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タイトル:公開特許公報(A)_酵素の安定化方法およびそれに用いる検体分析用具
出願番号:2003344817
年次:2005
IPC分類:7,G01N33/66,C12M1/34,C12N9/96,G01N33/52


特許情報キャッシュ

西 保寿 JP 2005114368 公開特許公報(A) 20050428 2003344817 20031002 酵素の安定化方法およびそれに用いる検体分析用具 アークレイ株式会社 000141897 特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ 110000040 西 保寿 7G01N33/66C12M1/34C12N9/96G01N33/52 JPG01N33/66 CC12M1/34 EC12N9/96G01N33/52 B 23 OL 9 2G045 4B029 4B050 2G045AA13 2G045BB53 2G045DA31 2G045FB01 2G045FB05 2G045FB19 2G045JA01 4B029AA07 4B029BB16 4B029CC03 4B029CC11 4B029FA12 4B050HH02 4B050JJ10 4B050KK18 4B050LL03 4B050LL05 本発明は、乾燥状態における酵素の失活を防止する酵素の安定化方法およびそれに用いる検体分析用具に関する。 従来、血液や尿等の生体試料を検査する際に、前記試料を多孔質材に含浸させて分析を行う検体分析用具が汎用されている。前記検体分析用具は、通常、前記試料中の分析対象成分を基質とする酵素等の各種試薬が予め多孔質材に保持されているため、例えば、前記多孔質材に試料を含浸させることによって、前記多孔質材中の試薬と前記試料中の分析対象成分とを反応させ、その反応結果を光学的手法や電気化学的手法で直接測定することができる。 このような検体分析用具は、一般の臨床検査等において使用されているが、近年では、さらに、遠隔臨床検査システムに利用することも検討され、実際に使用されている。前記遠隔臨床検査システムとは、在宅で患者等が血液を採血して前記血液検査用具に含浸・乾燥させ、これを病院等の検査機関に郵送して検査するシステムである。このシステムによれば、患者等は、病院に出向くことなく郵便等で検査結果を知ることができ、また、検査結果が出た時点で病院等に治療を受けに行くことができるため、病院での採血も不要となり、病院側および患者側の双方の労力が軽減される。 前記検体分析用具は、一般に、試薬溶液に前記多孔質材を含浸し、これを乾燥することによって製造できる。しかしながら、前記多孔質材の乾燥によって保持させる酵素が失活し、さらに前記検体分析用具の保存中に酵素活性がさらに低下するという問題がある。このため、前記多孔質材に保持させる酵素量を過剰量とする必要があり、コストの面でも問題がある。また、このような問題を解消すべく、安定化剤として、ウシ血清アルブミン等のタンパク質、アルギン酸ナトリウム、トレハロース等の多糖類等を共存させる方法もある(例えば、特許文献1等)。特表昭63−500562号公報 しかしながら、このような安定化剤には、以下のような問題がある。すなわち、前記安定化剤は、一般に高分子構造をとるものが多いため、水性溶媒に溶解し難く、溶液自体の粘性も高いため、多孔質材への含浸が困難である。また、実際に試料を添加した場合にも、前記試料による溶解に時間がかかるため、反応速度も遅い。さらに、その効果として、前記アルギン酸ナトリウム等の多糖類には著しい効果が期待できない。一方、ウシ血清アルブミンは高価であり、安価な卵アルブミンは、不溶成分を含むため使用し難い。また、尿試験紙は、タンパク質を分析項目とするため、このようなタンパク質を安定化剤として使用することは困難である。 そこで、本発明の目的は、安価であり、かつ、効果的に、乾燥状態における酵素の失活を防止するために、酵素を安定化する方法およびそれに用いる検体分析用具の提供である。 