タイトル: | 公開特許公報(A)_自動車用タイヤの老化試験方法 |
出願番号: | 2003330476 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01N17/00,B60C19/00,G01M17/02 |
猪尾 守之 JP 2005098754 公開特許公報(A) 20050414 2003330476 20030922 自動車用タイヤの老化試験方法 住友ゴム工業株式会社 000183233 安田 敏雄 100061745 猪尾 守之 7G01N17/00B60C19/00G01M17/02 JPG01N17/00B60C19/00 HG01M17/02 B 6 4 OL 9 2G050 2G050AA02 2G050AA05 2G050BA03 2G050BA10 2G050DA03 2G050EA01 2G050EA02 2G050EA06 2G050EB10 本発明は、主に自動車用タイヤの耐BEL性を評価するため、熱帯雨林性気候等に代表される高温多湿な使用環境で走行した自動車用タイヤと同程度の経時劣化を、人工的な環境における老化促進を行うことによって、迅速にかつ実際の使用環境との高い相関性を有しつつ得ることが出来る老化試験方法に関するものである。 従来、ケッペンの気候区分による年間を通して気温18℃以上の熱帯と呼ばれる気候区分に属する熱帯雨林気候及び熱帯モンスーン気候に代表される高温多湿な使用環境では、自動車用タイヤを長期間使用するとBEL(Breaker Edge Looseness、もしくはBand Edge Looseness)が起こりやすいことが知られている。つまり、エッジバンドは自動車用ハイパフォーマンスタイヤの高速安定性の為に、タイヤクラウン部に積層されているブレーカーもしくはベルトの外側に設けられるため、BELによる剥離はタイヤの走行安定性を損なわせ、かかる使用環境でのタイヤの耐久性保証上の問題となっている。 そこで、耐BEL性に優れるタイヤの開発が必要とされているのであるが、耐BEL性の評価方法には定まった方法がなく、従来から行われてきた方法にも問題点が多い。耐BEL性を評価する方法としては大別すると2つの方法が知られている。一つは熱帯雨林気候及び熱帯モンスーン気候にある使用環境で実際に走行した自動車用タイヤを評価する方法であり、一つは自動車用タイヤを人工環境下で老化促進して評価する方法である。 まず、熱帯雨林気候及び熱帯モンスーン気候にある使用環境で実際に走行した自動車用タイヤを評価する方法は、結果を得るのに多大な時間を要するという欠点がある。かかる方法は実際の走行がされて後に評価する必要があるからである。加えて、近年の自動車用タイヤの保証寿命の長期化が、短期間に結果を得ることがより困難にしている。よって、実使用後の評価は耐BEL性に優れる自動車用タイヤの開発を行うに適した試験方法とは言い難い。 また、自動車用タイヤを人工環境下で老化促進して評価する方法もこれまでいくつかの試験方法が知られているが、いずれも耐BEL性に優れる自動車用タイヤの開発を行う上では最適な評価方法とは言えない問題点を有している。 例えば、かかる老化試験方法として知られるJIS K6301−1975は、加硫ゴムの空気中や酸素中での老化促進試験として規定されたものであり、耐BEL性の評価にも用いられている。環境因子として酸素濃度、温度、時間が自動車用タイヤの老化に及ぼす影響を評価することが出来るが、湿度が環境因子に加えられていないので、高温多湿な使用環境での自動車用タイヤの耐久性や耐BEL性を評価できる方法としては問題がある。 また、JIS D4230−1978において参考として記載されている耐調湿性能試験も老化試験方法として知られるものである。温度35〜41℃、湿度90〜100%の環境に20日間保持した後の自動車用タイヤを高速耐久性能試験にかけるものであり、目視検査によるゴムの劣化評価を行う試験方法である。JIS K6301とは異なり、湿度が老化に及ぼす影響を評価できるが、目視検査しか行わないため、タイヤ内部で発生するBELを高精度に評価できない。加えて、老化処理自体に20日は必要であり、さらに評価に日数を要するので、耐BEL性を短期間で評価する方法とは言えない。 さらに、耐BEL性そのものを評価する方法として、特許第3373737号において公開されている高濃度酸素を用いた老化促進試験が知られている。