生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ヨモギを有効成分として含有する筋肉細胞糖輸送促進組成物
出願番号:2003187625
年次:2005
IPC分類:7,A61K35/78,A23L1/30,A61P3/10


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佐藤 拓哉 廣▲瀬▼ 義隆 山本 憲朗 室山 幸太郎 室▲崎▼ 伸二 山本 佳弘 JP 2005022988 公開特許公報(A) 20050127 2003187625 20030630 ヨモギを有効成分として含有する筋肉細胞糖輸送促進組成物 武田食品工業株式会社 000238511 岩谷 龍 100077012 佐藤 拓哉 廣▲瀬▼ 義隆 山本 憲朗 室山 幸太郎 室▲崎▼ 伸二 山本 佳弘 7 A61K35/78 A23L1/30 A61P3/10 JP A61K35/78 T A23L1/30 B A61P3/10 5 OL 10 4B018 4C088 4B018MD61 4B018ME03 4C088AB29 4C088AC01 4C088BA07 4C088BA10 4C088MA52 4C088NA14 4C088ZC35 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ヨモギ又はその処理物を含有する筋肉細胞糖輸送促進作用組成物、又は筋肉細胞糖輸送を促進する食品又は食品組成物に関する。【0002】【従来の技術】ヨモギは、キク科の多年草であり、海岸から高山に至るまで各地で広く分布している。ヨモギは、草餅に使われるのでモチグサや、灸に使われるのでモグサ又はキュウグサなどの別名がある。ヨモギの種類は多く、日本に30種ほどあり、世界中に250種〜400種ほどあるといわれている。ヨモギは、その種類によって、虫さされによる痒み防止、切り傷の治療又は止血等を目的とする塗布剤に用いられたり、神経痛、リュウマチ又は胃病等の治療を目的とする飲料に用いられたり、草もち又はヨモギ餅などの一般食品に用いられたりしている。又、最近、ニシヨモギによる二糖類分解酵素阻害活性も報告され(特許文献1)、この作用は糖尿病治療に有用であり、各種類のヨモギの中でニシヨモギに特異的な作用のようである。特許文献1は、経口摂取された食事由来のオリゴ糖や多糖を分解する酵素を阻害して単糖の生成を遅延させることにより、体内への単糖の吸収を遅延させて食後の血糖値の上昇を抑制させ、食後高血糖による酸化ストレスの増加や食後高インスリン血症に起因した動脈硬化等の糖尿病合併症の予防を目的とした発明である。よって、特許文献1は、インスリン分泌不全により耐糖能が低下した糖尿病患者の食事に由来した血糖値の上昇を抑制するものであり、血糖値を低下させる発明ではない。【0003】近年、化粧料、洗浄剤組成物、口腔用組成物又は食品にヨモギを用いることにより、その化粧料等が、創傷治癒、肌荒れ防止、肌荒れ改善、皮膚のかゆみの改善、又は体臭或いは口臭の防止等の効果を奏することが知られており(特許文献2)、ヨモギを焙煎処理又は遠赤外焙煎処理して、ふりかけ等の食品又はシヤンプ−、リンス、ハミガキ、入浴剤、デオドラント剤、スキンロ−シヨンなどの化粧品に用いると、その食品又は化粧品に抗菌活性、消臭活性、抗酸化活性又はアミラ−ゼ阻害活性等を付与することが知られている(特許文献3)。しかしながら、ヨモギの作用・効果について、その詳細まで判明しておらず、またヨモギのさらなる作用・効果が知見され、ヨモギの新規且つ有用な用途の開発が期待されている。【0004】【特許文献1】特開2003−26694号公報【特許文献2】特開平05−000962号公報【特許文献3】特開平07−033636号公報【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、ヨモギ又はその処理物の新規かつ有用な用途を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究した。本発明者らは、先に細胞のグルコースの取り込み調節作用を評価する方法の創製に成功している(本願と同日で特許出願予定)。本発明者らは、種々の植物又はそれらの処理物と細胞のグルコース取り込み調節作用との関係を明らかにするため、上記方法を用いて実験を精力的に行った結果、ヨモギ又はその処理物が驚くほど優れた筋肉細胞内糖輸送促進作用を有することを見出した。【0007】本発明者らは、本発明のヨモギ又はその処理物を含有する筋肉細胞糖輸送促進作用組成物が糖尿病の予防または治療に有用であることをも見出した。この糖尿病の予防又は治療効果は、筋肉細胞にヨモギ又はその処理物が生体に作用する結果、筋肉内に直接働きかけて糖輸送を促進する作用をベースとしており、食事により上昇した血糖値を低下させることができ、また空腹時の血糖値を低下させることもできる。よって、特許文献1とは全く異なる発明であると本発明者らは考える。従って、本発明は、ヨモギ又はその処理物を含有することを特徴とする筋肉細胞糖輸送促進作用による糖尿病の予防又は治療薬でもある。また、インスリン依存的にグルコース取り込みを促進させる組織としては、脂肪と骨格筋が挙げられるが、脂肪細胞の糖取り込みを促進させると脂肪細胞は肥大し、インスリン抵抗性の原因となるアディポサイトカインの分泌不全及び亢進につながるため、糖尿病の治療に関し本質的な解決にならない。しかし骨格筋は体内に吸収されたグルコースの85%を取り込むことが報告されていることから血糖値を低下させる上で最も重要な臓器であることが知られており、脂肪細胞のように悪影響は知られていない。よって、筋肉細胞の糖輸送を促進させる方法は食事摂取とは関係のない糖尿病の予防及び治療に関して最も有効な方法であるといえる。【0008】本発明者らは、さらに検討を重ね、上記ヨモギが日本産ヨモギ又は中国産ヨモギであることが好ましいことを知見した。上記した種々の知見は、本発明者らによる新知見である。本発明者らは、上記種々の知見を得た後、さらに検討を重ね、本発明を完成させるに至った。【0009】すなわち、本発明は、(1) ヨモギ又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする筋肉細胞糖輸送促進作用組成物、(2) 糖尿病を予防又は治療する(1)記載の筋肉細胞糖輸送促進作用組成物、(3) ヨモギが、日本産ヨモギ又は中国産ヨモギであることを特徴とする(1)記載の組成物、(4) ヨモギ又はその処理物を含有することを特徴とする筋肉細胞糖輸送を促進する食品組成物、(5) (4)記載の食品組成物を含有することを特徴とする筋肉細胞糖輸送を促進する食品、に関する。