タイトル: | 公開特許公報(A)_サルモネラ感染症予防剤並びにそれを含む飼料用添加剤及び飼料 |
出願番号: | 2003317829 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61K35/78,A23K1/16,A23K1/18,A61P31/04 |
松尾 健 寺島 豊明 濱野 厚 峯苫 稔三 岩切 好和 JP 2005082545 公開特許公報(A) 20050331 2003317829 20030910 サルモネラ感染症予防剤並びにそれを含む飼料用添加剤及び飼料 全国農業協同組合連合会 000201641 宮崎みどり製薬株式会社 391039520 谷川 英次郎 100088546 松尾 健 寺島 豊明 濱野 厚 峯苫 稔三 岩切 好和 7A61K35/78A23K1/16A23K1/18A61P31/04 JPA61K35/78 CA61K35/78 HA61K35/78 JA61K35/78 VA23K1/16 304AA23K1/16 304CA23K1/18 DA61P31/04 11 OL 9 2B005 2B150 4C088 2B005DA01 2B005HA02 2B005JA04 2B005KA04 2B005LB07 2B005NA20 2B150AA05 2B150AB10 2B150AE02 2B150AE33 2B150BA02 2B150BD06 2B150BE01 2B150BE04 2B150CA32 2B150CE16 2B150CE18 2B150DD32 2B150DD37 2B150DD41 2B150DD57 4C088AB11 4C088AB51 4C088AB59 4C088AB88 4C088AC04 4C088AC05 4C088AC06 4C088AC13 4C088CA01 4C088CA03 4C088CA11 4C088MA07 4C088MA34 4C088MA43 4C088ZB35 本発明は、サルモネラ感染症の予防剤並びにそれを含む飼料用添加剤及び飼料に関する。 サルモネラは養鶏分野においては、安全性の高い生産物を消費者に提供する意味において、これらの汚染は養鶏業にとって深刻な問題である。また、豚,牛など家畜の生産農場においてもサルモネラ汚染が広がり問題となっている。家禽・家畜の生産において、一旦サルモネラが農場内に汚染した場合、その浄化には多大な労力と時間を要し、充分な消毒によっても浄化することが難しい。そのため、サルモネラ汚染に対する有効な対策が求められている。 サルモネラの汚染した養鶏場から生産される鶏肉および鶏卵は、その生産過程において、例えば卵では、鶏の生体内でサルモネラが卵殻内に汚染し、また農場内および卵の洗卵場などの工程で、卵の表面にサルモネラが付着して汚染する場合などがある。これらの汚染卵を生卵で食した場合、卵の汚染の程度が著しい場合や汚染卵を摂取した人の健康状態が悪い場合には、それらの感染によって、下痢,発熱などを発症する場合がある。また、間接的に生の鶏卵や生の鶏肉,豚肉に付着したサルモネラが、まな板や食器に付着し台所やその他の場所が汚染される危険性も高い。 家畜,家禽で問題となるサルモネラは、鶏卵内に汚染するサルモネラ・エンティリティディス(SE)や所謂ネズミチフス菌であるサルモネラ・ティフィムリウム(ST)等が代表的である。SEの卵での汚染の確立は、1/10000と低いが、これらの卵を充分な加熱なしで摂取した場合は、卵白で保護されたサルモネラが、胃内を通過し腸管に達して発症する確立が高く、公衆衛生上の重要な問題となっている。農場においては、特にサルモネラの種鶏での感染が、その卵あるいはその卵から孵化したヒナへと垂直感染し、農場の環境衛生上、解決されるべき大きな課題となっている。 