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タイトル:公開特許公報(A)_新規ストレプトコッカス・サーモフィルス菌およびそれを用いた製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法
出願番号:2003188426
年次:2005
IPC分類:7,C12N1/20,A23C9/123,A23C9/127


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中村 昇二 JP 2005021050 公開特許公報(A) 20050127 2003188426 20030630 新規ストレプトコッカス・サーモフィルス菌およびそれを用いた製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法 オハヨー乳業株式会社 591033283 秋元 輝雄 100062225 中村 昇二 7 C12N1/20 A23C9/123 A23C9/127 JP C12N1/20 A A23C9/123 A23C9/127 3 1 OL 9 4B001 4B065 4B001AC30 4B001AC31 4B001EC04 4B065AA49X 4B065AC14 4B065BB24 4B065BC11 4B065CA42 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は新規ストレプトコッカス・サーモフィルス菌およびそれを用いた製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法に関するものであり、さらに詳しくはこの菌株を用いて作られる、保存中における過発酵が抑えられ、マイルドな酸味と発酵臭を長期間維持したヨーグルトの製造方法に関するものである。【0002】【従来の技術】通常、ヨーグルトはラクトバチルス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)と、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の2菌種を種菌にして製造される。これは、両菌の共生関係をたくみに利用したヨーグルト特有の製造方法である。この場合、発酵の初期段階においては、増殖速度が早いストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)が、ラクトバチルス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)よりも優勢に増殖を始める。【0003】その際、ヨーグルトミックス中にはストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の働きによって蟻酸がつくられるが、この蟻酸はラクトバチルス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の増殖促進物質として消費されるため、その後はブルガリクスの増殖が活性化される。またラクトバチルス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)は蛋白分解力に優れており、この菌の増殖により乳蛋白の分解が始まると、生成されたアミノ酸やペプチドがストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の栄養源となり、サーモフィルスの増殖も活発になるのである。【0004】このような共生関係にあるストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)とラクトバチルス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus) を併用することの最大の利点は、ヨーグルトを短時間の発酵で製造できるということである。【0005】しかしながら、2菌種を混合スターターとするヨーグルト製造法については欠点も指摘されている。それは、ヨーグルトの保存中に発酵がすすみ、その結果、製品の品質を著しく損ねてしまう点である。例えば、発酵停止時の製品酸度が最適であっても、1〜2週間冷蔵保存しているうちに酸度が上昇し、その結果酸味の強い製品になってしまうことがある。また、こうした過発酵がすすめばヨーグルト特有の風味成分も過剰生成されるため、最終的には発酵臭の強い製品になることも指摘されている。【0006】その原因は、共生関係にあるストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)と、ラクトバチルス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の生育が、発酵停止後も促進され、乳酸や風味成分が過剰産生されるためである。こうしたことから製造後における過発酵を抑えるための解決策が考えられている。例えば、乳糖非発酵性変異株(特許文献1)や低温感受性変異株(特許文献2)、あるいは低生酸性変異株(特許文献3)を利用するといった方法がすでに公知の事実として知られているが、いずれの方法も一長一短があり、最良の対策とは云い難いのが現状である。【0007】たとえば、乳糖非発酵性変異株を用いる方法では、ヨーグルトミックスに添加する糖類によっては変異株が資化性をもっているため、期待されるような酸度上昇の抑制ができないこと、また低温感受性変異株を用いる方法では、変異株による酸生成を抑える為には厳密な温度管理が必要となり、しかも10℃で2週間保存した時も酸度上昇は完全に抑えられないことが問題である。