空気を用いた老化促進試験に比べて老化の促進効果が得られ、湿度の老化に対する影響も評価できる試験方法であるが、自然界には存在しない高濃度の酸素過剰な環境下で老化を促進させるため、BELが実際に発生している環境と合致しておらず、実際の使用環境との相関性に対しては疑問がある。 以上のことから、耐BEL性に優れる自動車用タイヤの開発を行う上で、実際の高温多湿な使用環境との相関性に優れ、かつ短時間に結果が得られる試験方法が望まれていた。特許第3373737号(第1−2頁)特開2001−287506号公報(第2頁)日本工業規格、JISハンドブック19、1986年4月12日発行、P.408日本工業規格、JISハンドブック28、2002年1月31日発行、P.470 本発明は、主に自動車用タイヤの耐BEL性を評価するため、熱帯雨林気候に代表される高温多湿な環境での実使用に相当する経時劣化を、短時間で得ることができる耐久性試験方法に関するものである。 本願発明では上記の目的を達成するために、次の手段を講じた。即ち自動車用タイヤの老化促進試験において、タイヤを湿熱サイクルと乾熱サイクルへ交互に暴露させることを特徴とする試験方法である。 本願発明に際して発明者が着目したのは、高温多湿な使用環境に於ける気温と湿度の日変動である。図1に熱帯雨林気候のある使用地域における一日の気温及び湿度の変化を示す。気温は昼夜を通して比較的安定しているが、湿度は60〜98%と大きく変動していることが同図から分かる。つまり、かかる高温多湿な地域でも、湿度は一日を通して激しく変動しているのである。そこで、発明者はかかる温度と湿度の変動サイクルが自動車用タイヤに対する強い老化因子となり、BELが生じやすくなると考えた。 つまり、一定の老化条件に保持された環境で試験をするよりは、複数の老化サイクルに交互に暴露させる方が、実際の使用環境に於ける老化との相関性が高いと考えたのである。そのため、高温多湿な使用環境に於ける夜間の老化サイクルを湿熱サイクルとし、同環境に於ける昼間の老化サイクルを乾熱サイクルとして、両サイクルが交互に発現して老化を促進させる。即ち自動車用タイヤの老化促進試験において、湿熱サイクルと乾熱サイクルに交互に暴露させることを特徴とする試験方法である。 該老化試験方法を構成する湿熱サイクルは、温度60〜95℃、好ましくは70〜90℃であって、相対湿度70〜100%、好ましくは80〜100%に保持された恒温恒湿雰囲気に試料を投入し老化を促進させるサイクルである。かかる温度以下では十分な老化促進効果は得られず、またかかる温度以上はゴム組成に悪影響を及ぼす危険性が生じる。湿度については、湿度70%以下では老化促進効果が十分に得られない。 また、乾熱サイクルは、温度60〜95℃、好ましくは70〜90℃に保持された恒温雰囲気中に試料を投入し老化を促進させるサイクルである。かかる温度以上あるいは温度以下での効果は前述の湿熱サイクルと同様であり、実施の効果が十分に得られない。なお、湿度は調湿しないため、測定環境によって変動するが、室温から該サイクルを恒温槽などで得た場合は20%を越えることはなく、湿熱サイクルとは全く条件を別にする。 本願発明の老化サイクルは前記の熱帯雨林気候の使用地域の気温と湿度の日変動を参考に得られたものであるため、一日の夜間に相当する湿熱サイクルと一日の昼間に相当する乾熱サイクルが日に一回は必要となる。即ち、湿熱サイクルと乾熱サイクルが一日に少なくとも1回以上実施されることを特徴とする試験方法である。但し、実際の環境では熱帯性気候に特有のスコールなどの影響で気温と湿度の変化が多様に変化する可能性もあるので、両サイクルの繰り返し回数を2回以上実施することも可能である。 また、前記の湿熱サイクルと乾熱サイクルの繰り返しは、使用環境を予め想定して該環境の気温と湿度の実測値に従って繰り返しパターンを定めることができる。即ち、湿熱サイクルと乾熱サイクルの繰り返しパターンが使用地域の環境に合致していることを特徴とする試験方法である。熱帯雨林気候などでも地域によっては気温と湿度の変化は完全に同一とはならないので、使用環境を想定して両サイクルの繰り返し回数や両サイクルに保持する時間を定めることができる。 そのため、使用地域の環境の気温と湿度の変化を計測する必要がある。即ち、湿熱サイクルと乾熱サイクルの繰り返しパターンを得るために、熱帯雨林気候若しくは熱帯モンスーン気候の気温及び湿度の計測を行うことを特徴とする試験方法である。