生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_フェノール類の製造方法
出願番号:2003291724
年次:2005
IPC分類:7,C07C37/08,C07C39/04,C07B61/00


特許情報キャッシュ

高井 敏浩 寺嶋 隆 大久保 英主 JP 2005060289 公開特許公報(A) 20050310 2003291724 20030811 フェノール類の製造方法 三井化学株式会社 000005887 高井 敏浩 寺嶋 隆 大久保 英主 7C07C37/08C07C39/04C07B61/00 JPC07C37/08C07C39/04C07B61/00 300 6 OL 9 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC42 4H006BA33 4H006BA36 4H006BA44 4H006FE13 4H039CA60 4H039CE90本発明者は、アルキルアリールヒドロペルオキシドのクリベージ反応による製造方法ならびに用いられる酸触媒に関する。さらに詳しくは、酸性を示す官能基を有するポリオルガノシロキサン触媒によるヒドロキシアリール化合物の製造方法に関する。 アリールアルキルヒドロペルオキシド化合物は、硫酸等の酸触媒存在下、激しい発熱を伴いながら対応するヒドロキシアリール化合物,すなわちフェノール性化合物とカルボニル化合物へ分解する。この反応はクリベージ反応と呼ばれ、たとえばアリールアルキルヒドロキシペルオキシドがクメンヒドロペルオキシドの場合にはフェノールとアセトンの製造方法として、またシメンヒドロペルオキシドの場合にはクレゾールとアセトンの製造方法として重要である。 硫酸などの鉱酸が均一系触媒として用いられるが、クリベージ反応後、硫酸を中和する必要があり、必ず中和排水、および洗浄排水を伴う問題がある。中和排水の排出量を緩和するために、反応混合物を塩基性イオン交換樹脂へ通ずることにより、硫酸触媒を吸着中和する方法があるが、用いた塩基性イオン交換樹脂の総イオン交換容量が有限であるため、その量に等しい総量の硫酸を処理した場合、強塩基水で再生するため、中和排水が発生することに何ら変わりはない。 このような中和・洗浄排水を全く発生させない方法として、酸触媒が固体を形成している固体酸触媒を用いる方法がある。たとえば、Texaco Chemical社はUS 4898987に、強酸性化合物であるリンタングステン酸等のヘテロポリ酸を粘土化合物へ担持した触媒が、またUS4876397には同じく強酸性化合物であるジフルオロリン酸を粘土化合物へ担持した触媒を報告しているが、いずれも活性成分と担体は物理吸着で保持されているため、本反応のようにフェノール性化合物やアセトン等のケトン化合物が生成する反応では、生成する強極性化合物の為に、活性成分が液層へ流失する懸念がある。 活性成分の流失の恐れの少ない固体酸触媒としてゼオライト化合物を挙げることができる。たとえば、Mobil Oil社はEP 125066にプロトン型ZSM-5触媒を、EP 125065にプロトン型ベータゼオライト触媒を、Texaco Chemical社は特開平 5-85974にLaなどで交換したY型ゼオライトを、Enichem Synthesis社はEP 203632に、ホウ素を骨格に含有するボロシリケートゼオライトが有効であると記載している。しかし、ゼオライト構造の活性点はアルミまたはホウ素などが隣接するシラノール基が焼成により脱水して形成されているものである。一方、本クリベージ反応では主原料であるアリールアルキルヒドロペルオキシド以外に約5%〜20%のアリールアルキルヒドロペルオキシドが分解して生ずるアリールアルキルカルビノールを含有するのが通例である。このカルビノール化合物は、クリベージ反応を進行させる酸触媒により脱水されスチレン性二重結合をもつオレフィン性化合物となる。すなわち、通常の組成のヒドロペルオキシド化合物を原料とする場合には、反応系には必ず水が存在することになり、ゼオライト性化合物の活性点は焼成・活性化される前のシラノール構造へ戻り、ある一定の使用時間後には活性が低下する。 水の存在で酸性を発現する複合金属酸化物触媒として、Mobil Oil社はWO 00 / 64849では、Fe2O3担持ジルコニア触媒を、US 6,169,215にはWO3担持ジルコニア触媒を提案しているが、これらはジルコニア担体へ対応する鉄塩やタングステン塩を水溶液中担持し、焼成して触媒としているので、水の存在による逆反応で、活性点の流失の懸念がある。 