鶏におけるサルモネラの感染は、殆ど鶏の腸管内に限定され、またサルモネラの内毒素(エンドトキシン)に対して宿主の感受性が低いことなどから不顕性に退化し、菌は卵巣なとの内臓組織において持続感染する。そのため一旦感染すると、見かけ上健康な保菌鶏が多い。また、豚に感染した場合は、下痢などの症状を引き起こす場合がある。さらに子牛に感染した場合では、致死に至る確立が高い。また、抗生物質で治療あるいは農場の浄化を行おうとする場合、抗生物質の投与によって、サルモネラの細胞壁に存在する内毒素(エンドトキシン)が遊離し血液中に移行し、免疫細胞などに障害を起こすことによって、種々の細菌およびウイルスの混合感染を引き起こし、家畜・家禽の生産性を著しく低下させる場合がある。 鶏におけるサルモネラ感染症の予防については、従来、鶏舎の飼育環境の消毒、抗生物質や合成薬剤の投与及びワクチン等が用いられ、またサルモネラ排除に関する研究が継続して進められているが充分なものはなく、感染経路を完全に絶つことについては、例え成功したとしても多大な労力と時間を必要とする。豚などの家畜においても同様である。抗生物質などの薬剤の使用は、薬剤耐性菌の出現や生体内でのサルモネラの内毒素(エンドトキシン)の放出に起因する疾病の発生等の問題があり、またワクチンは、菌株の違い等により効果のないか効果が乏しい場合があるため、保菌状態を完全に絶つことについては非常に困難である。そのため薬剤を極力用いない効率的な予防方法の開発が望まれている。特開平6−192126号公報特開平11−12184号公報特開平11−225688号公報 従って、本発明の目的は、ワクチンや抗生物質を極力用いることなく、鶏における種鶏の感染から、その卵およびヒナに至る垂直的感染を防止し、また豚,牛等の家畜等においても、サルモネラの感染を効果的に予防し、腸管内に定着したサルモネラを排除する新規なサルモネラ感染症の予防剤とその飼料を提供する。 本願発明者らは、鋭意研究の結果、木酢酸粉末と大蒜、山査子及び阿仙薬のうち、いずれか1種以上の原料とを組み合わせて用いた場合に、抗サルモネラ効果を充分に発揮することを見出し本発明を完成した。 すなわち、本発明は、(1)木酢酸粉末と、(2)大蒜、山査子および阿仙薬から成る群より選ばれる少なくとも1種とを有効成分として含有するサルモネラ感染症の予防剤を提供する。また、本発明は、上記本発明のサルモネラ感染症の予防剤を含む飼料用添加剤を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の飼料用添加剤を含む飼料を提供する。本発明により、サルモネラネの感染による家畜・家禽の腸内の該菌を外部に排出し、保菌状態を阻止する新たな添加物が提供される。本発明のサルモネラ感染予防剤は、木酢酸粉末と天然物由来で安全性の認められたそれらの乾燥粉砕物あるいは抽出乾燥物を用いるため、抗生物質による耐性菌の出現や抗生物質使用時の内毒素(エンドトキシン)の放出など副作用の問題がほとんどなく、安心して使用できる。また、薬剤残留による人体への影響の心配がないため、これらのサルモネラ感染予防剤を配合した飼料を使用することによって、安全な畜産物が提供される。さらに、農場においては、特にサルモネラの種鶏での感染と保菌を阻止することによって、その卵からヒナへの垂直感染を防止できるため、健康なヒナの生産が可能となり農場の浄化に役立つ。そのことによって、汚染されない鶏肉あるいは鶏卵の生産が可能となる。また、家畜での汚染の少ない肉の生産も可能となるため、生産者にあっては、生産性の向上をはかれるとともに、消費者の求める安全性の高い生産物の提供が可能となる。 