生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_スティックスリップの試験方法
出願番号:2003180779
年次:2005
IPC分類:7,G01N19/02,G01N33/44


特許情報キャッシュ

山本 正明 山下 智生 JP 2005017064 公開特許公報(A) 20050120 2003180779 20030625 スティックスリップの試験方法 三ツ星ベルト株式会社 000006068 山本 正明 山下 智生 7 G01N19/02 G01N33/44 JP G01N19/02 A G01N19/02 Z G01N33/44 2 2 OL 6 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は樹脂やゴムなどのエラストマー材料からなる摺動材におけるスティックスリップ性を評価するための試験方法に関するものであり、特に荷重の大きな用途で用いられ、エラストマー材料に変形が生じたような状態で使用される摺動材のスティックスリップのしやすさを評価する試験方法に係る。【0002】【従来の技術】スティックスリップとは、間欠的に止まったり動いたりをくり返すようなぎくしゃくしたすべり運動で,固着すべりともいう。自励振動,つまり自身の運動によって外部から非振動的なエネルギーを取り込むために,振幅が減衰せず持続する振動の一種であり,静止時の摩擦抵抗よりも動き出した後の抵抗の方が小さかったりするときなどに生ずる。工作機械のびびり振動やバイオリンの弦の振動などにも、このスティック‐スリップ振動が関係している。【0003】このスティックスリップは摺動する材質間の静止摩擦係数と動摩擦係数との差でその起こりやすさが決まるので、スティックスリップの起こりやすさを評価するためには静止摩擦力と動摩擦力が必要となる。静止摩擦力と動摩擦力を測定する試験方法としては例えば特許文献1で用いられているASTM D1894がある。この方法は板状の試験片の上にそりを載せて、ひもでそりと測定器をつないだ状態から試験片を引張り、そのときの引張張力を記録するという方法であり、この試験規格では、そりは63.5mm×63.5mm×6mm(厚さ)の金属片をゴムで包んだものとなっており、その重さは200gとなっている。【0004】【特許文献1】特開平11−181259号公報【0005】【発明が解決しようとする課題】摩擦係数は摩擦力を試験片と相手材との垂直荷重に比例し垂直荷重で除した数値となるので、通常であれば摩擦力を測定する際の垂直荷重の大きさには無関係であり、スティックスリップの起こりやすさを比較すればよい。しかし、試験片が樹脂やゴムなどのエラストマー材の場合は、大きな垂直荷重がかかることによって試験片が変形して相手材が試験片に食い込んだ状態となる。【0006】そうなると、摩擦力は単純に垂直荷重に比例して増加する数値ではなく、それを超えて増加することになる。よって、小さな荷重をかけた条件で測定した摩擦力での評価は必ずしも正確な評価になるとは限らない。【0007】そこで、本発明は樹脂やゴムなどの荷重によって変形しやすいエラストマー材のスティックスリップの評価をする際に、大きな荷重がかかった状態でもより正確に評価することができるスティックスリップ性の試験方法の提供を目的とする。【0008】【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成するために本発明の請求項1では、エラストマー製の試験片と相手材を所定荷重にて接触させ、相対的に回転させ、回転を始めようとする際の最大静止摩擦力と回転が始まって摩擦力が一定値に落ちついた際の動摩擦力を測定し、両方の数値を比べることによりスティックスリップのしやすさを評価することを特徴とするスティックスリップの試験方法である。【0009】試験片と相手材を所定荷重をかけて接触させることができるので、大きな荷重がかかるような用途に用いられる場合のスティックスリップの起きやすさを評価することができる。【0010】請求項2では摩擦力の測定のための回転走行に先立って、予備走行を行うことによって試験片の面を平滑化しておくスティックスリップの評価方法としている。【0011】予備走行を行うことによって、試験片の表面のイレギュラーな凹凸を平滑化することができるので、その素材のより正確な評価を行うことができるものである。【0012】【発明の実施の形態】図1は本発明方法を実施するのに用いられる試験装置の一例を示す正面図であり、図2は試験片を取り付ける部分における拡大図である。【0013】試験装置1には試験片2を取り付ける装着台3と相手材4を取り付けるアーム5を有しており、装着台3はモーター(図示しない)と連結した回転軸に取り付けられており、所望の速度で回転することができるようになっている。また、アーム5は相手材4を取り付けた状態で下降し、相手材4と試験片2を接触させるとともにアーム5は荷重軸6とつながっており、試験片2に対して垂直方向に所望の荷重がかけられるようになっている。【0014】試験片の形状は相手材4と当接する平面を有してれば、後は特に限定されるものではないが、回転させて試験を行うことから通常円形の平板や中央に孔を有するドーナツ状の試験片が用いられる。また相手材4は通常ドーナツもしくはリング状の形状を有している。【0015】また、試験片2、装着台3、相手材4、アーム5の部分を、断熱材を充填した箱体7で囲うことで恒温槽を形成して、試験の環境温度を一定に保つことができるようになっている。【0016】アーム5の相手材4付近には恒温槽内の温度を測定する温度センサー8が取り付けられ、アーム5の上部には摩擦力を測定するための摩擦力検出用ロードセル9が取り付けられている。【0017】試験片2は図2で示すように装着台3の上に載せて、固定治具3a、3aで固定する。