このような水による活性点の変化による失活や流失の懸念が無い構造として、強酸性イオン交換樹脂を挙げることができる。強酸性イオン交換樹脂は、スチレンへ少量のジビニルベンゼンを添加し重合させたポリスチレン―ジビニルベンゼン共重合体を骨格とするもので、そのフェニル基をスルホン化することによりイオン交換能を持たせた構造を有している。フェニルスルホン基は無水条件で強酸性を示すことは言うまでも無いが、その特徴的なのは水が存在しても酸強度がわずかに低下する程度で、ゼオライト触媒のように水が存在することによる失活は見られない。Texaco Chemical社はUS 4,898,995に、ロームアンドハース社製のXN−1010なる種類の強酸性イオン交換樹脂を用いて60℃付近の反応温度によりクメンヒドロペルオキシドをクリベージしてフェノールを得る方法を報告している。 イオン交換樹脂は、その活性点が水による活性低下を受けないという優れた特徴を持つ一方で、非晶質のポリスチレン―ジビニルベンゼン共重合体を骨格としていることからくる耐熱性の弱さを示す。一般に、80℃を超える連続使用によりそのポリマー鎖が分解・低分子化し、オリゴマー状溶出物を与える。特にゲル型イオン交換樹脂とよばれる構造の強酸性イオン交換樹脂は、ジビニルベンゼンの含有量を4%程度に抑え、ポリマー鎖から形成される細孔を大きくし活性をあげたものである。このような低架橋度のゲル型イオン交換樹脂は、使用温度が高いとポリマー骨格が軟化し触媒としての物理的な強度を損なう場合すらある。 フルオロメチレン基を骨格とするナフィオン触媒は触媒単位重量あたりの活性点量に乏しく、これを改善するために、低分子量のナフィオンオリゴマーを高表面積のシリカゲルに物理的に担持した触媒も検討されているが、やはり担持触媒であるがゆえに担持できる活性点の量に限界がある。 このように、水の存在でも活性点が失活・流失せず、また80℃程度の反応温度でも触媒構造が全く損なわれない酸触媒によるクリベージ反応はこれまでに例が無かった。米国特許 4,898,995号本発明は、水による活性点の失活や、高い反応温度で触媒骨格が損なわれるという前記問題を解決し、かつ高い収率で対応するフェノール類が得られるクリベージ反応用酸触媒を提供することを目的とする。本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、酸性を示す官能基を有するポリオルガノシロキサンを用い、アルキルアリールヒドロペルオキシドのクリベージ反応を行うと、従来のゼオライトや強酸性イオン交換樹脂触媒を用いる場合よりも高い収率で対応するフェノール類が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は次の触媒を用いるフェノール類の製造方法である。(1)強酸性を示す官能基を有するポリオルガノシロキサンを用い、アルキルアリールヒドロペルオキシドのクリベージ反応を行い、対応するフェノール類を得る製造方法。(2)強酸性を示す官能基がスルホン酸である場合の前記製造方法。(3)ポリオルガノシロキサンがフェニル基を含有する場合の前記製造方法。(4)強酸性を示す官能基を有するポリオルガノシロキサンがメソ細孔をもたず、ミクロ細孔とマクロ細孔のみから構成される場合の前記製造方法。(5)アルキルアリールヒドロペルオキシドがクメンヒドロペルオキシドである場合の前記製造方法。従来よりも高活性かつ高耐熱性の固体酸触媒を用いて、アルキルアリールヒドロペルオキシドのクリベージ反応を行い、対応するフェノール類を高収率で得ることができる。 本発明で用いる酸性を示す官能基を有するポリオルガノシロキサンとは、特開平 8-208545や 特開平10-225838に記載されている様に、有機官能基が1つまたは2つのケイ素原子に直接結合した有機ケイ素部分と、有機官能基とケイ素の結合を持たないケイ素が任意の割合で酸素分子により架橋された巨大分子を示す。巨大分子の骨格はケイ素と酸素から構成されるため、無機シリカに殉ずる強度、耐熱性を示す。 このような強酸性を示す官能基を有するポリオルガノシロキサンは、原料として有機官能基が1つまたは2つのケイ素原子に直接結合した有機ケイ素化合物、たとえば1つまたは2つの有機官能基をもつケイ素のアルコキシ化合物や、1つまたは2つの有機官能基をもつケイ素のハロゲン化物と、有機官能基とケイ素の結合を持たないケイ素のテトラアルコキシドやテトラハロゲン化物を任意の方法で用いることにより調製される。 