生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_湿疹・皮膚炎群の予防治療剤
出願番号:2003330408
年次:2005
IPC分類:7,A61K35/78,A61K7/00,A61K7/50,A61P17/00,A61P29/00,A61P37/08


特許情報キャッシュ

杉山 政則 白井 敬司 JP 2005015456 公開特許公報(A) 20050120 2003330408 20030922 湿疹・皮膚炎群の予防治療剤 中国醸造株式会社 599043954 杉山 政則 503205643 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 浅野 康隆 100089048 的場 ひろみ 100101317 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 杉山 政則 白井 敬司 JP 2003160383 20030605 7A61K35/78A61K7/00A61K7/50A61P17/00A61P29/00A61P37/08 JPA61K35/78 UA61K35/78 CA61K7/00 KA61K7/50A61P17/00A61P29/00A61P37/08 3 OL 11 4C083 4C088 4C083AA031 4C083AA032 4C083AA111 4C083AA112 4C083CC25 4C083DD17 4C083EE12 4C083EE13 4C083FF01 4C088AB45 4C088AC04 4C088AC05 4C088CA15 4C088CA25 4C088MA07 4C088NA14 4C088ZA89 4C088ZB11 4C088ZB13 本発明は、酒粕又は焼酎蒸留残渣等を有効成分とする湿疹・皮膚炎群の予防又は治療剤に関する。 湿疹・皮膚炎群は、皮膚疾患患者の1/3以上にみられる多発する疾患である。病理組織学的には表皮に海綿状態、表皮肥厚、不全角化、表皮内への炎症細胞の浸潤等が認められ、臨床的には、紅斑、丘疹、水疱、膿疱、掻痒を呈し、急性・亜急性・慢性の経過をとり、慢性化すると苔癬化を示すことが多い。 現在、湿疹・皮膚炎群として分類される皮膚疾患には、急性、亜急性又は慢性の尋常性湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、貨幣状湿疹、自家感作性皮膚炎、ビダール苔癬、異汗症性皮膚炎、剥離性皮膚炎、日光皮膚炎、口囲皮膚炎、おむつ皮膚炎、脂漏性皮膚炎、主婦湿疹、皮脂欠乏性湿疹等が挙げられる。 湿疹・皮膚炎群の発症は、アレルギー、遺伝的素因、食品、医薬品、化学物質、環境因子、物理的な刺激、光線等、様々な要因が考えられているが、明らかでないものも多い。 斯かる皮膚疾患の予防又は治療には、従来から、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、ケミカルメディエーター遊離抑制剤、免疫抑制剤、抗真菌薬、尿素、保湿剤等の薬剤が使用されているが、その効果は必ずしも充分とはいえず、接触皮膚炎である主婦湿疹等のように、決め手となる治療法が無いものもある。 また、上記薬剤には様々な副作用が認められる場合が多くあり、長期にわたって連用するには安全性に問題がある。従って、真に有効で、かつ長期にわたって連用しても安全性の高い、いわゆるヒトに優しい湿疹・皮膚炎群の予防・治療薬の開発が望まれているところである。 一方、白米を原料とした清酒や焼酎製造の副産物である酒粕や焼酎蒸留残渣は、粕汁、粕漬等に応用されているが残りは廃棄処分されているのが現状である。従って、その用途開発が重要課題の一つとなっており、これまでに、酒粕にスーパーオキシドアニオン消去作用(例えば、特許文献1参照)、アポトーシス誘導作用(例えば、特許文献2参照)、抗メラニン作用(例えば、特許文献3、特許文献4参照)等の薬理作用があり、医薬品、化粧品等への応用が報告されている。 