生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_リン脂質含有組成物
出願番号:2003207550
年次:2005
IPC分類:7,A23L1/30,A61K31/685,A61K33/06,A61K38/17,A61P25/22,A61P25/28,A61P37/02,A23J7/00


特許情報キャッシュ

伊藤 俊宏 JP 2005058017 公開特許公報(A) 20050310 2003207550 20030814 リン脂質含有組成物 太陽化学株式会社 000204181 伊藤 俊宏 7 A23L1/30 A61K31/685 A61K33/06 A61K38/17 A61P25/22 A61P25/28 A61P37/02 A23J7/00 JP A23L1/30 Z A61K31/685 A61K33/06 A61P25/22 A61P25/28 A61P37/02 A61K37/16 A23J7/00 5 OL 8 4B018 4C084 4C086 4B018LB08 4B018MD04 4B018MD22 4B018MD45 4C084AA02 4C084BA44 4C084MA02 4C084MA52 4C084NA14 4C084ZA052 4C084ZA152 4C084ZB072 4C084ZC751 4C086AA01 4C086DA41 4C086HA04 4C086MA03 4C086MA04 4C086MA52 4C086NA05 4C086NA06 4C086ZA05 4C086ZA15 4C086ZB07 4C086ZC75 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、リン脂質を含有しながら、多価金属イオンの沈殿を生じないリン脂質と多価金属イオンの強化用組成物及びそれを含有する飲食品に関する。【0002】【従来の技術】リン脂質は、天然動植物の組織、とりわけ卵黄や大豆、牛脳等の組織において細胞膜構成物質として比較的多く存在している物質である。リン脂質は、別名レシチンといい、各種飲食品の乳化目的等で使用されている。なお、狭義では、リン脂質の一種であるホスファチジルコリンのことをレシチンということもある。【0003】また、リン脂質は、生理機能を有する物質としても研究が進められている。中でもリン脂質の一種である、ホスファチジルコリンに含まれるコリンには、古くから脳機能改善効果が知られており、ホスファチジルコリンの投与により、情報伝達の媒介をするといわれているアセチルコリンの含量が脳中で増加する等の報告がなされており、卵黄リン脂質(卵黄レシチン)は、ホスファチジルコリンの含量が高く、脳機能改善剤の主成分としての応用が知られている。(例えば、特許文献1参照。)また、近年ではホスファチジルセリンについて痴呆症の改善、記憶力や集中力を向上させる等の脳の機能を維持、改善し得るという報告(例えば、特許文献2参照。)や免疫性疾患の治療、抗ストレス効果に関する報告等がなされており、リン脂質は、単なる栄養成分であるのみならず、様々な生理機能を有する食品成分としてその働きが注目され、カプセル等の剤形で市販されている。【0004】しかしながら、リン脂質は、カルシウム等の多価金属イオンとの反応性が高く、不溶性となってしまうため、飲料等ではリン脂質とカルシウム等のミネラルの両方を、十分な有効量の添加ができないという問題があった。そのため、栄養補助食品としては、カプセル等の剤形で供給されるのが一般的であり、飲料等におけるリン脂質とカルシウム等のミネラルによる不溶化の抑制方法については、報告されていない。【0005】更に、リン脂質は、体内においても、多価金属イオンと結合し、不溶性の塩となるため、ミネラル類の吸収を阻害するという問題があった。このため、リン脂質のサプリメント等では、カルシウムを多く摂るように心がける様に注意書きが記載されている製品もある。【0006】一方、カルシウム等を強化した飲料にリン脂質を添加する方法として、炭酸カルシウム等の不溶性のカルシウム塩を用いる方法もあるが、この場合、リン脂質との反応による沈殿は生じないものの、不溶性のカルシウム塩が沈殿するという問題があった。なお、炭酸カルシウム等の不溶性ミネラルを溶液中に安定分散させるために、リン脂質を応用することは公知である(例えば、特許文献3参照。)が、沈降速度は遅くなるものの、完全にミネラルの沈殿を抑えられないという問題があり、またこれらは、リン脂質の生理機能や、リン脂質によるミネラル吸収阻害に関しては、なんら考慮されていないものであった。【0007】【特許文献1】特許第3073224号(第1−4頁)【特許文献2】特許第3053537号(第1−7頁)【特許文献3】特開2002−128681号(第1−8頁)【0008】【発明が解決しようとする課題】そこで、手軽に摂取できる飲料でも使用できる、リン脂質と多価金属イオンによる沈殿を抑制した組成物を供給することを課題とする。【0009】【課題を解決するための手段】本願発明者らは、鋭意検討の結果、リン脂質及び多価金属イオンと共に、多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質を含有させることで、リン脂質と多価金属イオンによる沈殿が抑制されることを見出し、本願発明を完成させた。