生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ホワイトソルガムを用いて発泡性飲料を製造する方法
出願番号:2003202299
年次:2005
IPC分類:7,C12C5/02,C12G3/02


特許情報キャッシュ

高橋 浩一郎 藤本 健 浜田 晃太郎 JP 2005040045 公開特許公報(A) 20050217 2003202299 20030728 ホワイトソルガムを用いて発泡性飲料を製造する方法 アサヒビール株式会社 000000055 中村 稔 100059959 大塚 文昭 100067013 熊倉 禎男 100082005 宍戸 嘉一 100065189 今城 俊夫 100074228 小川 信夫 100084009 村社 厚夫 100082821 西島 孝喜 100086771 箱田 篤 100084663 高橋 浩一郎 藤本 健 浜田 晃太郎 7 C12C5/02 C12G3/02 JP C12C5/02 C12G3/02 10 OL 9 4B015 4B015AG02 4B015DP11 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、特定原料を用いて発泡性飲料を製造する方法及び該方法により得られる発泡性飲料に関する。また、本発明は、特定原料を含む、発泡性飲料用泡持特性改良剤に関する。更に、本発明は、発泡性飲料の泡持特性を改良するための特定原料の使用に関する。【0002】【従来の技術】従来から広く親しまれている酒類(アルコール飲料)の代表例としてはビールが挙げられる。ビールは、大麦の麦芽デンプンを糖化して麦汁(液汁)とし、これに含まれる糖分を酵母によりアルコール発酵させることにより製造されるが、これに用いる主原料・副原料の種類・割合、発酵条件及び/又はその他の加熱・ろ過処理条件などを適宜設定することにより、製品に求められるテクスチャー(のどごし)や風味・味覚を非常にバラエティに富んだものとすることができるといった特徴がある。一方、ビールをグラスやジョッキに注いだ際に生じる泡の消滅時間が短ければ短いほど、このようなテクスチャー(のどごし)や風味・味覚の劣化が早く進むとされるばかりか、外観の悪さが商品価値の低下を招き得る。また、近年においては、ビールに加えて、発泡酒や、所謂ノンアルコールビール又はローアルコールビールが、ビールテイストを手軽に楽しむために消費者に求められている。【0003】しかしながら、通常、発泡酒や所謂ノンアルコールビールは、ビールに比し、麦芽使用比率が低く(例えば、発泡酒では25%以下)、副原料として比較的多量のコーンスターチや米などを用いる。そのため、これらの飲料では、アルコール発酵により、発泡酒に特有の臭気(以下、発泡酒臭と言う)が発生するといった問題が指摘されている。また、これらの飲料は、ビールに比し香味の低下が問題視されている一方、その麦芽使用比率が低くなればなるほど、ビールテイストの劣った製品となってしまう。このような問題を解決すべく、例えば、発泡酒の製造において、大麦分解物を副原料として使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)が、大麦に含まれるグルカンなどの成分により、仕込み工程中のろ過に長時間を要することとなり、製造効率の低下が問題となっている。また、発泡酒や所謂ノンアルコールビールでは、ビールに比し、泡持時間が低く、グラスに注いだ場合の外観の悪さが一層問題となっている。【特許文献1】特開2001−333760号公報(請求項1、〔0013〕)【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、不快臭がなく、泡持特性が改良された発泡性飲料を提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】本発明は、発泡性飲料の製造方法において、特定原料ホワイトソルガムを用いることにより、前記課題を効率的に解決することができるとの知見に基づくものである。即ち、本発明は、ホワイトソルガムを用いて発泡性飲料を製造する方法であって、(1)ホワイトソルガム及び水の混合物を糖化及びろ過して、液汁を得る工程、(2)得られた液汁を煮沸する工程、(3)煮沸した液汁を冷却する工程、(4)冷却した液汁を、酵母により発酵させる工程、(5)発酵液をろ過して、酵母及びタンパクを除去し、発泡性飲料を得る工程を含む方法を提供する。また、本発明は、前記製造方法により得られる発泡性飲料を提供する。また、本発明は、ホワイトソルガムを含む、発泡性飲料用泡持特性改良剤を提供する。