さらに低生酸性変異株を用いる方法では、停止時の製品酸度を0.65質量%程度に抑えねばならず、それ以上の酸度、例えば0.8質量%の酸度で発酵停止した場合、10℃での保存中に1.0質量%以上の酸度になり、充分な酸度抑制効果が得られないと考えられる。一方、もともと酸生成力が温和とされているストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcusthermophilus)を単菌で使用すれば保存中の酸生成も抑えられることが期待されるが、本菌種の単菌使用では製造にかかる発酵時間が長くなるため、実用的な方法とは思われない。【0008】【特許文献1】特公昭54−38187号公報【特許文献2】特公昭62−239号公報【特許文献3】特開平7−236416号公報【0009】【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的は、従来の問題を解決し、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で、しかも発酵遅延も起こすことなく、保存中における過発酵が抑えられ、マイルドな酸味と発酵臭を長期間維持した目的とするヨーグルトを製造できる新規菌株を提供することであり、本発明の第2の目的は、この菌株用いて、保存中における過発酵が抑えられ、いつまでもマイルドな酸味と発酵臭を維持したヨーグルトを、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で製造する方法を提供することである。【0010】【課題を解決するための手段】本発明者は、ヨーグルト製造において製造後の過発酵を抑える方法を鋭意検討した結果、ヨーグルトミックス中において、従来にない優れた増殖性と生酸性を示す高酸生成型ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)KT01菌を単菌スターターとして、あるいはスターターの一部として使用することにより、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で、しかも発酵遅延も起こすことなく、目的とするヨーグルトを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。【0011】すなわち、本発明の請求項1は、乳を主原料とするヨーグルトミックス中で優れた増殖性を示し、且つ37℃で3日間培養した時の最終生成乳酸酸度が0.9質量%以上1質量%未満であることを特徴とする高酸生成型ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)KT01菌である。【0012】ヨーグルトミックス中で優れた生育性と生酸性を示す本発明の菌株を用いることにより、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で、しかも発酵遅延も起こすことなく、保存中における過発酵が抑えられ、長期間マイルドな酸味と発酵臭を維持したヨーグルトを容易に製造することができる。【0013】本発明の請求項2は、請求項1に記載した菌株の単菌スターターを用いて作ることを特徴とする、製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法である。【0014】本発明の製造方法により、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で、しかも発酵遅延も起こすことなく、目的とするヨーグルトを容易に製造することができる。【0015】本発明の請求項3は請求項1に記載した菌株のスターターと、ビフィドバクテリウム属、ストレプトコッカス属、あるいはラクトバチルス属細菌から選ばれる少なくとも1つの細菌のスターターとの併用で作られる、製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法である。【0016】本発明の菌株を単菌スターターとして用いることで目的とするヨーグルトの製造が可能であるが、他の生育性および生酸性が緩慢な前記乳業用菌種の少なくとも1つと併用しても目的とするヨーグルトを製造することができる。【0017】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、ヨーグルトミックス中で優れた生育性と生酸性を示すストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)を用いて、マイルドな酸味を長期間維持できる発酵乳の製造方法を提供するものである。本発明のヨーグルト製造に用いるストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)は、乳を主原料とするヨーグルトミックス中で優れた増殖性を示し、且つ37℃で3日間培養した時の最終生成乳酸酸度が0.9質量%以上1質量%未満であることを特徴とする高酸生成株である。そのため、本菌株を単菌スターターとしてヨーグルト製造した場合、発酵遅延は起らず、しかもヨーグルトの保存中においても酸度上昇がほとんどみられないという利点をもっている。【0018】本発明に用いるストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)は、発酵乳製品や未殺菌乳の中から見つけることができる。詳しくは、通常の方法にて発酵乳製品や未殺菌乳から分離したストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)中から、10質量%還元脱脂乳培地にて37℃で3日間培養し、最終生成乳酸酸度が0.9〜1.0質量%に達するものを目的の菌株として選択する。こうして選択された菌株が本発明の高酸生成型ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)KT01菌である。