しかしながら、酒粕に湿疹・皮膚炎群に対して予防・治療効果があることはこれまでに知られていない。特開2002−284632号公報特開2001−58953号公報特開平11−196849号公報特開平11−79934号公報 本発明は、湿疹・皮膚炎群に対して、優れた予防・治療効果を示し、且つ副作用が少なく安全性が高く、医薬品、化粧品、飲食品等として有用な素材を提供することを目的とする。 本発明者らは、酒造り職人である杜氏の人達の手が若々しく健康的であることに着目し、白米を原料とする酒粕等の持つ効果について鋭意研究を続けた結果、酒粕若しくは焼酎蒸留残渣が湿疹・皮膚炎群に対して優れた予防・治療効果を有し、当該皮膚疾患の予防又は治療のための医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の素材として有用であることを見出し、本発明を完成した。 すなわち本発明は、酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物を有効成分とする湿疹・皮膚炎群の予防又は治療剤を提供するものである。 本発明によれば、湿疹・皮膚炎群に対して、優れた予防・治療効果を示し、且つ副作用が少なく安全性が高い、医薬品、化粧品、飲食品等を提供することができる。また、廃棄物となっている酒粕等の有効利用が図れる。 本発明における「酒粕」とは、「もろみ」から清酒を搾り取った後の残りかすをいう。すなわち、酵母を大量に培養した酒母に蒸米と麹を加えて、約3週間アルコール発酵を行って、発酵産物である「熟成もろみ」とし、これより清酒を搾った残りが酒粕である。尚、発酵は、通常、米と麹を3回に分けて仕込むことにより(添仕込み、仲仕込み、留仕込み)、発酵過程が調節される。 「焼酎蒸留残渣」とは、麹に水と酵母を加えて1週間程度仕込んで一次もろみ(清酒工程の酒母に相当)とした後、米、麦、栗、そば、黒糖、とうもろこし等の穀類や山芋、甘藷等の芋類等を加えて約2週間アルコール発酵を行って、二次もろみを造り、これを蒸留して焼酎を得た残りの残渣である。 斯かる酒粕には、40%程度の水分と8〜10%程度のアルコール分の他、繊維質、澱粉、蛋白質、ビタミン類等が含まれる。但し、精米した米を原料とすることから、米糠、胚芽等は除去されており、それらに特有の成分は含まれていない。一方、焼酎蒸留残渣は、焼酎もろみを蒸留してアルコ−ル分を除いたもので、液状でアルコ−ル分はほとんど無く(1%以下)、栄養的には、酒粕とほとんど同様なものである。斯かる焼酎蒸留残渣としては、特に米、麦等の穀類焼酎蒸留残渣が好ましい。 本発明においては、斯かる酒粕や焼酎蒸留残渣をそのまま使用することもできるが、それらの抽出物を使用することもできる。 酒粕や焼酎蒸留残渣をそのまま用いる場合、それらは多くの水分を含むことから腐敗を防止するためにも、充分に乾燥させたものを使用するのが好ましい。乾燥手段は、特に限定されるものではなく、凍結乾燥法、熱風乾燥法、マイクロ波乾燥法、噴霧乾燥法、遠赤外線放射乾燥法等の公知の方法によって行えばよい。 更に、酒粕や焼酎蒸留残渣は、有効成分の溶出を速めて薬理効果を高める点及び肌触りや食感を向上させる点から、微細均一化粉末とするのが好ましい。特に、その粒径を100μm以下とするのが好ましく、ナノテクロロジー技術を用いてさらに微細加工するのがより好ましい。斯かる微細化には、ロッドミル、ボールミル、ジェットミル等を始めとする粉砕機を用いればよい。 酒粕又は焼酎蒸留残渣の抽出物は、酒粕又は焼酎蒸留残渣を乾燥又は乾燥することなく、常温下又は加温下で適当な溶剤で抽出することにより得ることができる。なお、本発明の酒粕又は焼酎蒸留残渣の抽出物には、各種溶剤抽出液又はその希釈液、濃縮液もしくは乾燥末が包含される。 