上記の通り、本発明のサルモネラ感染症の予防剤は、(1)木酢酸粉末と、(2)大蒜、山査子および阿仙薬から成る群より選ばれる少なくとも1種とを有効成分として含有する。 本発明のサルモネラ感染症の予防剤の必須成分として含まれる木酢酸粉末は、木を乾留して得られた粗木酢液から、3-4ベンツピレンなどの有害物質を反復蒸留し、分離して得られた木酢精製液と、木を乾留して発生した残留炭素を粉砕して篩過した粒子を含む軟質炭素粉末とを混合したものである。乾留温度は、特に限定されないが、200〜380℃程度が好ましい。乾留時間は、特に限定されないが、通常、250℃〜350℃程度である。また、有害物質を除くための反復蒸留は、120℃以下の温度で行うことが好ましい。軟質炭素粉末は、粒径10000μm以下の粒子を好ましくは95%以上含むものであることが好ましい。この好適形態においては、前記木は、広葉樹の樹皮を含む木片であることが好ましく、前記広葉樹は、カシ、タブ、サクラ、カエデ、シイ、クス、イス、ナラ、キハダ、ヤマモモ、カシワ、ケヤキ、クワ、キリ、ミズキ、ソヤのいずれか1種類以上を含有することが好ましい。前記木酢精製液と前記軟質炭素粉末の含有重量比は1:2ないし1:6が好ましく、特に1:4が好ましい。 大蒜(Allium scorodoprasum)は、ユリ科に分類され、通常その鱗茎を乾燥して用いられる。大蒜には、配糖体グリコミナールを含有し、加水分解すると硫黄を含む精油が得られる。精油には香気成分であるジアリルサルファイドが含まる。また、大蒜中のサリシンは、ビタミンB1の腸管内での吸収を改善するなどの生理活性が認められている。大蒜の成分(sーアリルシステインおよびその代謝物)には、血液中の低比重コレステロール(LDH)の酸化を制御する作用が認められている。本発明に用いる大蒜は、乾燥した鱗茎を粉砕した粉末又は鱗茎の抽出物若しくは該抽出物を吸着剤に吸着させた形態の素材を用いることができる。抽出する場合には、抽出溶剤としては、水、エタノール等の低級アルコールやアセトン等を好ましく用いることができる。抽出温度は、特に限定されないが、各溶剤の沸点又はその近傍で行うことが効率的である。抽出溶剤の重量としては、特に限定されないが、鱗茎又はその乾燥物に対して5〜100倍程度が適当である。抽出時間は、特に限定されないが、通常、30秒〜1時間程度、特に1分間〜15分間程度が適当である。抽出物は、液状のままでもよいし、さらにそれを乾燥させて粉末としたものであってもよい。また、抽出物を脱脂糠などの吸着基材に吸着させて用いても良い。 山査子は、中国原産のバラ科の低木で、野山査(Crataegus cuneata)あるいは山査(Crataegus pinnatifida)と呼ばれ、その果実は、クエン酸、ミネラル、カロチンなどを多く含み、肉体疲労時の栄養補給や日常の健康維持、消化不良・慢性下痢などの改善、健胃整調などに用いられている。また、血中コレステロールの正常化、過酸化脂質の増加抑制などの効能も知られている。 中国では一般に「紅果」と呼ばれ、干菓子や羊羹あるいはジュースなどに用いられている。本発明で用いる山査子は、山査子の生果肉、その乾燥物、又は生果肉若しくはその乾燥物の抽出エキス若しくはその乾燥物を用いる。果肉は、果実からジュースを搾り取った搾りかすであってもよい。また、抽出する場合には、抽出溶剤としては、水、エタノール等の低級アルコールやアセトン等を好ましく用いることができる。抽出温度は、特に限定されないが、各溶剤の沸点又はその近傍で行うことが効率的である。抽出溶剤の重量としては、特に限定されないが、果肉又はその乾燥物に対して5〜100倍程度が適当である。