前記目的を達成するために、本発明の安定化方法は、酵素を乾燥状態で安定化する方法であって、前記酵素をタンパク質分解物と共存させることを特徴とする。 また、本発明の検体分析用具は、多孔質材に酵素を保持させた検体分析用具であって、前記多孔質材が、さらにタンパク質分解物を保持していることを特徴とし、前記本発明の安定化方法に使用できる。 このような本発明の安定化方法および検体分析用具によれば、前記酵素をタンパク質分解物と乾燥状態で共存させることにより、酵素の失活を抑制することができる。このため、前記酵素の使用量を低減でき、例えば、検体分析用具の使用期限を十分に延長することができ、低コスト化を図ることができる。また、検体分析用具が尿試験に供される場合であっても、安定化剤としてタンパク質分解物を使用していることから、分析項目がタンパク質であっても、分析精度に影響を与えることはない。さらに、検体分析用具を作製する場合に、従来の安定化剤のように粘性、溶解性、透明性等の問題がないため、非常に取り扱い易く、製造工程が簡便化され、乾燥処理による酵素の失活も防止できる。 本発明の安定化方法および検体分析用具において、前記タンパク質分解物としては、分子量が500〜10,000のポリペプチドを含むことが好ましく、より好ましくは1000〜5000のポリペプチドである。なお、前記タンパク質分解物とは、変性タンパク質の分解物も含む。前記タンパク質分解物としては、具体的に、ゼラチン加水分解物、カゼイン加水分解物、大豆加水分解物等が使用でき、中でも好ましくはゼラチン分解物である。このようなタンパク質分解物は、例えば、タンパク質を各種プロテアーゼで分解することによって調製してもよいし、市販品を使用してもよい。前記ゼラチン分解物としては、例えば、商品名ニッピペプタイドPA-10,PE-20、PA-100、AFC(ニッピ社製)が使用できる。 本発明において、前記酵素は、分析対象成分に応じて適宜選択されるが、本発明は乾燥状態での失活が問題となる酵素に有用であることから、例えば、グルコースオキシダーゼ(GOD)、ペルオキシダーゼ(POD)、アスコルビン酸オキシダーゼ(AsOD)、へキソキナーゼ、ジアホラーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ(COD)等が好ましい。具体的には、分析対象成分がグルコースの場合には、例えば、GODとPODとの組合せが好ましく、分析対象成分がコレステロールの場合には、例えば、CODとPODとの組合せが好ましい。 前記酵素に対する前記タンパク質分解物の添加割合は、例えば、酵素の種類等に応じて適宜決定できるが、例えば、酵素1KUに対して、前記タンパク質分解物0.8〜20,000mgの範囲であることが好ましく、より好ましくは50〜2000mgの範囲であり、特に好ましくは200〜1000mgの範囲である。 つぎに、本発明の安定化方法について説明する。本発明の安定化方法は、例えば、前記酵素および前記タンパク質分解物を水性溶媒に溶解した混合溶液を調製し、これを乾燥させることによって行うことができる。具体的には、前記酵素およびタンパク質分解物を含む溶液を多孔質材に含浸させ、前記多孔質材を乾燥することによって、前記酵素とタンパク質分解物を乾燥状態で共存させることが好ましい。このようにして調製した多孔質材が、前記酵素とタンパク質分解物を保持した本発明の検体分析用具である。前述のように、酵素と前記タンパク質分解物との共存下で、前記多孔質材に乾燥処理を施すことにより、乾燥処理による酵素の失活を防止することもできる。 前記混合溶液における酵素濃度は、例えば、5〜2000KU/Lの範囲であり、好ましくは50〜1000KU/Lの範囲であり、より好ましくは100〜500KU/Lの範囲である。また、前記混合溶液におけるタンパク質分解物濃度は、例えば、5〜200g/Lの範囲であり、好ましくは10〜100g/Lの範囲であり、より好ましくは20〜50g/Lの範囲である。