【0019】KT01菌は短連鎖の球菌で、菌学的性質は表1に示したとおりである。これらの性状はBergey’s Manual of Systematic Bacteriology, Vol.2(1986)記載のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の性状とよく一致した。図1は、KT01菌の10質量%還元脱脂乳培地における生酸性を表したグラフであるが、KT01菌に関する培養上の大きな特性は、標準的なストレプトコッカス・サーモフィルス(T菌)に比べて、乳培地での酸生成が活発なことである。たとえばKT01菌を37℃にて24時間培養した場合、培地中の酸度は0.9〜1.0質量%にまで達する。このことからKT01菌は、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の高酸生成株と判断された。以上の特性に加え、さらに重要な特性として、KT01菌を3日間連続培養しても最終酸度が1.0質量%を超えないことである。【0020】これらの点から本菌は、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcusthermophilus)の新変異株と判断し、平成15年6月3日付けにて独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託した[(受託番号)FERMP−19381]。【0021】【表1】【0022】本発明のヨーグルト製造では、上記の特性を持つ高酸生成型ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)KT01菌をスターターとして使用するが、その際、スターター用培地には還元脱脂乳培地を用いることができる。さらに酵母エキス、大豆ペプチド、乳蛋白質の加水分解物を同培地に適量添加することで、より活性の高いスターターが得られる。また、培養時間や温度の条件については、従来から使われている標準的なストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)のスターターと同一条件で実施でき、例えば10質量%還元脱脂乳培地にて37℃、15時間培養することで活性の高いスターターが得られる。使用するヨーグルトミックスは獣乳を原料とし、脂肪や糖類についても特に制限されることなく添加できる。さらに本発明で製造した発酵乳は乳酸菌飲料の原料としても利用することができ、それにより保存中の過発酵が抑えられ、一定の酸味と発酵臭を維持した乳酸菌飲料を製造することができる。【0023】上述したように本発明では、KT01菌を単菌スターターとして用いることでヨーグルト製造が可能であるが、他の乳業用スターターと併用しても目的とするヨーグルトを製造することができる。この時、併用する乳業用スターターとしては、ヨーグルトミックス中での生育性および生酸性が緩慢な菌種を使用することが望ましく、たとえば、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)から選ばれる少なくとも1つの細菌が挙げられる。【0024】【実施例】次に実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(実施例1)(調製):10質量%還元脱脂乳培地200mlを110℃にて20分、オートクレーブ滅菌し、スターター用培地とした。あらかじめ10質量%還元脱脂乳培地(25ml)にて37℃、15時間培養しておいたKT01菌培養液を2ml取り、スターター用培地に接種し、引き続き37℃で15時間培養した。この時、培養後のスターターの酸度は0.9質量%、生菌数は7×108CFU/mlであった。一方、比較のために標準的なスターターである、ラクトバチルス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus) B菌とストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) T菌についてもそれぞれ同じ方法でスターターを調製した。なお、B菌スターターの酸度は1.0質量%、生菌数は2×108CFU/mlであり、T菌スターターの酸度は0.6質量%、生菌数は3×108CFU/mlであった。【0025】(ヨーグルトの製造):下記組成のヨーグルトミックスを均質化(圧力:150Kg/cm2)、殺菌(95℃、40秒)したのち、40℃まで冷却した。このミックスにKT01菌スターター120gを加え10間撹拌したのち、プラスチックカップに90gづつ充填し、アルミ蓋をした。その後ただちに38℃で発酵させ、酸度が0.75〜0.80質量%に達した時点で発酵を停止した(試験品)。対照品は、下記組成のヨーグルトミックスにB菌スターター40mlとT菌スターター80mlを接種し、発酵させて作った。保存試験は、ヨーグルトを10℃の恒温庫内に3週間放置し、その間の酸度変化ならび生菌数変化を測定した。なお、ヨーグルトの乳酸酸度ならび生菌数は下記の常法により測定した。(乳酸酸度):0.1N水酸化ナトリウム溶液による中和滴定法で測定後、ヨーグルト100g中の乳酸の割合(質量%)で表した。(生菌数):ヨーグルトを適宜希釈後、希釈液をシャーレ中にBCP加プレートカウントアガーと混合し、培養後に出現したコロニー数を生菌数として計測した。【0026】【0027】図2は対照品と試験品のヨーグルトについて、発酵時の酸度上がりを比較したものである。ストレプトコッカス・サーモフィルスKT01菌を単菌スターターで使った場合、発酵遅延はおこらず、通常どおりの発酵時間でヨーグルト製造が可能である。また、図3と図4には、それぞれ対照品および試験品の保存時における酸度変化と生菌数変化を示した。