生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_食事療法によるアトピー性皮膚炎の改善方法
出願番号:2003311094
年次:2004
IPC分類:7,A61K38/00,A61P17/00,A61P37/08,A23L1/29


特許情報キャッシュ

田部井 利男 竹内 明 小谷 麻由美 甲田 光雄 JP 2004002477 公開特許公報(A) 20040108 2003311094 20030903 食事療法によるアトピー性皮膚炎の改善方法 サンスター株式会社 000106324 柳野 隆生 100074561 田部井 利男 竹内 明 小谷 麻由美 甲田 光雄 7A61K38/00A61P17/00A61P37/08A23L1/29 JPA61K37/02A61P17/00A61P37/08A23L1/29 2 2 1997054462 19970310 OL 24 4B018 4C084 4B018MD20 4B018ME07 4B018MF14 4C084AA02 4C084BA44 4C084CA62 4C084DC50 4C084NA06 4C084NA20 4C084ZA702 4C084ZA891 4C084ZB131 本発明は、アトピー性皮膚炎を改善するための食事療法を、より効果的に且つ安全に実施するための指針となる方法と、この方法に基づいて作られる健康食に関する。 アトピー性皮膚炎は治療が困難な疾病として知られており、これらに対してはさまざまな治療法が試みられているが、全ての人に効果的な治療法はいまだ確立されていない。 ところで、アトピー性皮膚炎は食事と関連性があるといわれている。Micael Pらはアトピー性皮膚炎患者は食事アレルギーを併発しやすいと報告しており(Food Allergy and Introlerance,Bailliere Tindall,London,p583-601, 1987)、さらにIkezawa Z らは、米アレルギーとの関係を報告している。(Acta Derm Venereol (suppl)176:p103-107, 1992)。そのため食事療法により、アトピー性皮膚炎を緩解させることが試みられている。例えば、Watanabe Mらは食事から植物アレルゲンを低減させる方法や(J Food Sci 55:p781-783, 1990)、Crook WGはアレルゲンを含む食材を食品から除く方法あるいは他品種の食事を規則的に順次回転させていく方法(Professional Books Tennessee, 1984)を提案している。しかし、いまだ十分な改善効果を得るに至っていない。 その中で、発明者は、甲田光雄博士(甲田医院医院長) が提唱している食事療法に着目した。甲田博士は、生野菜を食し難治性皮膚炎等を改善する方法を特開平3−168061号において提唱している。この療法はアトピー性皮膚炎の主たる原因が、植物中に含まれる比較的大きな蛋白質にあり、この大きな蛋白質が分解されることなく腸壁を通過して血液中に侵入したときに、これを体内から排除しようとして機能する免疫反応にあるという認識に基づいている(Real Health Starts with Eating Light:P91-95 ,1995)。 このような考え方に基づいて提唱される「甲田療法」は、(1)腸内を清浄化し、炎症の発生を抑えること。(2)腸粘膜及び身体全体の皮膚を強くすること。(3)免疫力を高めること、の三段階から構成されている。そして各段階において生鮮野菜の青汁を飲み、且つ食事により摂取されるエネルギー量を制限し、且つ蛋白質としては植物性蛋白質を中心に摂取し、且つ蛋白質の摂取エネルギーを必要最低限に抑制することが行われている。 疾患の改善方法として必要蛋白質量に着目し、疾患の改善のための具体的指針をBMI値を用いて表現しようとする試みが、過去、全くなかったというわけではない。