生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレート
出願番号:2003324065
年次:2005
IPC分類:7,C07C69/54,C08F20/20


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神蔵 肇 鯨 勝文 大橋 智則 JP 2005089359 公開特許公報(A) 20050407 2003324065 20030917 [4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレート 日本化成株式会社 000230652 岡田 数彦 100097928 神蔵 肇 鯨 勝文 大橋 智則 7C07C69/54C08F20/20 JPC07C69/54 ZC08F20/20 3 OL 8 4H006 4J100 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB46 4H006AB99 4H006BC37 4H006BJ20 4H006BN10 4H006KE00 4J100AL08P 4J100AL66Q 4J100BA03P 4J100BC04P 4J100BC04Q 4J100CA01 4J100CA03 4J100JA01 本発明は、[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレートに関し、詳しくは、塗料などの原料として有用な高純度[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレートに関する。 [4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレート(以下「モノアクリレート」と略記する)は、アクリル酸またはアクリル酸エステルと1,4−シクロヘキサンジメタノールとを反応させて製造される。斯かる製造方法においては、反応条件によりシクロヘキサンジメタノールジアクリレート(以下「ジアクリレート」と略記する)が副生する。また、未反応の1,4−シクロヘキサンジメタノールが残存する。そして、これらは、製品としてのモノアクリレートに混入することがある。 塗料用に最適なアクリル系共重合体として、モノアクリレートと共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体が提案されている。再公表公報(国際公開番号:WO95/35334) ところで、モノアクリレートを使用して塗料などを製造しようとした場合、柔軟性が低く、耐擦り傷性の低下や樹脂の物性を著しく低下した塗料などしか得られないという問題がある。また、架橋剤として、カルボン酸または酸無水物を添加し、主成分であるモノアクリレートと反応させる際に、架橋効率が低下し、耐候性低下など、樹脂の物性に悪影響を及ぼすという問題がある。 前記のアクリル系共重合体の提案では、モノアクリレートの上記の様な問題については何ら言及されておらず、モノアクリレートの精製や不純物に関する言及もない。 本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、原料として使用した場合、最終目的物が目標とする物性が得られなかったり、耐擦り傷性・耐候性低下などの不具合を起こすことのない、モノアクリレートを提供することにある。 本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、モノアクリレート中の特定の不純物含有量を一定量以下に減らすことにより、純度が高いというだけでなく、最終目的物の柔軟性、耐擦り傷性、耐候性が改善されるとの知見を得、本発明の完成に至った。 すなわち、本発明の第1の要旨は、下記構造式(II)で表されるシクロヘキサンジメタノールジアクリレートの含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする下記構造式(I)で表される[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレートに存する。 そして、本発明の第2の要旨は、下記構造式(III)で表されるシクロヘキサンジメタノールの含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする前記構造式(I)で表される[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレートに存する。 以下、本発明を詳細に説明する。本発明のモノアクリレートは、ジアクリレートの含有量が0.5量%以下、好ましくは0.3質量%以下、または、シクロヘキサンジメタノールの含有量が0.5量%以下、好ましくは0.3質量%以下であることを特徴とする。上記の各含有量を超える場合は、本発明の目的を達成することが出来ない。 ジアクリレートの含有量が本発明で規定する範囲より大きい場合に最終目的物が目標物性を達成することが出来ない理由は次の様に推定される。すなわち、ジアクリレートが多いと、両末端のアクリレートがポリマー主鎖と反応し、その部分では架橋できなくなってしまう。