上記抽出物を得るために用いられる抽出溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができ、これらを混合して用いることもできる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;酢酸エチル等のエステル類;n−ヘキサン等の炭化水素類;クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類が挙げられ、このうち、水、アルコール類、水−アルコール混液が好ましく、特に水、エタノール、水−エタノール混液、中でも15〜75%の水−エタノール混液(vol/vol)を用いるのが好ましい。 抽出条件は、使用する溶媒によっても異なるが、例えば水、アルコール類、水−アルコール混液又は酢酸エチル等により抽出する場合、酒粕又は焼酎蒸留残渣1重量部に対して1〜10重量部の溶剤を用い、4〜40℃、好ましくは20〜30℃の温度で、1〜5日間、特に1日間抽出するのが好ましい。 上記の抽出物は、そのまま用いることもできるが、当該抽出物を希釈、濃縮若しくは凍結乾燥した後、必要に応じて粉末又はペースト状に調製して用いることもできる。また、上記抽出物から不活性な夾雑物を除去して用いることもでき、さらに必要により、公知の方法で脱臭、脱色等の処理を施してから用いてもよい。 本発明の酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物は、後記実施例で示すとおり、マウス接触皮膚炎に対して、酪酸クロベタゾンと比べて、遙かに優れた改善効果を示す(図1、図2)。従って、酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物は、医薬品、医薬部外品、化粧品等として使用可能な湿疹・皮膚炎群の予防又は治療剤となり得る。 ここで、湿疹・皮膚炎群としては、急性、亜急性又は慢性の尋常性湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、貨幣状湿疹、自家感作性皮膚炎、ビダール苔癬、異汗症性皮膚炎、剥離性皮膚炎、日光皮膚炎、口囲皮膚炎、おむつ皮膚炎、脂漏性皮膚炎、主婦湿疹、皮脂欠乏性湿疹等の皮膚疾患群をいう。 医薬品、医薬部外品、化粧品の形態は、特に限定されるものではなく、経口投与剤としては、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、粉末剤等の固形製剤、シロップ剤、エリキシル剤等の液状製剤が挙げられ、非経口投与剤としては、軟膏、クリーム、パップ剤、リニメント剤、ローション剤等の皮膚外用剤や、注射剤、坐剤、油/水型、水/油型の乳化化粧料、化粧乳液、化粧水、油性化粧料、パック剤、ファンデーション、入浴剤、エアゾール、シャンプー、リンス等が挙げられる。 当該湿疹・皮膚炎群の予防又は治療剤における有効成分の含有量は、添加形態及び投与形態によっても異なるが、広い範囲から選択できる。例えば、外用剤の場合には、乾燥物換算で、組成物中に0.1重量%以上、特に1〜5重量%とするのが好ましく、経口剤の場合には、乾燥物換算で、成人1日あたり10〜100mgとするのが好ましいが、当該湿疹・皮膚炎群の予防又は治療剤を調製する際の基剤の種類によって、適宜、その含有量を変えてもよい。 本発明の湿疹・皮膚炎群の予防又は治療剤は、酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物のほかに、保湿剤、抗酸化剤、抗菌剤、抗アレルギー剤等の各種薬効成分、茶、紫蘇、月見草、タンポポ、柿葉、よもぎ、柑橘類等の天然物の抽出成分等を添加することにより、湿疹・皮膚炎群の改善効果の向上を図ることができる。 特に茶又はその抽出物は、保湿作用、抗酸化作用、抗菌作用、抗アレルギー作用等の薬理作用のあることが知られており、これを配合することは湿疹・皮膚炎群の予防治療効果を高める点で有効である(実施例2及び3)。 ここでいう茶の種類は、緑茶、ウーロン茶(半発酵茶)、紅茶(完全発酵茶)のいずれでもよく、茶抽出物には当該茶の葉、葉柄、小枝、樹皮等を常温下又は加温下で適当な溶剤で抽出した各種溶剤抽出液又はその希釈液、濃縮液もしくは乾燥末が含まれる。 