タイトル: | 公開特許公報(A)_リチウム二次電池用負極材料及びその製造方法 |
出願番号: | 2003309912 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,H01M4/38,B22F1/00,B22F1/02,C22C12/00,C22C16/00,C22C19/03,C22C19/07,C22C30/00,H01M4/02,H01M4/42,H01M4/46 |
和田 仁 梶田 治 境 哲男 JP 2005078999 公開特許公報(A) 20050324 2003309912 20030902 リチウム二次電池用負極材料及びその製造方法 福田金属箔粉工業株式会社 000239426 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 三枝 英二 100065215 和田 仁 梶田 治 境 哲男 7H01M4/38B22F1/00B22F1/02C22C12/00C22C16/00C22C19/03C22C19/07C22C30/00H01M4/02H01M4/42H01M4/46 JPH01M4/38 ZB22F1/00 RB22F1/02 EC22C12/00C22C16/00C22C19/03 MC22C19/07 MC22C30/00H01M4/02 DH01M4/42H01M4/46 5 1 OL 13 (出願人による申告)平成14年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「箔粉製造技術を利用した次世代高容量二次電池用ナノコンポジット合金材料の創製と加工一体化技術に関する基盤研究」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願 4K018 5H050 4K018BA04 4K018BA20 4K018BC16 4K018BD10 5H050AA07 5H050AA08 5H050BA16 5H050CB11 5H050CB12 5H050CB13 5H050CB29 5H050FA17 5H050GA05 5H050GA10 5H050HA01 5H050HA02 5H050HA05 本発明は、リチウム二次電池用負極材料及びその製造方法に関する。 リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等のリチウム二次電池は、高いエネルギー密度を有するものであり、近年、移動体通信機器、携帯用電子機器等の主電源としての利用が拡大している。 このようなリチウム電池における負極としては、黒鉛、結晶化度の低い炭素等の各種炭素材料が広く用いられている。しかしながら、炭素材料からなる電極は、使用可能な電流密度が低く、理論容量も不十分である。例えば炭素材料のひとつである黒鉛は、理論容量が372mAh/gに過ぎないため、より一層の高容量化が望まれている。 一方、リチウム金属をリチウム二次電池の負極材料とする場合には、高い理論容量が得られるが、充電時に負極にデンドライトが析出し、充放電を繰り返すことによって正極側に達して、内部短絡の現象が起こるというという大きな欠点がある。その上、析出したデンドライトは、比表面積が大きいために反応活性度が高く、その表面で電子伝導性のない溶媒の分解生成物からなる界面被膜が形成され、これにより電池の内部抵抗が高くなって充放電効率の低下を生じる。このような理由により、リチウム金属を用いるリチウム二次電池は、信頼性が低く、サイクル寿命が短いという欠点があり、広く実用化される段階には達していない。 このような背景から、汎用の炭素材料よりも放電容量の大きい物質であって、リチウム金属以外の材料からなる負極材料が望まれている。例えば、錫、珪素、銀などの元素、これらの窒化物、酸化物等は、リチウムと合金を形成することによってリチウムを吸蔵することができ、その吸蔵量は炭素よりはるかに大きい値を示すことが知られており、これらの物質を含む各種の合金負極が提案されている。 しかしながら、これらの物質を負極材料とする場合には、充放電のサイクルを繰り返すうちに、リチウムの吸蔵・放出に伴って大きな膨張・収縮が生じ、電極そのものが瓦解することがある。 その対策として、リチウムを吸蔵・放出しやすい金属と、吸蔵・放出を行なわない金属とからなる合金を負極材料とすることが試みられている。この様な合金によれば、リチウムの吸蔵・放出を行なわない金属が存在することによって、膨潤、微細化を抑制することが可能となると考えることができ、各種の合金が提案されている。 例えば、下記特許文献1には、急冷凝固させた組織を有する合金が開示され、下記特許文献2には、A相とB相のどちらか一方の相が他方の相のマトリックス中に平均粒径0.05〜20μmの島状に分散した構造の合金が開示されている。しかしながら、これらの合金材料についても、大きな初期放電容量は得られるものの、充放電を繰り返すうちに膨張、微細化することは避けられず、放電容量の低下を十分に抑制できる段階には達していない。特開2001−297757号公報(第5頁、図2)特開2001−93524号公報(第2頁) 本発明は、上記従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、高い放電容量を維持しつつ、優れたサイクル特性を発揮できるリチウム二次電池用負極材料を提供することにある。 