ここでケイ素に直接結合する有機官能基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基などのアリール基、メチル基、α―エチル基、β―エチル基、α―プロピル基、α―ブチル基のような低級アルキル基のような1官能性の有機官能基、またはフェニリデン基、メチリデン基、エチリデン基のような2官能性の置換基が2つのケイ素原子に結合しているものを挙げることができる。特に、フェニル基やα―プロピル基が好ましい例として挙げられる。 また、アルコキシ基の例として、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基、ハロゲン基の例として、クロロ基、ブロモ基、フロロ基、ヨードシル基を挙げることができる。これらのうちで、触媒合成時の簡便さからエトキシ基、メトキシ基が好ましい例として挙げられる。 酸性を示す官能基としてはブレンステッド酸性およびルイス酸性のものがあげられるが、ブレンステッド酸性官能基が好ましく、とりわけスルホン酸基が好ましい。 酸性官能基はポリオルガノシロキサンの原料化合物上で形成してもよいし、原料を巨大分子化しポリオルガノシロキサンとした後に形成してもよい。特開平10-225838には、フェニルクロロシランを無水硫酸でスルホン化した後エタノールと反応させて得たトリエトキシシリルフェニルスルホン酸とテトラアルコキシシランから目的とするスルホン酸フェニル基を有するポリオルガノシロキサンを得ている。また、特開平 9-110767 および 9−110989には、γ―メルカプトプロピルトリエトキシシランを過酸化水素で酸化して得たγ―トリヒドロキシシリルプロピルスルホン酸とテトラアルコキシシランから目的とするγ―スルホン酸プロピル基を有するポリオルガノシロキサンを得ている。また、γ―メルカプトプロピルトリエトキシシランとテトラエトキシシランからγ―メルカプトプロピル基を有するポリオルガノシロキサンを得た後、この固体を過酸化水素処理することにより、目的とするγ―スルホン酸プロピル基を有するポリオルガノシロキサンを得る方法を挙げることができる。 これらの中では、後述のシリカ細孔を制御できることからトリエトキシシリルフェニルスルホン酸を用いる方法が好ましい例として挙げられる。 得られた酸性官能基含有ポリオルガノシロキサンは、通常細孔を有する。この細孔は2nm以下のミクロ細孔、2〜10nmのメソ細孔、10nm以上のマクロ細孔に分けることができ、その大きさや容積は、ASAP等の市販機器をもちいた窒素吸着法により実測することが可能である。メソ細孔はポリオルガノシロキサン巨大分子から形成される一次粒子が凝集してできた間隙として説明されるものであり、すなわち、2nmのメソ細孔を有する酸性官能基含有ポリオルガノシロキサンでは、一次粒子がすべて均一かつ細密充填されていると仮定すると、2.0 / (20.5 - 1 ) = 4.8 nmと算出できる。各一次粒子は、原子レベルのケイ素―酸素ネットワークから形成されるため、水のような小さな分子しか拡散できないミクロ細孔をもつのみである。またメソ細孔を形成する一次粒子の凝集体は二次粒子とよばれ、この二次粒子の空隙がマクロ細孔と呼ばれるもので10nm以上の細孔径をもつ。このマクロ細孔は触媒粒子内外の物質拡散を支配するもので、触媒活性やライフに大きな影響をもつ。本発明に用いられる酸性官能基含有ポリオルガノシロキサンは、メソ細孔を持たない構造がより好ましい。メソ細孔を有すると、長期間の使用により重質物などがメソ細孔に蓄積し活性低下の原因となる可能性がある。このような蓄積を避けるために、メソ細孔を持たない構造の適用がより好ましい。その構造の形成法は特に公知のいずれの方法でもかまわないが、トリエトキシシリルフェニルスルホン酸を用いる場合は、以下の方法を好ましい例として挙げることができる。前述の司るフェニルクロロシランから得られるトリエトキシシリルフェニルスルホン酸には、クロロ化で未反応であったフェニルクロロシランに由来するトリエトキシフェニルシランが含まれているが、スルホン化の条件を適切に設定するか、蒸留などの分離手段により、その純度が90%以上かつ、トリエトキシシリルフェニルスルホン酸のテトラアルコキシシランに対するモル比を0.15より大きく保つことにより、形成される一次粒子が3nm程度となりメソ細孔の形成を回避し、マクロ細孔が顕著に観察される構造を形成することが可能である。 