生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_安定性の高い粉末組成物
出願番号:2003306043
年次:2005
IPC分類:7,A23L1/22,A23L1/09,A23L1/275,A61K7/00


特許情報キャッシュ

鈴木 寿嗣 中村 哲也 JP 2005073541 公開特許公報(A) 20050324 2003306043 20030829 安定性の高い粉末組成物 長谷川香料株式会社 000214537 鈴木 寿嗣 中村 哲也 7A23L1/22A23L1/09A23L1/275A61K7/00 JPA23L1/22 AA23L1/09A23L1/275A61K7/00 F 7 OL 9 4B018 4B041 4B047 4C083 4B018MA01 4B018MA07 4B018MB03 4B018MC01 4B018MF14 4B041LC07 4B041LD10 4B041LE01 4B041LK11 4B041LK12 4B041LK50 4B041LP07 4B047LB09 4B047LE06 4B047LG12 4B047LG23 4B047LG25 4B047LG28 4C083AD211 4C083CC01 4C083DD17 4C083DD31 4C083EE01 本発明は、香料、色素、機能性物質などの油性物質の乳化組成物調製後における保護剤等の沈澱・結晶化等のトラブルを生じることなく、また乳化組成物を乾燥して得られた粉末組成物の吸湿性が低くかつ保存安定性に優れ、当該組成物を各種の飲食品、化粧品などに配合した際に長期間安定に香気、香味、色調および/または各種の機能性を付与することのできる粉末組成物及びその製法に関する。 従来、飲料、その他の食品および化粧品などに好ましい香気、香味、色調を付与したり、また例えば、脳機能改善作用やコレステロール低下作用などの生理活性作用を付与する目的で、油性着香料、油溶性色素類、ビタミン類等の機能性物質などの油性材料を、植物性天然ガム質溶液であるアラビアガム溶液あるいは化工でん粉、デキストリンのごとき乳化剤、賦形剤などと混合した後、噴霧乾燥して得られる粉末素材が一般的に使用されている。また、上記のような油性材料を、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの合成界面活性剤、適当な賦形剤などを用いて混合または乳化し、噴霧乾燥する方法も行われている。 しかしながら、香料、色素、機能性物質などの油性物質を乳化剤、賦形剤などの存在下に乳化し、この乳化混合物を、例えば噴霧乾燥して得られる粉末素材は、吸湿性並びに香気、香味、色調、機能性物質の保存安定性の点で満足できるものではなく、解決すべき問題点があった。 本発明者らは、上記問題点を解決するため先に、香料、色素およびビタミン類等の機能性物質の保存安定性を改善することを目的として、香料などの可食性油性材料と水溶性大豆多糖類を含む乳化混合物を乾燥したものからなることを特徴とする水溶性粉末香料(特許文献1参照)、香料、トレハロース、乳化剤及び水を含む乳化混合物を乾燥することを特徴とする粉末香料の製造方法(特許文献2参照)、機能性物質、トレハロース、乳化剤及び水を含む乳化混合物を乾燥することを特徴とする粉末機能性物質の製造方法(特許文献3参照)、香料、色素および機能性物質から選択される少なくとも1種の成分と、トレハロースおよび水溶性ヘミセルロースを含んでなる粉末状混合物(特許文献4参照)等を提案してきた。 しかしながら、本発明者らの提案による香料、色素、機能性物質などの油性物質を乳化剤、トレハロース、賦形剤などの存在下に乳化し、この乳化混合物を、例えば噴霧乾燥して得られる粉末素材は、従来法に比べて、吸湿性並びに香気、香味、色調、機能性物質の保存安定性の点で改善されているものの必ずしも満足できるものではなかった。また、調製した乳化混合物は、調製後しばらくすると、トレハロースの結晶化・沈澱を伴う乳化安定性に関するトラブルが発生し、解決すべき問題点があった。 一方、マルトシルトレハロースに関する従来提案としては、例えば、トレハロースを、水分当たり本来の溶解度量を越えて溶解含有しているとともに、分子内にトレハロース構造を有する他のオリゴ糖(マルトシルトレハロースを含む)を溶解含有している難晶出性乃至非晶出性トレハロース高含有シラップ(特許文献5参照)等が報告されている。 