本発明者は、上記した従来技術の現状に留意しつつ鋭意研究を重ねてきた。その結果、二種以上の特定の元素を含み、ナノオーダーの一次粒子径を有する複合粉末をリチウム二次電池の負極材料とする場合には、リチウムの吸蔵・放出に伴う膨張及び収縮が緩和されて、電極の劣化を防止できることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は、下記のリチウム二次電池用負極材料及びその製造方法を提供するものである。1. 下記(1)〜(3)の条件を満足する複合粉末からなるリチウム二次電池用負極材料;(1)該複合粉末が、Ag、Al、Au、Ca、Cu、Fe、In、Mg、Pd、Pt、Y、Zn、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W及び希土類元素からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であるA成分、Ga、Ge、Sb、Si及びSnからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であるB成分、並びにA成分とB成分との合金からなるものであること、(2)該複合粉末全体におけるA成分とB成分の割合が、両者の合計量を100原子%として、A成分30〜70原子%とB成分70〜30原子%であること、(3)該複合粉末の一次粒子の10%以上が粒径10〜500nmの範囲内にあること。2. 該複合粉末全体におけるA成分とB成分の割合が、両者の合計量を100原子%として、A成分40〜60原子%とB成分60〜40原子%である上記項1に記載のリチウム二次電池用負極材料。3. A成分が、Ag、Cu、Fe、In及びMgからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、B成分が、Sb、Si及びSnからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素である請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用負極材料。4. A成分とB成分の組合せが、Ag−Sb、Au−Sb、Cu−Sb、Zn−Sn、Au−Si、Ca−Si、Cu−Si、Y−Si、Zn−Si、Ag−Sn、Au−Sn、Cu−Sn、In−Sn、Mg−Sn、Pd−Sn、Pt−Sn又はY−Snである上記項1又は2に記載のリチウム二次電池用負極材料。5. Ag、Al、Au、Ca、Cu、Fe、In、Mg、Pd、Pt、Y、Zn、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W及び希土類元素からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であるA成分、並びにGa、Ge、Sb、Si及びSnからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であるB成分からなる原料物質を混合し、メカニカルアロイング処理を行って複合粉末を形成することを特徴とする上記項1〜4のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料の製造方法。 本発明のリチウム二次電池用負極材料は、Ag、Al、Au、Ca、Cu、Fe、In、Mg、Pd、Pt、Y、Zn、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W及び希土類元素からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であるA成分、Ga、Ge、Sb、Si及びSnからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であるB成分、並びにA成分とB成分との合金、からなる複合粉末を有効成分とするものである。この複合粉末において、希土類元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu等を例示できる。 上記複合粉末において、A成分とB成分との合金とは、A成分にB成分が固溶した合金相、A成分とB成分の金属間化合物相、B成分にA成分が固溶した合金相などからなるものである。 上記複合粉末では、特に、A成分は、Ag、Al、Au、Ca、Cu、Fe、In、Mg、Pd、Pt、Y、Zn及び希土類元素からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素が好ましく、Ag、Cu、Fe、In及びMgからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素がより好ましい。また、B成分は、Sb、Si及びSnからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素が好ましい。 好ましいA成分とB成分の組合せは、Ag−Sb、Au−Sb、Cu−Sb、Zn−Sn、Au−Si、Ca−Si、Cu−Si、Y−Si、Zn−Si、Ag−Sn、Au−Sn、Cu−Sn、In−Sn、Mg−Sn、Pd−Sn、Pt−Sn、Y−Sn等の各組合せである。 上記複合粉末は、一次粒子、特に、A成分とB成分が合金化した粒子の粒径がナノサイズオーダーであることによって、後述する様な優れた特性を発揮できる。