更に、本発明は、発泡性飲料の泡持特性を改良するためのホワイトソルガムの使用を提供する。【0006】【発明の実施の形態】本発明の“発泡性飲料”とは、所定の液汁を酵母により発酵させて得られる炭酸飲料、特には、麦芽発酵飲料(例えば、ビール、発泡酒及び所謂ノンアルコールビール)及び麦芽を原料としない発泡性飲料を意味する。また、本発明の発泡性飲料は、アルコール含量が、8質量%未満であるのが好ましく、より好ましくは4〜6質量%であるのがよい。本発明の発泡性飲料中におけるアルコール含量は、以下に記載するような液汁の糖度や発酵条件を適宜設定することにより調節することができる。本発明の発泡性飲料は、以下に記載する特定の製造方法により得ることができる。【0007】(1)液汁の調製:まず、発酵原料である液汁を調製する。この工程では、特定原料ホワイトソルガムを用いることが必須である。ここで、ソルガムは、イネ科の一年生草で、モロコシキビ、カオリャン、マイロなどと呼ばれており、グレイン・ソルガム、スイート・ソルガム、ブルーム・ソルガム及びグラス・ソルガムの4グループに分類される。ホワイトソルガムは、グレイン・ソルガムの1品種であり、その種実が、食用を目的として改良された品種であり、また、麦類に多く存在するグルテンを含まないことを特徴とする。本発明において用いるホワイトソルガムは、例えば、穀物取扱商社などから商業的に入手することができる。本発明においては、この工程(1)において、ホワイトソルガム及び水の混合物を糖化及びろ過して、液汁を得る。前記混合物中におけるホワイトソルガム含量は、水を除いた原料の総質量をベースとして、例えば、25〜100質量%とすることができ、例えば、70〜100質量%としてもよく、更には、85〜100質量%としてもよい。ホワイトソルガムを用いることにより、得られる発泡性飲料の泡持特性が改良される。従って、本発明の1態様として、ホワイトソルガムを含む、発泡性飲料用泡持特性改良剤が含まれる。また、本発明の別の態様として、発泡性飲料の泡持特性を改良するためのホワイトソルガムの使用が含まれる。この発泡性飲料は、雑酒、発泡酒又はノンアルコールビールであるのが好ましく、より好ましくは雑酒、発泡酒である。【0008】また、前記混合物中において、水は総原料使用量に対して3〜8倍を使用することができる。水の品質も場合によっては、得られる発泡性飲料の品質に影響するであろうが、本発明の効果が奏される限り特に限定されない。ここで、前記混合物には、麦芽を含ませても含ませなくてもよい。麦芽を用いる場合には、ビールや発泡酒の製造方法において通常用いられているもの、即ち、大麦、例えば二条大麦を、常法により発芽させ、これを乾燥後、所定の粒度に粉砕した麦芽粉砕物を用いることができる。また、麦芽添加量(質量)は、得ようとする発泡性飲料に求められる風味などを考慮して適宜設定することができるが、例えば、ホワイトソルガム添加量(質量)の2倍以上としてもよく、この場合には、得られる本発明の発泡性飲料を酒税法上のビールとすることができる。また、麦芽添加量(質量)は、ホワイトソルガム添加量(質量)の2倍未満(即ち、混合物中におけるホワイトソルガム含量が、麦芽含量の2分の1を越えるもの)としてもよく、この場合には、得られる本発明の発泡性飲料を酒税法上の発泡酒又は所謂ノンアルコールビールとすることができる。前記混合物中における麦芽含量は、水を除いた原料の総質量をベースとして、例えば、0〜75質量%とすることができ、例えば、0〜30質量%としてもよく、更には、0〜15質量%としてもよい。【0009】尚、前記混合物中において、麦芽を原料として使用しなくてもよく、例えば、水以外の原料としてホワイトソルガムのみを用いることができ、この場合には、デンプン分解酵素及び/又はタンパク分解酵素を適宜添加して、糖化やタンパク分解を促進するのが好ましい。また、前記混合物中には、ホワイトソルガム以外の副原料、例えば、コーンスターチ、米及びコーングリッツなどを含ませることもできるが必須ではない。このような混合物の糖化は、例えば、仕込釜や仕込槽中において常法により行うことができ、また、ろ過は、例えば、液汁ろ過槽中において常法により行うことができる。【0010】(2)液汁の煮沸:本発明では、次いで、(2)得られた液汁を煮沸する工程を行う。この煮沸工程(2)は、温度や時間などの煮沸条件を適宜設定することにより行うことができ、例えば、煮沸釜中において行うことができる。また、煮沸後、例えば、ワールプールと称する槽中において、沈澱により生じたタンパクなどの粕を除去するのが好ましい。尚、この後、液汁の糖度を、温水の添加により、例えば、7〜14%に調整するのが好ましい。