抽出時間は、特に限定されないが、通常、30秒〜1時間程度、特に1分間〜15分間程度が適当である。抽出物は、液状のままでもよいし、さらにそれを乾燥させて粉末としたものであってもよい。また、抽出物を脱脂糠などの吸着基材に吸着させて用いても良い。 阿仙薬(Uncaria gambir)は、アカネ科(Rubiaceae)に属し、葉および若枝の抽出物は、下痢止めや口腔清涼剤として用いられる。主として、東南アジア地域(インドネシア、マレーシア等)で栽培されている。阿仙薬の成分として、カテキン類(Catechin)、ケルセチン(quercetin)、ガンビリン(gambiriinn)が公知であり、植物体とこれらの抽出物あるいは抽出物を吸着剤に吸着させた形態素材を用いることができる。抽出する場合には、抽出溶剤としては、水、エタノール等の低級アルコールやアセトン等を好ましく用いることができる。抽出温度は、特に限定されないが、各溶剤の沸点又はその近傍で行うことが効率的である。抽出溶剤の重量としては、特に限定されないが、植物体又はその乾燥物に対して5〜100倍程度が適当である。抽出時間は、特に限定されないが、通常、30秒〜1時間程度、特に1分間〜15分間程度が適当である。抽出物は、液状のままでもよいし、さらにそれを乾燥させて粉末としたものであってもよい。また、抽出物を脱脂糠などの吸着基材に吸着させて用いても良い。 上記した(1)木酢酸粉末と、(2)大蒜、山査子および阿仙薬から成る群より選ばれる少なくとも1種の混合比率((2)の大蒜、山査子および阿仙薬のうち複数が含まれる場合にはその合計量)は、特に限定されないが、重量基準で、通常1:1〜1:0.1であり、好ましくは、1:0.5〜1:0.2である。 上記した発明に係るサルモネラ感染症予防剤の投与経路は、特に限定されないが、経口投与が好ましい。また、投与量は、特に限定されないが、通常、体重1kg当たり1日当たり0.1 g〜 2 0 g程度である。 本発明に係るサルモネラ感染予防剤は、そのまま投与することもできるし、食品や医薬組成物の調製に用いられる賦形剤や他の原料と共に混合して投与してもよい。賦形剤としては、ふすまなど通常もちいられるで良いが、好ましくは、カキ殻粉末を用いるとよい。カキ殻粉末を用いることにより、製剤の吸湿性の改善およびサルモネラに対する抗菌力発現の安定化という効果が得られる。 さらに、家禽、特に種鶏,子豚および子牛に対するサルモネラに起因する疾病を予防するために、本発明に係るサルモネラ予防剤を飼料用添加剤として用いることもできる。この場合の添加量は、特に限定されないが、通常、0.1〜4重量%程度であり、好ましくは0.5 〜 2重量%程度である。なお、飼料としては何等限定されるものではなく、養鶏用に用いられている通常の飼料を用いることができる。 下記実施例により具体的に明らかにされるように、本発明のサルモネラ感染予防剤を投与することにより、サルモネラの人為的感染による鶏腸内に定着するサルモネラが有意に減少し、サルモネラ排除作用が認められる。また、家禽・家畜の飼料用添加剤として飼料に添加することにより、野外でのサルモネラ感染症を有効に予防することができる。 以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。実施例1〜5、比較例1 サルモネラ感染症予防剤の製造及びその微生物増殖抑制作用1. 木酢精製液及ぴ軟質炭素粉末の製造 新鮮なカシ、シイ、タブ、サクラ及ぴカェデの樹皮を含む乾燥木片25トンを原料として乾留炉に投入し、350℃で、168時間乾留を行った。乾留の際に発生したガスを収集し、自然冷却により粗木酢液1aを得た。得られた1aを分離槽に3ヶ月以上静置し、上層の軽質油、中間層の木酢液、下層の有害な夕一ル分の三層に分離した分離粗木酢液1bを得た。