生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_家畜の乳房炎予防剤及び家畜の乳房炎予防方法
出願番号:2003201329
年次:2005
IPC分類:7,A61K31/19,A61K31/191,A61K31/194,A61P15/14


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長澤 哲夫 馬奈木 龍夫 JP 2005041798 公開特許公報(A) 20050217 2003201329 20030724 家畜の乳房炎予防剤及び家畜の乳房炎予防方法 扶桑化学工業株式会社 000238164 清原 義博 100082072 長澤 哲夫 馬奈木 龍夫 7 A61K31/19 A61K31/191 A61K31/194 A61P15/14 JP A61K31/19 A61K31/191 A61K31/194 A61P15/14 171 5 OL 7 4C206 4C206AA01 4C206AA02 4C206DA02 4C206DA07 4C206DA36 4C206MA01 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZC62 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は家畜の乳房炎予防剤及び家畜の乳房炎予防方法に関する。より詳しくは、安価であるとともに、安全性が高く、実用的で優れた乳房炎予防効果を有する家畜の乳房炎予防剤及び家畜の乳房炎予防方法に関する。【0002】【従来の技術】乳牛等の家畜は乳頭が搾乳時に傷ついたり、糞尿等により汚染されたりして、病原菌が乳頭口より乳房内に侵入することで、しばしば乳房炎を発症する。乳房炎を発症すると、乳量の低下、乳質の低下、さらには細菌汚染による衛生上の問題や体細胞数の増加による乳製品加工の際の歩留まりの低下などを招くと共に、他の乳牛へ感染する危険性があり、酪農家にとって非常に大きな問題であり、酪農業界において大きな経済的損失を招いている。【0003】従来、乳房炎の予防及び治療方法としては、ヨウ素等の殺菌剤により搾乳前に乳頭を浸漬消毒(ディッピング)する方法と、抗生物質等を投与する方法とが知られている。ヨウ素等の殺菌剤で乳頭を浸漬消毒(ディッピング)する方法は、浸漬消毒した後に、殺菌剤の拭き取りが不十分であると搾乳した乳にヨウ素等の殺菌剤が混入する場合があり、より安全性の高い殺菌剤が求められている。そこで、安全性の高い殺菌剤として、キチンやキトサン等を有効成分とする乳房炎予防剤が提案されている(特許文献1乃至3参照)。またヒノキ科植物を含有する乳房炎予防剤(特許文献4参照)や、カプリル酸モノグリセリドやラウリン酸モノグリセリド等を含有する乳房炎予防剤(特許文献5参照)が提案されている。【0004】また抗生物質を投与する方法は、抗生物質が高価であるばかりでなく、残留農薬の問題、耐性菌の発生等の問題が存在するとともに、ヨーロッパ諸国における抗生物質を使用しない脱抗生物質化の流れからも好ましい方法とはいえない。そこで、抗生物質を投与する方法に代えて、β−カロチンに加えてビタミンAやビタミンE、或いは緑色植物等を投与する方法(特許文献6及び7参照)や酸性多糖を投与する方法(特許文献8参照)が提案されている。【0005】【特許文献1】特開平4−169529号公報【特許文献2】特開平6−9409号公報【特許文献3】特開2001−39877号公報【特許文献4】特開平7−109227号公報【特許文献5】特開平8−175989号公報【特許文献6】特開平6−98687号公報【特許文献7】特開平6−98692号公報【特許文献8】特開2001−213784号公報【0006】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特許文献1乃至5に記載される方法には以下のような問題が存在した。即ち、これらの方法はいずれも有効成分が高価であるとともに、搾乳前の浸漬消毒や塗布などの極短時間の処理では充分な効果を得ることができないといった問題が存在した。また特許文献6乃至8に記載される方法は有効成分が高価であり、しかも乳房炎予防効果に劣り、実用的な方法であるとはいえなかった。【0007】【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、請求項1に係る発明は、請求項1に係る発明は、有効成分としてカルボン酸及びカルボン酸塩からなる群から選択される一種以上を含有することを特徴とする家畜の乳房炎予防剤に関する。請求項2に係る発明は、前記カルボン酸がクエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸からなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の家畜の乳房炎予防剤に関する。請求項3に係る発明は、前記カルボン酸塩が、カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銅塩、亜鉛塩、アンモニウム塩、鉄塩、コバルト塩、セリウム塩からなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の家畜の乳房炎予防剤に関する。請求項4に係る発明は、前記請求項1乃至3のいずれかに記載の家畜の乳房炎予防剤を家畜に投与することを特徴とする家畜の乳房炎予防方法に関する。請求項5に係る発明は、前記乳房炎予防剤を飼料に混合して家畜に投与することを特徴とする請求項4に記載の家畜の乳房炎予防方法に関する。【0008】【発明の実施の形態】本発明に係る家畜の乳房炎予防剤は、有効成分としてカルボン酸及びカルボン酸塩からなる群から選択される一種以上を含有する。有効成分であるカルボン酸としては、多塩基カルボン酸、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸等を例示することができ、具体的には、炭素数3〜6の多塩基カルボン酸、炭素数1〜18の飽和カルボン酸、炭素数3〜18の不飽和カルボン酸を例示することができる。【0009】炭素数3〜6の多塩基カルボン酸としては、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、α−ケトグルタル酸、クエン酸等を例示することができる。炭素数1〜18の飽和カルボン酸としては、蟻酸、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、カプロン酸、グルコン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等を例示することができる。炭素数3〜18の不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、プロピオル酸、オレイン酸等を例示することができる。