また、茶を配合することにより、酒粕等が有する特有の香りをほぼ完全にマスクすることができ、特に入浴剤の形態で用いる場合には、酒粕の臭いに嫌悪感をいだく人であっても問題なく使用できようになる(実施例3)。 茶を配合する場合、その配合量は用途や剤形に応じて適宜調整すればよく、酒粕等と茶の重量比が例えば1:9〜9:1の範囲で配合可能であるが、湿疹・皮膚炎群の予防・治療効果の点から6:4〜4:6とするのが好ましい。また、上記入浴剤とする場合は、マスキング効果の点から、酒粕等と茶の比を9:1〜5:5とするのが好ましく、特に9:1〜6:4とするのが好ましい。 尚、本発明の酒粕若しくは焼酎蒸留残渣等と茶を配合して湿疹・皮膚炎群の予防又は治療のための医薬品、化粧品等、特に入浴剤とする場合は、先に述べたように、酒粕等と茶をそれぞれ微細化粉末とし、混和して調製するのが好ましい。また、この微細化粉末は、定法に従ってカプセル製剤、錠剤、丸剤、または顆粒剤に成型してもよく、天然色素等で着色してもよい。 上記製剤には、医薬品や化粧品成分として一般に使用されている油分、水性成分、界面活性剤、可溶化剤、増粘剤、アルコール類、キレート剤、粉末成分、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、顔料、色素、香料等を任意に組合わせて配合することができる。 酒粕や焼酎蒸留残渣は多くのアミノ酸やペプチド等を含むことから、本発明の湿疹・皮膚炎群の予防又は治療剤は、湿疹・皮膚炎群の予防効果を発揮する健康食品、保健機能食品等の飲食品とすることができる。斯かる飲食品としては、例えば、ビスケット類、チョコレート類、キャンデー類、チューインガム類、スナック菓子類、油菓類、アイスクリーム類、ゼリー菓子等の菓子、パン類、めん類、豆腐等の大豆加工品、ヨーグルト、バター等の乳製品、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、ふりかけ等の調味料、発酵乳、ケフィア、果汁飲料、スープ等が挙げられる実施例1(1)皮膚炎発症マウスの作製および処置 Crj:CD−1(ICR)の6週齢マウス(日本チャールス・リバー)を8:00〜20:00を明期とする12時間明暗サイクルで、市販の固形食を自由摂取、自由飲水させた。1週間の予備飼育後、腹部の毛を刈り、翌日、7%ピクリルクロライド/アセトン溶液を腹部に塗布して感作させた。感作6日後に1%ピクリルクロライド/アセトン溶液を左耳介に塗布して皮膚炎を誘発させた。 誘発2時間後に、酒粕の凍結乾燥物の25%を混和したワセリン、キンダロン軟膏(前田薬品工業;0.05% 酪酸クロベタゾン)あるいはワセリンを塗布し(1群5匹)、続いて皮膚炎誘発24時間後にネンブタール麻酔下で解剖処理した。 耳介厚を測定後、耳の組織切片作製のため耳を切り落とし、ブアン(Bouin)液に浸けた。ひと晩以上放置した後、エタノール、ベンゼンに順次浸けることにより脱水した。脱水操作の終わった耳はパラフィンにて固定した。これを5マイクロメーターの厚さで薄切し、組織染色用の切片とした。(2)耳介厚の測定 耳介厚はデジマチックマイクロメーターにより測定し、肥厚分(△耳介厚)を比較した。結果を図1に示す。 非塗布群の△耳介厚は0.216mm±0.030mm、ポジティブコントロールの市販薬(キンダロン軟膏)塗布群では0.039mm±0.040mm、ワセリンのみで0.077mm±0.037mmであったのに対し、25%酒粕軟膏塗布群では0.004mm±0.032mmであり、これは酒粕に抗炎症作用のあることを示すものである(図1)。(3)耳介組織所見 常法に従い、組織切片のヘマトキシリン・エオシン染色を行った。顕微鏡写真を図2に示す。 正常な耳介(非感作群)では、皮膚の層構造(表皮、真皮、皮下組織)および脂腺の構造がはっきりみられるが(2−a)、皮膚炎を起こすとこの基本となる2つの構造が崩壊し、好中球が多くなっていた。