2菌種混合スターターで作った対照品の場合、3週間の保存期間を通じて酸度は約0.25質量%上昇した。それに対して、ストレプトコッカス・サーモフィルスKT01菌の単菌スターターで作った試験品では、保存期間中の酸度上昇は0.09質量%と極めて低く、酸度上昇率としては対照品より75質量%抑えることができた。また、保存期間を通じて、生菌数は常に試験品の方が多かった。【0028】(実施例2)(スターターの調製):実施例1に準じてストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)KT01菌のスターターを調製した。一方、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)BL菌の培養には、0.2質量%酵母エキスおよび6質量%脱脂粉乳添加牛乳培地を用いた。そして、BL菌のGAMブイヨン培養液5mlを同牛乳培地300mlに接種し、37℃で20時間培養したものをスターターとした。【0029】(ヨーグルトの製造):下記組成のヨーグルトミックスを均質化、殺菌(95℃、40秒)後、KT01菌スターター80gとBL菌スターター200mlを加え、通常どおりの工程でカップに充填し、発酵させた。こうして得られたビフィズス菌入りヨーグルトについて保存試験を実施したところ、製造直後の酸度が0.8質量%であったのに対して、10℃、3週間後の酸度は0.9質量%であった。すなわち、ビフィズス菌入りヨーグルトにおいても保存期間中の酸度上昇が抑えられていることがわかった。【0030】【0031】【発明の効果】本発明の請求項1の高酸生成型ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)KT01菌は、乳を主原料とするヨーグルトミックス中で優れた増殖性を示し、且つ37℃で3日間培養した時の最終生成乳酸酸度が0.9質量%以上1質量%未満であることを特徴とするものであり、本発明の菌株を用いることにより、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で、しかも発酵遅延も起こすことなく、保存中における過発酵が抑えられ、長期間マイルドな酸味と発酵臭を維持したヨーグルトを容易に製造できるという顕著な効果を奏する。【0032】本発明の請求項2は、請求項1に記載した菌株の単菌スターターを用いて作ることを特徴とする、製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法であり、本発明の製造方法により、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で、発酵遅延も起こすことなく、目的とするヨーグルトを容易に製造できるという顕著な効果を奏する。【0033】本発明の請求項3は、請求項1に記載した菌株のスターターと、ビフィドバクテリウム属、ストレプトコッカス属、あるいはラクトバチルス属細菌から選ばれる少なくとも1つの細菌のスターターとの併用で作られる、製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法であり、本発明の菌株を単菌スターターとして用いることで目的とするヨーグルトの製造が可能であるが、他の生育性および生酸性が緩慢な前記乳業用菌種の少なくとも1つと併用しても目的とするヨーグルトを容易に製造できるという顕著な効果を奏する。【図面の簡単な説明】【図1】ストレプトコッカス・サーモフィルスTK01菌および対照菌について10質量%還元脱脂乳培地における生酸性を調べたグラフである。【図2】ストレプトコッカス・サーモフィルスTK01菌および対照菌についてヨーグルトミックス発酵時の酸度上がりを調べたグラフである。【図3】ストレプトコッカス・サーモフィルスTK01菌を単菌使用して作ったヨーグルトおよび対照品の10℃保存時における酸度変化を調べたグラフである。【図4】ストレプトコッカス・サーモフィルスTK01菌を単菌使用して作ったヨーグルトおよび対照品の10℃保存時における生菌数変化を調べたグラフである。 乳を主原料とするヨーグルトミックス中で優れた増殖性を示し、且つ37℃で3日間培養した時の最終生成乳酸酸度が0.9質量%以上1質量%未満であることを特徴とする高酸生成型ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)KT01菌。 請求項1に記載した菌株の単菌スターターを用いて作ることを特徴とする、製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法。 請求項1に記載した菌株のスターターと、ビフィドバクテリウム属、ストレプトコッカス属、あるいはラクトバチルス属細菌から選ばれる少なくとも1つの細菌のスターターとの併用で作られる、製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法。 【課題】通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で、しかも発酵遅延も起こすことなく、保存中における過発酵が抑えられ、マイルドな酸味と発酵臭をいつまでも維持したヨーグルトを製造できる新規菌株の提供およびこの菌株用いて、目的のヨーグルトを、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で製造する方法の提供。【解決手段】乳を主原料とするヨーグルトミックス中で優れた増殖性を示し、且つ37℃で3日間培養した時の最終生成乳酸酸度が0.9質量%以上1質量%未満である高酸生成型ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcusthermophilus)KT01菌を単菌スターターとしてヨーグルトを製造することにより、課題を解決できる。【選択図】 図1


