生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_人工水晶の結晶欠陥の評価方法、及び評価装置
出願番号:2003166502
年次:2009
IPC分類:G01N 21/84


特許情報キャッシュ

宇佐見 洋子 倉繁 正和 若林 裕子 JP 4344173 特許公報(B2) 20090717 2003166502 20030611 人工水晶の結晶欠陥の評価方法、及び評価装置 京セラキンセキ株式会社 000104722 宇佐見 洋子 倉繁 正和 若林 裕子 JP 2003053033 20030228 20091014 G01N 21/84 20060101AFI20090917BHJP JPG01N21/84 Z G01N 21/84 - 21/958 C30B 1/00 - 35/00 JSTPlus/JST7580(JDreamII) 特開平09−190989(JP,A) 特許第2680482(JP,B2) 特開2003−055094(JP,A) 特開2000−272999(JP,A) 特開2000−143395(JP,A) 特開平09−227294(JP,A) 特開2002−114594(JP,A) 特開平01−173853(JP,A) 特開昭60−127446(JP,A) 特開昭56−029148(JP,A) 特開2000−327492(JP,A) A.C.McLaren, C.F.Osborne, L.A.Saunders,X-ray topographic study of dislocations in synthetic quartz,phys.stat.sol.(a),1971年 1月16日,Volume 4,Pages 235 - 247 3 2004317473 20041111 7 20060608 豊田 直樹 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、人工水晶の結晶欠陥を非破壊で精度よく簡単に評価する方法、及びその評価装置に関する。【0002】【従来の技術】人工水晶の結晶欠陥として主に線状欠陥が挙げられる。この欠陥はエッチチャンネルの原因となる欠陥である。【0003】エッチチャンネルはウェハーのエッチング加工時に形成される管状の欠陥であり線状欠陥が起因している。エッチチャンネルは最終製品の特性や歩留まり、機械的強度に大きな影響を及ぼすことが知られており、エッチングプロセスを使用する製品を作る場合には特に重要な品質基準となるものである。【0004】線状欠陥の評価方法としては、ラングカメラによるX線トポグラフィーがある。また、線状欠陥密度とエッチチャンネル密度の間には相関関係がある(非特許文献1)ので、エッチング法で求めたエッチチャンネル密度から線状欠陥密度を算出する方法もある。【非特許文献1】M.Kurashige, M.Hattanda,Y.Okabe“CORRELATION BETWEEN COBBLES AND LINEAR DEFFECT DENSITY OF SYNTHETIC QUARTZ CRYSTALS” proceedings of the 50th Annual Symposium on Frequency Control”,1996, page94-101【非特許文献2】McLAREN “X-Ray Topographic Study of Dislocations in Synthetic Quartz”physica status solidi (a)4, 1971, page 235-247【0005】なお、出願人は前記した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を、本件出願時までに発見するに至らなかった。【0006】【発明が解決しようとする課題】線状欠陥の評価方法として最も確実なのはX線トポグラフィーであるが、被検査物作成と露光に長時間を要し、また高価な装置を必要とするという問題がある。【0007】また、よく用いられる方法にエッチング法がある。