また、部位によってはマクロファージの浸潤やアポトーシス小体も観察され、組織学的にもひどい炎症を起こしていた(2−b)。これに対して、ワセリンを塗布したマウスの耳介では、やや改善される傾向がみられ(2−c)、さらに酒粕を加えることで、皮膚や脂腺の構造が正常に戻りつつあることが観測され、炎症細胞の数も少なくなっていた(2−d)。市販薬(キンダロン軟膏)を塗布したマウスでも皮膚炎は改善されていた(2−e)。 組織学的にみると、ワセリンに酒粕を混ぜて塗ったマウスの皮膚炎が、最も改善されており、酒粕中に抗炎症作用を有する成分が含まれていることが示唆された。この結果は、耳介厚の測定結果と一致するものである。(4)肥満細胞 アレルギー症状は肥満細胞(mast cell)が細胞外へ放出した生理活性物質により亢進される。アルデヒドフクシン染色法を用いて肥満細胞数を測定した。顕微鏡写真を図3に示す。 皮膚炎を発症していない正常のラットには肥満細胞は認められないが(3−a)、皮膚炎を起こした組織中には多くの肥満細胞が認められた(3−b)。この条件を用いて酒粕による肥満細胞の減少量を調べた結果、酒粕の塗布により肥満細胞が完全に見られなくなった(3−c)。一方、ワセリンのみ(3−d)、あるいは市販薬(キンダロン軟膏)を塗布した場合には(3−e)、肥満細胞の減少はごくわずかであった。 以上より、酒粕のアレルギー症状に対する有効性が組織学的に証明された。実施例2 主婦湿疹に対する治療効果 主婦湿疹とは、接触皮膚炎の一つであり、家事で洗剤や石鹸を使う為に皮膚表面の脂分が奪われて保護膜がなくなったために起きる病気で、手荒れやかぶれに悩む患者も非常に多い。そこで、主婦湿疹患者に凍結乾燥した酒粕粉末と茶葉粉末を混合したものを使用してもらった。すなわち、凍結乾燥させた酒粕粉末10g、あるいは凍結乾燥させた酒粕粉末5gと緑茶5gを混和したものを主婦湿疹に悩む20代〜50代の女性20名を対象に、就寝前に湯をはった洗面器の中で手にこすりつけてよくもみ、経過を観察した。その結果、表1に示すとおり、いずれもの場合にも明らかな湿疹改善効果が認められ、酒粕と緑茶を併用した場合にはより優れた効果が得られた。実施例3 入浴剤の調製(1)処方 凍結乾燥させた酒粕粉末7gと緑茶1gとを混和し不織布製の袋に詰めたもの、及び酒粕粉末のみを不織布製の袋に詰めたものをそれぞれ1パックとし、入浴剤を調製した。(2)上記入浴剤1パックを風呂(200リットル)に投入し、20代から70代の女性19名を対象にその使用感(保湿効果、保温効果、匂い)を調査した。 その結果、酒粕粉末のみを配合した入浴剤は、保湿効果については非常にある(37%)、少しある(52%)、保温効果については非常にある(47%)、少しある(36%)の回答を得た。一方、匂いについては、酒粕粉末のみを配合した入浴剤が、酒粕の匂いについて非常に気になると少し気になるとを合わせると56%であったのに対して、酒粕粉末と緑茶を配合した入浴剤は、少し気になるが39%であり、非常に気になると回答した人はいなかった。図1は、皮膚炎誘発24時間後の左耳腫脹度を示す図である。図2は、皮膚炎を発症した組織の顕微鏡写真(ヘマトキシリン・エオシン染色)である。図3は、皮膚炎を発症した組織の顕微鏡写真(アルデヒドフクシン染色)である。 酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物を有効成分とする湿疹・皮膚炎群の予防又は治療剤。 更に、茶又はその抽出物を含有するものである請求項1記載の予防又は治療剤。 湿疹・皮膚炎群がアトピー性皮膚炎又は接触皮膚炎である請求項1又は2記載の予防又は治療剤。 【課題】 湿疹・皮膚炎群に対して、優れた予防・治療効果を示し、且つ副作用が少なく安全性が高く、医薬品、化粧品、飲食品等として有用な素材を提供する。 【解決手段】 酒粕若しくは焼酎蒸留残渣又はそれらの抽出物を有効成分とする湿疹・皮膚炎群の予防又は治療剤。【選択図】 なし


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