しかしながら、上記報告には、香料、色素等の油性物質、マルトシルトレハロース及び乳化剤を含有する粉末組成物、又は香料、色素等の油性物質、マルトシルトレハロース、乳化剤及び保護剤を含有する粉末組成物については、何等記載されていない。そして、これらの粉末組成物が吸湿性と保存安定性に優れていること並びに当該組成物を配合した飲食品、化粧品等の保存安定性及び吸湿性が改善されることは提案されていない。特開平7−107937号公報特開平9−107911号公報特開平9−187249号公報特開2000−217538号公報特開平10−165118号公報 本発明は上述の問題点を解決できるものであり、その目的とするところは、吸湿性が改善された香料などの粉末組成物の提供、並びに香料、色素、機能性物質などの油性物質の保存安定性に優れ、各種の飲食品、化粧品などに利用することができ、これらの飲食品、化粧品などの香気、香味、色調、嗜好性などになんら悪影響を与えることなく、飲食品や化粧品などに長期間安定に香気、香味、色調および各種の機能性を付与することのできる粉末組成物を提供することである。本発明の他の目的は、乾燥前の乳化組成物で従来問題となっていたトレハロース等の保護剤の沈澱・結晶化等を起こさない安定な乳化組成物を提供することである。 本発明者らは、上記のごとき従来型の粉末素材について、その欠点を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、従来型の粉末組成物の乳化の際に、澱粉を酵素分解して得られる非還元性4糖類であるマルトシルトレハロースを添加して乳化することにより、トレハロース等の結晶化を起こすことのない安定な乳化組成物が得られること、また、この乳化組成物を乾燥することにより、著しく吸湿性が改善された粉末組成物が得られ、当該組成物は香料、色素、機能性物質などの油性物質の保存安定性に優れていること、更にその粉末組成物は、各種の飲食品、化粧品などの香気、香味、色調、嗜好性、機能性などに悪影響を与えることなく、長期間安定に香気、香味、色調および/または機能性を飲食品や化粧品などに付与することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。 かくして、本発明によれば、上述したような特徴を有する油性物質、マルトシルトレハロース及び乳化剤を含む粉末組成物に関する第1発明、保護剤を含む請求項1記載の粉末組成物に関する第2発明、粉末組成物の重量に基づいて、油性物質を0.5〜70重量%、及びマルトシルトレハロースを1〜90重量%含む請求項1又は請求項2記載の粉末組成物に関する第3発明、粉末組成物の重量に基づいて、油性物質を0.5〜70重量%、及びマルトシルトレハロースと保護剤を合わせて1〜95重量%含む請求項2記載又は請求項3の粉末組成物に関する第4発明、マルトシルトレハロースの重量に基づいて、保護剤を1〜90重量%含む請求項2〜4のいずれかに記載の粉末組成物に関する第5発明、保護剤が、トレハロース、シクロデキストリン、マルトース、ラクトース、糖アルコール及びデキストリンから選択される1種又は2種以上の混合物である請求項2〜5のいずれかに記載の粉末組成物に関する第6発明、油性物質、マルトシルトレハロース及び乳化剤からなる乳化組成物、又は油性物質、マルトシルトレハロース、乳化剤及び保護剤からなる乳化組成物を乾燥する請求項1〜6のいずれかに記載の粉末組成物の製法に関する第7発明が提供される。 本発明は、油性物質、マルトシルトレハロース及び乳化剤を含む粉末組成物、又は油性物質、マルトシルトレハロース、乳化剤及び保護剤を含む粉末組成物を提供することができる。本発明の特徴はマルトシルトレハロースを添加することであり、この添加による効果として、従来問題点とされていた乳化組成物保存中におけるトレハロース等の沈澱・結晶化等のトラブルを解消することができ、また、保存安定性並びに吸湿性の改善された粉末組成物を得ることができる。 以下、本発明について更に詳細に説明する。 本発明において使用する油性物質としては、特に制限されるものでなく、飲食品、化粧品等に通常用いられるものはいずれも使用可能であり、香料、色素、機能性物質などの油性材料を例示することができる。