但し、後述するメカニカルアロイング法で該複合粒子を製造すると、A成分とB成分の組合せによってはミクロンオーダーの一次粒子が含まれる場合があるが、この様なミクロンオーダーの一次粒子が存在することは許容でき、また、微粉化の防止や導電の向上に寄与する場合がある。この様な点から、上記複合粉末は、複合粉末全体を基準として、10%以上の一次粒子が10〜500nm程度の範囲内にあればよく、10〜200nm程度の範囲内にあることが好ましい。この場合、特に、ミクロンオーダーの一次粒子が多く存在すると電極を長寿命化することができる。また、電極を高容量化するためには、50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上の一次粒子が10〜500nm(好ましくは10〜200nm)程度の範囲にあることが好適である。 一次粒子の粒径が上記した範囲内にあることによって、リチウム吸蔵時の原子の再配列が可逆的に生じ易くなり、所期の特性を発揮することが可能となる。上記した粒径を下回る一次粒子については、粉砕に長時間を要するために好ましくなく、また、上記した粒径を上回る一次粒子は、リチウム吸蔵時の原子の再配列が生じ難くなるので、やはり好ましくない。尚、本願明細書では、一次粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって求めた値である。 この様なナノオーダーの複合粉末を負極材料として用いることによって、充電時には、材料全体が容易にリチウムと化合してリチウムを吸蔵することができ、その後、放電時には、不可逆の骨格を残して容易にリチウムを放出して、微粉化を防止することが可能となる。 上記した複合粉末では、A成分とB成分の割合は、複合粉末全体におけるA成分とB成分の合計量を100原子%として、A成分30〜70原子%程度とB成分70〜30原子%程度とすることが必要であり、A成分40〜60原子%程度とB成分60〜40原子%程度であることが好ましい。このような組成とすることによって、リチウム吸蔵時に、面心立方構造のリチウム三元系化合物Li2AB相を主に生成させることができる。この相は、LixABにおいて、x=4付近まで合金の分相がなくリチウム吸蔵することが可能であり、リチウム吸蔵時の体積変化を抑制するのに有効である。 本発明の負極材料の有効成分である複合粉末は、例えば、メカニカルアロイング法によって製造することができる。この方法では、粒径が10〜200nm程度の微細な一次粒子を容易に形成することが可能である。具体的な方法としては、A成分及びB成分からなる原料物質を混合し、メカニカルアロイング処理を行って、一次粒子径を10〜200nm程度とすることによって目的とする複合粉末を得ることができる。メカニカルアロイング処理における遠心加速度(投入エネルギー)は、5〜20G程度であることが好ましく、7〜15G程度であることがより好ましい。 メカニカルアロイング処理自体は公知の方法をそのまま適用すれば良い。例えば、原料混合物を機械的接合力により混合・付着を繰返しながら複合化(一部合金化)させることによって目的とする複合粉末を得ることができる。使用する装置としては、一般に粉体分野で使用される混合機、分散機、粉砕機等をそのまま使用することができる。具体的には、ライカイ機、ボールミル、振動ミル、アジテーターミル等が例示される。特に、ネットワーク間に存在する電池活物質を主成分とする粉末の積み重なりを少なくするためには、複合化操作中に重なり合ったり、凝集したりした粉末を1粒子づつに効率良く分散させる必要があるので、せん断力を与えることのできる混合機を用いることが望ましい。これらの装置の操作条件は特に限定されるものではない。 この様にして得られる微細な一次粒子は、通常、凝集して二次凝集物となっており、メカニカルアロイング法で合金を製造する場合には、レーザー回折法で調べると、二次凝集物の粒度は最大が38〜150μm程度となっている。 二次凝集物の粒径については特に限定はされないが、負極材料として用いる場合には、二次凝集物の90%以上、好ましくは99.9%以上が、粒径1〜105μm程度の範囲内にあることが好ましく、1〜50μm程度の範囲内にあることがより好ましい。また、二次凝集物の平均粒径については、5〜50μm程度であることが好ましく、5〜10μm程度であることがより好ましい。二次凝集物の粒径がこの範囲内にあることによって、電極の作製を高精度に行うことが可能となる。尚、二次凝集物の粒径は、レーザー回折法又は走査電子顕微鏡観察により求めたものである。 上記した複合粉末からなる負極材料では、初充電(リチウム吸蔵)時にリチウムを含む三元化合物が形成され、次の放電(リチウム放出)時に元の複合材料に戻るが、リチウムを含む不可逆な化合物が一部残存する。このことから、リチウムの吸蔵・放出が、このリチウムを含む化合物を介して行われ、初充電(1回目)に形成された不可逆なリチウム化合物が骨格として存在し、2回目以後の充放電では、このリチウム化合物中にリチウムが吸蔵されて、放出されるものと思われる。これにより、充放電による体積変化が緩和されて微粉化が抑制され、電極の劣化が防止されてサイクル特性寿命が向上するものと考えられる。 次に、上記複合粉末を負極材料として用いる場合の充放電反応について説明する。 本発明の負極材料では、充電時には、(1)式で示すように、B成分のLi化合物化が進行する。