【0010】【発明の実施の形態】本願発明のリン脂質は、製造方法について特に限定されるものではなく、卵黄や大豆等の天然成分から抽出したリン脂質や、リン脂質から分画又は酵素によるホスファチジル基転移反応等により、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、水素添加レシチン、加水分解レシチン、ホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸等のリン脂質成分のいずれか1種又は2種以上の含量を増加させたものが使用できる。更に、リン脂質のグリセロールに結合した2つの脂肪酸の内、一方の脂肪酸がはずれた形のリゾリン脂質でも良い。構成脂肪酸についても特に限定されるものではなく、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれでも良いが、生理効果の面より、多価不飽和脂肪酸を含有しているものが好ましく、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノレン酸等のω3系多価不飽和脂肪酸、又は、リノール酸、アラキドン酸等のω6系多価不飽和脂肪酸より選ばれる1種又は2種以上を含有しているものがより好ましく、ω3系多価不飽和脂肪酸より選ばれる1種又は2種以上を含有しているものが更に好ましく、エイコサペンタエン酸及び/又はドコサヘキサエン酸を含有しているものが最も好ましい。これらのリン脂質の精製度については特に限定されるものではなく、粗精製品でも精製品いずれでも良い。脳機能改善効果等の生理効果の観点から、好ましくは、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルセリンの合計が全リン脂質中50重量%以上含有のものであり、更に好ましくは、ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルセリンの合計が全リン脂質中15重量%以上含有のものである。中でも、卵黄レシチンは、ホスファチジルコリンの割合が高く好適に使用できる。【0011】本願発明の多価金属イオンは二価以上の金属イオンであれば特に限定されるものではなく、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅等があげられ、二価金属イオンが好ましく、通常、栄養所要量の不足を補うために飲食品への強化する際の添加量が多いカルシウムやマグネシウムが更に好ましく、カルシウムが最も好ましい。【0012】多価金属イオンは、通常、可溶性塩の形で添加すればよく、例えば、塩化物、乳酸塩、クエン酸塩、水酸化物、硫酸塩等が使用できる。例えば、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、水酸化カルシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、クエン酸鉄、クエン酸鉄ナトリウム、硫酸鉄等である。また、炭酸カルシウム等の不溶性塩であっても、同時にクエン酸や塩酸等の酸を加えて溶解することで、イオン化させたものでも良い。【0013】本願発明の多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質は、多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質であれば特に限定されるものではなく、カゼインの酵素分解物やエチレンジアミン四酢酸、クロロフィル、シアノコバラミン、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、アスパラギン酸二酢酸、グルタミン酸二酢酸、ヘキサメタリン酸塩、トリポリリン酸塩等があげられ、中でも、食品または食品添加物として認められている、カゼインの酵素分解物又はエチレンジアミン四酢酸、クロロフィル、シアノコバラミンが好ましく、比較的安価に入手可能なカゼインの酵素分解物又はエチレンジアミン四酢酸が更に好ましく、使用量に制限のないカゼインの酵素分解物が最も好ましい。ここでいうカゼインの酵素分解物とは、酸カゼインやカゼイネートを蛋白分解酵素で分解したもののことであり、分解後に特定成分を分離精製したものでも良い。例えば、カゼインホスホペプチドやカゼインカルシウムペプチド、カゼインドデカペプチド、ラクトフェリン等、市販の物が使用できる。また、エチレンジアミン四酢酸としては、そのナトリウム塩やカルシウム塩等が使用できる。【0014】多価金属イオンと、多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質の配合割合については、その種類により、適宜選択でき、特に限定するものではないが、その下限値としては、多価金属イオン1重量部に対し、多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質を0.5重量部、好ましくは1重量部、更に好ましくは2重量部であり、その上限値としては、多価金属イオン1重量部に対し、多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質を1000重量部、好ましくは100重量部、更に好ましくは50重量部である。