本発明においては、タンパク質分解物を使用するため、調製する前記混合溶液は、懸濁状態ではなく、十分にタンパク質分解物が溶解された透明度に優れるものであり、また、粘性やpHも、検体分析用具の製造上、取り扱い性に優れる。 前記混合溶液のpHは、例えば、2〜10の範囲であり、好ましくは4〜9である。また、前記水性溶剤としては、水、各種緩衝液等が使用できる。 前記多孔質材に含浸させる混合溶液の量は特に制限されず、後述するような前記多孔質材に保持させる酵素の量に応じて適宜決定できるが、例えば、前記多孔質材1cm3当たり、例えば、0.1〜1.5mLであり、好ましくは0.3〜1.2mLであり、より好ましくは0.5〜1.0mLである。なお、本発明において多孔質材の体積(cm3)とは、空孔部分を含む体積である。 前記多孔質材としては、特に制限されないが、ろ紙が好ましく、その材質としてはセルロースが好ましい。特にGODをセルロース製ろ紙に含浸させる場合には、GODがセルロース末端のグルコースと反応することによって、GODが劣化するという問題があるが、本発明のようにタンパク質分解物を共存させることによって、メカニズムは不明であるが、前記両者の反応を抑制し、GODの失活を防止できるという効果を奏する。このような効果として、特に前述するようなゼラチン加水分解物が好ましい。 本発明の検体分析用具において、前記多孔質材に保持させる酵素の量は、例えば、酵素の種類等に応じて適宜決定できる。本発明によれば、前述のように使用する酵素量を低減できることから、従来の検体分析用具に比べて1/2〜1/5の量に低減することが可能である。特にグルコースを分析対象成分とする場合、GODとPODの量は、従来の1/2〜1/3の量に低減できる。 一方、前記多孔質材に保持させる前記タンパク質分解物の量は、前記多孔質材1cm3当たり、例えば、5〜200mgであり、好ましくは10〜100mgであり、より好ましくは20〜50mgである。 また、本発明の検体分析用具においては、さらに、酸化により発色する発色基質を乾燥状態で共存させてもよい。前述のような各種酵素と分析対象成分との反応に伴い、前記発色基質を発色させれば、その発色程度を、目視や吸光度測定により確認することによって、前記分析対象成分の有無や濃度を分析できるからである。前記発色基質としては、例えば、分析対象成分の種類や使用する酵素の種類等に応じて適宜決定でき、従来公知のものが使用できる。具体的に、分析対象成分がグルコースであって、酵素としてGODおよびPODを使用する場合には、グルコースとGODとの反応によって、過酸化水素を生成させ、この過酸化水素とPODとの反応にともない、酸化により発色する基質が好ましく、例えば、トリンダー試薬、ロートリシン、TMBZ等が使用できる。 実施例1は、各種酵素にタンパク質分解物を添加した検体分析用具を作製し、その酵素の失活の抑制を確認した例である。 下記組成となるようにGOD溶液、POD溶液、AsOD溶液を調製し、これらの酵素溶液10mLに、タンパク質分解物としてゼラチン加水分解物(商品名ニッピペプタイドPA-10;ニッピ社製、以下同じ)500mgを溶解して混合溶液をそれぞれ調製した。この混合溶液中に、8mm×27mmのろ紙(商品名3MMCHR;ワットマン社製、以下同じ)を浸漬し、前記ろ紙に前記混合溶液を十分に染込ませた。そして、余分な混合溶液を除いた後、送風乾燥機(40℃)を用いて30分間乾燥処理を行い、酵素を保持させた多孔質材を調製した。なお、安定化剤として前記ゼラチン加水分解物に代えて、大豆ペプトン(ナカライテスク社製)、カゼインペプトン(ナカライテスク社製)、ウシ血清アルブミン(和光純薬社製)、グルタミン酸ナトリウム(ナカライテスク社製)、トレハロース(和光純薬社製)、α-シクロデキストリン(ナカライテスク社製)、還元型グルタチオン(ナカライテスク社製)をそれぞれ500mg使用した以外は同様に調製したものを参考例1とした。また、安定化剤を添加しない以外は、同様にして調製したものを比較例1とした。 (GOD溶液) 0.1M MES緩衝液(pH5.7) 100mL GOD(東洋紡社製) 10KU (POD溶液) 0.1M MES緩衝液(pH5.7) 100mL POD(東洋紡社製) 10KU (AsOD溶液) 0.1M MES緩衝液(pH5.7) 100mL AsOD(東洋紡社製) 7KU 以上のようにして作製した酵素を保持させた多孔質材をサンプルとして、酵素の残存活性を確認した。まず、穴あけパンチを用いて、前記各サンプルから、直径6mmのサンプル片を5個ずつ切り抜いた。そして、これらのサンプル片を、0.1M MES緩衝液(pH5.7)10mLに浸漬し、室温で60分間放置することによって酵素の抽出を行った。なお、60分間の抽出であれば、ろ紙中に酵素が残存しないことは、別途確認済みである。そして、前記抽出処理によって得られた各溶出液について、酵素活性を測定し、溶出された酵素の全酵素活性量(U)を求め、調製した前記混合溶液についても活性(U/L)を求めた。なお、GOD、POD、AsODの活性は、使用した酵素のメーカーの活性測定方法に準じて行った。 他方、残存活性量を求めるために、前述と同様にして調製した混合溶液に、さらに色素(商品名青色1号;東京化成社製)を1mMとなるように溶解し、この溶液に8mm×27mmのろ紙を浸漬して、同様にして乾燥処理、切り抜き、抽出を行い、前記多孔質材の体積当たりにおける前記混合溶液の含浸量を求めた。 そして、前記含浸量と前記混合溶液の活性(U/L)とから、多孔質材における乾燥処理前の酵素量を求め、この値を100%とした場合の、乾燥処理後の残存活性(%)を求めた。この結果を下記表1〜3に示す。下記表1は、GODの結果であり、下記表2はPODの結果、下記表3はAsODの結果である。(表1)GOD 安定化剤 残存活性(%)比較例1 無添加 16.9 実施例1 ゼラチン加水分解物 50.4 参考例1 大豆ペプトン 43.4 カゼインペプトン 51.6 ウシ血清アルブミン 73.5 グルタミン酸ナトリウム 40.8 トレハロース 42.8 α-シクロデキストリン 33.1 還元型グルタチオン 33.9 (表2)POD 安定化剤 残存活性(%)比較例1 無添加 46.6 実施例1 ゼラチン加水分解物 78.1 参考例1 大豆ペプトン 58.4 カゼインペプトン 75.0 ウシ血清アルブミン 76.7 グルタミン酸ナトリウム 69.3 トレハロース 69.0 α-シクロデキストリン 69.2 還元型グルタチオン 46.6 (表3)AsOD 安定化剤 残存活性(%)比較例1 無添加 27.7 実施例1 ゼラチン加水分解物 46.0 参考例1 大豆ペプトン 35.2 カゼインペプトン 39.7 ウシ血清アルブミン 39.4 グルタミン酸ナトリウム 31.7 トレハロース 34.9 α-シクロデキストリン 41.3 還元型グルタチオン 31.9 前記表1〜表3に示すように、ゼラチン加水分解物を乾燥状態で共存させることによって、安定化剤無添加の比較例に比べて、格段に酵素の失活を抑制できたことがわかる。また、PODおよAsODに対する失活抑制能は、他の安定化剤より優れた結果を示した。 (参考例2) 比較例1と同様にして調製したゼラチン加水分解物を含まない混合溶液50μLを、ガラス製時計皿上に滴下し、40℃で120分間乾燥した後、さらに前記時計皿に0.1M MES緩衝液(pH5.7)1000μLを滴下して酵素を溶解し、この溶解液について活性測定を行った。そして、調製した混合溶液における活性を100%とした場合の残存活性(%)を求めた。この結果と、比較例1における結果とをあわせて下記表4に示す。下記表4の結果から、これらの酵素を多孔質材に含浸させ、乾燥することによって、酵素活性が極めて低下することがわかる。(表4) 酵素 残存活性(%) 参考例2 GOD 95.8 比較例1 GOD 16.9 参考例2 POD 95.6 比較例1 POD 46.6 参考例2 AsOD 73.5 比較例1 AsOD 27.7 実施例1に示す前記組成となるようにGOD溶液、POD溶液、AsOD溶液を調製し、これらの酵素溶液10mLに、さらにタンパク質分解物としてゼラチン加水分解物を所定量(100、300、500、1000mg)溶解して、混合溶液をそれぞれ調製した(安定化剤濃度1、3、5、10%)。