分離粗木酢液から中間層の木酢液を分離し、木酢液1cを得た。この1cから有害物質が検出されなくなるまで120℃以下で反復蒸留して精製し、約1トンの木酢精製液1dを得た。この1dは、無色透明の液体で、特異な焦臭と酸味があり、18℃におけるpHは3.7であった。また、5m1の1dに硫酸1m1を加えて加熱したところ、酢酸臭を生じた。さらに、5m1の1dに水酸化ナトリウム試液を加えて中和し、塩化第二鉄試液を滴加したところ、液は赤褐色を呈し、煮沸したところ、赤褐色の沈殿を生じた。 一方、前記の乾留終了後、乾留残留物として残留炭素1eを得た。1eは、スイグハンマー式粉砕機で粉砕粒度箭過(42号)し、粒子の大きさが350マイクロメートルである約5トンの軟質炭素粉末1fを得た。この1fは、黒色の粉末で臭い及ぴ味ぱなく、0.59gの軟質炭素粉末1fを試験管に入れ送風しながら直火で加熱したところ、火炎を生じないで燃焼し、発生するガスを水酸化カルシウム試液中に通じたところ、白濁が生じた。2. 木酢酸粉末の試作と性状 軟質炭素粉末1fに木酢精製液1dを少量ずつ加え、日本薬局方、製剤総則の散剤の項に従い、均等に混和して木酢酸粉末2aを得た。2aは、しっとりとした黒色粉末で、臭い及ぴ味はなく、18℃におけるpHは、7.90であった。また、1gの2aを105℃で4時間放置し、乾燥減量を赤外線じん速水分計で測定したところ、16.2%であり、1gの2aの強熱残分は、3.8%であった。さらに、20gの2aに水30m1を加えて振り、これをろ過したろ液に水酸化ナトリウム試液を加えて中和し、塩化第二鉄試液を滴加したところ、液は赤褐色を呈し、煮沸により、赤褐色の沈殿を生じた。0.5gの2aを試験管に入れ、送風しながら直火で加熱したところ、火炎を生じないで燃焼し、発生するガスを水酸化カルシウム試液中に通じたところ、白濁が生じた。3. 試験用木酢酸粉末の試作 軟質炭素粉末1fに木酢精製液1dを4:1の割合に成るように少量ずつ加え、日本薬局方、製剤総則の散剤の項に従い、均等に混和して木酢酸粉末2aを得た。4. サルモネラ感染予防剤の試作 木酢酸粉末2aと大蒜、山査子および阿仙薬各々の乾燥粉末とを均一になるように混合し、下記のサルモネラ感染予防剤を試作した。表1 サルモネラ感染予防剤の組成*実施例4は、木酢酸粉末1に対し、(大蒜,山査子,阿仙薬の等量混合物)1の割合5. サルモネラ感染予防剤添加飼料の製造 市販の種鶏用飼料に、上記4に記載したサルモネラ感染予防剤を2%添加し試験用飼料を製造し、各々20Kgづつを得た。6. サルモネラ感染予防剤の微生物増殖抑制効果 4で製造したサルモネラ感染予防剤の抗菌活性をみる目的で、カップ法により、サルモネラ・エンテリティディス(SE)を塗末したシャーレ平板上(トリプトソイ寒天培地)の該菌の増殖抑制されたリング径を、37℃24時間培養後に測定した。カップ法は、具体的に次のようにして行った。4で製造した試料各々1gを滅菌水9mlに良く混合し、105℃5分間オートクレーブ抽出し、溶液が室温になるまで放置後、その上清を各々50mg/ml,5mg/ml,2.5mg/ml相当量に滅菌水で希釈し、あらかじめSEを塗末したトリプトソイ寒天培地上に置いたステンレス製カップ(内径6mm)内に200μlずつ分注した。その後37℃24時間培養し、試料溶液によって菌の増殖が抑制されたリング径を測定した。結果は、下記表2に示したとおりであり、対照として用いた木酢酸粉末の抗菌活性に対して、50mg/mlの試験濃度では、それぞれの本発明の予防剤の活性が優れ、木酢酸粉末の効果を増強した。