生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_共重合組成の定量方法
出願番号:2003301605
年次:2005
IPC分類:7,G01N24/08,C08F20/26,G01R33/28


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小松 範行 清水 隆生 百瀬 陽 JP 2005069941 公開特許公報(A) 20050317 2003301605 20030826 共重合組成の定量方法 三菱レイヨン株式会社 000006035 小松 範行 清水 隆生 百瀬 陽 7G01N24/08C08F20/26G01R33/28 JPG01N24/08 510PC08F20/26G01N24/02 B 4 OL 6 4J100 4J100AL08P 4J100AL08Q 4J100BA03P 4J100BC09P 4J100BC53Q 4J100CA04 4J100CA05 本発明は、水酸基を含有する構成単位を含む共重合体の共重合組成を定量する方法に関する。 重合体の多くは、目的とする特性を実現するため、性質の異なるモノマーの共重合体として用いられている。共重合体の特性を制御するためには、共重合組成の分析が重要となる。特に、微細加工に用いるレジスト用ポリマーなどの機能性材料に用いられる共重合体では、共重合組成の変動が材料特性の変動につながるため、共重合組成の高精度な分析方法が必要とされている。 共重合体の共重合組成分析方法には、熱分解ガスクロマトグラフィー法や赤外(IR)吸収スペクトル法、1H−NMR法、13C−NMR法などが知られている。熱分解ガスクロマトグラフィー法や赤外吸収スペクトル法では、定量のために標準物質を用いた検量線をあらかじめ準備する必要がある。13C−NMR法は検量線不要の利点があるが、定量分析に十分なスペクトルを得るために長時間の測定を要し、定量精度も十分ではない。 一方、1H−NMR法は標準物質による検量線を準備する必要がなく、比較的短時間に分析できる簡便な方法として利用されている。 しかし、水酸基(−OH)やアミノ基(−NH2)、カルボキシル基(−COOH)などの水素原子は溶液中の水分やアルコールなどの水素原子との間の化学交換を起こし、1H−NMRスペクトル上で水酸基のシグナルが分離しなくなったり、シグナル強度が水酸基のモル数を反映しなくなる場合がある。1H−NMR法を定量分析に用いる場合には、定量の精度や再現性を確保するために、水酸基、アミノ基、カルボキシル基由来のシグナルは一般に定量分析では使用されない。 また、複雑な1H−NMRスペクトルを示すモノマーを含む共重合体や構造の類似した構成単位を含む共重合体は組成の定量が困難であった。例えば、特許文献1には水酸基を含有する脂環式骨格を有する構成単位を含む樹脂が記載されているが、その樹脂を製造する際の仕込み単量体比は記載されているものの、得られた樹脂の共重合組成は定量分析が行われておらず不明である。特開2001−215704号公報 本発明の目的は、水酸基を有する構成単位を含む共重合体の共重合組成を、1H−NMRスペクトル上の水酸基由来のシグナルを用いて精度および再現性良く定量する方法を提供することである。 発明者らは鋭意検討した結果、1H−NMRスペクトル上の水酸基由来のシグナルの化学交換の影響を軽減して水酸基のモル数を反映したシグナル強度で観測しできる方法を見出した。この方法により、水酸基を用いた信頼性の高い共重合組成分析方法が可能となった。 すなわち、本発明の第一の要旨は、水酸基を有する構成単位を含む共重合体を、ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)、アセトン−d6、N,N'−ジメチルホルムアミド(DMF−d7)、テトラヒドロフラン(THF−d8)、およびN,N'−ジメチルアセトアミド(DMAc−d9)のいずれか一種から選ばれる重水素化溶媒に溶解した溶液を用い、1H−NMRスペクトルによる、水酸基のシグナルを測定する共重合組成の定量方法である。 本発明の方法を用いることで水酸基を含有する共重合体の共重合組成を高精度で再現性よく測定可能となる。 以下、本発明を詳しく説明する。 水酸基の水素原子はアルコールや水等の水素原子と化学交換する。NMR溶媒中に存在するアルコールや水等は、微量ならば、共重合組成の定量は可能であるが、NMR溶媒中の存在量が、水だと1質量%、アルコールだと5質量%を超えると、1H−NMRスペクトル上で水酸基のプロトンに由来するシグナルがブロードとなったり消失したりして測定の精度や再現性が不十分となる。また、NMR溶媒中、化学交換を促す触媒の働きをすると考えられる酸性および塩基性不純物が共存するのは好ましくない。これらの不純物が共存する場合にも、水酸基の水素原子は化学交換をして、1H−NMRスペクトル上でそれに由来するシグナルがブロードとなったり消失したりして測定の精度や再現性が不十分となる。