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特許公報(B2)_新規ストレプトコッカス・サーモフィルス菌およびそれを用いた製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法

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タイトル:特許公報(B2)_新規ストレプトコッカス・サーモフィルス菌およびそれを用いた製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法
出願番号:2003188426
年次:2007
IPC分類:C12N 1/20,A23C 9/123,A23C 9/127


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中村 昇二 JP 3876236 特許公報(B2) 20061102 2003188426 20030630 新規ストレプトコッカス・サーモフィルス菌およびそれを用いた製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法 オハヨー乳業株式会社 591033283 秋元 輝雄 100062225 中村 昇二 20070131 C12N 1/20 20060101AFI20070111BHJP A23C 9/123 20060101ALI20070111BHJP A23C 9/127 20060101ALI20070111BHJP JPC12N1/20 AA23C9/123A23C9/127 C12N 1/20 A23C 9/123 BIOSIS(STN) WPIDS(STN) PubMed JSTPlus(JDream2) 特開2002−176911(JP,A) 3 FERM P-19381 2005021050 20050127 9 20030630 柴原 直司 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は新規ストレプトコッカス・サーモフィルス菌およびそれを用いた製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法に関するものであり、さらに詳しくはこの菌株を用いて作られる、保存中における過発酵が抑えられ、マイルドな酸味と発酵臭を長期間維持したヨーグルトの製造方法に関するものである。【0002】【従来の技術】通常、ヨーグルトはラクトバチルス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)と、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の2菌種を種菌にして製造される。これは、両菌の共生関係をたくみに利用したヨーグルト特有の製造方法である。この場合、発酵の初期段階においては、増殖速度が早いストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)が、ラクトバチルス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)よりも優勢に増殖を始める。【0003】その際、ヨーグルトミックス中にはストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の働きによって蟻酸がつくられるが、この蟻酸はラクトバチルス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の増殖促進物質として消費されるため、その後はブルガリクスの増殖が活性化される。またラクトバチルス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)は蛋白分解力に優れており、この菌の増殖により乳蛋白の分解が始まると、生成されたアミノ酸やペプチドがストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の栄養源となり、サーモフィルスの増殖も活発になるのである。【0004】このような共生関係にあるストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)とラクトバチルス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus) を併用することの最大の利点は、ヨーグルトを短時間の発酵で製造できるということである。【0005】しかしながら、2菌種を混合スターターとするヨーグルト製造法については欠点も指摘されている。それは、ヨーグルトの保存中に発酵がすすみ、その結果、製品の品質を著しく損ねてしまう点である。例えば、発酵停止時の製品酸度が最適であっても、1〜2週間冷蔵保存しているうちに酸度が上昇し、その結果酸味の強い製品になってしまうことがある。また、こうした過発酵がすすめばヨーグルト特有の風味成分も過剰生成されるため、最終的には発酵臭の強い製品になることも指摘されている。【0006】その原因は、共生関係にあるストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)と、ラクトバチルス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の生育が、発酵停止後も促進され、乳酸や風味成分が過剰産生されるためである。こうしたことから製造後における過発酵を抑えるための解決策が考えられている。