生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_酵母の分離方法並びにその方法により得られた醸造用酵母及び清酒
出願番号:2003342037
年次:2005
IPC分類:7,C12N1/14,C12G3/02


特許情報キャッシュ

三宅 剛史 産本 弘之 小野 文一郎 JP 2005102622 公開特許公報(A) 20050421 2003342037 20030930 酵母の分離方法並びにその方法により得られた醸造用酵母及び清酒 岡山県 591060980 森 廣三郎 100075960 森 寿夫 100114535 中務 茂樹 100113181 三宅 剛史 産本 弘之 小野 文一郎 7C12N1/14C12G3/02C12N1/14C12R1:865 JPC12N1/14 AC12G3/02 119GC12N1/14 AC12R1:865 10 1 OL 12 4B065 4B065AA80X 4B065AC12 4B065BA23 4B065CA42 本発明は、薬剤による酵母細胞の形態変化(偽菌糸形成)の特性を利用し、自然界から得られる野生酵母から酵母を分離選択(スクリーニング)あるいは分離選択した酵母を育種して取り出す酵母の分離方法並びにその方法により得られた醸造用酵母及び清酒に関するものである。 従来から多様な方法により、自然界から酵母(主にサッカロマイセス属)を分離することは行われている。一般的には非特許文献1の「微生物分離法」に記載の平板法で直接酵母の分離を試みた場合、まず、カビ類やサッカロマイセス属以外の酵母の生育が優先し、分離が困難になることが多いため、なんらかの形で選択圧をかけた液体培地による集積培養を行う場合が多い(例えば、非特許文献2)。こうして分離した野生酵母の一つ一つについて、目的である各種の醸造特性を調べて、それぞれの醸造への適応性を判断し、実用株として確立する。 酵母の分離、育種に関する特許は多数存在する。例えば、特許文献1「香気成分高生産性酵母」には、酵母を変異処理した後、セルレニンやロイシンアナログを含有する培地でカプロン酸エチルと酢酸イソアミルを高生産する酵母を分離する方法が記載されている。 また、特許文献2「発酵速度を増大させた酵母の育種」には、アニソマイシン含有選択培地を用い、本抗生物質に対して耐性を示す酵母を分離育種する方法が記載されている。更に、非特許文献1には、酵母をはじめとする微生物の一般的な平板培地による分離方法が記載され、非特許文献2には、特定の薬剤により選択圧をかけた液体培地による自然界からの実用酵母の分離方法が記載されている。 しかしながら、これらの多くが、薬剤を用いた突然変異による育種法や薬剤を含む選択培地を用いた分離法である。本発明のように形態変化を指標にした分離法は存在しない。特開2002-253211号公報特開2000-41661号公報生物工学実験書、(1992)、日本生物工学会編、P. 52-64日本醸造協会誌、(94)、[12]、(1999)、穂坂賢、角本琢磨、大竹総、中田久保、坂井劭、P. 988-1005 従来の技術では、上述の各種文献に見られるような、多様な方法により、自然界から酵母(主にサッカロマイセス属)を分離する。一般的に平板法で直接酵母の分離を試みた場合、まずカビ類やサッカロマイセス属以外の酵母の生育が優先し、分離が困難になることが多いため、なんらかの形で選択圧をかけた液体培地による集積培養を行う場合が多い。しかし、これらの分離法により、運良くサッカロマイセス属の酵母が取得できた場合でも、従来の技術では、その全てに対して1つずつ目的の醸造特性を調べ、実用株として確立する必要があるのに加え、結果的にみると、調べたそのほとんどが発酵能の弱い酵母であることが多いため、多大な労力と時間を要する。 本発明は、自然界に多様に存在する野生酵母の中からでも、極めて迅速かつ簡便に醸造用酵母を分離検出することができるような、そして、これまでに要していた労力と時間を大幅に削減することが可能な新規な分離、育種方法の開発を課題とするものである。 特に、醸造用酵母の分離方法に適用して有用かつその方法により得られた醸造用酵母を用いて、芳香豊かで美味な清酒を得ることを目的とする。 