| タイトル: | 公開特許公報(A)_キチン粉末からキチンゲルを製造する簡便法 |
| 出願番号: | 2003274797 |
| 年次: | 2005 |
| IPC分類: | 7,A61K31/722,A61P3/06,C08B37/08 |
戸倉 清一 田村 裕 JP 2005035934 公開特許公報(A) 20050210 2003274797 20030715 キチン粉末からキチンゲルを製造する簡便法 株式会社キトサンコーワ 503255143 平野 玄陽 100084571 戸倉 清一 田村 裕 7A61K31/722A61P3/06C08B37/08 JPA61K31/722A61P3/06C08B37/08 A 3 OL 4 4C086 4C090 4C086AA04 4C086EA23 4C086MA52 4C086NA02 4C086ZC33 4C090AA04 4C090BA46 4C090BB17 4C090BB36 4C090BB53 4C090BC28 4C090CA09 4C090DA23 本発明は、キチンゲル(ゲル状のキチン)を製造する方法に関し、更に詳しくはカニやエビ等の甲殻類の殻から製造したキチン粉末をもとにキチンゲルを製造する簡便法に関するものである。 カニやエビ等の甲殻類の殻には、キトサンの原料となるキチンのほか、これとほぼ同等量のタンパク質及び炭酸カルシウムが含まれている。例えばカニの甲羅は、これら三つの物質が堅固に結びついて硬く形作られている。従来、人体のコレステロール低下作用等に有効なキトサンを得るには、先ず例えばカニ殻を化学処理してカニ殻から粉末状のキチンだけを取り出し、このキチンを原料にして更に加工して製造しているのが通例である。 そして従来、キチン粉末からキチンゲルを得る方法としては、例えば塩化カルシウムの2水塩(2水和物)飽和メタノールにキチン粉末を溶かし込んだキチン溶液を、10倍量の脱イオン水に加えてキチンゲルを得ることを内容とするものがある。 しかしこのような脱イオン水で希釈する従来法の場合は、メタノール蒸留が、通常、5%メタノール溶液からの蒸留のため、蒸留を何回も繰り返す必要があった。 従って従来法によると、メタノールを再利用するために、手間暇や回収コストが高く付き、又メタノールや塩化カルシウムの回収率が悪かっただけではなく、回収率が低い分、廃棄溶液中に含まれるメタノール成分等の量が多くなり、その結果環境汚染を引き起こす怖れがある、という問題点があった。特開平10−101811号公報石田義隆著 医師・研究者が認めた!私がすすめる「水溶性キトサン」現代書林 2002年 本発明は、このような従来の問題点に鑑み、提案されたものである。 従って本発明の解決しようとする課題は、キチン粉末からキチンゲルを製造する方法において、キチンの溶解液をメタノール溶液に加え、メタノールや塩化カルシウムを簡単、容易に且つ低コストで回収できるようにすると共に、その回収率を高め、又環境汚染を防止できるよう構成した、キチン粉末からキチンゲルを製造する簡便法を提供することにある。 本発明は、上記の課題を達成するために次のような技術的手段を採る。 即ち本発明は、キチン粉末を塩化カルシウム飽和メタノール溶液に県濁し、撹拌して溶解させ、このキチン溶液を濾過して不溶部を除去し、次にこのキチン溶液をメタノール溶液に加えてキチンゲルを沈殿させ、その後にメタノールを除去してキチンゲルを製造することを特徴とする(請求項1)。 キチン粉末は、カニ殻等の甲殻類の殻を粉砕して、タンパク質及び炭酸カルシウムを除去して製造する。キチンは、中性条件下での塩化カルシウム・2水塩(2水和物)飽和メタノールにのみ溶解する。これは塩化カルシウムのメタノールへの溶解度が飛び抜けて高いことに起因している。 又本発明の場合、不溶部の除去は、濾過処理又は遠心分離法による。これにより、溶液中の不溶部が除去され、キチンが円滑且つ万遍なく溶解する。