例えば、乳糖非発酵性変異株(特許文献1)や低温感受性変異株(特許文献2)、あるいは低生酸性変異株(特許文献3)を利用するといった方法がすでに公知の事実として知られているが、いずれの方法も一長一短があり、最良の対策とは云い難いのが現状である。【0007】たとえば、乳糖非発酵性変異株を用いる方法では、ヨーグルトミックスに添加する糖類によっては変異株が資化性をもっているため、期待されるような酸度上昇の抑制ができないこと、また低温感受性変異株を用いる方法では、変異株による酸生成を抑える為には厳密な温度管理が必要となり、しかも10℃で2週間保存した時も酸度上昇は完全に抑えられないことが問題である。さらに低生酸性変異株を用いる方法では、停止時の製品酸度を0.65質量%程度に抑えねばならず、それ以上の酸度、例えば0.8質量%の酸度で発酵停止した場合、10℃での保存中に1.0質量%以上の酸度になり、充分な酸度抑制効果が得られないと考えられる。一方、もともと酸生成力が温和とされているストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcusthermophilus)を単菌で使用すれば保存中の酸生成も抑えられることが期待されるが、本菌種の単菌使用では製造にかかる発酵時間が長くなるため、実用的な方法とは思われない。【0008】【特許文献1】特公昭54−38187号公報【特許文献2】特公昭62−239号公報【特許文献3】特開平7−236416号公報【0009】【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的は、従来の問題を解決し、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で、しかも発酵遅延も起こすことなく、保存中における過発酵が抑えられ、マイルドな酸味と発酵臭を長期間維持した目的とするヨーグルトを製造できる新規菌株を提供することであり、本発明の第2の目的は、この菌株用いて、保存中における過発酵が抑えられ、いつまでもマイルドな酸味と発酵臭を維持したヨーグルトを、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で製造する方法を提供することである。【0010】【課題を解決するための手段】本発明者は、ヨーグルト製造において製造後の過発酵を抑える方法を鋭意検討した結果、ヨーグルトミックス中において、従来にない優れた増殖性と生酸性を示す高酸生成型ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)KT01菌を単菌スターターとして、あるいはスターターの一部として使用することにより、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で、しかも発酵遅延も起こすことなく、目的とするヨーグルトを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。【0011】 すなわち、本発明の請求項1は、乳を主原料とするヨーグルトミックス中で優れた増殖性を示し、且つ37℃で3日間培養した時の最終生成乳酸酸度が0.9質量%以上1質量%未満であることを特徴とする高酸生成型ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)KT01菌(寄託番号:FERMP−19381)である。【0012】ヨーグルトミックス中で優れた生育性と生酸性を示す本発明の菌株を用いることにより、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で、しかも発酵遅延も起こすことなく、保存中における過発酵が抑えられ、長期間マイルドな酸味と発酵臭を維持したヨーグルトを容易に製造することができる。【0013】本発明の請求項2は、請求項1に記載した菌株の単菌スターターを用いて作ることを特徴とする、製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法である。【0014】本発明の製造方法により、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で、しかも発酵遅延も起こすことなく、目的とするヨーグルトを容易に製造することができる。【0015】本発明の請求項3は請求項1に記載した菌株のスターターと、ビフィドバクテリウム属、ストレプトコッカス属、あるいはラクトバチルス属細菌から選ばれる少なくとも1つの細菌のスターターとの併用で作られる、製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法である。【0016】本発明の菌株を単菌スターターとして用いることで目的とするヨーグルトの製造が可能であるが、他の生育性および生酸性が緩慢な前記乳業用菌種の少なくとも1つと併用しても目的とするヨーグルトを製造することができる。【0017】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、ヨーグルトミックス中で優れた生育性と生酸性を示すストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)を用いて、マイルドな酸味を長期間維持できる発酵乳の製造方法を提供するものである。本発明のヨーグルト製造に用いるストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)は、乳を主原料とするヨーグルトミックス中で優れた増殖性を示し、且つ37℃で3日間培養した時の最終生成乳酸酸度が0.9質量%以上1質量%未満であることを特徴とする高酸生成株である。そのため、本菌株を単菌スターターとしてヨーグルト製造した場合、発酵遅延は起らず、しかもヨーグルトの保存中においても酸度上昇がほとんどみられないという利点をもっている。