本発明による上記の課題解決手段は、まず、薬剤による出芽酵母の偽菌糸形成現象を利用して該酵母を選択分離することを特徴とする酵母の分離方法である。更に詳しくは、薬剤による酵母の易偽菌糸形成特性を利用し、自然界から得られる多様な野生酵母からアルコール発酵能が高く醸造に適する醸造用酵母を選択分離することを特徴とする酵母の分離方法である。 この醸造用酵母の易偽菌糸形成能は、自然界に存在する多様な野生酵母から醸造用酵母を分離選択する方法であって、薬剤としてグルタミンアナログを用いた場合に新規発見による出芽酵母の偽菌糸形成現象を用いる。ここで提案する醸造用酵母の分離方法は、醸造用酵母の易偽菌糸形成能も新しく見いだしたものであり、これを利用し、自然界に存在する多様な野生酵母から醸造用酵母を分離選択する方法である。したがって、本発明は、この新規なグルタミンアナログによる出芽酵母の偽菌糸形成現象を用いることを特徴とする。 ここにいうグルタミンアナログとは、アシビシン、アザセリン、6ジアゾ-5オキソ-Lノルロイシン(DON)などである。 これらグルタミンアナログのうちでも、特に、アシビシン (AT-125) が好ましい物質である。 アシビシン (AT-125)は、学名[S-(R*,R*)]-alpha-amino-3-chloro-4,5-dihydro-5-Isoxazoleacetic acidで表示される抗生物質として知られており、・γグルタミルトランスペプチダーゼの不可逆的阻害剤( ID50 = 0.54mM )、・LT(ロイコトリエン)C4からLT(ロイコトリエン)D4への酵素的転換を阻害する、・強力な抗腫瘍及び抗ライシュマニア*作用を有する(*Leishmania infantum)、・GMP synthase及びIGP synthase (triad glutamine amidotransferase)の阻害剤として知られている。その化学構造式は、[化1]であらわされる。 前述のように、グルタミンアナログ、特にアシビシンにより、出芽酵母の偽菌糸形成が誘導されることを本発明者らが初めて見いだした。この現象は、栄養培地に低濃度(0.1mM)のアシビシンを加え、出芽酵母(実験室酵母)を培養することにより観察される。更にこの現象は、自然界に存在する野生酵母には選択性がないのに対し、実用の醸造用酵母(高濃度アルコール生成)では、より低濃度(0.01mM)で強い誘導を引き起こす、という興味深い特徴を示すものである。 この酵母のアシビシンに対する感受性を検証するためには、通常の培養条件において、栄養培地に低濃度(0.01mM)のアシビシンを加え、酵母を一晩培養後、通常の顕微鏡観察により偽菌糸の形成の有無を確認するだけなので、極めて迅速かつ簡便に実施可能である。本現象の検証を、醸造用酵母の分離検出に適応したのが、本発明の酵母分離方法である。 アシビシン以外のグルタミンアナログによる酵母細胞の形態変化を生じさせる物質としてはアザセリンやDONがある。これらは、いずれもプリン・ピリミジン代謝の阻害剤として知られているものであるが、本発明の酵母分離摘出用薬剤としては、全く知られていない化合物である。これらの化学構造式は、[化2]及び[化3]であらわされる。 以上のように、本発明における出芽酵母の偽菌糸形成現象は、通常用いられる栄養培地(YPD培地(1%酵母エキス、2%ペプトン、2%ブドウ糖)など)にグルタミンアナログを所定濃度添加し、30℃で一晩の培養を行うことで容易に実現された。各種の醸造用酵母は、この偽菌糸形成において、醸造に適さない野生酵母より薬剤に対する感受性1がオーダー以上も高い。従って、自然界から分離される多様な野生酵母(醸造用酵母を含む)に対し、感受性の差が出る所定濃度のアシビシンを添加し、30℃で一晩の培養を行った後、それぞれの細胞の形態を顕微鏡で観察し、偽菌糸形成を誘導している酵母を選択することで、醸造に適応できる酵母を容易に分離取得することができる。 そこで、グルタミンアナログによる酵母細胞の形態変化である偽菌糸形成特性を利用し、自然界の野生酵母から分離選択し、取り出して新規な醸造用酵母が得られるのである。