【0010】【発明の実施の形態】本発明で使用されるヨモギは、産地等特に限定されず、日本産ヨモギであってもよいし、中国産ヨモギであってもよい。あらゆる国に分布するヨモギであってよい。ヨモギの種類としては、例えばヨモギ属(Artemisia)、ムカシヨモギ属(Erigeron)、又はヒキヨモギ属(Siphonostegia)などが挙げられる。【0011】ヨモギ属の植物としては、例えば、アサギリソウ(Artemisia schmidtiana Maxim.)、イヌヨモギ(Artemisia keiskeana Miq.)、イワヨモギ(Artemisia iwayomogi Kitam.)、エストラゴン(Artemisia dracunculus L.)、エゾハハコヨモギ(Artemisia trifurcata var. pedunculosa)、エゾヨモギ{Artemisia Montana (NAKAI) PAMP.、Artemisia vulgaris L.var.vulgatissima BESS.}、エトロフヨモギ(Artemisia insularis Kitam.)、オオワタヨモギ(Artemisia koidzumii Nakai)、オトコヨモギ(Artemisia japonica Thunb.)、オニオトコヨモギ(Artemisia congesta Kitam.)、ガイヨウ(Artemisia lavandulaefolia DC.)、カズザキヨモギ(Artemisia princeps PAMP.、Artemisia vulgaris L.indica MAXIM)、カワラニンジン(Artemisia apiacea Hance)、カワラヨモギ(Artemisia capillaris Thunb.)、キタダケヨモギ(Artemisia kitadakensis)、クソニンジン(Artemisia annua Linn.)、クラムヨモギ(Artemisia kurramensis)、ケショウヨモギ(Artemisia dubia Wall. ex DC.)、サマニヨモギ(Artemisia arctica Less. subsp. sachalinensis Hulten)、シコタンヨモギ(Artemisia laciniata Willd.)、シナ(Artemisia cina Berg.)、シロサマニヨモギ(Artemisia arctica Less. subsp. sachalinensis Hulten f. villosa (Koidz.) Kitam.)、シロヨモギ(Artemisia stelleriana Besser)、タカネヨモギ(Artemisia sinanensis Yabe)、タカヨモギ(Artemisia selengensis Turcz.)、チシマヨモギ(Artemisia unalaskensis Rydberg)、チョウセンヨモギ(Artemisia argyi LEVL. et VANT.)、ニイタカヨモギ(Artemisia campestris Linn.)、ニガヨモギ(Artemisia absinthium Linn.)、ニシヨモギ(Artemisia indica Willd.)、ハイイロヨモギ(Artemisia sieversiana Willd.)、ハハコヨモギ(Artemisia glomerata Ledeb.)、ハマオトコヨモギ(Artemisia japonica Thunb. var. littoricola (Kitam.) Kitam.)、ハマヨモギ(Artemisia fukudo Makino)、ヒトツバヨモギ(Artemisia monophylla Kitam.)、ヒメヨモギ(Artemisia feddei Leveil. et Vaniot)、ヒロハノヒトツバヨモギ(Artemisia stolonifera (Maxim.) Komar.)、ホクチヨモギ(Artemisia igniaria Maxim.)、ミブヨモギ(Artemisia maritima Linn.)、ミヤマオトコヨモギ(Artemisia pedunculosa Miq.)、ヤブヨモギ(Artemisia rubripes Nakai)、ユキヨモギ(Artemisia momiyamae Kitam.)、ヨモギナ(Artemisia lactiflora Wall. ex DC.)、又はワタヨモギナ(Artemisia gilvescens Miq.)などが挙げられる。【0012】ムカシヨモギ属の植物としては、例えば、アズマギク(Erigeron thunbergii A. Gray)、アポイアズマギク(Erigeron thunbergii A. Gray var. angustifolius)、アレチノギク(Erigeron bonariensis Linn.)、エゾムカシヨモギ(Erigeron acer Linn.)、オオアレチノギク(Erigeron sumatrensis Retz.)、ケナシヒメムカシヨモギ(Erigeron pusillus Nutt.)、ハルジオン(Erigeron philadelphicus Linn.)、ヒメムカシヨモギ(Erigeron canadensis Linn.)、ヒロハムカシヨモギ(Erigeron acer Linn. var. amplifolius Kitam.)、ペラペラヨメナ(Erigeron karvinskianus DC.)、ホソバムカシヨモギ(Erigeron acer Linn. var. linearifolius (Koidz.) Kitam.)、ミヤマアズマギク(Erigeron thunbergii A. Gray subsp. glabratus (A. Gray) Hara)、ミヤマノギク(Erigeron miyabeanus Tatew. et Kitam.)、ムカシヨモギ(Erigeron acer Linn. var. kamtschaticus (DC.) Herder)又はヤナギバヒメジョン(Erigeron pseudo−annuus Makino)などが挙げられる。【0013】ヒキヨモギ属の植物としては、例えばオオヒキヨモギ(Siphonostegia laeta S. Moore)、又はヒキヨモギ(Siphonostegia chinensis Benth.)などが挙げられる。本発明においては、上記ヨモギが、日本産ヨモギ又は中国産ヨモギであるのが好ましい。