例えば弗酸または弗化アンモニウム飽和水溶液中で十分にエッチングすると、線状欠陥に沿って管状に穴があくのでエッチチャンネルを目視で検査することができる。しかし被検査物作成に手間がかかる上、評価するまでに長時間を要するという問題がある。【0008】上記のように人工水晶の線状欠陥を評価するには、従来においては大変な手間と時間がかかる上に、破壊評価であるという問題があった。【0009】本発明は、上記の問題を解決する為になされたものであり、従来の方法と比較した場合、人工水晶中の欠陥を簡便に、かつ短時間に非破壊で評価できる方法、及び装置を提供することを目的とする。【0010】【課題を解決するための手段】上述する課題を解決するために本発明は、人工水晶中の結晶欠陥を精度良く簡便に、かつ短時間に非破壊で評価することを特徴とする。【0011】人工水晶原石のZ面には、コブルと呼ばれる錐体が在るが、このコブルの密度は育成条件により制御できる。人工水晶原石のZ面はコブルと、中央がなだらかな凸面で全体が覆われている。本発明は、人工水晶原石の線状欠陥、及びエッチチャンネルの評価方法において、人工水晶原石被検査物に紫外光線を照射して、該人工水晶原石被検査物表面の凹凸を浮き上がらせ、該人工水晶原石被検査物のZ表面上のコブルの大きさ及び数のデータを測定し、コブル密度を算出するデータ処理手段を用いて、該コブル密度の測定を行い、これにより得られる測定値を、該コブル密度に対する線状欠陥密度の相関データと比較することにより該人工水晶原石被検査物の該線状欠陥密度を算出するデータ処理手段を用いて行うことを特徴とする。【0012】さらに本発明は、人工水晶原石の線状欠陥、及びエッチチャンネルの評価装置において、人工水晶原石の線状欠陥、及びエッチチャンネルの評価装置において、人工水晶原石被検査物に紫外光線を照射して、Z表面上にあるコブルの大きさ及び数のデータを測定してコブル密度を算出するデータ処理手段を備え、かつ該コブル密度に対する線状欠陥密度の相関データと比較して該人工水晶原石被検査物中の該線状欠陥密度を算出するデータ処理手段を備え、該線状欠陥密度が表示されることを特徴とする。【0013】さらに本発明は、人工水晶原石の線状欠陥、及びエッチチャンネルの評価方法において、人工水晶原石に紫外光線を照射して人工水晶原石被検査物の表面の凹凸を浮き上がらせるように観測可能として、人工水晶原石被検査物のZ表面上のコブル密度を測定することを特徴とする。【0014】発明者らは、人工水晶原石被検査物のZ表面上にあるコブルの密度に比例して線状欠陥密度が増大することを、定量的に実際に確認しており、これによりコブル密度で人工水晶原石の品質評価ができることを見いだした。【0015】更に、発明者らは線状欠陥密度とエッチチャンネル密度の間には相関があることも先の非特許文献1にあるように確認している。【0016】本発明は前述のような知見からなされたものであり、従って従来の破壊評価に代えて、コブル密度と線状欠陥密度、線状欠陥密度とエッチチャンネル密度の間に相関があることを利用して、人工水晶原石被検査物のZ表面上にあるコブルの密度を測定することにより、先の被検査物の結晶欠陥を非破壊で評価することを特徴とする。ここでの結晶欠陥とは、線状欠陥とエッチチャンネルを示す。【0017】また、本発明に係る評価装置は、人工水晶原石被検査物のZ表面上にあるコブルと、中央がなだらかな凸面の形状の違いを簡単に分離して識別できる機能と、コブルの大きさ、数のデータを得てその密度および、人工水晶中の結晶欠陥密度を算出するデータ処理手段を備えることを特徴とする。【0018】【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に示し、また本発明の理解を助けるために人工水晶原石のZ表面上のコブルについて説明する。【0019】図1は、Z板人工水晶原石被検査物であり、Y方向に長いZ面を主面とする板状の種結晶を使用して育成されている。主面のZ表面は図1の通りラフな面であり、全体が凸面で覆われている。この多数の凸面のうちで、形状が錐体のものは線状欠陥が起因しているものらしいことが先述の非特許文献2などにより広く知られている。