この、自然界の野生酵母から分離選択後、該酵母を育種して取り出すと、工業的に醸造用酵母を製造することができる。 本発明の醸造用酵母はサッカロマイセス属であるが、これまでの醸造用に使用されてきている一般的なサッカロマイセス属の酵母と違い、蒸煮米の製麹、アルコール発酵により得られる清酒も新規な芳香を放ち、かつ甘味や酸味の味のバランスや香りと味のバランスに優れた吟醸酒や純米酒などの清酒ができあがる。従来のサッカロマイセス属酵母との相違点については、分離時に指標とした易偽菌糸形成能を有することを特徴とする。他の微生物学的特徴は現在のところ明確に同定できていない。 また、本発明の技術は更に発展させて、醸造用酵母の偽菌糸形成特性と醸造特性の関連性を利用した醸造用酵母の育種及び分離検出方法でもある。例えば、この分離検出方法は、既存の醸造用酵母の細胞の集団から、本発明に係る該薬剤による偽菌糸形成能がより強化された(より低濃度の該薬剤で偽菌糸誘導する)細胞を継代的に分離し、育種する方法であり、もろみ等に存在する酵母集団の偽菌糸形成能を、該薬剤を用いて確認することで、その醸造能力や野生酵母の汚染状況などを確認検出する方法でもある。 一般に自然界から、有用な醸造用酵母を分離取得することは、非常に困難かつ労力を要する。本発明によれば、自然界に存在する多様な野生酵母を分離する(従来法により達成される)ことができれば、これらの該薬剤による偽菌糸形性能を指標にし、醸造に適応できる酵母を分離選択することが容易にできる。これにより、スクリーニングの段階において、1つずつの醸造特性を評価する必要性がなくなる。従って、最終的に目的である有用な醸造用酵母を分離取得するまでに要する労力を大幅に削減することができるだけでなく、その達成がより確実となる。 本発明の知見である偽菌糸形成と醸造特性の関連をもとに、偽菌糸形成を指標とした醸造用酵母の新たに強化された細胞を継代的に分離、育種したり、醸造能力や野生酵母の汚染状況などを確認検出育種法の開発が可能となることは、すでに述べたところである。 更に、該薬剤による偽菌糸形成をもとに、病原性酵母(その病原性に偽菌糸形成特性が関与する)に対する新たな抗真菌剤の開発も可能となる。例えば、本発明の知見をモデル系(簡便である)とし、該薬剤による偽菌糸形成を阻害するような薬剤をスクリーニング、あるいは合成することにより、得られる薬剤を病原性酵母へ適応する、といった技術などへの応用も期待できる。 出芽酵母の偽菌糸形成現象は、通常用いられる栄養培地(YPD培地など)にグルタミンアナログであるアシビシンを所定濃度添加し、30℃で一晩の培養を行うことで容易に実現された。各種の醸造用酵母は、この偽菌糸形成において、醸造に適さない野生酵母より薬剤に対する感受性が高い(1オーダー以上)。従って、自然界から分離される多様な野生酵母(醸造用酵母を含む)に対し、感受性の差が出る所定濃度のアシビシンを添加し、30℃で一晩の培養を行った後、それぞれの細胞の形態を顕微鏡で観察し、偽菌糸形成を誘導している酵母を選択することで、醸造に適応できる酵母を容易に分離取得することができる。以下、実施例によって本発明の酵母の分離方法並びにその方法により得られた醸造用酵母を詳細に説明する。 酵母の分離方法については、次のようにする。その概要を図示すれば図1及び図2のようになる。すなわち、複数の出芽酵母1(主にサッカロマイセス属の酵母をいう)の複数混合物に本発明で使用する薬剤2(グルタミンアナログ、特にアシビシンをいう)、例えば、アシビシンを添加すると、偽菌糸形成能の強い菌株と弱い菌株にスクリーニングされる。薬剤2にグルタミンアナログのアシビシンを用いると、醸造用酵母3(主にサッカロマイセス属の酵母であって、各種の醸造に用いられるものをいう)の偽菌糸形成能が強く発現し、その他の野生酵母4(主にサッカロマイセス属の酵母であって、いずれの醸造にも用いられないものをいう)には偽菌糸形成能がほとんど認められないことが判明した。 この現象を利用して、偽菌糸形成能に影響を及ぼす薬剤を特定すれば、極めて容易に有用な酵母のスクリーニングができるのである。