生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ヘリウムリークディテクタ
出願番号:2003192033
年次:2005
IPC分類:7,G01M3/20,G01N27/62,H01J49/30


特許情報キャッシュ

井川 秋夫 JP 2005024449 公開特許公報(A) 20050127 2003192033 20030704 ヘリウムリークディテクタ 株式会社島津製作所 000001993 永井 冬紀 100084412 井川 秋夫 7 G01M3/20 G01N27/62 H01J49/30 JP G01M3/20 D G01N27/62 J H01J49/30 3 3 OL 7 2G067 5C038 2G067BB03 2G067CC13 2G067DD18 5C038HH01 5C038HH07 5C038HH30 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、真空容器の気密性の検査等に用いられるリークディテクタに関するものである。【0002】【従来の技術】真空容器の気密性の検査を行う有力な検査機器の一つとしてヘリウムリークディテクタがある。従来、ヘリウムリークディテクタの分析管には、ガスを電離するフィラメント(イオンソース)、電離したイオンを一方向に加速する加速スリット、磁場偏向軌道上を進行するイオンビーム中のヘリウムイオンを選択し通過させるアーススリットおよびアーススリットを通過したイオンを集めるイオンコレクタが収納されている。そして、真空に保持された分析管内部に磁場空間を形成するマグネットが分析管ケースに外付けされている。(例えば、特許文献1参照)【0003】【特許文献1】特開平6−308088号公報(第2頁、図1)【0004】【発明が解決しようとする課題】分析管内の磁場偏向軌道上を進行する各種イオンのうち、油回転ポンプのオイルが発生原因であるハイドロカーボンなどの重いイオンは、分析管の内面に付着し易く汚染の原因となる。分析管の内面にハイドロカーボンが付着すると、ヘリウムイオン本来の磁場偏向軌道に歪みを生じさせるので、検出感度の低下やバックグランド値の増加を招き、正確なリーク量の測定ができないという問題がある。【0005】本発明は、検出感度の低下やバックグランド値の増加を抑制し、測定精度の高いヘリウムリークディテクタを提供するものである。【0006】【課題を解決するための手段】請求項1のヘリウムリークディテクタは、被検体からリークされたヘリウムガスを分析管に導いて検出するものであり、分析管は、イオン源部と、イオン源部で生成されるイオンビームを磁場偏向させる磁性体と、磁性体により軌道偏向されたヘリウムイオンビームを選択して通過させるスリット部材と、スリット部材を通過したイオンをイオン電流として検出するイオンコレクタ部と、これらのイオン源部、磁性体、スリット部材およびイオンコレクタ部を気密を保って収納する密閉容器とを備えることを特徴とする。このヘリウムリークディテクタは、分析管の内部を高真空に排気する高真空排気系と、被検体の内部を低真空に排気する低真空排気系とを備えることができる。また、上記の磁性体のイオンビームに対向する面に、着脱自在なカバーを設けることが好ましい。【0007】【発明の実施の形態】以下、本発明によるヘリウムリークディテクタについて、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態によるヘリウムリークディテクタを模式的に示す全体構成図である。ヘリウムリークディテクタ1は、テストポート2を介してリーク検査の被検体である真空容器100に配管接続されている。【0008】ヘリウムリークディテクタ1は、油回転ポンプ3、機械式ドライポンプ4およびターボ分子ポンプ5の3台の排気ポンプと、排気経路を開閉するバルブV1,V2,V3,V4の4個のバルブと、リーク校正部6と、分析管10とを有する。分析管10は、ターボ分子ポンプ5、機械式ドライポンプ4、バルブV2を介して油回転ポンプ3に配管接続されている。真空容器100は、テストポート2、バルブV1を介して油回転ポンプ3に配管接続されている。また、真空容器100は、テストポート2、バルブV4を介してターボ分子ポンプ5の排気口5aに配管接続されている。リーク校正部6は、バルブV3、バルブV4を介してターボ分子ポンプ5の排気口5aに配管接続されている。【0009】真空容器100のリーク検査は、以下の手順で行う。(1)バルブV1、V3、V4を閉じるとともに、バルブV2を開いて、分析管10内をターボ分子ポンプ5、機械式ドライポンプ4、油回転ポンプ3の直列構成で所定のバックグランド値(真空度)になるまで排気する。(2)分析管10内が所定のバックグランド値まで低下した後に、バルブV2を閉じるともにバルブV1を開いて、真空容器100内を油回転ポンプ3で排気(粗引き排気)する。