例えばこのような事例としては、肥満体格の解消を目指して実施される「肥満治療」としての食事療法が知られている。 この肥満治療においては、到達目標としての理想体格をBMI=22と固定的に設定し、また理想体重はこのBMI値に身長の自乗を乗じた値、即ち、22×L2として固定化したものとして扱っている。そして、この理想体重に1.2を乗じたもの、即ち、 理想体重×1.2 (g/day) =22×L2×1.2 (g/day) ……………(1) で表される値を1日に摂取すべき蛋白質量であると規定し、患者の現在のBMI値を考慮することなくその値を、一律に設定している(Med Clin North Am 73,P203-215,1981)。しかも「肥満治療」が対象とするのはBMI値が34以上の人であり、本発明が対象とする通常体格の人に比べると極めて特殊な例といえる。したがって、このような「肥満治療」を目的とした食事療法についての考え方が、アトピー性皮膚炎の改善を目的とした場合の食事療法に適用できないことは明らかである。 この療法では、摂取エネルギーは可能な限り少なくすることに主眼が置かれており、食事メニュー中に含まれる蛋白質量も、患者の体格とは無関係に約50g と少なく設定されている。 しかしながら、蛋白質の摂取量が少なすぎると、食事療法を継続するうえでの身体への負担が大きく、人によっては不整脈や急性肝炎、尿酸値上昇や筋肉崩壊等の障害等が発生して一時的に健康を害する場合がある。また健康を害しないまでも、蛋白質摂取量の過剰な削減は、体力減退により食事療法自体の持続が困難となる場合もある。 本発明はこのような現況に鑑みなされたものであり、食事療法において、健康を害することなく蛋白質摂取量を削減できる指針とこの指針に基づいた健康食を提案せんとするものである。 本発明者は上記課題を解決すべく検討した結果、従来の「甲田療法」に代表される食事療法は、被験者の体力の差を考慮することなく、その蛋白質摂取量を一律に決めていたことに無理があると判断した。蛋白質摂取量は基本的に体格によって特定すれば、前記課題が解決できることを見出した。 そこで本発明者は、アトピー性皮膚炎改善方法としての食事療法における蛋白質の摂取量を特定するための指針を得、以下の検討を行い本発明に至った。 本発明者は、「甲田療法」によるアトピー性皮膚炎の改善度をSCORAD指数(SCORAD指数の詳細は後述)の変化で表したところ、従来見落とされていた意外な傾向があることを見出した。それは、食事療法を受けた被験者の内、ある一定の体格の群のみが飛び抜けて良好な改善効果を上げているということである。 そこで本発明者はこの点について考察した結果、SCORAD指数の改善率と体格を表す指標としての身長及び体重との間には何らかの関係があると考えた。そして摂取蛋白質量の数値がアトピー性皮膚炎の改善に大きく影響を及ぼすことは事実として確認されていることから、アトピー性皮膚炎の改善方法としての食事療法を実施する際、最も高い改善効果が得られる療法食の内容は、体格指標としてのボディーマスインデックスBMI( BMI=Wt/L2 但し、体重=Wt(Kg)、身長=L(m) )を用いて表現するのが適切であるとの着想を得た。 本発明者の研究によれば、前記(1)式によって算出される肥満治療用の必要蛋白質量は、本発明が対象とするアトピー性皮膚炎の改善方法においては、かえって改善効果が低くなることが確認されている。これらのことから、アトピー性皮膚炎を改善するための食事療法においては、「肥満治療」の場合に適用されるような元々の体重と身長の値を用いて特定される摂取蛋白質量の値をそのまま適用することは妥当ではないと思われる。そしてアトピー性皮膚炎を改善する目的で実施される食事療法において最大の改善効果が得られる蛋白質量は前記蛋白質量とは異なり、全く別の形で表現されるのではないかと思われ、(1) 式とは別の蛋白質量算出式の検討が必要であると考えた。 鋭意検討の結果、(1)式ではL2の係数が22×1.2と固定されているのに対し、L2の係数をBMIが反映される変数、即ち、BMIの関数で表現できると判断した。