図2は、自然界から分離した酵母(醸造用酵母と野生酵母を含む)にこの偽菌糸形成能のチェックによる醸造用酵母の分離方法を適用したときの説明図であるが、図1に示す薬剤添加による偽菌糸形成能の違いのチェックによるスクリーニングを利用して、多数の自然界から分離した酵母(醸造用酵母と野生酵母を含む)から清酒系酵母5(主にサッカロマイセス属の酵母であって、特に清酒の醸造に用いることが可能でありそうなものをいう)の数種類を抽出する。したがって、この数種類についてのみ醸造特性の評価をすればよいので、野生酵母4の全てについての評価に比べて、実施が小スケールですみ、従来法に比べて、操作性、迅速性、確実性共に向上する。 上記本発明の酵母の分離方法により得られた醸造用酵母は、アルコール発酵能が高く醸造に適する醸造用酵母であり、分離時に指標とした易偽菌糸形成能を有することを特徴とする主にサッカロマイセス属の酵母である。 以下、実施例によって本発明の酵母の分離方法並びにその方法により得られた醸造用酵母を詳細に説明する。 実施例1(アシビシンによる) 従来の方法により、自然界から分離された野生酵母16株について、アシビシンを0.01mM加えたYPD培地で、30℃、一晩培養した後、顕微鏡で各細胞の形態を観察した。その結果、表1に示すように、6株において偽菌糸形成の誘導が引き起こされていた。これらの6株について、醸造特性を調べ、いずれも清酒の醸造に適応できることを確認した。一方で、残りの野生酵母については、いずれの醸造にも適応できないことを確認した。 また、清酒、パン、ビール、ワイン、焼酎、一般のアルコール発酵の現場で使用されている各種の実用株15株について、アシビシンを0.01mM加えたYPD培地で、30℃、一晩培養した後、顕微鏡で各細胞の形態を観察した。その結果、表2に示すように、全ての株において偽菌糸形成の誘導が引き起こされていた。 実施例2,3 次に、アザセリン及びDONを用いた実施例について述べる。実験室株L6294と実用株Kyokai No.7について、アザセリン及びDONを0.01mMと0.1mM加えたYPD培地で、30℃、一晩培養した後、顕微鏡で各細胞の形態を観察した。その結果、表3に示すように、実験室株では、0.1mMでのみ偽菌糸形成の誘導が引き起こされていたが、実用株では、0.01mMにおいても偽菌糸形成の誘導が引き起こされていた。しかし、これら2株の間におけるアザセリンとDONによる偽菌糸形成能の差は、アシビシンほど顕著にあらわれなかったが十分実用化できるものである。 これらの実施例1〜3で示されるように、該薬剤による偽菌糸形成を指標にした分離選択を行うことにより、1つずつの醸造特性を調べることなく、容易に醸造用酵母を分離選択することができる。 出芽酵母では、特に2倍体において、低窒素源・高グルコースなどの栄養状態を認識すると、MAPK経路とcAMP経路などが関与する情報伝達により、細胞の伸長、細胞の不分離、出芽の分極がおこり、偽菌糸成長が誘導される。一方、1倍体は、富栄養状態でinvasive growth(侵入成長)する。また、倍数性によらず、ブタノールなどのアルコール(2次代謝産物)が偽菌糸形成を誘導することも知られている。 出芽酵母の偽菌糸誘導因子に関しては、多くの知見(窒素源枯渇、固体培地、アルコール類など)があり、それぞれに関与する機構(シグナル伝達)について詳細な解析もなされている。しかし、本発明のように薬剤による同現象の発見は初めての知見である。本現象は、培地の形態にも、倍数体にもよらない。 実施例4 分離した醸造用酵母の評価 分離したこれらの酵母のうち、N-86株とH-K株(表1参照)により醸造した清酒は、通常使用されている醸造用酵母(対照株としては協会9号を用いた。)に比較して、有機酸の生成は、N-86株、H-K株ともに少なく、酸味が少なく穏やかですっきりしているとの評価を得、香気成分も、N-86株は含み香の主成分であるカプロン酸エチル香が強く、H-K株は立ち香(はな香)の主成分である酢酸イソアミル香が強いとの評価が得られた。もっとも官能評価が良かった株のヘッドスペース法による分析結果は、N-86株は、酢酸イソアミル3.2ppm、カプロン酸エチル10.3ppmであり、H-K株は酢酸イソアミル5.3ppm、カブロン酸エチル4.0ppmであった。