その後、アーム5を図中の矢印方向へ降下させて相手材4を試験片2当接させ、さらに降下させることによって所定荷重をかける。そして箱体7で囲うことによって試験片2の周囲を恒温槽とする。所定荷重をかけた状態で装着台3を10分程度予備回転させる。予備回転させることによって、試験片2と相手材4が摺動し、試験片2の表面にあったイレギュラーな微細凹凸が摩耗して平滑な面にすることができる。摩擦係数は試験片2の表面状態によって大きく左右されるので、その素材の正確な摩擦係数を測定するにはイレギュラーな凹凸をなくして平滑な面として測定することが好ましい。【0018】このときの荷重の大きさは特に限定されるものではないが樹脂の種類によって異なるのでここで限定は出来ないが、樹脂の加工時に出来た凹凸がなくなる条件で、予備回転させる。【0019】試験片2の表面が平滑になってから、一度試験片2の回転を止めて静止させる。そして、摩擦力を測定するための摩擦力検出用ロードセル9をONにして摩擦力の変化を記録できる状態で再び試験片2の回転を開始する。回転が一定で摩擦力も一定になったのを確認して回転を止めて試験を終了する。【0020】摩擦力の変化の記録を見て、試験開始直後に摩擦力が急激に上昇してピークを迎え、また急激に下降した後に一定値になる。試験開始直後のピーク値が最大静止摩擦力であり、その後一定になったところの一定値が動摩擦力である。スティックスリップの発生のしやすさは、その最大静止摩擦力と動摩擦力からそれぞれの静止摩擦係数と動摩擦係数を求め、それらの商の値で評価することができる。最大静止摩擦力/動摩擦力の商が大きければスティックスリップを起こしやすく、小さければ逆に起こしにくいということになる。【0021】以下本発明を具体的に実施した例を示す。【0022】【実施例】実施例1の試験片としてポリアセタール組成物からなる商品名M5BK(三ツ星ベルト社製)を用い、本発明方法を用いて最大静止摩擦力と動摩擦力を測定し、それぞれの摩擦係数の商を求め、スティックスリップ性を評価した。その結果を表1に示す。【0023】摩擦力の測定には、(株)オリエンテック社製スラスト摩擦摩耗試験機を用い、半径φ25mm×7mm厚みの試験片を使って相手材はSUS304とし、表2に示す条件で10分間試験片を回転させて予備回転を行い。一度試験片を止めてから、摩擦力を記録できるようにして再び試験片を回転させ、1分間回転させたところで摩擦力が一定となったので回転を止めた。また、測定はdry条件とwet条件の両方で行っており、dry条件晴天時を想定し、乾燥した状態のことであり、wet条件とは雨天時を想定し、試験片に水を滴下し、濡れた状態での測定のことをいう。【0024】実施例2としては試験片としてポリアミド樹脂からなる商品名CN−CL(三ツ星ベルト社製)を用いた以外は実施例と全く同じ条件で最大静止摩擦力と動摩擦力を測定し、それぞれの摩擦係数の商を求め、スティックスリップ性を評価した。その結果を表1に示す。【0025】【表1】【0026】【表2】【0027】表1の結果より、dry環境においてはポリアセタール樹脂組成物である実施例1もポリアミド樹脂組成物である実施例2も静止摩擦係数/動摩擦係数の値にさほど差が見られないが、wet環境において両者の間に差が見られ、実施例2においてスティックスリップが起こりやすいという評価をすることができた。なお、ポリアミド樹脂は吸水するためにwet環境において摩擦係数が変化しスティックスリップが発生しやすくなっているものと思われる。【0028】【発明の効果】以上のように本発明の請求項1では、エラストマー製の試験片と相手材を所定荷重にて接触させ、相対的に回転させ、回転を始めようとする際の最大静止摩擦力と回転が始まって摩擦力が一定値に落ちついた際の動摩擦力を測定し、両方の数値を比べることによりスティックスリップのしやすさを評価することを特徴とするスティックスリップの試験方法である。【0029】試験片と相手材を所定荷重をかけて接触させることができるので、大きな荷重がかかるような用途に用いられる場合のスティックスリップの起きやすさを評価することができる。【0030】請求項2では摩擦力の測定のための回転走行に先立って、予備走行を行うことによって試験片の面を平滑化しておくスティックスリップの評価方法としている。【0031】予備走行を行うことによって、試験片の表面のイレギュラーな凹凸を平滑化することができるので、その素材のより正確な評価を行うことができるものである。【図面の簡単な説明】【図1】本発明方法を実施するのに用いられる試験装置の一例を示す正面図である。【図2】試験片を取り付ける部分における拡大図である。【符号の説明】1 試験装置2 試験片3 装着台4 相手材5 アーム6 荷重軸7 箱体8 温度センサー9 摩擦力検出用ロードセル エラストマー製の試験片と相手材を所定荷重にて接触させ、相対的に回転させ、回転を始めようとする際の最大静止摩擦力と回転が始まって摩擦力が一定値に落ちついた際の動摩擦力を測定し、両方の数値を比べることによりスティックスリップのしやすさを評価することを特徴とするスティックスリップの試験方法。 摩擦力の測定のための回転走行に先立って、予備走行を行うことによって試験片の面を平滑化しておく請求項1記載のスティックスリップの試験方法。 【課題】試験片と相手材を所定荷重をかけて接触させることができ、大きな荷重がかかるような用途に用いられる場合のスティックスリップの起きやすさを評価することができるような評価方法を提供する。【解決手段】エラストマー製の試験片2と相手材4を所定荷重にて接触させ、相対的に回転させ、回転を始めようとする際の最大静止摩擦力と回転が始まって摩擦力が一定値に落ちついた際の動摩擦力を測定し、両方の数値を比べることによりスティックスリップのしやすさを評価する。【選択図】 図2


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