そしてこのBMIの関数として新たに定義される変数を、アトピー性皮膚炎を改善するうえにおいて被験者の体格に真にマッチングしたデータという意味でBMIマッチング値と命名し、Kで表現することとした。 この新たに定義したBMIマッチング値Kを用いて、アトピー性皮膚炎改善目的の食事療法に適用すべき必要蛋白質量P(g/day) を、次の(2)式で表現することにした。 P=K×L2………(2) この式をKを主体にした式に書き直すと、 K=P/L2(但し、KはBMIの関数) となる。 本発明者は、このBMIマッチング値Kの値を特定するために、BMI値、身長L、体重W及び摂取蛋白質量P(g/day) を異にする被験者を対象にして、これら各要素とアトピー性皮膚炎の改善効果との関係を検証した。被験者としては30人のアトピー性皮膚炎患者を対象とし、2か月の期間にわたり食事療法を実施し、食事療法開始時のBMIに対するSCORAD指数の改善率によってアトピー性皮膚炎症状に対する改善効果を評価した。表1にその結果を示す。 ここでSCORAD指数とは、Scoring of Alopic Dermatics の指数の略でありアトピー性皮膚炎の範囲と病状を患者の主観等の項目に基づいて数値化したものであり、アトピー性皮膚炎の程度を示す公知の指標である。例えばその具体的内容は、Dermatology 1993,186:P23-31 に詳しく述べられている。またSCORAD指数の改善率とは、療法終了時のSCORAD値が療法開始時のSCORAD値に対してどれだけ改善したかを%表示したものであり、療法終了時のSCORAD値の療法開始時のSCORAD値に対しての減少率をSCORAD指数改善率(%)として定義したものである。 次いでこのなかから改善効果のあったものを抽出し、これらに共通する傾向を回帰分析により導出することを試みた。改善効果の有無については、SCORAD指数改善率が60%以上のものを「効果有」(以下、これを著効例と称す)と判定し、他方、60%未満のものを「効果無」と判定した。「効果有」として評価したものを抽出して整理したものを表2に示す。 一覧表の読み方を表2の被験者6を例にして説明すると、次のとおりである。食事療法開始時における被験者6の身長は1.765m、体重は54.5kgであり、そのBMI値は、54.5/1.7652≒17.5である。またこの被験者6が1日の食事から摂取した蛋白質量である実摂取蛋白質量Pは平均55g/day であった。そしてこの被験者6の療法開始時のSCORAD値は56であり、2か月後の療法終了時のSCORAD値は12.8である。この場合SCORAD指数の改善率は (56-12.8)/56×100 で求められ、その値は77.2%となり、その評価は「効果有」となる。 次いで、本発明者は「効果有」と判定された被験者15人の食事療法の結果に基づき、K=P/L2なる式から各被験者のBMIマッチング値Kを算出した。この算出されたBMIマッチング値KがBMI値に対して、どのような関係にあるのかを回帰分析した。回帰分析の手法は次のとおりである。 先ず、回帰分析の元データとなるBMI値とそれに対応するK値の関係は表3で示される。 この表3のデータを基にしてKとBMIの関係を規定する2次多項式を得る処理を行った。表4は回帰分析概要、表5は回帰係数であり、表6は回帰係数を表している。 サンプル数は15であり例外として除外したもの(欠測値数)はなかった。 相関係数(R)は0.948であり、十分な相関が確認された。 このようにして求められた回帰式は、 K=−0.005 ×BMI2+0.661 ×BMI+ 9.031 となった。この回帰曲線と著効例15例の関係を図1に示す。図1に示されるように前記回帰曲線はBMI値の変化に伴うKの変化の傾向を濃厚に反映していることがわかる。また図2は同グラフの表示範囲を拡大して原点(0,0)を表示したグラフである。