多価金属イオンとキレートを形成する物質の配合割合が少ないと、効果が弱くなり、割合が多くなると、コストが高くなったり多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質の味が出て風味が悪くなったりするため、好ましくない。【0015】本願発明の飲食品は特に限定されるものではないが、飲料又は、液状、ゾル状もしくは、ゲル状の食品が、沈殿抑制という効果を確認し易いため好ましい。飲料としては、例えば、清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料等が挙げられ、液状、ゾル状もしくは、ゲル状の食品としては、例えば、スープ、流動食、嚥下困難者用キザミ食、ブレンダー食、ムース、ゼリー、プリン、ババロア、ドレッシング、ジャム等が挙げられる。【0016】また、リン脂質を分散させるため、適宜、乳化剤、安定剤等を併用することもできる。併用する乳化剤については、特に限定するものではなく、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸有機酸エステル、脂肪酸プロピレングリコールエステル、有機酸モノグリ、ソルビタンエステル、サポニン、ポリソルベート等が使用できる。中でも、リン脂質の安定分散化に対しての有効性の面より、HLBが、10以上の親水性乳化剤が好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが更に好ましい。安定剤についても、特に限定するものではなく、ペクチン、カラギナン、グアガム、キサンタンガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、寒天、アラビアガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム等及びそれらの分解物等が使用できる。更に、カルシウム等の吸収を高めるため、ミネラル吸収促進効果のある素材を併用しても良い。ミネラルの吸収促進効果のある素材についても、特に限定するものではなく、卵黄ペプチド、ポリグルタミン酸、ホスビチン、オリゴウロン酸、カルボキシグルタミン酸、リボ核酸、ミネラルの吸収促進効果がある各種動植物ペプチド、水溶性キトサン等が使用できる。その他の素材としては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシン(ニコチン酸)、パントテン酸、葉酸等のビタミン類、リジン、スレオニン、トリプトファン等の必須アミノ酸類や、α−リノレン酸、EPA、DHA、月見草油、オクタコサノール、食物繊維、オリゴ糖等の人の健康に寄与する物質類、その他の食品や食品添加物として認可されている有用物質の1種又は2種以上が併用できる。【0017】【実施例】以下、本願発明の実施例及び試験例をあげて説明するが、本願発明はこれに限定するものではない。試験例1.沈殿抑制能の確認多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質がリン脂質と多価金属イオンによる沈殿を抑制することを確認するため、表1に示す配合でリン脂質と多価金属イオンを含有する溶液を調製し、沈殿の有無を目視にて確認した。リン脂質としては、卵黄より分画抽出したホスファチジルコリン及びホスファチジルセリンの合計が全リン脂質中80重量%含有している卵黄レシチン(総リン脂質含量80重量%)を、多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質としては、カゼインカルシウムの酵素分解物であるCCP(太陽化学株式会社製)及び、EDTA−2Na(エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム)を使用した。【0018】【表1】この結果より、カゼインの酵素分解物やエチレンジアミン四酢酸にリン脂質と多価金属イオンによる沈殿を抑制する効果があることが確認された。【0019】実施例1.リン脂質と多価金属イオンの強化用組成物の調製(1)卵黄より分画抽出したホスファチジルコリン及びホスファチジルセリンの合計が全リン脂質中80重量%含有している卵黄レシチン(総リン脂質含量80重量%、構成脂肪酸中アラキドン酸4.8重量%、DHA4重量%)10g、乳酸カルシウム30g、カゼインカルシウムの酵素分解物(商品名:CCP;太陽化学株式会社製)60gを混合し、本願発明の組成物を得た。【0020】実施例2.リン脂質と多価金属イオンの強化用組成物の調製(2)卵黄より分画抽出したホスファチジルコリン及びホスファチジルセリンの合計が全リン脂質中80重量%含有している卵黄レシチン(総リン脂質含量80重量%、構成脂肪酸中アラキドン酸4.8重量%、DHA4重量%)10g、乳酸カルシウム50g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム40gを混合し、本願発明の組成物を得た。【0021】実施例3.リン脂質と多価金属イオンの強化用組成物の調製(3)卵黄レシチンより酵素によるホスファチジル基転移反応で得たホスファチジルセリンを全リン脂質中20重量%含有したリン脂質製剤(総リン脂質含量60重量%、構成脂肪酸中アラキドン酸4.8重量%、DHA4重量%)10g、硫酸マグネシウム30g、カゼインカルシウムの酵素分解物(商品名:CCP;太陽化学株式会社製)60gを混合し、本願発明の組成物を得た。