また、この工程においては、煮沸前にホップエキス又はホップ加工品を添加することができる。これにより、ホップの風味・香気を煮出することができる。ホップの添加量、添加態様(例えば数回に分けて添加するなど)及び煮沸条件は、適宜決定することができる。尚、ホップエキス又はホップ加工品の添加は、この工程(2)において行うことが好ましいが、これ以外の任意の工程段階において行ってもよい。(3)液汁の冷却:その後、(3)煮沸した液汁を冷却する工程を行う。この冷却工程は、例えば、プレートクーラーにより行うことができる。通常は、発酵に適する温度、例えば、8〜10℃まで冷却するのが好ましい。【0011】(4)液汁の発酵:液汁の発酵は、例えば、発酵タンク中において、常法により行うことができる。例えば、液汁1mlあたり10×106〜40×106個の酵母を添加して行うのが好ましい。酵母は、下面発酵を行うものとするのがよく、例えば、Saccharomyces属から選ぶことができる。このような酵母の菌株の選択は、例えば、得ようとする発泡性飲料に求められるテクスチャー(のどごし)及び風味・味覚、発酵様式、例えば上面発酵とするか又は下面発酵とするか、他原料の種類などを考慮して行うのがよい。また、発酵温度は、6〜12℃とすることができ、発酵時間は、140〜240時間とすることができる。本発明においては、通常のビール又は発泡酒の製造方法と同様に、次いで、後発酵(熟成)を行うことができる。後発酵は、例えば、−1〜12℃において1〜50日間行うことができる。【0012】(5)発酵液のろ過:上述のようにして得られた発酵液を、次いで、ろ過して、酵母及びタンパクを除去する。ろ過は、珪藻土ろ過機を用いて行うことができる。この際、酵母詰まりによるろ過遅延が発生する場合には、事前にイーストセパレーターにより酵母を遠心分離で除去しておくのが好ましい。ろ過工程(5)を行った後、本発明の発泡性飲料を得ることができる。尚、本発明においては、前記工程(1)〜(5)の他に、例えば、通常のビール又は発泡酒の製造において行われる工程、例えば、脱気水などによる最終濃度の調節、低温殺菌(パストリゼーション)、容器(例えば樽、ビン、缶)への充填(パッケージング)、容器のラベリングなどを行うことができる。【0013】【発明の効果】本発明の方法によれば、製造効率を低下させることなく、発泡酒臭などの不快臭の発生が効率的に防止され、香味が良好でビールテイストを有する発泡性飲料を提供することができ、また、かかる発泡性飲料の泡持特性は、従来のものと比べ格段に改善されたものである。以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。【0014】【実施例】本発明の発泡性飲料を以下の方法で製造した。図1を参照して説明する。実施例1(麦芽使用比率0%)(1)液汁の調製:麦芽を使用せずに、ホワイトソルガム25kgを仕込釜1に入れた。これに、温水88リットルを加えて、タンパク分解酵素としてのNovo社製プロテアーゼ(製品名:Neutrase)0.05kg及びでん粉分解酵素としてのNovo社製αアミラーゼ(製品名:Termamyl)0.05kgを添加し、これらを混合して液化を行いマイシェを作った。この操作では、開始時の液温を50℃とし、該温度で60分間保持し、さらに段階的に昇温して、100℃まで液温を高め、この温度で30分間保持した。このようにして得たマイシェ108リットルを、仕込槽2へ移した。この仕込槽2に、デンプン分解酵素としてのNovo社製αアミラーゼ(製品名:Fungamyl)0.2kgを添加して糖化を行った。この操作は、前記酵素を添加した後に、これを60℃で、60分間保持することにより行った。糖化工程終了後、これを液汁濾過槽3において濾過して、その濾液として透明な液汁200リットルを得た(糖度9%)。【0015】(2)液汁の煮沸:得られた液汁200リットルを、煮沸釜4に移し、これにホップ0.02kgを加えて、100℃で90分間煮沸した。煮沸した液汁をワールプール槽5に入れて、沈殿により生じたタンパク質などの粕を除去した。この際、煮沸後の液汁180リットル(糖度10%)に温水20リットルを加えて糖度9%に調整した。(3)液汁の冷却:次いで、これをプレートクーラー6により5℃まで冷却して、冷却した液汁170リットルを得た。(4)液汁の発酵:上述のようにして得られた液汁170リットルを発酵タンク7に移した。次いで、発酵タンク7に、液汁1mlあたり20×106個の泥状酵母を添加し、10℃で168時間発酵を行った。次いで、得られた発酵液を、−1℃で7日間熟成(後発酵)させた。(5)発酵液のろ過:上述のようにして得られた発酵液をろ過して、酵母及びタンパクを除去し、目的の発泡性飲料(アルコール度4%、麦芽使用比率0%)を得た。