BMI=0としたときの縦軸、即ちK軸との切片は9.031であった。 また図3は、Kの値を、 K=−0.005 (BMI)2+0.6(BMI)+C 但し 8≦C≦10 となし、a線及びb線で挟まれた範囲をKのとりうる範囲としたものである。この場合BMI=0としたときの縦軸、即ちK軸との切片は8及び10となる。このように切片Cを9.031 を中心にして約±1の許容幅を設定し、8≦C≦10とすることで著効例15例の全てが、図1中のa線とb線によって囲まれた範囲内に入ることが確認された。以上の経緯から、本発明者は、アトピー性皮膚炎を食事療法で改善する場合においては、1日に摂取すべき蛋白質量PをP=K×L2(g/day)の式にしたがって求め、またこの式中のBMIマッチング値Kを、 K=−0.005 (BMI)2+0.6(BMI)+C 但し 8≦C≦10 によって特定すべきであるとの結論にいたった。 ところで本発明では、極端な痩せ型や極端な肥満型体格(BMI>30)の患者はその対象から外している。これは極端な痩せ型(BMI<17.5)の患者は元々肝臓及び腎臓等の代謝を司る臓器機能が低く、低エネルギー・低蛋白質食の負荷に耐えられる余力が少ないとの判断からであり、また極端な肥満型体格(BMI>30)の患者にとっても本療法は負担が大きいとの判断からである。したがって本方法が対象とするのはBMI値が17.5〜30の患者である。 BMI値17.5〜30という範囲は、仮に身長が1.65mであったとすると適用可能な体重Wkgの範囲はW=BMI値×L2で特定されるから、その具体的な数値範囲は47.6kg〜81.7kgの範囲となる。 尚、BMI値17.5〜30の範囲から逸脱する被験者はそのままではBMIマッチング値Kの適用対象外ではあるが、食生活のコントロール等によりBMI値を17.5〜30の範囲に入るようにすることで本発明者が提唱するBMIマッチング値Kの適用対象とすることができる。 本療法では、最初の段階で減量を行う。減量は肥満体格(BMI>30)のグループにとっては肥満を解消するために是非とも必要である。 前述したようにBMIの初期値が17.5未満の極端な痩せ型の患者群に対しては減量を適用することは好ましくない。このような患者群に低蛋白質な食事(以下、低蛋白質食と称す)を適用すると、窒素出納が大きく負となるとともに、急性肝炎を起こす懸念があるので注意を要する。従って、安全性を考慮するとBMI初期値が17.5未満の群には、低蛋白質食は適用すべきでないと判断した。 このような考え方に基づいた本療法は、具体的には以下述べる健康食を食することによって実現される。 その内容は、主たる食材として植物性食品を用い、その食事によって摂取される栄養素に占める三大栄養素のエネルギー比率が、蛋白質15〜20%、脂質20〜33%、糖質が40〜65%となるように調整するとともに、 K=−0.005 (BMI)2+0.6(BMI)+C 但し 8≦C≦10の範囲の値として新たに定義されるBMIマッチング値Kと、被験者の身長Lmを用いて、K×L2の計算式によって1日に摂取すべき蛋白質量の範囲を算出し、1日に食する食材中の総蛋白質量を前記蛋白質量の範囲に設定するものである。 本健康食は植物性食品を中心に選択し、しかもそこに含まれる三大栄養素のエネルギー比率の範囲も規定している。患者はこのような健康食を二ヵ月〜1年にかけて持続的に摂取することにより、腸内清浄化、炎症制力の向上、腸粘膜及び身体全体の皮膚の強化、免疫力の向上をはかり、結果的にアレルギー体質等の脆弱体質の改善を行う。 食事療法を持続するうえで重要なのは、健康状態を維持しつづけながら体質を改善することである。従来の食事療法ではこの点への配慮が不足していた結果、療法を受けている過程で患者に対して栄養不足、特に蛋白質不足に起因する様々な障害が頻発し、療法の継続を困難なものとしていた。本発明では、この点に十分な配慮をしている。即ち、健康食中に含ませる蛋白質量の決定に際しては、1日の食事から摂取される蛋白質量Pが、 P=K×L2(g/day) の値となるように食材及びその量を調整する。