%以上、60w/w%以下の水溶液として用いることが好ましく、具体的には、マルトデキストリン水溶液の場合は約20〜約60w/w%、また、ファイバーソル2水溶液の場合も約10〜約60w/w%の濃度範囲から適宜選択して上記配合比となるよう添加されることが好ましい。 本発明のユビデカレノン錠の顆粒外賦形剤の崩壊剤としては、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムなどのセルロース誘導体類、トウモロコシデンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、部分アルファー化デンプンなどのデンプン及びデンプン誘導体類、クロスポビドンなどの合成高分子類、などが挙げられるが、好ましくはカルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウムである。崩壊剤の配合比は1.5〜5%程度である。 滑沢剤としては、蔗糖脂肪酸エステルおよびステアリン酸マグネシウム等が好ましい。滑沢剤の配合比は1.5〜6.5%程度である。 また、顆粒外賦形剤とし、本発明の目的に反しない限り、他の薬効成分や、他の賦形剤、例えば、結晶セルロース(アビセル)、微粒2酸化ケイ素、小麦デンプン、トウモロコシデンプンなどを配合してもよい。 また、その他、着色料、着香料など医薬品や食品等の添加物として通常配合される成分を添加してもよい。 次に、本発明のユビデカレノン錠の好ましい製造方法を以下に説明する。 まず、ユビデカレノンと顆粒内賦形剤を篩過、混合し、顆粒用原末を調整した後、上記結合剤の水溶液と混和造粒する。造粒後の湿顆粒は、造粒機から取り出して、棚段で送風または温熱乾燥、あるいは流動層乾燥機に仕込んで、乾燥する。乾燥後、篩(20メッシュ)を全通させ約850μm以下の粒径の顆粒を得ることができる。 造粒時の結合液としては、先に記載した結合剤の水溶液を作成して、粉体に滴下、あるいは噴霧するなどして加えればよい。この場合において、顆粒用原末に対する上記結合剤の水溶液の添加比率は、水溶液の濃度により異なるが、顆粒用原末1gに対し、0.1〜0.6g(水溶液重量)程度であるとき、ユビデカレノンの錠剤の硬度が好ましいものとなる。また、顆粒の流動性も良好で、錠剤重量のバラツキも小さくなる。特に好ましくは、顆粒用原末1gに対し、結合剤水溶液として0.15〜0.3gである。より具体的には、マルトデキストリン約20〜約60w/w%溶液、または非消化性水溶性食物繊維(ファイバーソル2)約5〜約40w/w%溶液を、上記添加比率となるよう用いることが好ましい。 得られた顆粒に、上記崩壊剤および滑沢剤を添加、混合し、通常の方法を用い打錠機で打錠することによりユビデカレノンを高含量含有する錠剤を得ることができる。 本発明により得られる錠剤の硬度は2〜10程度、好ましくは、4〜10程度、より好ましくは5〜10程度である。 本発明の錠剤には、糖衣を施し、糖衣錠とすることもできる。 以下に本発明において好ましい実施例および試験例について述べるが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。 〔実施例1〕 ユビデカレノン60g、乳糖137.25gを攪拌し、篩過(42メッシュ)後、万能混合攪拌機(株式会社ダルトン製)に入れる。攪拌しながら60%アミコールNo.6−L水溶液56.25mLを添加し、さらに攪拌する。全体がよく混ざったのを確認し、送風乾燥機(株式会社池田理科製)に移し40℃で、乾燥する。乾燥後、20メッシュの篩で篩過した。篩過した顆粒にカルメロースカルシウム(ECG−505;五徳薬品株式会社製)4.5gおよび蔗糖脂肪酸エステル4.5gを加え、混合後、1錠160mgとなるよう、RT−S−9型錠剤機(株式会社菊水製作所製)で打錠し、ユビデカレノン40mg/錠を1500錠製造した。 打錠中、キャッピングは認められなかった。製造されたこの錠剤の硬度を錠剤硬度計TS−50N(岡田精工株式会社製)で測定したところ製造された錠剤の平均硬度は7.9kgfであった。 またこの錠剤の崩壊性試験を第14改正日本薬局方一般試験法の崩壊試験法に従って崩壊時間を測定したところ、その崩壊時間は60分以下であった。 