しかし、化学交換が起こり難い環境では、水酸基のモル数に応じたシグナル強度が再現よく観測され、共重合組成が定量可能となる。 本発明で用いる重水素化溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)、アセトン−d6、N,N'−ジメチルホルムアミド(DMF−d7)、テトラヒドロフラン(THF−d8)、およびN,N'−ジメチルアセトアミド(DMAc−d9)のいずれか一種から選ばれる。これらの溶媒中では水酸基の水素原子の化学交換が起こり難い。中でも、脂環式骨格を有する構成単位を含む共重合体の溶解性がよく、この共重合体を溶解したときの粘度が適度であり、溶媒の製造時に混入する酸性および塩基性の不純物が少ない点で、ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)が好ましい。 本発明は、例えば水酸基を含有する脂環式骨格を有する構成単位と水酸基を含有しない脂環式骨格を有する構成単位とを含む共重合体であり、水酸基を含有する脂環式骨格を有する構成単位および水酸基を含有しない脂環式骨格を有する構成単位がそれぞれ独立に(メタ)アクリル酸エステルの二重結合が開鎖した構造と結合している共重合体の組成の定量に好適である。また、本発明は特に水酸基が3級炭素に直接結合している構成単位を含む共重合体の組成の定量に好適である。脂環式骨格とは、環状の飽和炭化水素を1個以上有する骨格である。この環状の飽和炭化水素は置換基を有していてもよい。重合して3級炭素に直接結合する水酸基を含有する構成単位となる単量体としては、具体的には下記の化合物が挙げられる。 本発明では、共重合体溶液の1H−NMRスペクトルの各シグナルの強度の積分比を測定することで、共重合組成を定量できる。1H−NMRスペクトルからの共重合組成の定量方法は共重合体により異なるので、実施例を用いて具体的に説明する。 実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。なお、各実施例中「部」とあるのは、特に断りのない限り「質量部」を示す。 共重合組成の定量には、日本電子社製JNM−GX−270核磁気共鳴(FT−NMR)装置(1H共鳴周波数 270MHz)を用いた。試料25mgを0.55mLのNMR用重水素化溶媒に溶解して、5mmφ試料管を用いて、温度40℃で測定した。45度パルスを用い、パルス間隔を定量成分の最も長い縦緩和時間T1の10倍以上に設定した。ケミカルシフトは、内部標準として添加したテトラメチルシラン(TMS)を基準とした。<合成例1> 窒素導入口、攪拌機、コンデンサーおよび温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、テトラヒドロフラン(THF)30部を入れ、攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン(以下「MAdMA」と表記する。)15.9部、α-メタクリロイルオキシ-γ-ブチロラクトン(以下「GBLMA」と表記する。)12.1部、1−メタクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン(以下、HAdMAともいう。)8.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」ともいう。)12.1部、THF31部、および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNともいう。)1.40部を混合した単量体溶液を、滴下装置を用い、一定速度で6時間かけてフラスコ中へ滴下し、その後、80℃で1時間保持した。次いで、得られた反応溶液を約30倍量のメタノール中に攪拌しながら滴下し、白色の析出物の沈殿を得た。沈殿物に残存する単量体を取り除くために、得られた沈殿を濾別し、重合に使用した単量体に対して約30倍量のメタノール中で沈殿を洗浄した。そして、この沈殿を濾別し、減圧下50℃で約40時間乾燥して共重合体1を得た。<合成例2> 用いる単量体の量を、MAdMA20.4部、GBLMA11.8部、PGMEA11.8部とし、HAdMAの代わりに1−アクロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン(以下「HAdA」と表記する)3.87部を用いた以外は合成例1と同様にして共重合体2を得た。[実施例1] 得られた共重合体1を、アルドリッチ(Aldrich)社製の重水素化DMSO−d6(99.9atom%D)に溶解して、1H−NMRスペクトルを測定した。結果を図1に示した。 HAdMAの水酸基のシグナルとGBLMAのラクトン環のオキシメチレンのシグナル(シグナル1)が4.3ppm、4.4ppmおよび4.6ppm付近の分離の不完全な3本のシグナルとして観測された。