このとき、ターボ分子ポンプ5と機械式ドライポンプ4は運転を止める。(3)バルブV1を閉じるともにバルブV4を開いて、分析管10によるリークガス検出を開始する。すなわち、真空容器100のリーク試験箇所にヘリウム(He)ガスを吹き付ける。【0010】(4)真空容器100のリーク試験箇所にリークがあると、真空容器100内にHeガスが侵入し、そのHeガスの分圧に応じた量は、開放になっているバルブV4、ターボ分子ポンプ5を経て分析管10に到来する。分析管10がHeガスを検出することにより、真空容器100のリーク量が測定される。リーク量の校正をする場合は、テストポート2を閉じ、バルブV3,V4を開いて、Heガスをリーク校正部6から分析管10に導き、その検出値を基準値とする。【0011】続いて、図2〜4を用い、ヘリウムリークディテクタの分析管の構成と動作をさらに詳細に説明する。図2は、本発明の実施の形態によるヘリウムリークディテクタの分析管の構成と動作を模式的に示す透視図であり、直交座標で方向が表されている。図3(a)は、図2の分析管の中央部をXY平面で切断したときの断面図、図3(b)は、図2の分析管のイオンソース11の中央部をXZ平面で切断したときの断面図であり、直交座標で方向が表されている。図3においては、図2と同じ構成部品には同一符号を付し、説明を省略する。図4は、図3に対応する従来の分析管の断面図であり、図3と比較するために用いられるものである。【0012】図2に示されるように、分析管10は、イオンソース11、加速スリット12、永久磁石13、第1のアーススリット14、サブレッサスリット15、第2のアーススリット16およびイオンコレクタ17を有する。永久磁石13は、コの字型(馬蹄形)の形状であり、N極からS極に向かう磁場をZ方向に形成する。分析管10に導入されたHeガスは、イオンソース11のフィラメント11aから放出される熱電子の流れ(エミッション電流)の作用を受け、イオン化される。Heイオンは、加速スリット12によりイオンビームとして、加速スリット12の開口12aから永久磁石13が形成する磁場空間に入射する。このイオンビーム中にはHeイオンだけではなく、水素(H)イオン、ハイドロカーボン(CmHn)イオン等が含まれる場合がある。【0013】分析管10は、Heイオンが磁場空間により曲げられ、偏向軌道Aを通って第1のアーススリット14の開口14aへ入射するように構成されている。一方、Heイオンより軽いHイオンは、磁場空間による偏向が大きく、偏向軌道Bを通るので、開口14aへは入射しない。Heイオンより重いCmHnイオンは、磁場空間による偏向が小さく、偏向軌道Cを通るので、開口14aへは入射しない。【0014】従って、ほぼ完全にHeイオンのみのビームが第1のアーススリット14を通過し、更にサブレッサスリット15、第2のアーススリット16を通過してイオンコレクタ17に入射する。なお、偏向軌道A,B,Cは、実際には立体的な弧状の軌道である。イオンコレクタ17は、入射したHeイオンについてイオン電流を検出し、不図示の測定部は、このイオン電流値により被検体である真空容器100のリーク量を測定する。【0015】ここで、図4を用いて、従来の分析管の問題点を述べる。図4(a)に示されるように、Heイオンは、加速スリット22の開口22aから射出し、アーススリット24の開口24aへ入射する偏向軌道Aを通る。一方、CmHnイオンは、偏向軌道Cを通過中に、コの字型の永久磁石23の偏向軌道Cに対向する面S´にカーボンとして付着する。対向面S´に付着したカーボンは、イオンの作用により帯電し、この静電力によりHeイオンの偏向軌道Aに歪を生じさせる。Heイオンは、確実に第1のアーススリット24の開口24aへ入射しなくなるとともに、Heイオン以外のイオンが開口24aへ入射してしまう。その結果、Heイオンのイオン電流の検出値が不正確、つまり感度が低下するとともに、バックグランド値が増加してしまう。【0016】対向面S´に付着するカーボン量も、帯電したカーボンが偏向軌道Aに及ぼすクーロン力も、対向面S´と偏向軌道Aとの距離に逆比例する。この観点からは、対向面S´を偏向軌道Aから遠くすればする程、望ましいことになる。しかし、永久磁石23は、磁場空間に適切な磁場の強さを提供しなければならないので、その寸法形状を変えることは適切ではない。また、磁束密度の大きい高性能磁石を用いることは、コスト面から望ましくない。【0017】そこで、永久磁石13と23の寸法形状を同一として、図3の本実施の形態による分析管10と図4の従来の分析管20とを比較する。イオンソース11と21、加速スリット12と22、永久磁石13と23では、それぞれ寸法形状、配置は同じであるが、真空容器たる密閉容器18と28では、寸法形状が異なる。図3の密閉容器18は、永久磁石13を内包しているのに対し、図4の密閉容器28は、永久磁石23を内包していない。