濾過処理は、通常、例えば濾布や濾紙が用いられ、遠心分離法は遠心分離機を使用する。 又本発明は、キチン溶液を、5〜20倍量のメタノール溶液に加えてキチンゲルを沈殿させるのが好ましい(請求項2)。なぜなら、この範囲量のメタノール溶液であれば、キチンゲルの沈殿現象を担保でき、しかもメタノール及び塩化カルシウムの回収が容易なことからである。 又本発明の場合、キチン粉末が、100〜200メッシュパスの大きさであるのが好ましい(請求項3)。なぜならキチン粉末がこの範囲の大きさの場合は、粉末の取り扱いが容易で、又塩化カルシウム飽和メタノール溶液に加えたときの溶解度が良いことからである。 本発明は、上記のように、キチン溶液(塩化カルシウムの2水塩飽和メタノールにキチン粉末を溶かした液)を、メタノール溶液に加えてキチンゲルを沈殿させる方法である。 従ってこれによれば、脱イオン水にキチン溶液を加える従来法に比べ、メタノールの沸点が水より低いので、メタノール、塩化カルシウムの回収を、簡単、容易且つ低コストでできる。又メタノール等の回収率が良くなるから、その分、廃棄液中のメタノール及び塩化カルシウムの量を少なくでき、従って環境汚染の問題を解消できる。 以下、本発明法の好適な一実施形態を説明する。 本発明は、キチンを沈殿させてキチンゲルを製造するとき、メタノール溶液を用い、これによってキチンゲルを取り出した後の溶液からメタノール及び塩化カルシウムを、簡単、容易且つ低コストで回収できるようにするものである。 本発明は、キチン粉末(100から200メッシュパスの大きさ)を塩化カルシウム飽和メタノール溶液に県濁し、撹拌して溶解させ、このキチン溶液を濾過して不溶部を除去し、次にこのキチン溶液をメタノール溶液に加えてキチンゲルを沈殿させ、その後にメタノールを除去してキチンゲルを製造するものである。本発明の場合、キチン溶液をメタノール溶液に加えることで、メタノール中の塩化カルシウムの濃度が変化し、キチンが沈殿し、キチンゲルを得られるものである。 100メッシュパスの大きさのキチン粉末20g(グラム)を、2000ml(ミリリットル)の塩化カルシウム飽和メタノール溶液に県濁した。そして撹拌し良く混ぜ合わせ、キチン粉末を溶解させた。次に濾布で濾過し、不溶部を除去した。この溶液を、10L(リットル)のメタノール溶液に滴下したところ、沈殿した。 当初のキチンゲルは、塩化カルシウムを含有しているため、遠心脱水機でメタノールを除去し、キチンゲルを捕集した後、10L(リットル)の脱イオン水で洗浄、透析を繰り返し、カルシウム成分を除去した。 キチン粉末を塩化カルシウム飽和メタノール溶液に県濁し、撹拌して溶解させ、このキチン溶液を濾過して不溶部を除去し、次にこのキチン溶液をメタノール溶液に加えてキチンゲルを沈殿させ、その後にメタノールを除去してキチンゲルを製造することを特徴とするキチン粉末からキチンゲルを製造する簡便法。 請求項1記載のキチン粉末からキチンゲルを製造する簡便法であって、キチン溶液を、5〜20倍量のメタノール溶液に加えてキチンゲルを沈殿させることを特徴とするキチン粉末からキチンゲルを製造する簡便法。 請求項1又は2記載のキチン粉末からキチンゲルを製造する簡便法であって、キチン粉末が、100〜200メッシュパスの大きさであることを特徴とするキチン粉末からキチンゲルを製造する簡便法。 【課題】 キチン粉末からキチンゲルを製造する方法において、キチン粉末の溶解液をメタノール溶液に加え、メタノールや塩化カルシウムの回収の簡単化、容易化、低コスト化を図り、回収率を高め、環境汚染を防止できるようにする。【解決手段】 キチン粉末を塩化カルシウム飽和メタノール溶液に県濁し、撹拌して溶解させる。このキチン溶液を濾過して不溶部を除去する。次にこのキチン溶液をメタノール溶液に加えてキチンゲルを沈殿させ、その後にメタノールを除去してキチンゲルを製造する。