【0014】本発明で使用されるヨモギの処理物は、上記ヨモギを処理したものであり、このような例としては、上記ヨモギの全草、根、葉又は種子を微粉末としたもの、水又は/及び有機溶媒(例えばメタノール又はエタノール等のアルコール、エーテル又はケトン等)で上記ヨモギを浸漬抽出し、残渣を濾別して得られた抽出液(エキス)、この抽出液から溶媒を除去したもの、これらの微粉末、又はこれらを適当な溶媒(例えば水又は有機溶媒等)で溶解、分散又は希釈したもの等が挙げられる。本発明においては、上記ヨモギの処理物が、ヨモギのアルコールによる抽出物であるのが好ましく、エタノール抽出物であるのがより好ましい。本発明によれば、上記ヨモギの抽出物がヨモギのアルコール抽出物である場合、アルコールと上記ヨモギとの配合割合は、アルコール1Lに対して上記ヨモギ約10g〜200gであるのが好ましく、約10g〜100gであるのがより好ましい。【0015】本発明においては、上記ヨモギ又はその処理物を、そのままの状態で本発明の筋肉細胞糖輸送促進作用組成物として用いてもよいし、さらに、他の生理活性物質を配合してもよく、所望により種々の添加剤、例えば賦形剤、pH調製剤、清涼化剤、懸濁化剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤又は香料などと混合した上記組成物として用いてよい。【0016】上記賦形剤としては、例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール或いはキシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖或いは果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、りん酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、βーシクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。【0017】上記pH調製剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、リン酸水素ナトリウム又はリン酸二カリウムなどが挙げられる。【0018】上記清涼化剤としては、例えばl−メントール又はハッカ水などが挙げられる。【0019】上記懸濁化剤としては、例えば、カオリン、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロース又はトラガントなどが挙げられる。【0020】上記消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサン又はシリコン消泡剤などが挙げられる。【0021】上記粘稠剤としては、例えばキサンタンガム、トラガント、メチルセルロース又はデキストリンなどが挙げられる。【0022】上記溶解補助剤としては、例えばエタノール、ショ糖脂肪酸エステル又はマクロゴールなどが挙げられる。【0023】上記崩壊剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ又は部分アルファー化デンプンなどが挙げられる。【0024】上記結合剤としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。【0025】上記滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ミツロウ又はサラシミツロウなどが挙げられる。【0026】上記抗酸化剤としては、例えばジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール又はクエン酸などが挙げられる。【0027】上記コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタートジエチルアミノアセテート又はセラックなどが挙げられる。【0028】上記着色剤としては、例えばウコン抽出液、リボフラビン、酸化チタン又はカロチン液などが挙げられる。【0029】上記矯味矯臭剤としては、例えばクエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸又はメントールなどが挙げられる。【0030】上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類又はショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。【0031】上記可塑剤としては、例えばクエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、トリアセチン又はセタノールなどが挙げられる。【0032】上記香料としては、例えば、動物性香料或いは植物性香料等の天然香料、又は単離香料或いは純合成香料等の合成香料などが挙げられる。【0033】剤型は投与形態又は使用形態等に応じて適宜に選択され、公知の手段でもって、例えば散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、座剤又は軟膏剤等の固形剤型、例えば溶液又は懸濁剤等の液状剤型、ゲル剤、ゾル剤などに加工され得る。投与形態は、経口投与が一般的であるがこれに限定されない。【0034】本発明においては、ヨモギ又はその処理物を含む組成物を食品用に用いてよいし、単独で食品添加剤として市場に流通させてもよい。例えば、ヨモギ又はその処理物を含有する組成物を食品、その食材又はその食品中間素材に添加するなどの公知の手段でもって食品製造原料として用いられる。【0035】上記食品としては、例えば、菓子類(例えばポテトチップスをはじめとするスナック菓子、ビスケット又はクッキーなどの焼菓子、チョコレート、ガム、又はキャンディ等)、デザート類(例えばプリン、ゼリー、ヨーグルト又はアイスクリーム等)のような嗜好食品の他、麺類(例えば、そば、うどん、ラーメン又はパスタ等)、シリアルフーズ(例えばコーンフレーク又はオートミール等)のような主食に準ずるもの、調味食品(例えばスープ、カレー又はシチュー等)、農産加工品(例えばジャム等)、乳油食品(例えばスプレッド類又はチーズ等)、健康食品(例えばプロテイン又はファイバー等)、カロリー調整食品、ノンアルコール飲料(例えば大豆焙煎茶飲料、穀物茶、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、麦茶飲料、抹茶飲料、野菜汁飲料、オレンジジュース、グレープフルーツジュース、清涼飲料等)、又はアルコール飲料(例えばビール、ワイン、清酒、発泡酒、梅酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、ウォッカ、ラム、ジン、リキュール類又はカクテル類等)などが挙げられる。