結果を表4及び表5に示す。 本発明の基本は自然界の酵母からの醸造用酵母の一種のスクリーニング技術ではあるが、単なる発見ではなく、以下のような産業上の利用可能性がある。 すなわち、本発明で提案できるのは、現在のところ一種の清酒醸造用の酵母であるが、清酒業界では、地域や蔵元などにおける特徴ある醸造用酵母の開発やそれを利用した製品開発が強く求められている。こうした酵母の開発においては、一つに自然界から分離する方法が最も一般的あるが、その実現のためには多大な労力と時間を要する。本発明は、これらの問題を大きく解決することができるため、醸造業界における酵母の開発(ひいては製品開発)の活性化が見込まれる。同時に本発明は、醸造特性と偽菌糸形成の関連性を示唆しており、業界における大きな命題である醸造用酵母の特性を明らかにしていくための一助にもなる市場性の高いものである。 また、病原性酵母において、偽菌糸形成の誘導は、重要な病原因子であると認識されている。従って、本薬剤の新たな生理作用である出芽酵母に対する偽菌糸形成の誘導を解明したことは、本薬剤の使用による応用分野に関しても新たな見解を加えることになり、新たな抗真菌剤の開発など、関連する研究分野の活性化も期待できる。 本発明の実用化に関し、単に、学術分野に留まらず、醸造業界における新たな酵母の開発を模索する場合、必要とされる過大な労力や時間のために、実現できていない状態にある。本発明は、まさにそのような現場に強く要望されうる産業に役立つスクリーニング技術である。一方では、本現象の機構解明や他への応用などの要望は、関連する医薬分野や生命科学分野においても生じる基本的な技術である。本発明に係る薬剤(アシビシン)添加による偽菌糸形成能の概略説明図である。偽菌糸形成能のチェックによる醸造用酵母の分離方法の説明図である。符号の説明 1 出芽酵母 2 薬剤 3 醸造用酵母 4 野生酵母 5 清酒系酵母薬剤による出芽酵母の偽菌糸形成現象を利用して該酵母を選択分離することを特徴とする酵母の分離方法。薬剤による酵母の易偽菌糸形成特性を利用し、自然界から得られる多様な野生酵母からアルコール発酵能が高く醸造に適する醸造用酵母を選択分離することを特徴とする酵母の分離方法。薬剤がグルタミンアナログである請求項1又は2記載の酵母の分離方法。グルタミンアナログがアシビシンである請求項3記載の酵母の分離方法。グルタミンアナログがアザセリンまたは6ジアゾ-5オキソ-Lノルロイシン(DON)である請求項3記載の酵母の分離方法。グルタミンアナログによる酵母細胞の形態変化である偽菌糸形成特性を利用し、自然界の野生酵母から分離選択して取り出してなるサッカロマイセス属の醸造用酵母。グルタミンアナログによる酵母細胞の形態変化である偽菌糸形成特性を利用し、自然界の野生酵母から分離選択後、該酵母を育種して取り出してなるサッカロマイセス属の醸造用酵母。グルタミンアナログがアシビシンである請求項6又は7記載の醸造用酵母。グルタミンアナログがアザセリンまたは6ジアゾ-5オキソ-Lノルロイシン(DON)である請求項6又は7記載の醸造用酵母。請求項6乃至9のいずれか記載の醸造用酵母を用いて蒸煮米の製麹、アルコール発酵により得られる清酒。 【課題】 自然界に多様に存在する野生酵母の中からでも、極めて迅速かつ簡便に有用な酵母の新規な分離、育種方法の開発を課題とする。特に、醸造用酵母の分離方法に適用して有用かつその方法により得られた醸造用酵母を用いて、芳香豊かで美味な清酒を得ることを目的とする。【解決手段】 薬剤2による出芽酵母1の偽菌糸形成現象を利用して該酵母を選択分離することを特徴とする酵母の分離方法であり、自然界から得られる多様な野生酵母4からアルコール発酵能が高く醸造に適する醸造用酵母3を選択分離する。醸造用酵母3の易偽菌糸形性能は、薬剤2としてグルタミンアナログ、特に、アシビシンを用いた場合に効率よく分離でき、この新規な醸造用酵母3によるアルコール発酵で得られた清酒は、特有の芳香と味覚を有する。【選択図】 図1


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