例えば、ある使用地域の環境が夜間が16時間、昼間が8時間である場合、かかる使用地域の環境における老化促進をするには湿熱サイクル16時間、次いで乾熱サイクル8時間を交互に繰り返す手段を取ることができる。かかる夜間と昼間の境界は一義的に定まるものではないが、気温と湿度の実測値において、境界値を定めて昼夜を判断する。かかる試験条件の設定によって、自動車用タイヤを実際に使用する環境に即した老化試験が可能となる。 さらに、該老化試験は主に耐BEL性を評価することを目的とするが、これ以外の評価方法が実施し得ないという意味ではない。たとえば、熱帯雨林気候若しくは熱帯モンスーン気候におけるタイヤのBEL以外の老化状態を得るという目的でも利用できる。よって、耐BEL性とは直接関係しないJIS K6301やJIS D4230の剥離強度以外の試験に供することも可能である。即ち、老化促進試験により得られた自動車用タイヤに対して、タイヤの特性を測定することにより、老化がタイヤ特性へ及ぼす影響を調査することを特徴とする試験方法である。かかる手段によって、BELと間接的に関係する走行安定性なども評価でき、耐BEL性を多面的に評価できる。 とはいえ、耐BEL性を評価する手段として最も直接的な方法は、剥離が生じるブレーカー若しくはベルト、またはエッジバンドの剥離強度を測定する手段である。即ち、タイヤの特性の測定が、積層された複数のブレーカー間、積層された複数のベルト間、ブレーカーとエッジバンド間若しくはベルトとエッジバンド間の剥離強度の測定であることを特徴とする試験方法である。かかる手段により剥離強度という指標に従って、耐BEL性を直接的に評価できる。 本願発明の試験方法を実施することで、従来より用いられてきた老化試験条件に比べて、熱帯雨林気候若しくは熱帯モンスーン気候にある地域の使用環境における実走行に極めて近い老化促進が可能となる。さらに、老化試験方法を構成する乾熱サイクルと湿熱サイクルの時間配分を任意に変更することで、熱帯雨林気候若しくは熱帯モンスーン気候にある使用地域における実走行による老化を、人工的に再現することが可能となる。加えて、老化促進させた自動車用タイヤを主に剥離が生じるブレーカー若しくはベルト、またはエッジバンドの剥離強度を測定することで、耐BEL性を従来より短時間で評価できる。 以下、添付した図を用いて本願発明の実施形態を説明する。各図において、同一の構成要素については同一の符号を付し、重複した説明は省略する。 図1は熱帯雨林気候に属するタイの気温と湿度の一日の変化を示す。図1より、昼夜を通して気温の変化は大きくないが、湿度は60〜98%の範囲で大きく変化していることが分かる。特に、日差しの高くなる午前9時頃から午後の18時頃までは湿度が80%以下となり、夜間に比べて低湿度になる。従って、この場合では午前9時から午後18時までの図1に示すbの時間帯で乾熱サイクル、午前9時以前のaの時間帯と午後18時以降のcの時間帯で湿熱サイクルに当てはめて該老化試験方法を実施することができる。つまり、自動車用タイヤの老化促進試験において、湿熱サイクルと乾熱サイクルに交互に暴露させることを特徴とする試験方法である。 なお、図1からも分かるように、低湿度と高湿度は常に日に1回は生じるが、老化の促進を急速に行いたい場合やスコールのような湿度と気温の関係を逆転させる現象が起こりやすい地域では、かかるサイクルの繰り返し回数を2回以上にした方が良い場合もある。いずれにせよ本願発明の試験方法の実施形態としては、前記の湿熱サイクルと乾熱サイクルが一日に少なくとも1回以上実施されることになる。なお、繰り返し回数が多くなり過ぎると各サイクルの保持時間が低下し、老化の促進効果自体が損なわれるおそれがある。これらを防止するために、湿熱サイクルと乾熱サイクルの各サイクルに対して最低3時間は保持時間を取る方が好ましい。 また、前記のように、自動車用タイヤを使用する地域の環境を図1の様に予め計測することで、湿熱サイクルと乾熱サイクルの繰り返しパターンが使用地域の環境に合致していることを特徴とする試験方法を得ることができる。さらに自動車用タイヤの使用地域として熱帯モンスーン気候の如く季節は有するが、高温多湿であることを特徴とする地域にたいしても気温と湿度の実際に計測をすることで、該老化試験方法を実施することができる。例えば、雨期の高温多湿環境と乾期の高温低湿環境をそれぞれ実測し、該試験方法による老化サイクルと従来の乾熱サイクルを組み合わせるか、該試験方法による老化サイクルを断続的に実施する方法などをとることができる。 