【0010】カルボン酸の塩としては、上記したカルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銅塩、亜鉛塩、アンモニウム塩、鉄塩、コバルト塩、セリウム塩等を例示することができ、ナトリウム塩又はカリウム塩を使用することが好ましい。【0011】特に本発明では、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸及びこれらの塩からなる群から選択される一種以上を使用することが好ましい。【0012】本発明に係る乳房炎予防剤には、必要に応じて各種添加剤を含有することができ、例えば、アラニン、リジン、トリプトファンなどのアミノ酸類、ビタミンA、ビタミンCなどのビタミン類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、酸化マグネシウム等の無機塩、セルラーゼ、アミラーゼなどの酵素類、キチン、キトサン、小麦、糖類、増粘剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、安定剤等を適宜任意に配合することができる。【0013】本発明に係る乳房炎予防剤の剤形は特に限定されず、錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、カプセル剤、注射剤、クリーム剤、坐剤、エアゾール剤等を例示することができる。【0014】本発明に係る家畜の乳房炎予防剤は、牛、馬、豚、ヤギ、羊等の家畜に投与することで、家畜の乳房炎を予防することができる。本発明に係る家畜の乳房炎予防剤の投与方法は特に限定されず、所要の剤型に調製した本発明に係る家畜の乳房炎予防剤を経口投与、或いは静脈投与、皮下投与、筋肉投与、経皮投与、経鼻投与等の非経口投与によって家畜に投与することができる。好ましい投与方法は経口投与であり、配合飼料などに添加して飼料とともに経口摂取させる方法が最も好ましい。この際の有効成分の含有量は特に限定されないが、配合飼料全量中、0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%とされる。0.05重量%未満の場合、乳房炎を予防する効果に乏しく、5重量%を超えて配合してもそれ以上の効果が得られないばかりか、配合飼料が酸味を帯びる場合があり、いずれの場合も好ましくない。【0015】本発明に係る家畜の乳房炎予防剤の投与量は特に限定されないが、投与する家畜の一頭一日当たり、10〜500g、好ましくは50〜300gを投与すればよい。一日当たりの投与量が10g未満の場合、家畜の乳房炎を予防する効果に劣り、500gを超えて投与してもそれ以上の効果が得られない。【0016】【実施例】以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、配合量は重量%である。(試験例1:家畜の乳房炎予防試験)乳中の体細胞数が3×105個/mL以上である乳房炎と考えられる乳牛(ホルスタイン種)を各試験区2頭ずつ準備した。表1に記載の濃度の有機酸を添加した飼料を一日二回毎日与えた。1ヶ月後、再び乳中の体細胞数を測定した。試験開始時の乳中の体細胞数の2頭の平均値と、試験開始1ヶ月後の乳中の体細胞数の2頭の平均値を表2に記載する。【0017】【表1】【表2】【0018】(試験例2:家畜の乳房炎予防試験)以下の組成からなる乳房炎予防剤を使用して、家畜の乳房炎予防効果試験を行った。試験方法は、三箇所の農場(O農場,I農場,M農場)において、乳牛(ホルスタイン種)に下記組成の乳房炎予防剤を一日当り300g飼料に混合して毎日経口投与した。乳房炎予防剤投与30日前から乳房炎予防剤投与後110日まで、10日毎に搾乳した乳中の体細胞数を測定した。結果を表3及び図1に記載する。【0019】<乳房炎予防剤の組成>クエン酸 50.0リン酸2水素ナトリウム 7.7リン酸水素2ナトリウム 2.7リンゴ酸 2.0乳酸カルシウム 1.0珪藻土 35.0二酸化ケイ素 1.6 合計 100.0重量%【0020】【表3】【0021】表2、3及び図1の結果に示されるように、本発明に係る家畜の乳房炎予防剤は、餌に混合して与えるだけで、家畜の乳房炎を予防する高い効果を有することが分かる。【0022】【発明の効果】以上詳述した如く、本発明に係る家畜の乳房炎予防剤は、有効成分としてカルボン酸又はカルボン酸塩を含有する家畜の乳房炎予防剤であるから、安価であり、しかも安全性が高い家畜の乳房炎予防剤である。また配合飼料などに混合して経口投与によって投与することができるので、手軽であり極めて実用的な家畜の乳房炎予防剤である。本発明に係る家畜の乳房炎予防方法は、有効成分としてカルボン酸又はカルボン酸塩を含有する家畜の乳房炎予防剤を投与する家畜の乳房炎予防方法であるから、家畜に対する安全性が高く、しかも経口投与によって投与することができるので、実用的な家畜の乳房炎予防方法である。【図面の簡単な説明】【図1】試験例2の結果を示すグラフである。 有効成分としてカルボン酸及びカルボン酸塩からなる群から選択される一種以上を含有することを特徴とする家畜の乳房炎予防剤。 前記カルボン酸がクエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸からなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の家畜の乳房炎予防剤。 前記カルボン酸塩が、カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銅塩、亜鉛塩、アンモニウム塩、鉄塩、コバルト塩、セリウム塩からなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の家畜の乳房炎予防剤。 前記請求項1乃至3のいずれかに記載の家畜の乳房炎予防剤を家畜に投与することを特徴とする家畜の乳房炎予防方法。 前記乳房炎予防剤を飼料に混合して家畜に投与することを特徴とする請求項4に記載の家畜の乳房炎予防方法。 【課題】安価であるとともに、安全性が高く、実用的で優れた乳房炎予防効果を有する家畜の乳房炎予防剤及び家畜の乳房炎予防方法を提供すること。【解決手段】有効成分として、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン酸及びカルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銅塩、亜鉛塩、アンモニウム塩、鉄塩、コバルト塩、セリウム塩などのカルボン酸塩からなる群から選択される一種以上を含有することを特徴とする家畜の乳房炎予防剤とする。【選択図】 なし


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