BMIマッチング値Kは、 K=−0.005 (BMI)2+0.6(BMI)+C 但し 8≦C≦10の範囲であり、被験者はK×L2の計算式によって特定される蛋白質量の上限と下限との範囲内において、その摂取蛋白質量を決定する。摂取蛋白質量には下限値と上限値とで規定される一定の許容幅を設けているので、被験者はこの範囲内で自己のそのときの体の調子等を考慮しながらその蛋白質摂取量を加減する。摂取蛋白質量の許容範囲は食事療法による改善効果が発揮される数値であることを前提に、健康を害することがない範囲に設定されるため、被験者がこの範囲内で摂取蛋白質量を加減したとしても食事療法による体質改善という改善効果がなくなることはない。 また摂取蛋白質量に許容範囲を設けていることで食事メニューの編成が容易となる。このようにすることで無理なく、しかも確実に体質改善が行える。 また本健康食は、健康維持に必要な栄養のバランスを確保するとともに、栄養バランスの不調和に起因して様々な障害が発生することを回避するために、三大栄養素のエネルギー比率を、蛋白質15〜20%、脂質20〜33%、糖質が40〜65%となるように調整している。 本発明により、食事療法によりアトピー性皮膚炎を改善する上での摂取蛋白質量を特定することが可能となり、改善効果の上がるアトピー性皮膚炎の食事療法を健康に悪影響を及ぼすことなく安全に実施できるようになる。しかも本方法は、極端な肥満型や極端な痩せ型以外の患者の全てに適用することができるので汎用性がある。 また本発明の健康食は、その蛋白質量がアトピー性皮膚炎を改善するうえで最適な値に調整されているとともに、栄養素のバランスもアトピー性皮膚炎を改善するうえで最適に調整されているので、この健康食を一定のルールに則して食することでアトピー性皮膚炎の改善をはかることができる。 次に本発明の詳細を実施例に基づき説明する。 本発明では、食事療法を実施するに際し、被験者が摂取すべき蛋白質量の範囲を、K×L2の計算式で求める。ここでLは被験者の身長であり、単位はmである。またKは、 K=−0.005 (BMI)2+0.6(BMI)+C 但し 8≦C≦10 として定義されるBMIマッチング値である。 BMIマッチング値Kは本発明者によって定義された概念である。このようなBMIマッチングKは、厳密な意味で全ての患者に対して無条件に適用できるものではないものの、実質上はほとんど全ての患者に適用できる。本発明者の研究によれば、上記式を適用して摂取蛋白質量を特定できる被験者は、そのBMI値が17.5〜30の範囲の人である。 尚、BMI値17.5〜30の範囲から逸脱する被験者はそのままではBMIマッチング値Kの適用対象外ではあるが、食生活のコントロール等によりBMI値を17.5〜30の範囲に入るようにすることで本発明者が提唱するBMIマッチング値Kの適用対象とすることができる。 またBMIマッチング値Kは、定数項Cを8〜10の範囲に設定し、許容幅を持たせている。例えば身長が1.65m 、体重60kgである場合、18.8≦K≦20.8となる。この許容幅は、食事の献立を作るうえでの誤差の範囲程度である。また食事に含まれる蛋白質量を厳密な数値に合致させることが、献立の都合上、無理な場合もあるが、許容幅があることによって献立の作成も容易となる。 以下に実施例、実験例を示し、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実験例および実施例に限定されるものではない。 実験例1 被験者として、BMI値が17.7から28.4のアトピー性皮膚炎患者を対象とし、2ヶ月間にわたり、健康食Aを基本とした食餌療法を行った。その効果を食餌療法開始前との比較でSCORAD値の改善率で判定した。その結果を表6に示した。また健康食Aの1週間の基本献立とその蛋白量を表7に、また栄養素摂取量を表8に示した。 次週以降も同じ献立を繰り返した。