〔実施例2−10〕 表1および2の処方を実施例1と同様に錠剤とした。また、実施例1と同様に製造した錠剤の硬度、崩壊時間を測定した。また、打錠時にスティッキングおよびキャッピングの発生の有無を観察した(表1,2)。実施例2−10のユビレカレノン錠は、打錠時にスティッキングおよびキャッピングも発生せず、また2.3〜6kgfの範囲の硬度を有する錠剤が得られた。またこれら実施例の錠剤の崩壊試験による崩壊時間は30分以下であった。 本発明のユビデカレノン錠は、ユビデカレノンを高含量含有するので、ユビデカレノンのエネルギー賦活作用および抗酸化作用により、動悸、息切れなど心疾患の改善、歯周病などの改善や免疫システムの活性化などに利用できる。また運動能力の向上、疲労回復、冷え性、老化防止や皮膚のシワ改善にも有用である。さらに血圧の調整、糖尿病などのリスクの軽減やアルツハイマー病などの進行の抑制等も期待できるので、医薬品、健康食品、医薬部外品などとして有利に利用できる。 ユビデカレノンを12〜30w/w%と顆粒内賦形剤と結合剤とを含有する顆粒と、顆粒外賦形剤とを含有することを特徴とする錠剤。 顆粒内賦形剤が乳糖、白糖、D−マンニトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1の化合物である請求項1に記載の錠剤。 結合剤が水溶性多糖類、水溶性セルロースおよび水溶性高分子から選択される少なくとも1の化合物である請求項1または2に記載の錠剤。 水溶性多糖類がマルトデキストリンまたはプルランである請求項3に記載の錠剤。 水溶性セルロースが非消化性水溶性食物繊維、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される少なくとも1の化合物である請求項3に記載の錠剤。 水溶性高分子がポリビニルピロリドンである請求項3に記載の錠剤。 顆粒外賦形剤が崩壊剤または/および滑沢剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の錠剤。 崩壊剤がカルメロースカルシウムまたはクロスカルメロースナトリウムである請求項7に記載の錠剤。 滑沢剤が蔗糖脂肪酸エステルまたはステアリン酸マグネシウムである請求項7に記載の錠剤。 ユビデカレノンを12〜30w/w%、乳糖を55〜80w/w%、マルトデキストリンを3〜15w/w%含有する錠剤であって、前記ユビデカレノン、乳糖およびマルトデキストリンを含有する顆粒を、崩壊剤および滑沢剤と共に打錠成型されているユビデカレノン錠。 【課 題】 本発明の目的は、ユビデカレノンを高含量含有する錠剤を提供することである。 【解決手段】 ユビデカレノンを12〜30w/w%と顆粒内賦形剤(乳糖、白糖、D−マンニトール、キシリトールなど)と結合剤(マルトデキストリン、水溶性セルロースなど)とを湿式造粒法により製造した顆粒と、崩壊剤および滑沢剤と共に打錠成型する。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_ユビデカレノン錠

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ユビデカレノン錠
出願番号:2003346574
年次:2010
IPC分類:A61K 31/122,A61K 9/20,A61K 47/10,A61K 47/12,A61K 47/26,A61K 47/30,A61K 47/32,A61K 47/36,A61K 47/38,A61K 47/46,A61P 9/04