【0036】さらに、上記筋肉細胞糖輸送促進作用組成物、食品組成物又は食品には、炭水化物、タンパク質、ミネラル類又はビタミン類などを適宜に配合してもよい。【0037】上記炭水化物としては、例えば、澱粉或いはコーンスターチなどの多糖類、デキストリン、シュークロース、グルコース又はフラクトースなどのその他の糖類などが挙げられる。【0038】上記タンパク質としては、例えば、動物性タンパク質と植物性タンパク質を合せたものなどが挙げられ、より具体的には、乳タンパク質、大豆タンパク質又は卵タンパク質などが挙げられる。【0039】上記ミネラル類としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、ナトリウム、カリウム、亜鉛、銅、クロム、セレン、マンガン又はモリブデンなどが挙げられる。【0040】上記ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシン、パントテン酸又は葉酸などが挙げられる。【0041】上記アミノ酸としては、例えば、グルタミン、ロイシン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、フェニルアラニン、リジン、スレオニン、メチオニン、ヒスチジン、グリシン、アラニン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、アルギニン、シスチン、システイン、チロシン、プロリン又はヒドロキシプロリンなどが挙げられる。【0042】人又は動物が本発明の組成物、製剤、食品を摂取すると、筋肉細胞に糖が輸送されるのが促進され、糖尿病を予防又は治療することができる。【0043】【実施例】(実施例1:ヨモギによる骨格筋細胞の糖輸送促進作用の確認)(L6骨格筋細胞の作製)L6筋芽細胞を2.5×104/mLの濃度になるようにα−MEM培地(10%v/v 牛胎児血清含有)で調整し、コラーゲンタイプIをコートした96穴組織培養プレートに1穴当り200μLを播種し、37℃の5%炭酸ガス培養器で2日間培養、コンフルエントになった後、培地をα−MEM培地(2%v/v 牛胎児血清含有)に変更し、37℃の5%炭酸ガス培養器で5日間培養することによりL6骨格筋細胞を作製した。【0044】(ヨモギエキスの作製)寸切りしたヨモギ 2gを50mlのサンプル瓶に入れ、99.5%エタノール30mlを添加し、5℃、48時間振とうさせて抽出を行った。抽出したエタノールエキスを濾紙No.2にて濾過、減圧濃縮機にて7.5倍濃縮し、ヨモギエタノールエキスを作製した。【0045】(L6骨格筋細胞における糖輸送促進作用の確認)上記実施例1の通りに作製したヨモギエタノールエキス中のエタノールを窒素ガスにて除去し、残留物を等量のジメチルスルホキシドに溶解させ、α−MEM培地(2%v/v 牛胎児血清含有)にて100倍希釈してヨモギエキス含有α−MEM培地を作製した。上記実施例1の通りに作製したL6骨格筋細胞を培養したプレートにヨモギエキス含有α−MEM培地を1穴当り100μL添加、37℃の5%炭酸ガス培養器で4時間インキュベート後、PBS(−)にて2回洗浄し、1mM 2−DGを含有したKRPHバッファー(pH7.4)を1穴当り100μL添加、37℃の5%炭酸ガス培養器で30分間インキュベートし、PBS(−)にて2回洗浄した。その後、0.1N NaOHを1穴当り25μL添加、冷凍庫にプレートを入れて凍結させた後、プレートを冷凍庫から出して室温に戻し、85℃、20分間湯浴中にて加熱処理し、室温になるまで放冷後、0.1N HClを1穴当り25μL添加、続いて150mMトリエタノールアミンバッファー(pH8.1)を1穴当り25μL添加して作製、サンプル中の2−DGを下記の通り定量し、コントロール(α−MEM培地(2%v/v 牛胎児血清含有))の2−DG取込量と比較することにより、糖輸送促進作用を調べた。【0046】(2−デオキシグルコース(2DG)の定量)2−DGを1〜20μg/mL含有したサンプルを96穴組織培養プレートに1穴当り50μL添加し、アッセイカクテル 150μL(ATP 1μmol、ヘキソキナーゼ 0.54units、NADP+ 60nmol、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ 2units、レサズリンナトリウム 3.8nmol、ジアフォラーゼ 0.15units[50mM トリエタノールアミンバッファー(pH8.1)、50mM KCl、0.5mM MgCl2、0.02% BSA])を添加し、マイクロプレートミキサーにて攪拌、37℃の5%炭酸ガス培養器で90分間インキュベート後、マイクロプレートリーダーにて蛍光値(励起波長:530nm、測定波長:590nm)を測定することにより定量を行った。【0047】【表1】【0048】上記の結果、ヨモギエキスが筋肉細胞へのグルコース取り込み量において、つまり、筋肉細胞糖輸送促進作用において優れていることがわかる。【0049】【発明の効果】本発明によって、ヨモギ又はその処理物の新規かつ有用な用途を提供することができる。より具体的には、本発明のヨモギ又はその処理物を含有する筋肉細胞糖輸送促進作用組成物は、糖尿病予防又は治療薬として有用であり、医薬、食品組成物又は食品として用いられる。 ヨモギ又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする筋肉細胞糖輸送促進作用組成物。 糖尿病を予防又は治療する請求項1記載の筋肉細胞糖輸送促進作用組成物。 ヨモギが、日本産ヨモギ又は中国産ヨモギであることを特徴とする請求項1記載の組成物。 ヨモギ又はその処理物を含有することを特徴とする筋肉細胞糖輸送を促進する食品組成物。 請求項4記載の食品組成物を含有することを特徴とする筋肉細胞糖輸送を促進する食品。 【課 題】ヨモギ又はその処理物の新規かつ有用な用途の提供。より具体的には、ヨモギ又はその処理物を含有する筋肉細胞糖輸送促進作用組成物、又は筋肉細胞糖輸送を促進する食品又は食品組成物の提供。【解決手段】ヨモギ又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする筋肉細胞糖輸送促進作用組成物。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_ヨモギを有効成分として含有する筋肉細胞糖輸送促進組成物

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タイトル:特許公報(B2)_ヨモギを有効成分として含有する筋肉細胞糖輸送促進組成物
