タイトル: | 公開特許公報(A)_逆浸透膜供給水の評価方法及び水処理装置の運転管理方法 |
出願番号: | 2003337644 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01N33/18,B01D65/00,B01D71/32,C02F1/44,G01N21/31,G01N21/59 |
川勝 孝博 新井 伸説 JP 2005106516 公開特許公報(A) 20050421 2003337644 20030929 逆浸透膜供給水の評価方法及び水処理装置の運転管理方法 栗田工業株式会社 000001063 重野 剛 100086911 川勝 孝博 新井 伸説 7G01N33/18B01D65/00B01D71/32C02F1/44G01N21/31G01N21/59 JPG01N33/18 ZB01D65/00B01D71/32C02F1/44 DG01N21/31 610ZG01N21/59 Z 6 1 OL 10 2G059 4D006 2G059AA01 2G059AA02 2G059BB04 2G059DD02 2G059EE01 2G059HH02 2G059HH03 2G059HH06 4D006GA03 4D006GA06 4D006GA07 4D006HA01 4D006HA21 4D006HA41 4D006HA61 4D006KA02 4D006KA52 4D006KB12 4D006KB13 4D006KB14 4D006KB21 4D006KC01 4D006KC03 4D006KE03Q 4D006KE06Q 4D006KE07Q 4D006LA10 4D006MB10 4D006MC16 4D006MC30 4D006MC39 4D006MC54 4D006MC62 4D006PB08 本発明は、逆浸透膜供給水の評価方法と逆浸透膜を含む水処理装置の運転管理方法に関する。詳しくは、本発明は、逆浸透膜の透過流束の低下を招くことなく、長期間にわたって逆浸透膜装置を安定して運転するための逆浸透膜供給水の評価方法と、この評価結果に基づいて水処理装置の運転を適正に管理する方法に関する。 なお、本発明において、「逆浸透膜」は、「逆浸透膜」と「ナノ濾過膜」を包含する広義の「逆浸透膜」を意味する。 表面緻密層と多孔質支持層とからなり、溶媒分子は通すが溶質分子を通さない逆浸透膜により、海水の一段淡水化が可能になった。その後、逆浸透膜の利用分野が広がり、低圧力で運転可能な低圧逆浸透膜が開発され、下水二次処理水、工場排水、河川水、湖沼水、ゴミ埋め立て浸出水などの浄化にも逆浸透膜が利用されるようになった。 逆浸透膜は溶質の阻止率が高いため、逆浸透膜処理により得られる清澄な透過水は良好な水質を有するので、各種用途に有効に再利用が可能である。しかし、その一方で、処理の継続に伴い膜の透過流束が低下し、操作圧力が上昇するため、この場合には、膜性能を回復させるために、運転を停止して逆浸透膜を洗浄する処理が必要となる。 従来においては、逆浸透膜を用いて水処理を行う場合、このような膜洗浄頻度を低減して、処理効率を高めるために、逆浸透膜装置への供給水を、JIS K3802に定義されているファウリングインデックス(FI)、又はASTM D4189に定義されているシルトデンシティインデックス(SDI)や、より簡便な評価方法として谷口により提案されたMF値(Desalination,vol.20,p.353−364,1977)で評価し、この値が既定値以下となるように、例えばFI値又はSDI値が3〜4、或いはそれ以下となるように、必要に応じて前処理を実施し、逆浸透膜供給水をある程度清澄にすることにより、逆浸透膜装置における透過流束の低下や操作圧力の上昇などの障害を避け、安定運転を継続する方法が実施されている。 FI値、SDI値、MF値はいずれも逆浸透膜供給水を0.45μmの精密濾過膜(通常、日本ミリポア株式会社の「ミリポアフィルター」を用いることが多い。)で濾過したときの所定の濾過時間を測定し、この測定値に基いて算出されるものである。前処理としては、例えば、工場廃水の場合、活性汚泥法などによる生物学的処理や、活性炭吸着、限外濾過などの物理化学的処理を行うことが一般的である。 しかしながら、FI値又はSDI値やMF値が既定値以下の逆浸透膜供給水であっても、逆浸透膜において透過流束の低下や操作圧力の上昇が早期に発生する場合があった。