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篠田 雅充 長藤 昇 JP 4601934 特許公報(B2) 20101008 2003346574 20031006 ユビデカレノン錠 ナガセ医薬品株式会社 501123411 岩谷 龍 100077012 篠田 雅充 長藤 昇 20101222 A61K 31/122 20060101AFI20101202BHJP A61K 9/20 20060101ALI20101202BHJP A61K 47/10 20060101ALI20101202BHJP A61K 47/12 20060101ALI20101202BHJP A61K 47/26 20060101ALI20101202BHJP A61K 47/30 20060101ALI20101202BHJP A61K 47/32 20060101ALI20101202BHJP A61K 47/36 20060101ALI20101202BHJP A61K 47/38 20060101ALI20101202BHJP A61K 47/46 20060101ALI20101202BHJP A61P 9/04 20060101ALI20101202BHJP JPA61K31/122A61K9/20A61K47/10A61K47/12A61K47/26A61K47/30A61K47/32A61K47/36A61K47/38A61K47/46A61P9/04 A61K 31/122 A61K 9/20 A61K 47/10 A61K 47/12 A61K 47/26 A61K 47/30 A61K 47/32 A61K 47/36 A61K 47/38 A61K 47/46 A61P 9/04 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平10−330251(JP,A) 特開2003−267863(JP,A) 特表2002−529496(JP,A) 特開平08−066187(JP,A) 国際公開第03/057245(WO,A1) 特開平10−298062(JP,A) 7 2005112744 20050428 8 20060411 鈴木 理文 本発明は、ユビレカレノンを高含量含有する錠剤に関する。ユビデカレノンは、下記式で表される化合物であって、ユビキノン−10またはコエンチームQ10、CoQ10の別称でも知られた物質である。水には殆ど不溶であるが、エーテルなどには高い溶解性を示し、光によって分解し、ヒドロキノン体やユビクロメールなどの分解生成物を形成する。従来から、心筋の代謝障害を改善する薬物として知られ、代謝性強心薬として軽度および中程度のうっ血性心不全の浮腫、肺うっ血および狭心症状などに対する有効な医薬品として処方されていたが、最近では食品として認可されたこともあり、手軽に購入できる健康食品として健康に関心の高い消費者に有望な健康素材となっている。 ユビデカレノンは脂溶性薬品で、融点が低く、付着性が高いため、打錠時にキャッピングやスティッキングが起こり、錠剤硬度は上がらない等、ユビデカレノンの含量比の高い錠剤の製剤化には種々問題が発生し、高含有量のユビデカレノン錠を製造することは非常に困難である。医薬品の分野ではユビデカレノンは錠剤として製剤化されているが、市販の医薬品用ユビデカレノン錠は10mg/錠(100mg)が主流となっている。 ユビデカレノンを高含量含有する錠剤の製造には、錠剤の大きさを大きくすれば目的は達成できるが、錠剤が大きくなると、嚥下が困難となり、特に高齢者や小児など、嚥下機能が低下している患者等は服用ができなくなる。 このためユビデカレノンの製剤化に当たってはユビデカレノンをカプセル皮膜に充填したカプセル製剤として用いられていることも多い。カプセル剤とするにあたっては、ユビデカレノンは難溶性であるため体内吸収及び皮膚吸収が極めて悪いことから常温で液体の食用天然油脂や中鎖脂肪酸のトリグリセリドに溶解させて液状にすることで吸収性を改善することが提案されている(特許文献1参照。)。 しかしながら、ユビデカレノンをこれらの溶剤に溶解させたものは、安定性が悪く、また、ユビデカレノン組成物をエマルジョン化して、カプセル封入するには、量が多くなるなど、利便性や外観など商品として販売するには不十分なものであった。特開昭54−92616号公報 本発明の目的は、ユビデカレノンを高含量含有する錠剤を提供することである。 錠剤の製法として、湿式造粒法があり、直接打錠法などによる打錠性の悪い場合に、薬物を適当な賦形剤とともに湿式造粒することにより打錠性が改善されることが分かっている。しかし、薬物の物性や、賦形剤や結合剤などの物性との関連から、その賦形剤や結合剤の選択は容易なことではない。