出願番号:2003187625
年次:2010
IPC分類:A61K 36/28,A61P 3/08


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佐藤 拓哉 廣▲瀬▼ 義隆 山本 憲朗 室山 幸太郎 室▲崎▼ 伸二 山本 佳弘 JP 4464082 特許公報(B2) 20100226 2003187625 20030630 ヨモギを有効成分として含有する筋肉細胞糖輸送促進組成物 ハウスウェルネスフーズ株式会社 306019030 岩谷 龍 100077012 佐藤 拓哉 廣▲瀬▼ 義隆 山本 憲朗 室山 幸太郎 室▲崎▼ 伸二 山本 佳弘 20100519 A61K 36/28 20060101AFI20100422BHJP A61P 3/08 20060101ALI20100422BHJP JPA61K35/78 TA61P3/08 A61K 36/00-36/9068 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開2003−026694(JP,A) 国際公開第97/035598(WO,A1) S. K. Swanston-Flatt et al.,Evaluation of traditional plant treatments for diabetes: Studies in streptozotocin diabetic mice,Acta Diabetologica,1989年 1月,Vol. 26, No. 1,pp. 51-55 SUBRAMONIAM A et al,Effects of Artemisia pallens Wall. on blood glucose levels in normal and alloxan-induced diabetic ra,J Ethnopharmacol,1996年,Vol.50,No.1,Page.13-17 3 2005022988 20050127 9 20051222 金子 亜希 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ヨモギ又はその処理物を含有する筋肉細胞糖輸送促進作用組成物、又は筋肉細胞糖輸送を促進する食品又は食品組成物に関する。【0002】【従来の技術】ヨモギは、キク科の多年草であり、海岸から高山に至るまで各地で広く分布している。ヨモギは、草餅に使われるのでモチグサや、灸に使われるのでモグサ又はキュウグサなどの別名がある。ヨモギの種類は多く、日本に30種ほどあり、世界中に250種〜400種ほどあるといわれている。ヨモギは、その種類によって、虫さされによる痒み防止、切り傷の治療又は止血等を目的とする塗布剤に用いられたり、神経痛、リュウマチ又は胃病等の治療を目的とする飲料に用いられたり、草もち又はヨモギ餅などの一般食品に用いられたりしている。又、最近、ニシヨモギによる二糖類分解酵素阻害活性も報告され(特許文献1)、この作用は糖尿病治療に有用であり、各種類のヨモギの中でニシヨモギに特異的な作用のようである。特許文献1は、経口摂取された食事由来のオリゴ糖や多糖を分解する酵素を阻害して単糖の生成を遅延させることにより、体内への単糖の吸収を遅延させて食後の血糖値の上昇を抑制させ、食後高血糖による酸化ストレスの増加や食後高インスリン血症に起因した動脈硬化等の糖尿病合併症の予防を目的とした発明である。よって、特許文献1は、インスリン分泌不全により耐糖能が低下した糖尿病患者の食事に由来した血糖値の上昇を抑制するものであり、血糖値を低下させる発明ではない。【0003】近年、化粧料、洗浄剤組成物、口腔用組成物又は食品にヨモギを用いることにより、その化粧料等が、創傷治癒、肌荒れ防止、肌荒れ改善、皮膚のかゆみの改善、又は体臭或いは口臭の防止等の効果を奏することが知られており(特許文献2)、ヨモギを焙煎処理又は遠赤外焙煎処理して、ふりかけ等の食品又はシヤンプ−、リンス、ハミガキ、入浴剤、デオドラント剤、スキンロ−シヨンなどの化粧品に用いると、その食品又は化粧品に抗菌活性、消臭活性、抗酸化活性又はアミラ−ゼ阻害活性等を付与することが知られている(特許文献3)。しかしながら、ヨモギの作用・効果について、その詳細まで判明しておらず、またヨモギのさらなる作用・効果が知見され、ヨモギの新規且つ有用な用途の開発が期待されている。【0004】【特許文献1】特開2003−26694号公報【特許文献2】特開平05−000962号公報【特許文献3】特開平07−033636号公報【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、ヨモギ又はその処理物の新規かつ有用な用途を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究した。本発明者らは、先に細胞のグルコースの取り込み調節作用を評価する方法の創製に成功している(本願と同日で特許出願予定)。本発明者らは、種々の植物又はそれらの処理物と細胞のグルコース取り込み調節作用との関係を明らかにするため、上記方法を用いて実験を精力的に行った結果、ヨモギ又はその処理物が驚くほど優れた筋肉細胞内糖輸送促進作用を有することを見出した。【0007】本発明者らは、本発明のヨモギ又はその処理物を含有する筋肉細胞糖輸送促進作用組成物が糖尿病の予防または治療に有用であることをも見出した。この糖尿病の予防又は治療効果は、筋肉細胞にヨモギ又はその処理物が生体に作用する結果、筋肉内に直接働きかけて糖輸送を促進する作用をベースとしており、食事により上昇した血糖値を低下させることができ、また空腹時の血糖値を低下させることもできる。よって、特許文献1とは全く異なる発明であると本発明者らは考える。従って、本発明は、ヨモギ又はその処理物を含有することを特徴とする筋肉細胞糖輸送促進作用による糖尿病の予防又は治療薬でもある。また、インスリン依存的にグルコース取り込みを促進させる組織としては、脂肪と骨格筋が挙げられるが、脂肪細胞の糖取り込みを促進させると脂肪細胞は肥大し、インスリン抵抗性の原因となるアディポサイトカインの分泌不全及び亢進につながるため、糖尿病の治療に関し本質的な解決にならない。しかし骨格筋は体内に吸収されたグルコースの85%を取り込むことが報告されていることから血糖値を低下させる上で最も重要な臓器であることが知られており、脂肪細胞のように悪影響は知られていない。よって、筋肉細胞の糖輸送を促進させる方法は食事摂取とは関係のない糖尿病の予防及び治療に関して最も有効な方法であるといえる。【0008】本発明者らは、さらに検討を重ね、上記ヨモギが日本産ヨモギ又は中国産ヨモギであることが好ましいことを知見した。