香料としては、例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどの柑橘類精油;花精油、ペパーミント油、スペアミント油、スパイス油などの植物精油;コーラナッツ、コーヒー、ワニラ、ココア、紅茶、緑茶、ウーロン茶、香辛料などの粉砕物、エキストラクト類、オレオレジン類、エッセンス類、回収香;合成香料化合物、調合香料組成物及びこれらの任意の混合物などが挙げられる。 また、本発明の色素としては、例えば、α−カロチン、β−カロチン、リコペン、パプリカ色素、アナトー色素、クロロフィル、クチナシ色素、ベニバナ色素、モナスカス色素、ビート色素、エルダベリー色素、マリーゴールド色素、コチニール色素などが挙げられる。 更に、本発明における機能性物質とは、生体調節作用を有する物質を意味し、かかる機能性物質としては、例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、DHAおよび/またはEPA含有魚油、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸、月見草油、ボラージ油、レシチン、オクタコサノール、ローズマリー、セージ、γ−オリザノール、β−カロチン、パームカロチン、シソ油、キチン、キトサン、ローヤルゼリー、プロポリス;ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンKなどの油溶性ビタミン類およびその誘導体、コエンザイムQ10などを挙げることができる。 本発明で使用するマルトシルトレハロースは、澱粉に酵素を作用させて製造できる非還元性4糖類であるが、この化合物は、例えば、グルコース重合度3以上から選ばれる1種又は2種以上の還元性澱粉部分分解物から分子の末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する非還元性糖質生成酵素を利用して、還元性澱粉部分分解物から分子の末端にトレハロース構造を有するグルコース重合度3以上の非還元性糖質(マルトシルトレハロースを含む)を製造することができる(特開平7−143876号公報参照)。また、市販のマルトシルトレハロースを利用することもできる。 本発明の粉末組成物における油性物質並びにマルトシルトレハロースの含有量は、厳密に制限されるものではなく、使用する油性物質の種類や形態などにより適宜に選択することができるが、一般には、油性物質は、粉末組成物の重量を基準にして約0.5〜約70重量%、好ましくは約5〜約50重量%の範囲内が適当である。また、マルトシルトレハロースは、粉末組成物の重量を基準にして約1〜約90重量%、好ましくは約10〜約80重量%の範囲内が適当である。これらの範囲を外れると、吸湿性が極端に上昇し保存安定性が低下するため、好ましくない。 更に、本発明の粉末組成物における油性物質とマルトシルトレハロースの配合比率は特に制限されないが、一般には、油性物質:マルトシルトレハロースの重量比を約1:100〜約5:1、好ましくは約1:50〜約3:1の範囲内とすることにより、香料、色素、機能性物質などの油性物質の保存安定性に優れた粉末組成物及び吸湿性の改善された粉末組成物を得ることができる。 本発明で使用する乳化剤も特に制限されるものではなく、従来から飲食品、化粧品等に用いられている各種の乳化剤が使用可能であり、例えば、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、化工でん粉、ソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸及びその塩類、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン等を挙げることができる。 これら乳化剤の使用量は厳密に制限されるものではなく、用いる乳化剤の種類等に応じて広い範囲にわたり変えることができるが、通常、油性物質1重量部に対し約0.05〜約50重量部、好ましくは約0.1〜約20重量部の範囲内が適当である。 また、本発明で用いることのできる保護剤も特に制限されるものではなく、従来から飲食品、化粧品等に使用されている各種の保護剤が使用可能であり、例えば、トレハロース、シクロデキストリン、マルトース、ラクトース、糖アルコール、デキストリン等を挙げることができるが、トレハロースは保存安定性に最も優れているので特に好ましい。 