このようにして得られる酸性官能基含有ポリオルガノシロキサンの触媒単位重量あたりの酸性官能基の量は特に制限は無いが、触媒として適用するためにある程度の量以上の官能基量が必要でありその最低量は 0.2m等量/g−触媒であらわされる。また上限値は、原料として用いる有機官能基が1つまたは2つのケイ素原子に直接結合した有機ケイ素化合物の割合を、有機官能基とケイ素の結合を持たないケイ素化合物に対して多くすることによる制限を受け、過剰な量の有機官能基が1つまたは2つのケイ素原子に直接結合した有機ケイ素化合物を用いると、巨大分子である強酸性官能基含有ポリオルガノシロキサンが固体状態を保てなくなり、ガム〜オイル状となり好ましくは無い。そのモル比は 0.5 / 1 以下が好ましい。 強酸性官能基含有ポリオルガノシロキサンは合成により得られた粉末のままでもよいし、公知の方法により成形体としてもよい。ただし、シリカゾルなどのバインダーは通常500℃以上の燒結温度を必要とするが、本触媒に適用する場合は燒結を200℃以下に抑え、有機官能基の熱分解を防ぐ必要がある。粉末で用いる場合は、反応溶媒に侵されない材質から成る、籠または網状の容器や袋に入れて使用することができる。 強酸性官能基含有ポリオルガノシロキサンを用いるアリールアルキルヒドロペルオキシドのクリベージ反応は20〜200℃の温度範囲で行うことができるが、十分な反応速度を得るため40℃以上、さらに好ましくは60℃以上、かつ副生する不純物の増加を防ぐため150℃以下の温度範囲が好ましい。 用いるアリールアルキルヒドロペルオキシドは、その濃度が5〜90重量%のものを用いることができる。ただし、ある程度の容積効率を得るためには、酸化反応により得られたそのままの濃度以上であることが好ましい。また、高濃度の場合には、発熱量を低減させるためアセトンのような低沸点溶媒や、クメンなどの酸化原料、またはベンゼン、トルエン等の反応に不活性な炭化水素溶媒で希釈してもよい。本発明で用いるアリールアルキルヒドロペルオキシドは、下記式(1)であらわされる。アリール基はフェニル基であることが好ましく、R1とR2はともに脂肪族炭化水素基であることが好ましく特にメチル基であることが好ましい。(Arはアリール基を表し、R1およびR2はそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または水素原子を表す。) 反応は回分式、連続式、または半回分式のいずれでも構わない。反応生成物の組成を安定させるためには、連続反応とし反応条件を制御する方法が好ましい。 反応は懸濁床でも固定床でも構わない。アセトンなどの低沸点溶媒を加え懸濁床とし、そのアセトンの沸点付近で反応操作を行うことによりアセトンの蒸発潜熱で除熱を行う方法を例示できる。ただし、懸濁床の場合には、後工程で濾過工程が必要になり、また攪拌による触媒粒子の粉砕が生じるので、固定床装置がより好ましい。特に、特開平 5-85974に記載されているジャケット冷却法や US 6,169,215に記載されている反応蒸留法など除熱効率に優れた例として挙げられる。以下、本発明を実施例により、更に具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。(参考例1)(1)スルホン酸基含有エトキシシランのエタノール溶液の合成滴下ロートを取り付けた3口の300mlの丸底フラスコに塩化メチレンを100ml、フェニルトリクロロシラン130.0g(0.62mol)を加え、氷冷した。これに無水硫酸50.0g(0.63mol)の塩化メチレン溶液20mlを、1時間かけて滴下した。滴下後、室温で1時間攪拌した。次に、塩化メチレンを留去し、窒素気流下、無水エタノール114gを塩化水素を除きながら、2時間かけて滴下した。得られたフェニルスルホン酸基含有エトキシシランのエタノール溶液214.0gをスルホン酸基含有炭化水素基を有するポリオルガノシロキサン触媒のゾル−ゲル調製におけるスルホン酸成分の原料として用いた。(2)ポリオルガノシロキサン触媒1の調製攪拌棒を取り付けた3口の1000mlの丸底フラスコに上記したスルホン酸基含有アルコキシシランエタノール溶液を42.0g(0.06mol)、テトラエトキシシラン150.0g(0.72mol)、エタノール100mlを入れて混合した。これに水29.0gを15分かけて滴下し、60℃で3時間攪拌した。