上記した種々の知見は、本発明者らによる新知見である。本発明者らは、上記種々の知見を得た後、さらに検討を重ね、本発明を完成させるに至った。【0009】すなわち、本発明は、(1) ヨモギ又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする筋肉細胞糖輸送促進作用組成物、(2) 糖尿病を予防又は治療する(1)記載の筋肉細胞糖輸送促進作用組成物、(3) ヨモギが、日本産ヨモギ又は中国産ヨモギであることを特徴とする(1)記載の組成物、(4) ヨモギ又はその処理物を含有することを特徴とする筋肉細胞糖輸送を促進する食品組成物、(5) (4)記載の食品組成物を含有することを特徴とする筋肉細胞糖輸送を促進する食品、に関する。【0010】【発明の実施の形態】本発明で使用されるヨモギは、産地等特に限定されず、日本産ヨモギであってもよいし、中国産ヨモギであってもよい。あらゆる国に分布するヨモギであってよい。ヨモギの種類としては、例えばヨモギ属(Artemisia)、ムカシヨモギ属(Erigeron)、又はヒキヨモギ属(Siphonostegia)などが挙げられる。【0011】ヨモギ属の植物としては、例えば、アサギリソウ(Artemisia schmidtiana Maxim.)、イヌヨモギ(Artemisia keiskeana Miq.)、イワヨモギ(Artemisia iwayomogi Kitam.)、エストラゴン(Artemisia dracunculus L.)、エゾハハコヨモギ(Artemisia trifurcata var. pedunculosa)、エゾヨモギ{Artemisia Montana (NAKAI) PAMP.、Artemisia vulgaris L.var.vulgatissima BESS.}、エトロフヨモギ(Artemisia insularis Kitam.)、オオワタヨモギ(Artemisia koidzumii Nakai)、オトコヨモギ(Artemisia japonica Thunb.)、オニオトコヨモギ(Artemisia congesta Kitam.)、ガイヨウ(Artemisia lavandulaefolia DC.)、カズザキヨモギ(Artemisia princeps PAMP.、Artemisia vulgaris L.indica MAXIM)、カワラニンジン(Artemisia apiacea Hance)、カワラヨモギ(Artemisia capillaris Thunb.)、キタダケヨモギ(Artemisia kitadakensis)、クソニンジン(Artemisia annua Linn.)、クラムヨモギ(Artemisia kurramensis)、ケショウヨモギ(Artemisia dubia Wall. ex DC.)、サマニヨモギ(Artemisia arctica Less. subsp. sachalinensis Hulten)、シコタンヨモギ(Artemisia laciniata Willd.)、シナ(Artemisia cina Berg.)、シロサマニヨモギ(Artemisia arctica Less. subsp. sachalinensis Hulten f. villosa (Koidz.) Kitam.)、シロヨモギ(Artemisia stelleriana Besser)、タカネヨモギ(Artemisia sinanensis Yabe)、タカヨモギ(Artemisia selengensis Turcz.)、チシマヨモギ(Artemisia unalaskensis Rydberg)、チョウセンヨモギ(Artemisia argyi LEVL. et VANT.)、ニイタカヨモギ(Artemisia campestris Linn.)、ニガヨモギ(Artemisia absinthium Linn.)、ニシヨモギ(Artemisia indica Willd.)、ハイイロヨモギ(Artemisia sieversiana Willd.)、ハハコヨモギ(Artemisia glomerata Ledeb.)、ハマオトコヨモギ(Artemisia japonica Thunb. var. littoricola (Kitam.) Kitam.)、ハマヨモギ(Artemisia fukudo Makino)、ヒトツバヨモギ(Artemisia monophylla Kitam.)、ヒメヨモギ(Artemisia feddei Leveil. et Vaniot)、ヒロハノヒトツバヨモギ(Artemisia stolonifera (Maxim.) Komar.)、ホクチヨモギ(Artemisia igniaria Maxim.)、ミブヨモギ(Artemisia maritima Linn.)、ミヤマオトコヨモギ(Artemisia pedunculosa Miq.)、ヤブヨモギ(Artemisia rubripes Nakai)、ユキヨモギ(Artemisia momiyamae Kitam.)、ヨモギナ(Artemisia lactiflora Wall. ex DC.)、又はワタヨモギナ(Artemisia gilvescens Miq.)などが挙げられる。【0012】ムカシヨモギ属の植物としては、例えば、アズマギク(Erigeron thunbergii A. Gray)、アポイアズマギク(Erigeron thunbergii A. Gray var. angustifolius)、アレチノギク(Erigeron bonariensis Linn.)、エゾムカシヨモギ(Erigeron acer Linn.)、オオアレチノギク(Erigeron sumatrensis Retz.)、ケナシヒメムカシヨモギ(Erigeron pusillus Nutt.)、ハルジオン(Erigeron philadelphicus Linn.)、ヒメムカシヨモギ(Erigeron canadensis Linn.)、ヒロハムカシヨモギ(Erigeron acer Linn. var. amplifolius Kitam.)、ペラペラヨメナ(Erigeron karvinskianus DC.)、ホソバムカシヨモギ(Erigeron acer Linn. var. linearifolius (Koidz.) Kitam.)、ミヤマアズマギク(Erigeron thunbergii A. Gray subsp. glabratus (A. Gray) Hara)、ミヤマノギク(Erigeron miyabeanus Tatew. et Kitam.)