【0016】実施例2(麦芽使用比率10%)(1)液汁(麦汁)の調製:麦芽粉砕物1kg及びホワイトソルガム27kgを仕込釜1に入れた。これに、温水98リットルを加えて、これらの原料を混合して液化を行いマイシェを作った。この操作は、開始時の液温を50℃とし、徐々に昇温して、70℃とした後、該温度で10分間保持し、さらに段階的に昇温して、100℃まで液温を高め、この温度で30分間保持した。一方、仕込槽2では、別の麦芽粉砕物2kgに温水5リットルを加えて混合し、50℃とし、60分間程度保持してマイシェを作った。その後、仕込槽2中のマイシェに、仕込釜1で製造したマイシェ120リットルを加えた。次いで、このマイシェ混合物を仕込槽2中において所定温度、65℃で、90分間保持して、糖化を行った。糖化工程終了後、これを液汁濾過槽3において濾過して、その濾液として透明な液汁200リットルを得た。その後、実施例1と同様にして、工程(2)〜(5)を行って、目的の発泡性飲料(アルコール度4%、麦芽使用比率10%)を得た。【0017】実施例3(麦芽使用比率25%)工程(1)において、仕込み釜1に入れる麦芽粉砕物の使用量を3kgとし、かつ、仕込槽2に入れる麦芽粉砕物の使用量を7kgとした以外は、実施例2と同様にして、工程(1)〜(5)を行って、目的の発泡性飲料(アルコール度4%、麦芽使用比率25%)を得た。実施例4(麦芽使用比率70%)工程(1)において、仕込み釜1に入れる麦芽粉砕物の使用量を2kgとし、かつ、仕込槽2に入れる麦芽粉砕物の使用量を26kgとした以外は、実施例2と同様にして、工程(1)〜(5)を行って、目的の発泡性飲料(アルコール度4%、麦芽使用比率70%)を得た。【0018】比較例1(麦芽使用比率0%)工程(1)において、ホワイトソルガムに代えてコーンスターチを用いた以外は、実施例1と同様にして、工程(1)〜(5)を行って、目的の発泡性飲料(アルコール度4%、麦芽使用比率0%)を得た。比較例2(麦芽使用比率0%)工程(1)において、ホワイトソルガムに代えて米を用いた以外は、実施例1と同様にして、工程(1)〜(5)を行って、目的の発泡性飲料(アルコール度4%、麦芽使用比率0%)を得た。【0019】前記実施例1〜4及び比較例1及び2について、仕込後の液汁(場合により麦汁)、及び得られた発泡性飲料の物理化学分析及び官能検査を行った。これらの麦芽とホワイトソルガム、コーンスターチ又は米との割合を表1に示し、試験結果を表2に示す。液汁又は麦汁、及び発泡性飲料の分析はEBCの方法に従った(ビール酒造組合:「ビール分析法」1990年)。尚、官能検査は、ビール醸造技術者5名のパネリストで行い、発泡酒臭の有無、味感、ビールらしい香味(ビールテイスト)について評価した。【0020】【表1】【0021】【表2】発泡酒臭:−無、+有ビールテイスト:○ビールらしい味わいあり、×ビールらしい味わいなしFAN:遊離アミノ態窒素【図面の簡単な説明】【図1】本発明の発泡性飲料を製造するための一連の装置を示す。【符号の説明】1 仕込釜2 仕込槽3 液汁ろ過槽4 煮沸釜5 ワールプール6 プレートクーラー7 発酵タンク ホワイトソルガムを用いて発泡性飲料を製造する方法であって、(1)ホワイトソルガム及び水の混合物を糖化及びろ過して、液汁を得る工程、(2)得られた液汁を煮沸する工程、(3)煮沸した液汁を冷却する工程、(4)冷却した液汁を、酵母により発酵させる工程、(5)発酵液をろ過して、酵母及びタンパクを除去し、発泡性飲料を得る工程を含む方法。 工程(1)における混合物が麦芽を含む請求項1に記載の方法。 工程(1)における混合物中におけるホワイトソルガム含量が、麦芽含量の2分の1を越える請求項2に記載の方法。 発泡性飲料がビールである請求項2に記載の方法。 発泡性飲料が発泡酒である請求項3に記載の方法。 麦芽を原料として使用しない請求項1に記載の方法により得られる発泡性飲料。 請求項3に記載の方法により得られる発泡酒。 ホワイトソルガムを含む、発泡性飲料用泡持特性改良剤。 発泡性飲料の泡持特性を改良するためのホワイトソルガムの使用。 発泡性飲料が発泡酒である請求項9に記載の使用。 【課題】不快臭がなく、泡持特性が改良された発泡性飲料を提供すること。【解決手段】ホワイトソルガムを用いて発泡性飲料を製造する方法であって、(1)ホワイトソルガム及び水の混合物を糖化及びろ過して、液汁を得る工程、(2)得られた液汁を煮沸する工程、(3)煮沸した液汁を冷却する工程、(4)冷却した液汁を、酵母により発酵させる工程、(5)発酵液をろ過して、酵母及びタンパクを除去し、発泡性飲料を得る工程を含む方法。