本発明の粉末組成物における保護剤の含有量は、厳密に制限されるものではなく、使用する油性物質の種類や形態などにより適宜に選択することができるが、一般には、粉末組成物の重量を基準にして約1〜約70重量%、好ましくは約5〜約60重量%の範囲内が適当である。これらの範囲を外れると、吸湿性の増加や保存安定性が低下するので好ましくない。 また、本発明の粉末組成物における油性物質、マルトシルトレハロース並びに保護剤の配合比率は特に制限されるものではないが、一般には、油性物質:マルトシルトレハロースと保護剤の合計の重量比を約1:100〜約5:1、好ましくは約1:80〜約3:1にするのがよい。更に、マルトシルトレハロースの1重量部に対して、保護剤を約0.05〜約3重量部、より好ましくは約0.1〜約2重量部の範囲内とするのがよく、この配合比率にすることにより、従来粉末組成物の乳化の際にトラブルの原因となっていたトレハロース等の結晶化を起こすことのない安定な乳化組成物が得られ、また、この乳化組成物を乾燥することにより、香料、色素、機能性物質などの油性物質の保存安定性に優れた粉末組成物及び吸湿性の改善された粉末組成物を得ることができる。 本発明によれば、以上に述べた油性物質、マルトシルトレハロース、乳化剤及び保護剤は、水と共に混合乳化し、得られる乳化組成物を乾燥することにより、本発明の粉末組成物を容易に得ることができる。また、必要に応じて上記乳化組成物には、砂糖、乳糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴等の糖類;糖アルコール類;デキストリン等の各種デンプン分解物およびデンプン誘導体、デンプン、ゼラチン、アラビアガム等の天然ガム類などを適宜配合することもできる。これらの配合量は粉末組成物に望まれる特性等に応じて適宜に選択することができる。 本発明の粉末組成物の製造方法の好ましい一実施態様を示せば、例えば、まず水に前記した如きマルトシルトレハロース、乳化剤、香料、色素、機能性物質などの油性物質及び保護剤等を添加し、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー等を用いて混合乳化処理を行い、保護剤の結晶化等のトラブルを伴わない安定な乳化組成物を調製する。得られた乳化組成物を真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等の乾燥手段で乾燥することにより、吸湿性が改善され、香料、色素、機能性物質等の油性物質の保存安定性に優れた粉末組成物を得ることができる。 かくして得られる粉末組成物は、例えば、飲料、粉末飲料、チューインガム、錠菓、スナック類、水産加工食品、畜肉加工食品、レトルト食品、冷凍食品、インスタントラーメン、健康食品などの飲食品類に適当量を配合することにより、吸湿性が改善され且つ長期間安定に香気、香味、色調、機能性が付与された飲食品類を提供することができる。また、例えば、制汗剤、シャンプー類、ヘアークリーム類、ポマード類、オシロイ、口紅など化粧品類に適当量を配合することにより長期間安定に香気、色調、機能性が付与された化粧品類を提供することができる。さらにまた、洗濯用洗剤類、消毒用洗剤類、室内芳香剤などの保健・衛生材料類、医薬品、タバコなどに利用することができる。これら飲食品類、化粧品類などに配合される粉末組成物の使用量は、賦香品の種類、形態などにより異なるが、一般的には、賦香品1重量部に対して約1/10000〜約1/50重量部、好ましくは約1/5000〜約1/100重量部の範囲内で使用することができる。 次に実施例、参考例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。 (実施例1)(レモンオイル粉末の製造) 水80gにポリグリセリン脂肪酸エステル5g及びマルトシルトレハロース85gを加えて溶解し、85〜90℃で15分間加熱殺菌する。これを40℃に冷却し、レモンオイル10gを添加混合した後、TK一ホモミキサーで乳化した。この乳化組成物を大川原化工機製スプレードライヤーL−8を使用して、入口温度160℃、出口温度80℃にて噴霧乾燥し、レモンオイル粉末95g(本発明品1)を得た。 (参考例1) 実施例1において、マルトシルトレハロースをトレハロースとした以外は実施例1と同様に処理してレモンオイル粉末90g(参考品1)を得た。 (参考例2) 実施例1において、マルトシルトレハロースをデキストリンとした以外は実施例1と同様に処理してレモンオイル粉末90g(参考品2)を得た。 (比較例1) 実施例1、参考例1、参考例2で得られたレモンオイル粉末を下記に示す方法で保存試験を行い、GLCを用いて該粉末中のレモンオイル香気成分を分析した。また、レモンオイル粉末の吸湿性を調べるために、保存試験後の粉末の状態も観察した。保存試験方法は、低密度ポリエチレン袋に本発明品1、参考品1、参考品2を入れ、遮光下で50℃、湿度30%RH、4週間保存した後、GLCでレモンオイル中のp−サイメンの含有量を測定し、調整直後を1としてその相対量を算出した。その結果を表1に示す。p−サイメンはレモンオイルの劣化臭として知られており、増加率が高いほど劣化度が高いことを示す。 上記表1の結果から分かるように本発明品1は、参考品2と比較してレモンオイルの保存安定性に優れており、また、参考品1と比較して粉末状態も良好であり、吸湿性が改善されていることがわかる。以上のことより、本発明品1は、レモンオイルの保存安定性に優れると共に、吸湿性が改善された良好な粉末組成物であることが分かる。 (実施例2)(レモンオイル粉末の製造) 実施例1において、ポリグリセリン脂肪酸エステル5gをオクテニルコハク酸エステル化デンプン10gに代え、またマルトシルトレハロース85gをマルトシルトレハロース70gとラクトース10gに代えた以外は、実施例1と同様に処理してレモンオイル粉末95g(本発明品2)を得た。 (参考例3) 実施例2において、マルトシルトレハロースをトレハロースに代えた以外は、実施例2と同様に処理してレモンオイル粉末90g(参考品3)を得た。 (参考例4) 実施例2において、マルトシルトレハロースをデキストリンに代えた以外は、実施例2と同様に処理してレモンオイル粉末90g(参考品4)を得た。 (比較例2) 実施例2、参考例3、参考例4で得られたレモンオイル粉末を比較例1と同様の方法で保存試験を行い、レモンオイル中のp−サイメン増加率の測定及び粉末状態の観察を行った。その結果を表2に示す。 上記表2の結果から分かるように本発明品2は、参考品4と比較してレモンオイルの保存安定性に優れており、また、参考品3と比較して粉末状態も良好であり、吸湿性が改善されていることがわかる。以上のことより、本発明品2は、レモンオイルの保存安定性に優れると共に、吸湿性が改善された良好な粉末組成物であることが分かる。 (実施例3)(パプリカ含有粉末の製造) 水50gにオクテニルコハク酸エステル化デンプン10g、マルトシルトレハロース70g及びマルチトール10gを加えて溶解し、85〜90℃で15分間加熱殺菌する。これを50℃に冷却し、パプリカオイル10gを添加混合した後、TK一ホモミキサーで乳化した。この乳化組成物を真空乾燥機を使用して、棚温度60℃で16時間乾燥し、パプリカ含有粉末95g(本発明品3)を得た。 (実施例4) (パプリカ含有粉末の製造) 実施例3においてマルトシルトレハロース70gを、マルトシルトレハロース40gとトレハロース30gに代えた以外は実施例3と同様に処理してパプリカ含有粉末90g(本発明品4)を得た。 (参考例5) 実施例3においてマルトシルトレハロース70gをトレハロース70gに代えた以外は実施例3と同様に処理してパプリカ含有粉末90g(参考品5)を得た。 (参考例6) 実施例3において水50gを70gに、マルトシルトレハロース70gをデキストリン70gに変えた以外は実施例3と同様に処理してパプリカ含有粉末90g(参考例6)を得た。 (比較例3) 実施例3、実施例4、参考例5、参考例6で調製した乳化組成物を一昼夜静置して、その均一安定性(乳化安定性)を調べた。更に、実施例3、実施例4、参考例5、参考例6で得られたパプリカ含有粉末を下記に示す方法で保存試験を行い、分光光度計を用いてパプリカ色素の含量を測定した。また、乾燥前の乳化組成物の状態及び保存試験後の粉末の状態も観察した。