、ムカシヨモギ(Erigeron acer Linn. var. kamtschaticus (DC.) Herder)又はヤナギバヒメジョン(Erigeron pseudo-annuus Makino)などが挙げられる。【0013】ヒキヨモギ属の植物としては、例えばオオヒキヨモギ(Siphonostegia laeta S. Moore)、又はヒキヨモギ(Siphonostegia chinensis Benth.)などが挙げられる。本発明においては、上記ヨモギが、日本産ヨモギ又は中国産ヨモギであるのが好ましい。【0014】本発明で使用されるヨモギの処理物は、上記ヨモギを処理したものであり、このような例としては、上記ヨモギの全草、根、葉又は種子を微粉末としたもの、水又は/及び有機溶媒(例えばメタノール又はエタノール等のアルコール、エーテル又はケトン等)で上記ヨモギを浸漬抽出し、残渣を濾別して得られた抽出液(エキス)、この抽出液から溶媒を除去したもの、これらの微粉末、又はこれらを適当な溶媒(例えば水又は有機溶媒等)で溶解、分散又は希釈したもの等が挙げられる。本発明においては、上記ヨモギの処理物が、ヨモギのアルコールによる抽出物であるのが好ましく、エタノール抽出物であるのがより好ましい。本発明によれば、上記ヨモギの抽出物がヨモギのアルコール抽出物である場合、アルコールと上記ヨモギとの配合割合は、アルコール1Lに対して上記ヨモギ約10g〜200gであるのが好ましく、約10g〜100gであるのがより好ましい。【0015】本発明においては、上記ヨモギ又はその処理物を、そのままの状態で本発明の筋肉細胞糖輸送促進作用組成物として用いてもよいし、さらに、他の生理活性物質を配合してもよく、所望により種々の添加剤、例えば賦形剤、pH調製剤、清涼化剤、懸濁化剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤又は香料などと混合した上記組成物として用いてよい。【0016】上記賦形剤としては、例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール或いはキシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖或いは果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、りん酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、βーシクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。【0017】上記pH調製剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、リン酸水素ナトリウム又はリン酸二カリウムなどが挙げられる。【0018】上記清涼化剤としては、例えばl−メントール又はハッカ水などが挙げられる。【0019】上記懸濁化剤としては、例えば、カオリン、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロース又はトラガントなどが挙げられる。【0020】上記消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサン又はシリコン消泡剤などが挙げられる。【0021】上記粘稠剤としては、例えばキサンタンガム、トラガント、メチルセルロース又はデキストリンなどが挙げられる。【0022】上記溶解補助剤としては、例えばエタノール、ショ糖脂肪酸エステル又はマクロゴールなどが挙げられる。【0023】上記崩壊剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ又は部分アルファー化デンプンなどが挙げられる。【0024】上記結合剤としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。【0025】上記滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ミツロウ又はサラシミツロウなどが挙げられる。【0026】上記抗酸化剤としては、例えばジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール又はクエン酸などが挙げられる。【0027】上記コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタートジエチルアミノアセテート又はセラックなどが挙げられる。【0028】上記着色剤としては、例えばウコン抽出液、リボフラビン、酸化チタン又はカロチン液などが挙げられる。【0029】上記矯味矯臭剤としては、例えばクエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸又はメントールなどが挙げられる。【0030】上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類又はショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。【0031】上記可塑剤としては、例えばクエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、トリアセチン又はセタノールなどが挙げられる。【0032】上記香料としては、例えば、動物性香料或いは植物性香料等の天然香料、又は単離香料或いは純合成香料等の合成香料などが挙げられる。【0033】剤型は投与形態又は使用形態等に応じて適宜に選択され、公知の手段でもって、例えば散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、座剤又は軟膏剤等の固形剤型、例えば溶液又は懸濁剤等の液状剤型、ゲル剤、ゾル剤などに加工され得る。投与形態は、経口投与が一般的であるがこれに限定されない。【0034】本発明においては、ヨモギ又はその処理物を含む組成物を食品用に用いてよいし、単独で食品添加剤として市場に流通させてもよい。例えば、ヨモギ又はその処理物を含有する組成物を食品、その食材又はその食品中間素材に添加するなどの公知の手段でもって食品製造原料として用いられる。