表2 SEに対する抗菌活性*数値は阻止円の直径,0は菌が増殖し効果なし実施例6〜10、比較例2 サルモネラ予防剤の鶏でのサルモネラ排除効果試験 実施例1の4で製造したサルモネラ感染予防剤の鶏での人工感染によるサルモネラの排除効果を見る目的で、実施例1〜4及び比較例1に示した5種類の飼料を鶏に給与し、サルモネラ・エンテリティディス(SE)の培養液 1×107cfu/mlを、それぞれの供試鶏に経口投与し、菌液投与後の供試鶏の糞便中の菌数を継時的に測定した。 結果を下記表3に示す。表3に示すように、比較例1の飼料を与えた鶏群のサルモネラ排出の推移は、菌液投与5日目で102cfu/g以下になり、10日目も同様に推移したが、15日目では投与したサルモネラが糞便中に検出されなかった。 実施例1の予防剤を含む飼料を給与した鶏群では10日目に、実施例2又は実施例3の予防剤を含む飼料を給与した鶏群では12日目に、また実施例4の予防剤を含む飼料を給与した鶏群では13日目に、サルモネラの糞便への排出が認められなくなった。これらの結果、大蒜、山査子および阿仙薬は、木酢酸粉末のサルモネラ排除作用を増強した。表3 糞便中の菌数(log CFU/g)(1)木酢酸粉末と、(2)大蒜、山査子および阿仙薬から成る群より選ばれる少なくとも1種とを有効成分として含有するサルモネラ感染症の予防剤。 前記木酢酸粉末は、木を乾留して得られた粗木酢液を精製した木酢精製液と、木を乾留して発生した残留炭素を粉砕して篩過した軟質炭素粉末とを重量比で1:2ないし1 : 6の割合で含有する請求項1記載のサルモネラ感染症の予防剤。 前記木酢酸粉末は、木を乾留して得られた粗木酢液を精製した木酢精製液と、木を乾留して発生した残留炭素を粉砕して篩過した軟質炭素粉末とを重量比で1:4の割合で含有する請求項1記載のサルモネラ感染症の予防剤。 前記大蒜は、大蒜の鱗茎部を乾燥したものを粉砕した粉末又はその抽出物若しくは該抽出物を吸着剤に吸着させた粉末である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のサルモネラ感染症の予防剤。 前記山査子は実の果肉を乾燥させ粉砕した粉末又はその抽出物若しくは該抽出物を吸着剤に吸着させた粉末である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のサルモネラ感染症の予防剤。 前記阿仙薬は、葉および若枝を乾燥させ粉砕した粉末又はその抽出物若しくは該抽出物を吸着剤に吸着させた粉末である請求項1ないし5のいずれか1項に記載のサルモネラ感染症の予防剤。 前記大蒜、山査子および阿仙薬からなる群より選ばれる少なくとも1種を水又は有機溶剤で抽出した液状又はその乾燥物の形態にある抽出物を含有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載のサルモネラ感染症の予防剤。 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のサルモネラ感染症の予防剤を含む飼料用添加剤。 カキ殻粉末をさらに含む請求項8記載の飼料用添加剤。 鶏、牛又は豚用である請求項8又は9記載の飼料用添加剤。 請求項8ないし10のいずれか1項に記載の飼料用添加剤を含む飼料。 【課題】 ワクチンや抗生物質を極力用いることなく、鶏における種鶏の感染から、その卵およびヒナに至る垂直的感染を防止し、また豚,牛等の家畜等においても、サルモネラの感染を効果的に予防し、腸管内に定着したサルモネラを排除する新規なサルモネラ感染症の予防剤とその飼料を提供すること。【解決手段】 (1)木酢酸粉末と、(2)大蒜、山査子および阿仙薬から成る群より選ばれる少なくとも1種とを有効成分として含有するサルモネラ感染症の予防剤を提供した。【選択図】 なし