【0018】図3における対向面Sと偏向軌道Aとの距離Dは、図4における対向面S´と偏向軌道Aとの距離D´に密閉容器28の肉厚dを加えたものである。すなわち、密閉容器18の方が密閉容器28よりも密閉容器28の肉厚分だけ距離Dを大きくすることができる。さらに、Z方向では、密閉容器18の方が密閉容器28よりも距離(2×d)だけ大きくすることができる。なお、密閉容器18と28はいずれも真空状態に保持されるので、大気圧との差圧に耐えるだけの肉厚が必要である。【0019】このように、磁場空間の容積を大きくした結果、カーボンの付着量が減少し、偏向軌道に及ぼす静電力の影響も小さくなり、Heイオンの検出感度が向上するとともにバックグランド値が減少するという効果が得られる。また、永久磁石13は、密閉容器18内、すなわち真空中にあるので外界の温度変化の影響を受け難くなり、磁束密度の変動も低減する。その結果、磁場空間の磁場の強さが安定し、偏向軌道Aが安定し、Heの検出感度が向上するとともにバックグランド値が減少するという効果が得られる。【0020】また、本実施の形態では、図3(b)に示されるように、永久磁石13の磁場空間に接する面に、着脱自在のカバー30を設けることができる。カバー30としては、厚さ0.3mm程度のカップ状の非磁性金属(例えば、ステンレス鋼薄板)やプラスチック薄板等を用いることができる。カバー30は、着脱自在であるから、カーボンの付着により汚染された場合は、永久磁石13から取り外し、洗浄後に再度取り付ければよい。【0021】なお、本発明は、上記の実施の形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。【0022】【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、検出感度の低下やバックグランド値の増加を抑制できるので、測定精度の高いヘリウムリークディテクタを提供することができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の実施の形態に係るヘリウムリークディテクタを模式的に示す全体構成図である。【図2】本発明の実施の形態に係るヘリウムリークディテクタの分析管の構成と動作を模式的に示す透視図である。【図3】図2の分析管の中央部をXY平面で切断したときの断面図(a)と、図2の分析管のイオンソース11の中央部をXZ平面で切断したときの断面図(b)である。【図4】従来の分析管の断面図であり、図3に対応する図である。【符号の説明】1:ヘリウムリークディテクタ2:テストポート3:油回転ポンプ4:機械式ドライポンプ5:ターボ分子ポンプ10:分析管11:イオンソース12:加速スリット13:永久磁石14:第1のアーススリット15:サブレッサスリット16:第2のアーススリット17:イオンコレクタ18:密閉容器30:カバー100:真空容器(リーク検査の被検体)A,B,C:偏向軌道S,S´:対向面 被検体からリークされたヘリウムガスを分析管に導いて検出するヘリウムリークディテクタにおいて、前記分析管は、イオン源部と、前記イオン源部で生成されるイオンビームを磁場偏向させる磁性体と、前記磁性体により軌道偏向されたヘリウムイオンビームを選択して通過させるスリット部材と、前記スリット部材を通過したイオンをイオン電流として検出するイオンコレクタ部と、前記イオン源部、磁性体、スリット部材およびイオンコレクタ部を気密を保って収納する密閉容器とを備えることを特徴とするヘリウムリークディテクタ。 請求項1に記載のヘリウムリークディテクタにおいて、前記分析管の内部を高真空に排気する高真空排気系と、前記被検体の内部を低真空に排気する低真空排気系とを備えることを特徴とするヘリウムリークディテクタ。 請求項1または2に記載のヘリウムリークディテクタにおいて、前記磁性体の前記イオンビームに対向する面に、着脱自在なカバーを設けたことを特徴とするヘリウムリークディテクタ。 【課題】検出感度の低下やバックグランド値の増加を抑制し、測定精度の高いヘリウムリークディテクタを提供すること。【解決手段】ヘリウムリークディテクタは、被検体からリークされたヘリウムガスを分析管に導いて検出するものであり、次のような分析管10を有している。すなわち、分析管10は、イオンソース11と、イオンソース11で生成されるイオンビームを磁場偏向させる永久磁石13と、永久磁石13により軌道偏向された磁場偏向軌道Aのイオンビームを選択して通過させ、通過したイオンをイオン電流として検出するイオンコレクタ17を有し、イオンソース11からイオンコレクタ17までの部材は、密閉容器18内に気密を保って収納されている。【選択図】 図3


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