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特許公報(B2)_ホワイトソルガムを用いて発泡性飲料を製造する方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ホワイトソルガムを用いて発泡性飲料を製造する方法
出願番号:2003202299
年次:2009
IPC分類:C12C 5/02,C12G 3/02


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高橋 浩一郎 藤本 健 浜田 晃太郎 JP 4230302 特許公報(B2) 20081212 2003202299 20030728 ホワイトソルガムを用いて発泡性飲料を製造する方法 アサヒビール株式会社 000000055 中村 稔 100059959 大塚 文昭 100067013 熊倉 禎男 100082005 宍戸 嘉一 100065189 今城 俊夫 100074228 小川 信夫 100084009 村社 厚夫 100082821 西島 孝喜 100086771 箱田 篤 100084663 高橋 浩一郎 藤本 健 浜田 晃太郎 20090225 C12C 5/02 20060101AFI20090205BHJP C12G 3/02 20060101ALI20090205BHJP JPC12C5/02C12G3/02 C12C 5/02 C12G 3/02 国際公開第2005/005593(WO,A1) 7 2005040045 20050217 9 20060704 今村 玲英子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、特定原料を用いて発泡性飲料を製造する方法及び該方法により得られる発泡性飲料に関する。また、本発明は、特定原料を含む、発泡性飲料用泡持特性改良剤に関する。更に、本発明は、発泡性飲料の泡持特性を改良するための特定原料の使用に関する。【0002】【従来の技術】従来から広く親しまれている酒類(アルコール飲料)の代表例としてはビールが挙げられる。ビールは、大麦の麦芽デンプンを糖化して麦汁(液汁)とし、これに含まれる糖分を酵母によりアルコール発酵させることにより製造されるが、これに用いる主原料・副原料の種類・割合、発酵条件及び/又はその他の加熱・ろ過処理条件などを適宜設定することにより、製品に求められるテクスチャー(のどごし)や風味・味覚を非常にバラエティに富んだものとすることができるといった特徴がある。一方、ビールをグラスやジョッキに注いだ際に生じる泡の消滅時間が短ければ短いほど、このようなテクスチャー(のどごし)や風味・味覚の劣化が早く進むとされるばかりか、外観の悪さが商品価値の低下を招き得る。また、近年においては、ビールに加えて、発泡酒や、所謂ノンアルコールビール又はローアルコールビールが、ビールテイストを手軽に楽しむために消費者に求められている。【0003】しかしながら、通常、発泡酒や所謂ノンアルコールビールは、ビールに比し、麦芽使用比率が低く(例えば、発泡酒では25%以下)、副原料として比較的多量のコーンスターチや米などを用いる。そのため、これらの飲料では、アルコール発酵により、発泡酒に特有の臭気(以下、発泡酒臭と言う)が発生するといった問題が指摘されている。また、これらの飲料は、ビールに比し香味の低下が問題視されている一方、その麦芽使用比率が低くなればなるほど、ビールテイストの劣った製品となってしまう。このような問題を解決すべく、例えば、発泡酒の製造において、大麦分解物を副原料として使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)が、大麦に含まれるグルカンなどの成分により、仕込み工程中のろ過に長時間を要することとなり、製造効率の低下が問題となっている。また、発泡酒や所謂ノンアルコールビールでは、ビールに比し、泡持時間が低く、グラスに注いだ場合の外観の悪さが一層問題となっている。【特許文献1】特開2001−333760号公報(請求項1、〔0013〕)【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、不快臭がなく、泡持特性が改良された発泡性飲料を提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】本発明は、発泡性飲料の製造方法において、特定原料ホワイトソルガムを用いることにより、前記課題を効率的に解決することができるとの知見に基づくものである。