保存試験方法は、低密度ポリエチレン袋に本発明品3、本発明品4、参考品5、参考品6を入れ、遮光下で50℃、湿度30%RH、4週間保存した後、分光光度計でパプリカ色素の含有量を測定し、調製直後のパプリカ色素の含量を100%として、その相対量を算出し比較した。その結果を表3に示す。 上記表3の結果から分かるように本発明品3〜4の乾燥前の乳化組成物の状態は、参考品5の乾燥前の乳化組成物の状態と比較すると、トレハロースの結晶が生じておらず、乳化組成物の乳化安定性に優れている。また、本発明品3〜4は、参考品6と比較してパプリカ色素残存率から分かるようにパプリカ色素の保存安定性に優れており、更に、本発明品3〜4は、参考例5と比較して保存後の粉末状態も良好であり、吸湿性が改善されていることがわかる。以上のことから、本発明品3〜4は、乳化組成物の乳化安定性、パプリカ色素の保存安定性、保存後の粉末状態のいずれにも優れている粉末組成物であることがわかる。 (実施例5) (メントール粉末香料の製造) 水80gにオクテニルコハク酸エステル化澱粉20g、マルトシルトレハロース60gを加えて溶解し、85〜90℃で15分間加熱殺菌する。これを60℃に冷却し、l−メントール20gを添加混合した後、TK−ホモミキサーで乳化した。この乳化組成物をニロ社のモービルマイナー型スプレードライヤーを使用して、入口温度160℃、出口温度80℃にて噴霧乾燥し、メントール粉末香料95g(本発明品5)を得た。 (参考例7) 実施例5において水80gを150gに代え、マルトシルトレハロースをデキストリンに代えた以外は、実施例5と同様に処理してメントール粉末香料90g(参考品7)を得た。 (比較例4) 実施例5〜参考例7で得られたメントール粉末香料を0.5%賦香して常法通りにタブレットを調製した。調製したタブレットの保存試験を行うために、それぞれのタブレットを低密度ポリエチレン袋に入れ、遮光下で50℃、2週間、4週間、12週間の条件で保存し、保存後のメントール析出の有無を目視で観察した。その結果を表4に示す。 上記表4の結果から明らかなように本発明品5配合のタブレットは、50℃で12週間保存した後においてもメントールの析出が認められず、一方4週間で析出が観察される参考品7配合のタブレットと比較して保存安定性に優れていることがわかる。油性物質、マルトシルトレハロース及び乳化剤を含むことを特徴とする粉末組成物。保護剤を含むことを特徴とする請求項1記載の粉末組成物。粉末組成物の重量に基づいて、油性物質を0.5〜70重量%、及びマルトシルトレハロースを1〜90重量%含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の粉末組成物。粉末組成物の重量に基づいて、油性物質を0.5〜70重量%、及びマルトシルトレハロースと保護剤を合わせて1〜95重量%含むことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の粉末組成物。マルトシルトレハロースの重量に基づいて、保護剤を1〜90重量%含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の粉末組成物。保護剤が、トレハロース、シクロデキストリン、マルトース、ラクトース、糖アルコール、デキストリンから選択される1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の粉末組成物。油性物質、マルトシルトレハロース及び乳化剤からなる乳化組成物、又は油性物質、マルトシルトレハロース、乳化剤及び保護剤からなる乳化組成物を乾燥することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の粉末組成物の製法。 【課題】 香料、色素、機能性物質などの油性物質の保存安定性並びに吸湿性が改善された優れた粉末組成物の提供すること、当該組成物を各種の飲食品、化粧品などに配合すると長期間安定に香気、香味、色調および/または各種の機能性を付与することのできる優れた粉末組成物の提供する。【解決手段】 油性物質、マルトシルトレハロース及び乳化剤を含む粉末組成物、又は油性物質、マルトシルトレハロース、乳化剤及び保護剤を含む粉末組成物を提供する。【選択図】無し


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