放冷後、水140.0gを滴下し、さらに28%アンモニア水35mlを滴下すると反応液は急速に固形化した。これを室温で4時間放置した後、60℃で3日間熟成させた。熟成後10mmHgの減圧下100℃で溶媒留去し乾燥固体を得た。ついで2Nの塩酸300mlを加え、室温で30分間攪拌する操作を2回繰り返し、スルホン酸基をH+型にもどした。酸処理後、イオン交換水500mlで洗浄し、これを10mmHgの減圧下100℃で10時間乾燥させ、スルホン酸基含有炭化水素基を有するポリオルガノシロキサン触媒1、62.0gを得た。この触媒の固体酸量を測定したところ、0.87m当量/gであった。また、窒素ガス吸着法により測定した比表面積は741m2/gであり、細孔径0.9〜50nmの細孔容積は0.49cc/g、細孔径2〜50nmの細孔容積は0.14cc/gでありメソ孔存在割合は30%であった。(参考例2)(1)スルホン酸基含有エトキシシランのエタノール溶液の合成 滴下ロートを取り付けた3口の300ml丸底フラスコに塩化メチレンを100ml、フェニルトリクロロシラン39.1g(0.19mol)を加え、氷冷した。これに無水硫酸37.3g(0.47mol)の塩化メチレン溶液20mlを、1時間かけて滴下した。滴下後、還流下2時間反応を行い、次いでエタノール46.0gを窒素気流下で塩化水素を除きながら1時間かけて滴下した後、塩化メチレンを留去した。さらに、エタノール46.0gを加え、2時間還流した。得られたスルホン酸基含有エトキシシランのエタノール溶液162.7gをスルホン酸基含有炭化水素基を有するポリオルガノシロキサン触媒のゾル−ゲル調製におけるスルホン酸成分の原料として用いた。(2)ポリオルガノシロキサン触媒2の調製 攪拌棒を取り付けた3口の1000mlの丸底フラスコに上記したスルホン酸基含有アルコキシシランエタノール溶液を138.0g、テトラエトキシシランを119.0g(0.57mol)、エタノール100mlを入れて混合した。これに水24.0gを15分かけて滴下し、60℃で3時間攪拌した。放冷後、水120.0gを滴下し、さらに28%アンモニア水35mlを滴下すると反応液は急速に固形化した。これを室温で4時間放置した後、60℃で3日間熟成させた。熟成後10mmHgの減圧下100℃で溶媒留去し、乾燥固体を得た。ついで2Nの塩酸300mlを加え、室温で30分間攪拌する操作を2回繰り返し、スルホン酸基をH+型にもどした。次いでイオン交換水500mlで洗浄し、10mmHgの減圧下100℃で10時間乾燥させた。以上の操作により、スルホン酸基含有炭化水素基を有するポリオルガノシロキサン触媒2、55.1gを得た。この触媒の固体酸量を測定したところ、1.42m当量/gであった。また、窒素ガス吸着法により測定した比表面積は464m2/g、細孔径0.9〜50nmの細孔容積は0.21cc/g、細孔径2〜50nmでは細孔の存在は認められず、メソ孔のない固体酸触媒であることが判明した。(比較例1) 触媒としてロームアンドハース社製のアンバーリスト15を1gベンゼン溶媒20gに懸濁させ、80℃にて80重量%クメンヒドロペルオキシド溶液20gを30分にわたり滴下した。加えたクメンヒドロペルオキシドに対する触媒の量は6.25重量%である。滴下終了後さらに30分80℃での攪拌を続けたところ、ヨードメトリー法で決定した反応混合物中のクメンヒドロペルオキシド濃度は36.2%重量%であった。全く反応が進行しない場合のクメンヒドロペルオキシド濃度が40重量%であることから、本反応におけるクメンヒドロペルオキシドの転化率は(40−36.2)/40=10モル%と算出される。以下、クメンヒドロペルオキシド濃度を示す重量%と転化率を示すモル%は、いずれも%と略記する。(比較例2) 比較例1において触媒を、プロトン型USYゼオライトを用いた以外は同様に反応を行ったところ、滴下終了30分後のクメンヒドロペルオキシド濃度は36.2%であったため、クメンヒドロペルオキシドの転化率は10%と算出される。(比較例3) 比較例1において触媒を、フッ素処理により1%のF原子を含有するプロトン型USYゼオライトを用いた以外は同様に反応を行ったところ、滴下終了30分後のクメンヒドロペルオキシド濃度は26.4%であったため、クメンヒドロペルオキシドの転化率は34%と算出される。(比較例4) 比較例1において触媒を、ナフィオンを用いた以外は同様に反応を行ったところ、滴下終了30分後のクメンヒドロペルオキシド濃度は1.1%であったため、クメンヒドロペルオキシドの転化率は97%と算出される。