また、医薬品分野では、賦形剤や結合剤の選択性の幅は広いが、食品分野では選択性が狭くごく限られたものしか使用できないのが現状である。このような状況下、本発明者らは、使用可能な賦形剤および結合剤を種々検討したところ、ユビデカレノンの打錠性を改善するにはユビデカレノンを12〜30w/w%と顆粒内賦形剤と結合剤とを含有する顆粒と顆粒外賦形剤とを混合し打錠することによって、特に好ましくは結合剤として非消化性の水溶性セルロースや可溶性デキストリンを使用したときに、キャッピングやスティッキングの発生もなく、また適度な硬度を有し、高含量のユビデカレノンを含有する錠剤を得られることを見出し、さらに研究を重ね、本発明を完成した。 すなわち本発明は、(1)ユビデカレノンを12〜30w/w%と、顆粒内賦形剤と結合剤とを含有する顆粒と、顆粒外賦形剤とを含有することを特徴とする錠剤、(2)顆粒内賦形剤が乳糖、白糖、D−マンニトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1の化合物である上記(1)に記載の錠剤、(3)結合剤が水溶性多糖類、水溶性セルロースおよび水溶性高分子から選択される少なくとも1の化合物である上記(1)または(2)に記載の錠剤、(4)水溶性多糖類がマルトデキストリンまたはプルランである上記(3)に記載の錠剤。(5)水溶性セルロースが非消化性水溶性食物繊維、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される少なくとも1の化合物である上記(3)に記載の錠剤、(6)水溶性高分子がポリビニルピロリドンである上記(3)に記載の錠剤、(7)顆粒外賦形剤が崩壊剤または/および滑沢剤であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の錠剤、(8)崩壊剤がカルメロースカルシウムまたはクロスカルメロースナトリウムである上記(7)に記載の錠剤、(9)滑沢剤が蔗糖脂肪酸エステルまたはステアリン酸マグネシウムである上記(7)に記載の錠剤、および(10)ユビデカレノンを12〜30w/w%、乳糖を55〜80w/w%、マルトデキストリンを3〜15w/w%含有する錠剤であって、前記ユビデカレノン、乳糖およびマルトデキストリンを含有する顆粒を、崩壊剤および滑沢剤と共に打錠成型されているユビデカレノン錠に関する。また、本発明はユビレカレノンを高含量含有するユビレカレノン錠の製造方法に関する。 なお、本発明における%は、特に明記しないかぎり、錠剤中の配合量、重量%(w/w%)を示すものとする。 本発明によれば、ユビデカレノンを高含量含有する安定な錠剤を供給できる。 本発明の錠剤のユビデカレノンの配合量は12〜30%程度であれば、キャッピングなどが発生せず、また錠剤としての十分な硬度を備えた錠剤を得ることができる。本発明によれば、錠剤1錠の重量が100mgであれば、ユビデカレノン12〜30mg、錠剤1錠の重量が200mgであれば、ユビデカレノン24〜60mg含有のユビレカレノン錠の製造が可能となる。好ましくは、錠剤1錠の重量が150〜170mgで、ユビデカレノン20〜50mg含有のユビレカレノン錠、さらに好ましくは、錠剤1錠の重量が150〜160mgで、ユビデカレノン30〜45mg含有のユビレカレノン錠である。 本発明のユビデカレノン錠の顆粒内賦形剤としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、キシリトール、エリスリトール、トレハロースなどの糖類が好ましく、とりわけ、乳糖、白糖、D−マンニトールおよびキシリトールが好ましい。またこれら糖類の他に、本発明の錠剤を構成する顆粒の造粒性に影響を与えない限りにおいて、他の賦形剤、例えば糖アルコール類、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などの無機物質類を適宜添加してもよい。 上記顆粒内賦形剤の配合比は、通常50〜85%程度、好ましくは、55〜80%程度である。ユビデカレノン1重量に対しては、2〜6.5重量比程度である。 本発明のユビデカレノン錠の結合剤のうち、水溶性多糖類としては、マルトデキストリン、プルランおよびエルシランなどが挙げられるが、マルトデキストリンが好ましい。