これらの混合溶液を用いて、前記実施例1と同様にして、酵素を保持させた多孔質材サンプルを調製し、これらについて前記実施例1と同様にして残存活性(%)を求めた。また、安定化剤を添加しない以外は、同様にして調製したものを比較例2として、同様に残存活性(%)を求めた。この結果を下記表5に示す。(表5) 安定化剤 GOD残存活性 POD残存活性 AsOD残存活性 (%) (%) (%) 比較例2 0% 16.9 46.6 27.7 実施例2 1% 34.1 60.2 35.6 3% 48.6 75.9 42.2 5% 50.4 78.1 46.0 10% 52.0 83.3 49.3 前記表5に示すように、ゼラチン加水分解物の量を増加させることによって、より一層酵素の失活を抑制できた。 この例は、タンパク質分解物の存在下、多孔質材にGOD、PODおよび発色剤を含浸・乾燥させたグルコース試験片について、GODおよびPODの失活抑制を確認した例である。 下記組成となるように混合溶液を調製した。なお、下記混合溶液においてGODとPODの添加量を変化させた。すなわち。GODを20KUに設定した場合のPODの添加量を「10、8、6、4、2、1KU/100mL」とし、PODを10KUに設定した場合のGODを「20、16、12、8、4、2KU/100mL」とした。これらの混合溶液中に、30cm×20cmのろ紙(商品名3MMCHR;ワットマン社製、以下同じ)を浸漬し、前記ろ紙に前記混合溶液を十分に染込ませた。そして、余分な混合溶液を除いた後、送風乾燥機(40℃)を用いて30分間乾燥処理を行い、酵素を保持させた多孔質材を調製した。この多孔質材の一方の表面に両面テープを貼り付け、5mm×5mmの大きさに切り出した。この切片を、前記両面テープを介して、白色ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み250μm、5mm×70mm)の先端に貼り付け、グルコース試験片とした。 そして、このグルコース試験片の先端(前記多孔質材を含む)を、グルコース濃度1000mg/100mlに調製した健常者尿中に1秒間含浸し、含浸後における前記多孔質材の反射率(波長600nm)を、分光光度反射率計(村上色彩研究所:商品名CMS-35FS)を用いて測定した。また、ゼラチン加水分解物が無添加である以外は同様にして調製したサンプルを比較例3として、同じように反射率を測定した。この結果を下記表6および7に示す。 (混合溶液) 0.1M MES緩衝液(pH5.7) 100mL POD(東洋紡社製) 所定量 GOD(東洋紡社製) 所定量 1-ナフトール-3,6-ジスルホン酸Na 1g 4-アミノアンチピリン 1g アルギン酸Na 30mg ゼラチン加水分解物 5g(表6) POD添加量(KU/100mL) 10 8 6 4 2 1 実施例3 16.5 17.0 16.1 16.5 16.3 18.9 比較例3 14.1 14.4 14.5 16.3 22.6 33.8 (表7) GOD添加量(KU/100mL) 20 16 12 8 4 2 実施例3 17.8 17.9 18.2 18.5 21.0 25.1 比較例3 15.8 17.8 18.1 21.5 23.3 2.95 前記表6および表7に示すように、GODまたはPODの添加量を変化させた場合、比較例3は酵素量によって反射率が著しく変動したが、実施例3によれば酵素量を低下しても反射率の変動を抑制することができた。 本発明の酵素の安定化方法および検体分析用具によれば、乾燥状態であっても、タンパク質分解物を共存させることによって、酵素の失活を防止することができる。このため、酵素の使用量を低減でき、また、検体分析用具の使用期限を大幅に延長することができる。