即ち、従来のFI値、SDI値又はMF値の評価は、逆浸透膜供給水中のSS(懸濁固形物)を捕捉することにより、これを濾過時間に反映することができるため、SSに基く逆浸透膜供給水としての良否の判定には有効であるが、原水中の溶解性の汚れ成分を濾過時間に反映しない。このため、溶存物質の化学的相互作用に基く逆浸透膜供給水としての良否を的確には判定できない。 特願2002−281187号では、逆浸透膜供給水中に含まれる非イオン界面活性剤濃度を10mg/L以下に管理する方法が示されている。しかしながら、逆浸透膜供給水の非イオン界面活性剤濃度が10mg/L以下であっても、逆浸透膜において透過流束の低下や操作圧力の上昇といった障害が発生することがある。これは、逆浸透膜供給水に非イオン界面活性剤ではなく、非イオン界面活性剤の類縁物質が含まれる場合や逆浸透膜の前処理において非イオン界面活性剤の形状が変化した場合、前記物質が逆浸透膜を汚染する物質であるにも拘わらず、非イオン界面活性剤としての分析法では検出できないためであると考えられる。 一般に、逆浸透膜の汚染物質は、逆浸透膜供給水中に非常に低濃度で含まれている場合であっても、透過流束の低下、操作圧力の上昇を引き起こす。従って、逆浸透膜供給水としての良否を確実に判断するためには、逆浸透膜供給水中に含まれる膜汚染物質が低濃度であっても、これを十分に定量できる分析法が必要となる。特願2002−281187号Desalination,vol.20,p.353−364,1977 本発明は、逆浸透膜の透過流束の低下、操作圧力の上昇を招くことなく、長期間にわたって逆浸透膜装置を安定して運転するための、逆浸透膜供給水の評価方法と、この評価結果に基く水処理装置の運転管理方法を提供することを目的とする。 本発明の逆浸透膜供給水の評価方法は、逆浸透膜装置に供給される水の逆浸透膜供給水としての良否を評価する方法において、該逆浸透膜供給水を選択性透過膜に通水させた後、該選択性透過膜の膜内部及び/又は膜表面に捕捉された物質を抽出し、抽出液の水質の測定結果に基いて評価することを特徴とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、逆浸透膜供給水を選択性透過膜に通水して、透過流束の低下等を引き起こす膜汚染物質をこの選択性透過膜の内部、表面或いはその両方に捕捉した後、捕捉した膜汚染物質を選択性透過膜より抽出してこれを測定することにより、逆浸透膜供給水中に低濃度で含まれる膜汚染物質を簡便に定量測定することができること、そして、この方法で得られる結果が逆浸透膜における透過流束と密接な関係にあることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。 本発明の逆浸透膜供給水の評価方法によれば、逆浸透膜供給水中に低濃度で含まれる膜汚染物質を十分に評価して逆浸透膜供給水としての良否を的確に判定することができる。 本発明の水処理装置の運転管理方法は、このような本発明の逆浸透膜供給水の評価方法により逆浸透膜供給水の良否を評価し、その結果に基いて運転管理を行うものであり、的確な評価結果に基いて逆浸透膜装置における透過流束の低下や操作圧力の上昇などの障害を引き起こすことなく、長期にわたり安定な運転を継続することができる。 本発明によれば、逆浸透膜供給水を選択性透過膜に通水して膜汚染物質を捕捉し、これを抽出した抽出液の水質を測定することにより、逆浸透膜供給水としての良否を的確にかつ簡易に評価することができる。そして、このような評価結果に基いて運転管理を行う本発明の水処理装置の運転管理方法によれば、逆浸透膜装置において高透過流束を維持することができ、長期にわたり安定した運転を継続することができる。 以下に本発明の逆浸透膜供給水の評価方法及び水処理装置の運転管理方法の実施の形態を詳細に説明する。 本発明の評価方法において用いる選択性透過膜に特に制限はなく、例えば、精密濾過膜、限外濾過膜、逆浸透膜(ナノ濾過膜を含む)を挙げることができる。これらの中でも、操作圧力が低く、濾過の簡便な精密濾過膜や、分画性能を有する限外濾過膜を好適に用いることができる。 また、選択性透過膜の材質に特に制限はなく、例えば、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリアクリルニトリル、ポリスルホンなどを挙げることができる。これらの中でも、評価対象である逆浸透膜供給水が供給される逆浸透膜装置に充填される逆浸透膜と同一な材質、又はポリテトラフルオロエチレンを好適に用いることができる。ポリテトラフルオロエチレンは疎水性が高く、逆浸透膜の透過流束の低下が膜汚染物質の疎水吸着によると推測される場合に特に好適に用いることができる。 