また(2)式で示すように A3B合金については、Li吸蔵量が増加するに従って、A2LiB からALi2Bへと変化する。同時に(3)式で示す反応も生じるものと思われる。更に(4)式で示すように、高いLi含有のLi三元化合物が生成すると考えられる。LixB、特にx=4.4になると大きな体積膨張から材料の微粉化が生じて、電極特性が劣化するので、Li吸蔵をALi2Bまでにしておくことで、電極特性の向上ができると考えられる。 xLi + B ( LixB (x≦4.4) (1) 2Li + A3B ( A2LiB + A + Li ( ALi2B + 2A (2) ALiB + A + LixB ( ALi2B + LiyB (拡散反応) (3) (y+z)Li + ALi2B ( Li2+yA1-zB + zLiA (y≦2.4, z≦1) (4) 図1は、A成分とB成分を原料とする複合粉末について、リチウムを吸蔵する際に、上記各反応に基づいて、該複合粉末の内部構造が変化する状態を模式的に示す図面である。この図面は、複合粉末とLiとの反応からLiを含む三元化合物が形成される過程を模式的に示すものである。 本発明の負極材料では、リチウムの吸蔵放出過程が三元系化合物A2LiBnとALi2Bを経て行われることが重要である。 例えば、Ag/Sn(原子比)=52/48の複合材料を用いた負極では、2サイクル目の放電容量は570mAh/gとなり、1サイクルに比べて容量が約270mAh/g低下する。この不可逆な容量変化は、1回目の充電で生成したAgLi2Sn相に起因すると考えられる。リチウムの吸蔵放出過程がAg2LiSn(密度7920 g/cm3)及びAgLi2Sn(密度5630 kg/m3)を経て行われることにより、Ag3Sn(密度9932 g/cm3)に対する体積変化は、それぞれ、1.25倍(Ag2LiSn)と1.76倍(AgLi2Sn)となる。Sn(密度7286 kg/m3)がLiを吸蔵してLi4.4Sn (密度1920 g/cm3)になる場合には体積変化が3.8倍であることと比較すると、上記した三元化合物が形成される場合には体積増加が非常に少なくなる。このため、電極の膨潤や微細化による容量低下が抑制されてサイクル寿命が向上するものと思われる。その結果、該複合粉末は、放電容量が高く、充放電に伴う劣化が少なく、リチウム電池用負極材料として用いた場合に、高い放電容量と優れたサイクル特性を両立することができる。 図2は、AgFeSn(AB型)複合粉末からなる電極のリチウム吸蔵状態の内部構造組織を示す透過電子顕微鏡写真である。図中の濃色(点1、2)や灰色(点3,4)はLiAg2SnやLi2AgSnの三元化合物を、明色(5、6)はLiSn、LiAg化合物を示し、AB型複合材料がLiを吸蔵してLi三元化合物を形成していることが判る。 上記した複合粉末をリチウム電池用の負極材料として用いる場合には、リチウム電池用負極の構成は、該複合粉末を負極材料として用いる他は、公知のものと同様でよい。例えば、必要に応じて樹脂系バインダ−、導電助材等を配合し、銅箔集電体等の公知の集電体上に電極層を形成し、一体化することによって負極を作製することができる。この負極を用いてリチウム電池を製造する場合には、公知のリチウムイオン電池の電池要素(正極、セパレ−タ−、電解液等)を用い、角型、円筒型、コイン型など公知のリチウムイオン電池の組立方法に従えばよい。 本発明の負極材料は、初期放電容量が大きく、サイクル特性に優れた材料であり、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池などのリチウム二次電池用の負極材料として有用性が高いものである。 以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。実施例1〜50 下記表1に示す比率(原子%)となるように金属粉末を混合し、金属粉末100重量部に対して滑剤としてステアリン酸を0.5重量部添加し、フリッチェ製遊星ボ−ルミルに投入し、メカニカルアロイング処理を行うことによって複合粉末を得た。得られた複合粉末の一次粒子の粒径を透過型電子顕微鏡で測定した結果、全ての粒子が、50〜200nmの範囲内であった。 このようにして得られた複合粉末85重量部に、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)をN-メチルピロリドン(NMP)に溶解させたペースト10重量部とカ−ボンブラック5重量部を添加し、混合してスラリ−を調製した。 次いで、厚さ12μmの電解銅箔に上記スラリ−を乗せて、ドクターブレードでラミネートし、シート化した。得られたシートを80℃で10分間乾燥してNMPを揮発させて除去した後、ロ−ルプレス機により、電解銅箔からなる集電体と上記複合粉体からなる負極層を強固に密着接合させた。これを1cm2の円形ポンチで抜き取り、120℃で6時間真空乾燥させて厚さ10μmの電極とした。 上記した電極を負極とし、金属リチウムを対極として、1モルのリチウムPF6/エチレンカ−ボネ−ト(EC)+ジメチルカ−ボネ−ト(DMC)(EC:DMC=1:2(体積比))溶液を電解液として、ドライボックス中でコイン型モデル電池(CR2032タイプ)を作製した。 このモデル電池における負極の評価を次の方法で行った。 まず、モデル電池を、0.2mA/cm2 の定電流で0Vに達するまで放電し、10分間の休止後、0.2mA/cm2 の定電流で1.0Vに達するまで充電した。