【0018】本発明に用いるストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)は、発酵乳製品や未殺菌乳の中から見つけることができる。詳しくは、通常の方法にて発酵乳製品や未殺菌乳から分離したストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)中から、10質量%還元脱脂乳培地にて37℃で3日間培養し、最終生成乳酸酸度が0.9〜1.0質量%に達するものを目的の菌株として選択する。こうして選択された菌株が本発明の高酸生成型ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)KT01菌である。【0019】KT01菌は短連鎖の球菌で、菌学的性質は表1に示したとおりである。これらの性状はBergey’s Manual of Systematic Bacteriology, Vol.2(1986)記載のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の性状とよく一致した。図1は、KT01菌の10質量%還元脱脂乳培地における生酸性を表したグラフであるが、KT01菌に関する培養上の大きな特性は、標準的なストレプトコッカス・サーモフィルス(T菌)に比べて、乳培地での酸生成が活発なことである。たとえばKT01菌を37℃にて24時間培養した場合、培地中の酸度は0.9〜1.0質量%にまで達する。このことからKT01菌は、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の高酸生成株と判断された。以上の特性に加え、さらに重要な特性として、KT01菌を3日間連続培養しても最終酸度が1.0質量%を超えないことである。【0020】これらの点から本菌は、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcusthermophilus)の新変異株と判断し、平成15年6月3日付けにて独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託した[(受託番号)FERMP−19381]。【0021】【表1】【0022】本発明のヨーグルト製造では、上記の特性を持つ高酸生成型ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)KT01菌をスターターとして使用するが、その際、スターター用培地には還元脱脂乳培地を用いることができる。さらに酵母エキス、大豆ペプチド、乳蛋白質の加水分解物を同培地に適量添加することで、より活性の高いスターターが得られる。また、培養時間や温度の条件については、従来から使われている標準的なストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)のスターターと同一条件で実施でき、例えば10質量%還元脱脂乳培地にて37℃、15時間培養することで活性の高いスターターが得られる。使用するヨーグルトミックスは獣乳を原料とし、脂肪や糖類についても特に制限されることなく添加できる。さらに本発明で製造した発酵乳は乳酸菌飲料の原料としても利用することができ、それにより保存中の過発酵が抑えられ、一定の酸味と発酵臭を維持した乳酸菌飲料を製造することができる。【0023】上述したように本発明では、KT01菌を単菌スターターとして用いることでヨーグルト製造が可能であるが、他の乳業用スターターと併用しても目的とするヨーグルトを製造することができる。この時、併用する乳業用スターターとしては、ヨーグルトミックス中での生育性および生酸性が緩慢な菌種を使用することが望ましく、たとえば、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)から選ばれる少なくとも1つの細菌が挙げられる。【0024】【実施例】次に実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(実施例1)(調製):10質量%還元脱脂乳培地200mlを110℃にて20分、オートクレーブ滅菌し、スターター用培地とした。あらかじめ10質量%還元脱脂乳培地(25ml)にて37℃、15時間培養しておいたKT01菌培養液を2ml取り、スターター用培地に接種し、引き続き37℃で15時間培養した。この時、培養後のスターターの酸度は0.9質量%、生菌数は7×108CFU/mlであった。一方、比較のために標準的なスターターである、ラクトバチルス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus) B菌とストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) T菌についてもそれぞれ同じ方法でスターターを調製した。なお、B菌スターターの酸度は1.0質量%、生菌数は2×108CFU/mlであり、T菌スターターの酸度は0.6質量%、生菌数は3×108CFU/mlであった。【0025】(ヨーグルトの製造):下記組成のヨーグルトミックスを均質化(圧力:150Kg/cm2)、殺菌(95℃、40秒)したのち、40℃まで冷却した。このミックスにKT01菌スターター120gを加え10間撹拌したのち、プラスチックカップに90gづつ充填し、アルミ蓋をした。その後ただちに38℃で発酵させ、酸度が0.75〜0.80質量%に達した時点で発酵を停止した(試験品)。対照品は、下記組成のヨーグルトミックスにB菌スターター40mlとT菌スターター80mlを接種し、発酵させて作った。保存試験は、ヨーグルトを10℃の恒温庫内に3週間放置し、その間の酸度変化ならび生菌数変化を測定した。