【0035】上記食品としては、例えば、菓子類(例えばポテトチップスをはじめとするスナック菓子、ビスケット又はクッキーなどの焼菓子、チョコレート、ガム、又はキャンディ等)、デザート類(例えばプリン、ゼリー、ヨーグルト又はアイスクリーム等)のような嗜好食品の他、麺類(例えば、そば、うどん、ラーメン又はパスタ等)、シリアルフーズ(例えばコーンフレーク又はオートミール等)のような主食に準ずるもの、調味食品(例えばスープ、カレー又はシチュー等)、農産加工品(例えばジャム等)、乳油食品(例えばスプレッド類又はチーズ等)、健康食品(例えばプロテイン又はファイバー等)、カロリー調整食品、ノンアルコール飲料(例えば大豆焙煎茶飲料、穀物茶、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、麦茶飲料、抹茶飲料、野菜汁飲料、オレンジジュース、グレープフルーツジュース、清涼飲料等)、又はアルコール飲料(例えばビール、ワイン、清酒、発泡酒、梅酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、ウォッカ、ラム、ジン、リキュール類又はカクテル類等)などが挙げられる。【0036】さらに、上記筋肉細胞糖輸送促進作用組成物、食品組成物又は食品には、炭水化物、タンパク質、ミネラル類又はビタミン類などを適宜に配合してもよい。【0037】上記炭水化物としては、例えば、澱粉或いはコーンスターチなどの多糖類、デキストリン、シュークロース、グルコース又はフラクトースなどのその他の糖類などが挙げられる。【0038】上記タンパク質としては、例えば、動物性タンパク質と植物性タンパク質を合せたものなどが挙げられ、より具体的には、乳タンパク質、大豆タンパク質又は卵タンパク質などが挙げられる。【0039】上記ミネラル類としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、ナトリウム、カリウム、亜鉛、銅、クロム、セレン、マンガン又はモリブデンなどが挙げられる。【0040】上記ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシン、パントテン酸又は葉酸などが挙げられる。【0041】上記アミノ酸としては、例えば、グルタミン、ロイシン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、フェニルアラニン、リジン、スレオニン、メチオニン、ヒスチジン、グリシン、アラニン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、アルギニン、シスチン、システイン、チロシン、プロリン又はヒドロキシプロリンなどが挙げられる。【0042】人又は動物が本発明の組成物、製剤、食品を摂取すると、筋肉細胞に糖が輸送されるのが促進され、糖尿病を予防又は治療することができる。【0043】【実施例】(実施例1:ヨモギによる骨格筋細胞の糖輸送促進作用の確認)(L6骨格筋細胞の作製)L6筋芽細胞を2.5×104/mLの濃度になるようにα−MEM培地(10%v/v 牛胎児血清含有)で調整し、コラーゲンタイプIをコートした96穴組織培養プレートに1穴当り200μLを播種し、37℃の5%炭酸ガス培養器で2日間培養、コンフルエントになった後、培地をα−MEM培地(2%v/v 牛胎児血清含有)に変更し、37℃の5%炭酸ガス培養器で5日間培養することによりL6骨格筋細胞を作製した。【0044】(ヨモギエキスの作製)寸切りしたヨモギ 2gを50mlのサンプル瓶に入れ、99.5%エタノール30mlを添加し、5℃、48時間振とうさせて抽出を行った。抽出したエタノールエキスを濾紙No.2にて濾過、減圧濃縮機にて7.5倍濃縮し、ヨモギエタノールエキスを作製した。【0045】(L6骨格筋細胞における糖輸送促進作用の確認)上記実施例1の通りに作製したヨモギエタノールエキス中のエタノールを窒素ガスにて除去し、残留物を等量のジメチルスルホキシドに溶解させ、α−MEM培地(2%v/v 牛胎児血清含有)にて100倍希釈してヨモギエキス含有α−MEM培地を作製した。上記実施例1の通りに作製したL6骨格筋細胞を培養したプレートにヨモギエキス含有α−MEM培地を1穴当り100μL添加、37℃の5%炭酸ガス培養器で4時間インキュベート後、PBS(−)にて2回洗浄し、1mM 2−DGを含有したKRPHバッファー(pH7.4)を1穴当り100μL添加、37℃の5%炭酸ガス培養器で30分間インキュベートし、PBS(−)にて2回洗浄した。その後、0.1N NaOHを1穴当り25μL添加、冷凍庫にプレートを入れて凍結させた後、プレートを冷凍庫から出して室温に戻し、85℃、20分間湯浴中にて加熱処理し、室温になるまで放冷後、0.1N HClを1穴当り25μL添加、続いて150mMトリエタノールアミンバッファー(pH8.1)を1穴当り25μL添加して作製、サンプル中の2−DGを下記の通り定量し、コントロール(α−MEM培地(2%v/v 牛胎児血清含有))の2−DG取込量と比較することにより、糖輸送促進作用を調べた。【0046】(2−デオキシグルコース(2DG)の定量)2−DGを1〜20μg/mL含有したサンプルを96穴組織培養プレートに1穴当り50μL添加し、アッセイカクテル 150μL(ATP 1μmol、ヘキソキナーゼ 0.54units、NADP+ 60nmol、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ 2units、レサズリンナトリウム 3.8nmol、ジアフォラーゼ 0.15units[50mM トリエタノールアミンバッファー(pH8.1)、50mM KCl、0.5mM MgCl2、0.02% BSA])を添加し、マイクロプレートミキサーにて攪拌、37℃の5%炭酸ガス培養器で90分間インキュベート後、マイクロプレートリーダーにて蛍光値(励起波長:530nm、測定波長:590nm)を測定することにより定量を行った。【0047】【表1】【0048】上記の結果、ヨモギエキスが筋肉細胞へのグルコース取り込み量において、つまり、筋肉細胞糖輸送促進作用において優れていることがわかる。【0049】【発明の効果】本発明によって、ヨモギ又はその処理物の新規かつ有用な用途を提供することができる。より具体的には、本発明のヨモギ又はその処理物を含有する筋肉細胞糖輸送促進作用組成物は、糖尿病予防又は治療薬として有用であり、医薬、食品組成物又は食品として用いられる。 筋肉細胞における糖輸送促進のための組成物の製造のための、Artemisia princeps、Artemisia argyi、及びArtemisia vulgarisからなる群より選ばれるいずれか1種のヨモギ又はその処理物の使用(糖尿病の予防又は治療のためのヨモギ又はその処理物の使用を除く)。 組成物が医薬組成物である請求項1記載の使用。 ヨモギ又はその処理物が、ヨモギのエタノール抽出物である請求項1又は2に記載の使用。


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