乾燥状態の酵素を安定化する方法であって、前記酵素をタンパク質分解物と共存させる安定化方法。前記タンパク質分解物が、ゼラチン加水分解物、カゼイン加水分解物および大豆加水分解物からなる群から選択された少なくとも一つである請求項1記載の安定化方法。前記タンパク質分解物が、分子量500〜10,000のポリペプチドを含む請求項1記載の安定化方法。前記酵素が、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼ、ジアホラーゼ、ピルビン酸オキシダーゼおよびコレステロールオキシダーゼからなる群から選択された少なくとも一つの酵素である請求項1〜3のいずれか一項に記載の安定化方法。前記酵素が、グルコースオキシダーゼとペルオキシダーゼの組合せである請求項4記載の安定化方法。前記酵素およびタンパク質分解物を含む溶液を多孔質材に含浸させ、前記多孔質材を乾燥することによって、前記酵素とタンパク質分解物を乾燥状態で共存させる請求項1〜5のいずれか一項に記載の安定化方法。前記多孔質材が、セルロース製のろ紙である請求項6記載の安定化方法。前記多孔質材1cm3当たり、前記酵素0.01〜6KUを保持させる請求項7記載の安定化方法。前記多孔質材1cm3当たり、前記タンパク質分解物5〜200mgを保持させる請求項7または8記載の安定化方法。前記酵素に対する前記タンパク質分解物の添加割合が、酵素1KUに対して、前記タンパク質分解物0.8〜20,000mgの範囲である請求項1〜9のいずれか一項に記載の安定化方法。多孔質材に酵素を保持させた検体分析用具であって、前記多孔質材が、さらにタンパク質分解物を保持している検体分析用具。前記タンパク質分解物が、ゼラチン加水分解物、カゼイン加水分解物および大豆加水分解物からなる群から選択された少なくとも一つである請求項11記載の検体分析用具。前記タンパク質分解物が、分子量500〜10,000のポリペプチドを含む請求項11記載の検体分析用具。前記酵素が、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、へキソキナーゼ、ジアホラーゼ、ピルビン酸オキシダーゼおよびコレステロールオキシダーゼからなる群から選択された少なくとも一つの酵素である請求項11〜13のいずれか一項に記載の検体分析用具。前記酵素が、グルコースオキシダーゼとペルオキシダーゼの組合せである請求項14記載の検体分析用具。前記多孔質材が、ろ紙、不織布および織布からなる群から選択された少なくとも一つである請求項11〜15のいずれか一項に記載の検体分析用具。前記多孔質材が、セルロース製のろ紙である請求項16記載の検体分析用具。前記酵素1KU当たり、前記タンパク質分解物0.8〜20,000mgを保持させる請求項11〜17のいずれか一項に記載の検体分析用具。前記多孔質材1cm3当たり、前記酵素0.01〜6KUを保持させる請求項11〜18のいずれか一項に記載の検体分析用具。前記多孔質材1cm3当たり、前記タンパク質分解物5〜200mgを保持させる請求項11〜19のいずれか一項に記載の検体分析用具。分析対象物がグルコースである請求項11〜20のいずれか一項に記載の検体分析用用具。さらに、前記多孔質材に、酸化により発色する発色基質が保持された請求項11〜21のいずれか一項に記載の検体分析用具。前記酵素とタンパク質分解物とを含む溶液を多孔質材に含浸させ、前記多孔質材を乾燥することによって製造された請求項11〜22のいずれか一項に記載の検体分析用具。 【課題】 乾燥状態における酵素の失活を防止できる検体分析用具を提供する。 【解決手段】 多孔質材に、分析対象成分を基質とする酵素およびタンパク質分解物を含む溶液を含浸させ、これを乾燥することによって検体分析用具を作製する。前記タンパク質分解物としては、ゼラチン加水分解物が使用でき、前記多孔質材としてはセルロース製ろ紙が使用できる。【選択図】 なし


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