【0020】この錐体を特にコブルと呼ぶ。図2はコブルと多数の中央がなだらかな凸面を区別して見やすくするために、微分干渉顕微鏡で観察した人工水晶原石被検査物のZ表面を示すものである。図2における矢印で指した錐体が、線状欠陥に関係するといわれているコブルであり、矢印以外の周りは多数の中央がなだらかな凸面であり、両者の形状が異なることがわかる。【0021】また、人工水晶の線状欠陥について説明すると、人工水晶の線状欠陥はエッチングによりエッチチャンネルとなるものが多い。これらの線状欠陥は不純物でデコレートされた歪の大きな転位と考えられている。エッチングプロセスでウェハーにエッチチャンネルがあけば、最終製品の特性や歩留まり、及び機械的強度に大きな影響を及ぼすことが知られている。【0022】図3は、本発明の原理を示すためのコブル密度と線状欠陥密度の相関を示すものである。【0023】発明者らが人工水晶原石被検査物のZ表面上にあるコブルの密度と線状欠陥密度の相関関係を実験により確認したところ、図3に示すように線状欠陥密度はZ表面上にあるコブルの密度に比例して増大していることが定量的に確認された。【0024】図3の相関データは、X寸法が31mm、Y寸法が210mm、Z寸法が1mmのZ板種結晶が、両Z方向合わせて23mm程度に成長した人工水晶原石を被検査物としたものである。【0025】Z板人工水晶は、成長が進むにつれて、自然面であるr面、及びR面の成長によりZ面の面積は小さくなる。また、ラフなZ表面の起伏は強調されて、コブルは隣り同士で統合されて1つのサイズが大きくなるので、Z寸法が極端に異なる人工水晶原石被検査物を混合して、図3で示されるようなひとつの相関線で評価することはできない。【0026】しかしながら、育成されるZ寸法は想定することができるので、異なる寸法のものに関しては各々、Z表面上のコブル密度と線状欠陥密度を測定して、その測定値をもとに相関線を作っておけば、人工水晶原石被検査物のZ表面にあるコブル密度を測定して、その測定値をその人工水晶原石被検査物とZ寸法が同等である人工水晶原石被検査物から作成された相関線に比較することで、測定されたコブル密度に対応する線状欠陥密度がわかる。すなわち、非破壊で線状欠陥密度の評価をすることができる。【0027】図4に、上記の方法を実施する為の測定システムの例を図示する。図4に示す一実施例では、人工水晶原石被検査物のZ表面がデジタルカメラにより検出される。検出されたZ表面の画像はモニターで観察することができ、コブルの大きさ、数、またはその両方のデータを表示することができ、さらにコブル密度の表示(例えば、個/cm2)が出来る。【0028】また、コンピュータメモリーに記憶されている各々のZ寸法に対応したコブル密度と、線状欠陥密度の相関線と、測定値とをコンピュータの演算装置で演算させれば、線状欠陥密度も表示させることができる。【0029】また、発明者らは、線状欠陥密度とエッチチャンネル密度間に比例関係があることを実験により確認しているため、コンピュータメモリーに線状欠陥密度とエッチチャンネル密度の相関線を記憶させて、コブル密度から演算により算出した線状欠陥密度をもとにして、エッチチャンネル密度も表示させることができる。【0030】更に、コブル密度、コブルの数、大きさ、線状欠陥密度をそれぞれグレード分けしてコンピュータに入力して、測定した人工水晶原石被検査物を先のグレード分けに従って表示させることができる。【0031】図4の例では人工水晶原石のZ表面の画像をデジタル信号に変換し記憶するようにしているが、これは一般的なデジタルカメラ、CCDカメラなどはもちろん、写真フィルム、ビデオなどの記憶手段でも構わず、これらも本発明の技術的範囲に含まれることはいうまでもない。【0032】また、図4に示す人工水晶原石被検査物の下部、または上部など人工水晶原石被検査物の周辺に、少なくとも同軸照明、フィルター、偏光板、格子のうちひとつ以上を設けることができる。【0033】以下に、図4の測定システムを利用して図3に示す相関線を求めた実施例について説明する。【0034】まず、本発明の測定システムを使わずに目視で、Z表面を覆うコブルの量が少ないものや多いものを任意に選択した。