これを、1サイクルとして、繰り返し充放電を行って放電容量を調べた。 各実施例の複合粉末を用いた電池について、サイクル数と放電容量を表1に示す。尚、表2には、比較例として、単独金属(比較例1〜8)、2成分系合金(比較例9〜21)又は3成分系合金(比較例22〜24)を負極材料として用いた場合について、サイクル数と放電容量を示す。 上記表から明らかなように、各実施例の複合粉末を負極とした電池では、初期放電容量が高く、しかも50サイクル後の放電容量も十分維持されていることが判る。 図3は、実施例30の負極材料を用いた電池と、比較例8の負極材料を用いた電池について、放電容量とサイクル数との関係であるサイクル特性を示すグラフである。図3から明らかなように、実施例30の負極材料を用いた電池については、初期容量が560mAh/gであって、300サイクル後でも370mAh/gの容量を維持しており、比較例8の負極材料を用いた電池と比較して、優れたサイクル寿命を有することが判る。 図4は、実施例3の負極材料の内部構造組織を示す透過電子顕微鏡写真である。図4によれば、この材料は、数10nmオーダーの微結晶粒子から構成されていることが判る。リチウムを吸蔵する際の本発明負極材料の内部構造変化を模式的に示す図面。本発明負極材料のリチウム吸蔵状態の内部構造組織を示す透過電子顕微鏡写真。実施例30の負極材料を用いた電池と、比較例8の負極材料を用いた電池についてサイクル特性を示すグラフ。実施例3の負極材料の内部構造組織を示す透過電子顕微鏡写真。 下記(1)〜(3)の条件を満足する複合粉末からなるリチウム二次電池用負極材料;(1)該複合粉末が、Ag、Al、Au、Ca、Cu、Fe、In、Mg、Pd、Pt、Y、Zn、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W及び希土類元素からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であるA成分、Ga、Ge、Sb、Si及びSnからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であるB成分、並びにA成分とB成分との合金からなるものであること、(2)該複合粉末全体におけるA成分とB成分の割合が、両者の合計量を100原子%として、A成分30〜70原子%とB成分70〜30原子%であること、(3)該複合粉末の一次粒子の10%以上が粒径10〜500nmの範囲内にあること。 該複合粉末全体におけるA成分とB成分の割合が、両者の合計量を100原子%として、A成分40〜60原子%とB成分60〜40原子%である請求項1に記載のリチウム二次電池用負極材料。 A成分が、Ag、Cu、Fe、In及びMgからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、B成分が、Sb、Si及びSnからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素である請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用負極材料。 A成分とB成分の組合せが、Ag−Sb、Au−Sb、Cu−Sb、Zn−Sn、Au−Si、Ca−Si、Cu−Si、Y−Si、Zn−Si、Ag−Sn、Au−Sn、Cu−Sn、In−Sn、Mg−Sn、Pd−Sn、Pt−Sn又はY−Snである請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用負極材料。 Ag、Al、Au、Ca、Cu、Fe、In、Mg、Pd、Pt、Y、Zn、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W及び希土類元素からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であるA成分、並びにGa、Ge、Sb、Si及びSnからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であるB成分からなる原料物質を混合し、メカニカルアロイング処理を行って複合粉末を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料の製造方法。 【課題】高い放電容量を維持しつつ、優れたサイクル特性を発揮できるリチウム二次電池用負極材料を提供する。【解決手段】下記(1)〜(3)の条件を満足する複合粉末からなるリチウム二次電池用負極材料;(1)該複合粉末が、Ag、Al、Au、Ca、Cu、Fe、In、Mg、Pd、Pt、Y、Zn、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W及び希土類元素からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であるA成分、Ga、Ge、Sb、Si及びSnからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であるB成分、並びにA成分とB成分との合金からなるものであること、(2)該複合粉末全体におけるA成分とB成分の割合が、両者の合計量を100原子%として、A成分30〜70原子%とB成分70〜30原子%であること、(3)該複合粉末の一次粒子の10%以上が粒径10〜500nmの範囲内にあること。【選択図】図1