前記の湿熱サイクルと乾熱サイクルは表1に示す試験条件で実施できる。湿熱サイクルは温度60〜95℃、好ましくは70〜95℃であって、相対湿度70〜100%、好ましくは80〜100%に保持された恒温恒湿雰囲気に暴露するサイクルであり、乾熱サイクルは温度60〜95℃、好ましくは70〜95℃に保持された恒温雰囲気中に暴露するサイクルである。両サイクルとも温度70℃以下では十分な老化促進効果は得られず、また温度100℃以上はゴム組成に悪影響を及ぼす危険性が生じる。湿度については、湿度70%以下では老化促進効果が十分に得られず、湿度100%以上は実施し得ない。 該老化試験方法に供するタイヤの断面図を図2に示す。図2はラジアルタイヤの例であるが、試験方法に供するタイヤはラジアルやバイアスを問わず如何なる自動車用タイヤでも可能である。図2のラジアルタイヤの断面図では、ビードプライ1の外側であって、トレッド部2にブレーカーがある。なお、図2はラジアルタイヤであるからブレーカーとのみ呼ぶが、本願発明に係る試験方法が評価対象とするBELは、ブレーカー3若しくは4とエッジバンド5の剥離、あるいは積層するブレーカー3と4間の剥離を示す。よって、試験に供する試料はこれらを含むタイヤより切り出した試料であっても、タイヤそのものであっても実施できる。タイヤの特性を測定することにより、老化がタイヤ特性へ及ぼす影響を調査することをも試験方法の特徴としているからである。 老化程度の評価は、老化促進試験により得られた自動車用タイヤに対して行うが、評価方法は耐BEL性の評価に直接的に関係すると考えられる剥離強度のみに限定されない。例えば、JIS K6301やJIS D4230に記載される評価方法も実施して、老化がタイヤに与える影響を調査することもできる。さらに、評価方法として高速耐久性能試験などを実施することで、主目的である耐BEL性を多面的に評価することができる。 さらに、耐BEL性を直接的に評価する為には積層された複数のブレーカー間、積層された複数のベルト間、ブレーカーとエッジバンド間若しくはベルトとエッジバンド間の剥離強度の測定を行うことができる。剥離強度の測定はJIS K6301に従い、25.0±0.5mm幅、100mm以上の試料片として測定ができる。 以下、本願発明の試験方法について、図4に示す実施例及び比較例を挙げて説明するが、本願発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例は全て図4の試験条件にて老化を促進させた。評価に用いた試験用タイヤは図2に断面を示すものと同様な195/65R15ラジアルタイヤである。老化試験条件に供する試験時間は1週間、2週間、3週間であるが、ブランクの実走行品は 3年間に亘り熱帯雨林気候の使用環境にて走行したものである。実施例及び比較例は各試験条件で老化促進したタイヤからブレーカーとエッジバンドを取り出し、剥離強度の測定とその評価により耐BEL性を判断した。図4のB/Bは積層する2枚のブレーカー(図2の符号3及び符号4に相当する。)の剥離強度であり、B/Eはブレーカーとエッジバンドの剥離強度である。剥離強度の測定はJIS K6301に規定されるゴムとゴム剥離強度測定方法に従って、25.0±0.5mm幅、100mm以上の試料片として測定を行った。耐BEL性の評価とは、実使用の測定値に比べ、実施例及び比較例が低い剥離強度であるか否かで判断した評価である。3段階評価として表現し、◎が良好、○が試験方法として利用可、×が試験としては不適合を表している。なお、かかる評価は図3に示す評価結果のグラフからも判断できる。図3は測定結果を、横軸にB/Bを、縦軸にB/Eをとり、示したものであり、剥離強度が低く原点に近い位置ほど剥離強度が低下し耐BEL性が低下していることを表す。図3のB/B間剥離強度90N/25mm以下であり、かつB/E間剥離強度130N/25mm以下の領域は、3週間老化させたの測定結果がかかる領域に含まれれば○あるいは◎であることを示し、これより剥離強度が大きい場合は×とした。なお、実使用の測定値を下回る強い老化促進効果が得られたものは◎とした。 上記の測定方法と評価結果に従い、実施例と比較例をそれぞれ以下に説明する。実施例1は、老化条件が乾熱サイクル及び湿熱サイクルとも設定温度60℃である。両サイクルの設定時間は図1の昼夜の時間比率に従って、乾熱サイクル9時間、湿熱サイクル15時間の繰り返しとした。 実施例1は比較例3に比べて両サイクルの設定温度が10℃高い。