被験者により体格が異なるため、本発明の計算式により、被験者毎の必要蛋白質量を表9のとおり求めた。 不足蛋白量は豆腐、玄米飯を正確に秤量して、夕食時に追加した。豆腐は100g当たり蛋白質量6.8 gであり、玄米飯は炊きあがり状態で100 g当たり蛋白質含量3.2 gである。 結果は、すべての症例において、SCORAD値の改善率で60%以上と「効果有」と判定された。副作用は一例もなく、また意志に負担をかけないため脱落症例もなく、無理なく本食餌による療法を遂行することができた。 実験例2 被験者として、BMI値が20.7から29.8のアトピー性皮膚炎患者を対象とし、2ヶ月間にわたり、健康食Bを基本とした食餌療法を行った。その効果を食餌療法開始前との比較でSCORAD値の改善率で判定した。その結果を表10に示した。健康食Bの1週間の基本献立とその蛋白量を表11に、また栄養素摂取量を表12に示した。次週以降も同じ献立を繰り返した。被験者により体格が異なるため、本発明の計算式により、被験者毎の必要蛋白質量を表13のとおり求めた。不足蛋白量は豆腐、玄米飯を正確に秤量して、夕食時に追加した。豆腐は100 g当たり蛋白質量6.8 gであり、玄米飯は炊きあがり状態で100 g当たり蛋白質含量3.2 gである。 結果は、すべての症例において、SCORAD値の改善率で60%以上と「効果有」と判定された。副作用は一例もなく、また意志に負担をかけないため脱落症例もなく、無理なく本食餌による療法を遂行することができた。 本発明が対象とする食事療法では、食材は植物性食品のみを用いる。また朝食は基本的に生鮮野菜の絞り汁である青汁のみである。青汁の材料として使用できる生鮮野菜としてはホーレン草、シャクシ菜、キャベツ、シュンギク、コマツ菜などが挙げられる。また、リンゴ、みかん、レモン等の果物を添加してもよい。本発明では、このような食事を健康食と称している。 また、ご飯は玄米飯である。このような食事においては、栄養素のエネルギー比率と、摂取蛋白質量を制御することが重要である。また、三大栄養素のエネルギー比率は蛋白質(P)15〜20%、脂質(F)20〜33%、糖質(C)が40〜65%となるように設定する。摂取蛋白質量の範囲は前述したように、計算式K×L2に基づいて決定する。アトピー性皮膚炎の改善効果のあった被験者群のデータに基づいてBMI値とBMIマッチング値Kとの関係を回帰分析したグラフ表示範囲を拡大した同グラフ定数項Cを8及び10に設定したKの上限と下限を示すグラフ 蛋白質の摂取量を制限した食生活を通じてアトピー性皮膚炎の改善をはかる療法であって、 BMI=Wt/L2 但し、体重=Wt(Kg)、身長=L(m) で表現される被験者の体格指標であるボディーマスインデックスBMIを用いて、 K=−0.005(BMI)2+0.6(BMI)+C 但し 8≦C≦10 として定義されるBMIマッチング値Kを設定し、このBMIマッチング値Kと、被験者の身長L(m)を用いて、1日に摂取すべき蛋白質量P(g/day)を、 P=K×L2(g/day)の計算式によって求め、この得られた値Pの上限と下限の範囲内において、摂取蛋白質量を決定するアトピー性皮膚炎の改善方法。 被験者のBMI値が17.5〜30である請求項1記載のアトピー性皮膚炎の改善方法。 【課題】 アトピー性皮膚炎の改善を目的とした食事療法において、健康を害することなく蛋白質摂取量を削減できる指針とこの指針に基づいた健康食を提案せんとするものである。【解決手段】 一日に摂取すべき蛋白質量P(g/day)を、 K=−0.005(BMI)2+0.6(BMI)+C 但し 8≦C≦10 として定義されるBMIマッチング値Kと、被験者の身長L(m)を用いて、 P=K×L2(g/day)の計算式によって求め、この得られた値Pの上限と下限の範囲内において、摂取蛋白質量を決定する【選択図】 図2


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