その結果、最終目的物の物性に影響を及ぼすと考えられる。 また、シクロヘキサンジメタノールの含有量が本発明で規定する範囲より大きい場合に最終目的物が目標物性を達成することが出来ない理由は次の様に推定される。すなわち、通常、架橋剤としてカルボン酸または酸無水物を添加し、主成分であるモノアクリレートと反応させるが、シクロヘキサンジメタノールも同様に反応して架橋効率が低下する。その結果、耐候性が低下し樹脂物性に悪影響を及ぼすと考えられる。 ジアクリレート及びシクロヘキサンジメタノールの含有量の測定は、以下の表1に記載の条件によりガスクロマトグラフィーで行う。 本発明で採用されるモノアクリレートの製造方法は、主として、反応工程、ジアクリレート分離工程、シクロヘキサンジメタノール分離工程、モノアクリレート回収工程からなる。 反応は、従来公知の方法と同様に、シクロヘキサンジメタノールとアクリル酸エステルとのエステル交換反応、または、シクロヘキサンジメタノールのアクリル酸による直接エステル化反応が好適に採用される。 上記の反応は、公知の反応条件で行うことが出来る。具体的には、シクロヘキサンジメタノールに対し、通常0.1〜10倍モル、好ましくは0.5〜5倍モルのアクリル酸エステル又はアクリル酸を使用する。ここで、使用するアクリル酸エステルとしては、生成するアルコールを系外に留去する必要があることより、沸点の関係からアクリル酸メチル又はエチルエステルが好ましい。 また、以下に述べる抽出操作に於いて、各相へ除去されたジアクリレート、シクロヘキサンジメタノール及び同時に分配されたモノアクリレート、スタノキサン触媒を反応時にリサイクル使用することも可能である。 触媒としては、主として、エステル交換反応ではスタノキサン触媒、チタンアルコキシド等を、直接エステル化法では、濃硫酸などの無機酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸、酸性イオン交換樹脂などの固体酸が使用される。 生成する水およびアルコールを共沸により系外に留去する目的で使用する溶媒としては、次工程のジアクリレートの抽出とも関連し、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素が好ましい。溶媒は、反応の初期からの一括仕込み、逐次添加などの方法により反応系内に導入される。一方、大過剰のアクリル酸エステルの使用により、共沸によってアルコールを反応系外に留去することも可能である。 また、アクリル酸エステルの仕込みモル比により、反応液組成は変化し、過剰に使用した場合は、ジアクリレート濃度が高くなる。逆に、少なくするとジアクリレート濃度は低く抑えられるが、未反応シクロヘキサンジメタノール濃度が高くなる。また、最適仕込み範囲での、モノアクリレート濃度は、約50質量%程度である。 反応温度は、通常70〜150℃、好ましくは80〜110℃であり、反応時間は通常1〜20時間であるが、原料や生成物の熱安定性の問題から10時間以内が好ましい。反応終点は、所定量の水またはアルコールが留出されたことによって確認することが出来る。その手段としては、ガスクロマトグラフィー等を使用することが出来、また、水の場合には目視で確認することも出来る。更に、反応終点は共沸温度でも確認することが出来る。 反応系内には重合防止剤を添加することも出来る。重合防止剤としては、一般によく知られているフェノチアジン系、ハイドロキノン系などが使用される。また、反応系内に微量の酸素を導入することは重合抑制の観点から好ましい。 ジアクリレート及びシクロヘキサンジメタノールの分離は、反応後液から水存在下の非水溶性有機溶媒による抽出処理で行う。また、反応液組成および抽出温度条件によっては、抽出前にジアクリレートの一部が析出する場合があるが、その際は、結晶を濾過等の方法で予め除去する。このジアクリレート結晶は、後の抽出により除去されたジアクリレート及びシクロヘキサンジメタノールと共に回収し、リサイクル使用が可能である。 本発明での抽出は、工業的な優位性を考え、連続抽出で行うのが好ましい。特に、カールカラムを使用した連続抽出方法が推奨される。この場合、目的成分であるモノアクリレートの抽出率を高く保ち且つ二種の不純物(ジアクリレート及びシクロヘキサンジメタノール)を除去するため、抽出は二段階に分けて行う。例えば、第一段目抽出では有機溶媒相へジアクリレートを抽出除去し、第二段目抽出では第一段目水相から有機溶媒相へモノアクリレートを抽出し、シクロヘキサンジメタノールと分離する。この際の非水溶性有機溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、N-ヘキサン、N-ヘプタン等の鎖状飽和炭化水素類などが挙げられる。これらの中では、第一段目はヘキサン、第二段目はトルエンが好ましい。 また、第一段目に有機溶媒へ抽出されるモノアクリレート量を抑える目的で、水にメタノールを加える方法も有効である。水・メタノール混合液はモノアクリレートに対して質量比で0.5〜10倍量使用し、メタノール濃度は水に対して10〜60質量%である。これよりも多いと分離性が悪化する。 第一段目のヘキサン量はモノアクリレートに対し、質量比で1〜15倍量使用する。