【0022】実施例4.リン脂質と多価金属イオンの強化飲食品の調製(1)実施例1で得られた組成物10g、ヨーグルト450g、オレンジ果汁(固形分12%)400g、果糖ブドウ糖液糖50g、HMペクチン4g、オレンジ香料0.2gを常法により混合し、水で全量を1000mlに調整し、均質化処理を行い、フルーツドリンクヨーグルトを調製した。このものは、沈殿を生じず、美味しいものであった。【0023】実施例5.リン脂質と多価金属イオンの強化飲食品の調製(2)実施例2で得られた組成物1.0g、ゲル化剤(商品名:サンカラ1606;太陽化学株式会社製)0.5g、グラニュー糖18.0g、クエン酸ナトリウム0.1gを水に加え、水を加えながら全量を100gとし、85℃で加温溶解した。そこに1/5バレンシアオレンジ果汁2.0g、オレンジフレーバー0.1gを添加して攪拌混合した後にカップに充填し、水冷してゼリーを調製した。このものは、沈殿による分離等を生じず、美味しいものであった。【0024】実施例6.リン脂質と多価金属イオンの強化飲食品の調製(3)卵黄レシチンより酵素によるホスファチジル基転移反応で得たホスファチジルセリンを20%含有したリン脂質製剤(総リン脂質含量60重量%、構成脂肪酸中アラキドン酸4.8重量%、DHA4重量%)1g、乳酸カルシウム4g、硫酸マグネシウム1.5g、クエン酸鉄ナトリウム0.1g、カゼインカルシウムの酵素分解物(商品名:CCP;太陽化学株式会社製)8g、カゼインナトリウム40g、カゼインカルシウム10g、デキストリン150g、菜種油10g、コーン油7g、MCT5.5g、ビタミンミックス0.5g、食塩2g、塩化カリウム2g、グリセリン脂肪酸エステル(商品名:サンソフトNo.230;太陽化学株式会社製)1g、ポリグリセリン脂肪酸エステル(商品名:サンソフトA−141E;太陽化学株式会社製)1g、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:サンソフトAZ−14EG;太陽化学株式会社製)1.5g、ミルク香料1gを常法により混合し、水で全量を1000mlに調整し、高圧ホモジナイザーで均質化処理を行い、濃厚流動食を調製した。このものは、沈殿による分離等を生じず、美味しいものであった。【0025】本発明の実施態様ならびに目的生成物を挙げれば以下のとおりである。(1) リン脂質、多価金属イオン及び多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質を含有することを特徴とする、リン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(2) リン脂質の構成脂肪酸が、多価不飽和脂肪酸を含有していることを特徴とする、前記(1)記載のリン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(3) リン脂質の構成脂肪酸が、ω3系多価不飽和脂肪酸及び/又はω6系多価不飽和脂肪酸より選ばれる1種又は2種以上を含有していることを特徴とする、前記(1)又は(2)記載のリン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(4) リン脂質の構成脂肪酸が、ω3系多価不飽和脂肪酸より選ばれる1種又は2種以上を含有していることを特徴とする、前記(1)〜(3)いずれか記載のリン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(5) リン脂質の構成脂肪酸が、エイコサペンタエン酸及び/又はドコサヘキサエン酸を含有していることを特徴とする、前記(1)〜(4)いずれか記載のリン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(6) リン脂質が、卵黄レシチンであることを特徴とする、前記(1)〜(5)いずれか記載のリン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(7) リン脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン及びリゾホスファチジルセリンの合計が全リン脂質中50重量%以上含有のものであることを特徴とする、前記(1)〜(6)いずれか記載のリン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(8) リン脂質が、ホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルセリンの合計が全リン脂質中15重量%以上含有のものであることを特徴とする、前記(1)〜(7)記載のリン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。