(比較例5) 比較例1において触媒を、シリカゲル担持ナフィオンを用いた以外は同様に反応を行ったところ、滴下終了30分後のクメンヒドロペルオキシド濃度は0.2%であったため、クメンヒドロペルオキシドの転化率は99%以上と算出される。 比較例1において触媒を、参考例1で合成したスルホン酸フェニル基含有オルガノポリシロキサンを用いた以外は同様に反応を行ったところ、滴下終了30分後のクメンヒドロペルオキシド濃度は0.1%以下であったため、クメンヒドロペルオキシドの転化率は99%以上と算出される。(比較例6) 比較例1において用いる触媒の量を1/5に減じ、触媒としてナフィオンを用いた以外は同様にベンゼンを用い、80℃で同様の操作を行った。加えたクメンヒドロペルオキシドに対する触媒の量は1.25重量%である。滴下終了30分後のクメンヒドロペルオキシド濃度は30.5%であったため、クメンヒドロペルオキシドの転化率は24%と算出される。(比較例7) 比較例6において、触媒としてシリカゲル担持ナフィオンを用いた以外は同様の操作を行った。滴下終了30分後のクメンヒドロペルオキシド濃度は11.7%であったため、クメンヒドロペルオキシドの転化率は71%と算出される。 比較例6において触媒を、参考例1で合成したスルホン酸フェニル基含有オルガノポリシロキサンを用いた以外は同様に反応を行ったところ、滴下終了30分後のクメンヒドロペルオキシド濃度は0.1%であったため、クメンヒドロペルオキシドの転化率は99%以上と算出される。 比較例6において触媒を、参考例2で合成した非メソポーラス型スルホン酸フェニル基含有オルガノポリシロキサンを用いた以外は同様に反応を行ったところ、滴下終了30分後のクメンヒドロペルオキシド濃度は0.2%であったため、クメンヒドロペルオキシドの転化率は99%以上と算出される。(比較例10) 比較例7において、反応終了後用いた触媒を濾別し、再度反応触媒として用いることを2回繰り返した。繰り返し2回目の反応での、滴下終了30分後のクメンヒドロペルオキシド濃度は26.5%であったため、クメンヒドロペルオキシドの転化率は34%と算出される。 実施例2において、反応終了後用いた触媒を濾別し、再度反応触媒として用いることを2回繰り返した。繰り返し2回目の反応での、滴下終了30分後のクメンヒドロペルオキシド濃度は1.0%であったため、クメンヒドロペルオキシドの転化率は98%と算出される。 実施例3において、反応終了後用いた触媒を濾別し、再度反応触媒として用いることを2回繰り返した。繰り返し2回目の反応での、滴下終了30分後のクメンヒドロペルオキシド濃度は0.2%であったため、クメンヒドロペルオキシドの転化率は99%以上と算出される。酸性を示す官能基を有するポリオルガノシロキサンを触媒として、アリールアルキルヒドロペルオキシドのクリベージ反応を行い、対応するフェノール性化合物を得る製造方法。前記酸性を示す官能基がスルホン酸である請求項 1記載の製造方法。前記酸性を示す官能基を有するポリオルガノシロキサンがフェニル基を含有する請求項 1および2に記載の製造方法。前記酸性を示す官能基を有するポリオルガノシロキサンがメソ細孔をもたず、ミクロ細孔とマクロ細孔のみから構成される請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。前記アリールアルキルヒドロペルオキシドがクメンヒドロペルオキシドである請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。アリールアルキルヒドロペルオキシドより、対応するフェノール性化合物を得るクリベージ反応に用いられる触媒であって、酸性を示す官能基を有するポリオルガノシロキサンからなることを特徴とする触媒。 【目的】本発明は、クリベージ反応水による活性点の失活や、高い反応温度で触媒骨格が損なわれるという問題を解決し、かつ高い収率で対応するフェノール類が得られるクリベージ反応の触媒と、これを用いた製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】高耐熱かつ高活性のクリベージ反応触媒として、酸性を示す官能基を有するポリオルガノシロキサンを用い、アリールアルキルヒドロペルオキシドのクリベージ反応を行い、対応するフェノール性化合物を得る製造方法。


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