これより少ないと、モノアクリレートに引きずられる形でジアクリレートが水(及びメタノール)相に混入し、抽出効率が低下する。また、これ以上多くすることは製造コストの増加につながる。 同様に、第二段目のトルエン量はモノアクリレートに対し、質量比で1〜15倍量使用する。これより少ないとシクロヘキサンジメタノールに引きずられる形でモノアクリレートが水(及びメタノール)相に混入し、抽出効率が低下する。また、これ以上多くすることは製造コストの増加につながる。 有機溶媒相からのモノアクリレートの取得は、有機溶媒を減圧留去などの方法により除去することによって行う。これによってジアクリレート及びシクロヘキサンジメタノール含有量が低減されたモノアクリレートを得ることが出来る。回収された有機溶媒は、再び、ジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールの抽出除去に使用できる。ジアクリレート、シクロヘキサンジメタノール以外の不純物含有量を削減する方法として、蒸留をすることは有効であるが、主成分であるモノアクリレートは、他のアクリレートと同様、熱的に不安定であるため、蒸留時の組成変化により、ジアクリレート、シクロヘキサンジメタノール含有量を増加させない様に配慮する必要がある。 上記の様に製造された、ジアクリレート及び/又はシクロヘキサンジメタノール含有量が低減化された本発明のモノアクリレートは、自動車用塗料や情報技術関連に使用される感光性樹脂に使用した場合、通常品を使用した場合に比し、得られる最終製品の物性は格段に向上する。特に、自動車用トップコート等の改質剤として耐擦り傷性向上、耐候性向上などのために好適に使用される。 本発明によれば、原料として使用した場合、最終目的物中に不純物が発生したり、所望の物性が得られなかったり等の様々の問題を発生することのない、モノアクリレートが提供される。 以下、本発明を実施例より更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 反応器に、精留塔、温度測定管、空気導入管、触媒導入管を取り付け、精留塔には1/4(インチ)マクマホンを60cm充填した、20Lのステンレス製回分反応蒸留装置を使用し、以下の表2に記載の成分を仕込み、n−ヘキサンを添加し且つ反応蒸留により生成するメタノールをヘキサンと共に留去しながらエステル交換反応を行った。 上記で得られた反応液5.9kgに水5.9kgとメタノール3.0kgを撹拌しながら添加した。この際、添加初期より析出するジアクリレートは吸引濾過で分離した。分離後、濾液(水、メタノール、モノアクリレート、ジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールを含む)とn−ヘキサン15.7kgとを使用し、連続抽出塔にて液液抽出(抽出一段目)を行い、ヘキサン相にジアクリレートとジスタノキサン触媒を、水相にモノアクリレートと未反応のシクロヘキサンジメタノールを回収した。 次に、トルエン11.9kgと上記水相および上記水相とは別に水29.7kgを使用し、連続抽出塔にて液液抽出(抽出二段目)を行い、水相に未反応シクロヘキサンジメタノールを、トルエン相にモノアクリレートを回収した。引き続き、このトルエン相よりトルエンを減圧留去し、目的物であるモノアクリレートを2659g得た。また、単離収率は44.5%であり、ガスクロマトグラフィーによる組成は以下の表3に記載の通りであった。 下記構造式(II)で表されるシクロヘキサンジメタノールジアクリレートの含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする下記構造式(I)で表される[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレート。 下記構造式(III)で表されるシクロヘキサンジメタノールの含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする前記構造式(I)で表される[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレート。表面コート用原料に使用される請求項1又は2に記載の[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレート。 【課題】原料として使用した場合、最終目的物が目標とする物性が得られなかったり、耐擦り傷性・耐候性低下等の不具合を起こすことのない[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレートを提供する。【解決手段】下記構造式(II)で表されるシクロヘキサンジメタノールジアクリレートの含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする下記構造式(I)で表される[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレート。 【化1】【選択図】 なし


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