マルトデキストリンとして、より具体的には、例えば日澱化学株式会社製のアミコールNo.3−L、アミコールNo.1、アミコールNo.5−L、アミコールNo.6−L、アミコールNo.10などが挙げられ、とりわけアミコールNo.6−L、アミコールNo.10が好ましい。水溶性セルロースとしては非消化性水溶性食物繊維、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。なかでも非消化性水溶性繊維、より具体的にはファイバーソル2(松谷化学工業株式会社製)などが好ましい。水溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン(例えばポリビニルピロリドンK15、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK90など)が挙げられる。 上記結合剤は1種を単独で用いてもよいし、また上記結合剤の2種以上を適宜混和して用いてもよい。 上記結合剤の配合比は、一般的には1〜25%程度であるが、使用する結合剤により異なり、例えばマルトデキストリンの場合には、3〜15%程度が好ましく、ファイバーソル2の場合には、0.5〜6.5%程度が好ましい。 上記結合剤は、10w/w%以上、60w/w%以下の水溶液として用いることが好ましく、具体的には、マルトデキストリン水溶液の場合は約20〜約60w/w%、また、ファイバーソル2水溶液の場合も約10〜約60w/w%の濃度範囲から適宜選択して上記配合比となるよう添加されることが好ましい。 本発明のユビデカレノン錠の顆粒外賦形剤の崩壊剤としては、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムなどのセルロース誘導体類、トウモロコシデンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、部分アルファー化デンプンなどのデンプン及びデンプン誘導体類、クロスポビドンなどの合成高分子類、などが挙げられるが、好ましくはカルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウムである。崩壊剤の配合比は1.5〜5%程度である。 滑沢剤としては、蔗糖脂肪酸エステルおよびステアリン酸マグネシウム等が好ましい。滑沢剤の配合比は1.5〜6.5%程度である。 また、顆粒外賦形剤とし、本発明の目的に反しない限り、他の薬効成分や、他の賦形剤、例えば、結晶セルロース(アビセル)、微粒2酸化ケイ素、小麦デンプン、トウモロコシデンプンなどを配合してもよい。 また、その他、着色料、着香料など医薬品や食品等の添加物として通常配合される成分を添加してもよい。 次に、本発明のユビデカレノン錠の好ましい製造方法を以下に説明する。 まず、ユビデカレノンと顆粒内賦形剤を篩過、混合し、顆粒用原末を調整した後、上記結合剤の水溶液と混和造粒する。造粒後の湿顆粒は、造粒機から取り出して、棚段で送風または温熱乾燥、あるいは流動層乾燥機に仕込んで、乾燥する。乾燥後、篩(20メッシュ)を全通させ約850μm以下の粒径の顆粒を得ることができる。 造粒時の結合液としては、先に記載した結合剤の水溶液を作成して、粉体に滴下、あるいは噴霧するなどして加えればよい。この場合において、顆粒用原末に対する上記結合剤の水溶液の添加比率は、水溶液の濃度により異なるが、顆粒用原末1gに対し、0.1〜0.6g(水溶液重量)程度であるとき、ユビデカレノンの錠剤の硬度が好ましいものとなる。また、顆粒の流動性も良好で、錠剤重量のバラツキも小さくなる。特に好ましくは、顆粒用原末1gに対し、結合剤水溶液として0.15〜0.3gである。より具体的には、マルトデキストリン約20〜約60w/w%溶液、または非消化性水溶性食物繊維(ファイバーソル2)約5〜約40w/w%溶液を、上記添加比率となるよう用いることが好ましい。 得られた顆粒に、上記崩壊剤および滑沢剤を添加、混合し、通常の方法を用い打錠機で打錠することによりユビデカレノンを高含量含有する錠剤を得ることができる。 