本発明の評価方法において用いる抽出液に特に制限はなく、例えば、メタノールなどの有機溶媒、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液、クエン酸水溶液などの酸性水溶液、或いは場合によっては純水を挙げることができる。抽出方法についても特に制限はないが、必要に応じて超音波を照射するなどして抽出効率を高めることができる。 また、抽出液の水質の測定方法にも特に制限はなく、例えば、吸光度法、原子吸光度法、紫外線吸光度法、全有機炭素量測定法、液体クロマトグラフィー法、酵素免役定量法などを挙げることができる。また、中村らによる非イオン界面活性剤の測定方法(向井重徳、中村栄子、日本分析化学会年会講演要旨集、Vol.49th、p65、2000)も、好適に用いることができる。 本発明の逆浸透膜供給水の評価方法においては、逆浸透膜供給水を通水した選択性透過膜の抽出液の水質測定結果に、従来のMF値と同様に換算係数を乗じ、水温による換算を行うようにしても良い。また、このようにして、逆浸透膜供給水を通水した選択性透過膜の抽出液の水質を測定すると共に、従来法のFI値、SDI値、MF値を求め、これらの結果を併用して評価を行うようにしても良い。 このような本発明の逆浸透膜供給水の評価方法が適用される逆浸透膜の材質に特に制限はなく、例えばポリアミド系逆浸透膜、セルロースエステル系逆浸透膜、ポリスルホン系逆浸透膜、ポリイミド系逆浸透膜などを挙げることができる。逆浸透膜の形態にも特に制限はなく、相転換膜、複合膜のいずれにも用いることができる。これらの中で、膜支持体となる限外濾過膜にポリスルホンを用い、緻密層に架橋ポリアミド、線状ポリアミド、ポリピペラジンアミドなどを用いたポリアミド系逆浸透膜を好適に用いることができる。 本発明の逆浸透膜供給水の評価方法が適用される逆浸透膜装置の膜モジュールの種類にも特に制限はなく、例えばスパイラルモジュール、中空糸モジュール、平面膜モジュール、管型モジュールなどを挙げることができる。 本発明の水処理装置の運転管理方法においては、このような本発明の逆浸透膜供給水の評価方法により逆浸透膜供給水の良否を評価し、その結果に基いて逆浸透膜装置を含む水処理装置の運転を管理する。この運転管理方法に特に制限はなく、例えば、逆浸透膜供給水の前処理条件の制御、及び/又は逆浸透膜装置の運転条件の制御が挙げられる。 逆浸透膜供給水の前処理方法に特に制限はなく、例えば、活性汚泥法、光酸化法、湿式接触酸化法、凝集沈殿法、加圧浮上法、活性炭吸着法、精密濾過法、限外濾過法などを挙げることができる。これらの前処理方法は、1種を単独で用いることができ、また、2種以上を組み合わせて用いることもできる。前処理条件の制御は、これらの前処理装置を新たに追加したり、組み替えたり、削減したり、また、各々の前処理装置の処理条件を変更するなどの方法で実施される。 また、逆浸透膜装置の運転条件については、逆浸透膜装置の運転圧力、水回収率、逆洗頻度、洗浄頻度の調整等が挙げられ、逆浸透膜供給水の評価結果に基いて、これらの条件を制御することにより、透過流束の経時低下を防止し、高透過流束を維持して長期に亘り逆浸透膜装置の安定した運転を行うことができる。 以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により何ら限定されるものではない。[実施例1]評価例1−1 機械工場の排水処理設備出口水を用いて、試験を実施した。まず、この排水処理設備出口水を、細孔径0.2μmのメンブレンフィルター[C020A293C,アドバンテック東洋(株)]で精密濾過し、逆浸透膜供給水とした。逆浸透膜供給水の評価は、中村らによる非イオン界面活性剤の測定方法に準拠して実施した。 まず、逆浸透膜供給水100mLを、エタノールに浸漬して透水性を高めたポリテトラフルオロエチレン製メンブレンフィルター(細孔径0.1μm)で吸引濾過し、吸引後のフィルター上にチオシアン酸カリウム(1.5M)−塩化鉄(III)(6mM)の混合溶液2mLを加え再び吸引濾過した。次いで、フィルターをビーカーに採り、メタノール5mLを添加し、チオシアン錯イオンとの複合錯体を抽出して、メタノール抽出液の波長500nmでの吸光度を10mmガラスセルを用いて測定した。吸光度は、0.13であった。 この逆浸透膜供給水を、ポリアミド系逆浸透膜[NTR759HR,日東電工(株)]に25℃、圧力1.5MPaで通水したところ、透過流束は、0.71m/dであった。