選択された人工水晶は、両Z方向合わせて23mm程度に成長にしたものに限定した。【0035】次に選択された15個の人工水晶原石被検査物を、本発明の測定システムを用いてZ表面上のコブル密度を測定した。 ひとつの人工水晶原石被検査物あたり25mm×20mmの視野で場所を変えて2箇所測定し、その平均値を先の人工水晶原石被検査物のコブル密度とした。【0036】次に線状欠陥密度を測定する為に、上記のようにコブル密度を測定した人工水晶原石被検査物から、それぞれ二箇所のX線トポグラフィー観察のために、二つの被検査物を切出した。被検査物は、切断、研磨後にライトエッチングをして撮影した。切り出した人工水晶原石被検査物から線状欠陥密度をそれぞれ測定し、平均値をその人工水晶原石被検査物の線状欠陥密度とした。以上の方法でコブル密度と線状欠陥密度の相関線を作成することができる。【0037】【発明の効果】本発明により、人工水晶原石被検査物中の欠陥を簡便に、短時間に、かつ非破壊でその品質評価をすることが出来る。【図面の簡単な説明】【図1】図1はZ板人工水晶原石被検査物の写真であり、このZ板人工水晶原石被検査物はY方向に長いZ面を主面とする板状の種結晶を使用して育成している。主面のZ表面は図の通りラフな面であり、全体が多数の凸面で覆われている。この多数の凸面のうちで、形状が錐体のものは線状欠陥が起因しているらしいことが先述の非特許文献などにより広く知られている。この錐体を特にコブルと呼ぶ【図2】図2はコブルと中央がなだらかな多数の凸面を区別して見やすくするために、微分干渉顕微鏡で観察した人工水晶原石被検査物のZ表面を示す。矢印で指された錐体が、線状欠陥に関係するといわれているコブルであり、矢印の錐体以外の周りは中央がなだらかな多数の凸面であり、両者の形状が異なることがわかる。【図3】図3は、本発明の原理を示すためのコブル密度と線状欠陥密度の相関関係を図示するものであり、人工水晶原石被検査物のZ表面上にあるコブルの密度と線状欠陥密度の相関関係を実験により確認したところ、この図3に示すように線状欠陥密度はZ表面上にあるコブルの密度に比例して増大していることが定量的に確認された。【図4】図4は測定システムの構成を示す一実施例の概略の構成図である。この図に示す一実施例では、人工水晶原石被検査物のZ表面がデジタルカメラにより検出され、検出されたZ表面の画像はモニターで観察することができ、コブルの大きさ、数、またはその両方のデータを表示することができ、さらにコブル密度の表示ができる。 人工水晶原石の線状欠陥、及びエッチチャンネルの評価方法において、人工水晶原石被検査物に紫外光線を照射して、該人工水晶原石被検査物表面の凹凸を浮き上がらせ、該人工水晶原石被検査物のZ表面上のコブルの大きさ及び数のデータを測定し、コブル密度を算出するデータ処理手段を用いて、該コブル密度の測定を行い、これにより得られる測定値を、該コブル密度に対する線状欠陥密度の相関データと比較することにより該人工水晶原石被検査物の該線状欠陥密度を算出するデータ処理手段を用いて行うことを特徴とする人工水晶原石の線状欠陥、及びエッチチャンネルの評価方法。 人工水晶原石の線状欠陥、及びエッチチャンネルの評価装置において、 人工水晶原石被検査物に紫外光線を照射して、Z表面上にあるコブルの大きさ及び数のデータを測定してコブル密度を算出するデータ処理手段を備え、かつ該コブル密度に対する線状欠陥密度の相関データと比較して該人工水晶原石被検査物中の該線状欠陥密度を算出するデータ処理手段を備え、該線状欠陥密度が表示されることを特徴とする人工水晶原石の線状欠陥、及びエッチチャンネルの評価装置。 請求項2に記載の該人工水晶原石の線状欠陥、及びエッチチャンネルの評価装置において、該人工水晶原石被検査物のZ表面上に在るコブルを光学的に識別するために、該人工水晶原石被検査物に、少なくとも同軸光源、フィルター、偏光板、格子のうちひとつ以上が設けられたことを特徴とする人工水晶原石の線状欠陥、及びエッチチャンネルの評価装置。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る