本発明により得られる錠剤の硬度は2〜10程度、好ましくは、4〜10程度、より好ましくは5〜10程度である。 本発明の錠剤には、糖衣を施し、糖衣錠とすることもできる。 以下に本発明において好ましい実施例および試験例について述べるが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。 〔実施例1〕 ユビデカレノン60g、乳糖137.25gを攪拌し、篩過(42メッシュ)後、万能混合攪拌機(株式会社ダルトン製)に入れる。攪拌しながら60%アミコールNo.6−L水溶液56.25mLを添加し、さらに攪拌する。全体がよく混ざったのを確認し、送風乾燥機(株式会社池田理科製)に移し40℃で、乾燥する。乾燥後、20メッシュの篩で篩過した。篩過した顆粒にカルメロースカルシウム(ECG−505;五徳薬品株式会社製)4.5gおよび蔗糖脂肪酸エステル4.5gを加え、混合後、1錠160mgとなるよう、RT−S−9型錠剤機(株式会社菊水製作所製)で打錠し、ユビデカレノン40mg/錠を1500錠製造した。 打錠中、キャッピングは認められなかった。製造されたこの錠剤の硬度を錠剤硬度計TS−50N(岡田精工株式会社製)で測定したところ製造された錠剤の平均硬度は7.9kgfであった。 またこの錠剤の崩壊性試験を第14改正日本薬局方一般試験法の崩壊試験法に従って崩壊時間を測定したところ、その崩壊時間は60分以下であった。 〔実施例2−10〕 表1および2の処方を実施例1と同様に錠剤とした。また、実施例1と同様に製造した錠剤の硬度、崩壊時間を測定した。また、打錠時にスティッキングおよびキャッピングの発生の有無を観察した(表1,2)。実施例2−10のユビレカレノン錠は、打錠時にスティッキングおよびキャッピングも発生せず、また2.3〜6kgfの範囲の硬度を有する錠剤が得られた。またこれら実施例の錠剤の崩壊試験による崩壊時間は30分以下であった。 本発明のユビデカレノン錠は、ユビデカレノンを高含量含有するので、ユビデカレノンのエネルギー賦活作用および抗酸化作用により、動悸、息切れなど心疾患の改善、歯周病などの改善や免疫システムの活性化などに利用できる。また運動能力の向上、疲労回復、冷え性、老化防止や皮膚のシワ改善にも有用である。さらに血圧の調整、糖尿病などのリスクの軽減やアルツハイマー病などの進行の抑制等も期待できるので、医薬品、健康食品、医薬部外品などとして有利に利用できる。 ユビデカレノンを12〜25w/w%と、乳糖、白糖、D−マンニトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1の化合物である顆粒内賦形剤と、マルトデキストリンまたは/および難消化性デキストリンである結合剤とを含有する顆粒と、崩壊剤または/および滑沢剤である顆粒外賦形剤とを含有することを特徴とする錠剤。 顆粒内賦形剤が、乳糖、白糖およびD−マンニトールから選択される少なくとも1の化合物である請求項1に記載の錠剤。 崩壊剤がカルメロースカルシウムまたはクロスカルメロースナトリウムである請求項1に記載の錠剤。 滑沢剤が蔗糖脂肪酸エステルまたはステアリン酸マグネシウムである請求項1に記載の錠剤。 ユビデカレノンを12〜25w/w%、乳糖を55〜80w/w%、マルトデキストリンを3〜15w/w%含有する錠剤であって、前記ユビデカレノン、乳糖およびマルトデキストリンを含有する顆粒を、崩壊剤および滑沢剤と共に打錠成型されているユビデカレノン錠。 ユビデカレノンと、乳糖、白糖、D−マンニトールおよびキシリトールから選択される少なくとも1の化合物である顆粒内賦形剤とを篩過、混合し、顆粒用原末を得た後、該顆粒用原末と、マルトデキストリンまたは/および難消化性デキストリンである結合剤の水溶液とを混和造粒して顆粒を得る工程、該顆粒に、崩壊剤または/および滑沢剤である顆粒外賦形剤を混合する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載された錠剤の製造方法。 顆粒内賦形剤が、乳糖、白糖およびD−マンニトールから選択される少なくとも1の化合物である請求項6に記載の製造方法。


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