評価例1−2 評価例1−1と同じ排水処理設備出口水を、活性炭[クリコールWG160,栗田工業(株)]を充填したカラムで吸着処理した後、細孔径0.2μmメンブレンフィルター[C020A293C,アドバンテック東洋(株)]で精密濾過して逆浸透膜供給水としたこと以外は実施例1と同様に吸光度と透過流束を測定したところ、吸光度は0.02、透過流束は、0.98m/dであった。評価例1−3〜11 様々な排水を逆浸透膜供給水としたこと以外は、評価例1−1と同様に吸光度と透過流束を測定し、吸光度と透過流束との関係を評価例1,2の結果と共に図1に示した。 図1より、メンブレンフィルター捕捉物の抽出液の吸光度と逆浸透膜における透過流束とに相互関係があることが分かる。 評価例1〜11における逆浸透膜供給水のFI値は、何れも既定値(=3.0)以下であり、FI値では逆浸透膜における透過流束の低下を予測し得ないことが確認された。また、それぞれの逆浸透膜供給水において、全有機炭素量(TOC)をはじめとする水質分析値は非常に低く、逆浸透膜供給水に低濃度で含まれる膜汚染物質を、水質分析から直接的に判断することは非常に困難であることも確認された。 これに対して、図1に示すように、逆浸透膜供給水に含まれる膜汚染物質を選択性透過膜で選択的に捕捉し、これを抽出液中に濃縮することにより、吸光度のような簡便な分析方法でこれを検出することができ、この結果に基いて逆浸透膜供給水としての良否を判断できることが分かる。 以上の結果から、純水での透過流束にやや劣る1.0m/d付近の高い透過流束を得るためには、本実施例での逆浸透膜供給水の評価方法における吸光度を0.1以下に管理する必要があることが分かる。[実施例2]評価例2−1 純水に非イオン界面活性剤ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル[NS208.5,日本油脂(株)]10mg/Lを溶解した水溶液を調製し、逆浸透膜供給水とした。 この逆浸透膜供給水10mLを、ポリアミド製限外濾過膜[UP−20,分画分子量20,000,アドバンテック東洋(株)]を用い、操作圧力0.2MPaで加圧濾過した。加圧濾過後のフィルターをビーカーに採り、メタノール5mLを添加して限外濾過膜捕捉物質を抽出し、メタノール溶出液の波長260nmでの吸光度を10mm石英セルを用いて測定したところ、吸光度は、0.028であった。 この逆浸透膜供給水をポリアミド系複合逆浸透膜[NTR759HR,日東電工(株)]に、25℃、圧力1.5MPaで通水したところ、透過流束は、0.28m/dであった。なお、この逆浸透膜供給水について紫外線吸光度と全有機炭素量を測定したところ、表1に示す通りであった。評価例2−2 純水に陰イオン界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム[東京化成工業(株)]10mg/Lを溶解し、逆浸透膜供給水としたこと以外は、評価例2−1と同様に吸光度と透過流束を測定したところ、表1に示す通りであった。また、この逆浸透膜供給水について紫外線吸光度と全有機炭素量を測定したところ、表1に示す通りであった。 表1より、選択性透過膜の捕捉物質の抽出液の吸光度と、逆浸透膜における透過流束とに相互関係があることが分かる。また、これらの逆浸透膜供給水は、界面活性剤濃度、全有機炭素量、紫外線吸光度はほぼ同等の値を示し、水質分析では逆浸透膜供給水としての良否を判断し得ないことが分かる。 以上の結果から、逆浸透膜汚染物質を選択的に捕捉しうる選択性透過膜を用い、膜汚染物質を選択捕捉・抽出することにより、逆浸透膜供給水としての良否を判断することができることが分かる。[実施例3]評価例3−1 純水にポリエチレングリコール(PEG)22,800[Polymer Laboratories Inc.]1mg/Lを溶解した水溶液を調製し、逆浸透膜供給水とした。 この逆浸透膜供給水10mLを、選択性透過膜として再生セルロース製限外濾過膜[PLGC,分画分子量10,000,日本ミリポア(株)]を用い、操作圧力0.2MPaで加圧濾過したこと以外は評価例1−1と同様に汚染物質の捕捉、抽出及び抽出液の吸光度の測定と、逆浸透膜供給水をポリアミド系複合逆浸透膜[NTR759HR,日東電工(株)]に通水したときの透過流束の測定を行ったところ、結果は表2に示す通りであった。評価例3−2 純水にポリエチレングリコール4,120[Polymer Laboratories Inc.]1mg/Lを溶解した水溶液を調製して逆浸透膜供給水としたこと以外は、評価例3−1と同様に吸光度及び透過流束の測定を行ったところ、結果は表2に示す通りであった。