即ち、本発明は、ホワイトソルガムを用いて発泡性飲料を製造する方法であって、(1)ホワイトソルガム及び水の混合物を糖化及びろ過して、液汁を得る工程、(2)得られた液汁を煮沸する工程、(3)煮沸した液汁を冷却する工程、(4)冷却した液汁を、酵母により発酵させる工程、(5)発酵液をろ過して、酵母及びタンパクを除去し、発泡性飲料を得る工程を含む方法を提供する。また、本発明は、前記製造方法により得られる発泡性飲料を提供する。また、本発明は、ホワイトソルガムを含む、発泡性飲料用泡持特性改良剤を提供する。更に、本発明は、発泡性飲料の泡持特性を改良するためのホワイトソルガムの使用を提供する。【0006】【発明の実施の形態】本発明の“発泡性飲料”とは、所定の液汁を酵母により発酵させて得られる炭酸飲料、特には、麦芽発酵飲料(例えば、ビール、発泡酒及び所謂ノンアルコールビール)及び麦芽を原料としない発泡性飲料を意味する。また、本発明の発泡性飲料は、アルコール含量が、8質量%未満であるのが好ましく、より好ましくは4〜6質量%であるのがよい。本発明の発泡性飲料中におけるアルコール含量は、以下に記載するような液汁の糖度や発酵条件を適宜設定することにより調節することができる。本発明の発泡性飲料は、以下に記載する特定の製造方法により得ることができる。【0007】(1)液汁の調製:まず、発酵原料である液汁を調製する。この工程では、特定原料ホワイトソルガムを用いることが必須である。ここで、ソルガムは、イネ科の一年生草で、モロコシキビ、カオリャン、マイロなどと呼ばれており、グレイン・ソルガム、スイート・ソルガム、ブルーム・ソルガム及びグラス・ソルガムの4グループに分類される。ホワイトソルガムは、グレイン・ソルガムの1品種であり、その種実が、食用を目的として改良された品種であり、また、麦類に多く存在するグルテンを含まないことを特徴とする。本発明において用いるホワイトソルガムは、例えば、穀物取扱商社などから商業的に入手することができる。本発明においては、この工程(1)において、ホワイトソルガム及び水の混合物を糖化及びろ過して、液汁を得る。前記混合物中におけるホワイトソルガム含量は、水を除いた原料の総質量をベースとして、例えば、25〜100質量%とすることができ、例えば、70〜100質量%としてもよく、更には、85〜100質量%としてもよい。ホワイトソルガムを用いることにより、得られる発泡性飲料の泡持特性が改良される。従って、本発明の1態様として、ホワイトソルガムを含む、発泡性飲料用泡持特性改良剤が含まれる。また、本発明の別の態様として、発泡性飲料の泡持特性を改良するためのホワイトソルガムの使用が含まれる。この発泡性飲料は、雑酒、発泡酒又はノンアルコールビールであるのが好ましく、より好ましくは雑酒、発泡酒である。【0008】また、前記混合物中において、水は総原料使用量に対して3〜8倍を使用することができる。水の品質も場合によっては、得られる発泡性飲料の品質に影響するであろうが、本発明の効果が奏される限り特に限定されない。ここで、前記混合物には、麦芽を含ませても含ませなくてもよい。麦芽を用いる場合には、ビールや発泡酒の製造方法において通常用いられているもの、即ち、大麦、例えば二条大麦を、常法により発芽させ、これを乾燥後、所定の粒度に粉砕した麦芽粉砕物を用いることができる。また、麦芽添加量(質量)は、得ようとする発泡性飲料に求められる風味などを考慮して適宜設定することができるが、例えば、ホワイトソルガム添加量(質量)の2倍以上としてもよく、この場合には、得られる本発明の発泡性飲料を酒税法上のビールとすることができる。また、麦芽添加量(質量)は、ホワイトソルガム添加量(質量)の2倍未満(即ち、混合物中におけるホワイトソルガム含量が、麦芽含量の2分の1を越えるもの)としてもよく、この場合には、得られる本発明の発泡性飲料を酒税法上の発泡酒又は所謂ノンアルコールビールとすることができる。前記混合物中における麦芽含量は、水を除いた原料の総質量をベースとして、例えば、0〜75質量%とすることができ、例えば、0〜30質量%としてもよく、更には、0〜15質量%としてもよい。【0009】尚、前記混合物中において、麦芽を原料として使用しなくてもよく、例えば、水以外の原料としてホワイトソルガムのみを用いることができ、この場合には、デンプン分解酵素及び/又はタンパク分解酵素を適宜添加して、糖化やタンパク分解を促進するのが好ましい。また、前記混合物中には、ホワイトソルガム以外の副原料、例えば、コーンスターチ、米及びコーングリッツなどを含ませることもできるが必須ではない。このような混合物の糖化は、例えば、仕込釜や仕込槽中において常法により行うことができ、また、ろ過は、例えば、液汁ろ過槽中において常法により行うことができる。