なお、ヨーグルトの乳酸酸度ならび生菌数は下記の常法により測定した。(乳酸酸度):0.1N水酸化ナトリウム溶液による中和滴定法で測定後、ヨーグルト100g中の乳酸の割合(質量%)で表した。(生菌数):ヨーグルトを適宜希釈後、希釈液をシャーレ中にBCP加プレートカウントアガーと混合し、培養後に出現したコロニー数を生菌数として計測した。【0026】【0027】図2は対照品と試験品のヨーグルトについて、発酵時の酸度上がりを比較したものである。ストレプトコッカス・サーモフィルスKT01菌を単菌スターターで使った場合、発酵遅延はおこらず、通常どおりの発酵時間でヨーグルト製造が可能である。また、図3と図4には、それぞれ対照品および試験品の保存時における酸度変化と生菌数変化を示した。2菌種混合スターターで作った対照品の場合、3週間の保存期間を通じて酸度は約0.25質量%上昇した。それに対して、ストレプトコッカス・サーモフィルスKT01菌の単菌スターターで作った試験品では、保存期間中の酸度上昇は0.09質量%と極めて低く、酸度上昇率としては対照品より75質量%抑えることができた。また、保存期間を通じて、生菌数は常に試験品の方が多かった。【0028】(実施例2)(スターターの調製):実施例1に準じてストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)KT01菌のスターターを調製した。一方、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)BL菌の培養には、0.2質量%酵母エキスおよび6質量%脱脂粉乳添加牛乳培地を用いた。そして、BL菌のGAMブイヨン培養液5mlを同牛乳培地300mlに接種し、37℃で20時間培養したものをスターターとした。【0029】(ヨーグルトの製造):下記組成のヨーグルトミックスを均質化、殺菌(95℃、40秒)後、KT01菌スターター80gとBL菌スターター200mlを加え、通常どおりの工程でカップに充填し、発酵させた。こうして得られたビフィズス菌入りヨーグルトについて保存試験を実施したところ、製造直後の酸度が0.8質量%であったのに対して、10℃、3週間後の酸度は0.9質量%であった。すなわち、ビフィズス菌入りヨーグルトにおいても保存期間中の酸度上昇が抑えられていることがわかった。【0030】【0031】【発明の効果】 本発明の請求項1の高酸生成型ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)KT01菌(寄託番号:FERMP−19381)は、乳を主原料とするヨーグルトミックス中で優れた増殖性を示し、且つ37℃で3日間培養した時の最終生成乳酸酸度が0.9質量%以上1質量%未満であることを特徴とするものであり、本発明の菌株を用いることにより、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で、しかも発酵遅延も起こすことなく、保存中における過発酵が抑えられ、長期間マイルドな酸味と発酵臭を維持したヨーグルトを容易に製造できるという顕著な効果を奏する。【0032】本発明の請求項2は、請求項1に記載した菌株の単菌スターターを用いて作ることを特徴とする、製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法であり、本発明の製造方法により、通常のヨーグルト製造法と何ら変わることのない手順で、発酵遅延も起こすことなく、目的とするヨーグルトを容易に製造できるという顕著な効果を奏する。【0033】本発明の請求項3は、請求項1に記載した菌株のスターターと、ビフィドバクテリウム属、ストレプトコッカス属、あるいはラクトバチルス属細菌から選ばれる少なくとも1つの細菌のスターターとの併用で作られる、製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法であり、本発明の菌株を単菌スターターとして用いることで目的とするヨーグルトの製造が可能であるが、他の生育性および生酸性が緩慢な前記乳業用菌種の少なくとも1つと併用しても目的とするヨーグルトを容易に製造できるという顕著な効果を奏する。【図面の簡単な説明】【図1】ストレプトコッカス・サーモフィルスTK01菌および対照菌について10質量%還元脱脂乳培地における生酸性を調べたグラフである。【図2】ストレプトコッカス・サーモフィルスTK01菌および対照菌についてヨーグルトミックス発酵時の酸度上がりを調べたグラフである。【図3】ストレプトコッカス・サーモフィルスTK01菌を単菌使用して作ったヨーグルトおよび対照品の10℃保存時における酸度変化を調べたグラフである。【図4】ストレプトコッカス・サーモフィルスTK01菌を単菌使用して作ったヨーグルトおよび対照品の10℃保存時における生菌数変化を調べたグラフである。 乳を主原料とするヨーグルトミックス中で優れた増殖性を示し、且つ37℃で3日間培養した時の最終生成乳酸酸度が0.9質量%以上1質量%未満であることを特徴とする高酸生成型ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)KT01菌(寄託番号:FERMP−19381)。 請求項1に記載した菌株の単菌スターターを用いて作ることを特徴とする、製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法。 請求項1に記載した菌株のスターターと、ビフィドバクテリウム属、ストレプトコッカス属、あるいはラクトバチルス属細菌から選ばれる少なくとも1つの細菌のスターターとの併用で作られる、製造後の過発酵を抑えたヨーグルトの製造方法。


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