評価例3−3 純水にポリエチレングリコール1,080[Polymer Laboratories Inc.]1mg/Lを溶解した水溶液を調製して逆浸透膜供給水としたこと以外は、評価例3−1と同様に吸光度及び透過流束の測定を行ったところ、結果は表2に示す通りであった。 表2より、選択性透過膜の捕捉物質の抽出液の吸光度と、逆浸透膜における透過流束とに相互関係があることが分かる。また、逆浸透膜における透過流束の低下が膜汚染物質の分子量に依存するような場合、選択性透過膜に分画性能をもつ限外濾過膜を好適に用いることができることが分かる。 また、評価例1−1,1−2の結果と比較した場合、評価例3−1〜3−3の結果は、吸光度が低いにもかかわらず、逆浸透膜における透過流束の低下が著しい。用いた選択性透過膜が限外濾過膜であるにもかかわらずこのような結果が得られるのは、選択性透過膜の材質に起因する結果と考えられる。[実施例4]評価例4−1 純水に非イオン界面活性剤ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル[NS208.5,日本油脂(株)]10mg/Lを溶解した水溶液を調製し、逆浸透膜供給水とした。 この逆浸透膜供給水10mLを、ポリアミド系複合逆浸透膜[NTR759HR,日東電工(株)]を用い、操作圧力1.5MPaで加圧濾過し、加圧濾過後のフィルターをビーカーに採り、超純水2mLを添加して超音波照射した。超音波照射後の水溶液を酵素免疫定量法[APE ELISA キット,武田薬品工業(株)]を用い測定したところ、検出濃度は3.0mg/Lであった。 この逆浸透膜供給水をポリアミド系複合逆浸透膜[NTR759HR,日東電工(株)]に、25℃、圧力1.5MPaで通水したところ、透過流束は、0.28m/dであった。評価例4−2 純水に非イオン界面活性剤ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル[NS208.5,日本油脂(株)]1mg/Lを溶解して逆浸透膜供給水としたこと以外は、評価例4−1と同様に酵素免疫定量法による抽出液の測定と透過流束の測定を行い、結果を表3に示した。 表3より、選択性透過膜に逆浸透膜を、また抽出液の測定に酵素免疫定量法を好適に用いることができることが分かる。 本発明は逆浸透膜装置の長期安定運転に有効である。実施例1で得られたメンブレンフィルター捕捉物の抽出液の吸光度と逆浸透膜における透過流束との関係を示すグラフである。 逆浸透膜装置に供給される水の逆浸透膜供給水としての良否を評価する方法において、 該逆浸透膜供給水を選択性透過膜に通水させた後、該選択性透過膜の膜内部及び/又は膜表面に捕捉された物質を抽出し、抽出液の水質の測定結果に基いて評価することを特徴とする逆浸透膜供給水の評価方法。 請求項1において、該選択性透過膜が精密濾過膜、限外濾過膜又は逆浸透膜であることを特徴とする逆浸透膜供給水の評価方法。 請求項1又は2において、該選択性透過膜が前記逆浸透膜装置に装填された逆浸透膜と同一の材質であるか或いはポリテトラフルオロエチレン製であることを特徴とする逆浸透膜供給水の評価方法。 請求項1ないし3のいずれか1項において、該選択性透過膜を有機溶媒、アルカリ水溶液、酸水溶液又は純水で抽出することを特徴とする逆浸透膜供給水の評価方法。 請求項1ないし4のいずれか1項において、該抽出液の水質を、吸光度法、原子吸光度法、紫外線吸光度法、全有機炭素量測定法、液体クロマトグラフィー法、又は酵素免疫定量法により測定することを特徴とする逆浸透膜供給水の評価方法。 逆浸透膜装置を含む水処理装置の運転を管理する方法において、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の逆浸透膜供給水の評価方法により、該逆浸透膜装置に供給される水の良否を評価し、この評価結果に基づいて運転管理を行うことを特徴とする水処理装置の運転管理方法。 【課題】逆浸透膜供給水の良否を的確に評価することにより、逆浸透膜装置を含む水処理装置を長期にわたって安定に運転する。【解決手段】逆浸透膜供給水を選択性透過膜に通水させた後、該選択性透過膜の膜内部及び/又は膜表面に捕捉された物質を抽出し、抽出液の水質の測定結果に基いて逆浸透膜供給水としての良否を評価する逆浸透膜供給水の評価方法。この評価結果に基いて逆浸透膜装置を含む水処理装置の運転管理を行う水処理装置の運転管理方法。【選択図】図1