GBLMAのオキシメチンのシグナル(シグナル2)が5.5ppm付近に観測された。上記シグナル1およびシグナル2以外のシグナル(シグナル3)は0.8ppm付近から3ppm付近にわたる、分離が不完全な複雑なシグナルとして観測された。シグナル2のシグナル強度の積分値を100とした場合のシグナル1およびシグナル3のシグナル強度積分値を、それぞれI1、I3とすると、このポリマーの共重合組成HAdMA/GBLMA/MAdMA=X/Y/Z(モル%)は次式により計算される。 A=I1-200; B=I3-(700+19A)/22; C=(100+A+B) X=100*A/C; Y=100*100/C; Z=100*B/C 試料溶液を調整しなおして6回行った測定の平均は、HAdMA/GBLMA/MAdMA=19.6/40.4/39.9(モル%)であった。6回測定のばらつきは、それぞれの成分の相対標準偏差(RSD%)で0.3%以下と非常に小さい値であった。 重合体溶液の滴定による分析の結果、酸性不純物も塩基性不純物も検出されなかった。なお、1H−NMRスペクトルにおいて、溶液中の水のシグナルは水酸基のシグナルとは別の3.25ppm付近に鋭いシグナルとして観測された。水酸基と水の間で水素の化学交換の影響がないことを示していた。[実施例2] 得られた共重合体2を、アイソテック(Isotec)社製の重水素化DMSO−d6(99.9ATOM%D)に溶解して、1H−NMRスペクトルを測定した。 HAdAの水酸基のシグナルとGBLMAのラクトン環のオキシメチレンのシグナル(シグナル1)が4.3ppm、4.4ppmおよび4.6ppm付近の分離の不完全な3本のシグナルとして観測された。GBLMAのオキシメチンのシグナル(シグナル2)が5.5ppm付近に観測された。上記シグナル1およびシグナル2以外のシグナル(シグナル3)は0.8ppm付近から3ppm付近にわたる分離が不完全な複雑なシグナルとして観測された。シグナル2のシグナル強度の積分値を100とした場合のシグナル1およびシグナル3のシグナル強度の積分値をそれぞれI1、I3とすると、このポリマーの共重合組成HAdA/GBLMA/MAdMA=X/Y/Z(モル%)は次式により計算される。 A=I1-200; B=I3-(500+19A)/20; C=(100+A+B) X=100*A/C; Y=100*100/C; Z=100*B/C 試料溶液を調整しなおして6回行った測定の平均はHAdMA/GBLMA/MAdMA=10.3/39.8/49.9(モル%)であった。6回測定のばらつきは、それぞれの成分の相対標準偏差(RSD%)で0.2%以下と非常に小さい値であった。 なお、1H−NMRスペクトルにおいて、溶液中の水のシグナルは水酸基のシグナルとは別の3.25ppm付近に鋭いシグナルとして観測された。水酸基と水の間で水素の化学交換の影響がないことを示していた。重合体1の1H−NMRスペクトルである。(実施例1) 水酸基を有する構成単位を含む共重合体を、ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)、アセトン−d6、N,N'−ジメチルホルムアミド(DMF−d7)、テトラヒドロフラン(THF−d8)、およびN,N'−ジメチルアセトアミド(DMAc−d9)のいずれか一種から選ばれる重水素化溶媒に溶解した溶液を用い、1H−NMRスペクトルによる、水酸基のシグナルを測定する共重合組成の定量方法。 水酸基を有する構成単位が3級炭素に直接結合する水酸基を含有する請求項1記載の共重合組成の定量方法。 共重合体が水酸基を含有する脂環式骨格を有する構成単位と水酸基を含有しない脂環式骨格を有する構成単位とを含む請求項1または2のいずれかに記載の共重合組成の定量方法。 水酸基を含有する脂環式骨格を有する構成単位および水酸基を含有しない脂環式骨格を有する構成単位が、それぞれ独立に(メタ)アクリル酸エステルの二重結合が開鎖した構造と結合している請求項3記載の共重合組成の定量方法。 【課題】 水酸基を有する構成単位を含む共重合体の共重合組成を、1H−NMRスペクトル上の水酸基由来のシグナルを用いて精度および再現性良く定量する方法を提供すること。特に、水酸基を含有する脂環式化合物と水酸基を含有しない脂環式化合物の両方を構成単位として含む共重合体の共重合組成の定量方法を提供する。【解決手段】 水酸基を有する構成単位を含む共重合体を、ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)、アセトン−d6、N,N'−ジメチルホルムアミド(DMF−d7)、テトラヒドロフラン(THF−d8)、およびN,N'−ジメチルアセトアミド(DMAc−d9)のいずれか一種から選ばれる重水素化溶媒に溶解した溶液を用い、1H−NMRスペクトルによる、水酸基のシグナルを測定する共重合組成定量方法。【選択図】 なし


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