【0010】(2)液汁の煮沸:本発明では、次いで、(2)得られた液汁を煮沸する工程を行う。この煮沸工程(2)は、温度や時間などの煮沸条件を適宜設定することにより行うことができ、例えば、煮沸釜中において行うことができる。また、煮沸後、例えば、ワールプールと称する槽中において、沈澱により生じたタンパクなどの粕を除去するのが好ましい。尚、この後、液汁の糖度を、温水の添加により、例えば、7〜14%に調整するのが好ましい。また、この工程においては、煮沸前にホップエキス又はホップ加工品を添加することができる。これにより、ホップの風味・香気を煮出することができる。ホップの添加量、添加態様(例えば数回に分けて添加するなど)及び煮沸条件は、適宜決定することができる。尚、ホップエキス又はホップ加工品の添加は、この工程(2)において行うことが好ましいが、これ以外の任意の工程段階において行ってもよい。(3)液汁の冷却:その後、(3)煮沸した液汁を冷却する工程を行う。この冷却工程は、例えば、プレートクーラーにより行うことができる。通常は、発酵に適する温度、例えば、8〜10℃まで冷却するのが好ましい。【0011】(4)液汁の発酵:液汁の発酵は、例えば、発酵タンク中において、常法により行うことができる。例えば、液汁1mlあたり10×106〜40×106個の酵母を添加して行うのが好ましい。酵母は、下面発酵を行うものとするのがよく、例えば、Saccharomyces属から選ぶことができる。このような酵母の菌株の選択は、例えば、得ようとする発泡性飲料に求められるテクスチャー(のどごし)及び風味・味覚、発酵様式、例えば上面発酵とするか又は下面発酵とするか、他原料の種類などを考慮して行うのがよい。また、発酵温度は、6〜12℃とすることができ、発酵時間は、140〜240時間とすることができる。本発明においては、通常のビール又は発泡酒の製造方法と同様に、次いで、後発酵(熟成)を行うことができる。後発酵は、例えば、−1〜12℃において1〜50日間行うことができる。【0012】(5)発酵液のろ過:上述のようにして得られた発酵液を、次いで、ろ過して、酵母及びタンパクを除去する。ろ過は、珪藻土ろ過機を用いて行うことができる。この際、酵母詰まりによるろ過遅延が発生する場合には、事前にイーストセパレーターにより酵母を遠心分離で除去しておくのが好ましい。ろ過工程(5)を行った後、本発明の発泡性飲料を得ることができる。尚、本発明においては、前記工程(1)〜(5)の他に、例えば、通常のビール又は発泡酒の製造において行われる工程、例えば、脱気水などによる最終濃度の調節、低温殺菌(パストリゼーション)、容器(例えば樽、ビン、缶)への充填(パッケージング)、容器のラベリングなどを行うことができる。【0013】【発明の効果】本発明の方法によれば、製造効率を低下させることなく、発泡酒臭などの不快臭の発生が効率的に防止され、香味が良好でビールテイストを有する発泡性飲料を提供することができ、また、かかる発泡性飲料の泡持特性は、従来のものと比べ格段に改善されたものである。以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。【0014】【実施例】本発明の発泡性飲料を以下の方法で製造した。図1を参照して説明する。実施例1(麦芽使用比率0%)(1)液汁の調製:麦芽を使用せずに、ホワイトソルガム25kgを仕込釜1に入れた。これに、温水88リットルを加えて、タンパク分解酵素としてのNovo社製プロテアーゼ(製品名:Neutrase)0.05kg及びでん粉分解酵素としてのNovo社製αアミラーゼ(製品名:Termamyl)0.05kgを添加し、これらを混合して液化を行いマイシェを作った。この操作では、開始時の液温を50℃とし、該温度で60分間保持し、さらに段階的に昇温して、100℃まで液温を高め、この温度で30分間保持した。このようにして得たマイシェ108リットルを、仕込槽2へ移した。この仕込槽2に、デンプン分解酵素としてのNovo社製αアミラーゼ(製品名:Fungamyl)0.2kgを添加して糖化を行った。この操作は、前記酵素を添加した後に、これを60℃で、60分間保持することにより行った。糖化工程終了後、これを液汁濾過槽3において濾過して、その濾液として透明な液汁200リットルを得た(糖度9%)。【0015】(2)液汁の煮沸:得られた液汁200リットルを、煮沸釜4に移し、これにホップ0.02kgを加えて、100℃で90分間煮沸した。煮沸した液汁をワールプール槽5に入れて、沈殿により生じたタンパク質などの粕を除去した。この際、煮沸後の液汁180リットル(糖度10%)に温水20リットルを加えて糖度9%に調整した。