比較例3の3週間目の結果が図3で×の領域であるのに対し、実施例1は○の領域に含まれる。ただし、ブランクの実走行品ほどの剥離強度の低下は見られない。これらのことから、老化サイクルの設定温度としては60℃が設定温度の下限を示すことが分かる。 実施例2は両サイクルの設定温度が80℃で、湿熱サイクルの設定湿度が70%となっている。比較例4より設定湿度が10%高く、比較例4の3週間目の結果が図3で×の領域であるのに対し、実施例2は○の領域に含まれる。ただし、ブランクの実走行品ほどの剥離強度の低下は見られない。これらのことから、湿熱サイクルの設定湿度としては70%が設定湿度の下限を示すことが分かる。 実施例3は両サイクルの設定温度が80℃で、湿熱サイクルの設定湿度が80%である。実施例1及び2に比べて、剥離強度の低下が激しく、強い老化促進を受けていることが分かる。これらのことから、両サイクルの設定温度が80℃を越え、かつ湿熱サイクルの設定湿度が80%を越える試験条件では、3年間に亘り実際に熱帯雨林気候の地域を走行した場合の老化程度を凌ぐ老化促進効果が3週間で得られることが分かる。比較例1 比較例1は乾熱サイクルのみで構成される従来の老化サイクルである。3週間目の結果は、図3で×の領域にあり、老化促進効果は不十分である。比較例2 比較例2は湿熱サイクルのみで構成される従来の老化サイクルである。3週間目の結果は、図3で×の領域にあり、老化促進効果は不十分である。比較例3 比較例3は、湿熱サイクルと乾熱サイクルの設定温度が50℃と低く、やはり3週間目の結果は、図3の×の領域にあり、老化促進効果は不十分である。比較例4 比較例4は、湿熱サイクルの設定湿度が60%と低く、やはり3週間目の結果は、図3の×の領域にあり、老化促進効果は不十分である。 該試験方法は、自動車用タイヤの高温多湿な熱帯雨林気候若しくは熱帯モンスーン気候における老化促進方法として利用できるが、かかる老化条件はその他の自動車用部材、産業機器、運輸車両の部材などのゴムまたはゴムを含む製品の老化試験としても利用できる。また、老化試験後に剥離強度測定以外の測定方法を利用することで、ゴム及びゴム製品の劣化耐久性試験としても転用可能である。図1は熱帯雨林気候に属する地域での一日の気温と湿度の変化を示したものである。図2は自動車用タイヤ195/65R15ラジアルタイヤの断面を示す図である。図3は実施例と比較例に従って老化させたタイヤより切り出した試料の剥離強度測定結果を示す図である。図4は実施例及び比較例の老化条件と、その剥離強度測定結果を示したものである。 自動車用タイヤの老化促進試験において、湿熱サイクルと乾熱サイクルへ交互に暴露させることを特徴とする自動車用タイヤの老化試験方法。 前記の湿熱サイクルと乾熱サイクルが1日に少なくとも1回以上実施されることを特徴とする請求項1記載の自動車用タイヤの老化試験方法。 前記の湿熱サイクルと乾熱サイクルの繰り返しパターンが使用地域の環境に合致していることを特徴とする請求項1又は2記載の自動車用タイヤの老化試験方法。 前記の湿熱サイクルと乾熱サイクルの繰り返しパターンを得るために、熱帯雨林気候若しくは熱帯モンスーン気候の気温及び湿度の計測を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の自動車用タイヤの老化試験方法。 前記の老化促進試験により得られた自動車用タイヤに対して、タイヤの特性を測定することにより、老化がタイヤ特性へ及ぼす影響を調査することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の自動車用タイヤの老化試験方法。 前記のタイヤの特性の測定が、積層された複数のブレーカー間、積層された複数のベルト間、ブレーカーとエッジバンド間若しくはベルトとエッジバンド間の剥離強度の測定であって、かかる剥離強度の測定により耐BEL性を評価することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の自動車用タイヤの老化試験方法。 【課題】本発明は、主に自動車用タイヤの耐BEL性を評価するため、熱帯雨林気候に代表される高温多湿な使用環境での実走行に相当する経時劣化を、短時間で得ることができる耐久性試験方法に関するものである。【解決手段】自動車用タイヤの老化促進試験において、湿熱サイクルと乾熱サイクルに交互に暴露させることを特徴とする試験方法により目的を達成する。【選択図】図4