【0026】(9) 多価金属イオンが、二価金属イオンであることを特徴とする、前記(1)〜(8)いずれか記載のリン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(10) 多価金属イオンが、カルシウム又はマグネシウムであることを特徴とする、前記(1)〜(9)いずれか記載のリン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(11) 多価金属イオンが、カルシウムであることを特徴とする、前記(1)〜(10)いずれか記載のリン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(12) 多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質が、カゼインの酵素分解物又はエチレンジアミン四酢酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(1)〜(11)いずれか記載リン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(13) 多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質が、カゼインの酵素分解物であることを特徴とする、前記(1)〜(12)いずれか記載リン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(14) 多価金属イオンと、多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質の配合割合が、多価金属イオン1重量部に対し、多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質を0.5重量部以上であることを特徴とする、前記(1)〜(13)いずれか記載リン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(15) 多価金属イオンと、多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質の配合割合が、多価金属イオン1重量部に対し、多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質を2重量部以上であることを特徴とする、前記(1)〜(14)いずれか記載リン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(16) 乳化剤を併用していることを特徴とする、前記(1)〜(15)いずれか記載リン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(17) 乳化剤のHLBが、10以上であることを特徴とする、前記(16)記載リン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(18) 乳化剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルであることを特徴とする、前記(16)又は(17)記載リン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。(19) 前記(1)〜(18)いずれか記載の組成物を含有することを特徴とする飲食品。【0027】【発明の効果】本発明によれば、リン脂質を含有しながら、多価金属イオンとの沈殿を生じない組成物を調製することができ、手軽に摂取できるリン脂質を含有したカルシウム等のミネラル強化飲食品を供給でき、その産業上の利用価値は大である。 リン脂質、多価金属イオン及び多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質を含有することを特徴とする、リン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。 多価金属イオンが、二価金属イオンであることを特徴とする請求項1記載のリン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。 多価金属イオンが、カルシウムイオンであることを特徴とする請求項1又は2記載のリン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。 多価金属イオンとのキレート形成能を有する物質が、カゼインの酵素分解物であることを特徴とする、請求項1〜3いずれか記載のリン脂質と多価金属イオンの強化用組成物。 請求項1〜4いずれか記載の組成物を含有することを特徴とする飲食品。 【課題】リン脂質は、天然動植物の組織、とりわけ卵黄や大豆、牛脳等の組織において細胞膜構成物質として比較的多く存在している物質である。リン脂質は、別名レシチンといい、各種飲食品の乳化目的等で使用されている。また、単なる栄養成分であるのみならず、様々な生理機能を有する食品成分としてその働きが注目され、カプセル等の剤形で市販されている。しかし、リン脂質はカルシウム等の多価金属イオンとの反応性が高く、不溶性となってしまうため、飲料等ではリン脂質とカルシウム等のミネラルの両方を、十分な有効量の添加ができないという問題があった。本発明は、手軽に摂取できる飲料でも使用できる、リン脂質と多価金属イオンによる沈殿を抑制した組成物を供給することを目的とする。【解決手段】リン脂質及び多価金属イオンと共に、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有させることで本課題を解決する。


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