(3)液汁の冷却:次いで、これをプレートクーラー6により5℃まで冷却して、冷却した液汁170リットルを得た。(4)液汁の発酵:上述のようにして得られた液汁170リットルを発酵タンク7に移した。次いで、発酵タンク7に、液汁1mlあたり20×106個の泥状酵母を添加し、10℃で168時間発酵を行った。次いで、得られた発酵液を、−1℃で7日間熟成(後発酵)させた。(5)発酵液のろ過:上述のようにして得られた発酵液をろ過して、酵母及びタンパクを除去し、目的の発泡性飲料(アルコール度4%、麦芽使用比率0%)を得た。【0016】実施例2(麦芽使用比率10%)(1)液汁(麦汁)の調製:麦芽粉砕物1kg及びホワイトソルガム27kgを仕込釜1に入れた。これに、温水98リットルを加えて、これらの原料を混合して液化を行いマイシェを作った。この操作は、開始時の液温を50℃とし、徐々に昇温して、70℃とした後、該温度で10分間保持し、さらに段階的に昇温して、100℃まで液温を高め、この温度で30分間保持した。一方、仕込槽2では、別の麦芽粉砕物2kgに温水5リットルを加えて混合し、50℃とし、60分間程度保持してマイシェを作った。その後、仕込槽2中のマイシェに、仕込釜1で製造したマイシェ120リットルを加えた。次いで、このマイシェ混合物を仕込槽2中において所定温度、65℃で、90分間保持して、糖化を行った。糖化工程終了後、これを液汁濾過槽3において濾過して、その濾液として透明な液汁200リットルを得た。その後、実施例1と同様にして、工程(2)〜(5)を行って、目的の発泡性飲料(アルコール度4%、麦芽使用比率10%)を得た。【0017】実施例3(麦芽使用比率25%)工程(1)において、仕込み釜1に入れる麦芽粉砕物の使用量を3kgとし、かつ、仕込槽2に入れる麦芽粉砕物の使用量を7kgとした以外は、実施例2と同様にして、工程(1)〜(5)を行って、目的の発泡性飲料(アルコール度4%、麦芽使用比率25%)を得た。実施例4(麦芽使用比率70%)工程(1)において、仕込み釜1に入れる麦芽粉砕物の使用量を2kgとし、かつ、仕込槽2に入れる麦芽粉砕物の使用量を26kgとした以外は、実施例2と同様にして、工程(1)〜(5)を行って、目的の発泡性飲料(アルコール度4%、麦芽使用比率70%)を得た。【0018】比較例1(麦芽使用比率0%)工程(1)において、ホワイトソルガムに代えてコーンスターチを用いた以外は、実施例1と同様にして、工程(1)〜(5)を行って、目的の発泡性飲料(アルコール度4%、麦芽使用比率0%)を得た。比較例2(麦芽使用比率0%)工程(1)において、ホワイトソルガムに代えて米を用いた以外は、実施例1と同様にして、工程(1)〜(5)を行って、目的の発泡性飲料(アルコール度4%、麦芽使用比率0%)を得た。【0019】前記実施例1〜4及び比較例1及び2について、仕込後の液汁(場合により麦汁)、及び得られた発泡性飲料の物理化学分析及び官能検査を行った。これらの麦芽とホワイトソルガム、コーンスターチ又は米との割合を表1に示し、試験結果を表2に示す。液汁又は麦汁、及び発泡性飲料の分析はEBCの方法に従った(ビール酒造組合:「ビール分析法」1990年)。尚、官能検査は、ビール醸造技術者5名のパネリストで行い、発泡酒臭の有無、味感、ビールらしい香味(ビールテイスト)について評価した。【0020】【表1】【0021】【表2】発泡酒臭:−無、+有ビールテイスト:○ビールらしい味わいあり、×ビールらしい味わいなしFAN:遊離アミノ態窒素【図面の簡単な説明】【図1】本発明の発泡性飲料を製造するための一連の装置を示す。【符号の説明】1 仕込釜2 仕込槽3 液汁ろ過槽4 煮沸釜5 ワールプール6 プレートクーラー7 発酵タンク ホワイトソルガムを用いて発泡性飲料を製造する方法であって、(1)ホワイトソルガム及び水の混合物を糖化及びろ過して、液汁を得る工程、(2)得られた液汁を煮沸する工程、(3)煮沸した液汁を冷却する工程、(4)冷却した液汁を、酵母により発酵させる工程、(5)発酵液をろ過して、酵母及びタンパクを除去し、発泡性飲料を得る工程を含む方法。 工程(1)における混合物が麦芽を含む請求項1に記載の方法。 工程(1)における混合物中におけるホワイトソルガム含量が、麦芽含量の2分の1を越える請求項2に記載の方法。 発泡性飲料がビールである請求項2に記載の方法。 発泡性飲料が発泡酒である請求項3に記載の方法。 麦芽を原料として使用しない請求項1に記載の方法により得られる発泡性飲料。 請求項3に記載の方法により得られる発泡酒。


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